(論文紹介)睡眠時無呼吸といびき音の簡易診断

ニジュウヤホシテントウムシ?カメラを向けると迷惑そうに、葉っぱの上をあちこち動き回ります。
ツヤのある背中がキレイです。

本日紹介するのは、平成8年発表とちょっと古い論文ですが、睡眠時無呼吸といびきの関連を同時測定で判断するというものです。注目は、「池松式 sleep splint(マウスピース)」による、いびき並びに睡眠時無呼吸の低減です。残念なのが49歳男性の1例だけである事と、その後の継続的な調査がされていない事ですね。

睡眠時無呼吸といびき音の簡易診断

宮尾悦子, 宮島邦彰, 茂吉雅典*
愛知学院大学歯学部歯科矯正学講座
* 大同工業大学
(受付:平成8年3月16日)

抄録 激しいいびき常習者は,閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の前段階と考えられている.OSASやいびきの歯科治療が普及しつつあるが,今回我々は,歯科における簡易診断として無呼吸といびき音の同時解析の有用性を検討した. 被験者は,49才の男性である. 歯科治療として splint を装着し,装着前後でアプノモニターといびき音を同時記録した。その結果,無呼吸指数(AI)は22.8回/hから9.7回/hへ,またDST90(動脈血酸素飽和度が90%以下になる時間の全睡眠時間に占める割合)が38.8%から14.6%へと改善した. 無呼吸といびき音との関係が,継時的に把握でき、治療によりいびき音の全般的な消失が確認できた.これらの事により, OSASといびきの簡易診断として,無呼吸といびき音の同時解析は有用であることが示唆された。

Ⅰ.緒 言
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)は、一晩7時間の睡眠中レム睡眠期とノンレム睡眠期の両方を含めて, 30回以上の無呼吸状態があり,かつ1回あたり10秒以上の換気の停止があるときをいうと国際的に定義されている. SASの確定診断には,睡眠ポリグラフが使用されているが、 設備等の限界があり,どこでもできるものではない、従って,簡易診断としてアプノモニターやパルスオキシメーターが使用されている。
従来より,歯科分野においては,小林らにより睡眠時無呼吸とBruxismとの関連が報告されている。最近では, SASに対する歯科的治療は、良好な結果が得られるとされている.しかし, いびきを含めたSASの研究は,いまだ少ない。我々は, いびきとSASを簡易診断するために, 仰臥位のセファロメトリーを気道分析に用い, アプノモニターを無呼吸の症度判定に用いてきた。今回, 睡眠時にアプノモニターを装着して連続測定しつつ,同時記録したいびき音を,独自に開発した解析システムで解析し,これらの有用性を検討したので報告する。

Ⅱ. 研究方法
1.被験者
被検者は, SASと診断された49才の男性である.身長 163cm, 体重78kg, BMI29.3kg/mであった。

2.測定方法
SASの治療には,図1に示す池松式 sleep splint を 用いた.測定は在宅にてsplintの装置装着前後で比較した。

1)動脈血酸素飽和度,心拍数, 無呼吸は,アプノモニター2(チェストエム・アイ社製)を用いて測定した。
2)コンタクトマイクは,口唇より12cmの所に設置した。 いびきの収録は, デジタルオーディオテープレコーダーTCD-D8 (Sony社製)を使用し, 48kHzのサンプリング入力で取り込んだ, A/D変換はデジタルオーディオテープデッキDTC-790(Sony社製)を使用し、SBM (Super Bit Mapping) 16ビットにて再生し, DATインタフェースボード(IS-3690B)岩通アイセル社製を介し, パーソナルコンピューターPC-9801DA(NEC社製)に取り込んだ、解析ソフトは,音声工房(NTTアドバンステクノロジー社製)を使用した。
3) 心電図P-R 間隔は, ECGモニター IEC-1101(日本光電社製)にて測定した。

Ⅲ.結 果
表に示すように, splint を未装着の状態では, 5時間13分の睡眠中4229秒の無呼吸で,平均無呼吸時間が35.5秒, 無呼吸指数(AI)は22.8回/hとなっている。splint を装着した状態では, 4時間30分の睡眠中1381秒の無呼吸で,平均無呼吸時間が30.6秒, 無呼吸指数(AI)は9.7回/hとなった。 動脈血酸素飽和度が, 90%以下になる時間の全睡眠時間に占める割合(DST90)は、38.8%から14.6%へと明らかな改善がみられた。
図2に示すようにsplint を未装着の状態で,無呼吸時は,最大90dB(A)相当の高いピークのいびき音といびき音の無い時が,交互に起きている.また, 無呼吸のない時は最大 60dB(A)までのいびきが,常在していた。図3に示すようにsplint を装着した状態では, 弱いピークのいびき音は少しあるものの,ほぼ消失していることが確認できた。次に, 心電図のR-R間隔をみると(図3,図4) splintの装着いかんにかかわらず, 無呼吸時にR-R間隔が短くなっていた。
図の説明
図2,3は, 1段目(最上段)が動脈血酸素飽和度(SaO2:%)と心拍数(BPM)を表している。2段目は,無呼吸(apnea)を表し,黒い線は上下1本分が1分間の無呼吸を表している。
3段目は, 1,2段目のデータを時間を区切って合成したもので, SaO2, と apnea を表し, apnea は矩形状の横幅が無呼吸時間を表している. 4段目は,心電図 R-R間隔といびき音の強さ(snoring Sound:dB(A))を表している。

