「いびきをかかない方法」タグアーカイブ

(論文紹介)いびきに対する柴胡桂枝湯の治療効果

台風13号は、銚子をかすめて北上し、これから東北が暴風域に入るようです。それもすぐに東海上に抜けていく予報で、関東圏もそれほどの影響はなかったようですね。

いびきの原因を究明するうえで、非常に参考になる臨床例論文があったので紹介させていただきます。今回ご紹介する論文は、いびきを減少させる漢方薬の発見です。たまたま別の病気のために漢方を処方したら、いびきが激減した。ほかにも鼾がうるさい患者にも処方してみたら、劇的な効果があったというものです。胃を整え、吐き気を防止する漢方薬です。
以前からいびきの原因、睡眠時無呼吸症候群の原因として、胃の内容物が逆流して肺炎になるのを抑えるための作用という仮説をお伝えしておりますが、その裏付けとなる論文だと思います。

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(論文紹介)睡眠時無呼吸で窒息しない仕組み

地元大宮の夏祭りが続いています。
6日7日は、日進七夕祭り。七夕なので日付が決まっています。土日に重なると日中でも人通りが途切れませんが、平日ではやはり昼間は人がいません。出店もほとんど閉まってます。

さて本日は論文の紹介です。
「いびき」を調べると、切っても切れない関係として睡眠時無呼吸症候群が出てきます。「いびき」についてもなぜ「いびき」をかくのかが、特定しづらいのですが、睡眠時無呼吸症候群もなかなか手繰る糸口さえ見つけられない状況です。

そんな中、医学博士新谷弘実の著書「病気にならない生き方」に紹介されている内容で、胃食道逆流症の症状で肺炎を防止するために息を止めるのが無呼吸症候群。これには説得力があります。睡眠時無呼吸になる仕組みが説明されているからです。

いびき改善のサプリやツールで、まともなエビデンスをもって販売しているものはどのくらいあるのでしょうか?ほとんどが勝手に作ったいびきの原因を勝手に抑えるというもので、どこにもその根拠となるものがないのがほとんどです。
しかも利用者の声があまりにも創作的。普通に考えて商品の文句を言うために声を上げる人がいるのは当たりまえですが、何の利益もないのに、商品をほめまくる人はそんなにいないでしょう。ほとんどがアフィリエイターと言われる広告屋などアルバイト的な文書にすぎません。
学会論文や実験結果数値などを正しく示して、なぜそれが効くのかどうしていびきが治められるのかを証明するべきだと思います。

(論文)睡眠時無呼吸で窒息しない仕組み

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ストレス

台風が近づいてきているので、今日はこれまでとはずいぶん違って涼しい。昨日までの暑さは、コンクリートとアスファルトに囲まれた中にいるのだもの熱いのも当たり前。やはり緑の中にいるだけで心も体も癒されます。

ストレス解消
どの様なストレスでもそのストレスの元がなくなるか、自分が離れることが一番の解決方法になります。

しかし、ストレス元が簡単に消すことができないか、ストレス元から離れることも難しい場合は、ストレス元をなくすための破壊的な行動を擬似的に行うことで、一時的に解消しようとします。
これが、物を壊したり、打撃的な運動をしたり、大声を出すなどによるストレス解消です。ただし、あくまで擬似的な破壊なので、だんだんエスカレートしないとすっきりしなくなります。
これで解消できるのは、ストレス元に責任があり、自分は悪くないと思える性格の人です。

自己責任的な意識が強い人の場合は、同じ破壊が自身に出る場合があります。出方としては、過食や食欲不振。髪の毛を抜くとか、爪を噛む。実際の自傷もあります。ストレスを解消する手段としての行動ですが、ストレス元を自分自身に移しているために実際の解消にはなりません。
当然うまく解消できないときは頭痛や腹痛、下痢、精神的な疾病などとして現れます。

ストレス元をしっかり把握できない、なんとなくストレスがたまったなという場合は、自身が気持ちよくなることでなんとなくストレスを解消できます。
眠ること、おいしいものを食べる事、音楽を聴く、アロマ、お酒、旅行等自分が楽しめることを行うことが解消になります。

東洋医学の考えで、病気の症状で病気を治す方法というのがあります。
病気の症状は、体がその病気を治すために戦って出ている症状ですから、同じ状態にして免疫の力を加算するということです。
風邪の時に熱が出るので、風邪っぽいと思ったら体を温めるという考えです。

ストレスの時に体に現れる反応を、意図的に起こすということ。
例えばストレスがあると眠れない人は、ストレスがたまりそうな時にあえて寝ないで徹夜してみる。
ストレスで胃が痛いときは、何も食べるなという体の反応なので、無理して食べない。胃薬などは飲まない。
ストレスでイライラする人は、パズルなどのイライラするものをやって、完成時のそう快感を味わうなどです。

ストレスに弱いというのは、体の免疫反応を抑えようとする事で、一時的に解決しても結局もっと弱ります。
風邪で熱が出るのに解熱剤を使うようなことです。
ストレスに強いのは、体の反応から逃げずに、取り入れてしまうようにすることです。

仕事のストレスの解決方法は、仕事でうまくいかないものに
しっかり取り組んで解決するというのが一番です。
当然わかり切ったことですが、実はうまくいかなくても逃げずに取り組むことで、ストレスは消えていくのです。

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(論文紹介)睡眠時無呼吸と肥満と重症度

20年位前までは「夕立」。10年前ぐらいから「ゲリラ豪雨」その間は、「まるで熱帯のスコールみたいだね」なんて言われていました。夕立という言葉のなんと日本的で詩的な美しさなのだろうと思います。
ゲリラ豪雨みたいなものは、風情が無くて嫌ですね。

本日は睡眠時無呼吸と肥満についての論文をご紹介します。なんとなく論文の趣旨があっちに行ったりこっちに言ったりしている感があります。睡眠時無呼吸症も生活習慣病の症状らしいというあたりと、必ずしも肥満が無呼吸と直結していないという点が良いと思いますが、その原因として日本人の顔の角度と欧米人の顔の角度に持って行ったところが強引すぎる気がしますね。

https://kinran.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=62&item_no=1&page_id=13&block_id=21

千里金蘭大学紀要 P.1~14(2008)

日本人における睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の肥満と重症度の関連性について

The association between obesity and disease severity in the Japanese sleep apnea syndrome (SAS) patient
岡村 吉隆、奥田 豊子2

要旨
「睡眠時無呼吸症候群は肥満を伴うことはよく知られている。治療の第一選択肢は経鼻的持続気道陽圧療法であるが対症療法である。したがって、長年使用する必要がある。多くの日本の睡眠時無呼吸症候群患者は重症度が同程度にもかかわらず白色人種の睡眠時無呼吸症候群患者ほどの肥満ではない。それは、日本人では肥満に加えて顔面軸角(FX: facial axis)が睡眠時無呼吸症候群に影響されやすいための因子である可能性がある。すなわち、日本人の側頭蓋計測においては白色人種に比べて顔面軸角が狭いことが要因と考えられる。
キーワード:睡眠時無呼吸症候群 Sleep apnea syndrome, 肥満 obesity, 側頭蓋計測 cephalometry

I.はじめに
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は1976年に Guilleminault により提唱[1]され、臨床的な歴史はまだ浅い疾患である。Guillerminault によると SAS は「7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸があること」と定義している。
SAS の症状は、習慣的いびき、日中傾眠、起床時の頭痛、睡眠中の呼吸の停止、インポテンツ(ED)、熟眠感の欠如、性格の変化・抑うつ状態、夜間頻尿などであり、その原因は肥満による上気道組織への脂肪沈着、扁桃肥大、巨舌、小顎症、上顎骨の後方偏位、下顎骨の後方偏位などと考えられている。特に上気道組織への脂肪沈着は 肥満者に多く見られることから肥満との関連性が高い疾患といわれている。しかし、わが国の SAS 患者は200万人ほどいると考えられていて欧米諸国と比べると肥満者の割合が低いことから見ても非肥満者の患者も少なくなく(2]、日本人の場合他の国とは異なる部分もある(図1)。
本稿では睡眠時無呼吸症候群における先行研究の結果などからその発症要因や自覚症状、診断基準、治療の現状等について述べ、特に肥満との関連性に焦点を当て、わが国における SAS について検証する。

Ⅱ, 睡眠時呼吸障害について
睡眠時呼吸障害(sleep-disordered breathing; SDB)は昼間の眠気を呈する代表的な病態の、ナルコレプシー (居眠り症)や若者の睡眠不足症候群なども含まれるが、米国では閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome; OSAS)、中枢性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(central sleep apnea-hypopnea syndrome; CSAS)、チェーン・ストークス呼吸症候群(Cheyne-Stokes respiration syndrome; CSRS, CheyneStokes breathing syndrome; SCBS)、睡眠時低換気症候群(sleep hypoventilation syndrome; SHVS)に分類され[3]、わが国においてもこの分類が採用されている[4]。これまでの SDB の有病率調査は OSAS に限定され
ている[2]。
1 Yoshitaka OKAMURA 千里金蘭大学生活科学部食物栄養学科 (受理日:2008年10月1日)
2 Toyoko OKUDA 大阪教育大学教育学部生活環境講座 (受理日:2008年10月1日)

OSAS の定義は「日中過眠(excessive daytime sleepiness; EDS)もしくは閉塞性無呼吸に起因するさまざまな症候のいくつかを伴い、かつ無呼吸・低呼吸指数(apnea hypopnea index; AHI)が5/hr以上」と、米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine: AASMOで提唱する基準(31をわが国においても採用[4]している。したがって、本稿では SAS と表記するものは OSAS と同意語として用いることとする。上気道閉塞を来す形態学的因子を表1に示す。

Ⅲ. SAS の疫学
疫学調査によると、30~60歳の SAS 罹患率は高く、特に男性では顕著であり睡眠時間に10秒以上持続する無呼吸・低呼吸の発現頻度は、AHI>5/hrの割合が男性の24%、女性の9%、さらに AHI >15/hrの割合は男性で9.1%、女性で4.0%であった。また、EDS の徴候も高率であった[5]という報告からみても潜在的な罹患者は多いと思われる。さらに、高齢者の場合には、SDB の罹患率が高いことはよく知られている[6]。しかしながら、高齢者の診断基準は多様な診断基準が提唱されており、また、症状も多様であることから、治療の優先順位や必要性についてもその是非が問われている。[7]また治療を行なう際にも、義歯、下顎の不安定さ、喫煙、飲酒、向精神薬の内服等の問題点から成人の SAS とは異なり、生活習慣の見直しが優先されると考えられている[2]。
EDS は QOLを損ねる[8][9]ばかりでなく、生活を送る上で問題点もある。男性を対象にした10年間の前向き研究ではいびきをかく人や、重度の日中傾眠を伴う人には産業事故のリスクが高い結果が出た [10] という報告や、SAS の重症度と交通事故発生率には関連性がある[11]など社会的な問題にもなり得ることになる。しかし、CPAP(経鼻的持続気道性陽圧療法:nasal continuous positive airway pressure therapy)や外科的治療を行なわずにいた場合、51.6±12.0歳(平均値±標準偏差)の385人の男性での研究では AI> 20/hrの者(n=104) は AI≦20/hrの者 (n=142)に比べ明らかかに生存率は低く8年後では平均63%であった [12] という報告がある(図2)。
したがってSASは単に睡眠中の呼吸の停止や低呼吸の症状を呈する疾患であるだけでなく、死亡の原因にもなりうる疾病であるといえる。

