「安眠」カテゴリーアーカイブ

ストレス解消方法

小さな庭の一角に伊予柑の木があります。
今年も30個の実を付けてくれました。12月になってぐっと冷え込んでこないと色づきません。
ある意味ストレスを与えて初めて実が熟すわけですから、適度なストレスは成長に必要でもありますね。1月になって霜が降りるほど過度のストレスがあると、すが入って良くないようです。

ストレス解消方法
ストレス解消方法にはいろいろあります。
東洋医学の考え方から言えば、ストレスによって体にいろいろな反応が出たときには、それに逆らわないで、むしろその反応はストレスに対抗して現れる体の反応であるから、その反応に沿った治療が有効と思われます。
西洋医学では体に出る反応を抑えることで、治療を行いますが、特にメンタルな反応では逆効果になることが多いと思います。

風邪をひいて熱が出る。これは体の抗原抗体反応ですね。ウィルスの増殖を抑える効果などがあります。確かに体はエネルギーをたくさん使うので苦しいですが、必要な作用です。
西洋医学では解熱剤を使って、熱を下げます。これは苦しさを和らげる効果はありますが、ウィルスの増殖を抑える作用を削るために風邪を長引かせることにつながります。
東洋医学では、体を温めます。抗原抗体反応を手助けしている形で、苦しいけれど早く風邪ウィルスを退治し根治を早めます。

ストレスも免疫反応としてとらえた場合はどうすればいいでしょうか。表面の症状を抑えることと、ストレス元を回避することのどちらが、根治になるでしょうか?
ストレスが原因で鬱になったときは、体はそのストレス元に晒されることを回避して、命を守っているわけです。そこに抗うつ剤を処方すればどうなるでしょう。体がどんどんむしばまれていくのを免疫反応が抑えられているために反応できなくなってしまいます。その結果命の危険をさらに高めるだけになってしまいます。
鬱病を発症する前に免疫反応が出るのです。少しずつ出てくる免疫反応を、胃が痛いとか頭痛がするとかを薬でごまかしたり、ストレス解消と称して、アルコールに逃げたりし続けることで後戻りできなくなってくるのです。
ではストレスからは逃げるだけでいいのかというと、免疫療法と同じで、少しづつ抗体を作っていくことでストレスに強くなっていくのです。対処できる問題を解決し、体に覚えさせていく。そのためにはよい眠りが欠かせません。脳細胞に抗体となる経験を刷り込み、成長ホルモンで体を修復するという毎日の繰り返しが、ストレスにも強い体を作っていきます。
体にストレス反応が出たときは、免疫を作るチャンスです。よほどの重傷であればすぐに逃げるべきでしょうが、軽いストレス反応はぜひ自力で乗り越えて、抗体を作り強い体になってもらいたいものです。

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安眠の条件

師走の年も押し迫り、町は遅くまで人の流れが途切れません。
月が西の空に沈んでいくところ、ほとんどの人々は眠りにつく時間。安らかな眠りにつけているでしょうか?
睡眠環境を整え、安眠を得ることが、生活習慣病を予防し、ストレスを減らしていくことが、様々な研究でわかってきました。

安眠の条件

安眠家具というと、ベッドを思い浮かべられるのかもしれません。
ベッドやマットレスや高級な布団やまくらがあっても、睡眠環境を整えるってなかなか難しいです。
Sleep Laboは、ベッドではありません。個人の睡眠環境を整える家具です。

安眠を妨げるもの
「環境」
・騒音
・明るさ
・暑さや寒さ
・乾燥
防音の部屋、遮光カーテン、冷暖房や加湿器で対処したとしても、一緒に生活する相手がいれば、必ずしも自分本位では調節できません。
Sleep Laboは個人の睡眠環境を創り守る家具です。

「心理」
・思考、特に不安や怒り
不眠症に陥る最も多くの原因は、思考ではないでしょうか?眠ろうと考え、眠れないと悩み、眠らなければならないとストレスをかけます。次々といろいろな思考が沸き上がり、払っても払っても払いきれません。
これは株式会社RUDDERのホームページで提供する「思考を止めるテクニック」で解消できます。
不眠症まとめサイト(https://rudder-coltd.jp/furnituresleepingpills/

「その他」
・蚊
・花粉
・におい
・地震などでの落下物
Sleep Laboは安眠の為の安全と安心も作り出せます。
安眠まとめサイト(https://rudder-coltd.jp/sleep/

本気で安眠を考えたSleep Laboだけが、安眠を妨げる問題を解決できます。

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不眠の認知行動療法

氷川神社は正月準備
毎年200万人を超える初詣参拝者の為に、神社の正月準備が進んでいるようです。
二の鳥居から三の鳥居まで五〇〇メートルほどの参道に出店もたくさん出るので、参道にごみがたくさん捨てられてしまいます。参道の並木一本ずつにしめ縄を張り、ここは神様のいる場所ですよ。ごみは持ち帰りましょうね。と呼びかけています。

不眠の認知行動療法
不眠症には、睡眠薬という薬物療法とは別に、認知行動療法という薬を使わない心理療法があります。

認知行動療法を提供する治療者の為の「認知行動療法マニュアル」PDFがダウンロードできますので、興味のある方はご覧になっていただきたいと思います。
https://www.asakura.co.jp/G_27_2.php?id=113

これは「不眠の科学」という専門書の付録としてついているものですので、さらに深めたい方はそちらも読んでいただいてよいかと思います。

概要で説明いたしますと、

導入セッション
まずは認知行動療法という治療方法がある事を知っていただくことから、自分の不眠症の症状を観察して、記録することから始まります。

セッション1 不眠症を理解しよう
なぜ不眠症状が出るのかを説明しています。身体疾患や環境による不眠。ストレスから不眠の不安が不眠を呼ぶ不眠の負のスパイラルを説明しています。

セッション2 意識的に身体をリラックスさせよう
リラックス出来る方法を具体的な筋弛緩法で紹介しています。

セッション3,4 適切な睡眠パターンを取り戻そう
眠れないのに布団の中に入っていることを改め、正しい睡眠のパターンを作るための方法を説明しています。

オプション 日常生活の科学者になろう
睡眠に入るための行動を、すぐに得られる結果と、長い目で見た結果とに分けて、目的のために考えた行動をしようと説いています。

安眠家具「SleepLabo」が睡眠のための環境づくり。安眠できる場所としての認知につながる方法であると思います。

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生活習慣病と安眠家具

お正月準備で昨日氷川神社の参道にしめ縄を張ってきました。
二の鳥居から三の鳥居まで五〇〇メートルほどの参道に出店もたくさん出るので、参道にごみがたくさん捨てられてしまいます。参道の並木一本ずつにしめ縄を張り、ここは神様のいる場所ですよ。ごみは持ち帰りましょうね。と呼びかけています。

生活習慣病と安眠家具

日本人の平均睡眠時間は、世界でも最も短い部類に入るようです。睡眠時間が短いということは睡眠不足を感じている人の割合も多いことになります。

そして長期間の睡眠不足が生活習慣病に悪影響を与えるということも、様々な研究論文で発表されているように、その関連は看過できる状態ではありません。

さて生活習慣病といっても具体的にどのようなものがあるでしょうか。糖尿病、高血圧、脂質異常症、癌も生活習慣病であり、生活習慣の乱れが原因と言われています。さらに、そこから心臓病、脳梗塞、脳溢血、腎臓病等を引き起こします。

