「睡眠」タグアーカイブ

(論文紹介)脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化

ご近所の畑は花いっぱい。
本日は高齢者の認知能力と睡眠の関係を調査した論文をご紹介させていただきます。睡眠時間の長さと、脳の萎縮変化をMRIで調査した結果、睡眠時間が短い対象者の脳萎縮が顕著にみられたという内容です。
要約をご紹介いたします。原文は以下のURLから参照願います。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4098802/

「脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化」

測定と結果
参加者は2年ごとに磁気共鳴イメージングと神経心理学的評価を受けた。睡眠持続時間および質ならびに血液サンプルの主観評価を得た。ベースライン時の睡眠時間の減少の1時間ごとに、脳室の年間拡大率を0.59%(P = 0.007)、世界的認知能力の年率低下率を0.67%(P = 0.050)年齢、性別、教育、および体格指数の影響。対照的に、ベースラインにおける全身睡眠の質は、脳または認知的老化を調節しなかった。全身性炎症のマーカーである高感受性C反応性タンパク質は、ベースライン睡眠期間、脳構造、または認知能力と相関がなかった。

結論
健康な高齢者では、短い睡眠期間は年齢関連の脳萎縮および認知低下と関連している。これらの関連は、短い睡眠者間の上昇した炎症反応に関連していない。

結果
脳構造の経時変化に対するベースライン時の睡眠の影響

我々のコホートにおける全脳容積、灰白質体積、白質体積、海馬容積、総心室容積、下前頭回流容積、および上前頭回容積の縦方向変化は、報告されたものに匹敵するか、健康な高齢者の他のサンプル。

参加者は、心室拡張の割合が変化し、一部は顕著な変化を示さず、その他は最大APCが8.35%であった。心室APCの変動の約10.2%がベースライン時の睡眠持続時間によって説明された(P = 0.039)。eTIVの影響をコントロールした後、ベースライン時の睡眠持続時間の1時間ごとの減少は、脳室の年間拡張を0.55%増加させた(標準化されていない係数:B = -0.552、P = 0.013)。年齢、性別、教育、およびBMIの影響をさらに管理した後、ベースライン睡眠期間の影響は統計的に有意であった。ベースライン時の睡眠期間の1時間ごとの減少は、毎年の心室膨張率の0.59%の増加を予測した(B= -0.587、P = 0.007)。さらに、両心室の総心室容積が3SDを超える2人の参加者を除外した後でさえ、心室拡張の速度に対するベースライン睡眠持続時間の有意な寄与を見出した(B = -0.616、P = 0.005)。この睡眠期間の影響は、他の脳尺度では観察されなかった(P> 0.148)。

結論
比較的健康な高齢者であっても2 年の短い間隔であっても、自己報告されたベースライン時の短い睡眠は、より速い心室拡張を予測する。ベースラインでの短い睡眠期間の効果は、認知能力の低下を加速させる上でより多様で控えめであり、予備的とみなされるべきである。あまり健康でない高齢者の脳および認知老化を予測する上で、睡眠の持続時間がより重要な役割を果たすかどうかはまだ調査されている。

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(論文紹介)寝不足はダイエットの敵

大宮公園小動物園のフラミンゴ
フライングケージの中で鳥と同じ空間にいます。上からフンが落ちてくるかもしれないので、木の上を気にしながら歩きます。

柳沢正史教授が機構長を務める筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構からのプレスリリースをご紹介します。
寝不足の状態が脳の活動にどのような影響を与えるかの研究の中からの成果を、一般の方の関心事に向けて警告しているということですね。実際は同じ睡眠でもレム睡眠とノンレム睡眠の違いや睡眠の質というものにもかかわってくるものです。安眠が大切であることを分かりやすく示しています。
睡眠にまつわる脳活動の解明で次々と新しい発見を行っていますので、注目しています。

ポイントを紹介いたしますので、全文はURLから確認してください。

https://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/japanese/news/865/

プレスリリース

2017.1.10|国立大学法人 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)

寝不足はダイエットの敵

睡眠時間が足りないと甘いものがほしくなる理由

 

研究成果のポイント

  1. レム睡眠量が減少すると、ショ糖や脂質など、太りやすい食物の摂取量が増加する原因の一端を見出しました。
  2. 前頭前皮質の神経活動を抑制すると、レム睡眠量が減少してもショ糖の摂取量は増加しませんでした。一方、脂質の摂取量は、前頭前皮質の抑制の影響を受けることなく増加しました。
  3. レム睡眠が不足しているときに、肥満につながる食物を摂取したくなる欲求は、前頭前皮質が直接的に制御している可能性が示唆されました。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)のミハエル・ラザルス准教授らの研究グループは、レム睡眠量を減少させると、ショ糖や脂質など、肥満につながる食べ物の過剰摂取が引き起こされる原因の一端を明らかにしました。食べ物の味や香り、食感などの嗜好を判断する役割を担う脳部位である前頭前皮質の神経活動を抑制したマウスでは、レム睡眠量が減少しても、ショ糖の摂取量は増加しませんでした。一方、脂質の摂取量は、前頭前皮質の神経活動抑制の影響を受けることなく、対照群と同様に増加しました。このことから、睡眠不足の状態にあるとき、体重を増加させる可能性のある、ショ糖が多く含まれる食べ物を摂取したくなる欲求は、前頭前皮質が直接的に制御している可能性が示唆されました。

本研究成果は、eLife誌にて2016年12月6日付でオンライン公開されました。

図 2|レム睡眠の不足は、糖質や脂質などを多く含む「不健康な」食べ物への欲求を高める。

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(論文紹介)REM睡眠non-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定

安眠のための科学って、実はそれほど進んでいるわけではありません。
人がなぜ眠るのか?
なぜ夢を見るのか?
なぜいびきをかくのか?
等は実はまだすべてわかったわけではないのです。それだけに情報はばらばらだし、いびきを止めるようなサプリやツールもたくさんあります。
医者でさえ、治せるわけでもないと断りながら、手術や対症療法を進めます。
その中でも論文として発表されるものは、少なくとも何人かの被検者を科学的に調査し、仮説を立て検証するという手順を踏んでいるだけ、調査結果データについては信ぴょう性が高いとみてよいと思っています。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のレム睡眠ノンレム睡眠のプレスリリース論文をご紹介します。
レム睡眠の役割は、ノンレム睡眠の徐波の発生に寄与している。ノンレム睡眠の徐波とは、記憶の定着やシナプスの結合を強める効果があることが分かっているので、レム睡眠が阻害されると、記憶力が弱くなったりするのかもしれません。

これまで、夢を見るのは睡眠の状態の中でもREM睡眠(急速眼球運動)の時とされていましたが、non-REM睡眠時であっても、脳の活動状況によって夢を見ていることが確認されました。

実はこれまでもnon-REM睡眠時にも、夢を見ていることがある事はわかっていたのですが、その仕組みについてはわかっていませんでした。
夢を見ているときには、脳の中で高周波電気活動が生じるのですが、脳の後部が高周波電気活動を示す「ホットゾーン」の活動をモニタリングすることで、92%の確率で夢を見ていることが確認でき、81%の確率で夢を見ていないことが確認できたということです。更には、夢の内容も脳の活動領域の活性を確認することで特定できることが分かりました。
言語知覚及び理解に関与する大脳皮質の領域で活動を引き起こしたときには、夢の中で会話をしていたり、人が出てくる場合には脳の顔認識をつかさどる領域が活動していたということです。

実験には46人のボランティアに256の電極で覆われたネットを着用して眠ってもらい、脳内の電気活動のモニタリングと被検者の夢の報告を比較したもので調べた結果です。

この実験は人の意識を研究する一環で、夢を見ているときは、起きて活動しているときと同じ脳の領域を使っており、夢はその人の本当の経験となっている。
「人の意識と脳領域の関係を理解する」意識の根幹をなすものが何かということの研究です。
今話題のAI研究でも意識というものを最終的に機械が持てるのかということが話題になったりします。
人間とは何かというものを研究するうえで、夢を見ることも謎を解明する糸口なのですね。

フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気ひつじの夢を見るか?」というSF(映画ブレードランナーの原作)を思い出します。

(論文)REM睡眠non-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定
「レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンの同定により明らかにされたレム睡眠の役割」(1筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構,2理化学研究所脳科学総合研究センター 行動遺伝学技術開発チーム)
http://first.lifesciencedb.jp/archives/11921

目 次
要 約
はじめに
1.レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定
2.睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも同一の発生学的な起源から生じる
3.レム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うGABA作動性ニューロンの同定
4.レム睡眠はノンレム睡眠における徐波の発生に寄与する
おわりに
文 献
著者プロフィール

要 約
哺乳類の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2つの独立したステージからなる.レム睡眠において夢をみることがよく知られているが,その役割は脳科学における最大の謎のひとつであった.また,レム睡眠とノンレム睡眠はそれぞれ特徴的な脳の活動をともなうが,そのあいだをすばやく切り替える機構についてもよくわかっていなかった.今回,筆者らは,マウスの胎生期において特定の細胞系譜を遺伝学的に標識し,生後にその神経活動を化学遺伝学的に操作するという新規のアプローチにより,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンを同定した.さらに,同じ細胞系譜から生じ隣接する位置へと移動するニューロンが睡眠から覚醒への切り替えを担うことも明らかにされた.そして,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの下流においてはたらく抑制性のニューロンも同定された.これらの発見を生かし,従来とはまったく異なる,外部からの刺激によらないレム睡眠の操作法を確立したことにより,レム睡眠には記憶の形成や脳の機能の回復において重要な神経活動とされる除波をノンレム睡眠において誘発する役割のあることが明らかにされた.この作用を介し,レム睡眠が脳の発達や学習に貢献している可能性が示唆された。

はじめに
レム睡眠およびノンレム睡眠がみられるのは鳥類や哺乳類など発達した大脳をもつ脊椎動物のみである.したがって,レム睡眠およびノンレム睡眠は脳の高等な機能にかかわると考えられてきた.レム睡眠は新生児期1) や学習の直後に多い2) ことが知られていたが,レム睡眠を強制的な覚醒により阻害する実験では刺激そのものによるストレスが生じてしまうなど,レム睡眠を有効に阻害する方法がなかったため,その具体的な役割はわかっていなかった.
また,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えの機構を解き明かそうと数多くの研究がなされてきた.これまでに,脳幹の橋被蓋野とよばれる領域がノンレム睡眠からレム睡眠への切り替えに重要であることが示唆されていたが3-5),その反対の,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えの機構についてはよくわかっていなかった.おもに用いられてきた薬理学的な実験では細胞種や厳密な領域に対する特異性を欠くこともあり,複数の研究グループにより,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えに関する異なるモデルが提唱されてきたが,いずれも決定的な証拠はなかった.
脳幹は明確な神経核の構造を欠き複雑なうえ,機能的にも多様なニューロンのあつまりである.これまでの技術では,特定の機能をもつニューロンのみを解析することは困難であった.今回,筆者らは,ニューロンの機能はその発生学的な起源とリンクするという仮説にたち,発生学的な手法と化学遺伝学的な手法とを組み合わせ,特定の細胞系譜に由来するニューロンのみを標識して操作し睡眠の制御への関与について検討した.その結果,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定に成功した.また,これらの新たに同定したニューロンの操作により,刺激に依存しない新規なレム睡眠の阻害法を確立し,レム睡眠の機能についても解析した.
1.レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定
脳幹はヘテロな性質および機能をもつニューロンのあつまりであり,正確な機能の解析や評価は困難であった.そこで,発生学的な手法により特定の細胞系譜に由来するニューロンのみを標識し操作することにより,特定の機能をもつニューロンを抽出することを試みた.ここで注目した小脳菱脳唇は胎生期に一過的に現われる神経上皮で,小脳の顆粒細胞の発生学的な起源としてよく知られている.一方,近年,小脳菱脳唇の一部の細胞が大きく移動して脳幹の橋のグルタミン酸作動性ニューロンへと分化することが報告された6,7).そこで,これらの小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンが睡眠の覚醒に関与しているかどうか検討した.
これらのニューロンを特異的に操作するため,胎生期において小脳菱脳唇の神経前駆細胞を遺伝学的に標識し,出生ののち,その標識に依存してニューロンの活動の人為的な操作を可能にするような遺伝子を発現させた.具体的には,小脳菱脳唇のマーカー遺伝子であるAtoh1遺伝子のプロモーターの制御のもとでタモキシフェンに依存的なCreを発現するマウスを作製した.このマウスを,Creに依存して転写因子tTAを発現するマウスと交配し,小脳菱脳唇から脳幹の細胞が生じる胎生期10.5日目にタモキシフェンを投与した.これにより,小脳菱脳唇の神経前駆細胞およびその子孫の細胞はtTAを発現するようになる.そして,成体になったのち,人工的にデザインされたGタンパク質共役受容体DREADD-hM3DqをtTAに依存して発現するアデノ随伴ウイルスベクターを局所に注入し,これらのニューロンのみを操作することを可能にした.このDREADD-hM3DqはリガンドであるCNOを腹腔内投与することにより一過的に神経興奮をひき起こす8).
小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンは,その分布からおおまかに2つ,正中線の近くに位置するものと遠くに位置するものとに分けられた(図1).正中線に近いニューロンは外背側被蓋核から内側傍小脳脚核にかけて分布していた.一方,正中線から遠いニューロンは外側傍小脳脚核を中心に分布していた.
図1 共通の発生学的な起源に由来するニューロンによる睡眠と覚醒およびレム睡眠とノンレム睡眠の制御
胎生期に小脳菱脳唇において生じた神経前駆細胞のうち,脳幹橋の正中線の近くに移動したニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを,正中線から遠くに移動したニューロンは睡眠から覚醒への切り替えを制御する.

