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ストレス解消とSleepLabo

いよいよ明日、明後日とさんきゅう参道の開催が迫ってきました。
天気予報にピリピリしています。どこまで説明できるかわかりませんが、それぞれが抱えるイビキや不眠の問題について、じっくりお話ができればいいかなと考えています。

ストレス解消とSleepLabo
ストレスで安眠出来ないっていやですよね。
安眠を妨げるストレスは、一つにはうるさいとか暑いとかの環境ストレス。
もう一つが、心配事やイライラなどの心理的ストレス。

ストレスって怖いですね。おなかが痛いとか、頭が痛いとか、会社行けないとか、ちょっと前まではやる気がないとか、不摂生しているとか、言われていたことが、今はストレスが原因です。
がんになるのも、うつ病もストレスです。私は原因不明の頭痛で10日の入院と、1か月の自宅待機をしましたが、検査の結果原因は何も見つからず、医者から言われたのが、「ストレスでしょうね。」
ただ、ストレスが時には命を奪うかもしれないところが、本当に怖いです。

ストレスがあると安眠できない、というのと逆に、安眠がストレスを解消します。怖いストレスをためないために、安眠することが大事です。

環境ストレスは、安眠家具で改善できます。
心理的ストレスは、以前にも紹介させていただきましたが、相愛大学での心理的要因と睡眠の質の調査をした論文です。ネガティブな思考の反芻が睡眠の質の悪化をもたらす状況を調査した論文です。
https://www.soai.ac.jp/univ/pdf/kenkyu_h1nishisako.PDF

安眠でストレスを解消することが、健康で楽しい生活を続ける秘訣かもしれません。

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不眠症状とストレス

桜の写真がたくさん。
関東の桜はほとんど葉桜になってしまいました。この期間の短さがいいところですね。季節を感じることができます。
また情景の美しさが、特別ですね。フェイスブックやインスタグラムは桜の写真であふれています。これから桜の季節に入る地域からはまだまだ桜の便りが届くでしょうね。

不眠症状とストレス

人の感情や行動を大きく左右する神経伝達物質に「ドーパミン」・「ノルアドレナリン」・「セロトニン」がありますが、
これらは「モノアミン神経伝達物質」と呼ばれており、自律神経に大きく影響を及ぼすものとして知られています。

ドーパミンは「快楽物質」
ドーパミンが分泌されると気分が高揚し幸福感が得られます。
しかしドーパミンは心身に活動を促す性質ですので、あまりに長期間分泌され続けると疲労し、身体のあちこちに不調が現れます。
ノルアドレナリンは「闘争と逃避」
ノルアドレナリンは人が危険や驚愕するような状況になった時に危険回避行動を速やかにとれるように分泌されます。このとき、交感神経を強く刺激します。
そしてドーパミンとノルアドレナリンは密接に干渉し合い、片方が刺激されるともう片方も活性化するという性質があります。
セロトニンは「抑制と調整」
上記2つの物質の働きを抑制してブレーキをかけるのがセロトニンの役割で、この2つ以外の神経伝達物質のコントロールもセロトニンが担っていると言われています。
神経伝達物質は体内で生成されますが、限りがあるものであり、放出を続けるといつかは枯渇してしまいます。
その証拠に、過去のトラウマによる緊張や不安、不安神経症、パニック障害などの症状がある人は交感神経が優位な状態が長期間続いていますが、これを抑えるために使われたセロトニンが大量に尿から検出されるようです。

セロトニンが不足すると、意欲の減退や無気力、また、強い抑うつ症状が現れるようになります。こうした症状はうつ病の症状として知られており、セロトニン不足とうつ病には強い関係があることが知られています。
また、セロトニンが不足したとき、セロトニンによって合成されているメラトニンも不足するため、メラトニンが本来発揮するべき催眠効果が十分に発揮されなくなり、多くの場合で不眠症状が現れます。
実際、うつ病を患っている患者さんのほとんどで不眠症を合併していることからも、セロトニンの不足から来るメラトニンの不足、また、それによって起こるうつ病と不眠症の関係が見て取れます。

本来、人間の健康に取って欠かせない物質であるメラトニンやセロトニンが不足するという事態は、普通に生活していれば起こりにくいはずですが、現代社会にはそれが起こりうる幾つかの原因が存在します。
▼ストレス
セロトニンが不足する原因として、現代社会で特に多いのがストレスによるセロトニンの不足です。ストレスは我々の生活のあらゆる場面に潜んでおり、慢性的なストレスは、セロトニン神経の働きを阻害して、長期的にはセロトニンの不足を招きます。
▼トリプトファン
もう一つ大きな原因として、セロトニンやメラトニンの大元の原料である、トリプトファンの不足もセロトニンやメラトニンが不足することが考えられます。トリプトファンが不足する原因は、ダイエットによる栄養バランスの偏り、好き嫌い、偏食など、食生活が大きく影響します。
▼腸内環境
また、現代人に増えているのが、腸内環境の悪化によって起こる、腸のトリプトファンの合成力の低下です。トリプトファンは人が直接作り出すことが出来ないアミノ酸で、胃や腸で消化したたんぱく質を、さらに腸内細菌の力を借りて合成されます。
腸内環境が悪化すると、腸内細菌の数が減ってしまうため、その分トリプトファンの合成力が低下してしまうのです。腸内環境の悪化は、戦後の『食生活の欧米化』の影響が大きいと言われています。
我々日本人の腸内環境が昔よりも悪化した結果、トリプトファンの合成力の低下だけでなく、大腸がんの発症数が増えたり、アトピーや花粉症などアレルギーを発症する人が増えるなど、様々な影響が生じていると言われています。

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眠れない事のつらさ

昨日は今週末に行われる「さんきゅう参道」の最後の打ち合わせを行いました。土曜日の天気が少し心配ですが、昨年は大雨の中の開催でしたから、それに比べれば大丈夫だよという前向きな意見が大勢でした。
逆境が人を成長させる。ストレス耐性ってこうやって獲得していくものですね。

眠れない事のつらさ
不眠症って考えたら便秘に似てますね。
食べる事って、おなかいっぱいでなければまあ普通にできることですよね。そして入れたんだから出さなきゃ大変なので、排便があるわけですが、便秘になると、すごく苦しい。そして便秘になると出すのって簡単じゃないわけです。
睡眠も同じように、昼間見たり聞いたり感じたりした情報が脳の中にたまってしまえば、排泄と同じように夜の眠りでもって必要な情報を栄養として取り込んだ後のいらないものを出してしまわないと、脳の容量がパンパンになってしまって苦しいことになってしまうような感じです。
そして眠れなくなると、眠るのって簡単じゃないわけです。
人間の体の仕組みはどこか共通しているので、情報を入れることが食べることと同じで、眠ることで整理して空き容量を作ることが、排泄と同じなのかもしれませんね。
人間はなぜ眠るのかっていう問題が話題になることがありますが、案外脳の排泄だったりするかもしれません。

便秘で苦しむ人が便秘薬を飲むと薬が効いてすっきりできるんですが、体が薬に慣れて、自力排泄ができにくくなったり、同じ薬でも効かなくなったりするところまで、不眠症の睡眠薬とそっくりです。

ストレスに弱いところもそっくり。自律神経の乱れが影響するところもそっくり。
そうやって考えていくと、違ったアプローチで不眠症の解決策も見つかるかもしれません。

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安眠家具といびき、騒音対策

4月7日(土)・8日(日)は、「さんきゅう参道」
まだまだ花見のお客様で氷川神社の参道はにぎわっています。
今の予報では、7日8日は、桜も散ってしまうのかもしれませんが、その分暖かいと思います。
神主さんと「神社を学ぼう!」。A級グルメが集う美食の祭典「氷川マルシェ」。あつまる!つながる!ひろがる!「さんきゅう参道2018」同時開催です。ぜひお越しください!

安眠家具といびき、騒音対策
うるさくて眠れない事って、当然いびきだけじゃないです。
実は音の大きさと、うるさいと感じる音の内容は別物です。

そのため、安眠に必要なのは、無音の環境よりは静かな生活音だそうです。ヒーリング音楽など心地よい眠りに誘う音楽や秋の虫の声なんて気持ちよく眠れそうですが、やはり聞きなれた音が、気にならない大きさで流れている音というのは安心を誘うようですね。まったく無音では逆に不安になるようです。
また生活音には脳が慣れて、徐々に気にならなくなるという作用もあるようです。
結構大きな音でテレビが鳴っていても、寝ている事ってよくあります。でもテレビを切って静かになったとたんに今までいびきかいて寝ていた旦那が「見てたのに何で消すんだよ」と文句を言ったりした経験ってないですか?電車や飛行機の中はかなりの騒音なのですが、脳の慣れで、案外寝ることができるのです。

脳は実際の音の大きさではなく、気持ちの集中具合で音の感じ方が違ってくるように修正をしています。
いびきが気になるとか、集合住宅の夜間の騒音の苦情を聞くと、実際の音以上に大きく感じていることがよくあります。例えば騒音の苦情を言いたくても、部屋の中でその音を録音すると、ほとんど音が拾えないにもかかわらず、被害者と思っている人にとっては我慢できない音だということが多いのです。

更にはミソフォニアという音嫌悪症の障害となっていることもあるため、実際の音よりもその背景などへの心理的な解決が必要な場合があります。

騒音対策は実は、いかに自分が納得するかが決め手となるのです。相手の音をふさごうとすると、気持の在り方によっては例え無音になっても幻聴が聞こえるぐらいに感じてしまい終わりがありません。

耳栓でふさいでしまうことは、無音環境を目指すことになり、逆に不安となりますし、目覚ましが聞こえないなどの問題もあります。
安眠家具による自分自身で作る快適な環境は、パーソナル空間の創出による満足のいく環境を、納得のいく形で作ることができるため、実際の音の低減以上に高い効果が期待できます。

安眠家具の防音効果を検証しています。

30dBの減少はかなりの違いになります。渋谷の雑踏の中から、深夜の郊外くらいの差です。

夫婦の寝室と言うプライベート空間の中に、さらにパーソナル空間を創出することで、夫婦のきずなをきちんと保ったうえで、一人になれる自由を持つ理想的な形となります。

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(press)ナルコレプシーの病因治療効果を確認

花見は大宮公園(2)
桜の大きさも大宮公園のいいところでしょうね。それにしてもすごい人出。この写真は日曜日ですから多いのは当たり前かもしれませんが、待ち合わせなんかしても会えないくらいですね。

筑波大学の国際総合睡眠医科学研究機構から「ナルコレプシーの病因治療効果を確認」のニュースリリースが出ておりますのでご紹介いたします。
http://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/japanese/wp-content/uploads/sites/2/2017/05/pr20170516_jp.pdf

この研究結果が、ナルコレプシーだけでなく、多くの睡眠障害の根本治療のきっかけになる可能性を秘めていると思います。
特に睡眠時無呼吸症候群のような、実際に眠れていないと判断されている睡眠障害患者にどのような効果があるのか今後の研究成果を待ちたいですね。

プレスリリース
2017.5.16|国立大学法人 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-­IIIS)

ナルコレプシーの病因治療効果を確認
— 目覚めを制御する低分子医薬の新たな効果 —

研究成果のポイント
1. オレキシン*1受容体作動薬*2YNT-­185 には、ナルコレプシーの症状であるカタプレキシー*3を抑制する効果があることを明らかにしました。さらに活動期に連日投与してもカタプレキシー発作の抑制効果は持続することが確かめられました。
2. 正常マウスに YNT-­185 を末梢投与すると、覚醒時間が延長されることを確認しました。
3. YNT-­185 の連日投与により、マウスの体重増加が抑制されました。
4. オレキシン受容体作動薬はナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示されました。
過剰な眠気を伴う他の睡眠障害を改善する創薬にもつながることが期待されます。

