「睡眠時無呼吸症候群」カテゴリーアーカイブ

胃食道逆流症といびき。睡眠時無呼吸症候群。

胃食道逆流症と睡眠時無呼吸の関係で、睡眠時無呼吸の人の合併症として、胃食道逆流症を上げているサイトが多いようです。

まとめサイトというのが最近少なくなったので、少しはまともになってきたかと思いますが、やはりまだ反対のことをかいているところが多いですね。

ちなみに、胃食道逆流症といびきも、いびきを原因として胃食道逆流症になると書いているところが多く見受けられます。

睡眠時無呼吸症候群になると、息を吸おうとして食道内が陰圧になるために、胃液を吸い上げてしまうというようなことです。

胃液が肺に吸い込まれるとは恐ろしいですね。もし実際にそうなったら、逆流性食道炎よりも逆流性肺炎のほうが怖いですし、将来的なリスクとかではなく、緊急治療が必要なレベルになるでしょう。でも実際にはそうなっていません。

睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因を最初から間違えているから、そのような判断になります。喉や口蓋垂や舌が気道に落ち込んで物理的にふさぐために睡眠時無呼吸やいびきになるとしたら、睡眠時無呼吸の人が気絶とかしたら、死んでしまいます。柔道の大柄の選手が絞め技で落ちたら、大変なことになりますよ。相撲のけいこも頻繁に救急車騒ぎになるでしょうね。でも、実際にそういうことにはならないのです。

胃食道逆流症がいびきや睡眠時無呼吸を引き起こしているのです。寝ているときに胃の中のものが逆流してくるのを抑えるために、体が食道を狭めます。それにつられて気道が狭くなるのが、いびきや睡眠時無呼吸の原因です。

食べてすぐ寝ることが、肥満の原因にもなっているし、右を下にして横向きに寝れば、胃の入り口が上になるので、逆流が防げるためいびきを抑えることができます。横向き寝でいびきをかかないといわれる所以です。ちなみに左を下にして寝ては意味がありません。

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慢性咳嗽(がいそう)と睡眠時無呼吸をつなぐ胃食道逆流症

慢性の咳と睡眠時無呼吸の関係が胃食道逆流症でつながっているとの見解意見文です。

http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/004040340j.pdf

● Letter to the Editor

慢性咳嗽(がいそう)と睡眠時無呼吸をつなぐ胃食道逆流症

寺本 信嗣a    吉田 和史

編集委員長殿
総説「慢性咳嗽と閉塞性睡眠時無呼吸症候群」1)を拝読しました.肥満の増加や食生活の変化によって,胃食道逆流症(GERD)による慢性咳嗽が増加しています.睡眠時無呼吸は,胸腔内圧の変動,迷走神経反射などを介して気道過敏性を亢進し,咳閾値を低下させますが,この際,胃食道逆流(GER)は大きな役割を担っています.経鼻持続性陽圧呼吸法(nCPAP)による咳嗽症状の改善にも GER 改善が寄与すると考えられます2)3).この咳には,誤嚥も関与していると考えられます.したがって,慢性咳嗽の診断・管理にあたって,夜間の呼吸状態の把握と同時にGERDについても評価しておかないと片手落ちとなります.GERD の評価については質問票が有効であり,proton pump inhibitor(PPI)による治療的診断もあります.
これらの指摘は,2000 年前後から議論されており,咳だけではなく,喘息研究におけるCPAPの役割についても考慮すべきです.特に,nCPAP の実質的開発者 CE Sullivan と豪州喘息研究の第一人者 AJ Woolcock の共著である歴史的論文4)が引用されていないのは寂しい気がします.これらの萌芽的な研究が慢性咳嗽にも応用されており,その経緯を知るべきと思います.
したがって慢性咳嗽治療において睡眠時無呼吸を考慮することは重要ですが,同時にGERDの併存の有無を判断することが重要であると考えます.