正中線の近くに位置するニューロンにDREADD-hM3Dqを発現させ,CNOの投与により活性化させたのち,睡眠と覚醒のサイクルを観察した.その結果,レム睡眠が強く抑制され,代わりに,ノンレム睡眠が増加した.一方,覚醒の量に影響はみられなかった.したがって,正中線の近くに位置するニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うことが判明した.
2.睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも同一の発生学的な起源から生じる
小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンのうち,正中線から遠くに位置するニューロンを活性化させたところ,さきの結果とは対照的に,睡眠そのものの量が大幅に減少し覚醒が強く誘導された.ほかの研究グループから,この近辺のグルタミン酸作動性ニューロンが覚醒を促進することが報告されていたが9),同定された正中線から遠いニューロンと同一のニューロンである可能性が高いと考えられた.以上のことから,小脳菱脳唇は,レム睡眠とノンレム睡眠,覚醒と睡眠など,さまざまな脳の状態の切り替えを担うニューロンの共通の発生学的な起源であることが判明した.
3.レム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うGABA作動性ニューロンの同定
正中線の近くに位置するニューロンがどのような機構によりレム睡眠を制御しているのか調べるため,その投射先を調べたところ,軸索を吻側へと伸ばし中脳深部核の背側の領域へと投射していた.この領域には古典的な薬理学的な実験からレム睡眠を抑制するニューロンの存在が示唆されていたが,どのような細胞種がかかわるかについては不明であった4,10).この領域の抑制性のGABA作動性ニューロンに注目し,DREADD-hM3Dqを発現させて神経活動を誘導したところ,正中線に近いニューロンを活性化したときと同様に,ノンレム睡眠が増加しレム睡眠が抑制された.反対に,神経活動を抑制するDREADD-hM4Diを発現させて神経活動を抑制したところ,レム睡眠が誘導された.これらの結果から,正中線の近くに位置するニューロンは,中脳深部核の背側部のGABA作動性ニューロンをつうじてレム睡眠を制御していることが強く示唆された.
4.レム睡眠はノンレム睡眠における徐波の発生に寄与する
レム睡眠の役割はほとんど不明である.これまでのレム睡眠の機能に関する研究においては,対象がレム睡眠に入るとただちに外部から刺激をくわえ,覚醒させることによりレム睡眠を強制的に終了させる方法が広く用いられてきた.しかしながら,この方法では,レム睡眠だけでなくノンレム睡眠の量も大幅に減少させてしまう点や,対象に大きなストレスがかかる点などから,その結果は解釈がむずかしく,純粋にレム睡眠が減少したためとはいえないという問題があった.一方,レム睡眠を制御する中枢に対する化学遺伝学的な操作によりレム睡眠を阻害することが可能になったことから,この新規に確立されたレム睡眠の阻害法を用いてレム睡眠の機能について検討した.
レム睡眠を阻害されたマウスにはいっけん影響はないようにみえたが,時間がたつにつれ,睡眠そのものの質に影響が現われた.具体的には,ノンレム睡眠において生じる徐波とよばれる脳の活動がしだいに低下した.徐波とは周波数4 Hz以下のゆっくりとした脳波であり,大脳皮質のニューロンの膜電位が同調してゆっくり振動することにより生じる.深いノンレム睡眠の際に生じやすく,神経の可塑性に貢献することが知られている11,12).今回のレム睡眠の阻害実験では,この徐波はしだいに減弱したが,レム睡眠の操作の効果がきれてふたたび正常なレム睡眠に入ると,その直後に,ノンレム睡眠における徐波の成分ももとのレベルに回復した.反対に,レム睡眠を人為的に増加させるとノンレム睡眠における徐波は強まった.また,レム睡眠を操作していない自然な睡眠においても,レム睡眠の長さとそれにつづくノンレム睡眠における徐波の成分とのあいだには正の相関関係があった.これらの結果をあわせて,レム睡眠がノンレム睡眠における徐波の発生に寄与していることが明らかにされた.マウスでは睡眠のあいだ頻繁に短い覚醒がみられるが,これらの覚醒については,レム睡眠のような徐波を促進する効果は確認されなかった.したがって,レム睡眠と覚醒は大脳の活動が活発となるという点においては共通するが,徐波の誘導に関しては効果が異なると考えられた.
おわりに
今回,筆者らは,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えの起こる機構,および,レム睡眠が徐波の発生に関与するというその生理的な意義の一端について明らかにした.レム睡眠が誘導する徐波には,記憶の定着を促進する効果11) やシナプスの結合を強める効果12) のあることが知られている.今回の結果をふまえると,レム睡眠が徐波の発生をつうじて記憶の定着に関与している可能性が示唆される.今後,レム睡眠の操作の可能なマウスにおいて学習能力や記憶力を検証することにより,レム睡眠が記憶や学習にどのように寄与するのかについてさらなる解明が期待される.
なお,今回の筆者らの報告とほぼ同じ時期に,米国の研究グループにより,延髄に存在するGABA作動性ニューロンが,筆者らにより同定された中脳深部核のGABA作動性ニューロンと同一と考えられるニューロンに投射し,レム睡眠を制御しているという報告が発表された13).筆者らの結果とあわせると,中脳深部核のGABA作動性ニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠への切り替えにおいて中枢的な役割を担うことが推察される.
一方,ノンレム睡眠からレム睡眠への切り替えに関しては,どのような細胞種が重要なのか詳細は不明なままである.ネコの橋被蓋野の青斑下核という領域にアセチルコリン受容体の作動薬を注入するとレム睡眠が強く誘導されることが知られている3).このレム睡眠の誘導にかかわる青斑下核のニューロンのアイデンティティの解明は今後の重要な課題のひとつである.
また,今回の研究においては,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンがどの神経前駆細胞に由来するのかを調べることにより,その発生学的な起源として小脳菱脳唇が同定された.興味深いことに,この小脳菱脳唇の神経前駆細胞からは,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンだけでなく,睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも生じることが判明した.この研究から,小脳菱脳唇から脳の状態の切り替えを担うスイッチとなる多様なニューロンを生じることがはじめて明らかにされた.小脳菱脳唇はレム睡眠およびノンレム睡眠のみられない硬骨魚類においても保存されており,今回の発見は,睡眠と覚醒だけの単純な脳の状態しかもたない生物から,レム睡眠やノンレム睡眠といったより複雑な脳の状態をもつ生物が進化した歴史の理解にもつながると期待される.

文 献
Roffwarg, H. P., Muzio, J. N. & Dement, W. C.: Ontogenetic development of the human sleep-dream cycle. Science, 152, 604-619 (1966)[PubMed]
Smith, C. & Rose, G. M.: Posttraining paradoxical sleep in rats is increased after spatial learning in the Morris water maze. Behav. Neurosci., 111, 1197-1204 (1997)[PubMed]
Vanni-Mercier, G., Sakai, K., Lin, J. S. et al.: Mapping of cholinoceptive brainstem structures responsible for the generation of paradoxical sleep in the cat. Arch. Ital. Biol., 127, 133-164 (1989)[PubMed]
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Marshall, L., Helgadottir, H., Molle, M. et al.: Boosting slow oscillations during sleep potentiates memory. Nature, 444, 610-613 (2006)[PubMed]
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Weber, F., Chung, S., Beier, K. T. et al.: Control of REM sleep by ventral medulla GABAergic neurons. Nature, 526, 435-438 (2015)[PubMed]

著者プロフィール
林 悠(Yu Hayashi)
略歴:2008年 東京大学大学院理学系研究科博士課程 修了.同年 理化学研究所脳科学総合研究センター 基礎科学特別研究員を経て,2013年より筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 助教.
研究テーマ:睡眠の意義,機構,進化.
抱負:なぜ眠るのか,なぜ夢をみるのかについて明らかにしたい.
柏木 光昭(Mitsuaki Kashiwagi)
筑波大学大学院人間総合科学研究科修士課程 在学中.
糸原 重美(Shigeyoshi Itohara)
理化学研究所脳科学総合研究センター チームリーダー.

© 2015 林 悠・柏木光昭・糸原重美 Licensed under CC 表示 2.1 日本

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(論文紹介)イビキと無呼吸と健康

写真は散歩の途中で見つけた川沿いの道路わき家庭菜園。おそらく無許可でしょうね。イチゴやネギが何でもない道路わきで栽培されています。
さて季節の変わり目で、体調変化に伴い疲れやすく眠気が常にあるのか、それともいびきや無呼吸が原因で眠気があるのか。
いつも眠いという方にはちょっと怖い論文をご紹介します。

福岡医誌103(1):1―11,2012
総説

イビキ・閉塞性睡眠時無呼吸による健康障害について

1)九州大学病院心療内科
2)九州大学大学院医学研究院心身医学
古川智一1),須藤信行2)

https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/20691/p001.pdf

はじめに
睡眠障害は現代社会において大きな問題となりつつある.例えば,日本人の5人に1人が不眠症など何らかの睡眠に関する問題を抱えているとされる1).我が国では産業の効率化を図るために交代勤務制をとる事業所も多いが,その結果交代勤務者の健康障害も問題となっている.世界に目を向けてみると,チェルノブイリ原発事故やスペースシャトルチャレンジャー号爆発事故などの大参事もその作業員の睡眠不足によるヒューマンエラーが原因であったとされている.睡眠に対する関心が高まるなか2003 年に新幹線運転士による居眠り運転が報道され,その原因とされる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome;以下OSAS)が注目を浴びることとなった.OSASは有病率が高く,イビキという容易に観察される現象が発見の手がかりとなる.そのためOSAS を疑い睡眠外来を受診する患者も多く,睡眠障害の中で最も重要な疾患と言える.OSAS による障害は日中の過剰な眠気のみならず,高血圧や心血管障害,脳卒中を含む多くの合併症の発症,悪化因子であるというエビデンスが多くの研究結果から構築されつつある.本稿ではOSASとその主要な合併症との関連について概説し,OSAS の主症状であり日常的によくみられるイビキにも焦点を当てて述べてみたい.