ナルコレプシーは、日中の強い眠気やカタプレキシーなどを主症状とし、患者の社会生活に深刻な影響を及ぼす睡眠障害です。症状を緩和させる薬による対症療法はありますが、根本的な治療法はありません。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-­IIIS)の研究グループは、同機構で創出したオレキシン受容体作動薬YNT-­185にはカタプレキシーを抑制する効果があるだけでなく、覚醒時間の延長を促し、体重増加を抑える働きがあることを発見しました。これらの結果により、オレキシン受容体作動薬がナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示されました。他のさまざまな原因によってもたらされる過剰な眠気を改善する創薬にもつながることが期待されます。
本研究はWPI-­IIISの入鹿山-­友部容子、小川靖裕、富永拡、柳沢正史らの研究グループによって行なわれ、米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版で5月15日現地時間午後3時(日本時間16日午前4時)に成果が先行公開されました。

研究の背景
ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気や、感情の高まりなどにより身体の筋肉が脱力する情動脱力発作(カタプレキシー)などを主な症状とし、患者の社会生活全般に深刻な影響を及ぼす睡眠障害です。脳内視床下部に存在し、睡眠覚醒を制御するオレキシン産生細胞が脱落しオレキシンが欠乏することで生じることが明らかとなっていますが、その治療は薬物による対症治療と生活指導のみであり、根本的な治療方法が未だにないのが現状です。

マウスを使った研究では、2 種類あるオレキシン受容体(1 型と 2 型)の両方を欠損するとナルコレプシーが発症しますが、これらの受容体のうち、1 型受容体のみの欠損では睡眠覚醒の異常は見られません。一方で、2 型受容体を欠損すると、ナルコレプシー症状が起こります。このことから、睡眠覚醒の制御においては 2 型受容体がより重要であると考えられています。
マウスの脳内にオレキシンを直接投与することでナルコレプシーの症状は改善されますが、静脈 や経口などによる末梢投与では、オレキシンが血液脳関門*4を通過することができないため効果はなく、ヒトへの応用の大きな妨げとなっています。そのため、オレキシンと同様の機能を示し、末梢投与でも血液脳関門を通過し治療効果を発揮するオレキシン受容体作動薬の創出が試みられてきました。2015 年に、WPI-­IIIS の長瀬博教授らのグループがオレキシン受容体作動薬として機能する化合物 YNT-­185 の創出に成功しました(Nagahara et al., J. Med. Chem. 2015)。本研究では、YNT-­185 のナルコレプシー症状緩和作用をナルコレプシーモデルマウスで詳細に評価・解析し、ナルコレプシーの根本治療薬としての可能性を検討しました。

研究内容と成果
研究グループは、ヒトオレキシン受容体を定常的に発現された細胞とマウス脳スライスを用いて、YNT-­185 がオレキシン 2 型受容体に対する選択的作動薬として働くことを確認しました。睡眠覚醒への影響を調べるために、YNT-­185 をマウスに脳室内投与して脳波測定による睡眠解析を行なったところ、活動期の覚醒時間が延長することが明らかとなりました。作動薬の効果が消失したあとに、過剰に眠るような行動(睡眠リバウンド)は見られませんでした。腹腔内、静脈、経口などの末梢投与でも同様の効果が見られたことから、YNT-­185 は血液脳関門を通過することが確認されました。
一方、オレキシン受容体を欠損したマウスではこの化合物を投与しても作用が見られなかったことから、YNT-­185 はオレキシン受容体を介して作用することが確認されました。ナルコレプシー症状への治療の有効性を調べるため、カタプレキシーを人為的に生じさせたマウスに YNT-­185 を投与したところ、カタプレキシーが抑制されることが示されました(図 1)。作動薬を活動期(暗期)に 3時間毎、3 晩続けて使用した場合も、効果は減弱することなく、症状を抑制しました。さらに、ナルコレプシー患者は体重が増加する傾向にありますが、同化合物をマウスに 1 日 1 回、14 日間連日投与すると、体重の増加が抑制されることがわかりました(図 2)。

今後の展開
YNT-­185 にはカタプレキシー抑制効果があったことから、オレキシン 2 型受容体作動薬がナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示されました。さらに、ナルコレプシー以外の睡眠障害、例えばうつ病症状による過眠症、薬の副作用による過剰な眠気、時差ボケやシフトワークによる眠気を改善するための創薬にもつながります。眠気改善効果についてさらに詳細に検討するため、今後は概日リズム睡眠障害モデルマウスなどを用いた評価を行なう予定です。

参考図

図 1. ナルコレプシーを発症したマウスに YNT-­185 を投与することにより、カタプレキシーが抑制された。

図 2. YNT-­185 をマウスに 1 日 1 回、14 日間連続で投与すると体重の増加が抑制された。

用語解説
(1) オレキシン
柳沢らのグループにより発見された、神経伝達を司るペプチドのひとつ。視床下部に存在するオレキシン産生神経から分泌され、脳の広い領域に作用する。オレキシンは覚醒の維持において非常に重要な役割を担っている。
(2) 作動薬
受容体に結合し、生体物質(今回の場合、オレキシン)と同様の細胞内の情報伝達系を作動させる薬物。作動薬が受容体に結合すると受容体の構造が変化し、生体応答を引き起こす。
(3) カタプレキシー
ナルコレプシーの症状のひとつで情動脱力発作と呼ばれる。感情の高まりなどにより、全身または身体の一部の筋肉が脱力する。
(4) 血液脳関門
様々な有害物質から脳組織を守るため、血液から脳内への物質の移行を制限する機能。脳のエネルギー源となるアミノ酸やブドウ糖などの必須物質は脳内に選択的に輸送されるが、ペプチドやタンパク質などそれ以外の多くの物質は、このバリア機能が存在するため脳内に自由に入ることができない。

掲載論文
【題 名】A-­non-­peptide orexin type-­2 receptor agonist ameliorates narcolepsy-­cataplexy symptoms in mouse model.
(和訳:非ペプチドオレキシン 2 型受容体作動薬によるナルコレプシー症状の改善)

【 著 者 名 】 Yoko Irukayama-­Tomobe, Yasuhiro Ogawa,Hiromu Tominaga, Yukiko Ishikawa, Naoto Hosokawa, Yuki Kawabe, Shuntaro Uchida, Sinobu Ambai, Ryo Nakajima, Tsuyoshi Saitoh, Takeshi Kanda, Kaspar Vogt, Takeshi Sakurai, Hiroshi, Nagase, and Masashi Yanagisawa

【掲載誌】Proceedings of National Academy of Science USA
DOI:10.1073/pnas.1700499114

お問い合わせ
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-­IIIS)広報連携チーム 担当:雀部(ささべ)
、樋江井(ひえい)

住所 〒305-­8575 茨城県つくば市天王台1-­1-­1 睡眠医科学研究棟
E-­mail wpi-­iiis-­alliance@ml.cc.tsukuba.ac.jp
電話 029-­853-­5857

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(論文)いびきが気になる人ミソフォニア

さいたま市の桜はまだ3分咲きといったところでしょうね。
この土日は満開ちょっと手前、来週土日は桜吹雪といったところでしょうか。さんきゅう参道の4月7日・8日は、ほぼ葉桜かな。きっと新緑も美しい。

イギリスニューキャッスル大学の神経科学研究所による研究発表がなされました。
「ミソフォニア(音嫌悪症)」と呼ばれる、特定の音に対し極端に嫌悪を示し、場合によっては神経症や不安、パニックを引き起こす症状の原因が、脳の構造にあるのかもしれないという報告です。
気になる音というのは、いびきだけではなく、くちゃくちゃ食べる音や、ズルズルと麺を吸い込む音だったり様々です。

これといった解消法はないのですが、ほかの雑音で気を紛らわすのが効果的だそうです。
バスの中でいびきとか寝息が気になっても、実は車の走行音のほうが大きいのです。それでも気になる音というのは耳についてしまうし、それが自分の気分を害していると思うだけで我慢できない大きさに聞こえます。
イヤホンの音を大きくするよりも、好きな映画やドラマなどの何度も聞いているセリフのシーンを少し小さい音で聞くようにすると、雑音に紛れるセリフに気持ちが集中するので、ほかの音を頭から追い出す効果があります。
ただラジオなどでは、聞こえづらい声を一生懸命聞こうとして、目がさえてしまいますので、映画などのよく知っているシーンで、聞こえづらくても脳が補える程度が寝るためにもいいのです。
集合住宅で、隣の音や上の階の音が気になるという方が多いのも、ミソフォニアの可能性があります。重症となると、ほかの人には聞こえない音まで、幻聴のように聞こえ、本人は非常に不快になります。場合によっては刑事事件に発展することがあります。
以下は英語論文を機械翻訳しているため、若干日本語が分かりづらいですが、ご紹介いたします。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982216315305
ミソフォニア(Misophonia)の脳の基礎

ハイライト
•トリガー・サウンドは、ミソフォニアの前孤立部で誇張された反応を引き出す
•ミソフォニアでは、前部膵島(island of Reil):「大脳半球の外側溝の底にある大脳皮質の一部;自律機能,嗅覚きゅうかく,情動などをつかさどる.」の異常な機能的接続性がある
•自律神経反応の亢進は、ミソフォニアの前腸内括約筋によって媒介される
•ミソフォニアは相互作用の変化に関連している

概要
ミソフォニアは、他の人々が食べたり、飲んだり、噛んだり、呼吸したりするような日常的な音に反応して、強い負の感情(怒りと不安)を経験するという情動的な音声処理障害である[ 1-8 ]。これらの音の一般的な性質(しばしば「トリガー音」と呼ばれる)は、ミスフォニアを被害者およびその家族にとって壊滅的な障害にするが、根底にあるメカニズムについては何も知られていない。生理学的測定と連動した機能的および構造的MRIを用いて、ミオフォニック被験者は脳および身体において特定のトリガ音関連反応を示すことを示す。具体的には、fMRIは、発声された被験者において、トリガー音が、誇張された血液酸素レベル依存性(sensory processing)の知覚に重要な「顕著性(salience)」ネットワークの中枢である前部皮質皮質(anterior insular cortex :AIC)における応答(BOLD)ミオフォニックのトリガー音は、腹側前頭前野(vmPFC)、後頭皮質(PMC)、海馬および扁桃体を含む感情の処理および調節を担当する領域のネットワークと、AICとの間の異常な機能的接続と関連していた。トリガー・サウンドは、心拍数(HR)の上昇と皮膚反応(GSR)を測定した。アンケート分析によれば、ミオフォニックの被験者は、身体を異なる方法で知覚することができ、AICの異常な機能と一致して、対照よりも感覚的感受性が高いスコアを示した。最後に、脳構造測定は、ミオフォニック個人においてvmPFC内でより大きな髄鞘形成を示唆した。全体として、我々の結果は、misophoniaは、AICの異常な活性化および機能的接続性に基づいて異常な顕著性が特定の音に起因する障害であることを示している。

キーワード
ミソフォニア ;感情障害 ;fMRI ;機能的な接続性。自律的な応答 ;介入

結果と考察
fMRIデータは、20音色のミソフォンと22の年齢と性別が一致した対照群で取得され、トリガー音(食べること、呼吸する音などのミスフォニックな反応ではミソフォニックな反応を引き起こす)、不快な音両方のグループによって迷惑であると認識されるが、赤ちゃんの叫び声、悲鳴を上げる人物などのミスフォニック・ストレスを感じさせない)、中立的な音(例えば雨)を感じる。被験者は、それぞれの音を聞いた後、(1)どのように迷惑をかけるか(両方のグループ)、(2)効果的に典型的なミスフォニック反応(ミソフォニックグループのみ)を引き起こしたか、音が発生する環境にあること)、音は(制御グループのみ)であった。行動反応、電気的皮膚反応(GSR)および心拍数(HR)は、fMRIデータの取得中に取得された(パラダイム図の図1A 参照)。全脳構造のMRIデータは、髄鞘形成の含量、水分、および鉄分量を測定するためのマルチパラメータマップ(MPM)[ 9 ]として取得された。
図1。
実験的パラダイムと主観的評価
(A)fMRIパラダイム:音を15秒間提示する標準的なブロックデザインを使用した。すべての音の後、被験者は、(1)音がどのように迷惑であったか、および(2)音がミソフォニック反応(ミソフォニア群)を引き起こすか、または反社会的であるか(対照群)であった。fMRIデータは、繰り返し時間(TR)が3.12秒で連続的に取得された。GSRおよびHRも実験を通してモニターした。
(B)主観評価:(i)ミソフォニックグループによる3種類の音のミソフォニック遭難評価。(ii)音の反社会的評価(対照被験者)。(iii)両方のグループによる音の苛立ち評価。不快感のある被験者は、不快な音(p <0.001)および中立的な音(p <0.001)と比較して、より大きなミソフォニック反応を引き起こすとトリガー音を評価した。ミソフォニックの被験者による不快な音は、迷惑であると認識され(中性音と比較してp <0.001)、一般的な迷惑とミソフォニック反応との間の解離を実証した。体感に関する主観的スコアについては、図S4も参照のこと。データは平均(±SEM)として表す。

