「安眠」カテゴリーアーカイブ

お盆休み

いよいよお盆休みウィークに突入しましたね。大渋滞の中帰省するのも、帰ってくる人を迎え入れるのも、楽しい夏の一大イベントです。一週間くらいであっという間に過ぎてしまいますが、この時期くらいは御先祖様を静かに思うのもいいですね。

温熱環境の睡眠が自律神経に及ぼす影響ということで富山大学の論文をご紹介させていただきます。

富山は、年間を通して日本で最も湿度の高い地域の一つで、肌のきれいな美人が多いことでも有名ですね。その湿度の高さや夏場の気温の高さが、睡眠時に人体に与える影響についての研究です。

(論文紹介)温熱環境と自律神経

室温27度の設定で睡眠すると、人はどのような反応を示すのかという実験結果です。寝ているのに副交感神経活動が低下し、自律神経の乱れが生じることで、体に様々な影響が生じる可能性があるということです。「熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)の日数が多い年ほど熱中症死亡数が多くなることが報告されている.これらのことから,熱帯夜のような不快な環境下で就寝すると,深睡眠となっても交感神経が相対的に優位となるため心血管系に対する負担が増大し,このような生体反応が就寝中の死亡に関与している可能性があると考えられる。」

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脱水症状でむくみ

今朝目が覚めたら、目を開けられないくらいに顔がむくんでいました。あまりの暑さで大量の汗をかいたことで脱水症状を起こしたのではないかと思います。そのため身体が水をため込んでいるようです。まずい、毒素が排せつできない。

さて、本日紹介する論文は睡眠と認知症の関係についてです。

(論文紹介)脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化

睡眠不足で、脳が委縮して空間が増える。筋肉のように使っているか使っていないかで増えたり減ったりするのとはメカニズムが違う気がします。眠ることによる維持できる仕組みがあるようです。

本日は高齢者の認知能力と睡眠の関係を調査した論文をご紹介させていただきます。睡眠時間の長さと、脳の萎縮変化をMRIで調査した結果、睡眠時間が短い対象者の脳萎縮が顕著にみられたという内容です。
要約をご紹介いたします。原文は以下のURLから参照願います。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4098802/

「脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化」

測定と結果
参加者は2年ごとに磁気共鳴イメージングと神経心理学的評価を受けた。睡眠持続時間および質ならびに血液サンプルの主観評価を得た。ベースライン時の睡眠時間の減少の1時間ごとに、脳室の年間拡大率を0.59%(P = 0.007)、世界的認知能力の年率低下率を0.67%(P = 0.050)年齢、性別、教育、および体格指数の影響。対照的に、ベースラインにおける全身睡眠の質は、脳または認知的老化を調節しなかった。全身性炎症のマーカーである高感受性C反応性タンパク質は、ベースライン睡眠期間、脳構造、または認知能力と相関がなかった。

結論
健康な高齢者では、短い睡眠期間は年齢関連の脳萎縮および認知低下と関連している。これらの関連は、短い睡眠者間の上昇した炎症反応に関連していない。

結果
脳構造の経時変化に対するベースライン時の睡眠の影響

我々のコホートにおける全脳容積、灰白質体積、白質体積、海馬容積、総心室容積、下前頭回流容積、および上前頭回容積の縦方向変化は、報告されたものに匹敵するか、健康な高齢者の他のサンプル。

参加者は、心室拡張の割合が変化し、一部は顕著な変化を示さず、その他は最大APCが8.35%であった。心室APCの変動の約10.2%がベースライン時の睡眠持続時間によって説明された(P = 0.039)。eTIVの影響をコントロールした後、ベースライン時の睡眠持続時間の1時間ごとの減少は、脳室の年間拡張を0.55%増加させた(標準化されていない係数:B = -0.552、P = 0.013)。年齢、性別、教育、およびBMIの影響をさらに管理した後、ベースライン睡眠期間の影響は統計的に有意であった。ベースライン時の睡眠期間の1時間ごとの減少は、毎年の心室膨張率の0.59%の増加を予測した(B= -0.587、P = 0.007)。さらに、両心室の総心室容積が3SDを超える2人の参加者を除外した後でさえ、心室拡張の速度に対するベースライン睡眠持続時間の有意な寄与を見出した(B = -0.616、P = 0.005)。この睡眠期間の影響は、他の脳尺度では観察されなかった(P> 0.148)。

結論
比較的健康な高齢者であっても2 年の短い間隔であっても、自己報告されたベースライン時の短い睡眠は、より速い心室拡張を予測する。ベースラインでの短い睡眠期間の効果は、認知能力の低下を加速させる上でより多様で控えめであり、予備的とみなされるべきである。あまり健康でない高齢者の脳および認知老化を予測する上で、睡眠の持続時間がより重要な役割を果たすかどうかはまだ調査されている。

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寝るときの明かり

裏路地を歩いていると、アゲハ蝶が飛んできました。他人様の庭ですが思わず一枚。窓ガラスの中に人が居なくてよかった。本日紹介する論文は日中と夜間の明かりに関する生理の研究。いろいろな説が出ますが、どうやら夜間の明るさは3ルクスが分かれ目のようです。明るい部屋で寝ると太ることは間違いないようですね。