1.閉塞性睡眠時無呼吸
1)睡眠時呼吸障害の分類
2005 年のInternational Classification of Sleep Disorder(ICSD)-2 分類では,睡眠関連呼吸障害群(sleep-related breathing disorders;SRBD)がOSAS,中枢性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(central sleep apnea syndrome;CSAS),睡眠時低換気/低酸素血症症候群(sleep related hypoventilation syndrome;SHVS),その他の睡眠関連呼吸障害に大きく分類されている2).CSAS には原発性中枢性睡眠時無呼吸や心不全患者に多くみられるCheyne-Stokes 呼吸などが含まれるが,SRBD 全体からみるとその頻度は少なく,一般人口において圧倒的に頻度が高いのはOSASである.OSAS の定義には症状を含んでいるが,最近の論文には臨床症状の有無に関わらず,睡眠ポリグラフィー検査の所見より診断した閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;以下OSA)という表記が頻用され,心血管障害との関連を示す知見が集積されてきている.本稿では頻度が高くイビキとも関連するOSA に限定して述べることとする.

2)OSAの発症因子
まず,OSA の発症機序を簡単に述べたい.OSA の発症に影響を与える因子としては,男性,閉経後の女性,下顎の後退などの頭蓋顔面形態,加齢,肥満,扁桃肥大などが挙げられる.OSA の診断は睡眠ポリグラフ検査(polysomnography:PSG)での無呼吸低呼吸指数(apnea-hypopnea index:AHI,睡眠1時間当たりの無呼吸・低呼吸の回数)で行われるが,米国の大規模研究では,30 − 60 歳の男性におけるAHI≧ 5 のある割合は24%であったのに対して,同年代の女性では9%であった3).このように,OSA の有病率は男性で高いことが報告されている.ただし,閉経後の女性ではOSA の重症度が増大し,65 歳以上の年齢に限定すると男性が女性の1.3-1.6 倍とその差は縮まる4).女性ホルモンであるプロゲステロンに呼吸中枢刺激作用5)や上気道開大筋の活動促進作用6)があると報告されており,ホルモン補充療法によってOSA が改善したとの報告がある7).
OSA の発症因子において上気道の解剖学的構造は重要な位置を占める.OSA に特徴的な頭蓋顔面形態については,セファログラムを用いた研究で,下顎の後退あるいは狭小化,舌面積の増大,舌骨の低位,顔面の前後径の減少,中咽頭長の増大などが挙げられている8).CTを用いた研究では,硬口蓋の後下部から舌骨の上後部までの上気道長とOSA の重症度との間に有意な相関を認めた.その上気道長は身長を考慮してもOSA 男性の方がOSA女性よりも長かった9).
肥満はOSA 発症において重要な因子である.日本人のOSA 患者の6割以上に認め,重症OSA ほど肥満者の割合が増加する.体重が10%増加するとAHI > 15となるオッズ比が6.0,20%増加すると36.6 となるとの報告もある10).上気道周囲の軟部組織の増大や肺容量低下による気管の下方牽引の減弱に伴う咽頭腔の狭小化に肥満が関与するものと考えられる.
その他のOSA の発症に関与する解剖学的問題としては,扁桃肥大や小児におけるアデノイドがある.前述の上気道の解剖学的構造に加えて,上気道が虚脱しないように維持する上気道開大筋の機能もOSA の発症に大きく関与する.咽頭周囲には左右20 対以上の筋肉が存在し,咽頭気道の大きさや形を調節している.これらのうち,オトガイ舌筋が咽頭の開大に最も重要であるとされる.OSA 患者では覚醒時の上気道開大筋の活動性はむしろ健常者と比較して亢進しており11),気道の閉塞に対する代償性変化と考えられる.しかし,睡眠中はこれらの筋活動性が低下する12)ため,上気道抵抗増大の原因となりOSAを引き起こすこととなる.また飲酒,睡眠薬服用時や加齢に伴う上気道開大筋の機能低下が起こると,OSA が発症する可能性がある.
睡眠中の呼吸調節もOSA 発症において重要である.入眠期には,気道の開存性と呼吸調節が覚醒時調節からNREM 睡眠時調節に変わるため,呼吸が不安定になりやすい13).健常者でも睡眠が安定する前は中枢性の無呼吸が出現する.OSA では頻回の覚醒反応を繰り返すが,覚醒に伴う一過性の過換気が生じるため,無呼吸を引き起こしやすくなり呼吸が不安定になる.
前述したOSA の発症に関与する因子は,上気道の軟部組織の増大や頭蓋顔面形態異常という解剖学的要因と,睡眠中の上気道筋の緊張低下や呼吸の不安定性という機能的要因の2つに大別できるが,その2つのバランスによって睡眠中の上気道閉塞,つまりOSA が発症するか否かが決定されるものと考えられる.

3)OSAの病態生理
OSA に伴う病態生理学的機序には,無呼吸に伴う低酸素血症,高炭酸ガス血症,無呼吸再開後の再酸素化が挙げられる.再酸素化は虚血再灌流と同様に酸化ストレスを与え組織障害を誘導する.また,上気道抵抗性の増大は胸腔内圧変動を増大させ,またそれに伴う呼吸努力は覚醒反応を引き起こし,睡眠分断をきたす.OSAは高血圧,心・脳血管障害などの発症リスクの増加につながる可能性が示されているが,介在する機序として,交感神経活性の亢進,血管内皮機能障害,血管への酸化ストレス,炎症,凝固異常,インスリン抵抗性などの代謝異常が考えられている[図1]14).さらにOSA には肥満の合併も多く相乗的な影響を及ぼす可能性がある.高度の肥満がある場合には,肺の機能的残気量が減少し低酸素血症をさらに悪化させる原因となる.

4)OSAの合併症
OSAと高血圧
OSAは前述した機序を背景に高血圧,心・脳血管障害,糖尿病などに関連するといわれている.その中でも高血圧は,睡眠外来受診患者や就労者,一般住民における横断的研究において,OSAとの独立した関連が多く報告されている.国立病院機構福岡病院睡眠センター受診患者303 名での検討では,AHI が高値となるごとに高血圧の合併率が上昇し[図2],AHI は年齢,性別と同様に高血圧の独立した危険因子であった15).OSA が疑われた2677 名の対象における検討では,血圧と高血圧の合併はAHI で示されるOSA 重症度と関連していた16).受診患者ではなく,米国の州職員を対象とした一般就労者での研究(Wisconsin Sleep Cohort Study)においてもOSA重症度と高血圧の有病率に量反応関係が認められた17).さらに,高血圧についてはOSAとの因果関係が証明されており,Wisconsin Sleep Cohort Study で,AHI≧ 15 のOSA ではAHI 0 の対象と比較して4年後の高血圧発症リスクが約3倍であることが報告された[図3]18).OSA と高血圧に関する多くの実験的研究や臨床疫学研究に基づいたエビデンスが構築され,高血圧の予防,発見,診断および治療に関する米国合同委員会第7次報告では,OSAは二次性高血圧の原
因として挙げられている19).ランダム化対照比較試験やメタ解析の結果よりOSA に対する持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure;CPAP)によって降圧効果を認めることが示されている20)21).

OSAと脳卒中
OSA が疑われた患者の追跡研究で重症OSA では非OSA 群と比較して脳卒中または死亡の調整後ハザード比が3.3倍であったとの報告22)や,一般住民研究でAHI > 19 のOSA患者では非OSA群と比較して8年後の虚血性脳卒中の調整後ハザード比が2.86 倍であったとの報告23)があり,OSA が脳卒中発症リスクであることが示唆された.脳血管疾患におけるOSAS の病因的関与は,OSAS患者において夜間酸素飽和度低下が高血圧発症とは独立して頸動脈の内膜中膜肥厚や動脈硬化プラークと関連していることによって示唆された24)25).またOSA が虚血性脳卒中の再発リスクを高め26),CPAP治療によって虚血性脳卒中の既往のあるOSA患者の生命予後が改善した27)との報告がある.

OSAと冠動脈疾患(coronary artery disease;CAD)
CAD におけるOSA合併率(AHI ≧15)は24%で,対照群の9%と比較して有意に高値であった28).冠動脈疾患にRDI10 以上のSDB が合併すると,その後5年間の心血管死が明らかに多いと報告されている(9.3%対37.5%)29).CAD の既往のない睡眠外来受診患者でOSA 重症度に応じて冠動脈石灰化が顕著であったとの報告30)や,CAD 患者でOSA が生命予後の悪化や心血管合併症リスクの増大につながったとする縦断的研究がある31).日本のデータからもAHI10 以上のOSA を合併する急性冠症候群の予後は不良で,その調整リスクは11.6 にもなると報告されている32).CPAP 治療はOSA 合併の冠動脈疾患の予後を改善し33),CPAP治療を行った患者では,治療を拒んだ患者よりも良好な臨床経過であったとの報告もある34).年齢,性別を一致させた一般人口と比較し,OSA 患者では冠動脈疾患の合併率が2倍以上多く,その後の死亡原因としても重要である35).

OSAと心不全
OSA が心不全の病因であるのみならず中枢性睡眠時無呼吸と同様心不全の悪化とともにOSA が発症あるいは増悪することがある.大規模な横断的研究でOSA と心不全との強い関連が認められた36).1ヵ月間のCPAP 治療によって心不全合併OSA 患者の左室駆出率の改善が認められた37).心不全合併OSA患者の死亡や入院のリスクに対するCPAP 治療効果については,平均25.3ヵ月の追跡期間においてCPAP未治療群や低コンプライアンス群でそれらのリスクが増加し,CPAP治療が心不全合併患者の予後
を改善させることが示されている38).

OSAと不整脈
一般住民研究でAHI ≧ 30の重症OSA患者では非OSA群(AHI < 5)と比較して,心室性期外収縮,心房細動,Ⅱ度房室ブロック(1型),ペースメーカー植え込み患者の頻度が有意に増加した.調整後オッズ比は非持続性心室頻拍,複雑性心室性期外収縮,心房細動でそれぞれ,3.40,1.74,4.02 倍であった39).心不全合併OSAS 患者における心室性期外収縮は1か月のCPAP 治療で58%低下する40)ことが報告された.
OSAは前述の血管障害以外に代謝異常にも大きく関与している.

OSAと糖尿病,インスリン抵抗性
国際糖尿病連合の声明ではOSA と2型糖尿病との関連が述べられている41).この関連を裏付けるものとして,OSA 重症度の指標であるAHI と最低酸素飽和度とインスリン抵抗性との関連42)や,軽度肥満男性におけるOSA とインスリン抵抗性との関連43)を報告した研究があり,これらの関連はいずれも肥満と独立していた.横断的解析で肥満調整後もOSA(AHI ≧ 15)と2型糖尿病との関連は有意であった(オッズ比2.3)が,4年後の糖尿病発症との関連については有意でなかった44).この研究は追跡期間が4年間と比較的短いこともあり今後さらに縦断的あるいは介入的研究が望まれる.

OSA の身体的影響について述べたが,その他のOSA を特徴づける症状に日中の過剰な眠気がある.精神症状としては他に抑うつ,集中力の低下がみられ,QOL低下につながる可能性がある.さらに社会的インパクトの強い問題が交通事故との関連である45)46).非職業運転者のメタ解析でも,OSA 患者で自動車事故のリスクが2〜3倍に上昇することが報告されている47).
このようにOSA は多彩な症状を呈し生命予後に関わる合併症を続発することがあるため早期の診断と治療が望まれる.次章ではOSA の主症状であり,またより身近な問題でもあるイビキについてその病態生理や健康への影響について述べたい.