行動データ(図 1B)は、トリガーサウンドがミソフォニックの被験者においてミソフォニック苦痛を引き起こした一方、不愉快なサウンドは、迷惑ではあるものの、ミソフォニック反応をもたらさなかったことを示した。ミソフォニックグループによるトリガー音のミスフォニック苦悩評価と、対照グループによる不快音の苛酷度格付けとの間に差はなかった。しかし、2つのグループは音を評価しながら異なる主観的尺度を使用した可能性が高い。グループ(2つのレベル)と音のタイプ(3つのカテゴリ)を因子とする一般線形モデル(GLM)[ 10 ]を用いたfMRIデータのランダム効果分析は、前部皮質皮質(AIC)における相互作用を左右対称に示した(図 2A;さらに地域が表S1)。さらなる分析は、AICにおける相互作用がサウンドをトリガーに応答して対象を制御するために比べmisophonic被験者においてより大きな活性化によるものであったことが示された(参照、図2のB及び図S1を確認するためのプロット;参照S2図)。ミソフォニックとコントロールの被験者間の有意な活性化の差異は、不快な音や中立的な音には生じなかった。で確認プロットに示すように、左右のAICの両方における活性が、misophonicグループ内misophonic苦痛の主観的評価に伴って直線的に変化し、図2証拠のC. A大体[ 11]は、AICが怒りを含む感情に関連する主観的感情に関与することを示唆している。機能的には、AICは、顕著性ネットワーク〔のキーノードであることが知られている12 ]、検出および個人の行動関連性と意味のある刺激に向かって注意を向けるための固有の大規模な脳ネットワーク。AICの特有の活動亢進は、発声者がこれらの音に異常に高い顕著性を割り当てるという仮説を支持する。
図2  グループレベルのランダム効果GLMによるfMRIデータの解析
GLMは、グループ(2つのレベル)と音のタイプ(3つのレベル)を要因とする階乗的な設計としてモデル化されました。
(A)2つの因子(群および聴覚のタイプ)の間の重大な相互作用のために標準的なMNI-152テンプレート脳にオーバーレイされた統計的パラメータマップ(SPM)であり、p = 0.05家族全体の誤差(FWE) 。この効果はMNI座標(-41,6,0)で最大値を有するAIC(両側)において最大である。
(B)AICのクラスターで平均した活動の確認プロット(図S1およびS2および表S1も参照)は、対話効果が、対照と比較して、ミソフォニック対象におけるトリガー音の活動が高いことによって引き起こされたことを示している。
(C)ミソフォニック科目におけるミソフォニック・レーティングを用いたAICにおける活動の確認プロット。
(B)および(C)のデータは平均(±SEM)を示す。

ミソフォニック参加者のトリガー音を区別する重要な領域としてAICを特定したので、ミソフォニアに特有のネットワークレベルの変更があるかどうかを確認するために、刺激依存の接続プロファイルを探求しました。左AICをシード領域として使用して、2つの群における刺激依存性の接続性を分析した。腹側前頭前野(vmPFC)、後内皮層(PMC;後部帯状疱疹および後退性皮質)、海馬および扁桃体を含む脳領域のネットワークにおいて、ミソフォニック対象に対するAICのより大きな機能的連結性が観察された(図3A)。この増加した機能的な接続性は、トリガー音に特有のものであった。不快な音に関しては、接続性に大きな違いは見られなかった。重要なことに、同じ音に対する2つのグループ間の機能的接続パターンは、量的にも質的にも異なっていただけでなく、vmPFCへの接続性はミスフォニックの被験者における(ニュートラルな音の接続性に関して)音のセットは否定的です。右AICの機能的接続性の分析はまた、vmPFCおよびPMCに対するトリガー音に特異的な増加した結合性を示した(図S3A ;扁桃体および海馬への機能的連結も観察されたが、わずかに緩和した閾値であった)。vmPFCとPMCは、デフォルトモードネットワーク(DMN)[ 13 ](参照図S3被験者が内部向け思考および記憶の検索に従事しているときに活性化されるDMNとAICの機能的接続ネットワークとの間のオーバーラップのためにB)を、[ 14 ]及び非活性化されます注目は外部刺激に向けられています。AICとDMNのより大きな結合は、発声音を聞くとミソフォニックな被験者がAICをDMNから「解放」することができないことを示唆している。これは最近の研究[ 15多変量パターン分類を用いて、vmPFCおよびPMCにおける活性のパターンが、異なるタイプの感情を区別するのに最も有益であることを示した。AICとvmPFCとPMCとの間で、ミソフォニックと同じ音に対する制御が明確に異なることは、これらの領域が、2つのグループのトリガー音に対して異なる感情反応を起こす上で重要な役割を果たすことを示唆しています。したがって、この非定形的な機能的接続性は、AICの異常な活性化、およびミソフォニックグループによって音を誘発するように割り当てられた異常な顕著性の根底にある可能性がある。

図3  機能的接続性と構造データ解析

(A)左AICをシード領域とし、脳のすべてのボクセルに対する機能的連結性を分析した。この図は、ミソフォニックな被験者(コントロールと比較して)におけるトリガーサウンド(ニュートラルサウンドと比較して)のより大きな接続性を示す脳領域を示しています。閾値を超えて生存する4つの領域は、(1)PMC(後部帯状皮質[PCC] /プレグネナス)、(2)vmPFC、(3)海馬、および(4)扁桃体である。各地域の棒グラフは、中立的な音に関するトリガーと不快な音の接続性の確認プロットを示しています。表示された接続強度は、p <0.05でクラスター閾値に設定され、クラスター形成しきい値はp <0.001になります(図 A-3の右側のAICの機能接続性および接続ネットワークとデフォルトモードネットワークのオーバーラップ)。
(B)失調症の脳構造変化。ミソフォニック被験者は、vmPFCのコントロールと比較して、より高い髄鞘形成を反映するより高いMT飽和を示す。複数の比較のために補正した場合(発声するためにミソフォニックでより高い機能的結合性を示す脳領域、すなわち、(A)のシード領域AICとともに示される機能的ネットワーク)で補正した場合、15個のボクセルのvmPFCが最大値(-3、44、-2)は補正後も残る。図の表示目的のために、補正されていないp <0.001の閾値が使用される。pu、パーセント単位。
棒グラフのデータは平均(±SEM)を示す。

ミソフォニアの症状は人生の早い段階で開始する(発症年齢は約12歳であると早くも5年もすることができます意味[ので1 ])、我々はまた、対照と比較してミソフォニック被験者における脳の構造的な違いがあるだろうと予測しました。我々は、脳灰白質における髄鞘形成を反映する磁化転移(MT)飽和の全脳構造マップを作成した。有意性試験のために、私たちは、シード領域と共に対照と比較して、ミソフォニックにおけるAICとのより高い機能的結合性を示す脳領域への探索を制限した。構造地図の分析は、ミソフォニック対象がMT飽和を変化させたことを示し、これはvmPFCの灰白質における有意に高いミエリン化と一致する(図 3B)。この変化は、ミソフォニックの被験者で観察されたvmPFCへの変化した機能的接続のための可能な構造的基礎を示唆している。

脳の機能的および構造的変化を同定した後、我々は次に、脳における身体およびその駆動源の生理学的反応を決定した。我々はGSRとHRを測定し、被験者はMRIスキャナーで3セットの音を聞いた。トリガー音は、ミソフォニックな被験者において、対照被験者よりも大きなGSR応答およびHR応答を誘発した(図4A)。生理的反応は健全な呈示の持続期間を通じて持続し、不快なニュートラルな音のための2つのグループ間のGSR応答またはHR応答に差異がなく、音を誘発することに特有であった。私たちが観察したトリガー特有の自律神経反応の高まりは、トリガー音の環境から逃れる発声者の強い傾向と一致している[ 1] 。 2 ]逃げることができなければ強い不安と怒りを経験する(戦闘/飛行の応答)。


図4。脳領域による精神生理学的反応と仲介

(A)ミスフォニックおよびコントロール被験者のHRおよびGSR。ミスフォニックの被験者では、トリガー音がHRおよびGSRの持続的な増加をもたらす。GSRおよびHRの統計分析は、fMRI分析と同様に、2×3のANOVAを用いて時々実行された。HR時系列では、因子間の相互作用は、発症後2.4〜10.4秒、その後12.4〜17秒に有意であった。GSRの時系列では、発症後7〜21.4秒の有意な相互作用が観察された(GSRとHRが有意に異なる時点をパネル間に黒色の水平バーで示す)。HRおよびGSR時系列の両方は、p <0.05でクラスター閾値を有し、クラスター形成閾値はp <0.05であった。ポストホック比較は、HRとGSRの両方における相互作用効果が、ミソフォニックな被験者のトリガー音に対するより高い応答によって引き起こされることを示した。2つのグループの間には、不快でニュートラルな音に対する反応に違いはなかった。bpm、1分あたりのビート。

(B)調音分析は、発声音を発するために、対照と比較して、発声された被験者においてどの脳領域がHRおよびGSRの増加を仲介するかを決定する。入力Xはカテゴリーベクトル(ミオフォニックの場合は+1、コントロールの場合は-1)であり、応答ベクトルYはHR / GSRの平均的な増加を含んでいる(ニュートラルサウンドと比較して)全脳の一段階仲介分析が使用された)を各被験者のトリガー音のトライアルで聴く。仲介変数Mは、中立的な音と比較されるトリガー音のベータ値(SPMを使用して決定される)です。(i)左AICはGSRの変化を媒介する。(ii)AICのクラスターを平均した2つのグループのGSRのメディエーション強度の確認プロット。(iii)AICは、ミオフォニクスにおける高められたHRを仲介する。(iv)AICのクラスターを平均した、2つのグループのHRの調停強度の確認プロット。

データは平均(±SEM; Aの陰影区域およびBのエラーバー)として表される。

ミソフォニアにおけるこれらの自律神経反応の脳の原因は何ですか?これに答えるために、我々は、変数X(グループメンバーシップ、すなわちミソフォニックまたはコントロール)からY(GSRまたはHR)への関係が第3の変数によって説明(媒介)できるかどうかをテストすることを目的とする仲介分析[ 16 ] M(脳活性化)。重大な仲介は、グループメンバーシップ(X)によって説明される以上に、観察されるGSR / HR(Y)を仲介することができるY(XからMからY)への間接的経路があり、 。我々はGSRとHRのために全脳仲介分析を別々に実施した。本発明者らは、AICにおける活性が、ミソフォニック対象におけるGSRおよびHRの上昇(図 4B)の両方を媒介することを見出した。

過去10年間で、インタオプション(内部身体状態の認識)が刺激に関連する感情の顕著さと経験に影響を与える可能性があるという認識が高まっている[ 17-20 ]。興味深いことに、AICは身体からの内臓の内臓入力を外部の感覚入力と統合する重要な脳構造である。これに伴い、AICの非定型的な介入と活性化は、多くの社会的情動障害の根底にあることが示されている[ 21,22 ]。最近、インターレセプションのモデルとして、予測に基づく階層的ベイズ推定を拡張への関心が高まってきた、19 23]。このモデルでは、インタセプトには、ボトムアップのインターセプト信号とその原因の事前の信念(予測)を組み合わせることで、インターセプト信号の原因を推測することが含まれます。このマルチレベルで階層的に構成された推論スキームでは、AICは階層の最上位にあり、身体の全体的な状態を推測することが示唆されている[ 24 ]。身体意識アンケート[ 25 ]を用いた身体知覚に関する主観的信念の評価は、ミソフォニクスが、ミソフォニックにおける変化した知覚感受性と互換性のある内部感覚(図S4)のより大きな意識を報告することを示した[ 22 ]。身体状態を表すAICの役割を考えると、アンケートデータはまた、ミソフォニアにおける異常なAIC機能と一致している。