IV. 考 察
今回, 開発したいびき音解析システムにより,無呼吸,動脈血酸素飽和度といびき音を同時記録することが可能となった. いびき音については, Issa らは, SNORESAT を用いて, カルガリー大学の健康科学センターにおいて,「いびき音と動脈血酸素飽和度を用いた睡眠時異常呼吸のデジタルモニタリング」を行った。その結果、いびきを的確に同定できることにより,呼吸障害を判断し, いびきと無呼吸を診断できたと述べている. Whiteらは, Oxygen saturation (SaO2)といびき音の同時解析を行い, SaO2のみの診断と比較し,判定保留例を14から6へと減少させ, SASを7から13へ,非SASを9から12へと, SASと非SASの確定診断の信頼性を増加させていると述べている.本研究でも,無呼吸, 動脈血酸素飽和度, いびき音の同時解析で, 無呼吸といびきの判断ができ, OSASといびきの診断に有用であることがわかった. 高橋”は, いびきの音響分析により
① 基本周波数
② 基本周波数の変動
③ 音量のエンヴェロープ
④ 周波数分布
⑤ 長さ, 間隔
⑥ 強さ
などがわかると述べている.本研究では, いびきの音響分析の中でその強さがわかった. splint を未装着では、無呼吸発作時に, いびき音は消失し,直後のいびき音は、最大ピーク約90dB(A) に達するということがわかった。
また, 無呼吸のない時は,最大ピークがほぼ60dB(A)であった.さらに,本研究では, splint を装着した場合の変化が確認できた。 いびき音が splint の使用で,ほぼ消失したことが確認でき,治療効果の判定に有用であった。
Perez-padila らは, いびき音の分析により,その周波数分析が, いびきとSASの鑑別診断に役立つと報告している.また, 高橋”は, いびき音の周波数分析は,気道の狭窄および閉塞部位診断に有用と報告している。我々は,アプノモニターと結合したいびき音の周波数分析により,気道の狭窄および閉塞部位の診断ができるように,検討を行っていく予定である。

V. 結 論
今回の我々の研究では,動脈血酸素飽和度, 無呼吸、いびき音の同時解析を行い, この解析が, いびきとOSASの鑑別診断に有用であることが示唆された。
今後は, アブノモニターといびき音解析によって気道の狭窄部位の診断に接近することが重要と思われる. アプノモニターといびき音解析は,簡易に, 的確に, 睡眠時無呼吸といびき音を診断し,治療効果を確認する上で有用であると考えられる。

文 献

1) Gulleminault, C, Tikian, A. Dement, W: The sleep apnea syndrome, Ann Rev Med, 27:465-484, 1976.
2) Gulleminault, C., Rosakind, M: Sleep deprivation, sleep fragmentation and obstructive sleep apnea syndrome, Bul Eur Physiopathol Respir, 17:341-349, 1981.
3) Gastaut, H., Tassinari, C.A., Duron, B: Polygraphic study of the episodic diurnal and nocturnal (hyponic and respiratory) manifestations of the Pick-wick syndrome,Brain Res, 2:167-186, 1966.
4) Farney, R.J., Walker, L.E. Jensen, R.L: Ear oximetry to detect apnea and differentiate rapid eye movement (REM) and non-REM(NREM) sleep: Screening for the sleep apnea syndrome, Chest, 89:533-539, 1986.
5)武田悦孝, 萩原彰, 小林義典:ヒトの睡眠中のBruxism に関する臨床的研究, 第12報 実験的咬合干渉付与前後における睡眠時無呼吸の発現について (その2), 補綴誌, 28:974, 1984.
6)小林義典, 石原裕之, 志賀博:Bruxismに対するbite planeの効果, Bite plane 応用前後における睡眠時無呼吸の発現頻度の比較, 歯界展望(臨時増刊), 71:804, 1988.
7)土雅文, Lowe, A.A., Fleetham, J.A.: 閉塞型睡眠時無呼吸症に対する歯科的治療について,日橋歯誌, 51:244-255, 1992.
8) 池松武直:睡眠時無呼吸症候群への歯科からのアプローチ(スリープ・スプリントの有用性), 耳鼻咽喉科・頭頸部外科, 医学書院, 63 :881-884, 1991.
9) Issa, F.G. Morrison, D., Hadjuk, E. et al: Digital monitoring of sleepdisordered breathing using snoring sound and artetial oxygen saturation, Am Rey Respir, 148: 1023-1993, 1993.
10) White, J.E.S., Smithson, A.J.,Close, M.J. et al: The use of sound recording and oxygen saturation in screening for obstructive sleep apnea, Clin Otolarygol, 19:218-221, 1993.
11) Perez-padilla, J.R.,Slawinski, E., Difrancesco, L.M. et al:Characteristics of thesnoring noise in patients with and without occlusive sleep apnea, Am Rev Respir 147 : 635-644, 1993.
12) 高橋宏明:睡眠時呼吸障害―その診断と治療―、85-200,金芳堂、京都、1993

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