2.イビキとその障害について
1)イビキの概念と疫学
イビキとは軟口蓋,舌,咽頭壁などの上気道の軟部組織が振動することで発生する音響現象である.ヒトの上気道は発声には有利であるが,骨,軟骨組織によって支持されない軟部組織のみの部位が長く,イビキや無呼吸を起こしやすい.イビキは容易に観察できOSA のほとんどで認めるためその有用な指標とされ,イビキが非常に強い患者ではAHI ≧15であるリスクが約4倍であったとの報告もある48).過去の疫学研究によるとイビキの頻度は男性で20 − 46%,女性で8 − 28%とかなりばらつきが多い3)49)~53).これはイビキが質問紙に基づくこと,さらに本人,ベッドパートナーのいずれが回答したかによっても異なること54)による可能性がある.我が国における最近の一般住民研究では,「ほとんど毎日イビキをかく」と答えた対象の割合は,男性で24%,女性で10%であった55).イビキの危険因子としては,肥満,飲酒,鼻閉などが挙げられる.

2)イビキの病態生理
いくつかのイビキによる病態生理学的機序が考えられる.まず,イビキの振動による影響である.吸気が狭い上気道を通過する際に乱流となり,主に咽頭粘膜の激しい振動を引き起こすことでイビキとなる.
このイビキによる振動によって上気道粘膜の傷害を引き起こし,ひいては炎症が引き起こされることで56)咽頭粘膜57)や隣接する血管58)59)において永続的な障害が残る可能性が示唆されている.次に胸腔内圧変動による影響である.上気道抵抗に抗することで吸気努力が増大し胸腔内陰圧の著明な増大を引き起こし,その結果心筋経壁圧の増加により後負荷が増すことになる.このことから左室肥大さらに心不全の悪化につながる可能性が示唆される.無呼吸のないイビキ症患者での研究で胸腔内圧の変動の増大に伴い圧受容体感受性の低下を呈することも報告されている60).このことはOSA のみならずイビキ症患者においても圧受容体感受性の低下より,夜間の血圧上昇,さらには日中の血圧上昇につながる可能性を示唆している.
また,睡眠中に呼吸努力が増大することで疲労が残ることや,上気道抵抗の上昇やイビキの騒音により覚醒反応が起こり眠気を引き起こす可能性がある.

3)イビキによる障害
イビキによる障害として,OSA と同様に日中の過剰な眠気や高血圧との関連が報告されている.イビキの振動が頸動脈硬化症に関連すると報告した最近の研究もある59).また,騒音という側面からイビキ症者のみならずベッドパートナーの睡眠への影響も考えられる61).これらの障害とイビキとの関連について示した臨床研究をいくつか紹介したい.

イビキと高血圧
1741 名の住民研究では,無呼吸のないイビキ症患者で弱いものの高血圧との独立した関連(オッズ比1.6)を認めた62).Wisconsin Sleep Cohort Study では,AHI が0.1-4.9のOSA の診断に至らない対象でも4年後の高血圧発症リスクが1.42 倍であることが報告された18)が,AHI が5に満たないこの集団はOSAとは診断されず,病的ではない単純性イビキ症として放置されている可能性があるものと思われる.
今までイビキの客観的測定値と血圧との関連を検証した研究は少ないが,我々はOSA を疑い睡眠ポリグラフを施行した患者を対象にイビキと日中の血圧との関連について検証した.睡眠検査室の患者ベッドの1.2 メートル上方にマイクロフォンを設置し,騒音計を用いて空中音圧レベルを測定した.イビキ音測定値としては,空中音圧レベル(dBA)の上位1パーセンタイル値であるL1 を用いた.記録不良例,降圧薬服用例などを除外した378 名において検討した.AHI < 15 の単純性イビキ症あるいは軽症OSA 患者で,客観的に測定したイビキ音を反映するL1 と日中の収縮期および拡張期血圧との間に有意な相関を認めた[図4].年齢,性別,Body mass index,睡眠時間,喫煙,飲酒,AHI を交絡因子として調整した後も日中の収縮期および拡張期血圧と関連することを認めた(それぞれβ=0.681,p=0.017;β=0.571,p=0.012)63).一方で,AHI ≧ 15 の中等症あるいは重症OSA 患者では独立した関連は認められなかった.
さらに小児での研究においても,質問紙より診断した単純性イビキ症患者で,交絡因子調整後も夜間拡張期血圧が対照よりも有意に高値であると報告した研究がある64).血圧へ影響する交絡因子が比較的少ないとされる小児においてもイビキと血圧との関連が認められたことは,今後の成人での研究に対して示唆を与えるものと考えられる.

イビキと頸動脈硬化症
頸動脈硬化症の頻度について軽症イビキ症(イビキの割合が睡眠時間の25% 未満)である対象(20%)よりも重症イビキ症(イビキの割合が睡眠時間の25%未満)である対象(64%)で高率であったとの報告がある.年齢,性別,高血圧の有無などの交絡因子を調整後も重症イビキのあるものは頸動脈硬化症のオッズ比が10.5 であったことより,イビキと頸動脈硬化症との独立した関連が示唆された59).その他,睡眠時無呼吸の評価はされていないが質問紙で評価したイビキと頸動脈硬化症についての研究がある.頸動脈分岐部と総頸動脈における最大内膜中膜複合体厚の平均値がイビキ症ではない対象よりもイビキ症者で有意に高値であった.さらに,習慣性イビキを認める場合,内膜中膜肥厚の増加と頸動脈分岐部のプラークのオッズ比は,心血管障害の危険因子を調整した後でもそれぞれ1.71 と3.63 であった65).

イビキと眠気
一般住民女性でAHI やその他交絡因子を調整後も習慣性イビキが日中の過剰な眠気と独立して関連するとの報告がある66).Sleep Heart Health Study においてもイビキの頻度がEpworth sleepiness scale(ESS)で測定した日中の眠気とRDI とは独立した関連を示した.イビキの頻度が増加するにつれてESSが上昇することが示された67).また我々がOSA を疑いPSG を施行した患者515 名において行った研究では,AHI ≧ 15 のOSA 患者において,客観的に測定されたイビキ音強度がESS によって評価された日中の眠気とAHI とは独立して関連することを認めた68).

イビキによる騒音被害
イビキはその騒音によりイビキ症者のベッドパートナーの睡眠や日中のQOL をも障害する可能性がある69).その結果,別々の寝室で寝たり,さらには夫婦間不和のもとにもなることがある.OSA と診断された患者とそのベッドパートナーで行われた研究では,ESS で評価された眠気と36-item short-formhealth survey(SF-36)で評価されたQOL が患者のみならずベッドパートナーでもCPAP 治療によって改善することが示された70).

ここで示した以外にもイビキと心血管障害,脳卒中などの合併症について調べた研究は数多くあるが,多くはイビキを睡眠時無呼吸の代理指標としたものでイビキ自体の影響を調べたものではない.また,それらの研究の多くはイビキそのものの影響というよりも低酸素血症などを呈する睡眠時無呼吸によって障害が引き起こされるものと考えられてきた側面もある.しかし,イビキの振動が血管への障害を引き起こし頚動脈硬化症につながる可能性を示唆した最近の研究71)もあり,今後睡眠呼吸障害の病態生理を考える上でイビキにも焦点を当てていく必要があるものと思われる.現時点ではイビキの標準的な客観的測定法がないことから,今後イビキの臨床的意義を評価するためにはその標準的計測法を確立した上でより厳格に計画された研究を行うことが望まれる.

まとめ
OSA とイビキによって引き起こされる障害を中心に述べた.OSA については二次性高血圧の確立された要因であるほか,脳・心血管障害,糖尿病などとの関連についてもエビデンスが構築されつつある.睡眠時無呼吸を伴わないイビキ症については,その臨床的意義はまだ明らかではないが,イビキに伴う振動,胸腔内圧変動,騒音などを介した健康への影響が推測される.一般人口における頻度の高さからも公衆衛生学的に重要な問題であると考えられ,今後より詳細な研究が行われることが望まれる.

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66) Svensson M, Franklin KA, Theorell-Haglow J and Lindberg E : Daytime sleepiness relates to snoring independent of the apnea-hypopnea index in women from the general population. Chest 134 : 919-924, 2008.
67) Gottlieb DJ, Yao Q, Redline S, Ali T and Mahowald MW : Does snoring predict sleepiness independently of apnea and hypopnea frequency? Am J Respir Crit Care Med 162 ; 1512-1517, 2000.
68】Nakano H, Furukawa T and Nishima S : Relationship between snoring sound intensity and sleepiness in patients with obstructive sleep apnea. J Clin Sleep Med. 4 : 551-556, 2008.
69) Beninati W, Harris CD, Herold DL and Shepard Jr JW : The effect of snoring and obstructive sleep apnea on the sleep quality of bed partners : Mayo Clin Proc 74 : 955-958, 1999.
70) Parish JM and Lyng PJ : Quality of life in bed partners of patients with obstructive sleep apnea or hypopnea after treatment with continuous positive airway pressure. Chest 124 : 942-947, 2003.
71) Cho JG, Witting PK, Verma M, Wu BJ, Shanu A, Kairaitis K, Amis TC, Wheatley JR, MD : Tissue vibration induces carotid artery endothelial dysfunction : a mechanism linking snoring and carotid atherosclerosis? Sleep 34 : 751-7, 2011.
(参考文献のうち,数字がゴシック体で表示されているものについては,著者により重要なものと指定された分です.)

論文紹介は以上ですが、この手の論文でいつも思うのは、いびきや無呼吸は、意識して行っているわけではないので、それを原因としての疾患への結びつきには疑問が残ります。例えばタバコを吸うことでいろいろと不具合が出るのは、意識して行っていることによる言わば副作用です。いびきや無呼吸は意識的に行っているのではなく、何か原因が別にあるものの症状として出ています。風邪をひいて熱が出ているようなものです。熱を原因として頭痛がするとかめまいがするとか言ったらおかしな対症療法の話になるのです。

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眠りとは何か

坂のある街
西に下る坂の上から夕空が綺麗に見えます。まだ家の明かりがともるには少し早い時間。子供たちが学校から帰ってくる頃。
活動の時間から休息の時間に切り替わるときです。

人はなぜ眠るのでしょう?
人は人生の3分の1を寝て過ごします。動物の中でも長く寝る動物は、肉食動物に多く、それだけエネルギーの高い食品を取ることで、効率がいいようです。反対に草食動物では、エネルギーが低い食品を大量にとる必要から、常に食料を求めて移動する為、短時間睡眠になるようです。ただコアラの様に草食であっても、ユーカリのように他の動物が食べない葉を独占できる関係で、一日22時間を寝て過ごし、出来るだけエネルギーを使わない戦略に出る動物もいるようです。冬眠する動物も少ない食料でエネルギーを温存する戦略ですね。
寝ることは無防備になってしまう為、種の保存という点では矛盾するようですが、エネルギーを無駄にしないで長く生きるための方法なのかもしれません。

眠っている間に体はどうなっているのでしょう?
最近の研究で、脳の活動中にアミロイドβ蛋白がたまり、睡眠中に脳脊髄液で流されて排泄されるということが分かってきました。睡眠が足りないとアミロイドβ蛋白が残り続け、アルツハイマー病の原因ともいわれています。
また、寝ている間に記憶が整理され、短期記憶が長期記憶に置き換えられる記憶の整理を行っているということも実験で確かめられています。
その他にもノンレム睡眠のレベル4で成長ホルモンが分泌され、体の修復が行われていることや、不眠状態が続くと幻覚症状が現れたり、精神に異常をきたすこともわかってきています。
寝ているのはただ体を休めるだけではなく、大きな脳の膨大な情報を処理するなど、エネルギーと時間をかけて行う重要な機能でもあるわけです。
睡眠についての研究は、それほど歴史もなくまだまだ分からないことが多いのですが、眠ることの重要性は思った以上に高いということが解明されつつあるようです。

排泄としての睡眠について「人間の3大欲求」としての睡眠ブログをご参照ください。

健康で長寿であるためには、良質の睡眠が欠かせないわけです。人生の3分の1の膨大な時間を過ごすために、よりよい睡眠環境を整えることは、人間にしかできない贅沢なのかもしれません。

