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(論文)安眠と明るさ

一時期ブルーライトを遮断するメガネというのが流行ってましたね。夜間にブルーライトを浴びると、交感神経が刺激されるとかで、眠れなくなるから、夜はブルーライトを浴びないようにしようという目的だったと思いますが、皆さん昼間働いているときにパソコン画面が良くないからブルーライト眼鏡をかけるとかいう使い方してました。昼間ブルーライトを遮断して交感神経を静めちゃったら、夜眠れなくなるんじゃないかな。と不思議に見ていました。
昔パソコンモニター(ブラウン管の頃)の電磁波が体に悪いとかで、電磁波遮断エプロン使っていた時代もありましたね。あれ使ってる人は液晶画面になっても頑固に使っていたのを思い出します。テレビとかでいいよっていうとよくわかってなくても信用して使ってしまうのって怖いですね。

安眠家具「Sleep Labo」は、「騒音」防止と同時に「明るさ」や「温度変化」も少なくするようにしています。
さてその中でも睡眠の質に「明るさ」がどのような影響を与えているのか、発表論文から面白いものがあるので見ていきたいと思います。

公益社団法人 空気調和・衛生工学会 近畿支部
平成27年10月30日(金)15時~17時
講習会「(大阪)環境工学研究会「睡眠に影響を及ぼす環境要因」」
2. タイトル:光環境と睡眠http://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/hikari.pdf
■報告者
小山恵美(京都工芸繊維大学 情報工学・人間科学系 生理環境工学研究室)
■内 容
眼球から大脳視覚領域に伝わる途中で分岐した光の信号は、総じて覚醒方向の生理作用を視覚情報処理とは無関係にもたらすことが知られている。したがって、良質な睡眠確保のために、朝は目覚めを助け、日中は覚醒維持のために光を活用し、夜には余分な覚醒作用を生じないよう不必要な光を減らし、就寝時はできるだけ暗い環境を確保することが、光環境整備の原則である。また、光の量だけでなく分光分布にも留意する必要がある。

1. はじめに
①概日リズムの規則性の確保、②日中や就床前の良好な覚醒状態の確保、③適正な睡眠環境の整備、④就床前のリラックスと睡眠への脳の準備をとりあげ、睡眠衛生の向上という観点から、光環境と睡眠について概説する。

2. 睡眠衛生と光環境
光環境をはじめとする生活環境整備や生活行動の工夫などによって睡眠衛生の向上を図る場合に、1日の時間帯を考慮に入れて、それぞれの生活時間帯に適した方法を選択することの必要性が導かれる。

3. 光が心身に及ぼす影響
日常の生活空間における「光」は、対象物の形や色を認知するために必要な「あかり」としての役割が大きい。日常の生活空間に対する適合性や満足感の向上、あるいは、暗闇に対する不安感の軽減などの心理的・精神生理的な影響を人間にもたらすと一般に考えられている。
一方、生物としてのヒトにとって、光の信号は、生物時計の調節の他、直接的な脳の覚醒作用、交感神経の亢進作用、夜間に分泌されるメラトニンの生合成を(夜間の光曝露で)抑制する作用など、総じていうと覚醒・緊張方向の生理的作用を視覚情報処理とは無関係にもたらすことが知られている。
照度と相関色温度を白色光範囲内で変化させて主観評価を比較した結果をまとめると、1940年代の古典的研究から1990年代の3波長型蛍光ランプを用いた複数の研究を通して大筋で一貫性がみられる。相関色温度が低い空間(~3000K程度)については落ち着いた暖かい雰囲気となって比較的低照度(~200 lx程度)条件が適切であるのに対し、相関色温度が高い空間(4000K程度~)については低照度では寒々とした陰気な雰囲気となるので高照度条件が適切である、という結果が示されている。
良質な睡眠確保のために睡眠と覚醒のサイクルに着目すると、1日の時間帯に応じて光環境の生活適合性が変動することが示される。すなわち、夜間は眠りに入ろうとする心身の状態を妨げないように覚醒方向の作用を弱める(受光量を減らす)必要があり、逆に昼間は覚醒維持を助けるように受光量を確保する必要がある。さらに、光環境が心理的違和感を生じないような分光分布(相関色温度)の光源を選択する必要がある。

