(論文紹介)良質な睡眠のための環境づくり

バイオメカニズム学会誌, Vol. 29, No.4 (2005)

解說

良質な睡眠のための環境づくり

就寝前のリラクゼーションと光の活用-

北堂真子 1

松下電工株式会社 電器事業本部 電器 R&Dセンター 健康科学研究所

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/29/4/29_4_194/_article/-char/ja

要旨 日常生活においてストレスを強く感じていたり興奮状態にある場合には,相対的に寝つきにくくなったり睡眠中に中途 覚醒を生じたり,翌朝起きにくくなったりすることを誰しも経験している.また,寒暑感や騒音, 明るさなどが原因となって睡眠が妨げられる場合もある.本稿では, ストレス負荷状態や興奮状態にある場合とそうでない場合についての生理反応および入眠経過の違いと,スムーズな入眠のための就寝前の準備について解説するとともに, 睡眠環境因子の中でもとりわけ大きな影響を及ぼすと考えられる光・照明をとりあげて,生体への作用の解説と上手な活用方法についての紹介を行う。

キーワード:寝室環境因子, 照度色温度, 生体関連因子, 自律神経活動, 緊張緩和

  1. はじめに

一般的に日常生活の中で睡眠といえば夜間の時間帯の睡眠のみを対象として考えることが多い、ところが、睡眠は生体の周期現象のひとつ(サーカディアンリズム:約 24時間を周期とするリズム)であると考えられており,また, 覚醒とも相互に影響を及ぼしあっていることが明らかにされている. 目覚めを良くして日中活動的に過ごし,覚醒度やエネルギー代謝を高めることは、夜間の睡眠の質向上へと深く関与する.そして, 質の高い睡眠は翌朝の目覚めの良さを促すのである。

一方, 夜間の睡眠期においては,良質な睡眠とは次の3要素がそろっている睡眠であると表現することもできる。

(1) すぐに眠る(入眠潜時が短い)

(2) ぐっすり眠る(中途覚醒が少なく,睡眠が安定する)

(3) スッキリ目覚める(浅睡眠から覚醒へスムーズに移する,目覚めた時の眠気が極めて少ない)

これらの要素は独立でなく,ひとまとまりの睡眠の中で意味をもつ, したがって,良質の睡眠のためには,睡眠を1日の生活サイクルの一要素として捉え,昼間の生活と一連の流れの中で夜の睡眠と昼間の覚醒のサイクル全体が良くなるように考えることが重要であり,就寝前 睡眠中, 起床前後、覚醒中(日中)において影響を及ぼす要因に対して、それぞれに適するように整える必要がある。

ところで, 睡眠に影響を及ぼす因子は大きく2分類できる(図1).

一方は寝室環境に関する因子であり,温熱,騒音,光・照明,空気成分, 寝具などがその要素としてあげられる.他方は生体に関する因子であり,要素として生体リズム, 日中の過ごし方,精神的ストレス, 筋肉疲労, 病気などがあげられる.いずれの要素も適切な条件にない場合, 良質の睡眠を得ることは難しい、とくに,高齢化が進みつつある複雑な現代社会においては,加齢や運動不足による筋肉の弱体化が原因で生じる肩こりや腰痛が多く見られ,また, 精神的なストレスによる睡眠の質の低下も多い。

本稿では,主に睡眠期に焦点を当て,就寝前 睡眠中,起床前後のフェーズ別に,環境因子の中でもとりわけ睡眠に大きな影響を及ぼすと考えられる光・照明をとりあげて,生体への作用と上手な活用方法の説明をすると同時に,生体に関わる因子の中からストレスや筋肉の緊張軽減が睡眠,特に入眠に及ぼす影響についても説明を加え, 室内で可能な睡眠環境づくりについて解説する。

  1. 生体の就寝前準備

2.1 就寝前の自律神経活動状態と入眠

日常生活においては寝つきの早い場合とそうでない場合があり,ストレスを強く感じていたり興奮状態にある場合には,相対的に寝つきにくくなることを誰しも経験している. 体の中ではどのような違いが生じているのだろうか。