(論文紹介)日中と夜間の明かりに関する生理の研究

どうしても夜間の仕事で日中睡眠をとる必要がある方たちがいます。その方たちができるだけ健康な睡眠をとり、ストレスを軽減できるよう、安眠家具Sleep Laboを使っていただきたいと思います。
不眠症の克服には、日中の活動、特にどれだけ日光を浴びるかが重要だということです。むしろ浴びないと眠れなくなるということのようですね。
奈良県立大学による光暴露の研究論文をご紹介します。
原文はURLからご覧ください。概要のみご紹介させていただきます。

光曝露およびメラトニン分泌量に関する時間疫学研究
大林賢史
奈良県立医科大学医学部 地域健康医学講座
http://chronobiology.jp/journal/JSC2015-1-013.pdf

概要
現代人は日中に屋内で生活することが多いため日中光曝露量が少なく、夜間は人工照明を使うため夜間光曝露量が多い傾向があります(図1)[2]。

現代人のこのような光の浴び方が、生体リズムの変化やメラトニン分泌の減少を引き起こし、現代社会で増加している肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、不眠症、うつ病など多くの疾病の原因になっているのではないか?これが私どもの研究仮説です。

メラトニン分泌量と関連を認めた因子は、年齢・喫煙状況・ベンゾジアゼピン内服・日長時間・身体活動量および日中光曝露量でした。夜間光曝露量はメラトニン分泌と関連を認めませんでした。これらの潜在的交絡因子を同時投入した多変量線形回帰分析モデルにおいて、日中光曝露量( 日中平均光曝露量および1000 lux以上の光曝露時間)はメラトニン分泌量と有意に関連していました(ともに回帰係数0.101, P<0.05)。それぞれの項目に平均値を代入した回帰式より、1000 lux以上の光曝露時間とメラトニン分泌の関連を図4に示します[6]。

528人を夜間平均光曝露量 = 3luxをカットオフ値として、夜間光曝露量が多い群(145人)と少ない群(383人)の2群に分け、年齢・性別・喫煙状況・飲酒習慣・世帯収入・教育年数を同時投入した多変量ロジスティック回帰分析モデルにおいて、夜間光曝露量が<3luxの群に比較して、≧3luxの群における肥満症および脂質異常症のオッズ比は、それぞれ1.89、1.72と有意に高いことが分かりました(ともにP<0.05, 図5)[7]。

これらの結果は、先に述べた三島先生やFonkenらの先行実験研究で示されていた日中・夜間光曝露による生体影響が日常生活でも同様で起こる可能性を一般高齢者集団で実証した点で重要なものであると思われます。さらに夜間の光曝露量はアクチグラフで測定した睡眠の質、質問票を用いて測定した睡眠の質やうつ症状、頚動脈超音波検査による動脈硬化指標などと関連することを報告しました[8-10]。また、メラトニン分泌量は血圧変動、夜間頻尿、白血球・血小板数、Cardio-ankle vascularindexによる動脈硬化指標などと関連することを報告しました[11-14]。

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祭りの香り

日進七夕祭りが終わり、大宮地域のお祭りは次の指扇祭り(8月24日)まで少し空きますね。地域の盆踊りなどが各地で行われるのでしょう。さて本日のご紹介する論文は「発酵乳の香りに睡眠の質を高める効果」というものです。お祭りの通りは、タコ焼きや焼きそばのソースの香りと、綿あめやかき氷の蜜の香り。そこにアルコールの香りがプラスされて独特の祭り臭になりますね。ちょっとワクワクドキドキ心躍る気分になるのは、大人も子供もでしょう。

(論文紹介)発酵乳の香りに“睡眠の質”を高める効果
安眠と香りについての論文です。乳酸菌と酵母で作る発酵乳の香りって、おいしい日本酒の吟醸香のような香りでしょうかね?よく眠れそうです。

乳酸菌と酵母でつくる発酵乳の香りに“睡眠の質”を高める効果があることを確認
乳酸菌と酵母による2度の発酵でつくるアサヒ飲料社独自の発酵乳(以下、本発酵乳)には、一般的な乳酸菌でつくる発酵乳とは異なる果実のような独特な芳香があります。これまでの研究で、本発酵乳の香りには、不安を和らげたり、日周リズム(体の昼夜のリズム)を改善する効果があることを動物実験で明らかにしています。今回、本発酵乳の香りの効果をさらに明らかにするために、睡眠の質に与える影響を調べました。
※本研究成果は日本農芸化学会2016年度大会(2016年3月27日~30日)で発表した内容です。

http://www.asahigroup-holdings.com/research/group/report/report26.html

睡眠の仕組み ~質の良い睡眠とは?~

ヒトの睡眠は、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠から構成されます。ノンレム睡眠中は、身体が真に休まっている状態にあることから、ノンレム睡眠の割合が多い睡眠が、質の良い睡眠といえます。また、睡眠中の覚醒(目覚め)は、眠りが浅いことを意味し、覚醒回数が少ないことも、質の良い睡眠といえます。