4. 睡眠と光環境の現状問題点と解決方向性について
昼間の受光量が不足することよりも、夜間の光が過剰であることの方がより深刻な問題点と考えられ、相関色温度の高い分光分布を有する光源が夜間に使われた場合には、青色波長成分も増大することが懸念される。昼夜の覚醒と睡眠のサイクルを健康的に維持するためには、昼間はできるだけ明るくするとともに青色波長成分を白色光としてのバランスの範囲内で確保し、日没後は相関色温度の低い光環境で過ごし、さらにパラメトリック同調を成立させるために、夜間就寝前から就寝中にかけてまとまった時間の暗さを確保し、起床前には暗から明への移行部分の薄明漸増状態を作ることが重要と考えられる。

5.おわりに
眼球から大脳視覚領域に伝わる途中で分岐した光の信号は、総じて覚醒・緊張方向の生理作用を視覚情報処理とは無関係にもたらすことが知られている。したがって、睡眠衛生の向上という観点から適正な睡眠確保を考える場合に、朝は目覚めを助け、日中は覚醒維持のために光を活用し、夜には余分な覚醒作用を生じないよう不必要な光を減らし、就寝時はできるだけ暗い環境を確保することが、光環境整備の原則である。さらに、光の量や相関色温度だけでなく分光分布・光源の種類にも留意する必要がある。

安眠をもたらす夜間の照明は、明るすぎない様に照度を落とす必要があるが、色温度の高いLED照明は不向きであり、電球色や炎の色が良いと言っております。生物学的な網膜光受容器のピークや、過去主観統計などにより、感覚の裏付けを行っています。

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安眠家具の遮光性能

寝るときに真っ暗だとか、少し明かりがないと眠れないとかは、好みです。
ただ、自分の好みでないと眠れないというのは、割と共通で、しかも一晩でも不快だったりします。
集団の旅行などで、明かりの変化で眠れない人は、まわりか寝静まってから、豆電球をつけたり消したりすることもよく聞きます。

夜寝るときの明かりなら調整はできますが、夜勤の方など日の明るいうちに寝る必要があれば、かなり苦労されているということは聞きます。もちろん明かりだけでなく昼間のほうが騒音も多いでしょう。

夜勤の方は、自律神経の働きに支障をきたして体調を崩す方も多いですが、睡眠の深さなどは影響が大きいと思います。

環境省 公害対策ガイドライン
https://www.env.go.jp/air/life/hikari_g_h18/full.pdf

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安眠家具の遮光性能

2017年の夏至は6月21日だそうです。
朝窓から差し込む明かりで自然に目が覚めることがあります。
十分な睡眠がとれて起きるのであればいいのですが、いびきをかくなど浅い睡眠でつい目が覚めてしまうときなど、「もう少し寝れるはずなのにもったいないな」なんて思ってしまいます。

睡眠時間のサイクルというのは、REM睡眠とnon-REM睡眠の繰り返しサイクルである90分の倍数になります。
例えば12時に寝ると、6時とか7時30分が起きるタイミングとしていいようなのですね。
これが部屋の明るさで中途半端な時間に目が覚めてしまうと何となくすっきりしない目覚めになってしまいます。

太陽の位置を変えるわけにはいきませんが、夜勤の方など日の明るいうちに寝る必要があれば、かなり苦労されているということは聞きます。もちろん明かりだけでなく昼間のほうが騒音も多いでしょう。

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遮光性

寝るときに真っ暗だとか、少し明かりがないと眠れないとかは、好みです。
生理的にどちらがいいかを研究した結果よりも、まず眠れるかどうかがさきですね。
好みは一人ひとり違いがありますし、変わることは容易にあります。真っ暗じゃないと眠れないと言っていた人が、子育て中に明かりをつけて寝る習慣から明かりがないと眠れなくなったりします。その逆もよくあります。

ただ、自分の好みでないと眠れないというのは、割と共通で、しかも一晩でも不快だったりします。
集団の旅行などで、明かりの変化で眠れない人は、まわりか寝静まってから、豆電球をつけたり消したりすることもよく聞きます。

夜寝るときの明かりなら調整はできますが、夜勤の方など日の明るいうちに寝る必要があれば、かなり苦労されているということは聞きます。もちろん明かりだけでなく昼間のほうが騒音も多いでしょう。