IV. OSAS の症状
いびきは SAS の象徴的症状であり、習慣的ないびきは粥川らの報告[13]によると、7箇所の一般住民を対象とした調査では、「毎晩いびきをかく」と答えた人は、男性の21%、女性の6.1%であった。SAS 患者の臨床的症状の最初は大きないびきをかくことである[1]という報告もある。 いびきは形態学因子と機能的因子が複雑に関与して発生する現象で、ヒトが進化の過程で起立二足歩行を始めた後に増加かつ増悪した病態で、ヒト以外の哺乳類ではきわめて稀である[14]。
いびきは SAS を疑う要因のひとつであるが、いびきは家族間で遺伝することが知られている。双子のいびきについての研究では、492ペアの一卵性双生児と、284ペアの二卵性双生児において調査したところ、習慣的ないびきは一卵性双生児では全体の20%で、二卵性双生児では全体の25%で認められ、ペアの一致する割合は一卵性双生児 で67%、二卵性双生児で50%であった[15] という。
いびきをかくものがすべて SAS ということではなく SAS を伴わない単純性のいびきもあるが、SAS の罹患者 のいびきの場合は特徴的な周波数特性を示す [16] という報告もある。習慣性のいびきの病態の特徴について表2に示す。

日中傾眠も SAS の代表的な症状である。夜間の無呼吸や、低呼吸の繰り返しによって十分な睡眠がとれず、その結果覚醒が生じ睡眠不足に陥り昼間眠気が強くなり居眠りをしてしまうことになる。実際の SAS のスクリーニングにおいては、習慣性のいびき、家人から確認された夜間無呼吸の存在、明らかな日中傾眠が三つ揃った場合に 本症候群を疑う [17]。SAS患者の多くは、体を動かしているとあまり眠気を感じないが、会議やデスクワーク中、 運転中などに眠くなり、堪えきれない場合には居眠りを生じてしまい、軽症群では午睡ゾーンを中心に起こるが、 重症化すると日内変動はなくなり、日中眠くてたまらないと訴えるようになる[6]。AHI が5以上の女性の23%、男性の16%がなんらかの眠気を週に二日以上経験しているという[5]。
その他の症状としては、起床時ののどの渇きや頭痛、眠りが浅く寝返りをよく打つ、インポテンツ(ED)、熟眠感の欠如、性格の変化・抑うつ状態、夜間頻尿などであるといわれている。

Ⅴ. SAS の診断
1. 日中傾眠
日中傾眠(EDS)はアメリカ睡眠学会では AHI と同程度の重要な意義を持つとされている[3]。EDS を主観的評価方法によってその度合いを測定し、その結果 EDS の傾向が強いと SAS が疑われるという診断方法がある。 評価方法のスタンダードスケールとして ESS (Epworth Sleepiness Scale) [18] (表3)がある。

ESS は、日常生活 の中でのさまざまな状況下において眠気を感じるかどうかを問うものでその内容は、①座って読書しているとき、②テレビを見るとき、③座って公的な場所でただ座っているとき(例えば劇場とか会議)、④1時間休憩なく車に 同乗しているとき、⑤用もなく午後横になって休んでいるとき、⑥誰かと座って話しているとき、⑦アルコールを 飲まずに昼食を食べた後静かに座っているとき、 ⑧車に乗っていて交通事情で2・3分止まっているときで、これら8個の質問に、居眠りしたことがない=0点、時に居眠りすることがある = 1点、しばしば居眠りすることがある= 2点、だいたい居眠りする=3点の4件法で答えるもので、0点から24点までの範囲が結果として出ることになり日中傾眠が強いほどその値が高くなるとされ、日常診療で多く用いられている。ESS 値としては、豪州人を対象と した結果では、健常者では5.9±2.2(平均値±標準偏差)、OSAS 全体では11.7±4.6であるが、重症度別では軽症の ESS は9.5±3.3、中等症は11.5±4.2、重症では16.0±4.4と報告が[18]されている。また、SAS 患者では交通事故発生と ESS スコアーに関連性があった[9][19] という報告もある。主観的な評価方法としての ESS はスクリーニング として用いるには簡易でよい指標となるが、ESS 値が高いことだけで SAS と診断することは不可能である。欧米に比べ居眠りに対して寛大な我が国においては客観的に SAS を診断することは必要である。わが国における先行研究において AHI と ESS とは関連性がなかったという報告[20] もある。
2.終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography; PSG)
主観的評価としての ESS は、日中傾眠の評価にはよく用いられる。しかしながら SAS の診断には日中傾眠だけでは不十分であり、逆に日中傾眠が強くても SAS でない場合、また自覚症状がなくても SAS である場合もある。
SAS の判定を比較的容易に測定するために、簡易ポリグラフィーやパルスオキシメーターを用いる方法もある。 簡易ポリグラフィーは、自宅に持ち帰って測定が可能であり睡眠呼吸障害の傾向を示すものとしての利用価値は高いが、問題点は、脳波の測定が行なわれないため、日中傾眠が強い儀陽性の場合や上気道抵抗症候群などの睡眠の質が問われるような症例の診断には十分注意が必要となる[21]。また、パルスオキシメーターは酸素飽和度の測定に用い携帯が可能なほどの小型化したものであるが、軽症・中等度の SAS の診断には限界がある[20]。
SAS 診断のゴールドスタンダードは終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography; PSG)による検査である[2]。 PSG は医療施設にて一泊の検査入院を必要とし、睡眠状態の全般について検査を行なうものである。測定項目は、気道の狭窄の程度、睡眠中の呼吸状態、睡眠段階、脳波(睡眠の型と深さ、覚醒反応の把握)、眼球運動(REM 睡眠の有無)、願筋筋電図(REM 睡眠の有無)、心電図(不整脈や心拍数の変化)、動脈血酸素飽和度(SpO2) (低酸素状態の把握)、エアフロー(口・鼻の気流の検知)、胸部の動き(換気運動の検知)、腹部の動き(換気運動 の検知)、いびき音、体位(仰臥位で無呼吸の発生頻度が高くなる傾向がある)、下肢筋電図(レストレスレッグ症 候群、周期性四肢運動障害の有無) [23] で、睡眠の深さ、睡眠の分断化や覚醒反応の有無、睡眠構築、睡眠効果 などを呼吸状態の詳細と合わせて、定量的に算出できる検査であり、これにより SAS の有無や重症度が判定でき、 AHI の値が診断基準となる。SAS と診断されるのは AHI が5/hr未満で正常とされ、15/hr未満は軽症、30/hr未満は中等症、30/hrを上回ると重症となる。

VI. SAS の治療
SAS の治療は生活習慣の改善に対する指導、内科的治療、外科的治療、歯科的装具による治療に大別できる。 SAS は生活習慣の改善により症状が改善される可能性がある。具体的には、肥満の是正、飲酒の制限、禁煙、 精神安定剤服用の制限、睡眠中の体位の工夫などになる。実際 SAS 患者は肥満を伴っている場合が多く、減量することにより AHI 値の減少が期待できる。日本肥満学会による肥満の分類 2 を表4に示す。これによると、高血圧、脂質異常症、糖尿病などのメタボリックシンドロームの判定基準に関わる疾患は内臓脂肪の増加による脂質の質的な異常による疾患と位置付けされているのに対して、SAS は脂質の量的な異状による疾患とされている。したがって、SAS の減量は脂質の質的な異状による疾患に比べより多くの減量が必要となると考えられる。飲酒は 呼吸を抑制し上気道の筋力を低下させることにつながり、喫煙は血中の酸化濃度を低下させ、咽頭頭部の炎症の原因にもなり [25]、SAS のリスクファクターとして喫煙や飲酒に関連性があったという報告もある[26]。また、精神安定剤の中には上気道の筋力を弱める作用があるものがありそれぞれ SASを悪化させる要因となる[2]。また、睡眠中仰臥位だと重力が下向きに加わり舌根の沈下を招くことになり、気道の閉塞につながる。できるだけ側臥位を保てるよう背中にボールを貼る、枕を変えるなどの工夫が必要である。また、肥満を伴う SAS患者では立位姿勢で の睡眠が有効である[28] との報告もあるが誰もが可能な姿勢ではなく、側臥位の維持を検討すべきである。
内科的治療としては軽症の SAS には薬物療法の選択肢もあるが、現在その効果には限界があるといわれている[29]。

治療の第一選択肢は経鼻的持続気道陽圧療法(CPAP)である。CPAP は就寝時にマスクを装着し、気道内に陽圧をかけ気道の閉塞を防ぐことにより、無呼吸を取り除く療法である [23]。CPAP の効果は絶大で、中等度はもちろん重症の SAS も CPAP療法により AHI 値は激減する。しかし CPAP は長年継続することが必要である[30]。
わが国の医療では AHI が20/hr以上で CPAP の保険が適用されるが、効果は大きいものの対症療法であるため SAS そのものを治療するものでなく使用を中止すると即座に元の状態に戻ることになる。したがって、長期継続 が必須となり CPAP療法に対しての問題がないわけではない。
外科的治療は小児には積極的に行なわれる扁桃肥大やアデノイドの摘出手術と、口蓋垂、扁桃を切除し、軟口蓋、 口蓋弓を含む中咽頭部の過剰粘膜を切除・短縮融合することで上気道を拡大させる口蓋軟口蓋咽頭形成術 (uvulopalatopharyngoplasty; UPPP)などがある。UPPP は術後の咽頭痛や、飲料の鼻への逆流が起こる場合 があることや、一旦 SAS の改善が見られてもいずれまた気道の閉塞が徐々に進み元の病状になることもある[31]。
歯科的装具による治療は CPAP が受け入れられない患者などに用いられて、患者ごとにマウスピースを作成し 下顎を少し前方に引き出すことで咽頭に空間を作り閉塞を少なくするものである。これも患者によれば違和感を訴える者もいることと効果は CPAPよりも劣る。また、舌を固定する装置を用いることにより効果があったという報告もあるが、わが国ではあまり用いられていない。

Ⅶ, 睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病
先行研究において生活習慣病患者には SAS の合併率が高く、SAS は生活習慣病と捉えることが大切である[33]。 SAS の重症度と心血管疾患の発症とは明らかに関連性がある[34]。SAS の治療は冠状動脈疾患を持つ患者にとって更なる心血管障害を減少させることになる [3]などの報告や、米国高血圧合同委員会7次報告書[36] では、高血圧が OSAS の合併症としてではなく、原因疾患として取り上げられるようになったという報告もある。SAS における インスリン抵抗性の増悪が、肥満と独立して無呼吸に関連するものである[37]。SDB の度合いは耐糖能や、インスリン抵抗性に関連性があり、年齢、性別、喫煙の有無、BMI, 睡眠中の自己評価とは独立している [38]。SAS の症状の特徴とも言えるいびきは2型糖尿病とインスリン感受性に関連性が強く、習慣的ないびきは耐糖能正常者や耐糖能異常者に比べ2型糖尿病患者に多い [39]、また運動や禁煙、減量などの生活習慣の改善は習慣的にいびきをかく者にとっては2型糖尿病のリスクを軽減することになる[40]。AHI が高いほど生活習慣病の合併率は高く、SAS と生活習慣病の関係は深い [41] など、SAS と生活習慣病との関連性については多くの研究報告がされている。
実質的な治療としては特に中等度以上については CPAP が第一選択肢となる。AHI 値の改善は顕著であり、SAS 患者には生活習慣病を合併しているものが多いが脂質代謝障害としての脂肪肝や AST(GOT) 高値といった肝機能障害を示すものの、CPAP治療によってこれらの改善を認める[11]。心血管疾患を防ぐ効果がある [43]。CPAP装着時間別の死亡率は1時間以内/日と1時間以上/日では有意な差があった[44] との CPAP療法の効果と考えられる報 告もされている。