病院にかかる原因は、交通事故などの怪我や、ウィルス性の疾病、生まれついての障害や持病を除くとほとんどが、生活習慣病を起点にしているのではないかと思われるほどです。

睡眠障害と生活習慣病が切っても切れない関係であり、悪化するときは両方が悪化し、逆に改善するときは両方が改善するということも言えます。

病気知らずで生活するためには、睡眠障害にかからない生活を行う事に心がけることです。そしてそれこそが生活習慣の改善につながりますので、生活習慣病のリスクを減らすことになるのです。

睡眠障害にかからない生活にはリズムだと思います。

睡眠不足の体で朝起きるのはつらいでしょうが、とにかく決まった時間に必ず布団から出ることから始めることです。

起きたらできるだけ明るい光を浴びることと、日中どんなに眠くても仮眠をとるとか、ボーとする時間を作らない。

夕方から少しずつ活動を抑え、食事を早めに済ませ、お風呂でゆっくり温まって、遅くても23時くらいには布団に入る。

晩御飯から寝るまではパソコンや携帯をいじらず、できればテレビも見ないで新聞や軽い読書でゆったりと過ごす。

もちろん薬を飲まずに寝ます。

交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズに行う生活習慣が睡眠障害にならず生活習慣病にもならない生活になります。

大事なのは安眠の環境

さて布団に入ってそのまま睡眠に入れればいいのですが、寝つきの悪い状態や元々寝つきの良くない方がいます。

強いストレスがある方や、布団に入って眠れないんじゃないかとか、眠らないといけないと強く思ってしまう方が不眠症になりやすいのですが、安眠の環境を作ることがその不安を取り除くことになります。

よく言われるのは寝室は寝るためだけに使いましょうという環境づくりです。条件反射と同じで「ここにいれば眠れる」ということを体に覚えさせることで、眠れないかもしれないという不安を抑えることになるのです。

とはいえ、日本の住宅事情ではむしろ寝室こそは個人空間として様々なことに活用される傾向にあります。また、パートナーがいれば当然個人空間としても完全ではありません。

睡眠はもっともパーソナルな世界です。

自分だけの環境を作るための環境改善。安眠家具が最も睡眠環境改善に有効です。

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ストレス

ずっと天気が良く雲一つない晴天が続いています。
朝日も夕日もすっきり見えますね。同じように見えるのですが、朝日の時には体が交感神経優位で、今日一日の活動に向けて気持ちが高まってくるし、夕日の時には、体が副交感神経優位になっているため、落ち着いてゆったりした気持ちで眺めることができます。

ストレス解消
どの様なストレスでもそのストレスの元がなくなるか、自分が離れることが一番の解決方法になります。

しかし、ストレス元が簡単に消すことができないか、ストレス元から離れることも難しい場合は、ストレス元をなくすための破壊的な行動を擬似的に行うことで、一時的に解消しようとします。
これが、物を壊したり、打撃的な運動をしたり、大声を出すなどによるストレス解消です。ただし、あくまで擬似的な破壊なので、だんだんエスカレートしないとすっきりしなくなります。
これで解消できるのは、ストレス元に責任があり、自分は悪くないと思える性格の人です。

自己責任的な意識が強い人の場合は、同じ破壊が自身に出る場合があります。出方としては、過食や食欲不振。髪の毛を抜くとか、爪を噛む。実際の自傷もあります。ストレスを解消する手段としての行動ですが、ストレス元を自分自身に移しているために実際の解消にはなりません。
当然うまく解消できないときは頭痛や腹痛、下痢、精神的な疾病などとして現れます。

ストレス元をしっかり把握できない、なんとなくストレスがたまったなという場合は、自身が気持ちよくなることでなんとなくストレスを解消できます。
眠ること、おいしいものを食べる事、音楽を聴く、アロマ、お酒、旅行等自分が楽しめることを行うことが解消になります。

東洋医学の考えで、病気の症状で病気を治す方法というのがあります。
病気の症状は、体がその病気を治すために戦って出ている症状ですから、
同じ状態にして免疫の力を加算するということです。
風邪の時に熱が出るので、風邪っぽいと思ったら体を温めるという考えです。

ストレスの時に体に現れる反応を、意図的に起こすということ。
例えばストレスがあると眠れない人は、ストレスがたまりそうな時にあえて寝ないで徹夜してみる。
ストレスで胃が痛いときは、何も食べるなという体の反応なので、
無理して食べない。胃薬などは飲まない。
ストレスでイライラする人は、パズルなどのイライラするものをやって、完成時のそう快感を味わうなどです。

ストレスに弱いというのは、体の免疫反応を抑えようとする事で、
一時的に解決しても結局もっと弱ります。
風邪で熱が出るのに解熱剤を使うようなことです。
ストレスに強いのは、体の反応から逃げずに、取り入れてしまうようにすることです。

仕事のストレスの解決方法は、仕事でうまくいかないものに
しっかり取り組んで解決するというのが一番です。
当然わかり切ったことですが、実はうまくいかなくても逃げずに取り組むことで、ストレスは消えていくのです。

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眠りの素は細胞内カルシウム?

近所の公園の名前は、「うねうね公園」
それほどうねうねしているわけではないのですが、大規模マンションの開発に伴う緑地ですね。

今回ご紹介するのは、睡眠時間が決まるメカニズムについて東京大学・理化学研究所による研究の論文です。睡眠障害および睡眠障害を合併するさまざまな精神疾患・神経変性疾患(統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)の機序の解明、新規の標的遺伝子の提案に繋がることが期待されるということです。


http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20160318.pdf

なぜ私たちは眠るか
-眠りの素は細胞内カルシウム?-

1.発表者: 上田 泰己
(東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 薬理学講座 システムズ薬理学分野、教授
/理化学研究所 生命システム研究センター、細胞デザインコア長 兼任)

2.発表のポイント
◆ 新規の睡眠の理論モデルに基づいてカルシウムイオン関連経路が睡眠時間に重要であることを予測し、本予測を遺伝子改変マウスと薬理実験により世界で初めて実証した。
◆ 新規の睡眠の理論モデルに基づいて、CaMKII をはじめとするカルシウムイオン関連経路に含まれる 7 遺伝子について遺伝子を改変したマウスの睡眠時間が増減することを予測し、実験で示した。
◆ 睡眠障害および睡眠障害を合併するさまざまな精神疾患・神経変性疾患(統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)の機序の解明、新規の標的遺伝子の提案に繋がることが期待される。