著者のCOI(conflicts of interest)開示:寺本 信嗣;講演料(日本ベーリンガーインゲルハイム,ファイザー,ノバルティス ファーマ,第一三共).他は本論文発表内容に関して特に申告なし.

引用文献
1)横堀直子,他.慢性咳嗽と閉塞性睡眠時無呼吸症候群.日呼吸会誌 2015; 4: 47-9.
2)Teramoto S, et al. A possible pathologic link between chronic cough and sleep apnea syndrome through gastroesophagealreflux disease in older people. Chest 2000; 117: 1215-6.
3)Teramoto S. Swallowing, gastroesophageal reflux and sleep apnea. In: Idzikowski C, ed. Sleep and Its Disorders AffectSociety. Cloatia: InTech. 2014; 99-111.
4)Chan CS, et al. Nocturnal asthma: role of snoring and obstructive sleep apnea. Am Rev Respir Dis 1988; 137: 1502-4.

連絡先:寺本 信嗣
〒312-0057 茨城県ひたちなか市石川町 20-1
a筑波大学附属病院ひたちなか社会連携教育研究センター呼吸器内科
b株式会社日立製作所ひたちなか総合病院呼吸器内科
(E-mail: shinjit-tky@umin.ac.jp)
(Received 14 Mar 2015/Accepted 15 Apr 2015)
Response to Letter to the Editor

慢性咳嗽の新たな原因疾患としての閉塞性睡眠時無呼吸症候群

慢性咳嗽と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)をつなぐ胃食道逆流症(GERD)につき,ご指摘いただきありがとうございました.1988 年に Woolcock らは,持続性陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)が閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)合併気管支喘息患者の夜間症状を改善させることを報告しておりますが,本論文の引用がなかった不備についてもご意見いただきありがとうございました.ご指摘のように,慢性咳嗽において GERD の関与は大変重要であり,CPAP による GERD の改善から咳嗽も改善に至る症例は多く存在すると考えております.一方で,咳特異的質問表として知られているLCQ(Leicester Cough Questionnaire)の創始者である Birring らは,2007 年に慢性咳嗽の原因疾患として OSA の関与が疑われる症例を初めて報告しました.この症例報告から,GERDの治療では改善しない慢性咳嗽患者,あるいはGERDが存在しない慢性咳嗽患者で,これまでのガイドラインに従った治療では改善しない難治性慢性咳嗽患者のなかに OSA 例が潜在しており,CPAP 導入後に咳嗽が改善する症例が存在している可能性があることが示唆されています1).我々の経験した症例でも,ご指摘されたGERD質問表でGERD症状がないと考えられる慢性咳嗽患者や,GERDに対してすでにproton pump inhibitor(PPI)を投与されているにもかかわらず咳嗽の改善のなかった難治慢性咳嗽患者において,CPAP 導入により咳嗽が著明に改善いたしました2).CPAP が OSAS の慢性咳嗽を改善する機序はいまだ不明ですが,GERD の改善以外にも睡眠中
の気道閉塞やいびきが気道炎症を誘起し咳嗽を誘発している可能性が推察されております3).ご指摘いただいたWoolcock らの報告においても,CPAP が気管支喘息の夜間症状を改善する機序について,いびきや気道閉塞が喘息の夜間症状のトリガーとなっており,これらがCPAPにて改善した可能性があると考察されています.気管支喘息と慢性咳嗽と疾患は異なっておりますが,その症状の発症機序とCPAPが有効である点において共通点であると考えております.しかし,CPAP の咳嗽改善の機序についてはいまだ十分に解明されておらず,今後この分野でのさらなる検討,研究が必要であると考えております.
著者の COI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関して特に申告なし.