結論
全体的に、我々のデータは、ミソフォニックの場合、トリガー音がAICの活動亢進およびこの領域の内側前面、内側頭頂および側頭領域との異常な機能的連結を引き起こすことを示している。AICとの異常な機能的接続性を示す内側前頭皮質における異常髄鞘形成が存在すること; 異常な神経応答が、ミソフォニック体験に伴う感情的な発色および生理的な覚醒を媒介することを示唆している。一緒になって、私たちのデータは、内的身体状態の非定型的な知覚と相まって、それ以外の無害な音に起因する異常な顕著性は、ミソフォニアの根底にあることを示唆している。利用可能なデータでは、ミソフォニアが非定型的な相互受話の原因であるのかそれとも結果であるのかを判断することは不可能であり、両者の関係を描写するためにさらなる作業が必要である。

ミソフォニアは、障害の神経学的または精神医学的分類を特徴としない。被害者は、これが引き起こす恐れの恐怖のためにそれを報告せず、医師は一般にその障害に気づいていない。この研究は、この悪性疾患を分類し治療するための継続的な努力を導く、行動、自律神経反応、および脳活動および構造の変化に基づく明確な表現型を定義する。

著者寄稿
SK、OT-H。、WS、JSW、およびTDGは実験を設計した。SKおよびOT-H。データを収集した。SKは、WS、JSW、MFC、TDGの助けを借りてデータを分析しました。SK、OT-H、WS、JSW、MFC、MA、TEC、PEG、D.-EB、およびTDGはこの論文を書いた。TDGは作業の全側面を監督しました。

謝辞
TDGは、このプロジェクトの財政的支援のためにウェルカム・トラストに感謝したい(付与WT091681MAおよびWT106964)。JSWは、MB / PhD卒業生のためのウェルカム・トラスト・ポスドク研修フェローシップ(グラント095939)を保持しています。ウェルカム・トラスト・センターは、ウェルカム・トラスト(助成金091593)からのコア・ファンドにより支援されています。この調査はUCL倫理委員会によって承認された

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(論文)補完代替医療としての笑い

NHK朝ドラの「わろてんか」がもうすぐ終わります。
お話は笑いで人々を幸せにするという吉本興業の創設者の話ですが、昔から笑いには健康効果がある事は言われてきています。
笑うから健康なのか、不健康な人は笑いが減るからそう感じるのか、意外と真面目な学会論文がなかったこの効果に関して、論文がありましたので、紹介いたします。

先日のブログでも少し書きましたが、睡眠は、脳の排泄機能ではないかという考え方。
不眠症は言ってみれば脳の便秘だということですね。
出したいのに出ない便秘の苦しさと、眠いのに眠れない不眠の苦しさは確かに似ている気がします。
便秘の解消には水溶性食物繊維を取るとか、腸内フローラを整えるとかいろいろと解消方法が言われますが、脳にとっての食物繊維って何だろうと考えると、幸福ホルモンといわれるセロトニン分泌を促すこと。セロトニンを増やす方法について笑いが有効というところに目を向けてみました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/4/2/4_2_51/_pdf

日本補完代替医療学会誌 第 4 巻 第 2 号 2007 年 6月:51–57
【総 説】

補完代替医療としての笑い
The Laughter Therapy
高 柳 和 江*
Kazue TAKAYANAGI*
日本医科大学医療管理学教室

【要 旨】
医学文献では笑いについての科学的研究が少ないが, 人間のコミュニケーションには大切である.補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くするが,ブラックユーモアな どは,時に鬱の患者さんに,反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療での笑いとはこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供し笑いをひきだすことで精神的・身体的効果を得ることにある.
I.総説で笑いの中枢と回路,笑いと表情,笑いによるからだの動き,笑いの発達段階などを俯瞰した後,II.具体的な補完代替医療として,病気の軽快を目的とした試みや方法を述べ,III.現場での取り組みとして,著者が行っている笑い療法士について紹介する.
【キーワード】
笑い,NK細胞,幸せ感,笑い療法士,パッチ・アダムス,癒しの環境研究会
I. 笑いについての総説

補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.笑いの効果における科学についての論文は少ないが,笑いは昔から百薬の長とされ,笑い関連の話題も多い.医学領域以外の笑いについて総説的に記述し,具体的な笑いの補完代替医療の医学的側面,および現状などについて,論述してみたい.
補完代替医療における笑いとは,自己治癒力を高める 療法である.

1. 笑いの中枢と回路
笑いをつかさどる中枢には大脳新皮質,辺縁系,視床 下部の 3 つがある(図 1).

笑いの回路には二つの独立したものが存在する.先天的で情動的な笑いを担う回路では,古い脳である前帯状回と扁桃体が中心的役割を果たす.後天的で認知的な笑いを担う回路では,意志の中枢である大脳皮質の前頭前野が指令を発し,緊張緩和としての笑いになる.笑いの出力回路は,最終的に脳幹に至るが,その途中で,小脳が介在して,笑い発現を状況にあわせて微調整している.

2. 笑いと表情
母親の表情が複雑で豊かなほうが,6 か月以降の乳児の笑顔の発達は,良い反応が出てよい笑顔に育つ1).一般に,ほとんどのポジティブな表情はシンメトリーに右左両方の顔にあらわれる.顔の対称性と利き腕の機能とは関係ないというが,人間は顔の片側だけで表情を表すことができる2).ポジティブな表情を片側だけに表すのは男性のみであるが,ネガティブの表情は男女関係なく,左側であらわされる2).
口の一端だけが笑い,あとの顔の部分が笑っていないものを引きつり笑いという.また,口角下制筋と口輪筋をつかって,口角を上げるときに,唇の真ん中だけをと がらせるという高等テクニックができる.これは,ゆがんだお世辞信号の一つである固い笑いだ3).以下に笑いと関係する表情筋をあげる.
1)大頬骨筋
この筋肉が収縮すると口角を斜め上外側に引き上げ,笑い顔に特有な口の形を作る.口輪筋が哺乳の際乳首を吸いつく働きをするが,そのあとで,乳汁を吸い取るときに大頬骨筋が働く.
2)眼輪筋
目を閉じる内側の筋肉と眼裂を細くし,目じりにしわを寄せる外側の筋肉があり,快や緊張緩和のときに働く.
3)皺眉筋
鼻の付け根から両側にやや上向きに走り,眉間のたて皺を作る.目の上のひさしで,まぶしさをさえぎるのが本来の役目だが,眼の笑いを抑制して,苦笑いなどのメッセージ性を加える.
4)口角下制筋
口の笑いを抑制する.
5)口輪筋
口をすぼめて前に突き出す.
6)眼球
人間は他の霊長類と異なって,白眼という特殊な顔面要素がある.つまり,視線,特に,一瞥をしっかり見立たせる笑いの強調の役目をする4).凝視には,視線を外すものと,視線を向けるもの二つがある.視線を向けるのは,愛,敵意,恐れという積極的な感情を示し,視線をそらすのは,恥じらい,さりげなく示す高慢さ,しおらしい服従を示す4).

3. 笑いによるからだの動き
人間は,非日常を感じると,驚きという反応をする.肩をあげ,深く息を吸い,腹筋を動かし胸を張り腰をそらすという全身運動を行う.この全身を大きく見せて,口を大きく開けるという態勢は,威嚇の動作にもつながる.愛と敵意は相反する感情であるが,笑いも威嚇と同じ行動を示す.
この後で,安心した時は,腰を曲げて,全身で息を吐き,笑いになる.安心できなかったときに怒りになる.笑いと怒りは表裏一体である.精神障害者に正面を向いて凝視すると敵意と受け取られる可能性がある.
笑うと頬の表情筋が頻繁に動き,顔面静脈が伸縮し, 脳から心臓へ戻る血流が増加する.笑っている時は激しく横隔膜を上下させるため腹筋が運動し,全身運動になる.
脳が興奮し酸素を消費すると,脳細胞への酸素の供給量が不足し,脳の働きが低下する.そこで笑いによって新鮮な血液を脳へ送る.脳細胞へ栄養供給が増え,情動をつかさどる右脳が笑いで活性化され,ストレスで左脳を使う人にとって,リラックス効果があると考えられる.
笑った後は,集中しやすく記憶力もアップできる.怒りや恐怖を感じたときなどの異常な事態の時に交感神経は優位になり,その状態が長く続くとストレスの原因になる.コルチゾールが高まり,免疫力が低下する.血圧も高くなる.
脇を触られるくすぐり笑いは脇の内側にある心臓,肺などの内臓を守るために,筋肉が緊張する.この時,全身の筋肉に力が入り緊張する.脇を触られると心拍数が上昇し急激にストレス状態になり,ストレスを和らげようと笑いが起こると考えられている.これをくすぐり笑いといい,酸素摂取量は,有酸素運動並みに多い.
1)副腎ホルモンが変化
笑いにより酸素が増えるとコルチゾールの分泌が減り,ストレスが鎮まる.単純笑いよりもゲームによる積極的な笑いのほうが効果が大きい5).
2)セロトニン神経の活性化
脳幹の縫線核から出た神経からセロトニンという神経伝達物質が放出される.人間の攻撃性と関連があり元気になる.これは覚醒時に持続的な放出があり,睡眠時に発射が抑制される6).呼吸,咀嚼,歩行などのリズム運動を行うことによっても,放出が増強される.不足状態では,うつ病,パニック障害,摂食障害になるなど,心の疾患と密接な関係がある.
3)副交感神経優位
笑いで副交感神経優位になると,安らぎ・安心感を感じた状態になりストレスが解消される7).
4)血糖値が下がる
血糖値はストレスによって上昇するが,笑いには,インシュリンを分泌する遺伝子作用に働いて,血糖を正常化させる作用もある8).
5)脳内麻薬物質の放出
笑いによって自然な幸福を感じさせる化学物質脳内モルヒネであるエンドルフィンやドーパミンを血液中に大量に分泌させる9).
6)免疫能が高まる
自律神経の頻繁な切り替えによる脳への刺激により,神経ペプチド(免疫機能活性化ホルモン)が全身に分泌される.NK 細胞には神経ペプチドの受容体があり,NK細胞は活性化される10).
著者の実験では,高圧酸素室にいれた大学生 10 人と笑いのビデオを見た大学生 10 人を比較すると,前者(コントロール群)はうつ傾向,緊張,疲労,混乱,が高まり11),活動性は落ちた.お墓に入ったみたいな長い時間だった,二度といやだという感想であった.後者は(笑い群)は心理テストもまったく逆の結果である.おわったの?もう一回?いいよと,あっけらかんとしていた.後者の NK細胞活性は有意に高まっていた(図 2).