ストレス負荷状態や興奮状態と,それとは反対の精神沈静化状態を人工的に作り出し,それぞれの状態における自律神経活動や入眠の違いを心拍や脳波を計測して比較検討した研究がある. 例えば, 刺激としてだれもがストレス負荷を感じる映像と精神の沈静化を感じる穏やかな自然風景の映像の2種類を見せて自律神経の状態を比較した実験2)では,ストレス負荷映像の場合には心拍RR間隔の減少が観察され,交感神経活動が優位に働き、副交感神経活動が抑制されることが示されている.また, 前述の精神沈静化を感じる自然風景映像を見せた場合とテレビゲームをして一時的な興奮状態にさせた場合の入眠への影響を調べた実験結果3)では, テレビゲームをして脳が興奮状態にある場合には心拍数が多く,入眠潜時が長くて入眠後の睡眠も中途覚醒が生じて安定性に欠けるのに対し,精神沈静化を感じる自然風景映像では心拍数が少なく安定しており,睡眠状態も潜時が短く入眠後も安定した経過が示されている。

一方,就寝前の自律神経活動の変化として, 睡眠に問題のない健常成人では副交感神経活動は消灯 60 分前から亢進を始め,交感神経活動は 30 分前から急速に低下しはじめ,自律神経活動状態の変化が入眠に先行する可能性のあることが最近の研究で報告されている. これらのことから,就寝の1時間ほど前には, 副交感神経活動の亢進を妨げないようストレスを感じたり興奮したりする刺激は避け, むしろ, 穏やかな自然風景の映像を見るなど精神的負荷の軽減や精神沈静化が促進されるような環境に整えることで,続いて生じる交感神経活動の低下を促す可能性もあると考えられ,結果としてスムーズな入眠に結びつくと推測できる。

2.2 就寝前の緊張緩和方法

疲労で固縮した筋肉を弛緩させると同時に神経や精神の緊張を緩和させるためにはストレッチングを行うのがよいとされている.ストレッチングの主な目的として, 関節の可動域を大きくする, 関節や筋(協同筋・拮抗筋)の協応性を高める以外に,筋のポンプ作用により血行を促進させる, 筋肉の緊張を和らげリラックスさせる,筋 – 知覚神経 – 中枢神経の緊張を和らげストレスを取り除く等があげられる5)ためである。

筋肉を弛緩させるとともに神経や精神的緊張を緩和させて心身のリラクゼーションを図り,最終的には睡眠へと誘導させることを目的として,他動運動によるストレッチングを単独で容易に行える敷き寝具型のエア式ストレッチマットおよびストレッチングプログラムが開発されている. このエアマットは,マットに内蔵されている複数のエアバッグの膨縮により就寝者の肩から足にかけての部位を対象に 約 30 分間のストレッチングを行う、上半身のひねり動作,腰・臀部のひねり動作, 肩→背→腰→臀部と対象部位を移動させながらの持上げ動作による伸展を順次行い、最後に脚部の昇降で終了するようプログラムされている.肩部のストレッチでは僧帽筋や大胸筋を, 背から腰・臀部にかけて のストレッチングでは内・外腹斜筋や広背筋,脊柱起立筋群を主に伸展することができる.また, 敷き用の寝具を兼ねており,眠気が高くなった時点でそのまま就眠できるようになっている。 就寝直前にこのマットを使用してストレッチングを行った場合の入眠への影響を検討した報告では,入眠過程において,より積極的に副交感神経優位の状態に誘導されたと推測できること, 睡眠潜時が短縮され, 睡眠量が増加する傾向のあることが示されている.また,主観申告もストレッチングがかなり気持ちよく, 就寝前に行うものとしてかなり適しており,満足であるという結果が得られ, 他動運動を応用した就寝直前のストレッチングによる入眠促進および睡眠深化が確認されている.