実験方法
ラットの睡眠は、覚醒回数が多い点でヒトと異なりますが、ノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返される基本的な睡眠のリズムはヒトと同じです。そこで、ラットを用いて、本発酵乳の香りが睡眠に与える影響を調べました。
ラットを2つのグループに分け、一方のグループにのみ休息期(主に寝ている時間帯)に、本発酵乳の香りを1日1回30分間、7日間毎日嗅がせました。香りが睡眠に与える短期的な影響と、長期的な影響を調べるため、1回目の香りを嗅がせた翌日(2回目の香りを嗅ぐ前)と、7日間香りを嗅がせた翌日に、脳波等を測定して、休息期のノンレム睡眠、レム睡眠、覚醒の時間や回数を調べました。

<結果1>睡眠時のノンレム睡眠(深い眠り)の割合が増加
1回目の香りを嗅がせた翌日、香りを嗅がせたラットは、香りを嗅がせていないラットと比べて、休息期初期(休息期に入って初めの3時間)のノンレム睡眠が占める割合が増加する傾向がみられました。また、7日間香りを嗅がせると、休息期初期のノンレム睡眠が占める割合が有意に増加しました。

<結果2>睡眠時の覚醒(目覚め)の回数が減少
7日間香りを嗅がせると、香りを嗅がせていないラットと比べて、休息期の覚醒回数が有意に減少しました。

まとめと今後の展望

 本発酵乳の香りを嗅いだラットは、休息期におけるノンレム睡眠の割合が増加し、覚醒回数が減少しました。また、これらの効果は、1回目に香りを嗅がせた翌日よりも、7日間香りを嗅がせた翌日に、顕著にみられました。このことから、本発酵乳の香りには睡眠の質を高める効果があること、さらに、継続的に嗅ぐことで、効果が高まる可能性があることがわかりました。今後、有効成分の解明やヒトの睡眠の質に与える影響について検討を進めてまいります。

これまでの研究成果

■乳酸菌と酵母でつくる発酵乳の香りには、自律神経に働きかけ、日周リズムの改善や不安を和らげるはたらきがあることを確認
(日本農芸化学会2014年度大会にて発表  発表タイトル:「乳酸菌と酵母で発酵した発酵乳の香りが自律神経と行動に与える影響」)

■乳酸菌発酵後に酵母発酵を加えると発酵乳の嗜好性が向上すること、その要因として発酵から生まれた「香り」が重要であることを確認
(日本農芸化学会2012年度大会にて発表 発表タイトル:「発酵乳の嗜好性向上に与える乳酸菌および酵母の役割」)

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寝不足とダイエット

昨日今日と地元日進では、七夕まつりが開催されており、多くの人で混雑しています。お近くの方はぜひ足を向けてみてください。さて、本日ご紹介するのは寝不足はダイエットの敵という記事です。要するに寝不足になると理性的な我慢が弱くなるという事ですね。

(記事紹介)寝不足はダイエットの敵

これ食べたら太るよなー・・。わかっているのにやめられない。これ、前頭前皮質の実行機能の抑制かもしれませんね。寝不足になると機能が低下するそうです。
社会的なコントロールも抑制されるので、寝不足にならないことが大切ですが、寝不足の時はブドウ糖を摂取して、悪いことしないようにしましょうね。

柳沢正史教授が機構長を務める筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構からのプレスリリースをご紹介します。
寝不足の状態が脳の活動にどのような影響を与えるかの研究の中からの成果を、一般の方の関心事に向けて警告しているということですね。実際は同じ睡眠でもレム睡眠とノンレム睡眠の違いや睡眠の質というものにもかかわってくるものです。安眠が大切であることを分かりやすく示しています。
睡眠にまつわる脳活動の解明で次々と新しい発見を行っていますので、注目しています。

ポイントを紹介いたしますので、全文はURLから確認してください。

(記事紹介)寝不足はダイエットの敵

プレスリリース

2017.1.10|国立大学法人 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)

寝不足はダイエットの敵

睡眠時間が足りないと甘いものがほしくなる理由

研究成果のポイント

  1. レム睡眠量が減少すると、ショ糖や脂質など、太りやすい食物の摂取量が増加する原因の一端を見出しました。
  2. 前頭前皮質の神経活動を抑制すると、レム睡眠量が減少してもショ糖の摂取量は増加しませんでした。一方、脂質の摂取量は、前頭前皮質の抑制の影響を受けることなく増加しました。
  3. レム睡眠が不足しているときに、肥満につながる食物を摂取したくなる欲求は、前頭前皮質が直接的に制御している可能性が示唆されました。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)のミハエル・ラザルス准教授らの研究グループは、レム睡眠量を減少させると、ショ糖や脂質など、肥満につながる食べ物の過剰摂取が引き起こされる原因の一端を明らかにしました。食べ物の味や香り、食感などの嗜好を判断する役割を担う脳部位である前頭前皮質の神経活動を抑制したマウスでは、レム睡眠量が減少しても、ショ糖の摂取量は増加しませんでした。一方、脂質の摂取量は、前頭前皮質の神経活動抑制の影響を受けることなく、対照群と同様に増加しました。このことから、睡眠不足の状態にあるとき、体重を増加させる可能性のある、ショ糖が多く含まれる食べ物を摂取したくなる欲求は、前頭前皮質が直接的に制御している可能性が示唆されました。