3.発表概要:
ヒトをはじめとする哺乳類の睡眠時間・覚醒時間は一定に保たれていることが知られていますが、その本質的メカニズムはよくわかっていませんでした。東京大学(五神真総長)と理化学研究所(理研、松本紘理事長)は、神経細胞のコンピュータシミュレーションと動物実験を組み合わせることで、睡眠・覚醒の制御にカルシウムイオンが重要な役割を果たしていることを明らかにしました。さらに、カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII、注1)をはじめとするカルシウムイオン依存的な経路の遺伝子をノックアウトすることで、睡眠時間が恒常的に増減する複数種類の遺伝子改変マウス(睡眠障害モデルマウス)の作製に成功しました。同睡眠障害モデルマウスは、睡眠障害だけでなく睡眠障害を合併するさまざまな精神疾患や神経変性疾患(統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)に対する診断法や治療法の開発に繋がることが期待されます。本研究は、東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 薬理学講座 システムズ薬理学分野の上田泰己 教授 (理研 生命システム研究センター(柳田敏雄センター長)細胞デザインコア長 兼任)、東京大学医学部の多月文哉 学部学生6年生、理研 生命システム研究センターの砂川玄志郎 元研究員(研究当時、現 理研 多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト研究員)、東京大学大学院医学系研究科の史蕭逸 博士課程3年生、洲崎悦生 助教(理研 客員研究員 兼務)、理研 生命システム研究センターの幸長弘子 基礎科学特別研究員、ディミトリ・ ペリン研究員(研究当時、現 理研 客員研究員)らの共同研究グループの成果です。本研究成果は、『Neuron』 3月17日オンライン版に掲載されました。

4.発表内容:
(背景)
不眠や過眠などの睡眠障害は現代社会における重大な疾患の一つであり、精神疾患や神経変性疾患の重要な合併症でもあります。睡眠障害に対する診断法、治療法の開発には、睡眠覚醒のメカニズムを理解することが必要不可欠です。

睡眠はヒトを含む多種の生物で観察される基本的な生理現象であり、睡眠を制御する因子は主にハエを用いたフォワードジェネティクス(注2)による探索で、体内時計に関係した遺伝子を中心に複数特定されてきました。しかしながら、体内時計とは別の睡眠時間を直接制御している遺伝子(睡眠時間制御因子、(注3)は未解明のままでした。表現型から遺伝子に遡るフォワードジェネティクスに基づいた睡眠時間制御因子の探索は、遺伝子と睡眠表現型の結びつけに多くの時間とコストを要します。更に、従来の睡眠測定は、脳波を取得するための電極を手術によって頭蓋骨に装着する必要があり、侵襲が大きく、多くの時間とコストが同様にかかります。近年、本研究グループは、遺伝子と表現型を直接結びつけることができるリバースジェネティクス(注4)に注目し、この手法を迅速に行うために、高速に遺伝子改変動物を作製することができる技術(トリプル CRISPR 法、注5)を開発し、さらに、高速に睡眠表現型を解析することができる手法(SSS、注6)を開発しました。
今回、本研究グループは神経細胞のコンピュータシミュレーションにより睡眠時間制御因子を絞り込み、トリプル CRISPR 法と SSS を組み合わせることで、カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテアーゼ II(CaMKII)をはじめとするカルシウムイオン関連経路が睡眠時間制御因子の役割を担うことを明らかにしました。

(研究手法と成果)
(1)コンピュータシミュレーションを用いた睡眠時間制御因子の絞り込み(図1)
睡眠時には余波とよばれる特徴的な脳波が観察されます。本研究グループは、徐波形成に必要な遺伝子を特定するために、平均場近似(注7)を施した神経細胞のコンピュータモデルを作製して解析しました。その結果、カルシウムイオンの流入に伴う神経細胞の過分極が徐波形成にきわめて重要であることが示され、その経路に含まれる、電位依存性カルシウムチャネル(注8)、NMDA 型グルタミン酸受容体(注9)、カルシウム依存性カリウムチャネル(注10)、カルシウムポンプ(注11)が徐波形成に必要な遺伝子群として予測されました。

(2)ノックアウトマウスを用いた睡眠時間制御因子の同定(図2)
(1)の予測を実証するために、本研究グループは、カルシウムイオン依存的な過分極経路に含まれる遺伝子をマウスのゲノム情報をもとにすべて同定し、トリプル CRISPR法によりそれぞれのノックアウトマウスを作製し、SSS 法を用いて睡眠の測定を行いました。その結果、Cacna1g, Cacna1h (電位依存性カルシウムチャネル)、Kcnn2, Kcnn3 (カルシウム依存性カリウムチャネル)、Camk2a, Camk2b (カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ II)ノックアウトマウスが顕著な睡眠時間の減少を示す一方で、Atp2b3 (カルシウムポンプ)ノックアウトマウスは顕著な睡眠時間の増加を示し、これらの遺伝子が睡眠時間制御因子であることが明らかとなりました。

(3)全脳イメージングを用いた神経細胞の興奮性解析(図3)
本研究グループは(1)で予測されたカルシウムイオンの流入に必要な NMDA 型グルタミン酸受容体を、薬理学的に阻害することで詳細な解析を行いました。その結果、マウスの睡眠時間が減少することを明らかにしました。さらに CUBIC(注12)を用いて、睡眠が減少したマウスの脳を透明化し、一細胞解像度で観察しました。その結果、NMDA 受容体の阻害(すなわちカルシウムイオンの流入阻害)によって、大脳皮質の神経細胞の興奮性が上昇することを示しました。

(1)~(3)の結果から、カルシウムイオンの流入に伴う神経細胞の過分極が睡眠を誘導することを世界で初めて明らかにしました。
本研究グループは、単一の遺伝子(Kcnn2, Kcnn3, Cacna1h, Cacna1g, Atp2b3, Camk2a, Camk2b)をノックアウトすることで、安定した表現型を示す睡眠障害モデルマウスを作製することに成功しました。さらに睡眠障害と精神疾患、神経変性疾患との密接な関係から、今後、これらの睡眠障害マウスをより深く研究していくことにより、精神疾患や神経変性疾患の原因解明、治療薬探索への貢献が期待されます。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構革新的先端研究開発支援事業 (AMED-CREST)の研究開発領域「生体恒常性維持・変容・破綻機構のネットワーク的理解 に基づく最適医療実現のための技術創出」(研究開発総括:永井 良三)における研究課題「睡 眠・覚醒リズムをモデルとした生体の一日の動的恒常性の解明」(研究代表者:上田 泰己) の一環で行われました。なお、本研究開発領域は、平成27年 4 月の日本医療研究開発機構の発足に伴い、国立研究開発法人科学技術振興機構から日本医療研究開発機構へと移管されています。

5.発表雑誌:
雑誌名:「NEURON」(2016年3月17日オンライン版)
論文タイトル:Involvement of Ca2+-dependent hyperpolarization in sleep duration in mammals.
著者:Fumiya Tatsuki, Genshiro A. Sunagawa, Shoi Shi, Etsuo A. Susaki, Hiroko Yukinaga, Dimitri Perrin, Kenta Sumiyama, Maki Ukai-Tadenuma, Hiroshi Fujishima, Rei-ichiro Ohno, Daisuke Tone, Koji L. Ode, Katsuhiko Matsumoto and Hiroki R. Ueda* DOI 番号:10.1016/j.neuron.2016.02.032