夜勤の方は、自律神経の働きに支障をきたして体調を崩す方も多いですが、睡眠の深さなどは影響が大きいと思います。

環境省 公害対策ガイドライン

https://www.env.go.jp/air/life/hikari_g_h18/full.pdf

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睡眠時の明かり

寝るときの部屋の明るさについては、真っ暗でなければ眠れないという人と、豆電球の様な明かりが必要な人にわかれるようです。
中には豆電球ではだめで、きっちり明るくないと怖くて眠れないなんて人もいるようです。
疲れていればまわりが明るくても平気で眠れることもありますし、怖い映画を見て真っ暗が急に怖くなったりすることもあるのでしょうが、明るさに対するこだわりも、何かのきっかけで変わったりするようです。

実は睡眠の質についても真っ暗でなければだめという説と、月明かり程度の明かりが必要という説があります。
また、奈良県立医科大学の論文で、豆電球をつけて寝ると、つけないで寝る人に比べて、肥満リスクが高まるという研究などもあります。
ただ、実際はどちらで寝ている人も、明らかなほどの健康被害はないようですので、ストレスに感じなければお好みでいいのかなと思いますが、同じ部屋で習慣の違う人がいると結構大変です。

同じ部屋で寝るときにもお互いが自分の環境を作れるようにするためには、安眠家具のパーソナルスペースがあると、喧嘩にならずに済みます。
実際どちらでもよければどちらも選べるほうがいいですね。

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日中と夜間の明かりに関する生理の研究

どうしても夜間の仕事で日中睡眠をとる必要がある方たちがいます。その方たちができるだけ健康な睡眠をとり、ストレスを軽減できるよう、Sleep Laboを使っていただきたいと思います。
火を使う前でも、月明かりの中では、かなりの活動ができていたのではないかと推測されますが、ほんのわずかな明かりに対しても、人の生理機能は大きな差異が出ているようです。
人口の明かりにより、人間の活動が昼夜を問わず可能となってからの人類の歴史は、それまで生物として生きてきた歴史に比べて短いということなのでしょうか。
奈良県立大学による光暴露の研究論文をご紹介します。
光曝露およびメラトニン分泌量に関する時間疫学研究
大林賢史
奈良県立医科大学医学部 地域健康医学講座
http://chronobiology.jp/journal/JSC2015-1-013.pdf

はじめに
私が生体リズムの研究を開始したのは2010年からで、生体リズム研究との関わりはたかだか4~5年だけであることをはじめに告白しなければなりません。それにも関わらず今回、日本時間生物学会学術奨励賞という栄誉ある賞をいただいたのは、同学会および選考委員の先生方の懐の深さによるものと、ここに記して深謝いたします。

“Heart”リズムから“Biological”リズムへ
私は大学卒業後、“Heart”リズムに興味をもち循環器内科医として臨床業務に従事してきました。
学生時代から医学と同じくらい興味を持っていた建築学を学びたいという気持ちが徐々に強くなってきたある日、秋葉原の書店で「住居医学」というタイトルの小さな本が目に止まりました[1]。その本を読み、どうやら自分は医学と建築学の間を埋めるような仕事をしたいのではないか、と思うようになりました。「住居医学」の編者であった筏義人(いかだよしと)先生に連絡をとり、とりあえず話を伺いに奈良県立医科大学まで行くことにしました。奈良は修学旅行以来であったように思いますが、どこか懐かしく、ゆっくりとした時間が流れていました。住居医学なるものを教えてもらえると思い込んでいた私は、「やりたいことがあれば自由にやりなさい」という筏先生の言葉に幾分戸惑いを覚えながら、京都駅で新幹線に乗り換え東京に帰ったことを覚えています。その後に分かったのですが、筏先生は“バイオマテリアルの父”と呼ばれるような再生医療工学の偉大な先生であったということで合点がいきました。とにもかくにも、自分がやりたいことが何となく見えてきていたので、奈良県立医科大学に行くことにしました。
奈良医大での研究生活は筏先生の言葉以上に「自由」でした。それまでにしっかりとした研究をしたことがなかった私は苦痛に感じることもありましたが、先行研究を調べていくと医学と建築学の間には、ネグレクトされ続けた広大なフロンティアが存在することが分かってきて、次第にのめり込んでいきました。「住環境」に注目した医学研究をすることを決めた頃、すでに温熱環境と血圧の研究を独自に立ち上げていた奈良医大の佐伯圭吾(さえきけいご)先生と出会いました。最も注目すべき住環境因子は「光」と「温度」であると考えていたので、私が「光」を担当することとして、「温度」の佐伯先生と2人で大規模疫学研究を立ち上げることになりました。その名も平城京スタディ(HousingEnvironments and Health Investigation amongJapanese Older People in Nara, Kansai Region: AProspective Community-Based Cohort Study)。ちょっとダサいなと思いながらも、他に良い名称も思いつかずに決定してしまいました。
現代人は日中に屋内で生活することが多いため日中光曝露量が少なく、夜間は人工照明を使うため夜間光曝露量が多い傾向があります(図1)[2]。