引用文献
1)Birring SS, et al. Obstructive sleep apnea: a cause of chronic cough. Cough 2007; 3: 7.
2)Yokohori N, et al. Utility of continuous positive airway pressure therapy for treating chronic cough in patients withobstructive sleep apnea. Intern Med 2014; 53: 1179-82.
3)Sundar KM, et al. Chronic cough and OSA: a new association? J Clin Seelp Med 2011; 7: 669-77.東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器内科 横堀 直子,桂  秀樹
連絡先:横堀 直子
〒276-8524 千葉県八千代市大和田新田 477-96
東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器内科
(E-mail: wbycm409@ybb.ne.jp)
(Received 13 Apr 2015/Accepted 15 Apr 2015)

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睡眠時無呼吸を治療するとなぜ体重が増えるのか?

ちょっと前の記事ですが、2016/3/4 京都新聞に「睡眠時無呼吸症候群、治療後太りやすく」という記事が掲載されました。

http://www.kyoto-np.co.jp/environment/article/20160304000013

これは、京都大学研究成果報告で発表された内容です。私自身は以前から、肥満から激しい「いびき」、そして睡眠時無呼吸症候群へと進んだ患者をCPAP(持続性陽圧気道)で治療するという一連の流れが、対症療法だけで、根治療法になっていない「ずれ」を呈しているのではないかと感じていたので、やっぱりなと思ってしまいました。食事療法などの生活習慣の改善を指導しないで、CPAPで無呼吸の症状を取り除いても、根本的な治療ができていなければ、ほかの不具合を誘発する危険があると思います。

京都大学のホームページからPDFがダウンロードできるので、ご紹介させていただきます。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/documents/160303_2/01.pdf

睡眠時無呼吸を治療するとなぜ体重が増えるのか?

-基礎代謝の変化と食生活の重要性-

 

今回、京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学の立川良大学院生と同研究科呼吸管理睡眠制御学講座の陳和夫特定教授らは、同研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学の池田香織特定助教と共同研究を行い、睡眠時無呼吸症候群の患者が持続性陽圧気道(CPAP)によって治療を受けた後に、体重が増加するメカニズムを明らかにしました。この結果は2016年3 月1 日正午(アメリカ東部時間)に「American Journal of Respiratory and CriticalCare Medicine」のオンライン版で公開されました。

研究者からのコメント(陳和夫特定教授):

わが国でも頻度の高い中等症・重症の閉塞性睡眠時無呼吸患者の臨床症状の改善や脳心血管障害予防にCPAP は有効な治療ですが、CPAP 後に体重が増えやすくなることに注意が必要です。本研究は、CPAP 後にエネルギーが過剰となるメカニズムを明らかにし、食事などの生活習慣指導の併用が体重の制御に重要であることを明確に示しました。

【研究の概要】

肥満と睡眠時無呼吸症候群が深く関係していることは良く知られていますが、睡眠時無呼吸症候群の患者をCPAP で治療した後にも体重の増加現象が見られることが、最近になって知られています。立川良大学院生(京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)陳和夫特定教授(同呼吸管理睡眠制御学講座)らは、池田香織特定助教(同糖尿病・内分泌・栄養内科学)らとともに、この現象のメカニズムを明らかにするために、CPAP の治療前後でのエネルギーバランスの変化とそれに関係する因子について総合的な検討を行いました。交感神経活動の低下などによってCPAP 治療後に基礎代謝は約5%低下しており、エネルギー消費量の低下が体重増加の背景にあることが示されましたが、さらに実際の体重増減により重要なのは、食事内容や食行動の問題などエネルギー量の摂取に関係する項目であることも明らかとなりました。

図1 CPAP 前後での基礎代謝量・身体活動量・摂取カロリーの変化

基礎代謝量は体重増加者・非増加者いずれも約5%低下し、また身体活動量は両群とも変化がありません。このことから、エネルギー消費量は治療によって両群とも同じように低下していると考えられます。一方で、エネルギー摂取量は体重増加者において治療後に多くなっており、体重変化が食事内容に左右されていることが分かります。

図 2 体重増加者と非増加者に見られる食行動の違い

食行動は 7 つのカテゴリーで評価され、スコアが高いほど肥満につながりやすい食行動の乱れがあることを意味します。体重増加者では一貫してスコアが高く、食行動が乱れている人では過食から体重増加を起こしやすいことが分かります。また、体重非増加者では経過とともにスコアが低下しており、食生活・食行動の改善を伴っていたことが分かります。