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生活習慣病と「安眠家具」

家内制手工業跡地?
建物の中はがらんどうですが、ちょっといい雰囲気を醸し出しています。うまくリニューアルすると映画のセットのような居酒屋が出来上がりそう。耐震性とかが若干心配ですけどね。

生活習慣病と「安眠家具」

日本人の平均睡眠時間は、世界でも最も短い部類に入るようです。睡眠時間が短いということは睡眠不足を感じている人の割合も多いことになります。
そして長期間の睡眠不足が生活習慣病に悪影響を与えるということも、様々な研究論文で発表されているように、その関連は看過できる状態ではありません。
さて生活習慣病といっても具体的にどのようなものがあるでしょうか。糖尿病、高血圧、脂質異常症、癌も生活習慣病であり、生活習慣の乱れが原因と言われています。さらに、そこから心臓病、脳梗塞、脳溢血、腎臓病等を引き起こします。
病院にかかる原因は、交通事故などの怪我や、ウィルス性の疾病、生まれついての障害や持病を除くとほとんどが、生活習慣病を起点にしているのではないかと思われるほどです。

睡眠障害と生活習慣病が切っても切れない関係であり、悪化するときは両方が悪化し、逆に改善するときは両方が改善するということも言えます。
病気知らずで生活するためには、睡眠障害にかからない生活を行う事に心がけることです。そしてそれこそが生活習慣の改善につながりますので、生活習慣病のリスクを減らすことになるのです。

睡眠障害にかからない生活にはリズムだと思います。
睡眠不足の体で朝起きるのはつらいでしょうが、とにかく決まった時間に必ず布団から出ることから始めることです。
起きたらできるだけ明るい光を浴びることと、日中どんなに眠くても仮眠をとるとか、ボーとする時間を作らない。
夕方から少しずつ活動を抑え、食事を早めに済ませ、お風呂でゆっくり温まって、遅くても23時くらいには布団に入る。
晩御飯から寝るまではパソコンや携帯をいじらず、できればテレビも見ないで新聞や軽い読書でゆったりと過ごす。
もちろん薬を飲まずに寝ます。
交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズに行う生活習慣が睡眠障害にならず生活習慣病にもならない生活になります。

大事なのは安眠の環境
さて布団に入ってそのまま睡眠に入れればいいのですが、寝つきの悪い状態や元々寝つきの良くない方がいます。
強いストレスがある方や、布団に入って眠れないんじゃないかとか、眠らないといけないと強く思ってしまう方が不眠症になりやすいのですが、安眠の環境を作ることがその不安を取り除くことになります。
よく言われるのは寝室は寝るためだけに使いましょうという環境づくりです。条件反射と同じで「ここにいれば眠れる」ということを体に覚えさせることで、眠れないかもしれないという不安を抑えることになるのです。
とはいえ、日本の住宅事情ではむしろ寝室こそは個人空間として様々なことに活用される傾向にあります。また、パートナーがいれば当然個人空間としても完全ではありません。
睡眠はもっともパーソナルな世界です。
自分だけの環境を作るための環境改善。安眠家具が最も睡眠環境改善に有効です。

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REM、non-REM睡眠とイビキ②

眠りって本当に難しい。
ただ単に眠くなったら眠れるっていうのは、実は結構うれしいことなのです。不眠症に悩む人にとっては、眠いのに眠れない。何日もただ布団の中にいるという感覚なのです。実際は眠っている時間もあるのかもしれないのですが、本人に自覚がなければ、辛さは変わりませんからね。いびきの問題とは別に睡眠障害としてあるのです。

REM、non-REM睡眠とイビキ②
これまでの研究では、REM睡眠は脳は起きて、体が休んでいる眠り。non-REM睡眠は、脳が休んでいる睡眠と言われています。
REM睡眠は脳は起きているといっても覚醒しているわけではなく、コンピュータで言えば、システムのメンテナンス作業を行っている時間です。必要な情報と不要な情報を分類し、必要な情報はこれまでの情報との連結をして整理し、不要な情報を消去する排泄の機能を持っています。

REM睡眠で記憶の整理を行っていると言われています。この時整理作業の副産物的に夢を見ます。さらにその夢に体が反応しないように、筋肉が弛緩して動かないようになっています。
よく言う金縛りは、このREM睡眠中に意識が覚醒してしまった状態で、体はREM睡眠の状態なので筋肉は弛緩して動かないため、動かそうとしても動かせない状態なのです。
non-REM睡眠は、脳が休息して眠っている状態ですが、眠りの深さの段階があります。
深い眠りの段階で、体のメンテナンスが行われるようで、成長ホルモンの分泌が促され、免疫力を高めたり、傷ついた体の修復を行うということです。そのため、深いnon-REM睡眠がないと眠っていても体の疲れが取れないということです。

さて、いびきの出るのは、浅いnon-REM睡眠とREM睡眠の時で、深いnon-REM睡眠では、いびきも無呼吸もなく静かに眠ることができます。
いびきや無呼吸の原因が胃食道逆流症であるとすると、REM睡眠の筋肉が弛緩した状態は、胃の入り口の噴門も緩まっていると考える事ができるので、納得ができるのですが、non-REM睡眠の浅い状態ではどうなのでしょうか?
残念ながら論文などを見る限りその辺の細かいところまでの調査が行われたものの発表は見当たりませんでした。

non-REM睡眠の深い眠りでは呼吸数や脈拍も減る状態になります。いわゆる徐波睡眠という状態になります。この状態になると気道が多少狭まっても、呼吸そのものがゆっくりであるため狭まった気道でもいびきにならず呼吸ができる状態になるのではないかと思われます。
また睡眠時には内臓の活動も低下するのですが、寝る直前に食事をすると、たとえnon-REM睡眠であっても、消化管は働かざるを得ない状態になるため、いびき、無呼吸症状が出てくると考えられます。

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(paper)不眠症の診断と治療

昨日突然yahoo IDによる知恵袋の利用ができなくなりました。特にいびきに関して回答をしていたのですが、どうやら広告ととられたようです。いびきに関しては結構いい加減な回答をしている人が多かったので、修正していたのですが、少しやり方を変えるしかなさそうですね。

本日は、不眠症の診断と睡眠薬の使い方辞め方が分かりやすく説明されている論文を見つけたのでご紹介いたします。

不眠症の診断と治療
村崎 光邦
不眠は臨床的には痛みに次いで多い訴えであり, 日常の臨床場面で不眠症患者の治療が必要になる機会はきわめて多い, アメリカの国立精神保健研究所NIMHでの最初の調査では10.2 % が重い不眠に悩み,そのうちの31 % は1 年後もなお不眠を訴えており,全体の3% は厳密な意味での慢性不眠症と判断されている。また,1950 人のインタビューによるGallup 調査では9% が慢性的に不眠を訴え,うち20 % か睡眠薬を服用している。ヨーロッパでの調査でも2% はいわゆる不眠症であるとの結果が得られている。資料のとり方や不眠症の定義の違いなどで、多少の開きはあるが,調査対象の2~ 3% が慢性の不眠症で治療が必要があるとのコンセンサスがある。
最も外来患者数の多い病院の1 つである北里大学病院,北里大学東病院における1991年度の外来処方箋1万枚あたりの睡眠薬の処方頻度をみてみると,全科平均8.1% に及び,精神神経科のみでは51%と外来患者の半数以上に睡眠薬が処方されるように,現実に外来患者のいかに多くが睡眠薬を服用しているかが明らかである(表1)。したがって,不眠症の正しい知識とその治療法を知ることは,一般治療科の医師にとってきわめて大切である。ここでは,不眠症の診断と治療,とくに睡眠薬の使い方とやめ方について解説しておきたい。
http://ci.nii.ac.jp/els/contents110004696666.pdf?id=ART0007435515

不眠症の診断
1. 睡眠調査表を用いた診断
不眠症の診断は、眠れない、あるいは眠れないために翌日気分が優れず、日常生活に支障があるといった 患者の主観的訴えに基づくことになる。例えば、国際疾患分類案(ICD-10)による不眠症診断ガイドラインでも、①入眠困難 (2時間以上寝つけない)、睡眠の持続の障害 (中途覚醒:一晩に2回以上、早朝覚醒: 普段より2時間以上早く目覚める) および熟睡感のなさのうち、1つ以上を訴える、②不眠の訴えは少なくとも週3回以上あり、1か月以上持続している、といった2項目を重視し、付加的に、③眠れないとの先入感があり、不眠を過剰に気にしている。④顕著な苦悩, 社会的、職業上の困難を惹き起こしている、との2項 目を加えているように、主観的訴えが診断の中心となっている。
ここでは、睡眠調査表を用い具体的点数化を試みた 診断の仕方を紹介しておこう(表2)。この表から。中等度以上の不眠があると判定された場合には治療が必要となる。


項目①~⑦の合計点が多いほど下位へランクする。但し、合計点が6点以下でも1つの項目で3点がある場合は1ランク下位へ、7点以上で2つ以上の項目に3点がある場合は2ランク下位へ下げて評価する。中等度以上の不眠がある場合は治療が必要となる 。
⑧と⑨の項目は睡眠の精神身体に及ぼす影響や不眠症の原因を考えるうえの参考になり①~⑦の点数が低くても、この項目での点数が高い場合には精神医学的治療が必要である。

2.睡眠ポリグラフィ記録による診断
主観的訴えのみでは把握しえない特殊な不眠症の診断に、脳波、眼球運動、筋電図、呼吸、心電図を中心とする睡眠ポリグラフイ記録 (polysomnography。 PSG) を実施して、一夜の睡眠経過や夜間のエピソー ドを客観的に知ることが必要となる。PSG からは次のような情報が得られる。
a) 睡眠経過と睡眠パターンのパラメーター
Rechtschaffen – Kalesの基準を用いて、①全睡眠時間、②入眠潜時、③覚醒時間の長さおよび中途覚醒の頻度、④各睡眠段階の量と比率 (徐波睡眠とレム睡眠)、⑤レム睡眠潜時、⑥睡眠効率などの睡眠パターンのパラメーターを計算するとともに、一夜の睡眠 経過を描くことによってどの程度のおよびどのタイプの不眠症が存在するかを客観的に明らかにすることができる(図 1)。
本態性不眠症とも特発性不眠症とも呼ばれている精神生理性不眠症は、神経質な人や心気的傾向のある人にみられ、寝つきがわるくなったり、眠りが浅くなったりするが、全体としては睡眠の量や質は正常者のそれと変わらないことが多いといった事実が PSG で明らかにされているし、客観的所見を欠 不眠症と呼ばれるものも、PSG によって実際にはよく眠っていることが証明されよう。
b) 睡眠時無呼吸の有無と程度
覚醒時には呼吸障害がみられないのに、一晩7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、または睡眠1時間あたりの無呼吸の回数(apnea index)が5回 以上みられる場合を睡眠時無呼吸症候群と診断する。PSG の所見から、睡眠時無呼吸の型 (閉塞型、中枢型、混合型) や程度(無呼吸指数 apnea index)を知ることによって、睡眠時無呼吸症候群の存在が明らかにされる。同時にパルスオキシメトリーによって動脈血酸素飽和度を連続測定することで、より正確な情報のもとに正しい診断が可能となる。表3にみるような 症状が認められて、とくに不眠が強い症例は睡眠時無呼吸不眠症候群ということになる。主な原因は上気道の閉塞であり、アルコールや睡眠薬はこれを悪化させることがあるので、主訴が不眠でも、本病態が疑われる場合には PSG を施行し、診断を確定し、上気道狭猪の除去を中心とする治療をすすめることが必要である。

c) 睡眠時ミオクローヌスの有無と程度
入眠とともに両側下肢の前腔骨筋にミオクローヌスが出現し著しい場合には睡眠が中断されて不眠症をきたす。睡眠時ミオクローヌス不眠症候群の存在を疑った場合には、前脛骨筋の表面筋電図を同時記録することで、容易に確定診断される。むずむず脚症候群 restless legs syndrome.に随伴して出現することが稀でない。
d) 夜間の異常行動と睡眠パターンとの関連
高齢者やアルコール離脱期にみられる夜間せん妄や、高齢者や小児にみられる夢中遊行と睡眠パターンとの関連をみることができる。近年、高齢者の夢中遊行とレム睡眠との関連がレム睡眠行動障害として注目されている。
以上のように、PSG から得られる情報はきわめて多く、睡眠障害の診断には決定的といえるが、一晩のみの記録では初夜効果のために正確な情報とはなりえず、最低二夜連続の記録は必要である。単なる不眠症には睡眠調査表のみで診断可能であるが、睡眠薬などの治療でむしろ悪化するような場合には、こうした検査を積極的に施行して、診断を確定した上で治療を行なうことが必要である。PSG の実施には特別の施設と専門医が必要であり、遠慮なくこうした施設へ依頼することをすすめたい。