その他の心身の緊張緩和方法として, 電車の特徴的な振動を基に合成した振動に, 1/fゆらぎの特性を併せ持つ低加速度レベルの全身振動を人体に与えた研究報告8)があり,結果として副交感神経優位の状態に誘導することができ、入眠促進に有効である可能性が示唆されている。 いずれの方法も, 筋肉の弛緩, 神経や精神的緊張の緩和により心身のリラクゼーションを図ることで、副交感神経活動の亢進, 交感神経活動の低下をより一層促進させており,結果としてスムーズな入眠が可能となる。

  1. 光・照明環境の整備

3.1 光の特性

寝室の環境因子の中でも睡眠 – 覚醒に大きな影響を及ぼす光・照明の生体への作用を理解して上手に活用するためには,その特性を知る必要がある。

光の特性には,照度,色温度, 輝度 明暗コントラスト, 光源の高さ、光の数, 光の拡がりなどの要素がある.中でも照度(単位 lx, 明るさの指標であり,月明かりで 0.5lx 以下,一般住宅の居間で150 – 300lx, オフィスで 500 – 1000lx, 晴天時の窓際で 5000 – 10000lx を示す)と色温度(単位K, 光の色合いを絶対温度で数値表現したもので,色温度が高いと青白い光;昼白色や昼光色の蛍光灯で 5000 – 6700K, 低いと赤みがかった光;白熱灯や電球色の蛍光灯で3000K 程度になる)は,生体リズムや覚醒度など生体の生理面に大きな影響を与えると同時に, くつろぎ感や落ち着き感など心理面にも大きく作用する9). そのため, 良質な睡眠のための室内空間の光・照明環境の整備は, 特にこの2要素が重要になる.

入眠前, 睡眠中, 起床前後では適切な光・照明環境が異なり,1日の生活サイクルに合わせて照度や色温度を制御することが必要となる。

3.2 就寝前の光・照明環境

就寝前の夜間活動時の光・照明環境の役割としては,やわらかな明るさの中でリラックスさせ, 生活動作に伴う視認性や安全性を確保しつつ, 必要以上に覚醒度を上げないことが求められる。

生体リズムと関係が深く催眠作用があるといわれているホルモンにメラトニンがある。メラトニンの分泌量は安定したサーカディアンリズムを示し,夜に高く昼に低くなることが知られている.また, メラトニンは照度依存性を示し10), 照度が高く受光量が多いほど分泌が抑制され, 覚醒度の上昇へとつながる。メラトニン分泌への影響に加え, 一般の視作業に支障を生じさせないことを考慮すると,適切な照度は 100 – 200lx が目安となる.加えて, 輝度は抑えて光を拡散させることが望ましい。

また, 色温度も高いほど覚醒度が高くなると報告されている.さらに, 色温度の低い赤みを帯びた光ほど気分を落ち着かせる作用があると言われている9).

入眠前における覚醒水準の低下への影響から照明の最適な照度と色温度設定が及ぼす影響について同時に調べ, 寝室の最適な照度と色温度設定を検討した研究13)では, 3000K の低色温度・30lx の低照度の条件において覚醒度の低下が最もスムーズであったこと, 色温度が照度よりも大きな影響を与える可能性のあることが報告されている.

就寝直前では, しっとりとした暗さにより覚醒度を下げ就寝の準備をすることが求められる.そのためには, 照度を就寝前の夜間活動時からさらに低く30lx以下に, 色温度を3000K以下にすることが望ましい。

3.3 睡眠中の光・照明環境

睡眠中の光・照明環境は、安定した睡眠を確保し,中途覚醒した場合にも不用意な覚醒度の上昇を避け再入眠を妨げない配慮が必要になる.さらに,暗闇に対する不安感が生じないようにしなければならない。

睡眠中における光の影響については, 睡眠中にもまぶたを通して入る光に対する反応が生じることが確認されている14). 睡眠の深さに及ぼす就寝中の環境照度の影響を調べた報告15)では,終夜の平均睡眠深度が 0.3lx で最高となり 30lx 以上では顕著に浅化する傾向が示されている.また,暗闇(Olx) では 0.3lx に対して顕著な浅化が認められ, 50lx 以上では腕や布団で顔を覆うなどの遮光動作が観察されている。睡眠中は, 0.3 ~ 1lx が推奨照度と考えられる。

3.4 中途覚醒時の照明要件

一般家庭の廊下やトイレに設置されている照明設備は, 夜間も昼間と同レベルの照度で点灯するものが多い、そのため、夜間の中途覚醒時には,暗順応状態からの点灯により,覚醒水準の急激な上昇と同時に,眩しさから不快感を生じる16)。

