不眠とストレス

不眠症状とストレス



 

人の感情や行動を大きく左右する神経伝達物質に「ドーパミン」・「ノルアドレナリン」・「セロトニン」がありますが、

これらは「モノアミン神経伝達物質」と呼ばれており、自律神経に大きく影響を及ぼすものとして知られています。

ドーパミンは「快楽物質」

ドーパミンが分泌されると気分が高揚し幸福感が得られます。

しかしドーパミンは心身に活動を促す性質ですので、あまりに長期間分泌され続けると疲労し、身体のあちこちに不調が現れます。

ノルアドレナリンは「闘争と逃避」

ノルアドレナリンは人が危険や驚愕するような状況になった時に危険回避行動を速やかにとれるように分泌されます。このとき、交感神経を強く刺激します。

そしてドーパミンとノルアドレナリンは密接に干渉し合い、片方が刺激されるともう片方も活性化するという性質があります。

セロトニンは「抑制と調整」

上記2つの物質の働きを抑制してブレーキをかけるのがセロトニンの役割で、この2つ以外の神経伝達物質のコントロールもセロトニンが担っていると言われています。

神経伝達物質は体内で生成されますが、限りがあるものであり、放出を続けるといつかは枯渇してしまいます。

その証拠に、過去のトラウマによる緊張や不安、不安神経症、パニック障害などの症状がある人は交感神経が優位な状態が長期間続いていますが、これを抑えるために使われたセロトニンが大量に尿から検出されるようです。

セロトニンが不足すると、意欲の減退や無気力、また、強い抑うつ症状が現れるようになります。こうした症状はうつ病の症状として知られており、セロトニン不足とうつ病には強い関係があることが知られています。

また、セロトニンが不足したとき、セロトニンによって合成されているメラトニンも不足するため、メラトニンが本来発揮するべき催眠効果が十分に発揮されなくなり、多くの場合で不眠症状が現れます。

実際、うつ病を患っている患者さんのほとんどで不眠症を合併していることからも、セロトニンの不足から来るメラトニンの不足、また、それによって起こるうつ病と不眠症の関係が見て取れます。

本来、人間の健康に取って欠かせない物質であるメラトニンやセロトニンが不足するという事態は、普通に生活していれば起こりにくいはずですが、現代社会にはそれが起こりうる幾つかの原因が存在します。

ストレス
セロトニンが不足する原因として、現代社会で特に多いのがストレスによるセロトニンの不足です。ストレスは我々の生活のあらゆる場面に潜んでおり、慢性的なストレスは、セロトニン神経の働きを阻害して、長期的にはセロトニンの不足を招きます。

トリプトファン
もう一つ大きな原因として、セロトニンやメラトニンの大元の原料である、トリプトファンの不足もセロトニンやメラトニンが不足することが考えられます。トリプトファンが不足する原因は、ダイエットによる栄養バランスの偏り、好き嫌い、偏食など、食生活が大きく影響します。

腸内環境
また、現代人に増えているのが、腸内環境の悪化によって起こる、腸のトリプトファンの合成力の低下です。トリプトファンは人が直接作り出すことが出来ないアミノ酸で、胃や腸で消化したたんぱく質を、さらに腸内細菌の力を借りて合成されます。

腸内環境が悪化すると、腸内細菌の数が減ってしまうため、その分トリプトファンの合成力が低下してしまうのです。腸内環境の悪化は、戦後の『食生活の欧米化』の影響が大きいと言われています。

我々日本人の腸内環境が昔よりも悪化した結果、トリプトファンの合成力の低下だけでなく、大腸がんの発症数が増えたり、アトピーや花粉症などアレルギーを発症する人が増えるなど、様々な影響が生じていると言われています。

人間の三大欲求

人間の大欲求

鬱病も不眠症も、脳の便秘が原因であると想定しているのですが、なぜ便秘するのかが問題です。脳の食べ物が情報だとすれば、質の悪い情報を食べ続けることが便秘の原因の一つかもしれない。これがストレスだったり、大量のデジタル情報だったりするのかもしれません。もう一つは物理的な環境。最近そこに、実際の体の不調も原因になると考えています。

取り込む情報と物理的環境の両方の改善と、腸内フローラ改善が鬱や不眠症を解消するカギになると考えます。

よく言われる人間の三大欲求。学術的に定義されたものではないようです。マズローの欲求段階では、生理的欲求に分類されるものの一部のようですね。

人間の三大欲求として上げられる食欲・睡眠欲・性欲について、考えてみます。なぜ睡眠をとるのか?安眠出来ないとはどういうことか?不眠を克服するにはどうすればいいのかを考えました。