不眠症の原因と分類
1.原因
ヒトの睡眠・覚醒リズムは、脳内の上位機構としての体内時計のコントロールのもとに覚醒中枢と睡眠中枢が相反性に働き、サーカデイアンリズムが形成されていると仮定するとよい。このリズムを乱すようないかなる因子も睡眠・覚醒障害としての不眠をもたらすことになるが、外から入ってくる刺激による不眠症を大別すれば、心因性と身体因性とに分けられる。これを模式的に示したのが図2である。

心因性の不眠とは, 大脳辺縁系を中心とする情動中枢に不安、懸念、心配事、恐怖などの情動性ストレスが入って興奮させ、情動中枢からの強いインパルスが覚醒中枢へ送りこまれてそこを興奮させる結果、覚醒中枢が優位となって睡眠中枢の働きを抑え、脳全体を覚醒させる方向に展開して不眠をもたらす。一方、身体因性の不眠は、知覚経路からのインパルスが側鎖を通って脳幹網様体-視床非特殊核からなる覚醒中枢へ送りこまれて興奮させ、同じくこれが睡眠中枢の働きを抑えて不眠をもたらす。なお、内因性のものは、躍うつ病や精神分裂病のように内因性に規定された脳内のある部位の活動性異常が直接-間接に睡眠・覚醒機構に作用して不眠をもたらすと考えられている。
実際の臨床では、不眠症の原因は5つの P として 表4のようにまとめられており、きわめてわかりやすい。2. 分類
睡眠・覚醒障害の国際分類は、アメリカのASDC-APSS 分類と ICSD 分類”が有名であるが、詳細をきわめており、ここに紹介しきれない。ここでは期間別に分類したものが臨床的に有用であり、理解しやすいので紹介しておく。診断の項で述べたように、いわ ゆる不眠症とは、長期不眠のことであり、この中に重要な不眠症のすべてが網羅されている(表5)”。

精神生理性不眠とは、とくに原因もないのに不眠が現われる特発性不眠症あるいは本態性不眠症と同義であり、性格要因が強い。はっきりと取りあげるほどのストレスはかかってはいないかにみえるが、性格的に過敏で、内省的、心気的であることから、日常の生活の中で、不断のストレスが情動中枢をチリチリと刺激し続け、覚醒中枢へこまかいインパルスが送り続けられることによって、結果的には心因性不眠と同じ機序で不眠に陥ってしまうものをいう。心因性不眠症の1 つのタイプで、ストレスが表面化していないものといえ、その代表的なものが不眠を恐れる神経質性不眠である。

不眠症の治療
不眠症の治療は、まず第一に睡眠薬によらない治療を試みるべきである。うまく成功すれば、そのまま不眠症状の改善が得られて、睡眠薬を使用することなく治療しうることになる。現実には睡眠薬の使用の段階へ進まざるをえない不眠症が多いのも事実であるが、治療法の順序はこれから述べる方法をまず試みることである。

1. 睡眠薬によらない治療
まず、毎晩の睡眠を良好なものとするにはいくつかの工夫が有用なことが知られている。そのすべてを列記したのが表6である。ここに書かれている項目は, いずれも比較的容易に実行可能なものであり、まず実施してみることである。これらの工夫はいずれ次の治療段階へ進む場合にも引き続いて実行すべきものである。

次に、不眠の改善のための行動療法について述べておこう (表7)。ここにあるすべての療法を一つ一つ 試みることは不可能で、いくつかを組み合わせて実施することになる。いずれも専門家の指導が必要であり、例えば最も有用性の高い自律訓練法を例にとると、専門家のいる精神科なり心療内科を受診してまず自律訓練の方法を教わる。何回か通院してそのやり方をマスターすれば、あとは自宅で自分で続けることによって不眠症の治療をめざして頑張るということになる。
以上のような薬物によらない治療を行なうのみならず、薬物療法に進んだ場合にも、認知療法を基底にした精神療法を併用すると、より効果的になる。患者の不眠症の詳細を領解したうえで、治療者はヒトの睡眠はどのように起きているのか、患者の不眠はどうして起きているのか、どの程度のものなのか、不眠が続いた場合にどういうことが起きるのか、詳しく教えこむ。よく患者は睡眠中に死亡することがあるのではないか、不眠症が続くうちにどうにかなってしまうのではないか、翌日の仕事に悪い影響を及ぼして、だめになってしまうのではないかといった不安感、恐怖感を抱く一方で、睡眠薬への恐れを抱いていることが多いのである。まず患者の抱いている不安をやわらげるような状況に導いたうえで治療に入ることが肝要である。

2. 薬物による治療
可能な範囲で薬物によらない治療を試みたうえでなお不眠症状が改善しない場合には、睡眠楽による治療へ進むことになる。
a) 睡眠薬の種類
睡眠薬は大きくはbarbiturates, nonbarbiturates,およびbenzodiazepine受容体作動薬系睡眠薬 (BZ 系睡眠薬) の3つに分類される。barbiturates は図3にみるように、脳全体を抑制し、強力な麻酔作用ともいうべき催眠作用をもたらすが、高用量になると、脳幹の生命維持機構をも抑制するために、常用量の10倍量で皆睡状態に陥り、大量服用で呼吸中枢の抑制による死亡に至らしめ、中毒量との安全幅が狭いという欠点を有している。しかも耐性が早く形成され、 退薬症候もせん妄、けいれん発作など激しいものが起こりうる。こうした barbituratesの欠点を克服すべく開発された nonbarbiturates も、 barbiturates と同じ欠点を有してこれを克服しきれず、多くのものが姿を消し、現在では bromvalerylurea と新しいタイプの perlapine, butoctamide のみが残っているが(表8)、いずれも処方頻度は低く、私自身は barbiturates は例外的にしか用いず、 nonbarbituratesも perlapine を分裂病患者の不眠に用いることがあるくらいで、睡眠薬といえば BZ系睡眠薬のことを指すといってよい。
BZ 系睡眠薬は、現在benzodiazepines, thienodiazepines, cyclopyrrolones の3種類があり、いずれもBZ 受容体作動薬であり、共通の作用機序と作用特徴および副作用を有していることから、一括して BZ系 睡眠薬と呼んでいる (表8)。すなわち、主として情動中枢である大脳辺縁系に存在する BZ受容体に結合ることによって、脳内の抑制系伝達物質である GABAの活性を高め GABA 受容体と chloride channel 2 のカップリング機能を高め、chloride channelの開存頻度を増加させ、Cl⁻の細胞内流入を増加させて脳の興奮を鎮めるという作用を有している。いずれも催眠 作用のほかに、抗不安作用、抗けいれん作用、筋弾地緩作用を有しており、情動中枢に選択的に作用することから (図3)、過量服用による自殺に成功しないくらいに生命的には安全性が高い。


c) 薬物動態からみた BZ系睡眠薬の特徴
BZ 系睡眠薬は、作用時間の長さによって、①超短時間作用型,②短時間作用型,③中間作用型,④長時間作用型の4つに分類される(図4)。
超短時間作用型
消失半減期が2〜4時間ときわめて短い超短時間作用型は、服用とともに素早く血中濃度が上昇して、睡眠の前半に強く作用し、入眠障害に対して優れた催眠効果をもたらす。翌朝の覚醒時には、血中濃度はすでに有効濃度を割っており、残薬感を残さず、目覚めのよさを自覚させる。入眠障害を主たる訴えとする精神生理性不眠に最適であり、熟眠感の欠如に悩むタイプ の不眠症にもきわめて有効である。その反面、一夜の後半、とくに早朝期に血中濃度が低下しているために、早朝不眠 early morning insomniaとして明け方の5~6時に覚醒してしまうことがある。また、日中不安 daytime anxiety、反跳性不眠 rebound insomnia, BZ 健忘をきたしやすいとの指摘もあり、作用時間の短いものほど退薬症候や臨床用量依存との関連が深いとするのが一般的見解である。

短時間作用型
消失半減期が 6〜10 時間の短時間作用型も超短時間作用型と同様の経過をとり、朝方には何らかの作用を発揮しうるレベルを下回っていることから、翌朝の覚醒時の気分は良好で、超短時間作用型と同様な適応を有すると考えてよい。ともに、毎日服用することが あっても、最高血中濃度はほぼ同じ値を示して、蓄積することがない (図4)。

中間作用型
消失半減期が20〜30時間の中間作用型では、翌日の就寝時にはまだある程度の血中濃度が維持されており、連用するうちに中等度の蓄積が生じ、4、5日のうちに定常状態に達する。したがって、朝の覚醒時に眠気、頭重、ふらつきなどの持ち越し効果 hangover をきたすことがありうる。中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠維持の障害を主訴とするタイプの不眠症に向いている。日中もある一定レベルの血中濃度が維持されることから、朝、覚醒時に不安・緊張を呈しやすい病態。とくに不安神経症やうつ病、あるいは精神分裂病といった精神医学的疾患に伴う不眠症には適応といえる。 1991年度の北里大学病院、北里大学東病院でのBZ系 睡眠薬の処方頻度をみても、この間の事情が如実に示されている (図5)。

長時間作用型
活性代謝物を含めて、消失半減期が50~100時間と長い長時間作用型になるとこの傾向はさらに強く、最高血中濃度の上昇とともに、昼間の血中濃度もかなり高いレベルに維持され、定常状態に達するのに1週間前後かかる。持ち越し効果や日中の精神運動機能に及ぼす影響は、それだけ出やすくなる。反面、急に中断しても反跳性不眠や退薬症候は出にくく、睡眠維持の 障害や日中の不安・緊張の強い病態によく、精神医学的疾患にみられる不眠症への適応は高いといえる。

睡眠薬選択の基準
睡眠薬の選択基準には、不眠症の原因別に選ぶ方法,タイプ別 (入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒) に選ぶ方法、不眠症患者の病態に応じて選ぶ方法 (不安や抑うつ病状の有無) の3つがある。いずれも睡眠薬の持つ作用時間の長さが選択基準の基本になっている。睡眠薬の処方に当たっては、3つの方法を総合的に組み合わせることになるが、以下に期間別の不眠症の分類 (表5) に従って述べておく。
1,一過性不眠
作用時間の短いものを1、2日の単発的、アドリブ的投与する。ゴルフの前夜のみ服用して成功している例を知っている。

2。短期不眠
やはり作用時間の短いものを不眠時のみ、あるいは 2日1回くらいの割合で投与して、できるだけ短期の使用にとどめる。時差呆けに超短時間作用型はきわめて有用である。短期不眠から長期不眠に移行しうるので、ここでしっかり治療して長期への移行を防止しておかねばならない。