本研究成果は、eLife誌にて2016年12月6日付でオンライン公開されました。

図 2|レム睡眠の不足は、糖質や脂質などを多く含む「不健康な」食べ物への欲求を高める。

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日進七夕まつり

今日明日と日進七夕まつりが開催されます。狭い駅前通りも一方通行化して、歩きやすくなり、更に電線の地中化工事を進めるようです。電柱がなくなると、七夕飾りの竹を縛り付けるところがなくなるのですが、ちょっと気になりますね。

本日ご紹介の論文は労働時間が睡眠時間にどう影響を与えるかという物です。働き方改革で安眠が得られるようになるのでしょうか。

(論文紹介)労働時間と睡眠時間
労働時間が睡眠時間にどう影響するかを調べた報告書です。仕事とストレス。ストレスと睡眠。よく考えなければいけません。
全文は長いので、以下のURLで原文をご覧ください。ここでは要旨のみをご紹介させていただきます。
http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou054/hou54_03_02.pdf
3 研究論文集

労働時間と睡眠時間
獨協大学経済学部 教授 阿部 正浩

要旨
この論文の目的は、日本人の睡眠行動と労働の関係を探ることにある。社会生活基本調査を用いて実証分析した結果、次のような結論が得られた。
一つ目の結論は、労働時間の長さは睡眠時間に影響するということである。男性の平均的な睡眠時間は女性に比べて長いが、その分布は広く、労働時間によって睡眠時間の長さが変化していることになる。女性の場合には雇用形態によってその度合いは異なるが、全般的に労働時間が長いほど睡眠時間は短くなる。二つ目の結論は、男性と女性正規雇用者の睡眠に関する固定時間費用は小さく、労働時間の変動を睡眠時間の長さで調整していることだ。1 日24 時間だから、一つの行動が長くなれば他の行動を短くするのは当然だ。しかし、男性と女性の正規雇用者に関しては、労働時間の長さを、他の行動ではなくて、睡眠を短くすることで調整している傾向にある。これに対して女性パート・アルバイトについては、家事の固定時間費用が低く、労働時間の変動を家事時間で吸収する傾向にある。
そして、睡眠時間の固定時間費用は高く、睡眠時間で調整は正規雇用者に比べて小さい。
以上の結論は、我が国において労働時間管理が、人々の健康管理の上でも重要な役割を果たすことを示唆する。特に正規雇用者の場合、他の雇用形態と比べて、労働時間の長さを睡眠時間で調整しようとする傾向にあり、長時間労働は睡眠不足をもたらす。たとえば、表4 の男性正規雇用者の労働時間の係数は、0.147 だが、これは労働時間が1 時間長くなる毎に9 分ほど睡眠時間が短くなることを意味する。ワーク・ライフ・バランス政策の推進は、仕事と家庭の両立だけでなく、国民の健康促進の上でも重要である。

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ハザードレベル3

ハザードレベル3の遊具。全国で公園遊具の使用禁止措置が取られているようで、さいたま市では約20%が禁止となっています。例えばこの鉄棒は、基礎のコンクリート部分がむき出しになっているため、落下して頭を打つなどの危険性が高いという事のようですね。そのほか頭や首を挟んでしまうなどの理由で、滑り台や雲梯などが使用禁止になっています。いよいよ子供が外で遊ばなくなる。

昨日ご紹介した筑波大学の柳沢教授はフォワードジェネティクス解析で特定遺伝子を発見する手法です。人為的な突然変異を起こした多くのマウスを作り、その中から目的とするマウスを見つけ出してその遺伝子の変異を確認するという手法です。

本日ご紹介の名古屋大学の山中教授はオプトジェネティクスで、機序を解析する手法です。特定の光に反応する部位を持つ遺伝子を組み込んだマウスを作り、特に脳内に光と反応する部位を作り出すことで、生きた状態でその機能を確認するという手法です。

(論文)REM睡眠とNON-REM睡眠の両方を調節する神経を同定

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氷川神社の池の水

朝から暑い日曜日。月一の清掃ボランティアからの氷川神社参拝。「池の水全部抜く」で無くなっていた神池に水が入っていました。鯉が居ない。アカミミ亀は少しいました。鴨が居て、逃げない。本日紹介の論文は、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えがどのような仕組みで行われているのかを調べた論文です。


(
論文紹介)REM睡眠non-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のレム睡眠ノンレム睡眠のプレスリリース論文をご紹介します。
レム睡眠の役割は、ノンレム睡眠の徐波の発生に寄与している。ノンレム睡眠の徐波とは、記憶の定着やシナプスの結合を強める効果があることが分かっているので、レム睡眠が阻害されると、記憶力が弱くなったりするのかもしれません。