4. 笑いの発達段階
1)自然微笑
新生児微笑は産まれたばかりの赤ん坊が眠っている間に微笑する現象で本能的なものである.親子のコミュニケーションを活性化する.赤ん坊の姿とそれを好ましく思う親の認知特性,つまり親に奉仕させ子どもの生存率を高める行動は Care Eliciting Behavior のひとつである.自然の生き残り戦略の上で,遺伝子に組み込まれた仕組みらしい.3 カ月で消失するが,6 カ月まで,565 回の自然微笑と 15 回の声出し笑いが観察された例もある12).
2)受動的笑い
自発的に起こる自然なもので嬉しさの表現である.親の顔の視覚情報が脳の情動中枢である大脳辺縁系に到達し,続いて,大脳基底核に中継される.大脳基底核は脳の高次の皮質とそれよりも進化的に古い視床との間に位置するいくつかのニューロン集団である.この基底核が自然な微笑を生み出すのに必要な顔面筋の一連の活動をまとめる.この事象のカスケードはいったん作動すると瞬く間に完了し,思考をつかさどる皮質が関与する余地は無い.
人の脳には相手の感情を読み取るミラーニューロンがある.これが働くと,つられ笑いが起こる.共感するミラーニューロンである.脳の前頭葉にある神経細胞は,人の表情,声から感情を読み取り,同じ感情になるよう命令を出している.つられ笑いやもらい泣きが起こる.
親の微笑みかけという介入で,微笑み返す.親が使う赤ちゃん言葉は親にとっては退行現象であるが,こどもは言葉を聞き取る能力を発揮する.3 ヶ月を過ぎると,おいしい食事にありついたとほっとしたとき,おもわずこぼれる微笑なども受動的な笑いだ.快の笑いとも言う13).
ただし,笑顔を見ても,笑いを拒否する行動をとる時もある.大人は目をそらすか,敵意の目線を返す.親が笑いながら目をみつめても,機嫌が悪い乳児は意図的に首を曲げて目をそらす.本人はミルクがのみたいとか抱いてくれとか,問題が解決されるまでは,笑いたくないという意思を示す.
3)能動的笑い
笑おうとする意思があって,積極的に介入を取り入れる笑いである.漫画,落語,映画,本など,能動的に笑えるもので,意思の力が入る.社交上の笑い,前頭葉の笑い,さらに,達成感のある霊的な笑いをも含む11,13).
4)信号としての笑い
①笑いの発現時間,持続時間
笑いで顔の表情がかわるスピード,笑いの発現時間は,本人が感覚を探す能力に反映しており,また,個人的なスタイルと関係する1).典型的な笑いは,十分な強さがあり,消えるまでに時間がかかる.ちらっと浮かび,すぐに別の無表情な顔に変わり,笑いが直ちに消える断片的笑いもある.セロトニンをだす機能とも関係するらしい.
②信号としての強さ
ぎこちない,またはあいまいな表情は不足信号としての笑いである.
③作り笑い
人間は完全な作り笑いをすることができる.舞台俳優は,笑いと言う信号を強調して 30 メートル以上離れたところに,伝えるという不自然な課題をこなすことができる.
5)病的な笑い
笑うべき刺激でない時に,笑い発作がおこるコントロールできない笑いと,脅迫笑いという病的なものがある14).小脳と橋核の笑いの中枢の異常と,笑いの出力を調節する神経回路に異常がある 2 つの場合がある.

II. 具体的な補完代替医療
1. 病気
アメリカのノーマン・カズンズは,強直性脊椎炎にかかったが「笑い療法」とビタミン C の大量投与を行い,1 週間ほどで症状が改善し始め,半年でもとの編集長職に復帰した15).
1)病気の軽快,治癒
笑いが,がん,心筋梗塞,アトピー,リウマチなどの膠原病等にも好影響を及ぼしていることが報告されてい る.リウマチ患者に落語を聞かせると,リウマチ悪化因子が減り,関節の痛みも和らいだ7).ノーマン・カズンズも 10 分間腹を抱えて笑うと,少なくとも 2 時間は痛みを感じずに眠れたという15).
悪性腫瘍の自然治癒は,神経芽細胞腫で有名であるが,笑いや前向きな生き方で消化器がん,悪性リンパ腫での自然治癒もまれに報告されている.
2)苦痛の軽減
妊娠,出産,出産後の親のケアなど,抗がん剤治療でも緩和ケアでも医療に笑いとユーモアが有効である16–19).ユーモアは患者の痛みをとり,医療者の人間的なところを見せ,すべての人の協力をもたらす.患者がユーモアを使うと医師との診察が軽い気持ちになり,医療者が使うと,日常が楽しくなる20).
3)幸せ感
パッチ・アダムスは認知症で怒り顔の人も,アルツハイマーで能面の顔をした人でも笑いで笑顔に変えた(図3)21).
教育の分野においては,ユーモアをより多く用いる人と創造的思考の間には統計的に有意で正の相関関係がある2).前向き思考と幸福感を授業の前後に考えさせる教育をおこなったイタリア人の思春期の子供では,適応が良く自己効力感が高まった22).
ビジネスの分野でも笑いのストレス管理で従業員の血圧が下がり,パフォーマンスに好影響を与えているとの報告がある23,24).
身体的健康とユーモアとは関係がある25).健康とユーモアのセンスの関係を図るには,もっと研究が必要である.
2. 方法
1)受動的
①お笑いの本,小説,マンガ,映画
自分は笑えるといういくつかの本や映画を見つけておく.または,お笑い芸人の芸をみる.
②環境
患者がかるい気持ちになる面白い小説,本,DVD,映画を満載してある笑い車を病院ロビーに置くことは簡単である20).ま た,マサチューセッツ総合病院の The Kenneth B. Schwartz Center では患者に希望を与え,介護者をサポートして,癒しのプロセスを助けるところとして寄付され,回診では患者の精神的な問題もとりあげる26).
2)能動的
①積極的に笑い顔をして笑い声を出す.
笑顔を無理にでも作り,笑い声を出す.俳優は劇の中で笑うことができる.このときに,セロトニンが増える.
②肉体運動
運動やゲームなどは肉体的な達成感も伴い,笑える5). くすぐりと,全身笑いに移行して肉体運動にもなり,セロトニンも高まり,副交感神経優位になるなど身体的な変化が起こる.
③笑いを創り出す
窮地に立ったときこそ,自分から周囲に笑いを呼び込むことができる.笑いのネタ本で本当に笑えるのは,3分の 1 もない3).相手を錯覚させる方法,同じ内容の順番を変えるだけで悲劇を喜劇にする方法,マクロとミクロを反転させる方法など,思いがけないオチをつけるテクニックがある3).ただし,笑いならなんでもいいわけではない.患者さんや病気のこと,個人攻撃,自虐ネタなどは痛みを増やす笑いである27).
④達成感
目標を決め,努力して達成感が得られたら,笑える.スポーツ選手の笑いや選挙当選者の笑いでよく遭遇する小さな目標から大目標まで,いろいろ決めておくとよい.

III. 現場での取り組み
1. 笑い療法士
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療ではこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供する笑える環境というのが必要だ.私は癒しの環境として五つの項目をあげている27).「安全」「リラックス」「(医療の)質 がよいこと」「元気になること」,および「生きがい」がそれであるが,これは笑いでも同じことである.人間としての権利が守られていることを実感して,安全だと感じることではじめて人は笑える.ほっとしてほほえみ,だんだん,げらげら笑って,元気になっていくことができる.
筆者が代表世話人を勤める癒しの環境研究会では笑い療法士評価認定委員会(委員長:中島英雄・中央群馬脳神経外科病院理事長・噺家桂前治)を立ち上げ笑い療法士を育てている28).「笑い療法士」とは,笑いをもって患者の自己治癒力を高めることをサポートする人のことである.患者さんに,よりそい,心をひらいて笑いを感染させるのが笑い療法士である.笑いは,人が幸せに生きることを支え,また病気の予防にもつながっていく.そうした笑いをひきだすのが「笑い療法士」だ.健康な人,笑いたい人が笑おうと待ち構えているところで笑わせる「お笑い」とは違う.したがって,笑い療法士は場所を選ばず,とくにグッズやパフォーマンスを必要としない.医療・福祉関係者のほか,患者さん,家族や一般の方などで「その人がいるだけで空気が変わる,社会が楽しくなる人」も対象である.人間の心をしっかり持っている人,そして患者さんに寄り添える人,というのが笑い療法士の条件である.応募者が多く,候補者になるには書類審査で 9.3 倍の狭き門である.候補者は患者心理学や脳の解剖,笑いの医学的基礎や患者心理など 2 日間にわたるトレーニングと講習を受け,その後のフォローアップと呼ばれる約 2–3 か月の実績を見て 3 級に認定した(図 4).
「療法士」というタイトルを認定するという 社会的責任から水準を高めるための継続研修も行っている.この笑い療法士は社会の広い層から大きな反響を呼び,新聞にも大きく報道され,取材も殺到した.
2005 年 10 月 23 日から,2007 年 2 月まで第 3 回の認定を行い,209 人の笑い療法士が誕生した.認定された人の職業は医師 26 名,看護師 43 名,医療福祉 30 名,コ・メディカル 16 名,一般人 95 名である.病院理事長,大学教授,お坊さん,落語家から全くの市井の人,患者さんなどのさまざまな職種がいる.年齢も 19 歳から 84 歳まで広がっている.
笑い療法士 3 級の有効期間は 3 年間で,その間の活動ぶりを評価して,その結果に応じて更新が行なわれる.今後は豊富な経験と実績が必要とされる 2 級笑い療法士,患者から呼ばれてプロとしてお金を払ってもらえる笑い療法士 1 級の認定になる.認定を受けた人は,笑い療法士の名称を用いて,さらにまわりの人々に笑いを広 げる.医療や福祉の現場に「自己治癒力を高める笑い」を広げるムーブメントを起こし,その中心人物として活躍することが求められる.
笑い療法士とは,「患者を尊敬し,患者の心に寄り添って,笑いを感染させる人々」である.医師でも患者さんでも笑い療法士は,常に笑い療法士の状態であり,今から笑い療法をします,というものでもない.患者さんがよくなることで生きがいにもなっている.癒しの環境研究会では今後,「1 日 5 回笑って,1 日 5 回感動する」というテーマを掲げて笑い療法士の周知や地位向上をさらに進めていく予定である.
2. ホスピタルクラウン
欧米ではホスピタルクラウンといって,一般人がボランティアでクラウンの格好をして患者を元気にするシステムがある29).英国では医師がクラウンの格好をするドクタークラウンもいる30).米国では,ドクタークラウンとしてパッチ・アダムスが有名で映画で日本でもおなじみである31).日本でも,ホスピタルクラウンのボランティアをする団体がいくつか出てきた.主に子供たちに元気を与える試みがなされている.
3. 笑い療法の効果
がん患者で笑い療法士になった人は,普段は,包丁で刺されるみたいな痛みが笑いでまったく痛くなかった.終わってから,痛みが戻ってきたという.腫瘍マーカーが笑いで下がったと報告してきた人もいる.
88 歳の A 子さんは,大学病院の結果は胃体中部小弯側に 3 cm 大の 2 型(限局性潰瘍形成型)分化型腺癌で SS層まで達しており進行胃癌と診断されたが,本人の手術拒否で,経過観察をした.笑い療法士の開業医が顔面表情筋の体操,彼女の目を見ての傾聴,毎回だじゃれ等を中心とした話題,日々感動してもらうなどをしたところ,1 年 7 ヵ月後食欲も貧血も改善傾向となり,内視鏡検査を行なったところ,萎縮性胃炎に変化していたという.

まとめ
ユーモアや笑いはその場の空気を変える道具として使える.ユーモアは患者と医療提供者の両方にとって孤独を和らげる.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くする.ブラックユーモアなど時に反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.医学文献では笑いについての研究がほとんどない.医師の診察や看護師の経験を通して,ユーモアの役割をレビューすべきである.人間のコミュニケーションにはユーモアや笑いは大切であり,医療者は日常にもっと用いるべきである20).
笑い療法士が国家資格に認定され,日本中で 100 人に1 人が笑い療法士になると,日本の国も明るくなることだろう.
青森県では,青い森笑いプロジェクトも 2007 年からスタートした.いじめ,虐待,自殺防止のために,県民 2万人にほほえみをする人々を養成するプロジェクトだ.国の科学研究費で「エビデンスのある患者自己治癒力向上―量的(HSP 免疫など)と質的評価を指標として」というタイトルで筆者の笑いの研究が認められた.笑いに科学の光がはいるとともに,全国の医療現場や家庭で本当の笑いのムーブメントが広がることを願っている.