【本研究のメッセージ】

現在わが国の CPAP 治療患者は約40 万人(推定される睡眠時無呼吸症候群は全国で300~500 万)で、6-7 割の方は肥満あるいは過体重です。肥満は生活習慣病の重要な危険因子であり、体重は適正に管理する必要がありますが、睡眠時無呼吸がCPAP で良くなった後も体重のコントロールに悩む場合が少なくありません。本研究によって、睡眠時無呼吸の患者さんは治療後にいわば省エネ体質となっていることが示されました。体重を意識せずにいると容易に体重が増える状況にあると言えます。この関係は禁煙後の体重増加とよく似ています。禁煙後に体重が増える原因は、ニコチンを絶つことによって食欲が亢進するだけでなく、基礎代謝が5-10%低下することにもあるからです。体重増加を防ぐためには特に食生活に気を配る必要がありそうです。

「体が楽になった分だけ余分なエネルギー消費がなくなった」という見方をすれば、CPAP 後の体重増加は必ずしもネガティブに捉える必要はありませんが、しかし体重管理の面からは、CPAP 治療前には体重について注意を喚起し、生活習慣の改善指導を併せて行うことが重要と言えるでしょう。本研究はこれまで不明だったCPAP 後の体重増加のメカニズムを明らかにし、そのような指導の理論的根拠を示したことに意義があります。

【論文】

“Changes in Energy Metabolism after Continuous Positive Airway Pressure for Obstructive SleepApnea”

Ryo Tachikawa, Kaori Ikeda, Takuma Minami, Takeshi Matsumoto, Satoshi Hamada, Kimihiko Murase, Kiminobu Tanizawa, Morito Inouchi, Toru Oga, Takashi Akamizu, Michiaki Mishima,Kazuo Chin

Am J Respir Crit Care Med, in press

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睡眠時無呼吸のメカニズム

睡眠時無呼吸症候群について、気道閉塞が起こるメカニズムと、閉塞したまま窒息死しないメカニズムの考察が
「赤星俊樹,赤柴恒人,植松昭仁,岡本直樹,権 寧博,細川芳文,内山 真,橋本 修
特集「睡眠障害をめぐって」睡眠呼吸障害:閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(OSAHS)における上気道閉塞発症のメカニズム
日大医学雑誌 2010; 69(1): 17-22.」https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/69/1/69_1_17/_pdf

学会発表2010年のⅣ. 総説,解説としてあったのでご紹介したいと思います。

私自身は、睡眠時無呼吸の原因が睡眠時の脱力による物理的な閉塞であれば、重症の無呼吸患者が気絶したら、そのまま窒息する事件が多発するだろうと思うので、基本的に単なる脱力による閉塞ではないと考えております。
この論文では、閉塞は簡単に物理的に起こるが、拡張する筋力が様々な要因で発生するため、窒息死に至らないとしています。

1. 上気道の開存性
『上気道の閉塞原因は吸気時に横隔膜により発生する陰圧であり、拡張原因は上気道拡張筋群による筋活動である。』
要するに息を吸おうとして力を入れたら、喉が狭まっていたところがくっついちゃってしまっちゃうよ。でも、息吸うと肺が大きくなるから、それに気管が引っ張られて開くよ。って言ってます。

2. 咽頭気道の閉塞因子
『非肥満健常人に比べ、OSAHS患者は咽頭気道周囲組織の軟部組織量が相対的に多いため、筋弛緩剤を用いる状態で陰圧にすると、咽頭気道が閉塞する。組織の増加は肥満や顎顔面形態の異常でも認められる。そのほかにも気道断面積に影響を与える因子はいくつかあるが、最も重要な因子は体位である。』
要するに無呼吸症候群の人はそうでない人に比べて、気道周辺の軟部組織が多いので簡単にふさがっちゃうし、体位でも影響受けちゃうよということ。