これまで、夢を見るのは睡眠の状態の中でもREM睡眠(急速眼球運動)の時とされていましたが、non-REM睡眠時であっても、脳の活動状況によって夢を見ていることが確認されました。

実はこれまでもnon-REM睡眠時にも、夢を見ていることがある事はわかっていたのですが、その仕組みについてはわかっていませんでした。
夢を見ているときには、脳の中で高周波電気活動が生じるのですが、脳の後部が高周波電気活動を示す「ホットゾーン」の活動をモニタリングすることで、92%の確率で夢を見ていることが確認でき、81%の確率で夢を見ていないことが確認できたということです。

更には、夢の内容も脳の活動領域の活性を確認することで特定できることが分かりました。
言語知覚及び理解に関与する大脳皮質の領域で活動を引き起こしたときには、夢の中で会話をしていたり、人が出てくる場合には脳の顔認識をつかさどる領域が活動していたということです。

実験には46人のボランティアに256の電極で覆われたネットを着用して眠ってもらい、脳内の電気活動のモニタリングと被検者の夢の報告を比較したもので調べた結果です。

この実験は人の意識を研究する一環で、夢を見ているときは、起きて活動しているときと同じ脳の領域を使っており、夢はその人の本当の経験となっている。
「人の意識と脳領域の関係を理解する」意識の根幹をなすものが何かということの研究です。
今話題のAI研究でも意識というものを最終的に機械が持てるのかということが話題になったりします。
人間とは何かというものを研究するうえで、夢を見ることも謎を解明する糸口なのですね。

(論文)REM睡眠、NON-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定
https://rudder-coltd.jp/ronbunremneuron/

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睡眠障害の環境改善

大宮の中山道まつりとスパークカーニバルが終わり、次は日進七夕まつり。暑い時期に熱い祭りでぐだ~っとした気分をしゃっき!とさせる。いいですね!活気が出ます。

今日ご紹介の論文は睡眠障害と健康への影響。睡眠障害を引き起こす原因を一つ一つ解決していくと、安眠家具SleepLaboにつながっていきます。

総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
睡眠障害と健康との因果関係については、誰でも承知と思ってはいるものの、実際のエビデンスに基づいた資料などが体系的に示されているものがあまりなかった。
それを様々な実験結果や調査結果と関連付けて総説とした論文です。最終的なまとめも結果的には私の安眠家具につながると思いますが、一つだけ気に入らないのが、睡眠薬を医師の指導で正しく使えば安全というところですね。少なくとも日本の医師で不眠症の症状を患者の申告ではなく、検査を行ったうえで正しく処方しているほうが、圧倒的に少ない現状が正しくないと思っています。

(論文)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010002.pdf

土井由利子
国立保健医療科学院統括研究官(疫学調査研究分野)
Prevalence and health impacts of sleep disorders in Japan

抄録
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある。このような流れの中で,過去10 年間を振り返って,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と睡眠障害による健康影響について,エビデンスをもとにレビューすることは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
文献レビューの結果,睡眠障害の有症率は,慢性不眠で約20%,睡眠時無呼吸症候群で3% ~ 22%,周期性四肢運動障害で2 ~ 12%, レストレスレッグス症候群で0.96 ~ 1.80%,ナルコレプシーで0.16 ~ 0.59%,睡眠相後退障害で0.13 ~ 0.40%であった。
健康影響に関するコホート研究では,死亡に対し短時間睡眠で1.3 ~ 2.4,長時間睡眠で1.4 ~ 1.6,2 型糖尿病の罹病に対し入眠困難で1.6 ~ 3.0,中途覚醒で2.2 と有意なリスク比,入眠困難と抑うつとの間で1.6 と有意なオッズ比を認めた.日本国内外のコホート研究に基づくメタアナリシス研究でも同様の結果であった。
以上より,睡眠障害へ適切に対処することが人々の健康増進やQOL の向上に大きく寄与することが示唆された。そのためには,睡眠衛生に関する健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が重要である。また,睡眠障害の中には,通常の睡眠薬では無効な難治性の神経筋疾患なども含まれており,睡眠専門医との連携など保健医療福祉における環境整備も進める必要がある。
キーワード:睡眠障害,睡眠時間,不眠,死亡,罹病

Ⅰ.はじめに
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある.このような流れの中で,過去10 年間における日本の睡眠障害の実態を明らかにし,その健康影響についてエビデンスをもとに概観することは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
そこで,本稿では,ヒトの正常睡眠と睡眠障害について概説した上で,これまでに蓄積された疫学研究の成果をもとに,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と健康影響についてレビューする。

Ⅱ.睡眠の量,質,リズム
私たちの眠り(睡眠)と目覚め(覚醒)は,体内にある生物時計による時刻依存性(サーカディアンリズム)と,時刻に依存しないで覚醒時間の長さによって量と質が決定される恒常性維持機能(ホメオスターシス)によって制御されている.以下に,ヒトの正常睡眠について簡単に解説する。