参 考 文 献
1) Mergl R, Vogel M, Prassl A, et al. Facial expressions and person- ality: a kinematical investigation during an emotion induction experiment. Neuropsychobiology 2006; 54(2): 114–119.
2) Borod JC, Koff E, White B. Facial asymmetry in posed and spontaneous expressions of emotion. Brain Cogn 1983; 2(2): 165– 175.
3) 米原万里.必笑小咄のテクニック.東京集英社.東京.2005.
4) モリス,デズモンド・モリス.藤田 統訳.マンウオッチング.東京小学館文庫.2007: 135–146.
5) 高柳和江,木村哲彦.単純な笑いとバーチャルリアリティ (VR) ゲームによる笑いにおける心理および免疫効果.日本 公衆衛生学会誌.2001; 60: 719.
6) Scoppetta M, Di Gennaro G, Scoppetta C. Selective serotonine reuptake inhibitors prevents emotional lability in healthy subjects. Eur Rev Med Pharmacol Sci 2005; 9(6): 343–348.
7) 吉野槇一.笑いの治癒力―脳内リセット理論に基づいて―臨床精神医学.2003; 32(8): 953–957.
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9) Bennett MP, Lengacher CA. Humor and laughter may influence health. I. History and background. Evid Based Complement
Alternat Med 2006; 3(1): 61–63.
10) 伊丹仁朗,昇 幹夫,手嶋秀毅.笑いと免疫能.心身医学.1994; 34(7): 565–571.
11) 高柳和江.閉鎖医療環境における笑いの免疫能向上.癒しの環境.2001; 6: 13–15.
12) Kawakami K, Takai-Kawakami K, Tomonaga M, et al. Spontane- ous smile and spontaneous laugh: an intensive longitudinal case study. Infant Behav Dev 2007; 30(1): 146–152.
13) 志水 彰,角辻 豊,中村 真.人はなぜ笑うのか,笑いの精神生理学.ブルーバックス.東京.1994.
14) Gauldin D. Humor doulas. J Perinat Educ 2000; 9(2): 52.
15) ノーマン・カズンズ.松田 銑訳.死の淵からの生還―現代医療の見失っているもの.講談社.東京.1981.
16) Borod M. SMILES—toward a better laughter life: a model for introducing humor in the palliative care setting. J Cancer Educ 2006; 21(1): 30–34.
17) Auret K, Pickstock S. Pain management in palliative care—anupdate. Aust Fam Physician 2006; 35(10): 762–765.
18) Audette IM. The use of humor in intravenous nursing. J IntravenNurs 1994; 17(1): 25–27.
19) Bennett MP, Lengacher CA. Humor and laughter may influence health. I. History and background. Evid Based Complement Alter- nat Med 2006; 3(1): 61–63.
20) Erdman L. Laughter therapy for patients with cancer. Oncol NursForum 1991; 18(8): 1359–1363.
21) パッチ・アダムス,高柳和江.パッチ・アダムス いま,みんなに伝えたいこと―愛と笑いと癒し.主婦の友社.東 京.2002.
22) Caprara GV, Steca P, Gerbino M, et al. Looking for adolescents’ well-being: self-efficacy beliefs as determinants of positive think- ing and happiness. Epidemiol Psichiatr Soc 2006; 15(1): 30–43.
23) McCraty R, Atkinson M, Tomasino D. Impact of a workplace stress reduction program on blood pressure and emotional health in hypertensive employees. J Altern Complement Med 2003; 9(3): 355–369.
24) Beckman H, Regier N, Young J. Effect of workplace laughter groups on personal efficacy beliefs. J Prim Prev. 2007; 28(2): 167– 182.
25) Bennett MP, Lengacher C. Humor and Laughter May Influence Health: II. Complementary Therapies and Humor in a Clinical Population. Evid Based Complement Alternat Med 2006; 3(2): 187–190.
26) Penson RT, Partridge RA, Rudd P, et al. Laughter: the best medi-cine? Oncologist 2005; 10(8): 651–660.
27) 癒しの環境研究会編著,高柳和江監修.生きる喜び☆アゲ イン―癒しの環境で目覚める生命のネットワーク.医歯薬 出版.東京.2007.
28) 高柳和江.笑い療法士ご報告.癒しの環境研究会雑誌.2007;12(1): 55–62.
29) Rhodes B. Send in the clowns. Nurs Manag (Harrow). 2005; 12(6):13.
30) Vagnoli L, Caprilli S, Robiglio A, et al. Clown doctors as a treatment for preoperative anxiety in children: a randomized, pro-spective study. Pediatrics 2005; 116(4): e563–567.
31) McDonald M. Dr. Patch—a clown doctor, hailed by Hollywood,dreams of giving free medical care to children. US News World Rep. 1998; 14: 125(23): 56–59.

ABSTRACT
The Laughter Therapy
Kazue TAKAYANAGI
The Department of Health Policy and Management at Nippon Medical School
There are few scientific papers about the effectiveness of the laughter of the patients, even laughter is essential to human com- munication. Cultural values of people acknowledge laughter as good medicine, although the black humor is sometimes risky strat- egy for the depressed patient. The most patient has his own serious problem which prevent him to laugh. Laughter in complementary and alternative medicine means to offer the atmosphere and environment where depressed patient can be educated smile and laugher to improve psycho-physiological status.
Current review of laughter was done and grouped into three main themes: (1) medical aspect of laughter, (2) laughter as one of the alternative medicine, which relieve stress, care and heal the patient and (3) the laughing therapist who enhancing laughing to the patients suffered from mental status. There are some supported paper of a connection between sense of humor and self- reported physical health. More research is required to determine interrelationships between sense of humor and well-being. This study contribute the value and significance of laughter to support people in their learning journey.
Key words: Laughter, therapist, healing environment

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(paper)睡眠と認知症

武蔵一宮氷川神社第2の鳥居に看板が出ていました。
左下の「さんきゅう参道」に参加します。昨年はベッドを持ち込みSleepLaboも設置したのですが、今年はそこまでできません。いびきの基本的な仕組みを含めての対策を説明したいと思っています。ちなみに先日のTBSの番組「この差って何ですか?」の中でもいびきや無呼吸症候群の原因として舌の落ち込みを放送していました。これ自体が間違っているのですが、医学界では常識であり疑いが無いこととなっています。重力で舌が落ち込みいびきが出るとか、詰まって呼吸が止まるなどありえません。宇宙ステーションの中で寝ている人もいびきをかきますが、それを知らない人が勝手に宇宙飛行士はいびきをかかないなど平気で言います。

「睡眠の質の低さと認知症の関係」
睡眠中に無呼吸発作が起こる睡眠時無呼吸症候群と、高齢期の認知機能障害との関連についての報告をご紹介致します。
※睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome, SAS)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患です。10秒以上呼吸が止まる状態が1時間に5回以上起こると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。15回までが軽度、30回までが中程度、30回以上あると重症とされています。

研究者らは、睡眠が認知機能障害に関係するか(影響を及ぼすか)を調査するため、65歳超のスイス住民計580例を対象に、主観的・客観的な睡眠特性を検討するコホート研究を実施しました。
※コホート研究とは、ある因子の有無について患者を追跡調査し、ある疾患の発生について関連しているかどうかを調べる分析手法です。

主観的な睡眠特性については、エプワース眠気尺度(ESS)を用いて眠気を評価し、ベルリン質問票を用いて睡眠時無呼吸リスクを評価しています。また、包括的ポリソムノグラフィーと全面的な神経心理学的検査を実施し、認知機能については、臨床的認知症尺度(CDR)スコア0を正常とし、0.5以上の場合認知機能障害と定義して判定しています。

睡眠の問題を評価する必要性

調査結果としては、認知機能障害群では認知機能正常群よりもESSスコアが高値でしたが、両群ともスコアは正常範囲内(10未満)でした。睡眠時無呼吸は、認知機能正常群の25.1%に認められたのに対し、認知機能障害群では34%に認められました(p=0.019)。すなわち、認知機能障害群の方が、認知機能正常群よりも、睡眠時無呼吸の頻度が10%程度高い結果となりました。

また、ポリソムノグラフィーの測定値から次のようなことが判明しました。

認知機能障害群では認知機能正常群よりも、
・睡眠の浅い時間が長くて、睡眠の深い時間が短い。
・REM睡眠時間が短くて、睡眠効率が悪い。
・酸素飽和度低下指数(ODI)が高く、酸素飽和度最低値が低い。ただし、酸素飽和度平均値は低くない。
・無呼吸低呼吸指数(AHI)の平均は、認知機能障害群では中等度(18.0回/時間;範囲 7.8~35.5)、認知機能が正常な参加者では軽度(12.9回/時間;範囲 7.2~24.5)。
・年齢、性別、BMI、飲酒/喫煙、向精神薬の使用、学歴および併存疾患について補正後、依然として認知機能障害との関連が認められたのは、AHIとODIのみ。
・認知機能のスコアが悪いほど、睡眠時無呼吸の重症度が上昇

睡眠時無呼吸症候群は動脈硬化と関連がありますので、単にそうした要素によって認知機能障害が出てきているという可能性は考えられますが、夜間の間欠的低酸素症(ODI高値から示唆される)が認知機能障害の一因となっている可能性はあるということが分かります。この調査結果から、認知症の症状のある患者を対象に睡眠の問題を評価することの必要性が示唆されたと言えるでしょう。

※エスワープ眠気尺度(ESS)問診票とは、
日中の眠気の度合を評価するものです。最近の生活のなかで、「座って読書中」「テレビをみているとき」「自動車を運転中に信号や交通渋滞などにより数分間止まった時」などのシチュエーションで眠ってしまうことがあるかどうかについて答え、合計点によって重症度を判断するものです。

※睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG)とは、
睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害を正確に診断するための検査です。脳波、呼吸運動、心電図、いびき音、体の酸素飽和度などのセンサーをとりつけ、一晩中連続して記録する検査です。

ご紹介した論文
Sleep characteristics and cognitive impairment in the general population: The HypnoLaus study.
Neurology 2917 Jan 31; 88:463 doi: 10.1212
Haba-Rubio J, et al.

睡眠時無呼吸もいびきも「完全いびきコントロール」でコントロール可能。生活習慣病が認知症の原因かもしれないってことですね。

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(paper)不眠症の診断と治療

昨日突然yahoo IDによる知恵袋の利用ができなくなりました。特にいびきに関して回答をしていたのですが、どうやら広告ととられたようです。いびきに関しては結構いい加減な回答をしている人が多かったので、修正していたのですが、少しやり方を変えるしかなさそうですね。

本日は、不眠症の診断と睡眠薬の使い方辞め方が分かりやすく説明されている論文を見つけたのでご紹介いたします。

不眠症の診断と治療
村崎 光邦
不眠は臨床的には痛みに次いで多い訴えであり, 日常の臨床場面で不眠症患者の治療が必要になる機会はきわめて多い, アメリカの国立精神保健研究所NIMHでの最初の調査では10.2 % が重い不眠に悩み,そのうちの31 % は1 年後もなお不眠を訴えており,全体の3% は厳密な意味での慢性不眠症と判断されている。また,1950 人のインタビューによるGallup 調査では9% が慢性的に不眠を訴え,うち20 % か睡眠薬を服用している。ヨーロッパでの調査でも2% はいわゆる不眠症であるとの結果が得られている。資料のとり方や不眠症の定義の違いなどで、多少の開きはあるが,調査対象の2~ 3% が慢性の不眠症で治療が必要があるとのコンセンサスがある。
最も外来患者数の多い病院の1 つである北里大学病院,北里大学東病院における1991年度の外来処方箋1万枚あたりの睡眠薬の処方頻度をみてみると,全科平均8.1% に及び,精神神経科のみでは51%と外来患者の半数以上に睡眠薬が処方されるように,現実に外来患者のいかに多くが睡眠薬を服用しているかが明らかである(表1)。したがって,不眠症の正しい知識とその治療法を知ることは,一般治療科の医師にとってきわめて大切である。ここでは,不眠症の診断と治療,とくに睡眠薬の使い方とやめ方について解説しておきたい。
http://ci.nii.ac.jp/els/contents110004696666.pdf?id=ART0007435515