更に、人間としての生きること死ぬことを哲学してみました。

たまにはそんなことを考えてみるのも面白いですよ。

食欲は生きるために必要な欲望なのですが、実は制御可能な欲望です。
どうしても抑えられないものでもありません。
極端な話、死ぬまで食べないでいることが可能です。
しかし食べることは必然的に排泄が伴いますが、排泄は通常の制御はできますが、最終的に制御不能です。
しかし排泄は欲と言わないのが不思議です。
食べる。その中から必要な栄養を取り込む。栄養を取り込んだ残りや、体から不要な代謝物を排泄する。
入れれば出すというのが当たり前の流れですね。

睡眠欲

さて睡眠の欲求に関しては、食欲や性欲と違って抗うことができません。

最終的に制御不能なところは、むしろ排泄に近い欲求です。

実は最近の研究では睡眠は排泄機能ではないかというものがあります。

認知症の原因物質とされる「アミロイドβ蛋白」の蓄積を睡眠中に脳脊髄液が流してしまうというものです。

そして睡眠中に脳は短期記憶を長期記憶に置き換える作業を行っているということです。

もし睡眠が排せつ機能であれば、入るものは何かというと、情報ということになります。食物を食べて、必要な栄養素を吸収し、不要なものを排泄するように、五感を通して入ってくる情報や、思考情報などが脳に大量に記憶され、寝ている間に整理されて、不要情報を排泄するのだと思います。

だから不眠症になると、便秘と同じで排泄が出来ずに辛くなるのでしょうね。

排泄できないのですから新たな情報を入れるのもつらいですね。

これが鬱症状なのではないかと思えます。

食欲不振と同じなので、無理に鬱を薬で抑えて新しい情報を入れると、脳がパンクしてしまいます。

先にきちんと睡眠をとり、きちんと排泄できれば鬱も治るのではないでしょうか?

「不眠症の解消」

さて、不眠症を便秘解消と同じような解消方法で考えると、腸の蠕動運動を促すためには、腸内環境を整え、バランスの良い食事と、適度な運動、そして食事と食事の間のインターバル時間をしっかりとることです。

また、交感神経と副交感神経の切り替えをしっかりと促すことも大事です。

不眠症に当てはめてみると、入れる情報の質を整えること。

交感神経優位の時にしっかりと情報を入れたら、副交感神経優位の時には、出来るだけゆっくりと過剰に情報を入れないようにすることも大事だということになります。

現代のように情報の洪水の中で、ストレスにまみれ、常に情報を入れ続ける環境であれば、不眠症になってもおかしくないと言えるのではないでしょうか。

次に環境についていえば、トイレに行くだけで排泄感が増すのが正しい感覚で、便秘症状が強い人はその感覚がなくなっているのだと思います。

同じように不眠症の環境で言えば、ベッドに入るのは、眠くなってからにすることです。実は不眠症に陥る一番の原因は、眠れないのに布団の中にいることで、布団の中が眠れない場所と体が覚えてしまうことです。

不眠を便秘に例えて説明したわけですが、実は便秘と不眠症は本当につながっているという説もあります。NHKスペシャル「人体」でも紹介されたように、脳に次いで神経組織を持っているのが腸であり、腸が第二の脳といわれる所以である訳ですが、実際に便秘症の人に不眠症の人が多いのは事実のようです。自律神経の影響で交感神経副交感神経の切り替わりが上手くできないことが便秘症も不眠症も生み出していますので、便秘が治れば不眠も解消できるし、不眠が治れば便秘も治るということです。

不眠症に多いのは入眠の苦しみですが、途中覚醒や睡眠深度の不足を上げる人も多いことと、併用する場合も多いのです。入眠後の環境や入眠時の体調について考える必要があります。よくあるのはお酒を飲んで寝ること。寝入りは良いのですが、途中覚醒となってしまうことが多いですね。また、おなかいっぱい食べて寝ることも、体が消化のためのエネルギーを使うため、休むことが出来ず睡眠が浅いことや、胃食道逆流症の原因となり激しいいびきによる睡眠深度が下げられない原因となります。