Ⅷ, 睡眠時無呼吸症候群と肥満について
現在我が国においてメタボリックシンドロームが強く疑われる者、または予備群と考えられる者が成人男性では 40%以上になっている。また BMI(Body Mass Index)が25kg/m2以上の肥満者も男性では増加している。「健康 日本21」の目標値(2010年)は20歳代女性のやせの者が15%以下、20~60歳代男性の肥満者が15%以下、40~60 歳代女性の肥満者が20%以下とされているが達成は難しい状況である。
肥満に関する WHO の基準によれば、BMI≧25kg/㎡を過体重(over weight)、BMI≧30kg/㎡を肥満と定義 している。わが国では、日本肥満学会において BMI≧25kg/㎡を肥満と定義している。その背景として、日本では BMI≧30kg/㎡ の肥満が3%以下である[24]のに対して、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の発症頻度は欧米と変わらないこと、軽度肥満であっても肥満に基づくさまざまな疾患を発現し易い[24] ことにある。SAS は肥満との関連性が高いと考えられ、わが国においても高度肥満者の内臓脂肪が220㎠以上では SAS は100%であった[45] という報告もある。SAS と肥満に関する研究は多く、体重の変動があまりなかった群に比べ10%の体重の増加は AHI が32%増加し、逆に体重が10%減少した群は AHI が26%減少した[46]。睡眠障害に気付く前と現体重との差を見た報告[47] では体重増加度は SAS になる重要なリスクファクターであり、内臓脂肪量にも関連性があるとしている。肥満、特に腹部肥満は SAS に対し重症度とは別に無呼吸時の低酸素血症を増強させる [48][49]。男性に比べ女性 の SAS 発現率は低いと思われるが、女性においても肥満は睡眠中のいびきを伴い、実際の睡眠時間を短くし睡眠 効果を減少させ、日中傾眠を伴うという調査結果[50]がある。さらに27/hrの AI (Apnea Index)が食事療法による17kgの減量で AI が 3/hrに改善した[51]。食事療法のみと運動療法併用群との減量効果については14週で7~9kg の減量で運動療法の有無に関わらず、パルスオキシメーターを用いた ODI(oxygen desaturation index)動脈血酸 素飽和度低下指数は有意に改善した[58]。減量は中等度の SAS に有効であり、重症度でも CPAP の圧を下げることは可能である[53]。平均7kgの減量で、活力年齢が6~8歳若返り、睡眠呼吸障害スクリーニングも改善された [54]。 VLCD (very low calorie diet)による8%の減量は ODI を30%改善した[55]。減量後長期コントロールできている者、リバウンドしても再発しないものまたは再発するものと様々であるが BMI が31.5kg/㎡ から25.9kg/㎡への減 量で AHI は大幅に改善された [56]。胃バイパス術を施した15例の超肥満患者は44.5±19.4kgの減量で、CPAP圧 が18%減少でき、目標体重に到達した4例では22%の減少であった。夜間のいびき、日中傾眠、偏頭痛、運転中 の一過性の意識消失等の自覚症状を伴った OSAS患者が13kgの減量で、職場復帰し体調も改善した [58] など、SAS と減量の効果を報告するものが多い。その反面、減量による SAS の改善につながらなかったという報告もある。超低カロリーの食事療法で45kgの減量によりインスリンの過剰反応等は改善したが、SAS は改善しなかった[59]。
VLCD を用いた食事療法による減量は、OSA の改善がみられたが、47kgの減量ができた症例でも SAS は改善されないケースもあった [60] などかなりの減量成果が得られた症例において必ずしも SAS の改善に結びつくとは限らない場合もあるようである。
生活習慣を見直すことは SAS 治療において重要であるが、特に肥満患者は減量することが必要になる。すなわちエネルギー摂取量を抑える食事療法とエネルギー消費量を増加するための運動療法が中心となる。
運動療法の実施には注意が必要で高度肥満の場合にはひざ関節痛等を伴う場合がありそれ以後の運動療法の継続が不可能になる場合があるため、ある程度食事療法で体重減少を行なってから運動を開始するなどが必要であるが、減量のための食事療法と運動療法は食事療法単独では体重減少に伴った基礎代謝量の低下がみられたが、運動療法併用群では基礎代謝量の上昇、または低下の抑制がみられ、治療後のリバウンドを軽減する効果がある[6] ので、 食事と運動を上手く取り入れる必要がある。また、目標意識をもたせ自らが取り組むこと。ある程度の減量が達成できたとしてもそれを維持することやリバウンドを生じることがないようにすることが重要である。減量効果は患者の食行動を患者自身が正しく把握することが重要で、自己評価を取り入れることは減量効果に影響を及ぼす [62]。 食事療法を開始する前の意識調査では減量の必要性や肥満が体質に起因しないことなどの食行動の自己効力意識の高いものに体重減少が顕著であった [63]。食行動の変化と減量が可能な対象者は、健康への関心度が高く減量への 準備が整ったものであった [64]。
SAS は脂質の量的な異常に起因する疾患として位置づけされており内臓脂肪の蓄積も多いと考えられる。内臓脂肪蓄積の食習慣は「早食い、脂っこいものを好む、欠食する、摂取食品数が少ない」などの要因が考えられる [65]という「食事内容」についての原因と、食生活におけるある特有な食意識が働き、SAS 患者は肥満のメカニズム については十分な理解があったが、食行動パターンには多くの問題点を抱いていた [66)。CPAP 療養中の患者に対しての実態調査で食事療法と運動療法は継続されていない (67)。食行動意識が低いと健康度も低下する [8]。など複数の要因が引き金になっていることが推察される。
肥満治療についてはこれまでさまざまな研究がされてきたが、一時的に体重が減少してもその後リバウンドを生じることも多い。肥満はエネルギー代謝における摂取系と消費系の不均衡が契機になり発現してくる [69]、そのためいかに対象者にそのことを理解させるかが大切である。肥満症の治療には説明や説得といった治療手段は役に立 たない [70] ことも事実で、医療従事者の肥満者へのアプローチ法が大切となる。

Ⅸ, 睡眠時無呼吸症候群と日本人について
SAS と肥満の関連性は高いと考えるが、わが国と欧米諸国では肥満の基準値が異なる[24]。しかしながら日本人 の SAS 患者数の割合は欧米諸国に比べ少ないわけではない[2]。その理由のひとつとして肥満でなくても SAS で あるという割合がわが国においては高いことが上げられる。わが国の10施設における AHI≦20/hrの SAS に対して肥満度に関するアンケートを行なったところ、4,814例中1,426例(30%)が BMI<25kg/㎡で肥満はなかった [71] という調査結果が報告されている。
その原因としては日本人の場合メタボリックシンドロームの危険因子が変動する BMI 閾値は男性が BMI22kg/㎡で、女性は BMI21kg/㎡と正常体重域に存在する[72] という報告もあり、比較的軽度の肥満であっても日本人は生活習慣病の疾患が発症し易い可能性がある[24] こと。また、入社後7年間で体重が増加する男性が多く9割、10kg 以上の増加を示す割合が3割程度あった [73] という報告からも推察されるように若年時に比べ就業年齢層においての体重増加が見られ今日のメタボリックシンドロームの可能性が強く疑われる者、または予備群と考えられる者も特に男性では増加傾向を示す結果にも結びつくことになっている[74]。SAS に関しても肥満傾向にある現状から考えるとメタボリックシンドローム同様発症の要因が増していることになると考えられる。現代社会においての肥満はそれが 食習慣だけでなく、生活習慣の乱れの影響がある[7] こと、すなわち喫煙習慣は他の生活習慣も不健康な方向へと導き、 特に男性では体重増加の一因となる[76]。睡眠の質が低いと評価している人ほど喫煙本数が多い。家族関係も肥満には関連性があり、家族関係が良い場合男性では腹囲が増加の傾向を示し、女性では抑制するとの報告[78] もある。生活スタイルの多様化や単身世帯の増加など生活環境の変化がいくつもの要因となって睡眠障害や肥満を引き起こしていると考えられる。しかし、前述したようにわが国の肥満の割合は増加傾向にはあるが欧米の肥満率にまでは達していないにもかかわらず SAS の罹患率は低くない。その原因のひとつとして考えられるのが顎顔面形態 の差が咽頭腔の狭小化に大きく関与していて頭蓋骨の形状特性に由来するものが考えられる。日本人をはじめとしてアジア人は頭蓋骨の骨格がモンゴロイド系に属しそのことが原因で SAS が発症している場合がある(72)。したがって、肥満を伴ってなくても SAS である可能性がある。具体的には頭蓋骨の側面をレントゲン撮影にて画像化したものをいくつかの基準点から得られた直線の交点の角度により判定する。頭部X線規格写真法(Cepharometric radiography,以下セファロメトリー)を用いて行なわれる。代表的なものとしては、小顎症を評価する SNB、小顎症を伴わないものも評価できる顔面軸角(facial axis; Fx)などがある。SNB は Sella-Nasion-Basion 点で形成される角度で、その値が小さいほど小顎症であることを示し SAS 患者では下顎骨の後位と SNB 角度が小さいことが特徴である[79]、日本人を含めてアジア人にはモンゴロイド系の頭蓋骨形態を示す割合が高く、SAS ではSNB77°以下と健常者に比べ角度が小さいなどの報告[80] や、非肥満の SAS では小下顎症傾向にあり[81]、SNB や SNA (Sella-Nasion-A point)が重傷度に関係している[82]。すなわち、日本人の場合、頭蓋骨形態により非肥満者においても SAS である可能性を示唆するものであるが、実際には重症度とセファロメトリーでは有意な差がなかったという報告(83) もある。Fx は Basion-Nasion を結んだ線と、Pterygoid point-Gnathion を結んだ線で形成される角度で角度が大きいと Short face 小さいと Long face であることを示す。健常人の Fx の平均値は、白人が約90°であるのに対して、日本人では約86°と小さく日本人は白人よりも Long face である(84) ことが知られて いる。日本人の SAS に特異な頭蓋骨形態の特定には SAS 群と非 SAS 群において Fx は SAS群で有意に値が低 かった[85]。日本人を対象に65歳未満、男性であること、患者群、対象群の BMI に有意な差がないという条件での Fxで対象群は85.7±3.8°であるのに対して、患者群は83.0±4.5°で、患者群で有意に小さかった(p=0.002) [86]。白 人に比べ日本人が肥満の割合は少ないにもかかわらず SAS の有病率が白人と変わらない理由のひとつにこのことが要因にあり、非肥満者の割合が多いことに起因していると考えられる。

X. 最後に
SAS は単に睡眠中に呼吸が止まりそのため昼間の眠気が出るといった単純な疾患ではなく、循環器疾患 [36] や生活習慣病[41] との関連性も高く、さらには治療を必要とする状態を未治療のままにすると死に至る事もありえる重大な問題を抱える疾患[12] である。
CPAP療法は効果が大きく現在のところ治療の第一選択になっているが、中止すると即座に元に戻ってしまい 継続するしかないという点がある。それ以外にも睡眠中常に装着しているための違和感や無意識に装置をはずして しまうなどの患者側からすると満足することばかりでもない。あくまで対症療法であることが CPAP の限界といえる。
肥満者の場合減量による効果が期待できるが、その際には我が国における SAS 患者の特性としてFx 等を指標 としたセファロメトリーの測定を用い Short face の対象者に対して weight control を促すことが必要と考える。

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(論文紹介)補完代替医療としての笑い

大宮夏祭り

昨日は、平成最後になる「中山道祭り」。

大宮は夏祭り真っ最中です。この後は、5日に新大宮区役所建設現場で「てがた絵祭」

日時:平成30年8月5日(日)10時から13時予定(雨天中止)
場所:山丸公園 集合(当日受付の方は9:30から)