不眠症の診断
1. 睡眠調査表を用いた診断
不眠症の診断は、眠れない、あるいは眠れないために翌日気分が優れず、日常生活に支障があるといった 患者の主観的訴えに基づくことになる。例えば、国際疾患分類案(ICD-10)による不眠症診断ガイドラインでも、①入眠困難 (2時間以上寝つけない)、睡眠の持続の障害 (中途覚醒:一晩に2回以上、早朝覚醒: 普段より2時間以上早く目覚める) および熟睡感のなさのうち、1つ以上を訴える、②不眠の訴えは少なくとも週3回以上あり、1か月以上持続している、といった2項目を重視し、付加的に、③眠れないとの先入感があり、不眠を過剰に気にしている。④顕著な苦悩, 社会的、職業上の困難を惹き起こしている、との2項 目を加えているように、主観的訴えが診断の中心となっている。
ここでは、睡眠調査表を用い具体的点数化を試みた 診断の仕方を紹介しておこう(表2)。この表から。中等度以上の不眠があると判定された場合には治療が必要となる。


項目①~⑦の合計点が多いほど下位へランクする。但し、合計点が6点以下でも1つの項目で3点がある場合は1ランク下位へ、7点以上で2つ以上の項目に3点がある場合は2ランク下位へ下げて評価する。中等度以上の不眠がある場合は治療が必要となる 。
⑧と⑨の項目は睡眠の精神身体に及ぼす影響や不眠症の原因を考えるうえの参考になり①~⑦の点数が低くても、この項目での点数が高い場合には精神医学的治療が必要である。

2.睡眠ポリグラフィ記録による診断
主観的訴えのみでは把握しえない特殊な不眠症の診断に、脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図を中心とする睡眠ポリグラフイ記録 (polysomnography。 PSG) を実施して、一夜の睡眠経過や夜間のエピソー ドを客観的に知ることが必要となる。PSG からは次のような情報が得られる。
a) 睡眠経過と睡眠パターンのパラメーター
Rechtschaffen – Kalesの基準を用いて、①全睡眠時間、②入眠潜時、③覚醒時間の長さおよび中途覚醒の頻度、④各睡眠段階の量と比率 (徐波睡眠とレム睡眠)、⑤レム睡眠潜時、⑥睡眠効率などの睡眠パターンのパラメーターを計算するとともに、一夜の睡眠 経過を描くことによってどの程度のおよびどのタイプの不眠症が存在するかを客観的に明らかにすることができる(図 1)。
本態性不眠症とも特発性不眠症とも呼ばれている精神生理性不眠症は、神経質な人や心気的傾向のある人にみられ、寝つきがわるくなったり、眠りが浅くなったりするが、全体としては睡眠の量や質は正常者のそれと変わらないことが多いといった事実が PSG で明らかにされているし、客観的所見を欠 不眠症と呼ばれるものも、PSG によって実際にはよく眠っていることが証明されよう。
b) 睡眠時無呼吸の有無と程度
覚醒時には呼吸障害がみられないのに、一晩7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、または睡眠1時間あたりの無呼吸の回数(apnea index)が5回 以上みられる場合を睡眠時無呼吸症候群と診断する。PSG の所見から、睡眠時無呼吸の型 (閉塞型、中枢型、混合型) や程度(無呼吸指数 apnea index)を知ることによって、睡眠時無呼吸症候群の存在が明らかにされる。同時にパルスオキシメトリーによって動脈血酸素飽和度を連続測定することで、より正確な情報のもとに正しい診断が可能となる。表3にみるような 症状が認められて、とくに不眠が強い症例は睡眠時無呼吸不眠症候群ということになる。主な原因は上気道の閉塞であり、アルコールや睡眠薬はこれを悪化させることがあるので、主訴が不眠でも、本病態が疑われる場合には PSG を施行し、診断を確定し、上気道狭猪の除去を中心とする治療をすすめることが必要である。

c) 睡眠時ミオクローヌスの有無と程度
入眠とともに両側下肢の前腔骨筋にミオクローヌスが出現し著しい場合には睡眠が中断されて不眠症をきたす。睡眠時ミオクローヌス不眠症候群の存在を疑った場合には、前脛骨筋の表面筋電図を同時記録することで、容易に確定診断される。むずむず脚症候群 restless legs syndrome.に随伴して出現することが稀でない。
d) 夜間の異常行動と睡眠パターンとの関連
高齢者やアルコール離脱期にみられる夜間せん妄や、高齢者や小児にみられる夢中遊行と睡眠パターンとの関連をみることができる。近年、高齢者の夢中遊行とレム睡眠との関連がレム睡眠行動障害として注目されている。
以上のように、PSG から得られる情報はきわめて多く、睡眠障害の診断には決定的といえるが、一晩のみの記録では初夜効果のために正確な情報とはなりえず、最低二夜連続の記録は必要である。単なる不眠症には睡眠調査表のみで診断可能であるが、睡眠薬などの治療でむしろ悪化するような場合には、こうした検査を積極的に施行して、診断を確定した上で治療を行なうことが必要である。PSG の実施には特別の施設と専門医が必要であり、遠慮なくこうした施設へ依頼することをすすめたい。

不眠症の原因と分類
1.原因
ヒトの睡眠・覚醒リズムは、脳内の上位機構としての体内時計のコントロールのもとに覚醒中枢と睡眠中枢が相反性に働き、サーカデイアンリズムが形成されていると仮定するとよい。このリズムを乱すようないかなる因子も睡眠・覚醒障害としての不眠をもたらすことになるが、外から入ってくる刺激による不眠症を大別すれば、心因性と身体因性とに分けられる。これを模式的に示したのが図2である。

心因性の不眠とは, 大脳辺縁系を中心とする情動中枢に不安、懸念、心配事、恐怖などの情動性ストレスが入って興奮させ、情動中枢からの強いインパルスが覚醒中枢へ送りこまれてそこを興奮させる結果、覚醒中枢が優位となって睡眠中枢の働きを抑え、脳全体を覚醒させる方向に展開して不眠をもたらす。一方、身体因性の不眠は、知覚経路からのインパルスが側鎖を通って脳幹網様体-視床非特殊核からなる覚醒中枢へ送りこまれて興奮させ、同じくこれが睡眠中枢の働きを抑えて不眠をもたらす。なお、内因性のものは、躍うつ病や精神分裂病のように内因性に規定された脳内のある部位の活動性異常が直接-間接に睡眠・覚醒機構に作用して不眠をもたらすと考えられている。
実際の臨床では、不眠症の原因は5つの P として 表4のようにまとめられており、きわめてわかりやすい。2. 分類
睡眠・覚醒障害の国際分類は、アメリカのASDC-APSS 分類と ICSD 分類”が有名であるが、詳細をきわめており、ここに紹介しきれない。ここでは期間別に分類したものが臨床的に有用であり、理解しやすいので紹介しておく。診断の項で述べたように、いわ ゆる不眠症とは、長期不眠のことであり、この中に重要な不眠症のすべてが網羅されている(表5)”。

精神生理性不眠とは、とくに原因もないのに不眠が現われる特発性不眠症あるいは本態性不眠症と同義であり、性格要因が強い。はっきりと取りあげるほどのストレスはかかってはいないかにみえるが、性格的に過敏で、内省的、心気的であることから、日常の生活の中で、不断のストレスが情動中枢をチリチリと刺激し続け、覚醒中枢へこまかいインパルスが送り続けられることによって、結果的には心因性不眠と同じ機序で不眠に陥ってしまうものをいう。心因性不眠症の1 つのタイプで、ストレスが表面化していないものといえ、その代表的なものが不眠を恐れる神経質性不眠である。

不眠症の治療
不眠症の治療は、まず第一に睡眠薬によらない治療を試みるべきである。うまく成功すれば、そのまま不眠症状の改善が得られて、睡眠薬を使用することなく治療しうることになる。現実には睡眠薬の使用の段階へ進まざるをえない不眠症が多いのも事実であるが、治療法の順序はこれから述べる方法をまず試みることである。

1. 睡眠薬によらない治療
まず、毎晩の睡眠を良好なものとするにはいくつかの工夫が有用なことが知られている。そのすべてを列記したのが表6である。ここに書かれている項目は, いずれも比較的容易に実行可能なものであり、まず実施してみることである。これらの工夫はいずれ次の治療段階へ進む場合にも引き続いて実行すべきものである。

次に、不眠の改善のための行動療法について述べておこう (表7)。ここにあるすべての療法を一つ一つ 試みることは不可能で、いくつかを組み合わせて実施することになる。いずれも専門家の指導が必要であり、例えば最も有用性の高い自律訓練法を例にとると、専門家のいる精神科なり心療内科を受診してまず自律訓練の方法を教わる。何回か通院してそのやり方をマスターすれば、あとは自宅で自分で続けることによって不眠症の治療をめざして頑張るということになる。
以上のような薬物によらない治療を行なうのみならず、薬物療法に進んだ場合にも、認知療法を基底にした精神療法を併用すると、より効果的になる。患者の不眠症の詳細を領解したうえで、治療者はヒトの睡眠はどのように起きているのか、患者の不眠はどうして起きているのか、どの程度のものなのか、不眠が続いた場合にどういうことが起きるのか、詳しく教えこむ。よく患者は睡眠中に死亡することがあるのではないか、不眠症が続くうちにどうにかなってしまうのではないか、翌日の仕事に悪い影響を及ぼして、だめになってしまうのではないかといった不安感、恐怖感を抱く一方で、睡眠薬への恐れを抱いていることが多いのである。まず患者の抱いている不安をやわらげるような状況に導いたうえで治療に入ることが肝要である。

2. 薬物による治療
可能な範囲で薬物によらない治療を試みたうえでなお不眠症状が改善しない場合には、睡眠楽による治療へ進むことになる。
a) 睡眠薬の種類
睡眠薬は大きくはbarbiturates, nonbarbiturates,およびbenzodiazepine受容体作動薬系睡眠薬 (BZ 系睡眠薬) の3つに分類される。barbiturates は図3にみるように、脳全体を抑制し、強力な麻酔作用ともいうべき催眠作用をもたらすが、高用量になると、脳幹の生命維持機構をも抑制するために、常用量の10倍量で皆睡状態に陥り、大量服用で呼吸中枢の抑制による死亡に至らしめ、中毒量との安全幅が狭いという欠点を有している。しかも耐性が早く形成され、 退薬症候もせん妄、けいれん発作など激しいものが起こりうる。こうした barbituratesの欠点を克服すべく開発された nonbarbiturates も、 barbiturates と同じ欠点を有してこれを克服しきれず、多くのものが姿を消し、現在では bromvalerylurea と新しいタイプの perlapine, butoctamide のみが残っているが(表8)、いずれも処方頻度は低く、私自身は barbiturates は例外的にしか用いず、 nonbarbituratesも perlapine を分裂病患者の不眠に用いることがあるくらいで、睡眠薬といえば BZ系睡眠薬のことを指すといってよい。
BZ 系睡眠薬は、現在benzodiazepines, thienodiazepines, cyclopyrrolones の3種類があり、いずれもBZ 受容体作動薬であり、共通の作用機序と作用特徴および副作用を有していることから、一括して BZ系 睡眠薬と呼んでいる (表8)。すなわち、主として情動中枢である大脳辺縁系に存在する BZ受容体に結合ることによって、脳内の抑制系伝達物質である GABAの活性を高め GABA 受容体と chloride channel 2 のカップリング機能を高め、chloride channelの開存頻度を増加させ、Cl⁻の細胞内流入を増加させて脳の興奮を鎮めるという作用を有している。いずれも催眠 作用のほかに、抗不安作用、抗けいれん作用、筋弾地緩作用を有しており、情動中枢に選択的に作用することから (図3)、過量服用による自殺に成功しないくらいに生命的には安全性が高い。


c) 薬物動態からみた BZ系睡眠薬の特徴
BZ 系睡眠薬は、作用時間の長さによって、①超短時間作用型,②短時間作用型,③中間作用型,④長時間作用型の4つに分類される(図4)。
超短時間作用型
消失半減期が2〜4時間ときわめて短い超短時間作用型は、服用とともに素早く血中濃度が上昇して、睡眠の前半に強く作用し、入眠障害に対して優れた催眠効果をもたらす。翌朝の覚醒時には、血中濃度はすでに有効濃度を割っており、残薬感を残さず、目覚めのよさを自覚させる。入眠障害を主たる訴えとする精神生理性不眠に最適であり、熟眠感の欠如に悩むタイプ の不眠症にもきわめて有効である。その反面、一夜の後半、とくに早朝期に血中濃度が低下しているために、早朝不眠 early morning insomniaとして明け方の5~6時に覚醒してしまうことがある。また、日中不安 daytime anxiety、反跳性不眠 rebound insomnia, BZ 健忘をきたしやすいとの指摘もあり、作用時間の短いものほど退薬症候や臨床用量依存との関連が深いとするのが一般的見解である。