6.用語解説:
(注1)カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ II (CaMK2)
カルシウムイオンの流入に伴い活性化するリン酸化酵素、脳の多く存在し、記憶や学習に 重要な役割を果たすことが知られている。
(注2)フォワードジェネティクス
特定の生命現象を示す動物のゲノムの変化を詳細に調べることによって関係している遺 伝子を同定していく従来の遺伝学。
(注3)睡眠時間制御因子
遺伝子改変やノックアウトによって睡眠時間を変化させる遺伝子。
(注4)リバースジェネティクス
特定の遺伝子を改変し、生命現象がどのように変化するか観察することで遺伝子機能を解 析する手法。遺伝子から生命現象を関連付けるため、フォワードジェネティクスとは解析 法が逆向きであり、リバース(=逆方向の)ジェネティクスと呼ばれるようになった。
(注5)トリプル CRISPR 法
CRISPR 法(CRISPR/Cas 系を用いたゲノム編集技術の1つ)を改良し、3 種類のガイド RNA を用いて、1世代目で極めて高い確率(ほぼ 100%)で大量の遺伝子ノックアウトマ ウスを作製できる手法。
2016 年 1 月 8 日理化学研究所プレスリリース

『次世代型逆遺伝学による睡眠遺伝子 Nr3a の発見
-交配不要で解析も簡便かつ低コストな新しい逆遺伝学を確立-』 http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160108_1/
(注6)SSS 法
Snappy Sleep Stager 法。呼吸パターンを指標として用いることで非侵襲かつ高効率に睡 眠表現型解析を行う手法。
2016 年 1 月 8 日理化学研究所プレスリリース
『次世代型逆遺伝学による睡眠遺伝子 Nr3a の発見
-交配不要で解析も簡便かつ低コストな新しい逆遺伝学を確立-』 http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160108_1/
(注7)平均場近似
多数の要素が相互作用しているような集団を解析するために用いられる数学的な近似手法。 (注8)電位依存性カルシウムチャネル
細胞外から細胞内へカルシウムイオンを通過させるイオンチャネル。てんかんや自閉症ス ペクトラム障害との関連が知られている。
(注9)NMDA 型グルタミン酸受容体
グルタミン酸受容体の1つ。シナプスの可塑性や記憶に関連する受容体として知られる。 多くの精神依存性のある薬物(覚せい剤など)の作用部位としても知られ、NMDA 受容体の状態を乱すことで鎮静状態や興奮状態を誘導できる。
(注10)カルシウム依存性カリウムチャネル
カルシウム存在下でカリウムイオンを選択的に通過させるイオンチャネル。
(注11)カルシウムポンプ
細胞内から細胞外へカルシウムイオンを通過させるイオンチャネル。
(注12)CUBIC
Clear, Unobstructed Brain Imaging Cocktails and Computational analysis の略。
2014 年 4 月に理研の上田泰己グループディレクター、洲崎悦生 元基礎科学特別研究員(研究当時)らが発表した脳透明化と全脳イメージングのための透明化試薬(化合物の混合溶液)とコンピュータ画像解析を合わせた方法。サンプルを試薬に浸すだけの効率的で再現性の良い方法で、複数のサンプルを同等な条件で透明化することが可能。1細胞解像度の全脳蛍光イメージングと、情報科学的解析によるサンプル間のシグナル比較を実現。
2014 年 4 月 18 日理化学研究所プレスリリース 『成体の脳を透明化し 1 細胞解像度で観察する新技術を開発』 http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140418_1/

7.添付資料:

脳波が徐波を示す睡眠時は、電位依存性カルシウムチャネル、NMDA 型グルタミン酸受容体を通じてカルシウムイオンが細胞内に流入し、カルシウム依存性カリウムチャネルが開きカリウムが細胞外へ流出する。一方、覚醒時はカルシウムポンプを通じてカルシウムイオンが細胞外へ流出する。

トリプル CRISPR 法によってカルシウムイオン関連経路に含まれる 21 個の遺伝子を、それぞれノックアウトしたマウスを作製した。そのマウスに SSS を用いて睡眠解析を行ったところ、そのうちの Cacna1g, Cacna1h (電位依存性カルシウムチャネル)、Kcnn2, Kcnn3 (カルシウム依存性カリウムチャネル)、Camk2a, Camk2b (カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ II)をノックアウトしたマウスの睡眠時間が、野生型のマウスと比べて顕著に短いことが、Atp2b3 (カルシウムポンプ)をノックアウトしたマウスの睡眠時間が、野生型のマウスと比べて顕著に長いことがわかった。グラフ中の破線は野生型マウスの睡眠時間を示す。

NMDA 型グルタミン酸受容体の阻害剤を Arc-dVenus マウスへ投与したところ、神経活動の上昇(緑シグナル)が観察された。
※Arc-dVenus マウス: 神経細胞の活性化の指標である Arc 遺伝子の発現に伴い、緑色蛍光タンパ クVenus を発現する遺伝子改変マウス。

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睡眠障害が糖尿病の治療ターゲット

夕日の富士山
空気が澄んで富士山までよく見える季節ですが、暖かくて少し霞んでしまいました。
今日は、生活習慣病と睡眠障害についてですが、特に糖尿病に関して、睡眠障害治療が糖尿病治療に有効であることが大阪大学の研究で解明された記事を紹介いたします。
大阪市立大学
睡眠障害が糖尿病の血糖改善や血管障害防止に有効な治療ターゲットであることを解明
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/2015/05llq8

概要

医学研究科 代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章(いなばまさあき)教授らのグループは、糖尿病の血糖コントロール悪化で睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされること、また睡眠障害が早朝高血圧を起こすことで糖尿病の心血管障害の原因となることを明らかにしました。

以前から、睡眠障害の患者は糖尿病の有病率や将来高い確率で発症することが分かっていましたが、糖尿病の肥満に伴う睡眠時無呼吸症候群の関連は必ずしも明らかではありませんでした。私たちは今回の研究で、脳波計を用いて糖尿病の血糖コントロール指標であるHbA1c増悪が、睡眠の質を決定する睡眠第1相の時間短縮、さらに、脳を休息させる深睡眠である徐波睡眠の短縮と有意に関連することを明らかにしました。さらに、それらの睡眠の質の増悪が動脈硬化指標であり、心血管イベントリスク因子である頸動脈の内膜中膜肥厚度と関連することを示しました。また、これまでの研究で、糖尿病患者での血糖コントロール増悪が心血管イベントリスクである早朝の血圧上昇に有意に関連していることを認めています。

睡眠に対する治療が夜間・早朝血圧の改善を示した研究を考慮すると、糖尿病での血糖コントロール悪化→睡眠障害→早朝血圧上昇→心血管エベントリスク上昇となり、糖尿病での睡眠障害が、血糖コントロール増悪で悪化すること、および睡眠時無呼吸とは独立して糖尿病での心血管イベントを防止するための治療ターゲットであることが、脳波計を用いた本研究で初めて明らかとなりました。さらに、睡眠障害は交感神経系賦活化を通じて夜間・早朝血圧上昇のみならず、血糖コントロールの悪化をもたらすことが示唆されています。今回の研究から、糖尿病患者への積極的な睡眠障害に対する治療は、不眠によるQOL増悪を改善するだけでなく、交感神経活動の低下により夜間・早朝血圧改善による動脈硬化進展予防や、血糖コントロール改善を目的とする治療として位置づけられます。睡眠導入薬の進歩や新規薬剤の投入により、不眠治療が臨床の場で安全かつ効率よく行えるようになったことに加え、不眠治療に対する認識を変えることができる研究であるといえます。