服装:帽子、汚れても大丈夫な服・運動靴(安全のため)
*サンダル、ハイヒールは入場ができません。

ぜひご参加ください!(無料)
事前申し込み>>https://goo.gl/forms/LrdMhRj8Xi42I0oA3

その後も

8月3日(金)〜8月4日(土)東大宮サマーフェスティバル

8月6日(月)〜8月7日(火) 大宮日進七夕まつり2018

8月25日(土) 指扇まつり大会

(論文紹介)補完代替医療としての笑い
熱くて笑っていても力がない笑いになっていませんか?
さていびきや安眠を調べていて、睡眠とは、脳の排泄機能ではないかという考え方があります。
不眠症は言ってみれば脳の便秘だということですね。
出したいのに出ない便秘の苦しさと、眠いのに眠れない不眠の苦しさは確かに似ている気がします。
便秘の解消には水溶性食物繊維を取るとか、腸内フローラを整えるとかいろいろと解消方法が言われますが、脳にとっての食物繊維って何だろうと考えると、幸福ホルモンといわれるセロトニン分泌を促すこと。セロトニンを増やす方法について笑いが有効というところに目を向けてみました。
昔から笑いには健康効果がある事は言われてきています。
笑うから健康なのか、不健康な人は笑いが減るからそう感じるのか、意外と真面目な学会論文がなかったこの効果に関して、論文がありましたので、紹介いたします。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/4/2/4_2_51/_pdf

日本補完代替医療学会誌 第 4 巻 第 2 号 2007 年 6月:51–57
【総 説】

補完代替医療としての笑い
The Laughter Therapy
高 柳 和 江*
Kazue TAKAYANAGI*
日本医科大学医療管理学教室

【要 旨】
医学文献では笑いについての科学的研究が少ないが, 人間のコミュニケーションには大切である.補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くするが,ブラックユーモアな どは,時に鬱の患者さんに,反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療での笑いとはこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供し笑いをひきだすことで精神的・身体的効果を得ることにある.
I.総説で笑いの中枢と回路,笑いと表情,笑いによるからだの動き,笑いの発達段階などを俯瞰した後,II.具体的な補完代替医療として,病気の軽快を目的とした試みや方法を述べ,III.現場での取り組みとして,著者が行っている笑い療法士について紹介する.
【キーワード】
笑い,NK細胞,幸せ感,笑い療法士,パッチ・アダムス,癒しの環境研究会
I. 笑いについての総説

補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.笑いの効果における科学についての論文は少ないが,笑いは昔から百薬の長とされ,笑い関連の話題も多い.医学領域以外の笑いについて総説的に記述し,具体的な笑いの補完代替医療の医学的側面,および現状などについて,論述してみたい.
補完代替医療における笑いとは,自己治癒力を高める 療法である.

1. 笑いの中枢と回路
笑いをつかさどる中枢には大脳新皮質,辺縁系,視床 下部の 3 つがある(図 1).

笑いの回路には二つの独立したものが存在する.先天的で情動的な笑いを担う回路では,古い脳である前帯状回と扁桃体が中心的役割を果たす.後天的で認知的な笑いを担う回路では,意志の中枢である大脳皮質の前頭前野が指令を発し,緊張緩和としての笑いになる.笑いの出力回路は,最終的に脳幹に至るが,その途中で,小脳が介在して,笑い発現を状況にあわせて微調整している.

2. 笑いと表情
母親の表情が複雑で豊かなほうが,6 か月以降の乳児の笑顔の発達は,良い反応が出てよい笑顔に育つ1).一般に,ほとんどのポジティブな表情はシンメトリーに右左両方の顔にあらわれる.顔の対称性と利き腕の機能とは関係ないというが,人間は顔の片側だけで表情を表すことができる2).ポジティブな表情を片側だけに表すのは男性のみであるが,ネガティブの表情は男女関係なく,左側であらわされる2).
口の一端だけが笑い,あとの顔の部分が笑っていないものを引きつり笑いという.また,口角下制筋と口輪筋をつかって,口角を上げるときに,唇の真ん中だけをと がらせるという高等テクニックができる.これは,ゆがんだお世辞信号の一つである固い笑いだ3).以下に笑いと関係する表情筋をあげる.
1)大頬骨筋
この筋肉が収縮すると口角を斜め上外側に引き上げ,笑い顔に特有な口の形を作る.口輪筋が哺乳の際乳首を吸いつく働きをするが,そのあとで,乳汁を吸い取るときに大頬骨筋が働く.
2)眼輪筋
目を閉じる内側の筋肉と眼裂を細くし,目じりにしわを寄せる外側の筋肉があり,快や緊張緩和のときに働く.
3)皺眉筋
鼻の付け根から両側にやや上向きに走り,眉間のたて皺を作る.目の上のひさしで,まぶしさをさえぎるのが本来の役目だが,眼の笑いを抑制して,苦笑いなどのメッセージ性を加える.
4)口角下制筋
口の笑いを抑制する.
5)口輪筋
口をすぼめて前に突き出す.
6)眼球
人間は他の霊長類と異なって,白眼という特殊な顔面要素がある.つまり,視線,特に,一瞥をしっかり見立たせる笑いの強調の役目をする4).凝視には,視線を外すものと,視線を向けるもの二つがある.視線を向けるのは,愛,敵意,恐れという積極的な感情を示し,視線をそらすのは,恥じらい,さりげなく示す高慢さ,しおらしい服従を示す4).

3. 笑いによるからだの動き
人間は,非日常を感じると,驚きという反応をする.肩をあげ,深く息を吸い,腹筋を動かし胸を張り腰をそらすという全身運動を行う.この全身を大きく見せて,口を大きく開けるという態勢は,威嚇の動作にもつながる.愛と敵意は相反する感情であるが,笑いも威嚇と同じ行動を示す.
この後で,安心した時は,腰を曲げて,全身で息を吐き,笑いになる.安心できなかったときに怒りになる.笑いと怒りは表裏一体である.精神障害者に正面を向いて凝視すると敵意と受け取られる可能性がある.
笑うと頬の表情筋が頻繁に動き,顔面静脈が伸縮し, 脳から心臓へ戻る血流が増加する.笑っている時は激しく横隔膜を上下させるため腹筋が運動し,全身運動になる.
脳が興奮し酸素を消費すると,脳細胞への酸素の供給量が不足し,脳の働きが低下する.そこで笑いによって新鮮な血液を脳へ送る.脳細胞へ栄養供給が増え,情動をつかさどる右脳が笑いで活性化され,ストレスで左脳を使う人にとって,リラックス効果があると考えられる.
笑った後は,集中しやすく記憶力もアップできる.怒りや恐怖を感じたときなどの異常な事態の時に交感神経は優位になり,その状態が長く続くとストレスの原因になる.コルチゾールが高まり,免疫力が低下する.血圧も高くなる.
脇を触られるくすぐり笑いは脇の内側にある心臓,肺などの内臓を守るために,筋肉が緊張する.この時,全身の筋肉に力が入り緊張する.脇を触られると心拍数が上昇し急激にストレス状態になり,ストレスを和らげようと笑いが起こると考えられている.これをくすぐり笑いといい,酸素摂取量は,有酸素運動並みに多い.
1)副腎ホルモンが変化
笑いにより酸素が増えるとコルチゾールの分泌が減り,ストレスが鎮まる.単純笑いよりもゲームによる積極的な笑いのほうが効果が大きい5).
2)セロトニン神経の活性化
脳幹の縫線核から出た神経からセロトニンという神経伝達物質が放出される.人間の攻撃性と関連があり元気になる.これは覚醒時に持続的な放出があり,睡眠時に発射が抑制される6).呼吸,咀嚼,歩行などのリズム運動を行うことによっても,放出が増強される.不足状態では,うつ病,パニック障害,摂食障害になるなど,心の疾患と密接な関係がある.
3)副交感神経優位
笑いで副交感神経優位になると,安らぎ・安心感を感じた状態になりストレスが解消される7).
4)血糖値が下がる
血糖値はストレスによって上昇するが,笑いには,インシュリンを分泌する遺伝子作用に働いて,血糖を正常化させる作用もある8).
5)脳内麻薬物質の放出
笑いによって自然な幸福を感じさせる化学物質脳内モルヒネであるエンドルフィンやドーパミンを血液中に大量に分泌させる9).
6)免疫能が高まる
自律神経の頻繁な切り替えによる脳への刺激により,神経ペプチド(免疫機能活性化ホルモン)が全身に分泌される.NK 細胞には神経ペプチドの受容体があり,NK細胞は活性化される10).
著者の実験では,高圧酸素室にいれた大学生 10 人と笑いのビデオを見た大学生 10 人を比較すると,前者(コントロール群)はうつ傾向,緊張,疲労,混乱,が高まり11),活動性は落ちた.お墓に入ったみたいな長い時間だった,二度といやだという感想であった.後者は(笑い群)は心理テストもまったく逆の結果である.おわったの?もう一回?いいよと,あっけらかんとしていた.後者の NK細胞活性は有意に高まっていた(図 2).

4. 笑いの発達段階
1)自然微笑
新生児微笑は産まれたばかりの赤ん坊が眠っている間に微笑する現象で本能的なものである.親子のコミュニケーションを活性化する.赤ん坊の姿とそれを好ましく思う親の認知特性,つまり親に奉仕させ子どもの生存率を高める行動は Care Eliciting Behavior のひとつである.自然の生き残り戦略の上で,遺伝子に組み込まれた仕組みらしい.3 カ月で消失するが,6 カ月まで,565 回の自然微笑と 15 回の声出し笑いが観察された例もある12).
2)受動的笑い
自発的に起こる自然なもので嬉しさの表現である.親の顔の視覚情報が脳の情動中枢である大脳辺縁系に到達し,続いて,大脳基底核に中継される.大脳基底核は脳の高次の皮質とそれよりも進化的に古い視床との間に位置するいくつかのニューロン集団である.この基底核が自然な微笑を生み出すのに必要な顔面筋の一連の活動をまとめる.この事象のカスケードはいったん作動すると瞬く間に完了し,思考をつかさどる皮質が関与する余地は無い.
人の脳には相手の感情を読み取るミラーニューロンがある.これが働くと,つられ笑いが起こる.共感するミラーニューロンである.脳の前頭葉にある神経細胞は,人の表情,声から感情を読み取り,同じ感情になるよう命令を出している.つられ笑いやもらい泣きが起こる.
親の微笑みかけという介入で,微笑み返す.親が使う赤ちゃん言葉は親にとっては退行現象であるが,こどもは言葉を聞き取る能力を発揮する.3 ヶ月を過ぎると,おいしい食事にありついたとほっとしたとき,おもわずこぼれる微笑なども受動的な笑いだ.快の笑いとも言う13).
ただし,笑顔を見ても,笑いを拒否する行動をとる時もある.大人は目をそらすか,敵意の目線を返す.親が笑いながら目をみつめても,機嫌が悪い乳児は意図的に首を曲げて目をそらす.本人はミルクがのみたいとか抱いてくれとか,問題が解決されるまでは,笑いたくないという意思を示す.
3)能動的笑い
笑おうとする意思があって,積極的に介入を取り入れる笑いである.漫画,落語,映画,本など,能動的に笑えるもので,意思の力が入る.社交上の笑い,前頭葉の笑い,さらに,達成感のある霊的な笑いをも含む11,13).
4)信号としての笑い
①笑いの発現時間,持続時間
笑いで顔の表情がかわるスピード,笑いの発現時間は,本人が感覚を探す能力に反映しており,また,個人的なスタイルと関係する1).典型的な笑いは,十分な強さがあり,消えるまでに時間がかかる.ちらっと浮かび,すぐに別の無表情な顔に変わり,笑いが直ちに消える断片的笑いもある.セロトニンをだす機能とも関係するらしい.
②信号としての強さ
ぎこちない,またはあいまいな表情は不足信号としての笑いである.
③作り笑い
人間は完全な作り笑いをすることができる.舞台俳優は,笑いと言う信号を強調して 30 メートル以上離れたところに,伝えるという不自然な課題をこなすことができる.
5)病的な笑い
笑うべき刺激でない時に,笑い発作がおこるコントロールできない笑いと,脅迫笑いという病的なものがある14).小脳と橋核の笑いの中枢の異常と,笑いの出力を調節する神経回路に異常がある 2 つの場合がある.