短時間作用型
消失半減期が 6〜10 時間の短時間作用型も超短時間作用型と同様の経過をとり、朝方には何らかの作用を発揮しうるレベルを下回っていることから、翌朝の覚醒時の気分は良好で、超短時間作用型と同様な適応を有すると考えてよい。ともに、毎日服用することが あっても、最高血中濃度はほぼ同じ値を示して、蓄積することがない (図4)。

中間作用型
消失半減期が20〜30時間の中間作用型では、翌日の就寝時にはまだある程度の血中濃度が維持されており、連用するうちに中等度の蓄積が生じ、4、5日のうちに定常状態に達する。したがって、朝の覚醒時に眠気、頭重、ふらつきなどの持ち越し効果 hangover をきたすことがありうる。中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠維持の障害を主訴とするタイプの不眠症に向いている。日中もある一定レベルの血中濃度が維持されることから、朝、覚醒時に不安・緊張を呈しやすい病態。とくに不安神経症やうつ病、あるいは精神分裂病といった精神医学的疾患に伴う不眠症には適応といえる。 1991年度の北里大学病院、北里大学東病院でのBZ系 睡眠薬の処方頻度をみても、この間の事情が如実に示されている (図5)。

長時間作用型
活性代謝物を含めて、消失半減期が50~100時間と長い長時間作用型になるとこの傾向はさらに強く、最高血中濃度の上昇とともに、昼間の血中濃度もかなり高いレベルに維持され、定常状態に達するのに1週間前後かかる。持ち越し効果や日中の精神運動機能に及ぼす影響は、それだけ出やすくなる。反面、急に中断しても反跳性不眠や退薬症候は出にくく、睡眠維持の 障害や日中の不安・緊張の強い病態によく、精神医学的疾患にみられる不眠症への適応は高いといえる。

睡眠薬選択の基準
睡眠薬の選択基準には、不眠症の原因別に選ぶ方法,タイプ別 (入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒) に選ぶ方法、不眠症患者の病態に応じて選ぶ方法 (不安や抑うつ病状の有無) の3つがある。いずれも睡眠薬の持つ作用時間の長さが選択基準の基本になっている。睡眠薬の処方に当たっては、3つの方法を総合的に組み合わせることになるが、以下に期間別の不眠症の分類 (表5) に従って述べておく。
1,一過性不眠
作用時間の短いものを1、2日の単発的、アドリブ的投与する。ゴルフの前夜のみ服用して成功している例を知っている。

2。短期不眠
やはり作用時間の短いものを不眠時のみ、あるいは 2日1回くらいの割合で投与して、できるだけ短期の使用にとどめる。時差呆けに超短時間作用型はきわめて有用である。短期不眠から長期不眠に移行しうるので、ここでしっかり治療して長期への移行を防止しておかねばならない。

3. 長期不眠(慢性不眠症)
a) 不眠症のみの場合: 日中に不安症状のない、不眠のみの場合には、本態性不眠症 (精神生理性不眠) や身体疾患に伴う不眠症が中心であり、主に入眠障害を呈することから、寝つきをよくし、翌朝に持ち越し効果のない作用時間の短いもの、ことに超短時間作用型がよい。
b) 不安や抑うつ症を伴う不眠症の場合: 持続性のストレスや精神医学疾患に伴う不眠症では、日中の不安、緊張、焦燥や抑うつ症状が存在することが多い。こうした場合には、日中に BZ系抗不安薬を投与されている症例には、入眠障害には作用時間の短いもの、中途覚醒あるいは早朝覚醒の睡眠維持の障害には、中間型ないし長時間型のものを選べばよい。
日中に BZ 系抗不安薬が投与されていない場合には、どのタイプの不眠症にも中間型ないし長時間型の BZ 系睡眠薬を投与して、日中にもある程度の血中濃度を維持することによって、不眠症のみならず、抗不安作用をも期待する方法がよい。
c)高齢者の不眠症:高齢者では、BZ 受容体の感受性が亢進するとともに、薬物動態上、肝クリアランス の低下に伴って、最高血中濃度の上昇と消失半減期の延長が認められることから、作用・副作用とも強く出て、ふらつきによる転倒・骨折などの危険性がある。 作用時間の短いものほどよく、また、代謝過程の単純な lormctazepam や筋弛緩作用の弱いrilmazafone が推奨される。原則として成人量の1/2から始めるのが安全である。

眠眠薬の副作用
BZ 系睡眠薬は辺縁系を中心とする情動中枢に選択的に作用することから、それ自体の単独使用では、自殺に成功しないといわれ、臓器障害を惹起することがなく、主作用に耐性が形成されないとされて、優れた臨床効果と高い安全性から全世界で広く用いられている。しかし、いくら安全とはいっても、BZ系睡眠薬の副作用としていくつかの問題点が指摘されている (表9)。

この中で、とくに問題となるのは、健忘作用, 反跳性不眠、退薬症候および臨床用量依存である。
健忘作用は、diazepam の静注製剤をよく用いる麻酔科領域では、BZ 健忘として古くから知られていたが、高力価の超短時間作用型睡眠薬が繁用されるようになって、経口剤による報告例が増加し、とくに triazolam の高用量やアルコールとの併用といった不適正使用による健忘や多彩な精神病様症状がマスコミに過大かつセンセーショナルに取りあげられ、一時は社会問題とさえなった。その経緯は別の総説に詳しいが、適正目的による適正使用によって triazolam の使用には問題となることはないとの結論が出されている。
次の反跳性不眠、退薬症候、臨床用量依存は睡眠薬はのみ始めると癖になってやめられなくなると、医師も患者も等しく睡眠薬の使用を怖れる原因となっているもので、その成立過程は図6のように説明されている。

全国の内科医と精神科医を対象して実施したアンケート調査にも、処方する医師自身にこうした現象を恐れて、睡眠薬の処方に強い抵抗があることが明らかにされている”。図6の説明によると、睡眠薬によって一時は症状改善するが、耐性形成のために効果が薄れ、睡眠薬を増量する。そうするとそれにまた耐性が生じて眠れなくなるために思い切ってやめようとする。ところが、反跳性不眠と退薬症候が出現するために薬物を再開せざるをえなくなり、ここに依存が形成されるとの悪循環に陥るというのである。BZ 系睡眠薬は原則として耐性形成はなく、効果が薄れて増量していくことはないのであるが、一挙に中止した際、反跳性不眠や退薬症候が出現しうることは事実であり、やめるにやめられない臨床用量依存が形成されることはよく知られている。
これらの問題は、不眠症状が十分に改善したのち。 医師・患者間で睡眠薬を漸減・中止の方向への努力を進めることで解決していくべきものであろう。

眠薬のやめ方
不眠症状が改善して、睡眠薬なしに眠ることが可能な状態になったと判断されたときには、睡眠薬を中止することになるが、反跳性不眠や退薬症候を避けるために、いくつかの工夫が必要となる。 1. 漸減法 tapering method
BZ系睡眠薬は作用時間が短いものほど、一挙に中止すると反跳性不眠や退薬症候が出現しやすいので、徐々に減らすことが肝要である。まず、1日1/4量を減量し、3/4量を1~2週間続け、経過がよければ次には1/2量とし、さらによければ1/4量にする。減量して不眠症状が再現する場合には、その前の量でとどめて服用し、1〜2か月の経過をみて再び挑戦する。
2,隔日法
作用時間の長いものでは、一挙に中止しても血中濃度がゆっくり下降するので、反跳性不眠も退薬症候も遅れて現れ、程度も軽い。したがって、中止する際には、服用しない日を1週1日から始めて経過をみながら徐々にのまない日をふやしていく。
3. 長時間作用型への置き換え
漸減法が成功しない場合には、いったん短いものから長いものへ置き換えたのち、漸減法なり隔日法で減量する方法をとるとよいことがある。薬物動態学的にみて、長いものの方がやめやすいからである。超短時間作用型を長いものに置き換えたときに、一過性に不眠症状が出現することが少なくないが、1週間の我慢で症状が改善されることを知っておく必要がある。
実際には、図7にみるように長いものも短いものも、まずは漸減し、それ以上減らせない段階で隔日法で経過をみていくのがよい。
4、認知療法の併用
長年不眠に悩み、睡眠薬の助けで症状改善をみたものの、なんとか睡眠薬なしに眠りたいとの欲求を持つケースはきわめて多い。自分の不眠症状を現実的に検討し、対応していく力を身につけさせる認知療法を中心とする精神療法的接近を併用することが大切であり、何回失敗しても再挑戦する心意気をもたせるべく努力すべきである。
慢性不眠症とは本来きわめて難治なものであることから、以上に述べた方法をどう用いても減量・中止の方向にもっていけない症例は少なくない。BZ 系睡眠薬は必要最小限の臨床用量の範囲であれば、長期連用によっても危険性はないとするのが筆者の立場である。自信をもった態度で使用し、quality of life を高めることも立派な治療法であると考えている。最近の超短時間作用型睡眠薬の危険性についてのマスコミの誇大な報道にまとわされることなく、不眠症を正しく理解し、睡眠薬の適正目的に沿った適正使用を心掛けることが肝要である。

おわりに
不眠症の診断と治療について簡単な解説を加え、とくに睡眠薬の使い方とやめ方について説明した。不眠症は、患者にとってきわめて苦しい病態であり、決して軽く扱ってはならない。適切な治療法を用いて苦痛を軽減・消失させることは、患者を救うのみならず、 社会一経済的にも大きな利益を生むことになる。日常の臨床に少しでもこの解説が役立てば幸せというものである。

文,献
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〔北里医学,24:1~14,1994〕

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胃食道逆流症GERD

先日の午後から散歩で、同じ市内にある小山本家酒造まで歩いてみました。来てみてかなり大きな工場なので驚いてしまいました。
地方の酒蔵などはいくつか行ったことがあったので、もっとこじんまりしていると思っていました。
実は東京23区の唯一の酒蔵。丸眞正宗の赤羽の小山酒造が、清酒製造事業から撤退したため、その本家である小山本家酒造が商品を引き継ぐという話があるようです。赤羽のおでん屋の丸眞正宗が、今後ここから出荷されることになるのでしょうか。

胃食道逆流症GERD
いびきの原因を探るうちにたどり着いた答え。
寝ているうちに胃の中の物が逆流するのを防ぐために、食堂や気道が狭まる。そのため呼吸するときに気道の周りの組織をふるわせるためにいびきとなってしまう。
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よく言われるのは寝ると重みで舌の根元などが下がって気道が狭くなるというもの。睡眠時無呼吸症候群の原因もそうやって気道が狭くなるということです。しかし、それが本当の理由なら相撲取りや柔道の選手が、練習や試合で気を失うようなときに、窒息死事故が頻発します。実際には自発呼吸が普通にできています。

人間の体がいくら太ろうが、物理的な作用で息が止まってしまうような事態になるとは到底思えません。無呼吸になるには無呼吸になる体の作用があると思うのが普通だと思います。

しかも睡眠時無呼吸は、病気認定されるには1時間に20回程度以上息が止まる場合ですが、普通の人でも1時間に5回程度は息が止まっています。いびきをかかない人は音が静かなので息が止まっていることを観察されづらいだけです。
中枢型の無呼吸と言われる作用と、一般的な無呼吸が全く違う作用で起こっていると考えることに、違和感がないでしょうか。

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