現代人のこのような光の浴び方が、生体リズムの変化やメラトニン分泌の減少を引き起こし、現代社会で増加している肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、不眠症、うつ病など多くの疾病の原因になっているのではないか?これが私どもの研究仮説です。
この仮説は、先行する動物実験や少人数のヒトを対象にした実験研究によりすでにその可能性が示唆されていました。例えば、三島先生らは睡眠障害のある高齢者(n=10)に日中2000luxの光照射を4時間行い、その後のメラトニン分泌量が増加し、睡眠障害が改善したことを報告しています[ 3]。
Riemersma-van der Lekらはグループケア施設に入所している高齢者(n=189)を日中の照度レベルが異なる2群(1000lux と300lux)に無作為に分け、3.5年後の認知機能とうつ症状を測定しました。結果では、1000lux群が300lux群に比較して有意に認知機能が保たれており、うつ症状も少なかったということを報告しています[4]。また、Fonkenらはラットを3つの異なる12時間ずつの明暗サイクル(①LD:150lux+0lux ②LL:150lux+150lux ③DM:150lux+5lux)で8週間飼育したときの体重変化を報告しています[5]。結果では、LD群に比べてLL群で有意に体重が増加し、興味深いことにDM群(暗期を5 luxにしただけ)でもLL群と同様に体重増加がみられ、耐糖能障害を発症していました。
このような先行研究から、光が生体リズムを介して疾病発症に関わっている可能性が十分に考えられましたが、日常生活で浴びる光が他の要因にかき消されないほどの影響力を持っているのでしょうか?
私どもは疫学的手法を用いて、そのことを明らかにしたいと考えています。こうして、私の興味は“Heart”リズムから“Biological”リズムに移っていきました。

データコレクション=4年+免停+廃車
疫学研究はどろ臭い。エレガントさは微塵もない。私がもつ疫学研究に対してのイメージです。私どもの研究は、自力で対象者を募集するところから始まりました。自治会や老人会の会長さんが集まる会合があると聞けば行って、研究への参加を呼びかけました。健康診断の会場に出向いて健康講座とわずかな謝礼で、また研究への参加を呼びかけました。そんな地道な努力をしながら、やっとの思いで1年分の対象者(n=250 ~ 350程度)の参加同意を得て、実際のデータコレクションに移ることができたわけです。
データコレクションは、対象者集め以上にどろ臭い作業でありました。平城京スタディは対象者宅を1件1件訪問する調査スタイルをとっています。住環境を測定するためには家の中におじゃまして、たくさんの照度センサーや温度センサーなどを設置しなければならないので、避けられない調査スタイルでした。訪問調査は自動車で奈良の狭い路地を通って行っていました。ナビゲーションシステムに対象者の住所を入力したはずなのに、古墳の中に案内されたりすることもしばしばありました。その日の機器設置などが終わると、2日後に機器を回収するために再訪問し、大学に戻ってデータをパソコンに落とす作業をしました。疲労のためか、大学へ戻る際の走行速度が無意識に上がってしまい、2人ともスピード違反で免許停止処分をくらいました。私は京都に住んでおり、奈良県曽爾村を調査中には往復200kmの移動をする必要があり、帰宅途中に事故で自動車が廃車になることもありました。このように、住環境調査のデータコレクションは過酷ゆえ、「医学と建築学の間のネグレクトされ続けた広大なフロンティア」の必然性に気づきました。こんなに大変な調査は誰もやらないでしょう。そういう意味では、私どもの後にも誰も続かない可能性があり、しっかりと結果を報告していかないといけない責務を負っているものと考えています。
徐々に調査・作業は効率化されてきましたが、昨年に1127人のベースライン調査(のべ3000回の訪問)が完了するまでの4年間はとても大変でした。
しかし、今後、ベースライン調査後の疾病発症などを追跡調査する上で、対象者とのface-to-faceのやり取りで得た信頼関係は何より大きな財産です。とはいえ、このスタイルの調査はもう二度としたくないと今は思っています。