II. 具体的な補完代替医療
1. 病気
アメリカのノーマン・カズンズは,強直性脊椎炎にかかったが「笑い療法」とビタミン C の大量投与を行い,1 週間ほどで症状が改善し始め,半年でもとの編集長職に復帰した15).
1)病気の軽快,治癒
笑いが,がん,心筋梗塞,アトピー,リウマチなどの膠原病等にも好影響を及ぼしていることが報告されてい る.リウマチ患者に落語を聞かせると,リウマチ悪化因子が減り,関節の痛みも和らいだ7).ノーマン・カズンズも 10 分間腹を抱えて笑うと,少なくとも 2 時間は痛みを感じずに眠れたという15).
悪性腫瘍の自然治癒は,神経芽細胞腫で有名であるが,笑いや前向きな生き方で消化器がん,悪性リンパ腫での自然治癒もまれに報告されている.
2)苦痛の軽減
妊娠,出産,出産後の親のケアなど,抗がん剤治療でも緩和ケアでも医療に笑いとユーモアが有効である16–19).ユーモアは患者の痛みをとり,医療者の人間的なところを見せ,すべての人の協力をもたらす.患者がユーモアを使うと医師との診察が軽い気持ちになり,医療者が使うと,日常が楽しくなる20).
3)幸せ感
パッチ・アダムスは認知症で怒り顔の人も,アルツハイマーで能面の顔をした人でも笑いで笑顔に変えた(図3)21).
教育の分野においては,ユーモアをより多く用いる人と創造的思考の間には統計的に有意で正の相関関係がある2).前向き思考と幸福感を授業の前後に考えさせる教育をおこなったイタリア人の思春期の子供では,適応が良く自己効力感が高まった22).
ビジネスの分野でも笑いのストレス管理で従業員の血圧が下がり,パフォーマンスに好影響を与えているとの報告がある23,24).
身体的健康とユーモアとは関係がある25).健康とユーモアのセンスの関係を図るには,もっと研究が必要である.
2. 方法
1)受動的
①お笑いの本,小説,マンガ,映画
自分は笑えるといういくつかの本や映画を見つけておく.または,お笑い芸人の芸をみる.
②環境
患者がかるい気持ちになる面白い小説,本,DVD,映画を満載してある笑い車を病院ロビーに置くことは簡単である20).ま た,マサチューセッツ総合病院の The Kenneth B. Schwartz Center では患者に希望を与え,介護者をサポートして,癒しのプロセスを助けるところとして寄付され,回診では患者の精神的な問題もとりあげる26).
2)能動的
①積極的に笑い顔をして笑い声を出す.
笑顔を無理にでも作り,笑い声を出す.俳優は劇の中で笑うことができる.このときに,セロトニンが増える.
②肉体運動
運動やゲームなどは肉体的な達成感も伴い,笑える5). くすぐりと,全身笑いに移行して肉体運動にもなり,セロトニンも高まり,副交感神経優位になるなど身体的な変化が起こる.
③笑いを創り出す
窮地に立ったときこそ,自分から周囲に笑いを呼び込むことができる.笑いのネタ本で本当に笑えるのは,3分の 1 もない3).相手を錯覚させる方法,同じ内容の順番を変えるだけで悲劇を喜劇にする方法,マクロとミクロを反転させる方法など,思いがけないオチをつけるテクニックがある3).ただし,笑いならなんでもいいわけではない.患者さんや病気のこと,個人攻撃,自虐ネタなどは痛みを増やす笑いである27).
④達成感
目標を決め,努力して達成感が得られたら,笑える.スポーツ選手の笑いや選挙当選者の笑いでよく遭遇する小さな目標から大目標まで,いろいろ決めておくとよい.

III. 現場での取り組み
1. 笑い療法士
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療ではこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供する笑える環境というのが必要だ.私は癒しの環境として五つの項目をあげている27).「安全」「リラックス」「(医療の)質 がよいこと」「元気になること」,および「生きがい」がそれであるが,これは笑いでも同じことである.人間としての権利が守られていることを実感して,安全だと感じることではじめて人は笑える.ほっとしてほほえみ,だんだん,げらげら笑って,元気になっていくことができる.
筆者が代表世話人を勤める癒しの環境研究会では笑い療法士評価認定委員会(委員長:中島英雄・中央群馬脳神経外科病院理事長・噺家桂前治)を立ち上げ笑い療法士を育てている28).「笑い療法士」とは,笑いをもって患者の自己治癒力を高めることをサポートする人のことである.患者さんに,よりそい,心をひらいて笑いを感染させるのが笑い療法士である.笑いは,人が幸せに生きることを支え,また病気の予防にもつながっていく.そうした笑いをひきだすのが「笑い療法士」だ.健康な人,笑いたい人が笑おうと待ち構えているところで笑わせる「お笑い」とは違う.したがって,笑い療法士は場所を選ばず,とくにグッズやパフォーマンスを必要としない.医療・福祉関係者のほか,患者さん,家族や一般の方などで「その人がいるだけで空気が変わる,社会が楽しくなる人」も対象である.人間の心をしっかり持っている人,そして患者さんに寄り添える人,というのが笑い療法士の条件である.応募者が多く,候補者になるには書類審査で 9.3 倍の狭き門である.候補者は患者心理学や脳の解剖,笑いの医学的基礎や患者心理など 2 日間にわたるトレーニングと講習を受け,その後のフォローアップと呼ばれる約 2–3 か月の実績を見て 3 級に認定した(図 4).
「療法士」というタイトルを認定するという 社会的責任から水準を高めるための継続研修も行っている.この笑い療法士は社会の広い層から大きな反響を呼び,新聞にも大きく報道され,取材も殺到した.
2005 年 10 月 23 日から,2007 年 2 月まで第 3 回の認定を行い,209 人の笑い療法士が誕生した.認定された人の職業は医師 26 名,看護師 43 名,医療福祉 30 名,コ・メディカル 16 名,一般人 95 名である.病院理事長,大学教授,お坊さん,落語家から全くの市井の人,患者さんなどのさまざまな職種がいる.年齢も 19 歳から 84 歳まで広がっている.
笑い療法士 3 級の有効期間は 3 年間で,その間の活動ぶりを評価して,その結果に応じて更新が行なわれる.今後は豊富な経験と実績が必要とされる 2 級笑い療法士,患者から呼ばれてプロとしてお金を払ってもらえる笑い療法士 1 級の認定になる.認定を受けた人は,笑い療法士の名称を用いて,さらにまわりの人々に笑いを広 げる.医療や福祉の現場に「自己治癒力を高める笑い」を広げるムーブメントを起こし,その中心人物として活躍することが求められる.
笑い療法士とは,「患者を尊敬し,患者の心に寄り添って,笑いを感染させる人々」である.医師でも患者さんでも笑い療法士は,常に笑い療法士の状態であり,今から笑い療法をします,というものでもない.患者さんがよくなることで生きがいにもなっている.癒しの環境研究会では今後,「1 日 5 回笑って,1 日 5 回感動する」というテーマを掲げて笑い療法士の周知や地位向上をさらに進めていく予定である.
2. ホスピタルクラウン
欧米ではホスピタルクラウンといって,一般人がボランティアでクラウンの格好をして患者を元気にするシステムがある29).英国では医師がクラウンの格好をするドクタークラウンもいる30).米国では,ドクタークラウンとしてパッチ・アダムスが有名で映画で日本でもおなじみである31).日本でも,ホスピタルクラウンのボランティアをする団体がいくつか出てきた.主に子供たちに元気を与える試みがなされている.
3. 笑い療法の効果
がん患者で笑い療法士になった人は,普段は,包丁で刺されるみたいな痛みが笑いでまったく痛くなかった.終わってから,痛みが戻ってきたという.腫瘍マーカーが笑いで下がったと報告してきた人もいる.
88 歳の A 子さんは,大学病院の結果は胃体中部小弯側に 3 cm 大の 2 型(限局性潰瘍形成型)分化型腺癌で SS層まで達しており進行胃癌と診断されたが,本人の手術拒否で,経過観察をした.笑い療法士の開業医が顔面表情筋の体操,彼女の目を見ての傾聴,毎回だじゃれ等を中心とした話題,日々感動してもらうなどをしたところ,1 年 7 ヵ月後食欲も貧血も改善傾向となり,内視鏡検査を行なったところ,萎縮性胃炎に変化していたという.

まとめ
ユーモアや笑いはその場の空気を変える道具として使える.ユーモアは患者と医療提供者の両方にとって孤独を和らげる.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くする.ブラックユーモアなど時に反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.医学文献では笑いについての研究がほとんどない.医師の診察や看護師の経験を通して,ユーモアの役割をレビューすべきである.人間のコミュニケーションにはユーモアや笑いは大切であり,医療者は日常にもっと用いるべきである20).
笑い療法士が国家資格に認定され,日本中で 100 人に1 人が笑い療法士になると,日本の国も明るくなることだろう.
青森県では,青い森笑いプロジェクトも 2007 年からスタートした.いじめ,虐待,自殺防止のために,県民 2万人にほほえみをする人々を養成するプロジェクトだ.国の科学研究費で「エビデンスのある患者自己治癒力向上―量的(HSP 免疫など)と質的評価を指標として」というタイトルで筆者の笑いの研究が認められた.笑いに科学の光がはいるとともに,全国の医療現場や家庭で本当の笑いのムーブメントが広がることを願っている.

参 考 文 献
1) Mergl R, Vogel M, Prassl A, et al. Facial expressions and person- ality: a kinematical investigation during an emotion induction experiment. Neuropsychobiology 2006; 54(2): 114–119.
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3) 米原万里.必笑小咄のテクニック.東京集英社.東京.2005.
4) モリス,デズモンド・モリス.藤田 統訳.マンウオッチング.東京小学館文庫.2007: 135–146.
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10) 伊丹仁朗,昇 幹夫,手嶋秀毅.笑いと免疫能.心身医学.1994; 34(7): 565–571.
11) 高柳和江.閉鎖医療環境における笑いの免疫能向上.癒しの環境.2001; 6: 13–15.
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22) Caprara GV, Steca P, Gerbino M, et al. Looking for adolescents’ well-being: self-efficacy beliefs as determinants of positive think- ing and happiness. Epidemiol Psichiatr Soc 2006; 15(1): 30–43.
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30) Vagnoli L, Caprilli S, Robiglio A, et al. Clown doctors as a treatment for preoperative anxiety in children: a randomized, pro-spective study. Pediatrics 2005; 116(4): e563–567.
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ABSTRACT
The Laughter Therapy
Kazue TAKAYANAGI
The Department of Health Policy and Management at Nippon Medical School
There are few scientific papers about the effectiveness of the laughter of the patients, even laughter is essential to human com- munication. Cultural values of people acknowledge laughter as good medicine, although the black humor is sometimes risky strat- egy for the depressed patient. The most patient has his own serious problem which prevent him to laugh. Laughter in complementary and alternative medicine means to offer the atmosphere and environment where depressed patient can be educated smile and laugher to improve psycho-physiological status.
Current review of laughter was done and grouped into three main themes: (1) medical aspect of laughter, (2) laughter as one of the alternative medicine, which relieve stress, care and heal the patient and (3) the laughing therapist who enhancing laughing to the patients suffered from mental status. There are some supported paper of a connection between sense of humor and self- reported physical health. More research is required to determine interrelationships between sense of humor and well-being. This study contribute the value and significance of laughter to support people in their learning journey.
Key words: Laughter, therapist, healing environment