【論 名】
Association between poor glycemic control, impaired sleep quality, and
increased arterial thickening in type 2 diabetic patients
「2型糖尿病患者における血糖コントロール増悪、睡眠の質劣化、動脈壁肥厚度
増加の関連」
著 者
Koichiro Yoda, Masaaki Inaba, Kae Hamamoto, Maki Yoda, Akihiro Tsuda,
Katsuhito Mori, Yasuo Imanishi, Masanori Emoto, Shinsuke Yamada
【掲載URL
  http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0122521

研究の背景

一夜の睡眠段階は、覚醒からStage1→Stage2→Stage3→Stage4と移行します。入眠から90~120分経過すると最初のレム睡眠が出現する。Stage1~レム睡眠の終わりまでを睡眠周期といい、一夜の睡眠で睡眠周期は4~5回繰り返されます。一夜の睡眠の前半では深い眠りで大脳皮質を休息させる徐波睡眠(睡眠段階3・4)が多く、後半ではレム睡眠が増加します。

図1.一晩の睡眠パターン

 Stage1-4のノンレム睡眠は脳を休息させる睡眠で眠りの20-25%を占め、特にstage3-4の徐波睡眠は熟眠感が得られる質の高い睡眠といわれています。一方、レム睡眠を睡眠の75-80%を占め、体を休息させる睡眠といわれています。徐波睡眠の役割として、脳の休息以外に交感神経活動の低下とともに副交感神経活動の上昇が見られ、夜間の血圧低下や血糖コントロールの改善が起きるといわれています。

糖尿病患者では、一般人に比べて約2倍の不眠が見られるといわれています。これは肥満に伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群を除いた数字で、種々の原因が指摘されてきました。疫学研究では睡眠時間の短縮とともに糖尿病の有病率が上昇することや、睡眠障害を有する患者では2型糖尿病の発症確率が有意に高くなることから、睡眠障害で糖尿病増悪の可能性は示唆されましたが、糖尿病での血糖コントロールと睡眠障害の直接の関与は明らかではなく、血糖増悪による夜間排尿回数の増加などが挙げられてきました。

研究の内容

今回の研究は、63名の2型糖尿病患者に脳波計を用いて精密な睡眠の質判定を行い、その結果、血糖コントロール指標であるHbA1cの増悪につれて、深睡眠の程度を示すレム睡眠潜時が短縮すること。また、レム睡眠潜時は徐波睡眠の程度を示すデルタパワーと正相関することより、血糖コントロール増悪により深睡眠の徐波睡眠相が減少することを明らかにしました(図2)。図2.睡眠指標(レム睡眠潜時、ログデルタパワー)とHbA1c・頸動脈内膜中膜肥厚度との相関
次に、多変量解析を用いてREM睡眠潜時と関連する因子を検定したところ、睡眠時無呼吸症候群の指標である無呼吸・低呼吸インデックス(AHI)と独立し手血糖コントロール指標であるHbA1cはREM睡眠潜時と独立した有意の負の関連を示しました。これは、血糖コントロール増悪を示すHbA1c上昇が、深睡眠指標であるレム睡眠潜時の短縮をもたらすことを示唆する結果でした。
興味深い点は、これら2型糖尿病患者においてREM睡眠潜時やログデルタパワーなどの深睡眠指標は、動脈硬化指標である頸動脈内膜中膜肥厚度と有意な逆相関を示したことです。多変量解析でも両者は有意な負の関連を示したことから、深睡眠の障害は動脈硬化進展につながる可能性が本研究より示唆されました(表1)。 表1.2型糖尿病患者での頸動脈内膜・中膜肥厚度との関連(多変量解析)
糖尿病での睡眠障害が動脈硬化進展に関連していることは明らかとなったが、その機序についても我々は一つの機序を示すことができている。それは、睡眠障害が夜間高血圧・早朝高血圧を引き起こすことによる。とくに早朝高血圧は種々の血圧指標のなかで最も強力に心血管エベントを抑制する因子であることが示されている。50名の2型糖尿病患者において、血糖コントロール指標であるHbA1cと空腹時血糖は早朝の血圧上昇と有意に正に相関し、またインスリン抵抗性指標も早朝血圧上昇と有意な正関連を示しています。多変量解析でも、HbA1cとインスリン抵抗性指標であるHOMA-Rと血清中性脂肪値は正の有意な関連を示しました。さらにこれら患者で早朝血圧上昇は、多変量解析で血管内皮依存性の血管拡張反応低下と有意な負の関連を示したことから、2型糖尿病患者では、血糖コントロール悪化→早朝血圧上昇→血管障害が起こっていると考えられます。この以前の研究に加え、本研究で血糖コントロール指標悪化が睡眠の質劣化と関連すること、および以前の研究により睡眠障害の治療が夜間高血圧・早朝高血圧低下につながることが示されていることを包括的に考えると、2型糖尿病患者での睡眠障害の積極的な介入が、血糖コントロール改善や動脈硬化進展の防止に向けた重要な治療ターゲットであることが浮かび上がってきました。

期待される効果

現在、睡眠障害により特異的に有効とされるオレキシン阻害薬を用いて、睡眠障害改善によってもたらされる現象について解析中です。また血糖コントロールについてのみ、わずかな症例の結果しか得られていませんが、睡眠障害治療によって交感神経系の改善がもたらされること、それに伴って血糖の改善が有意に得られるという結果を得ています。今、血圧や血管障害指標の改善の有無についても検討しているところです。それらの研究が進展して、もし睡眠障害治療によって血糖コントロールの改善、夜間高血圧、早朝高血圧の改善、血管障害の緩和を期待できる結果が得られるなら、睡眠障害治療を2型糖尿病での重要な治療ターゲットとして位置づけることができます。最近の新規の異なった機序による睡眠障害治療薬の導入もあいまって、本研究が睡眠障害の治療目的を新たに位置づけるうえで重要な研究となりうると期待されます。

今後の展開について

今回の横断研究で明らかになった睡眠障害と血糖コントロール、血圧、動脈硬化の3者間での因果関係を明らかにするため、睡眠を特異的に改善する薬剤を用いて、睡眠障害によって引き起こされる代謝異常を検討しています。現在の予備段階の研究では、睡眠障害による交感神経系の活動性低下や血糖コントロール改善が認められています。今後患者数を増やして睡眠障害に対する治療の位置づけを確立できるように研究を進めていく計画です。

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(論文)生活習慣病と睡眠障害

近所の私道だと思う未舗装の道に氷が張ってます。12月ですからね、冬なのはわかっていましたが、こういうのを見ると本当の意味で「実感」しますね。
今日は、「生活習慣病と睡眠障害」といいう論文を紹介させていただきます。安眠家具で不眠症を改善させていく上で、不眠症の原因を調べていくと、身体的疾患が原因ということもあり、その身体的疾患が生活習慣病といわれるものが多いということが分かります。ストレスからの過食や、不規則な時間等、ストレスと生活習慣と食と睡眠。すべてが繋がりをもっており、悪化する要因にもなるし、逆に例えば睡眠一つでも良好にしていくことが全体の改善につながっていくことが分かります。
(第6回学術集会 2008.2)