1.睡眠の量と質
夜間ヒトの睡眠中に電極を付けて終夜ポリグラフ(脳波・眼球運動・筋電位)をとると,脳波では,覚醒→ノンレム睡眠(段階1 →段階2 →段階3 →段階4)→レム睡眠を1 サイクル(約90 分)として,1 晩に3 ~ 5 サイクルを繰り返す.覚醒と浅いノンレム睡眠(段階1 と段階2)が混在する移行期を入眠過程という。浅いノンレム睡眠から,徐波睡眠(段階3 と段階4)とよばれる深いノンレム睡眠へ進み,レム睡眠(脳波↑,筋電位↓,急速眼球運動)を経て1 サイクルが終わる[1]。
Ohayon ら[2] は,5 ~ 102 歳の健常人3,577 人(5-19 歳:1,186 人,20-102 歳: 2,391 人)を対象に実施された終夜ポリグラフまたはアクチグラフから得られた睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,睡眠効率(睡眠/(睡眠+覚醒)),睡眠段階1(%),睡眠段階2( %),徐波睡眠(%),レム睡眠(%),レム睡眠潜時,中途覚醒時間)をプールし,年齢による睡眠変数への影響についてメタアナリシスを行った(図1)。
この研究によれば,年齢が進むにつれて,総睡眠時間,睡眠効率,徐波睡眠,レム睡眠,レム睡眠潜時が減少,睡眠潜時,中途覚醒時間,睡眠段階1,睡眠段階2 が増加することが認められた.年齢以外では,精神疾患,身体疾患,服薬や飲酒,睡眠時無呼吸などの睡眠障害,性別,睡眠習慣などが,睡眠変数の分布に影響を及ぼすことが確認された。

2.睡眠・覚醒リズム
ヒトの睡眠・覚醒リズム(概日リズム)の概念図を示す(図2)[3,4].生物時計の機能は,①自律性の概日リズム,②昼夜変化(明暗サイクル)への同調,③生体機能への概日リズムの伝達と発現の3 要素に分解できる.睡眠・覚醒リズムあるいは睡眠・覚醒傾向は,生物時計,恒常性維持機能,明暗サイクル(光)によって制御され,その他の要因(図2 の左上のボックス内,右のボックス内)によって影響を受ける。
生物時計自体の発する概日リズムを直接測定することはできないが,深部体温,メラトニン,ホルモン(コルチゾール,成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,プロラクチンなど)の測定値が概日リズムを示すことによって,生物時計の概日リズムを間接的に観測することができる。

Ⅲ.睡眠障害
睡眠障害に関する国際分類には,世界保健機関(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)),米国精神医学会(APA)による「精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders( DSM))」などがあるが,ここでは,米国睡眠障害連合(ASDA)が中心となってまとめた「睡眠障害国際分類(International Classifi cation of Sleep Disorders(ICSD))」を紹介する。加えて,主な睡眠障害が日本ではどのくらいの頻度でみられるのか,これまでに行われた疫学研究をもとに紹介する。

1.睡眠障害国際分類
2005 年に改訂された睡眠障害国際分類第2 版(ICSD-2)[5,6] による主要な睡眠障害(8 項目)を表1 に示す。


それぞれの睡眠障害は,さらに次のように,細分類される。
不眠症(適応障害性,精神生理性,逆説性,特発性,精神障害,不適切な睡眠衛生,行動的(小児期),薬剤・物質,内科的疾患,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),睡眠関連呼吸障害(中枢性睡眠時無呼吸症候群,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,睡眠関連低換気/ 低酸素血症症候群,その他),中枢性過眠症(ナルコレプシー,反復性,特発性,行動起因性睡眠不足症候群,内科的疾患,薬剤・物質,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),概日リズム睡眠障害(睡眠相後退型,睡眠相前進型,不規則睡眠・覚醒リズム,自由継続型,時差型,交代勤務型,内科的疾患,薬剤・物質,その他),睡眠時随伴症(ノンレム睡眠からの覚醒障害,レム睡眠関連,その他),睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群),周期性四肢運動障害,睡眠関連下肢こむらがえり,睡眠関連歯ぎしり,睡眠関連律動性運動障害,特定不能,薬剤・物質,身体疾患),孤発性の諸症状・正常範囲内の異型症状・未解決の諸問題(長時間睡眠者,短時間睡眠者,いびき,寝言,ひきつけ,ミオクローヌス),その他の睡眠障害(環境性,その他)。
いずれの睡眠障害も,疾患特異的な症状のほかに,夜間の不眠や日中の眠気といった症状を呈する。睡眠障害に応じて治療方法が異なるので,ICSD-2 に基づいて,正しく診断・分類することが肝要である。