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いびきを止めたい

いびきに悩む日本人は2千万人ともいわれています。
ネットでは、いびきをかかない方法だとか、いびき治療、いびきの治し方等の情報があふれていますが、ほとんどすべてと言っていいのが、いびきの対症療法。
中には「いびき克服マニュアル」なんてのを売っているところまであります。

いびきの原因は様々ですが、昔はいびきなんてかいてなかったのに、最近うるさいって言われるな・・・という方。生活習慣病の症状としていびきをかいている可能性が高いです。

いびきの音の大きさは、①口呼吸+②呼吸の強さ+③組織の震えやすさ(喉の奥の狭さ)です。同じような生活でもいびきをかかない人は、口が開いてなければ音は聞こえ辛い+呼吸が弱ければ音が激しくならない+肥満がなく、アデノイド等で顎も小さくなく、ノドチンコも小さいと、寝息の少し大きいくらいで済む人がいます。

この辺は体質の違いもあります。

 

① 口呼吸は、鼻呼吸運動やテーピングなどで癖をつけること。

② 呼吸の速さは、疲れたり、暑すぎない様にすること。

③ 組織の震えやすさの原因の一つは、気道の狭小化です。

 

「完全いびきコントロール」で解決できます。

https://sleeplabo.thebase.in/items/6978737

いびきの音ではなくいびきをかく原因そのものは、胃食道逆流症による気道の狭小化です。

気道の狭小化を防げばいびきはかきません。

サプリもいびき解消ツールも手術も必要ありません。

 

鼻呼吸や横向き寝も、根治とはいえません。

もちろんダイエットやあいうべ体操などではなく、その日から効果がある方法なので、少しづつ鍛えるような努力も必要ありません。

ちなみに無呼吸症候群も同じ理由です。CPAPの様な対症療法では、いつまでたっても治りません。

 

医学博士の新谷弘実の著書「病気にならない生き方」の中でも紹介されています。

ストレスも胃に来ますし、喫煙も原因になります。

 

お金も手間もかからないので、一度試してみれば、

いびきが納まることが分かると思います。

 

最後に、猫が喉を鳴らすのと同じようにいびきもある意味の快感で鳴らしている可能性があります。元々いびきをかくような生活は原始の時代であればボスの特権ですね。

そのように人が進化してきたということですね。その場合はいびきを根本で消す方法がありません。

 

とはいえ、いびきの一番の問題は他人の安眠を脅かす騒音です。まず確実に騒音の問題を解決するには「安眠家具」などを利用する方法もあると思います。

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熱帯夜の寝苦しさ対策

今日から8月
7月は記録的な猛暑で、最近少し普通の夏に戻ったようですが、何と言っても本来はこれからが最も暑い時期です。
安眠・快眠と言っても、この暑さではなかなかぐっすりといい睡眠をとるというのは難しいです。

テレビでは連日のように熱中症対策でエアコンを使いましょうと叫び続けています。しかしエアコンの使い方が悪いと逆に熱中症の原因になることもあります。
暑い外から部屋の中に入ると、早く体を冷やしたくなるので、冷房温度を一気に下げたり、強風に変えたりします。体の表面が冷えて気持ちは良いのですが、表面の汗だけが渇いて、汗も出なくなってしまう為に体の中の熱が逃げなくなってしまいます。「室内にいても熱中症になる場合があります」とか、「エアコンをつけていても熱中症になることがあります」というのは、そのような状態で体の中に熱がたまった状態になってしまうのです。

熱中症対策は別にして安眠にも、体の熱を逃がすことが大事です。
体にたまった熱を素早く冷やすには、静脈を冷やすのが早いのですが、氷などを使って冷やそうとすると血管が収縮してかえって血流が悪くなることもあるので、濡れタオルなどがいいようです。
人が眠りに入るときは、体温が下がるのですが、体の中の熱が外に出ていくために、手足の先が逆に暖かくなるわけです。よく子供は眠くなるときに体が熱くなりますが、あれは熱が上がっているのではなく、むしろ深部体温を下げている状態なのです。

首の両側、わきの下、足の付け根などが、表面に静脈の通っている箇所なので、そこをぬれタオルなどで拭き、風通しを良くすると効果的に体を冷やすことができます。

寝るときのエアコンは好みですが、あまり温度を下げすぎないことが大事です。表面だけが冷えるとかえって体の中の熱が抜けなくなってしまうのは、熱中症になる仕組みと同じです。
それとタイマーを使うか使わないかも好みですが、まずは寝入ってから3時間は安眠が取れるように考えて設定しましょう。
最初のノンレム睡眠で深い眠り(徐波睡眠)をとれることが、快眠感覚に影響します。

その後の睡眠は、暑さで目が覚めるのを防ぐためには、それなりの温度湿度を保つことが有効ですが、携帯睡眠アプリなどで、確認してみると案外寝ているものです。またその結果を見るだけでも、眠れてない不安が解消されるために、すっきりした気分になります。

眠れていないというのは結構思い込みが多く、不眠症で何日も全く一睡もできていないという人が、調べてみると案外寝ているものなんです。それが分かると逆に眠れるようになる(眠れていると思えるようになる)ことも多くあります。
実際に脳によほどの障害が起こらない限り、人は眠らずに生きていくことができません。不眠症を訴える方は、眠れないという思い込みではないのかを確認してみることが大事です。
睡眠導入剤の乱用で、脳に重篤な障害を起こすことにならない様、無理のない睡眠環境を作って安眠・快眠を心掛けましょう。

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いびきを解決する唯一の方法

6階建ての屋根に棟が上がる前に、棟の梁鉄骨に市民の手形絵を描く「手形絵祭」を開催します。
昨年6月11日に1300名の市民で開催した「地固め祭」。その第2弾の棟上げ式の祭りです。新大宮区役所の建設は、昨年6月11日に更地で行った地固め祭から、建物の鉄骨が組みあがる上棟式の段階まで進んでいます。最後の鉄骨を組み立てる前に、市民の皆さんで、鉄骨に手形絵をかいて残そうというイベントを行います。
ぜひご参加ください!
事前申し込み>>https://goo.gl/forms/LrdMhRj8Xi42I0oA3

イビキを解決する唯一の方法
安眠家具Sleep Laboは、いびきを解決する唯一の方法です。
いびきに悩んでいる方は、「とにかくいろいろ試したけど止められなかった」わけです。
口呼吸改善、横向き寝、のどちんこ切除手術、鼻中隔湾曲の手術、扁桃切除、サプリやまくらもいろいろ試したけれど、一時的に改善してもすぐに再発します。
まあ、基本的にアプローチが間違っているので、効かないのはわかりますね。
当たり前です。誰でも確実にいびきが止まる方法があれば、サプリだ枕だと、いろいろな商品がでません。

そうはいっても健康のために、いびきをかかないようにしたいという方は、「完全にいびきをコントロール」をどうぞ。いびきはコントロールできます。
コントロールできないのは、生活習慣のほうです。

ただ最終的に、胃の噴門が緩んでいれば止めることは難しい。さらに、猫が喉を鳴らすのと同じようにいびきもある意味の快感で鳴らしている可能性があります。そのように人が進化してきたということですね。その場合はいびきを根本で消す方法がありません。

それだからこそ、Sleep Laboは、いびきを解決する唯一の方法なのです。
止められないいびきは、閉じ込めればいいのです。うるさいいびきの音を防音壁で包んで、音を小さく気にならないようにしてしまいます。

なんだそんなことかと思うでしょう。
でも唯一ということは、こんな商品がほかにないからです。

「いびきがうるさいからほかの部屋で寝てくれ」これは解決ではないですね、家庭内別居です。

Sleep Laboであれば、同じ部屋で、ほかの部屋と同じ音になるわけです。

いびきの音源から1mの距離で、平均20dBの減音効果です。
渋谷の雑踏ほどの音が、静かなオフィスほどに低減します。

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(論文紹介)睡眠時無呼吸症候群患者の睡眠に関連した生活習慣の調査

睡眠時無呼吸の患者と生活習慣との関連を調べた論文をご紹介します。飲酒や喫煙といった生活習慣が影響を及ぼすことを調査し、治療に際して生活習慣の改善の指導が行える指標とすることには重要な意味があると思います。
面白いのはベッドパートナーの存在が、睡眠の質の悪化につながっているという結果に対して、今後の課題となっている点ですかね。https://u-hyogo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1321&item_no=1&page_id=13&block_id=46

睡眠時無呼吸症候群患者の睡眠に関連した生活習慣の調査

 堀田佐知子、若村 智子、谷口充孝、近田 敬子、鶴山 治

1) 兵庫県立大学大学院看護学研究科修士課程看護病態学専攻 2) 京都大学医学部保健学科 3)大阪回生病院睡眠医療センター部長4) 園田学園女子大学人間看護学科 5)兵庫県立大学看護学部 実践基礎看護講座看護病態学

要旨

SAS患者は日中の眠気や倦怠感などの疾患に起因する症状を紛らわすために睡眠にとって悪い習慣を取ってしまっている可能性が指摘されている。しかしSAS患者の生活実態は明らかになっていない。そこで本研究はSAS患者の生活習慣の実態を明らかにし、Apnea Hypopnea Index (AHI)、Epworth Sleepiness Scale (ESS)、Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI)、Body Mass Index (BMI) との関連を検討することを目的として行った。方法は質問紙およびAHIのデータをカルテより転載し、分析を行った。対象者は睡眠時無呼吸症候群と診断され治療前の方、56名を対象として行い、回収率は86%であった。

AHI、ESS、PSQI、BMIと喫煙、飲酒、カフェインの摂取、睡眠時間などとの関連をみたところ、飲酒とBMIとの間に有意な関連がみられた。また喫煙とPSQIに有意な関連がみられ、睡眠の質が低いと評価している人ほど喫煙本数が多かった。睡眠時間と ESSおよび希望睡眠時間と睡眠時間の差とESS の間に相関がみられ、SASによる睡眠障害だけでなく、睡眠時間の不足も問題である可能性があると考えられた。

ベッドパートナーの有無が睡眠を阻害する因子になりうる可能性が示唆された。今回の対象者では治療開始前であったが、SASの治療の第一選択である CPAP療法には家族のサポートも重要である。その ため今後ベッドパートナーの有無が CPAP療法にどのような影響を及ぼすのかについても検討していく ことが重要であると考える。

キーワード:睡眠時無呼吸症候群、生活習慣、睡眠

I.はじめに

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、以下SASと示す)は、日中の過剰な眠気や注意力の低下により、QOLの低下)、交通事故、産業事故、などを引き起こし、個人の生活だけでなく社会上でも問題となっている疾患である。またSAS は睡眠中の低酸素血症や高炭酸ガス血症などを引き起こし、高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などの脳循環器系疾患の発生リスクを増大させ、米国高血圧合同委員会7次報告書では、SASは高血圧発症の独立因子として、二次性高 血圧の原疾患として位置づけられた。

また、中等症のSAS患者の50%以上に高血圧を合併し、高脂血症は40%前後、糖尿病、高尿酸血症は30%前後、肝機能障害は20~30%合併しており、さらに重症になると94%が何らかの生活習慣病を合併しているとの報告やインスリン抵抗性、レプチン抵抗性への関与も指摘され、糖尿病や脂質代謝を含めたメタボリックシンドロームとの関連も注目されている。このように、SAS は生活習慣病のリスクファクターとなり、二次予防の点からも非常に重要な疾患である。しかしながら、SAS に関する啓発が行われるようになってきたものの一般の認識は十分とはいえず、また看護ケアを行う上で必須となる SAS患者の生活実態についてもほとんど把握されていない。