深夜の廊下照明の要件(視認性・安堵感・眩しさ)を 20代の若年成人と高齢者を対象に検討した研究結果では、最適照度範囲は1~10lx(最適は 5lx)と示されている.現行の通路全般での JIS 基準:30 ~ 75lx では眩しく感じ, 深夜の JIS 基準:1~ 2lx では見にくいと評価されており,いずれも若年者で敏感であった。 眩しさに関しては 5lx 以上で 安心側の評価が示されている。

また, 中途覚醒時の最適な点灯照度を検討した別の研究17)では, 暗順応状態において顔面に 0.5 から 30lx の照度の異なる照明を点灯した場合の心臓自律神経系活動状態の変化 から, 3lx が交感神経系の活動レベルが低く,最も緊張を生じさせにくいこと,点灯時の自律系への影響は再度の消灯後にも持続することが報告されている。

以上の結果から,深夜廊下の最適照度として3~ 5lx が推奨照度と考えられる。

3.5 起床前後の照明要件

スッキリとした快適な起床のための光環境として,設定した起床時刻の前から生体に起床のための準備をさせて, 睡眠から覚醒へスムーズに移行させること, 起床後は覚醒度をすみやかに上昇させることが求められる。

朝の起床前における漸増光照射による覚醒作用を検討した研究18)では,天井照明を用いて起床直前の30分間で照度を100lx まで上昇させる低照度の漸増光により,副作用の引き起こさない自然な覚醒が促進されること,それにともない目覚め感も向上することが示されている。 同じく, 起床直前の30分間で1000lx まで照度を上昇させた研究19)では, 起床時の眠気の減少や熟眠感の改善,注意集中感の上昇が認められ,体温上昇が促進される傾向にあること,最低体温出現時刻がやや前進し,かつ安定化の傾向にあることが示されている.これらの結果について,漸増光が交感神経活動を亢進させ, 起床のための覚醒準備が促進されたことにより起床時の急激な覚醒が回避され,その急激な覚醒の回避が目覚め感の改善を促したのではないかと推測している.ただし, 100lx までの低照度光による起床前漸増光照射による目覚めの改善では, 起床時に徐波睡眠の出現可能性の高い極端な短時間睡眠はサポートされていない。

また, 色温度は, メラトニン抑制や覚醒度上昇を促進させるためには 5000K 以上であることが望ましい。

  1. 複数の感覚刺激の組合せによる快眠への試み

就寝前に穏やかな自然風景の映像を見たり適度なストレッチングを行うことで生体に入眠準備を整えさせることや, 就寝前から起床前後にかけての光・照明環境をそれぞれのフェーズで要件を満たすよう制御することにより,より質の高い睡眠が得られる可能性のあることは前述の通りである.しかしながら,それら生体側の就寝前準備と光・照明環境の整備を適切に組み合わせた試みはされていない。 そこで,新たな試みとして,就寝前から起床までを対象として, ストレッチングや自然風景映像, 照明を含む複数の感覚刺激を組み合わせて, システム的に適切な制御を行うことにより睡眠の質向上を図る睡眠環境制御システム20,21) を開発した。(図 2,3)

睡眠環境制御システムでは,まず入眠誘導時において心身のリラックス化を重視し, 自然風景やBGMなど精神沈静化を感じる自然風景映像・音楽を提供する。照明は覚醒度を高めないよう徐々に暗くし, ベッドはリクライニング可能でTV画面が見やすいように上半身部分が起こされた状態にする. マットにはエア式ストレッチング機能が搭載されており, 映像提供の後, ベッドが自動的にフルフラット状態に変化し, ストレッチングが開始される仕組みになっている。

次に, 睡眠中においては映像・マッサージは OFF になり, 照明は常夜灯としてかすかな明かりで点灯する.また, 仮眠の場合には, BGMは外部雑音をマスキングする目的で非常に小さい音量で与えられる。

最後に,覚醒誘導時では, 起床時刻の少し前から徐々に照度を上げていくと同時にエア式ストレッチング機能も開始し, BGM, 映像などを再生する.また覚醒度を高めるために起床後は 1000lx以上の高照度の照明を照射する.ストレッチング終了後, ベッドは自動的にリクライニング状態に戻り上半身が起こされる。空調は常時, 適切な温湿度に維持されている.いずれの睡眠フェーズにおいても, 睡眠環境コントローラーに内蔵されるプログラムに沿って各環境因子が制御される仕組みになっている。