3. 長期不眠(慢性不眠症)
a) 不眠症のみの場合: 日中に不安症状のない、不眠のみの場合には、本態性不眠症 (精神生理性不眠) や身体疾患に伴う不眠症が中心であり、主に入眠障害を呈することから、寝つきをよくし、翌朝に持ち越し効果のない作用時間の短いもの、ことに超短時間作用型がよい。
b) 不安や抑うつ症を伴う不眠症の場合: 持続性のストレスや精神医学疾患に伴う不眠症では、日中の不安、緊張、焦燥や抑うつ症状が存在することが多い。こうした場合には、日中に BZ系抗不安薬を投与されている症例には、入眠障害には作用時間の短いもの、中途覚醒あるいは早朝覚醒の睡眠維持の障害には、中間型ないし長時間型のものを選べばよい。
日中に BZ 系抗不安薬が投与されていない場合には、どのタイプの不眠症にも中間型ないし長時間型の BZ 系睡眠薬を投与して、日中にもある程度の血中濃度を維持することによって、不眠症のみならず、抗不安作用をも期待する方法がよい。
c)高齢者の不眠症:高齢者では、BZ 受容体の感受性が亢進するとともに、薬物動態上、肝クリアランス の低下に伴って、最高血中濃度の上昇と消失半減期の延長が認められることから、作用・副作用とも強く出て、ふらつきによる転倒・骨折などの危険性がある。 作用時間の短いものほどよく、また、代謝過程の単純な lormctazepam や筋弛緩作用の弱いrilmazafone が推奨される。原則として成人量の1/2から始めるのが安全である。

眠眠薬の副作用
BZ 系睡眠薬は辺縁系を中心とする情動中枢に選択的に作用することから、それ自体の単独使用では、自殺に成功しないといわれ、臓器障害を惹起することがなく、主作用に耐性が形成されないとされて、優れた臨床効果と高い安全性から全世界で広く用いられている。しかし、いくら安全とはいっても、BZ系睡眠薬の副作用としていくつかの問題点が指摘されている (表9)。

この中で、とくに問題となるのは、健忘作用, 反跳性不眠、退薬症候および臨床用量依存である。
健忘作用は、diazepam の静注製剤をよく用いる麻酔科領域では、BZ 健忘として古くから知られていたが、高力価の超短時間作用型睡眠薬が繁用されるようになって、経口剤による報告例が増加し、とくに triazolam の高用量やアルコールとの併用といった不適正使用による健忘や多彩な精神病様症状がマスコミに過大かつセンセーショナルに取りあげられ、一時は社会問題とさえなった。その経緯は別の総説に詳しいが、適正目的による適正使用によって triazolam の使用には問題となることはないとの結論が出されている。
次の反跳性不眠、退薬症候、臨床用量依存は睡眠薬はのみ始めると癖になってやめられなくなると、医師も患者も等しく睡眠薬の使用を怖れる原因となっているもので、その成立過程は図6のように説明されている。

全国の内科医と精神科医を対象して実施したアンケート調査にも、処方する医師自身にこうした現象を恐れて、睡眠薬の処方に強い抵抗があることが明らかにされている”。図6の説明によると、睡眠薬によって一時は症状改善するが、耐性形成のために効果が薄れ、睡眠薬を増量する。そうするとそれにまた耐性が生じて眠れなくなるために思い切ってやめようとする。ところが、反跳性不眠と退薬症候が出現するために薬物を再開せざるをえなくなり、ここに依存が形成されるとの悪循環に陥るというのである。BZ 系睡眠薬は原則として耐性形成はなく、効果が薄れて増量していくことはないのであるが、一挙に中止した際、反跳性不眠や退薬症候が出現しうることは事実であり、やめるにやめられない臨床用量依存が形成されることはよく知られている。
これらの問題は、不眠症状が十分に改善したのち。 医師・患者間で睡眠薬を漸減・中止の方向への努力を進めることで解決していくべきものであろう。

眠薬のやめ方
不眠症状が改善して、睡眠薬なしに眠ることが可能な状態になったと判断されたときには、睡眠薬を中止することになるが、反跳性不眠や退薬症候を避けるために、いくつかの工夫が必要となる。 1. 漸減法 tapering method
BZ系睡眠薬は作用時間が短いものほど、一挙に中止すると反跳性不眠や退薬症候が出現しやすいので、徐々に減らすことが肝要である。まず、1日1/4量を減量し、3/4量を1~2週間続け、経過がよければ次には1/2量とし、さらによければ1/4量にする。減量して不眠症状が再現する場合には、その前の量でとどめて服用し、1〜2か月の経過をみて再び挑戦する。
2,隔日法
作用時間の長いものでは、一挙に中止しても血中濃度がゆっくり下降するので、反跳性不眠も退薬症候も遅れて現れ、程度も軽い。したがって、中止する際には、服用しない日を1週1日から始めて経過をみながら徐々にのまない日をふやしていく。
3. 長時間作用型への置き換え
漸減法が成功しない場合には、いったん短いものから長いものへ置き換えたのち、漸減法なり隔日法で減量する方法をとるとよいことがある。薬物動態学的にみて、長いものの方がやめやすいからである。超短時間作用型を長いものに置き換えたときに、一過性に不眠症状が出現することが少なくないが、1週間の我慢で症状が改善されることを知っておく必要がある。
実際には、図7にみるように長いものも短いものも、まずは漸減し、それ以上減らせない段階で隔日法で経過をみていくのがよい。
4、認知療法の併用
長年不眠に悩み、睡眠薬の助けで症状改善をみたものの、なんとか睡眠薬なしに眠りたいとの欲求を持つケースはきわめて多い。自分の不眠症状を現実的に検討し、対応していく力を身につけさせる認知療法を中心とする精神療法的接近を併用することが大切であり、何回失敗しても再挑戦する心意気をもたせるべく努力すべきである。
慢性不眠症とは本来きわめて難治なものであることから、以上に述べた方法をどう用いても減量・中止の方向にもっていけない症例は少なくない。BZ 系睡眠薬は必要最小限の臨床用量の範囲であれば、長期連用によっても危険性はないとするのが筆者の立場である。自信をもった態度で使用し、quality of life を高めることも立派な治療法であると考えている。最近の超短時間作用型睡眠薬の危険性についてのマスコミの誇大な報道にまとわされることなく、不眠症を正しく理解し、睡眠薬の適正目的に沿った適正使用を心掛けることが肝要である。

おわりに
不眠症の診断と治療について簡単な解説を加え、とくに睡眠薬の使い方とやめ方について説明した。不眠症は、患者にとってきわめて苦しい病態であり、決して軽く扱ってはならない。適切な治療法を用いて苦痛を軽減・消失させることは、患者を救うのみならず、 社会一経済的にも大きな利益を生むことになる。日常の臨床に少しでもこの解説が役立てば幸せというものである。

文,献
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18) 村崎光邦:不眠症の正しい知識、南江堂、1991. 村
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20) 村崎光邦:睡眠菜之反跳性不眠,日播医靴,37: 31 ~43, 1992.
21) 村崎光邦:薬物と健忘ーとくに benzodiazepine 健忘についてー。 Clinical Neuroscience1296-1298, 1992.
22) 村崎光邦: トリアゾラムと一過性健忘、医薬品の 副作用3,伊藤宗元,他編,內外因字社,東京, pp.46-52, 1992.
23) 村崎光邦:不眠症の薬物療法ー睡眠薬の種類と使 い方ー。臨床精神医学、22:421〜431、1993
24) 村崎光邦: 不眠症の診断。日本医師会雑誌、105: FC13~ FC 15, 1992.
25) 村崎光邦、杉山健志、石郷岡純、竹内尚子:ベン ゾジアゼピン系薬物の常用量依存について一その 1: 北里大学東病院精神神経科外来における実態 調查,厚生省 [精神•神經疾患研究委託費]葉物 依存の発生機序と臨床および治療に関する研究一 平成2年度研究成果報告書(班長,佐藤光源), pp. 13 – 19, 1991.
26) 村崎光邦、杉山健志、石郷岡純、竹内尚子:ベン ゾジアゼピン系薬物の常用量依存についてーその 2: 北里大学東病院精神神経科外来における実態 調查,厚生省「精神一神經疾患研究委託費」葉物 依存の発生機序と臨床および治療に関する研究一 平成3年度研究成果報告書(班長•佐藤光源), pp. 196-205, 1992.
27) 村崎光邦,杉山健志,永派紀子,內海光朝,鈴木 牧彦、石郷岡純、ベンゾジアゼピン系薬物の常用 量依存についてーその3:ベンゾジアゼピン系薬 物長期服用者の精神運動機能の研究、厚生省「精 神・神経疾患研究委託費」薬物依存の発生機序と 臨床および治療に関する研究一平成4年度研究成 果報告書(班長,佐藤光源),pp.155~162,1993,
28) 村崎光邦: 睡眠薬についての認識: 現状と問題点. 一665名のアンケート調査から一、日本医事新報、3626: 32-48, 1993
29) 大熊輝雄:不眠を訴える患者像。日本医師会雑誌。107: 37-39, 1992.
30) 大熊輝雄監訳:不眠症の診断と治療 The Management of Insomnia. Pragmaton, Chicago, 1992.
31) Princeton, N.J.: Gallup Organization. Sleep in America, 1991
32) Rechtschaffen, A., Kales, A.: A Manual of Standardized Terminology, Techniques and Scoring System for Sleep Stages of Human Subjects, Public Health Service, U.S. Government Printing Office, Washington, D.C., 1968清野茂博(訳): 睡眠脳波アトラス。標準用語。 技•判定法,侯齒葉出版,東京,1971
33) Thorpy, M.J. : Classification and nomenclature of the sleep disorder. In “Handbook of Sleep Disorder” Ed. by M.J. Thorpy, pp.155 – 178 Dekker, New York, 1990
34) 内海光朝、村崎光邦: レストレス・レッグス症候群,隔床精神医学,23(3),1994,印刷中
35) 山内真:高齢者に見られるREM睡眠行動障害、精神医学レビュー4:96~101,1992.

(1993,11.29受付).
〔北里医学,24:1~14,1994〕

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レム睡眠ノンレム睡眠といびき

東京のソメイヨシノの開花が3月20日ごろと予想されています。例年より1週間ほども早いとか。氷川神社の参道で行われる「さんきゅう参道」の開催が、4月7日、8日の土日なのですが、ひょっとして桜は散っているかも・・・。

以前ご紹介した日本大学医学部の論文で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のメカニズム。
この研究の調査で判明したことが、いびきや無呼吸の症状は、non-REM睡眠のステージ2,3,4では現れず、重症の睡眠時無呼吸患者でも、深いnon-REM睡眠時には静かな呼吸が確保されています。
ではいびきはどの状態でかくのか?無呼吸は?といえば、REM睡眠とnon-REM睡眠のステージ1となります。
一般の睡眠はnon-REM睡眠ステージ1から入り、徐々に2,3,4と深まり、入眠から90分でREM睡眠が20分ほど入りこれを繰り返します。また、目覚めに近いほどREM睡眠の時間が長くなります。
いびきをかく人は、寝入りばなにいびきをかき、睡眠が深まることで、いびきが消えます。そして入眠から90分弱程度でREM睡眠になり20分ほどのいびきタイムが始まるということです。

ところが、あまり激しいいびきや無呼吸では、深いステージに入れず覚醒してしまい、ステージ1か2とREM睡眠を繰り返します。
この状態になると、いびきや無呼吸で苦しいだけでなく、体や脳も休息が取れない状態となります。

ただ、いびきが激しい人も朝方になると、静かになっていきます。胃食道逆流症で胃の中のものが逆流することがいびきの原因であったものが、徐々に消化され胃の中のものがなくなるとともにいびきもおさまるということです。

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(article)医師が教える【不眠】と睡眠薬が効きづらい4つの理由

見沼田んぼを流れる芝川の鴨
柴川の土手の上を散歩します。鴨や亀、鯉などが水辺で生きているのを眺めていると、ここには、わずかながらの自然があるんだなと思います。ちょっと前にはカワセミも見ました。
もうすぐつくしも出てくるのかな。