Ⅱ. 研究目的

SASの治療には経鼻的持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure therapy: 以下CPAP療法と示す)が第一選択として用いられている。SASがもたらす睡眠障害は CPAP療法によって改善が見込めることが多いが自宅で行われる治療であるので、より良質な睡眠を確保するためには、日常生活全般におけるアプローチが重要であると考えられる。睡眠に関連する環境要因や生活習慣についての生活指導(睡眠衛生)について、健康づくりのための睡眠指針検討会は7つの指針を示している(表1)。これは全ての人にとってより良い睡眠をとるために重要なポイントであるが、特にSAS患者にとっては睡眠衛生を整えることが、治療をより効果的に行うことにつながると考えられる。SAS患者は日中の過度の眠気を覚ますために、喫煙や糖分の入ったカフェイン類の摂取も多いともいわれている。この習慣は睡眠にとって悪い習慣であるだけでなく、他の様々な健康障害を引き起こす可能性がある。しかしながら、SAS患者の睡眠に関連した生活習慣の実態は明らかになっていない。以上の背景から、治療をより効果的に行うための看護支援を考える手がかりを得るために、本研究では SAS患者の睡眠に関連した生活習慣の実態を明らかにすることを目的とした。

Ⅲ. 研究方法

1.研究対象

A病院において睡眠時無呼吸症候群と診断され、 治療開始前、研究協力に同意が得られた男性60名

2. 期 間

平成16年10月~平成16年12月

3. 方 法

協力者に対し外来受診時に質問紙①~③を配布し、診察終了時に記入された用紙を回収した。また SASの重症度を表す無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index: 以下AHIと示す)のデータをカルテより転載した。回収率は86%で、有効回答は56名(93.3%)であった。

 表1 健康づくりのための睡眠指針

1.快適な睡眠でいきいき健康生活
2.睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眠のバロメーター
3.快適な睡眠は自ら創り出す(就寝前のカフェインや喫煙、睡眠薬代わりの寝酒は睡眠の質を悪くする)
4.眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
5.目が覚めたら光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
6.午後の眠気をやりすごす(短い昼寝でリフレッシュ、昼寝をするなら午後3時前の 20-30 分)
7.睡眠障害は、専門家に相談(寝付けない、熟睡感がない、十分眠っても日中の眠気が強いときは要注意)

 ① ピッツバーグ質問表

(The Pittsburgh Sleep Quality Index, ET PSQL と示す): PSQIは、睡眠とその質を評価するために開発された自記式質問表である。この質問表は過去1ヶ月間の睡眠についての質問である。リカート尺度で評価される18の質問項目は、睡眠の質、睡眠時間、入眠時間、睡眠効率、睡眠困難、眠剤使用、日中の眠気などによる日常生活への支障といった7つの要素から構成され、各構成要素 の得点(0~3点)を加算しPSQI の総合得点 (0~21点)が算出される。得点が高いほど睡眠が障害されていると判定する。

② 睡眠歴調査票:健康と生活スタイルに注目した48の質問で構成され、睡眠に関する情報を網羅しているものである。さらに仕事の有無、配偶者の有無、身長、体重の基本属性についての項目を入れた。

③ エップワース眠気尺度

(The Epworth Sleepiness Scale、以下ESS と示す):ESS は、日常生活における活動の中で経験する眠気について、読書やテレビを見るといった具体的な状況設定を行い眠気の評価を行う8項 目から構成される自記式尺度である。リカート尺度で評価される8つの質問項目の各得点(0から 33点)を単純加算し、総合得点(0~24点)を算出する。得点が高いほど眠気が強いと判定する。 11点以上で眠気が強いと判定される。

 4.倫理的配慮

兵庫県立大学大学院看護学研究科および A病院の研究倫理委員会に申請し、事前に承諾を得た。データは ID化して使用し個人が特定されることはないこと、診察とは一切関係のないことなどを紙面にて説明し、書面にて同意を得た。

 5. 解 析

PSQI、ESS、AHIと質問紙2より得られた BMI (Body Mass Index、以下BMIと示す)、および睡眠に関連した生活習慣との関連について検討を行った。統計には Pearsonの相関係数、 Mann-Whitney検定、Kruskal Wallis検定および Bonferroni の検定を行った。統計ソフトは SPSS ver.12.0を用い、P<0.01 およびP<0.05を有意とした。AHIによる重症度の分類には米国睡眠医学会(AASM, 1999)の分類(軽症:5 ~15回/h、中等症:15~30回/h、重症:30回/h より大)を用いた。なお、すべてのデータは平均値土標準偏差(SD) で表した。

Ⅳ. 結果および考察

1.対象者の属性

対象者の平均年齢は50.2土11.8歳

(20歳~68歳)で、BMI(kg/m)は26.3土3.9kg /mであった。仕事を持っている人が88%、既婚者が94.3%であった。AHIは39.9土 28.1回/hであり重症であった。ESS は8.9土4.2点であった。 PSQIは6.7±2.8点であり土井らの報告に比べ各項目および総合得点においても高い値を示しており(図1)、SASによって睡眠状態が阻害されていることを示していると思われた。

AHI、PSQI、ESSのそれぞれの関連については、AHI と PSQI (r=0.31, P<0.05)、AHI と ESS(r=0.32, P<0.05)に相関がみられた。このことから、今回の対象者は重症者ほど睡眠の質が低下し、昼間の眠気が強いというSAS患者の自覚症状をもち、かつBMIが高いという典型的な集団であるといえる。

年代別による BMI、AHI、ESS、PSQIを表2 に示した。50代未満と50代以上においてBMI、AHI、ESS、PSQIの違いをみたところESS (P<0.01)、PSQI(P<0.05)に有意な関連がみられ、50代未満の方が50代以上に比べて眠気を強く感じており、睡眠の質を低く評価していた(図2)。

肥満はSASに対する最も重要なリスクファクターであるが、今回の対象者は60.3%がBMI≧25であった。4年間の経過で観察した報告では、10%の体重増加に伴いAHIは32%悪化し、10%の体重減少で26%改善し、10%の体重増加はAHIが15以上になる確率を6倍に増やすとされている。したがって肥満の改善は、SAS患者にとって重要な治療法のひとつであるがAHIを50%減少させるには20%の減量が必要と予測されており減量のみでの治療は一般的には困難であるといわれている。そのためCPAP治療と平行して、減量を目的とした生活習慣改善への働きかけも必要であると思われる。

2. 就床・起床時刻および睡眠時間

就床時刻は23:38±1:13、起床時刻は6:30±1:10、就床時間は6.8±1.0時間、睡眠時間は 6.2±1.0時間であった。睡眠時間が5時間以下の人は5.7%、5時間以上6時間未満が18.9%、6時間以上7時間未満が34.0%、7時間以上8時間未満が24.5%、8時間以上9時間未満が15.1%、 9時間以上が1.9%であり健康・体力づくり事業財団が行った調査とほぼ同等の結果であった。希望睡眠時間をたずねたところ7.4±1.1時間で、睡眠時間よりも希望睡眠時間が長かった。

睡眠時間とESSの関連をみたところ相関がみられた(r=-0.280, P<0.05)。また「希望睡眠時間 – 睡眠時間の差」を睡眠時間の不足度と捉え、ESS との関連をみたところ相関(r=0.278, P<0.05)がみられた。これらのことからSASの睡眠障害による眠気だけではなく、実際の睡眠量の不足がある可能性が示唆された。また、睡眠時間の充足感は人それぞれではあるが、6- 7時間の睡眠がとれていれば多くの人では睡眠が充足していると感じているとの指摘があることから、 6時間未満(n=16、AHI:39.9:30.0回/h)、6時間以上(n=40、AHI:39.5土27.8回/h) でESSを比較した。2群間に AHI の有意な差はなかった。ESSの平均値は6時間未満の群が10.4土4.1点、6時間以上の群が8.4土4.1点であり、統計的には有意差はみられなかったが、6時間未満の群の方がESSの平均値が高く眠気を感じていた。このことから眠気の度合いが睡眠時間の長短にも関連していることが考えられ、SAS患者には CP AP療法だけではなく充分な睡眠時間の確保の指導も重要であると考えられた。谷口)はSAS患者は睡眠量の不足が根本にある患者も少なくないのではないかと指摘しており、今回の結果はこの指摘を支持するものといえる。

睡眠量の不足は生活習慣病を悪化させ、脳のパフォーマンスの低下を招き、事故とも結びつきやすいため注意が必要である。また本邦におけるAmagaiらのコホートスタディでは、男性では6時間より短い睡眠時間の人は、7-7.9時間睡眠の人に比べて死亡率が2.4倍に上がるとの報告があり、生命予後の面からも睡眠時間の確保の必要性を伝える必要があると考えられた。

3. 睡眠環境

光環境と睡眠の深さは深く関係する28) ことから就寝時の照明と起床時に入る光について質問したところ、就寝時の照明は93.7%が「薄暗い」~「暗い」であった。起床時に入る光については「十分入る」、「やや明るい光が入る」が41.6%、「薄暗い光が入る」が33.3%、「ほとんど入らない」が27%であった。睡眠環境を整えることは良い睡眠をとるために重要であり問題があれば介入が必要であるが、今回の対象者においては特に問題はみられなかった。しかし、患者の中にはテレビをつけたまま、電気をつけたまま寝るという患者も存在することから個別には睡眠環境についても確認する必要はあると思われる。

4. カフェインの摂取

コーヒー、紅茶、日本茶などのカフェインを含んだ飲み物の摂取回数については「0回/日」0 %、「1~2回/日」20.4%、「3~5回/日」65. 3%、「6~9回/日」8.2%、「10回以上/日」6.1%であった(図3)。

カフェインの摂取回数とAHI、ESS、PSQI  (下位項目含む)、BMIとの関連をみたところ、AHI、ESS、PSQI(下位項目含む)、BMIとには有意な関連はみられず、重症者や眠気の強い人においてカフェインの摂取回数が頻回ではなかった。SAS患者は日中の眠気を覚ますためにカフェインの摂取が多いとの指摘があるが、今回の調査では眠気、重症度などとカフェインの摂取回数との間に有意な関連はみられなかった。しかし、コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェイン飲料は摂取して3時間程度してから覚醒作用をもたらし、6~10時間以上も作用をもたらす可能性がある。そのため夕方以降の摂取は夜間の睡眠にも影響を及ぼすことが考えられるため夕方以降の摂取を控えることを伝える必要がある。また、缶コーヒー(ブラック以外)や炭酸飲料水を摂取している場合は糖分が多く含まれるため、飲み続けることは肥満や糖尿病といった生活習慣病につながる可能性があるため、治療開始後は症状と同時にカフェイン飲料の摂取状況についても観察していかなければならないと思われる。

5.飲酒習慣

アルコールは入眠を促進し、睡眠の前半は深いノンレム睡眠の出現量が増加するが、中途覚醒が増加し一晩を通すと睡眠を悪化させる。またアルコールの摂取は上気道開大筋群の緊張を低下させ、 睡眠中の無呼吸・低呼吸を増加させる。また、SAS患者が就寝前に飲酒すると、低呼吸・無呼吸の数の増加、持続時間の延長など睡眠中の呼吸に対し無視できない影響を与えることが知られている。これらのことから、SAS患者がアルコールを摂取することは治療の妨げになると考えられるため、アルコールの睡眠への影響について伝えることは重要であると思われる。今回の調査では 「飲まない」 24.5%、「機会飲酒」 10.2%、「1~2回/週」22.4%、「3~4 回 / 週」6.1%、「5~6回/週」12.3%、「毎日飲む」24.5%であり (図4)、65.3%に飲酒習慣があった。2003年に行われた飲酒・喫煙に関する調査では「普段お酒を飲む」と回答した人は男性で54.6%、また就労者を対象にした生活習慣の調査では、「飲まない」25.6%、「1~3回/週」29.7%、「4~6回 /週」15.9%、「毎日飲む」28.8%との報告があり、飲酒回数の設定に違いがあるものの、ほぼ同様の結果であり飲酒回数が頻回ではなかった。