このシステムの効果について予備検討を行った。条件として一方は, コントロール(日常想定)条件:200lx の照度下で, 上半身が起こされたリクライニング状態でTV を見た後、自分でリモコンを使用してフルフラットにベッドを戻し,消灯して就寝、起床時は目覚まし時計で目覚め, リモコンを使って天井照明を点灯させる,と他方は,睡眠環境システム制御条件:上述の睡眠環境制御システムの動作, の2条件とし,午前中に仮眠をとらせて自律神経活動・脳波を計測して比較した。入眠誘導(13分), 睡眠 (8分),覚醒誘導(5分)の時間長は同一とした.また,いずれの条件も実験当日の3日前から生活統制を行った。

図4は結果の一例であるが、入眠誘導時・睡眠時では,睡眠環境制御システム条件で副交感神経活動の値がより高く亢進傾向に,交感神経活動の値がより低くて抑制される傾向にあることが示されている. 覚醒誘導時においては, 反対に日常条件より副交感神経活動が低く,交感神経活動 の値が高くなっている.これらのことから,本システムによるより質の高い睡眠のための生体の就寝前準備と入眠誘導, および覚醒誘導の可能性が示唆される.今後,さらにn数を増やして確認を行うとともに, 夜間睡眠における環境制御システムでの検証を行う予定である。

  1. おわりに

本稿では, 睡眠期に焦点を当て,就寝前 睡眠中, 起床前後のフェーズ別に, 環境因子の中の光・照明をとりあげ 生体への作用と上手な活用方法の説明をすると同時に,生体に関わる因子の中からストレスや筋肉の緊張軽減が睡眠、特に入眠に及ぼす影響についても説明を加え, 室内で可能な睡眠環境づくりについて解説した.一方,日中における光・照明環境は,覚醒度レベルや日中の活動状態, 生体リズムへも大きな影響を及ぼし,夜間睡眠の質も左右される.したがって, 日中の光・照明環境の整備も質の高い睡眠のためには必要不可欠である。

また, 睡眠へ影響を及ぼす寝室環境因子・生体に関する因子はその他にも多数存在し,睡眠の質を低下させる原因にもなっている。より一層の質の高い睡眠のためには,まずは質の低下を招いている原因を知り,次にその原因に対しての適切な対処・改善策を講じること,すなわち,生活習慣の見直しを行うことと, 睡眠へ影響を及ぼす因子を適切な状態やレベルに整えることが重要となる.新たな試みとして開発した睡眠環境制御システムも,今後さらに改良を加えていく予定である。

情報が高度化し,高齢化が進み, 24時間活動を続ける複雑な現代社会においてはライフスタイルにも大きな変化が生じており,その結果, 睡眠の量・質ともに低下の一途をたどり,約2人に1人が不満を感じていると言われている。良質な睡眠を得るための研究や寝室環境を整備するような睡眠補助装置の開発への期待は益々大きくなるものと考えられよう。

最後に, 本解説を行うにあたりご協力をいただきました関係諸氏に深謝いたします。

参考文献

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19) 白川修一郎, 小林敏孝 荒川一成, 亀井雄一, 津村豊明,小栗責:起床前漸増低照度光照射の目覚め感に対する効果、第6回日本睡眠環境学会大会報告集, 3-6, (1997)

20) 吉田和雄 井上学, 墨貞宏, 北堂真子:「眠りコンサルティングと体験」ルームの照明システム,松下電工技報53(1), 33-38, (2005).

21) 仲島了治:快適睡眠環境を実現するシステムについて, Materials Integration, 18(8), 16-20, (2005).

北堂 真子(きたどう まさこ)

昭和59年3月奈良女子大学家政学部住居学科卒業。同年松下電工(株)入社。

リラクゼーションや生体活性手法の研究開発, 良質な睡眠のための寝室環境整備などの研究に取り組んでいる.日本睡眠学会, 日本人間工学会, 日本生理人類学会, ライフサポート学会会員、日本生理人類学会PAデザイン賞受賞。

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

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