また環境では、冬場の暖房が強すぎる事や電気毛布などにより、気持よく寝入ることが出来ても、その後深部体温が下がり切れずに、途中覚醒や睡眠深度が不足して寝不足感が強いことなどがあげられます。

性欲

これはまさに本能の成せる欲求です。

子孫を残す、DNAを拡大させることは生まれた目的ともいえる本能です。

そして、生まれることと対をなすのは死ぬということです。

死ぬことは当然ながら欲求とは思えないのですが、出来るだけ先に延ばそうと抑制してしまいますね。

そして制御不能となって最後を迎えます。

入れたら出すという当たり前の流れです。

生き物はDNAを拡散させることが生きる目的であるし、DNAの拡散ができない状態になれば、もはや生きる目的はありません。虫や魚などには卵を産んだりすればそれで死んでしまうものは少なくありません。

子供を育てる動物は、DNA拡散の能力がなくなっても、子供を守り更なるDNA拡散を確実にするためにしばらくは生きていますが、孫世代まで生きていればそのお役目も終わるために寿命が来ます。

まあ、人間の場合は例外的に長生きしているので、もっと別の目的を見だしてもいいでしょう。

「意識の哲学」

生物学ではなく哲学として断って持論を入れますと、食欲は体に必要な栄養を取り込む。睡眠欲は情報を取り込む。では性欲は何か?生きる事とは何か?ということになりますが、もちろん生物としてDNAの拡散が第一にありますが、人間は別の目的を持ちます。思想・生きている考え・意識を成長させることではないかと思います。

人が生きている間に、どれだけ自分の魂を成長させることができるか、教えを広げることができるか、自分の生き方で影響を与えることができるか。

子孫を残すことが、DNAを拡大させることと同じように、自分の思想・信条で多くの人に影響を残し、たとえ死後であっても長くそれを残し続けることができるか、思想信条のDNAを多くの人に残し長く語り継がれることができるか。

「死は排泄」

そして死を排泄ととらえると、人は死ねば仏や聖人になることができるように、生きている間の善行や悪行のうち、悪行を捨てて善行だけを残すのが排せつではないかと思います。

多少の悪事は、死とともに解消され、善行のみがその人の思い出として残すことができます。

その善行や思想信条が、優れていればいるほど、広く長く後の人に影響を与え、たたえられ続けることができる。多くの子孫を残すことができるのと同じように、思想信条のDNAを残すことができます。

キリストやブッダやムハンマドは、多くのDNAを長く残したことになりますね。

それこそが天国に行ったことになるわけです。

そして殺人鬼や独裁者としての悪行等があまりにひどく、死とともに排泄しきれずに、むしろそれが強く多く残った人は、いつまでも悪人として後の人に記憶として残る。これこそが地獄ではないかと思います。

多少の悪行は誰にでもあるので、そこにあまり強く罪悪感を持ったり、自暴自棄に陥る必要はなく、善行を施すことが少しでもあり、人々の記憶に残れば、死とともに悪行は排泄され、仏様や聖人になれるということです。それこそが天国に行くことです。

「意識のDNA」

人は子供や孫の中に、自身のDNAを残し広げます。そこには生物としての情報はありますが、意識はありません。しかし、思想信条生き方のDNAを残し、多くの人の中にそれを残すことができれば、自分の意識の広がりを持つことができます。人々がインターネットでつながることができるように、人々の意識の中のネットワークに、自身の意識を持つことができるかもしれません。

人が天の啓示を聴いたり、ひらめいたり、宇宙の意識からメッセージを受け取ったりするという人がいますが、もしかしたら人々の中に思想信条生き方のDNAとして残った意識が人の意識のネットワークをもってそのような意識の表れとして、出現しているのかもしれません。

輪廻転生を現実に調査してその現象を科学的に検証したという報告もありますが、その意識が一体どこに残っていて、新しく生まれた子供に宿るのか、それはどこか異次元の世界にあるのではなく、われわれ人間のもつ意識のネットワークの中に宿り続け、やがてその子供の意識の中に強く現出した結果ではないかと思います。

「永遠の意識」

生物の中でも人間だけは、肉体の死をもってしても意識は永遠に生き続けることができるのかもしれません。

永遠の意識が天国で生きるのか、地獄で生きるのか。それは生きている間にどれだけの善行ができ、多くの人にそのDNAを残すことができるか。人々から完全に忘れ去られる時は、本当の意識の消失として終焉を迎えるということですね。