生活習慣病と睡眠障害

筒井 末春
日本心身健康科学会 会畏
人闇怒合科学大学

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/4/2/4_2_69/_pdf

はじめに
睡眠障害の分類については今日、睡眠障害国際診断分類 (International Classification of Sleep Disorders; ICSD)に基づいて行われているが、疾患の数は多岐にわたっている。
これら睡眠障害を大別すると以下のごとく整理される。
第1は睡眠の量や質に問題のあるもので、不眠症や過眠症等が該当する。
第2は睡眠中もしくはこれに近接して生じる異常現象 (不随意運動も含む)を示すもので、レストレスレッグス症候群や各種睡眠随伴症等が含まれる。
第3は睡眠覚醒に直接影響する生体の概日リズムの異常で、概日リズム睡眠障害があげられる。
第4は身体・精神疾患に基づいて生じるものが知られている。
本稿ではこれら分類のうち第4に位置する身体疾患に基づいて生じる睡眠障害として、生活習慣病をとりあげて生活習慣病にみられる睡眠障害に関して行われている臨床的研究について概説する。

現代人の睡眠とその問題点

現代社会は24時間社会ともいわれ、人々の生活は都会ほど夜型化し就寝時刻が遅くなり、睡眠時間も短縮している。日本人全体の平均睡眠時間は約7時間といわれているが、これは40年前に比較して約1時間減少している。従って多くの人々が睡眠不足の状態で生活しているものと思われる。
また成人の約5人に1人が睡眠の問題をかかえていて、特に一般勤労者では20〜40%に不眠や睡眠の質の悪さを認めるとされている。
ところで睡眠不足は昼間の眠気や偽怠感、集中力の低下、不安など心身の症状を呈するだけでなく、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の誘因や増悪因子となり得る。
一方、高血圧や糖尿病では不眠が高率にみとめられ、不眠の原因疾患として考えられている。
また我が国で問題となっている自殺の背景にうつ病、うつ状態がひそんでいることが指摘されているなかで、これら心の病には不眠はほぼ必発とされ、今日では慢性化した不眠はうつ病発症の危険因子とされている。

健康日本21からみた睡眠の課題

平成12年 (2000年)から21世紀における国民健康づくり運動 (健康日本21) が推進されているが 平成15年 (2003年)3月には健康日本21に定められた睡眠に関する目標達成を促進することを目指して健康づくりのための睡眠指針が策定された。
本指針では成人を対象として睡眠の問題をとりあげ、「快適な睡眠のための7箇条」と名付けて生活習慣を改善することで、より良い睡眠が得られるように整理されている。以下にその項目を示す。
1) 快適な睡眠でいきいき健康生活
2) 睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眼のバロメーター
3) 快適な睡眠は自ら創り出す
4) 眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
5) 目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
6) 午後の眠気をやりすごす短い昼寝でリフレッシュ、昼寝をするなら午後3時前の20〜30分
7) 睡眠障害は専門家に相談
睡眠障害は体や心の病気のサインであることがある。
第1箇条では快適な睡眠で疲労回復・ストレス解消・事故防止がうたわれているが、一方睡眠に問題があると生活習慣病のリスクが上昇することも記載されている。

睡眠と食欲・耐糖能の関連

ラットを長時間断眠させると摂食量は増加するにも関わらず体重は減少して、2〜3週間後には体温調節が破綻し低体温をきたし死亡するに至る。人では健康成人を4日間連続して睡眠時間を4時間に短縮するだけで耐糖能の低下をきたす。睡眠時間の短縮は食欲や空腹感にも影響を及ぼし、それに関与する神経ペプチドとしてレプチンとグレリンがあげられる。
睡眠時間を4日間にわたり4時間に制限するだけで空腹感と食欲は1日中増加を示し、空腹のシグナルであるレプチンの減少がみとめられる。これらから短時間睡眠はレプチンの減少とグレリンの増加及び空腹感と食欲の冗進につながる可能性もあり、また睡眠不足により耐糖能も低下するため、その際睡眠不足の状態で過食におちいることがあれば高血糖を来す可能性もあるといえよう。
健常者を対象に平均睡眠時間8〜9時間から強制的に6晩にわたり睡眠時間を4時間以下にすると、睡眠不足によりインスリン拮抗ホルモンであるコルチゾール値が有意に増加し、交感神経活性亢進が認められインスリン分泌低下とは無関係に食後の血糖値の上昇が生ずることも知られている。

睡眠時間と糖尿病

Nilssonらは縦断的研究として6000人以上の中年男性を15年間にわたり追跡し、睡眠障害のあるものでは睡眠障害のないものに比較して、糖尿病発症の危険が1.5倍高まると報告している。
またGottlielらは一般人を対象とした日常の睡眠時間と糖尿病の大規模にわたる関係を検討し、睡眠時間が5時間以下の人は睡眠時間が7〜8時間の人に比較して、糖尿病発症の危険率が2.5倍に上昇するとしている。
Knutsonら(2006年)はⅡ型糖尿病を対象とした 横断的研究で、睡眠時間と睡眠の質がHbA1cの有用な予測因子であることを明らかにし、また睡眠時間と睡眠の質はⅡ型糖尿病のリスクだけでなく、その重症度にも関連性があるとしている。
本邦では川上ら(2006年)が日本人男性を対象に睡眠障害とⅡ型糖尿病の発症を8年間追跡し、睡眠障害のある人はない人に比較してⅡ型糖尿病を発症するリスクが2〜3倍高いとしている。
ここで臨床的立場から本邦において糖尿病患者における睡眠障害の実態についての最近の報告を概述する。
調査はWHO/WWPSH睡眠障害の診断と治療のためのキット (日本版)の不眠の自己評価表を用い、糖尿病患者158名とコントロール群205名について睡眠障害の実態調査が行われている。糖尿病患者ではコントロール群に比し明らかに不眠を訴える割合が2倍以上多く、患者の37%が何らかの頻回な不眠を経験しており、不眠のタイプ別では入眠困難19.5%、中途覚醒17.5%、早期覚醒18.2%で、入眠困難・早期覚醒に有意差が認められている (図1)。

精尿病患者の睡眠障害とその関連因子についての検討では、HbA1cの値が上昇するにつれて入眠困難を訴える患者の頻度が段階的に増加し (図2)、糖尿病性神経障害による下肢の痛み、しびれ等の症状を有する患者で中途覚醒、早期覚醒を中心とした不眠を半数以上の高率に認めている (図3)。また糖尿病患者のうちで不眠のある者を無作為に2群に分け睡眠薬投与群と非投与群で比較したところ、投与群ではHbA1c が有意に減少し、非投与群ではむしろ増加する傾向がみられたという。

これらの成績は健常者での睡眠短縮による耐糖能低下とともに、糖尿病患者においても不眠や睡眠不足が 耐糖能に悪影響を及ぼしていると可能性も示唆されよう。
糖尿病患者の睡眠障害と関連する要因としては高血糖や神経障害以外にも不規則な生活習慣や不規則な勤務形態 (二交代ないし三交代勤務) に起因して睡眠障害があらわれることもある。
その他糖尿病の患者には、睡眠時無呼吸症候群が肥満との関連でもみられやすく、糖尿病で特に血糖コントロールの悪い例にうつ状態や不安障害が出現しやすく、これらが共存して睡眠障害を増悪したり修飾することもあり、一層の注意が必要となる。