「不眠症には安眠家具」を裏付けるための情報収集中に面白い記事を見つけました。
私の都合の良い解釈をさせていただければ、睡眠薬が効きづらい環境要因による不眠症や睡眠過誤による不眠症の訴えに関しては、睡眠薬よりも安眠家具のほうがはるかに効果的であるということです。
「医者が教えない精神科のこと」というサイトで、管理人の「Dr.G」による、医学的根拠に基づいた情報と医師個人の見解ということです。

http://tokyo-mentalclinic.com/insomnia/post-1559/
医師が教える【不眠】と睡眠薬が効きづらい4つの理由
目次
1 不眠
1.1 睡眠薬が効く不眠症と、効きにくい不眠症
1.1.1 1.環境要因による不眠
1.1.2 2.心理的要因による不眠
1.1.3 3.精神疾患による不眠
1.1.3.1 躁うつ病(双極性障害)による不眠
1.1.3.2 アルコール依存症による不眠
1.1.3.3 高齢者の不眠
1.1.4 4.身体症状による不眠
2 まとめ
3 不眠に関するQ&A

不眠

不眠とはよく眠れないことを指す症状ですが、どこからが不眠なのでしょうか?
この定義は意外に重要で、患者さんを診ていると、異常に睡眠にこだわっていて患者さん自身のいう睡眠を満たさないと不眠だという「厳しい不眠」という患者さん独自の不眠もあるほどです。
つまり実際には不眠ではなく、患者さんの思い込みによる不眠も相当数いると考えられます。
それでは不眠とはどの程度のことを指すのか?
まず「眠れていない」という感覚は必要条件ではあるのですが、本人の訴えだけでは睡眠過誤ということもあり得ます。
また睡眠過誤とは眠れているのにもかかわらず、本人の感覚では眠れていないという感覚のずれを指します。
日本の成人の睡眠の調査では、6時間を切ると「よく眠れていない」という感覚に陥りやすいことがわかっています。
睡眠薬はそもそも不眠を治療するものですので、よく眠れていないという感覚を治療するものではありません。
ましてや睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)の依存性は最短で1ヶ月以内の内服でもできることがあることを考えると、いくら短期間といえども安易に飲むべきではないのかもしれませんね。
つまりは睡眠薬を飲むべき状況というのは、健康な睡眠をとっている前提で(生活習慣的に、極端に寝る時間が少なくはない、明らかに眠れないだろうという状況がない、パートナーからも「よく眠っていそうだよ」と言われる)にもかかわらず、日中過度の眠気が来てしまう、これを不眠症として睡眠薬での治療を検討するのがいいのだと思います。
実際の臨床現場でも、「睡眠薬がやめられない」という方は本当に増えている印象があります。
おそらく本当の不眠症だけでなく、感覚的な不眠であっても睡眠薬を飲んだりしている例も多いのだと思います。

睡眠薬が効く不眠症と、効きにくい不眠症

不眠だからといっていかなる状況でも睡眠薬が効くというわけではありません。
不眠症の分類が正式にこうやって分類されるというわけではありませんが、医師の立場からこのように分類するとあらかじめ睡眠薬を処方したときの効果が予測できるというものを示します。
おそらく精神科・心療内科の主治医の先生のお考え、かかりつけの内科で処方してもらうときの先生のお考えもあるでしょうから必ずしも一致するものではないということを前提にお読みいただければと思います。
1.環境要因による不眠
2.心理的要因による不眠
3.精神疾患による不眠
4.身体症状による不眠

1.環境要因による不眠

その字のごとく、眠る場所・環境に問題があることで起こる不眠です。
温度や湿度、部屋の明るさ、音、仕事の不規則さ(シフトで動く交代制勤務など)が挙げられます。
物理的な要因による不眠ですからこの場合、睡眠薬はメインにはなりません。
睡眠薬を飲むよりよっぽど環境面を整えた方がはるかに効果が高いからです。
しかし勘違いしないでいただきたいのは、睡眠薬を使用しないというわけではないことです。
自身の努力ではどうやっても変えられない部分もあるからです。
でも大事なことは、環境を調整できるところはしてみるという努力です。
この前提のもと短時間だけ作用するような睡眠薬を飲んでみるのはありです。
短時間だけというのは睡眠導入剤といわれるものです。
その目的は、環境が明らかに悪くこれによって不眠になっているのも明白だけど不眠が重なって悪循環になっている。このときはリセットするという意味で睡眠薬(短時間作用)を飲むのです。
お分かりだと思いますが、これで眠れたからと言って連日服用し環境の調整ができなければそのうち耐性ができて、睡眠薬の量を増やすことになり、さらに依存性もできて気づいたらやめられないことになりかねません。
睡眠薬はレスキューとして飲むという感覚が処方されている側にも必要なのが、この環境面によって起こる不眠です。

2.心理的要因による不眠

環境的な要因と対をなすのがこの心理的な要因による不眠です。
一言で言うなら、ストレスによる不眠です。
実際、ストレスによって睡眠が不十分になってしまうことは、生理的な範疇で結構経験されることかもしれません。
これが慢性的に続くと、生理的な範疇と言えないくらい夜眠る時間がくるのが怖くなったり、だるさや日中頭が働かないことが日常茶飯事になり、この状態を心理的な要因による不眠症というのかと思います。
ストレスに対する反応は様々で、些細なことで必要以上に辛く感じてしまう方、些細なことは些細なことで感じられる方様々だと思います。
知覚過敏もそうですが、ある刺激に対して必要以上に神経の興奮が起こる、必要以上に冷たく痛く感じてしまう、アイスや冷たいものを口にするときにでもおこってしまうこの現象、ストレスでも同じ現象があるのではと思います。
これはもう本人の性格の問題ではないのではと思っています。(あくまで個人的な見解かもしれませんが・・・。)
ストレス反応によって脳の中ではノルアドレナリンが増える、これによって覚醒する方向に脳は動き出してしまい、眠れなくなるのでしょう。
おそらくそれだけでなく、同じことをぐるぐると考えだしてしまい、そこにもブレーキがかからないそんな状況からくる不眠が心理的要因による不眠だと定義できると思います。
その心理的因子に影響するストレスがなくなれば再び眠れるようにはなるはずなのでその状況を乗り切るという意味で睡眠薬を使用するのはありですが、なかには解決しない問題もあるでしょう。
このときには長期に服用する状況になりやすく、依存性に注意を払う必要があります。
心理要因による不眠では、睡眠薬としての側面もそうですが、抗不安作用を期待してベンゾジアゼピン系の睡眠薬・安定剤(抗不安薬)が処方されることが多いと思います。(よく処方されることが多いのはデパス®です。)

【睡眠薬・安定剤(抗不安薬)】の実際でも書きましたが、依存性は強いのでこの場合は催眠効果の強い抗うつ薬(トラゾドン:レスリン®、デジレル®)も併用することでベンゾジアゼピン系の睡眠薬の使用量が多くならないようにするのもありかと思います。
実際、うつ病を併発していることもあります。

3.精神疾患による不眠

統合失調症、うつ病、躁うつ病(双極性障害)、認知症、アルコール依存症などの精神疾患は多くの場合「不眠」を伴います。
ただ背景に上記の精神疾患があり、そこから出る「不眠」なのでその基礎となる疾患の治療が「不眠」の治療に必要になります。
そこに、対症療法的にマイナートランキライザー(睡眠薬・安定剤)をメインにして飲んでいても、もとの精神疾患の治療が進まなければ耐性と依存によってどんどん処方される量が多くなっていくだけになってしまいます。
そうなると、短時間作用型の睡眠薬だけでなく長時間作用型も一緒に飲むようになり、翌日まで眠くなり結局、仕事の効率が落ちたり、眠っていることが多くなったりなど生活レベルは落ちていくだけになってしまいます。
ですから基礎の精神疾患に対する治療をしっかりやっていくことが大切になりますので、薬物療法であれば睡眠薬・安定剤(抗不安薬)を増やすのではなく、うつ病なら抗うつ薬、躁うつ病(双極性障害)なら気分安定薬(これは当サイトでマイナートランキライザーと同じ意味で使っている安定剤とは違う薬の種類です)、統合失調症であれば抗精神病薬を強化していくのが原則なのではないかと思います。

躁うつ病(双極性障害)による不眠

躁状態はハイテンションのイメージが強く、気分が高まって眠れないイメージですが、必ずしも気分がハイになって調子がいいことを示すものではありません。
イライラや焦燥感(そわそわ、じっとしていられない)がメインの躁状態もあり、その精神運動興奮により眠れなくなることがあります。
この場合の対応は抗精神病薬(エビリファイ®やセロクエル®など)や気分安定薬(ラミクタール®やデパケン®)を飲むとおさまって眠りやすくなることがありますので、躁状態というのが気分がハイであるイメージにとらわれず相談するようにしてみてください。

アルコール依存症による不眠

アルコール依存症で注意が必要なのは、アルコールと睡眠薬・安定剤(抗不安薬)がお互いに干渉しあう(交叉耐性といいます)ことです。
つまり、アルコールもマイナートランキライザーと同じ作用をするし、マイナートランキライザーもアルコールのような成分を持つという意味です。
アルコールが睡眠薬・安定剤(抗不安薬)に変わったところで、単にアルコールそのものではなくなっただけであって、解決はしていないということです。(逆にアルコール離脱症状に病院ではアルコールで抑えるわけにはいきませんので、マイナートランキライザーを使うこともありますが・・・実のところ意味はないですね)
アルコールの不眠には睡眠薬・安定剤よりは、抗精神病薬や抗てんかん薬(気分安定薬)を使用することがあります。

高齢者の不眠

高齢者の不眠では徘徊やせん妄(軽い意識障害を伴い、本人は記憶なく行動しているような状態)となることがあります。
特に中途半端に睡眠薬が効くとかえってこのような症状が強くなり、周囲も大変ですし、転倒して骨折して寝たきりになってしまうようなリスクさえあります。
ですから、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬(例えばマイスリー®、ジェネリックではゾルピデム)が処方されることが多いと思います。

4.身体症状による不眠

風邪をひいて咳で眠れないとか、虫歯は夜にずきずき痛み出すので一晩中痛みと闘っていたりなど身体症状による不快から眠れないという経験をしたことはありませんか?
呼吸が苦しい、痛みが強い、その他の症状で不快感が強いことによって起こる不眠を「身体症状による不眠」としました。
当然この場合、睡眠薬が解決にならないのはわかるかと思います。
原則、不快な症状そのものを抑えないといけませんよね。
不快な症状に打ち勝つような強い睡眠薬でしか眠れないでしょうし、かえって痛み止めなどでその症状そのものを緩和してしまえば効いている間は眠れるはずです。
このような不眠は一過性ですので、あまり睡眠薬による依存などのリスクを考える必要はないと思います。

まとめ

不眠は生理的な反応であって、病気としてとらえにくい面があります(疾患としての不眠ももちろんあるのでしょうが・・・)。
本人が不眠と言えば「不眠症」であって、通常病院でそのことを言われれば「睡眠導入剤」を出したくなるのが医師の人情なのかもしれません。
でもそのことが結果、飲む側にとってはとんでもない災難になることもあります。

「やめられない・・・」と。

研修医のころ、患者さんが「眠れない」と訴えたら「睡眠薬を処方します」ではなく「話を聞きなさい」と言われました。
たぶんこれが一番正しいのかもしれません。

「先生に話を聞いてもらって、少し安心した。」

この言葉が出るのが一番の薬なのかもしれません。
でもこれは綺麗ごとで、不眠の方にとっては「夜が来るのが怖い」とも聞きます。
だから、「睡眠薬があると安心する」これも事実です。
大事なことは、「どの睡眠薬が効くか」とか「この睡眠薬ではだめだ」ではなく、いったい今何がこの不眠の原因になっているのかを考えられること、「眠れない=病気」と直結させないことではないでしょうか。
医者になって10年以上経ちますが、結局のところ不眠に対する正しい治療法は未だわかりません。

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