騒音と安眠家具

音の問題は、実際の音量以上に感覚的な音量に左右されることが多い問題です。
2017年3月1日にご紹介した「ミソフォニア」のような症状も、特に病的なものでなければ誰にだって経験があるはずです。
音は気になりだしたら、我慢をするより先に、能動的に対処するほうがよいと思われます。対処の仕方は相手の音を止めようとする方法ではなく、自身の快適性を求めるための方法です。簡単なところでは耳栓であり、大掛かりなところでは防音工事や場合によっては騒音源から離れるための引っ越しも含めた対処ですね。
もちろん「いびき」には安眠家具SleepLaboが最適です。

騒音を専門に調査する「日本騒音調査」(http://www.skklab.com/)という会社で紹介されている「騒音訴訟と判例/裁判所の判断」に共同住宅における騒音問題の特徴的な例がありましたので、かいつまんでご紹介いたします。

事例1 上階の子供の騒音に対する損害賠償請求事件

原告は東京都板橋区のマンションに住んでいました。そこに被告家族(夫婦と子供一人の三人家族)が引っ越してきて以来、子供の走る、飛び跳ねるなどの騒音に日中深夜を問わず悩まされることとなりました。
騒音を測定したところ50~65デシベルと、東京都の条例規制値を超えていました。
被告に対し、原告からの直接並びにマンションの管理組合、警察から何度も警告したが改善しませんでした。
被告の主張としては、カーペットを敷くなどの対処をした。引っ越して慣れないはじめのうちは長男も遅くまで起きていたが、慣れてからは遅くまで起きていない。
一方的に注意されたので、いやなら自分が出ていけと言ったというものです。
裁判所の判断
騒音レベルは50~65デシベルとかなり大きく、夜間や深夜にも発生することがあった。
カーペットを敷くなどの対処によって、改善された確認をしておらず、さらに注意された際に取り合わないなど不誠実。
これによって原告は精神的な苦痛、食思不振、不眠等の症状を生じた。
被告は原告に対し36万円支払うこと。

これは原告勝訴となりました。子供が騒ぐことに対して、適切なしつけをせずに、不誠実な対応をしたことが、影響したのかもしれませんが、決定的なのは50~65デシベルという測定の結果が証拠ですね。実際に騒音があり、発生源として特定されたわけです。


事例2 集合住宅内の騒音を訴えたほうが、逆に嫌がらせで訴えられた事件

原告らは大田区内の都営住宅に居住する夫婦であり、被告は都営住宅の上の階に住んでいました。平成元年ころから夜間に被告居宅(原告居宅の天井部分)から「コツン、コツン」という耳障りな音が聞こえるようになり、平成8年ころからは騒音が一層ひどくなり、夜通し響くようになると、原告は安眠を妨げられるようになります。
原告は被告に騒音を注意するとともに、大田区環境保全課に相談し、24時間録音可能な機器を使用して騒音を録音するように指示されました。
録音結果を大田区が分析したが、指摘するような騒音は確認できませんでした。原告は音の分析結果を工具の音と考え、被告が夜間内職を続ける音であると決めつけ、被告宅の玄関に張り紙を張ったり、内容証明を送り付けるなどを行いました。また、被告宅に突然来訪し、「何をしているか」と詰問したり、自宅ベランダから外に向かって大声で「(被告)さん、何をやっているんですか。毎晩毎晩うるさいですよ。静かにしてください。」などと連日繰り返すなどしました。この間5年ほどですが、自治会等立ち合いで、両居宅内での確認をしましたが、騒音の確認はできませんでした。
裁判所の判断
録音機・騒音計には問題となる騒音は記録されていないことが認められる。原告の主張するように被告が室内で内職を行っていたという事実はない。被告室の隣に住む方も原告の主張する騒音を聞いていない。他の住人からも被告に対する苦情は出されていない。
以上より原告の主張は認められない。
被告は自宅内に入る許可を与えるなど、問題解決のため積極的に行動している。騒音問題に関する原告の行動は不法行為と言える。被告がノイローゼ状態になったことが認められる。原告の訴えを棄却し、不法行為による損害賠償として原告は被告に30万円の支払いをすることが相当である。

この裁判では結局両方が訴えたので、原告敗訴のうえ、被告への損害賠償が認められました。
事例1と事例2の大きな違いは、証拠として騒音の録音分析ができたかどうかです。逆に言えば、自分にとってどんなにうるさい音でも、騒音というレベルで録音なり分析が成り立たない場合は、訴える側の思い込みということになります。
実は集合住宅の場合の騒音問題では非常に多いのです。管理会社や自治体に訴えてもあまり熱心に対応してくれないという声が多いのですが、本当の騒音であれば、ほかの人からも苦情が来るので対応するのです。
訴える側にとっては、居ても立っても居られないほどの苦痛であるにもかかわらず、周りからは訴える側が悪いと言われるわけですから、精神的にも追い詰められます。場合によっては刑事事件に発展するのもそのような背景があります。

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