睡眠障害と高血圧

健康成人を一晩断眠させると血圧は約10mm/Hg ほど上昇するされ、その上昇は圧受容体反射のセットポイントの変化による可能性が指摘されている。
また睡眠と血圧の関係ついて睡眠時間を残業などによる睡眠不足で平均3.6時間に限定して、血圧及び心拍数を睡眠時間が平均8時間の人と比較すると、睡眠不足の人では翌日の平均収縮期血圧、平均心拍数ともに有意に上昇するという。これらの結果は急性の断眠や睡眠不足が翌日の血圧上昇を招くということを示している。
さらに職場の定期健康診断の際のデータを利用し、睡眠障害の有無で高血圧の発症率にどの程度の差があるのかをみた前向き研究の報告がみられる。それによると入眠困難のあることで、高血圧発症の危険率は入眠困難のない人に比較して約2倍、中途覚醒では約 1.9倍に高まるとし、睡眠障害が年齢、アルコール摂取量、喫煙習慣、肥満やストレスと並んで高血圧発症の危険因子であるとしている。
このことから睡眠不足、睡眠障害はいずれも高血圧発症の危険因子である可能性が高いといえよう。

睡眠障害とうつ病

うつ病では高い頻度で睡眠障害がみとめられるが、その逆に睡眠障害からうつ病が生じる可能性についても論じられている。
米国のジョンス・ホプキンス大学医学部学生に対する長期間にわたる縦断的調査が知られ、これは1948年から1964年にかけて在籍した学生の在学中における睡眠習慣に関する調査をもとに、卒後5年おきに最長で45年間 (中央値34年) 追跡した1053名のうち、1993年時点での生存者は941名(平均年齢 62.6歳) で、101名がそれまでにうつ病の時期があり。 そのうち87名が抗うつ薬や専門的な治療を受け、さらに13名が自殺を完遂したとしている。
これに加えて詳しく解析すると、学生時代に睡眠障害もしくはストレスがかかった時の寝つきの悪さを訴えた者は、そのような訴えのなかった学生と比較して 卒業後に2倍近くうつ病に羅患したことも判明している。
これとは別に一般人口である時点で不眠を訴えた人は、そうでない人と比較して有意にうつ病になりやすいとする報告があり、それによれば7954人の一般住民を初回と1年後に面接して精神疾患の有無を調査した結果、初回と2回目ともに不眠を訴えている人は,そうでない人と比較してこの1年間に新たにうつ病に確患した比率が40倍近くに及んでいるとしている。

一方、高齢者のうつ病に関連する危険因子を一般住民を対象に検討したメタ解析によると (図4)、不眠は女性、身体障害、配偶者との死別、うつ病の既往とともに、高齢者にうつ病をもたらす明らかな危険因子であることが判明している。
日本人の一般人口を対象とした最近の疫学調査では、不眠症状のうち中途覚醒や早朝覚醒とうつ病との関連がよく知られているが、睡眠障害のパターンとして入眠困難が最も強くうつ症状と関連していることが明らかにされている。

生活習慣病と不眠の関連

ここで生活習慣病と不眠に関して本邦で最近行われた大規模調査について紹介する。
2004年12月にJR東海が有するオフィス勤務を主体とした勤労者モニターグループの会員 (年齢35〜 59歳) 7800名を対象に33項目にわたる質問を作成し、生活習慣病に関する情報や不眠に関する情報を収集し、現在の抑うつ状態に関する質問はM.I.N.I. (Mini International Neuropsychiatric Interview) を用い、睡眠の質及び昼間の眠気に関する質問項目としてピッツバーグ睡眠質問表及びエップワース眠気尺度を使用した。
解析対象は5747名、うち男性5230名、女性517名で平均年齢は43.8歳。男性44.1歳、女性41.4歳である。
過去2年間に健康診断で高血圧、高脂血症、糖尿病 (以下三疾患)のうち、少なくとも一つ以上に異常を指摘された人は2837名 (49.4%)。生活習慣病のない人は2910名 (50.6%) であった。生活習慣病の指摘を受けて通院治療しているのは721名(25.4%)、指摘を受けていながら放置しているものは2116名(74.6%) であった。
次に不眠で悩んだ経験のある群について生活習慣病の有無で比較すると (図5)、有病群で32.6%、ない群で26.2%で有病群での割合が高率であった。有病群のなかでも放置群での割合は33.3%で、治療群の 30.5%より高率でコントロール群と比較すると有意に高かった。
また三疾患で治療中の群においてもコントロール群と比較して不眠の割合が高く (6.0%) 有意差をみとめた。さらに三疾患で指摘を受け放置している群では不眠が47.3%に達し、約2人に1人の割合でみとめられた。

次にピッツバーグ睡眠質問表で5.5点以上の睡眠が障害されている人の割合は有病群で40.1%、コントロ ール群32.2%で有病群で高く、そのなかでも治療群より放置群で、また単独群よりも三疾患で治療群がより高く、特に放置群はコントロール群との間に有意差をみとめた (図6).
同時に施行したエップワース眠気尺度が11点以上の昼間の眠気が強い人の割合も同様な傾向がみられ、有病群で12.0%、コントロール群で10.3%で放置群ではいずれも有病群より昼間の眠気が高かった (図6)

生活習慣病、不眠と抑うつの関連

抑うつ状態をみとめる人の割合は、有病群で6.0% でコントロール群 (4.0%) より高かった。また治療群と放置群では治療群5.7%に対し放置群は6.1%を示し、三疾患で指摘を受け放置している場合は9.9% の高い率を示し、これはコントロール群の約25倍に相当した。
有効回答者全体で不眠経験のある人は、ない人に比較して抑うつ状態を有する割合が有意に高く、前者で 12.4%、後者は1.9%であった。
これを生活習慣病で治療中の人。生活習慣病の指摘を受け放置している人及び生活習慣病の指摘なしの人について、それぞれ不眠の経験の有無から抑うつの関連を調べると、いずれも不眠経験のある人はない人に比較して抑うつ状態を有する割合が有意に高く、特に治療群では10倍以上を示した (図7)

逆に抑うつ状態をみとめる人 (285名) は、みとめない人 (5462名) に比較して生活習慣病の有病率が高く (59.6%vs48.8%)、さらに不眠経験者の割合も高かった (73.3%vs27.3%)。また性差の面で検討すると女性勤労者は生活習慣病の有無やその治療の有無に拘わらず、男性勤労者に比較して睡眠の問題が深刻で抑うつ状態をみとめる割合も高くなる傾向がみとめられたという。

主治医とのコミュニケーション

不眠経験者 (1687名)で「かかりつけの主治医に睡眠の相談をしたことがありますか」という質問に対して「はい」と回答した人の割合は23.2%で、そのうち有病者で治療を受けている人 (220名) では 39.5%、放置している人 (704名) では20.6%と低率で、治療者と比較して有意に低率であった。
対象者 (5747名) に対してかかりつけの主治医に「眠れていますか」とたずねられた経験があるか否かについて検討すると (図8)、治療中 (721名)の人で問いかけのあったのが32.5%、放置群では23.9%で両群の間に有意差がみられ、放置群よりも有意に低率を示した。
従って生活習慣病を扱う医療機関の現場において、約7割の医師が睡眠に関する問診を実施していないわけで、今後睡眠の問題を積極的に把握する姿勢が強調されても良いものといえよう。