飲酒習慣とAHI ESS、PSQI(下位項目含む)、BMIとの関連をみたところAHI、ESS、PSQI(下位項目含む)との間には有意な関連はみられなかったが、BMIとに有意な関連がみられ(P< 0.01)、飲酒習慣の多い人ほど肥満度が高いことが分かった。SAS患者は壮年期の男性に多く、今回の対象者も壮年期にあたることから、付き合いや残業で帰りが遅く、遅い時間に飲酒や食事をとっている可能性がある。対象者は治療前の段階であったが、CPAP治療開始後はSASに対するアルコールの影響と共に、飲酒習慣が高頻度になると肥満につながる可能性があることを含めて、節酒の必要性を伝えることが重要であると考えられた。

6.喫煙習慣

喫煙はSASの危険因子の一つに挙げられており、さらにSASでは睡眠中に気道が閉塞したときに、あるいは狭くなったときに気道の粘膜が擦れ合って腫れるため、喫煙に伴う上気道粘膜の炎症などが考えられるといわれている。しかしSAS患者は熟睡感の欠如からくるイライラや眠気を喫煙で紛らわしている可能性もあり、喫煙のSASに対する影響を伝えることは重要であると思われる。

今回の結果では「吸わない」 63.3%、「10本以下/日」0%、「10~19本/日」 14.3%、「20~29 本/日」 14.3%、「30~39本/日」2.0%、「40本以上/日」6.1%であり(図5)、「吸わない」人 が6割を占めていた。厚生労働省の国民栄養調査)や山根の調査による喫煙習慣者の割合は5割程度であり、今回の対象者の喫煙率は低かった。しかしながら今回の対象者の中には、20本以上/日の喫煙者が22.4%はいることからSASに対する喫煙の影響は重大であり、禁煙の必要性を伝える必要はあると思われた。

喫煙習慣とAHI、ESS、BMI、PSQI(下位項目 含む)との関連をみたところ、PSQI (P<0.05) および下位項目である「睡眠時間」(P<0.05)に 有意な関連がみられ、睡眠の質の評価が低い人ほど喫煙習慣が多く、睡眠時間が短い人ほど喫煙習慣が多かった。今回の結果では喫煙習慣とAHI、 ESS、BMI との間には有意な関連はみられず、重症者、眠気の強い人において特に喫煙習慣が多くはないことがわかった。これらのことから、喫煙が多いことは特に SAS患者においての特徴ではなく、睡眠時間が短く、睡眠の質が悪い人は精神的なイライラから喫煙する割合が多くなる可能性があるのではないかと考えられた。 20本以上/日の群(n=22)と20本以下/日 (n=31) の群で飲酒頻度に違いがあるかをみたところ、20本以上/日の人では週5日以上の飲酒習慣のある人が34.3%、20本以下/日では16.9% であり、統計的には有意差はないものの、20本以上/日の喫煙者は飲酒頻度も多い傾向がみられた。 このことから睡眠にとって悪い習慣を重ねてとっている場合も予想された。そのため一部分だけではなく生活習慣全般にわたって改善する必要があり、なぜそのような習慣となっているのかといった患者の生活背景についても考慮していく必要があると思われた。

7. 昼寝の習慣

「しない」と答えた人は37.5%、「1-2回/ 週」33.9%、「3回/週」3.6%、「4-5回/週」 10.7%、「ほぼ毎日」5.4%であり6割の人が昼寝の習慣があった。AHI、ESS、PSQI(下位項目 含む)、BMIとの間に有意な関連はみられなかった。また年代別での有意な関連もみられなかった。 今回の対象者では8割の人が仕事を持っていることから、仕事中に昼寝をとっていることが予想された。自由記載にはトイレの中で眠っている、車の中で眠っているなど、周囲に遠慮しながら昼寝をとっている実態が伺えた。しかし、眠気が強い患者の中で昼寝が取れない環境にある場合、仕事中に居眠りをしてしまうこともあると考えられる。 わが国では仕事中の眠気は気のゆるみ、やる気のなさと捉えられる傾向がある。そのためSAS患者は社会の中でひけ目を感じながら生活していることも予想されるため、生活の中でどのような支障をきたしているのか等、精神的なサポートを含めた個別への対応も必要ではないかと思われた。

8. 睡眠薬

過去に睡眠薬の使用の経験の有無についてたずねたところ、14.3%が睡眠薬の使用の経験があると回答していた。
健康・体力づくり財団による調査では、実際に睡眠薬の使用は男性で3.5%、睡眠薬の処方は、一般診療科で全処方の4.6%という報告がある。
今回の調査では14.3%が睡眠薬を使用していた経験があり決して少ないとはいえない。SAS患者 は日中の眠気を主訴として受診することが多いが、いびきや睡眠中の呼吸停止といった症状は気づかれず、熟睡感の欠如が不眠のためではないかと思い受診する場合があるといわれており、この際に SASの存在を見落とし、一般の不眠症とされれば睡眠薬が投与される可能性や睡眠が十分にとれないことから精神的に不安定になり、精神安定剤が処方される可能性もある。睡眠薬や精神安定剤は上気道開大筋群の緊張を低下させ、睡眠中の無呼吸・低呼吸を増加させるため、不眠症状があるからといっても日中の眠気があるのか、その他に症状はないのか等、看護者はその点も配慮し、情報を整理していく必要があると考える。

9. ベッドパートナーの有無による睡眠の質

対象者の中で既婚者(n=50)において、配偶者および家族と同床の群(n=24)と別床の群 (n=26)においてPSQIとの関連をみたところ、同床の群の方が有意にPSQLの点数が高く(Pく 0.05)、ベッドパートナーの有無がSAS患者の主観的な睡眠の質に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
SAS患者のいびきによってベッドパートナー の睡眠が障害されることは指摘されているが、SAS患者自身もベッドパートナーがいる方がベッドパートナーがいない群に比べて睡眠の質が悪かった。
駒田らの健常人についての報告では睡眠の質には配偶者の影響が大きいことが指摘されている。
また Horneらも、睡眠中の覚醒を決定するのは 加齢よりもベッドパートナーや同居する人の行動によって大きく影響すると報告している。今回の結果から SAS患者は睡眠が浅いために健常人に比べてさらにベッドパートナーの影響を受けやすいのではないかと予想された。
若村らは、CPAP療法がベッドパートナーの QOLに及ぼす影響について調査しているが、本邦では治療を行うことによりベッドパートナーの QOLが高められていなかったことを報告している。無呼吸の治療が、患者のQOLの向上につながり、ベッドパートナーが患者の治療継続のためのサポートには重要な要因になるので、今後 CPAP治療を行う上でベッドパートナーの存在が治療にどう影響するのかについて、患者からのインタビューなどを含めて更に明らかにしていきたい。

Ⅴ. まとめ

1) 飲酒と肥満度との間に有意な関連がみられた。肥満はSASのリスクファクターの一つである ことから肥満がSASの増悪因子であることを伝え、飲酒頻度などを目安にダイエットにつながるライフスタイルの改善を促す指導も重要である。

2) 喫煙とPSQIに有意な関連がみられ、睡眠の質が低いと評価している人ほど喫煙本数が多かった。そのため治療開始後は症状の改善や睡眠の質などの本人の自覚症状の変化についての情報をもとに、喫煙本数の変化などについても注意して観察していくことが必要である。

3) 睡眠時間とESS、希望睡眠時間と睡眠時間の差とESSとの間に相関がみられ、SASによる睡眠障害だけでなく、睡眠時間の不足も問題である可能性が示唆された。このことから SAS 患者には CPAP療法だけではなく充分な睡眠時間の確保の指導も重要であると考えられた。

4) ベッドパートナーの有無が患者の睡眠を阻害する因子になりうる可能性が示唆された。今回の対象者は治療開始前であったが、SASの治療の第一選択であるCPAP療法には家族のサポートも重要である。そのためベッドパートナーの 有無がCPAP療法にどのような影響を及ぼすのかについては、今後明らかにすべき課題であると考えられた。

Ⅵ,結語

SASの治療の第一選択であるCPAP療法のエビデンスは明らかになっているが、根治的治療ではないことや治療のほとんどを患者自身が担う治療法であることから、治療を継続していくのには困難が予想される。長期にわたって治療を継続していくためには患者自身が効果を実感し、生活の中 に取り入れていけることが重要であり、そのためにはそれぞれの生活背景を考慮した細やかなサポー トが重要であると考える。

またSASはさまざまな生活習慣病との関連が指摘されている疾患であり、生活全般におけるアプローチが重要であることからも看護者の果たす役割は十分にあるものと考える。しかしSAS患者の生活実態についてはまだ明らかになっておらず、またSAS患者の看護のあり方についても十分な検討がなされていない状況であると思われる。

今回治療を効果的に行うための看護支援についての手がかりを得るためにSAS患者の生活実態を明らかにすることを目的として行ったが、対象者数が56例と少なくSAS患者全体の生活習慣の実態を網羅しているとはいえない。しかしながら、生活習慣の実態の傾向が伺えたことから今後は対象者数を増やし、更に生活背景を検討するためにインタビューなどを通して分析を行うことが必要であると考える。また、ベッドパートナーの影響についてはSAS患者の治療を支援していくうえで今後の検討課題であると考える。

Ⅶ.謝辞

本研究を行うにあたり、快く調査に応じていただきました皆様方に心より感謝申し上げます。また研究の場を提供していただき、ご協力・ご指導下さいました研究施設の先生方、また検査技師の皆様方に謹んで感謝の意を表します。

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SAS患者の生活習慣

Research on Life-styles related to the Sleep of Patients

with Sleep Apnea Syndrome

HORITA Sachiko”), WAKAMURA Tomoko”), TANIGUCHI Mitsutaka”),

CHIKATA Keiko“), UYAMA Osamu 5)

Abstract

It has been pointed out that Sleep Apnea Syndrome (SAS) patients may have adopted life-styles which are poor for their sleep in order to alleviate symptoms that originate in disorders such as sleepiness and fatigue during the day. However, there is no clear evidence of what kind of maladaptive life-styles have been adopted by SAS patients. This research was therefore conducted with the aim of revealing the life-styles of SAS patients, and exploring the relationships between those life-styles and their correlation with the Apnea Hypopnea Index (AHI) data, the Epworth Sleepiness Scale (ESS), Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI) and the Body Mass Index (BMI). It was conducted on 56 pre-treated patients diagnosed with SAS via analysis of questionnaires and AHI data from their medical records. The response-rate was 86%.

An analysis of the relationships between the data derived from AHI, ESS, PSQI, and BMI to smoking, alcohol consumption, caffeine intake and sleeping hours showed a significant relationship between alcohol consumption and BMI data. Furthermore, a significant relationship was evident between smoking and PSQI data, with those who evaluated their sleep quality as poor smoking the most. A correlation could also be seen between sleeping time and the ESS data, and the difference between desired hours of sleep and actual sleeping time and the ESS data, indicating that not only sleep disturbance was caused by SAS, but also the lack of sleep time could be a problem. In addition, it was also suggested that the existence of a bed partner could be one factor disturbing sleep. While the subjects of this research had not yet been treated, family support is important to CPAP treatment. For this reason, it will also be essential to study the effect of a bed partner on CPAP treatment in the future.

Key Words: Sleep Apnea Syndrome ; Life Style; Sleep

1) Graduate School of Nursing Art and Science, University of Hyogo 2) School of Health Sciences Faculty of Medicine, Kyoto university 3) Osaka Kaisei Hospital Sleep Medical Center 4) Department of Human Nursing, Sonoda Women’s University 5) Nursing Pathobiology, College of Nursing Art and Science, University of Hyogo

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