3. 咽頭気道の拡張因子
『咽頭気道拡張筋群は約20対以上存在し、咽頭気道の閉塞要因に対して拮抗する作用を示す。咽頭気道拡張筋群の活動には、気道内の陰圧に対する機械受容体刺激による反射神経によるもの、呼吸中枢からの出力によるもの、覚醒の程度によるニューロン群による興奮刺激の3つの神経入力により、筋活動が調整されている。
入眠により、陰圧反射は、non-REM睡眠で低下し、さらにREM睡眠で低下する。ニューロン群の刺激も覚醒時に比べ低下し、呼吸中枢からの神経入力は同等かわずかに減弱していることが推測され、結果として睡眠による生理的な変化により、咽頭気道は覚醒時に比べ易閉塞性となる。
肺容量も睡眠により低下し、張力減弱が起こる。』
起きてるときは、閉まろうとする喉の組織を広げようとする筋肉がうまく調節しているけれど、寝ちゃうと調節が緩んで閉塞しやすくなるってこと。筋肉を広げるための3つの方法があるよ。それと、引っ張る肺の容量も小さくなっちゃいます。

4. 咽頭気道と換気調節の安定性
『換気調節の安定性は咽頭気道の開存性において重要であり、この不安定さが咽頭気道閉塞にどの程度関与するのか、今後の研究成果が待たれる』
上手く呼吸ができないと、それが原因で呼吸中枢が上手く働かなくなるから、さらに調節が出来辛くなる可能性が高いんじゃないかなってこと。

5. OSAHSにおける咽頭気道閉塞の発症機序
『このように、覚醒時のOSAHS患者で観察された神経筋代償機構は睡眠により失われ、肺容量の低下もあり、咽頭気道はさらに易閉塞性となる。こうして睡眠中に部分的あるいは完全に上気道は閉塞し、低呼吸や無呼吸が観察される。気道閉塞の解除に覚醒反応を要することが多いが、周期的な覚醒→入眠→呼吸イベント→覚醒のサイクルが終夜にわたり繰り返し観察される。
しかしながら、OSAHS患者といえども正常な換気が維持される睡眠が少なからず確認される。その多くは安定したnon-REM睡眠である。この間は気道の開存に十分必要とされる筋活動レベルへと戻り、安定した睡眠と正常呼吸が得られる。
入眠から安定したnon-REM睡眠に移行するまで、覚醒を伴わないある程度の長さの睡眠が必要であり、覚醒閾値の患者間での相違がOSAHSの進展と重症度に影響を与えている可能性が示唆されている。』
無呼吸症候群の人もnon-REM睡眠の時は覚醒時と同じように呼吸ができているようです。non-REM睡眠ですから、脳は眠っているけど体は起きている状態ってことですね。REM睡眠の時は脳は活動しているけれど体は休んでいるときなので、この時いろんな要因で気道がふさがって無呼吸になるんですが、ある程度覚醒しないと呼吸が復活しない。喉の組織が緩くいっぱいある人はよりふさがりやすく、覚醒の頻度が高いけど、ふさがり辛い人は覚醒の頻度が低い。ある程度覚醒しないで睡眠が続くと安定したnon-REM睡眠になって、呼吸も安定するので、患者による差が大きいようです。

さて、この論文は2010年に発表されていて、気道組織の異常が無呼吸症候群になるかそうでないかを左右するようになっていますが、最近は身体的な特徴はかならずしもあてはまらないことが多いと言われています。
正常と言われている人も、1時間に5回程度の無呼吸が発生しているわけですから、身体的な特徴よりも20対ある拡張筋の働き方がどう影響しているのかを詳細に調べる必要があると思います。
要するに無呼吸症状が出る状態とはどういう状態であるのか、もっと言えばいびきをかくのはどういう状態なのか、身体的な特徴ではない影響が分かれば、対処方法、根治方法が分かるのではないでしょうか。
身体的な特徴は、原因からの帰結のように思えます。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)