2.睡眠障害の頻度
表2 に,それぞれの睡眠障害を有する人々がどれくらいいるのか,日本で実施された主な疫学研究の結果(有症率)を示す。

いずれも地域・職域で行われた比較的大規模なヒト集団を対象としたものであるため,その多くは,目的とする睡眠障害に適した質問紙を用いて,対象者の自己申告に基づき,睡眠障害があるかどうかの判定を行っている。
1997 年に実施された全国調査によれば,入眠困難(寝付きが悪い)や中途覚醒(夜間・早朝に目が覚める)などの不眠の症状が一時的ではなく1 ヶ月以上続く,慢性不眠の有症率は約20% と推定された[7,8].ICSD-2(2005 年)の不眠症の判定基準では[5],夜間の不眠の症状に,日中の機能障害(日中の眠気,注意力・集中力の低下など)が追記されたので,この判定基準に照らし合わせると,不眠症の有症率は,これよりも低くなるであろう。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の判定の場合には,終夜ポリグラフ検査による睡眠中の呼吸イベント(無呼吸・低呼吸/ 睡眠1 時間)の確認が必須であるが[5],疫学研究では,携帯型の簡易装置(パルスオキシメーター,鼻口呼吸センサー,気道音センサー)を用いて睡眠1 時間あたりの動脈血酸素飽和度の3%以上の低下や無呼吸・低呼吸の頻度を測定して代用している.睡眠時無呼吸症候群の有症率は,おそらく対象とした集団や測定方法の違いなどからであろう,低いものでは約3%(地域住民女性),高いものでは
約22%(職域男性)と,大きな開きがみられた[9-12]。
ナルコレプシーの有症率は0.16 ~ 0.59%[13,14],睡眠相後退障害の有症率は0.13 ~ 0.40% [15,16],レストレスレッグス症候群の有症率は0.96 ~ 1.80%[17-19] と,不眠症や睡眠時無呼吸症候群に比べると,その頻度は低い。
周期性四肢運動障害は,ノンレム睡眠期に足関節の周期的な不随意運動によって夜間の睡眠が妨げられる障害であるため,判定には終夜ポリグラフ検査が必須である[5]。
ここで報告されている周期性四肢運動障害の有症率2 ~12%[20,21] は,第3 者(ベッドパートナーやルームメイトなど)による評価(眠っている間に足のビクンとする動きがある)に基づいて判定されたものである。

Ⅳ.睡眠と健康
ここでは,睡眠時間と死亡(総死亡)や罹病(2 型糖尿病),慢性不眠と併存疾患や罹病(2 型糖尿病,うつ病)に関して,これまでに蓄積された疫学研究の成果から,現時点で明らかになっていることについて解説する。

1.睡眠時間
1)分布
2007 年に厚生労働省によって実施された2 つの実態調査(国民健康・栄養調査[22]) と労働安全衛生特別調査[23])の報告をもとに,睡眠時間の分布を示す(図3)。

無作為に抽出された全国の15 歳以上の一般住民(8,119 人)および20 歳以上の民営事業所従業員(11,440 人)ともに,6-6.9 時間を中央値・最頻値とした正規分布をしていた。睡眠時間が6 時間未満の者の割合は,15 歳以上の住民では,男性26%,女性31%,20 歳以上の従業員では,男性41%,女性45% であった.年齢階級別(図4)では40-49 歳(37%),

職種別(図5)では保安(68%),運輸(50%),営業・サービス(49%)が高い割合を示した.一般住民[24],ホワイトカラー[25],シフトワーカー[26] を対象とした先行研究では,睡眠時間が6 時間を下回ると,日中に過度の眠気を来すことが報告されている。


睡眠時間が9 時間以上の者に関しては,従業員ではみられなかったが,15 歳以上の一般住民では全体で3% であった(図3)。これを年齢階級別に見ると,70 歳以上では10% に上っていたが,70 歳未満は2% 以下であった(図4).終夜ポリグラフから客観的に得られた健常人の睡眠時間は,年齢とともに減少することが確認されている(図1)。
高齢者の場合,本人の自己申告(アンケート調査や生活時間調査など)による睡眠時間には,実際の睡眠時間(図1の総睡眠時間に相当)の他に,床の中で寝付くまでに要する時間(図1 の睡眠潜時に相当)や途中で目が覚めた時間(図1 の中途覚醒に相当)や午睡の時間が含まれている可能性がある。

2)死亡
近年,多くの疫学研究(コホート研究)により,睡眠時間が総死亡と有意な関連(U字型)を示したとする報告が相次いだ.これらのコホート研究をもとに,Gallicchio Lら[27] とCappuccio FP ら[28] は,それぞれ独自に睡眠時間と死亡に関するメタアナリシスを行った.メタアナリシスには,異質性や公表バイアスなど研究方法上の限界はあるものの,ここでは,2009 年3 月までに発表された論文をもとにCappuccio FP ら[28] が行ったメタアナリシスによる最新の知見を紹介する.この中には,日本からのコホート研究[29-33] が含まれているが,同一のコホート研究からの発表論文[32,33] は基準に合致した方が採用されている.その結果,死亡に対する相対リスク(95% 信頼区間)は,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,4時間未満と定義は異なる)で1.12(1.06-1.18),長時間睡眠(8時間以上,9-9.9 時間,9 時間以上,10 時間以上,12 時間以上と定義は異なる)で1.30(1.22-1.38)と有意に高くなっていた(表3)。