不眠症の対処

不眠経験者の「眠れないときの対処法」として最も多かったのは「何もしない」が43.5%で、次いで「寝酒をする」が29.5%、「医師に相談して睡眠薬を処方してもらう」が17.0%、「市販の睡眠改善薬を使用する」が7.3%であった (図9).
コントロール群及び放置群においてもほぼ同様な傾向がみとめられ、全体的に不眠への対処として主に寝酒に頼る傾向が示された。これらから不眠経験者の多くは、我が国においては自発的に医師に相談することも。また医師からも睡眠に関する問診を受けることも乏しいまま、無治療で放置するかあるいは自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く、処方薬による適切な治療を受けていない実態が明らかにされている。

ところで2002年に世界10ヶ国 (オーストリア、ベルギー、ブラジル、中国、日本、ドイツ、ポルトガル、スロバキア、南アフリカ、スペイン) で実施された国際睡眠調査をみると、不眠への対処として寝酒を選ぶ人の割合は日本が最も高く30.3%、最も低いのがオーストリアで9.8%、平均で19.4%であるとしている。我が国では一般に睡眠薬に対する依存症な どの偏見がみられ、眠れないと容易に寝酒に頼る傾向がみられ、それがかえってアルコール依存につながる場合もみられることから、不眠を放置することなく、医療機関に受診して正しく対処することが肝要といえよう。

今後の課題

これまで生活習慣病についての不眠及び抑うつとの関連からその実態を示し、生活習慣病を有する人は無い人に比較して不眠及び抑うつの割合が高く、治療群よりも放置群でその傾向が強く、逆に不眠及び抑うつの無い人よりも有る人が有意に生活習慣病率が高いことが判明した。
また不眠症経験者の多くは自ら医師に相談することも、医師から睡眠に関する問診を受けることもなく放置するか、あるいは自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く、睡眠薬による適切な治療を受けていない結果が得られている。
生活習慣病治療においては食事療法や運動療法の重要性が従来から指摘され実施されているが、生活習慣病は不眠や抑うつと密接に関連しており、食事療法。運動療法に加えて睡眠療法も1つの柱として重要であることを指摘したい。
睡眠が不足すると昼間の眠気が増しQOLが低下しやすい。さらに脳に満腹感を伝達するレプチン濃度が減少し、一方では空腹感を引き起こすグレリン濃度が増加し、その結果食欲が高まるとされている。
したがって睡眠が不足することで食事療法や運動療法にも支障をきたし、睡眠の十分な確保が生活習慣病には欠かせないと申せよう。
これらを踏まえて今後は生活習慣病における睡眠療法の効果を立証し、将来的にはその予防面にも研究が進んでいくことが期待される。心身の健康を考える際にも睡眠の問題はキーワードの一つとして捉えていくことはもちろんである。

引用•参考文献

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睡眠薬の危険性-2

睡眠導入剤の危険性-2

最初に睡眠導入剤と睡眠薬の違いについて、作用時間の違いを見ていきましょう。

一般的に睡眠導入剤というと、一番強く作用する時間が服用から短時間でピークになり、徐徐に効果が薄くなります。寝つきをよくするタイプということになりますね。
ピークの時間が服用から三時間以内ぐらいを睡眠導入剤と呼んでします。短時間型とか、超短時間型と言われます。
寝つきに問題がないけれど、夜中に目が覚めてしまう方に向いているのは、睡眠導入剤とは言われないタイプで、ピークが三時間以上後に来るタイプが処方されることになります。
中時間型や、長時間型と言われます。
ピークというのは血中濃度が一番高くなる時間です。薬剤ですから、体の中で分解されて排泄されるのですが、血中濃度がピークの半分になる時間を半減期といいます。半減期が短いと、早く分解されてしまう為、継続して投与しても血中濃度が高まることはありませんが、半減期の長い薬は、継続投与した時に前に投与された薬剤が残っているところに追加されることになるため血中濃度が徐々に高まっていくという問題が起こります。

継続投与から断薬する場合には、実は短時間型のほうが難しく、長時間型のほうが断薬しやすいということがあります。薬の切れた感覚が短時間型は早く来るということですね。半減期の長い薬は断薬しても効果がずっと体の中に残っているので、薬の切れた感覚も徐々に減るため、断薬がしやすいわけです。
睡眠薬が依存しやすくなることを表している事例だと思いますね。

そして、ピークの強さについては、薬の種類によって、違いがありますが、同じ系の薬であれば、強さそのものはほぼ同じになります。

同じ系であれば強さが同じと書きましたが、その種類は以下のようになります。
① バルビツール系睡眠薬
② ベンゾジアゼピン系睡眠薬
③ 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
④ メラトニン受容体作動薬
⑤ オレキシン受容体作動薬

一般的には①が一番強く、順に弱くなり⑤が一番弱くなります。そして、その副作用は強さと比例することになります。現在では、一番強いバルビツール系睡眠薬は徐々に生産を中止しつつあり、ほぼ処方もされていません。

上記5種類が日本で認可されている睡眠薬です。最近ネットで個人輸入の代理店みたいなものがあるようですが、海外の睡眠薬に関しては、すべて自己責任ですし、正直麻薬の個人輸入と何ら変わりがないように思います。
賢明な方は決して手を出さないでしょう。不眠のつらさはよくわかりますが、薬物依存からの脱却はその比ではありません。

さて、次回は、睡眠薬の依存症について書いてみたいと思います。

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睡眠薬の危険性-1

睡眠薬の危険性-1

さて、睡眠薬・睡眠導入剤についてですが、眠れないつらさから、睡眠剤を病院で処方してもらう方も少なくありません。

睡眠導入剤という言葉は、睡眠薬という言い方から少し、軽い響きがありますね。効き目も軽い分副作用とかもあまり心配しなくていいようなイメージです。

しかし睡眠薬も睡眠導入剤も同じ薬ですし、副作用も同じです。同じ薬を違う名前で呼んでいるわけは、作用時間の違いを分けているだけです。しかも線引きははっきりしていないので、結局は同じ薬と言えます。

睡眠薬の副作用がなぜ怖いか。それは睡眠薬の薬効が脳に効く仕組みだからです。覚せい剤の怖さは皆さんよくご存じでしょうが、睡眠薬と基本的に働き方が逆になっているだけで、怖さは同じなのです。もちろん薬であるため、肝臓に負担がありますが、一番は脳へのダメージとなります。

睡眠薬については、これからしばらく、ブログで書いていくつもりです。
安眠家具を提供するうえで当然ながら、安眠科学を調べます。
睡眠導入剤の存在は、本当の意味での不眠症の方には救いになります。眠れないつらさは何よりも恐ろしいからです。
しかしながら反面。一時的な不眠を安易に薬に頼ったがために、依存症となり、恐ろしい副作用に苦しむこととなる例が多く、見逃してはおれない事態でもあるのです。

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