「いびき」を調べると、切っても切れない関係として睡眠時無呼吸症候群が出てきます。「いびき」についてもなぜ「いびき」をかくのかが、なかなかわからないのですが、睡眠時無呼吸症候群もなかなか手繰る糸口さえ見つけられない状況です。

そんな中、医学博士新谷弘実の著書「病気にならない生き方」に紹介されている内容で、

これには説得力があります。睡眠時無呼吸になる仕組みが説明されているからです。

この説に沿った形でのエビデンスがないかと探していた時に見つかったのが、碧南市民病院の岩田義弘氏ら8人の「胃食道逆流症 (GERD) と睡眠障害:ランソプラゾール内服と睡眠内容の検討」(第8回食道逆流症(GERD)と咽喉頭疾患研究会にて報告、収録刊行物「耳鼻と臨床 52(2)、145-151、2006」です。

胃食道逆流症患者の約10%に睡眠時無呼吸症候群(SAS)があり、SASの患者の54%~76%が、胃食道逆流症 (GERD)を合併していることが分かっているので、GERDを抑えるとSASに影響があるかを調べてみた。
胸やけや睡眠障害のない正常男性5人に、胃酸を抑える薬を服用して経過を見たところ、睡眠時無呼吸低呼吸指数AHIが、内服前平均11.4に対し、内服後3.1と減少が認められた。これは閉塞性成分が、内服前平均8.4から内服後3.0。中枢性成分が内服前平均3.0から内服後2.3と、減少した。薬の服用との機序は不明であるが、最大呼気抵抗、最大吸気抵抗とも5名中4名に減少がみられたが、1名は増大した。しかしながら増大した1名もAHIは減少しており、鼻腔抵抗の減少がAHIの減少のすべての要因ではない。
ファイバースコープ観察により、咽頭粘膜の色調変化が見られたことから、胃酸逆流の症状が疑われるが、自覚症状はもともとなかった。
これらを総合的に判断し、薬の服用により、胃酸の逆流が減少した結果、無自覚であったが胃酸逆流により起こっていた気道狭窄を抑え、無呼吸の症状が減少したということが言える。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibi1954/52/2/52_145/_article/-char/ja/

概略として上記のような結果となっております。

一つ驚いたのは、まったくの正常であっても、睡眠時無呼吸低呼吸指数AHIが平均11.4もあるということ。CPAPって20以上で保険適用ですから、その差なんてあんまりないのだなと思います。

睡眠学会的には、無呼吸の陰圧によって、胃酸が食道に逆流すると説明されていますが、いろいろと説明がつきづらいと思います。
まず無呼吸の原因として気道が舌の根が重力で落ち込む等、物理的な作用により狭窄するという説明。本当にそうなら、たぶん無呼吸で死人がたくさん出ます。重度の無呼吸症の人でも無呼吸が原因で窒息死することがないのは、自身でコントロールしているからで、風呂場で失神しているのとは違うわけです。

また、無呼吸の陰圧で、胃酸が逆流するようなことが起これば、無呼吸で寝ているときに、いきなり胃液吐いて飛び起きるようなことがおこるはずですが、そんな話は聞いたことがありません。

統計数字の使い方ではよくある話ですが、原因と結果を逆に持ってきてもつじつまが合う話というのはよくあります。無呼吸症候群と、胃食道逆流症、逆流性肺炎、肥満。どれもが関連があるものですから、例えば無呼吸症候群の治療としてCPAP治療を行うと、結果として胃食道逆流症にも効果があったと結論付けたとしても、CPAP治療は、肥満治療や生活習慣改善も同時にやって初めて効果が得られることもデータとしてあるので、ほかの効果が出ただけなのかもしれません。

あくまでも仮説ですが、だけで、無呼吸症候群、胃食道逆流症、逆流性肺炎、肥満すべてに効果があることが分かっているのですから、試してみてもいいかもしれません。

ちなみに私自身、「いびき」が改善されているようです。(スマホアプリでは・・)

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