短時間睡眠と死亡との因果関係の機序については,充分に解明されているわけではないが,短時間睡眠による糖代謝および交感神経系や免疫系への影響が示唆されている。長時間睡眠と死亡との因果関係については,その機序を示唆する研究は今のところ無い。むしろ,調整しきれなかった交絡要因(潜在要因を含む)や併存疾患によるものではないかと考えられている.例えば,長時間睡眠と関連があるとされる,芳しくない健康状態,診断のついていない病気,身体活動状態の低下,抑うつ状態,良好ではない社会経済状態などである。

3)2 型糖尿病
Cappuccio FP ら[34] は,2009 年4 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,と定義は異なる)で1.28(1.03-1.60),長時間睡眠(8 時間以上9 時間以上と定義は異なる)で1.48(1.13-1.96)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から職域でのコホート研究(6,509人)[35] が含まれているが,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠,長時間睡眠,いずれにおいても有意ではなかった。

2.不眠
1)併存する症状や疾患
不眠の症状は,さまざまな心身の症状と関連しており,身体疾患や精神疾患などと併存している[5].前述のⅢ- 2で紹介した全国調査によれば,慢性不眠の症状(入眠困難や中途覚醒)と関連する心身の症状として,腰痛,心窩部痛,体重減少,頭痛,疲労,心配,いらいら,興味の喪失[36],併存疾患として,高血圧症,心疾患,糖尿病,筋骨格系疾患,胃・十二指腸潰瘍[37] が認められた。

2)2 型糖尿病
前述したCappuccio FP ら[34] による,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスでは,2 型糖尿病の罹病に対する不眠の症状の相対リスクは,入眠困難で1.57(1.25-1.97),中途覚醒で1.84(1.39-2.43)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から,前述の職域でのコホート研究[35] と地域でのコホート研究(2,265人)[38] が含まれている. 地域のコホート研究では, 入眠困難で2.98(1.36-6.53),中途覚醒で2.23(1.08-4.61),職域のコホート研究では入眠困難で1.62(1.01-2.59)と有意であったものの,中途覚醒では1.36(0.87-2.14)と有意差を認めることができなかった.職域のコホート研究では,睡眠時間でも有意差を認めなかったことなどを考え合わせると,理由の1 つとして,健康労働者効果などが考えられる。

3)うつ病
Baglioni C ら[39] は,2010 年2 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,主としてDSM- ⅣまたはTR に基づく不眠症とうつ病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,うつ病の罹病に対する不眠症のオッズ比(95% 信頼区間)は,2.10(1.86-2.38)であった.なお,この中には,日本からの研究は含まれていなかった。
近年,日本において,不眠の症状と抑うつの関連をみたコホート研究では,65 歳以上の地域住民3,065 人を3 年間追跡した結果,入眠困難を有する者はそうでない者に比べ抑うつを呈したオッズ比が1.59(1.01-2.50)であったと報告されている[40]。

Ⅴ.おわりに
以上,日本における睡眠障害の頻度と睡眠障害による健康影響について,解説した.夜間の睡眠障害と日中のQOL(主観的健康感の低下や仕事上・人間関係上のトラブルや事故など)の低下には有意な関連がある[41].しかしながら,睡眠が障害されても適切な対処行動が取られず,寝酒を常用する(男性37.4%,女性10.0%)などして,かえって早朝覚醒を来し充分な睡眠を維持できず悪循環に陥る[42]。
睡眠障害に適切に対処することによって,人々の健康増進やQOL の向上に,大いに貢献できるものと考えられる。
表4 に睡眠障害に対処するための指針を示した。
一人一人が睡眠衛生の面から自分に合った睡眠を確保できるよう,健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が求められている.睡眠障害の多くが,夜間の不眠の症状に日中の眠気など不眠症に共通の症状を呈するが[5],通常の睡眠薬では効果が期待できない疾患,あるいは憎悪してしまう疾患もある.この中には,難治性の神経筋疾患や神経変性疾患なども含まれている[43].症状が改善しない場合には,睡眠障害を専門とする医師による診断と治療が必要となる.保健医療福祉の諸機関と睡眠専門医療機関との連携といった環境面での整備も望まれるところである。

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今日ご紹介する論文は母の薬草と言われるカモミールの効果です。

(論文紹介)総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果

本日ご紹介する論文は、カモミールの安眠効果に関するものです。

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おわりにからまとめ
既にカモミール茶や温めて食べるカモミールゼリーが自律神経活動に影響を与え副交感神経優位をもたらし,この現象と相関して感情評価尺度によるリラックス感得点が上昇することが明らかにされた。一方,植物カモミールに含まれる香気成分やその他の含有成分が心身に及ぼす作用機構や作用物質などについて,新しい知見も見出されつつあるが未解明の部分がまだ多く,特に睡眠に対する影響などについての研究が必要と考えられる。
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