光曝露量を実測した世界ではじめての大規模疫学研究
先に述べたように、光曝露情報を含めた住環境を実測して健康指標との関連を調査する大規模疫学研究はこれまでにありませんでした。私どもは対象者全員の日中(離床~入床)の光曝露量を腕時計型の照度ロガー(Actiwitch 2, Respironics Inc., USA,図2)を用いて、夜間(入床~離床)の光曝露量を寝室に設置した照度ロガー(LX-28SD, 佐藤商事, 日本, 図3)を用いて1分間隔で48時間測定しました。以下に横断解析の結果を示します。

表1に初期対象者192人の日中および夜間の光曝露量を示します。日中平均光曝露量は435.7lux(4分位範囲:253.1-808.5)、1000lux以上の光曝露時間は72.3分(37.1-123.8)で、夜間平均光曝露量は1.4 lux(4分位範囲:0.4-5.3)でした。また連続2日間の再現性は相関係数(rs)0.61-0.73でありました[6]。
夜間のメラトニン分泌量は夜間蓄尿により分泌総量を算出しました。メラトニン分泌量を従属変数とした単変量線形回帰分析において、メラトニン分泌量と関連を認めた因子は、年齢・喫煙状況・ベンゾジアゼピン内服・日長時間・身体活動量および日中光曝露量でした。夜間光曝露量はメラトニン分泌と関連を認めませんでした。これらの潜在的交絡因子を同時投入した多変量線形回帰分析モデルにおいて、日中光曝露量( 日中平均光曝露量および1000 lux以上の光曝露時間)はメラトニン分泌量と有意に関連していました(ともに回帰係数0.101, P<0.05)。それぞれの項目に平均値を代入した回帰式より、1000 lux以上の光曝露時間とメラトニン分泌の関連を図4に示します[6]。

528人を夜間平均光曝露量 = 3luxをカットオフ値として、夜間光曝露量が多い群(145人)と少ない群(383人)の2群に分け、年齢・性別・喫煙状況・飲酒習慣・世帯収入・教育年数を同時投入した多変量ロジスティック回帰分析モデルにおいて、夜間光曝露量が<3luxの群に比較して、≧3luxの群における肥満症および脂質異常症のオッズ比は、それぞれ1.89、1.72と有意に高いことが分かりました(ともにP<0.05, 図5)[7]。


これらの結果は、先に述べた三島先生やFonkenらの先行実験研究で示されていた日中・夜間光曝露による生体影響が日常生活でも同様で起こる可能性を一般高齢者集団で実証した点で重要なものであると思われます。さらに夜間の光曝露量はアクチグラフで測定した睡眠の質、質問票を用いて測定した睡眠の質やうつ症状、頚動脈超音波検査による動脈硬化指標などと関連することを報告しました[8-10]。また、メラトニン分泌量は血圧変動、夜間頻尿、白血球・血小板数、Cardio-ankle vascularindexによる動脈硬化指標などと関連することを報告しました[11-14]。

疫学研究の醍醐味
一般高齢者を対象に日常生活における光曝露やメラトニン分泌量が様々な健康指標と関連することを報告してきましたが、これらの多くは横断解析の結果であり因果について言及することはできません。今後、全対象者を毎年追跡調査し、ベースライン調査時の光曝露情報とその後の疾病発症や死亡などの関連を縦断的に解析することにより、よりエビデンスレベルの高い結果が得られると考えています。私どもの研究はまだまだ初期段階であり、これから疫学研究の醍醐味を味わいたいと思っています。
疫学研究でしか明らかにできないことも多くあります。そのひとつに光曝露の長期的影響があります。例えば、夜間の光曝露のような有害である可能性がある因子をヒトに実験研究で長期間曝露させ続けることは倫理的にできないということです。疫学研究の強みをしっかり生かして研究をしてきたいと思っています。

おわりに
本研究は多くの先生やスタッフのサポートを得て行うことができています。一緒に苦楽を共にした佐伯圭吾先生(奈良県立医科大学地域健康医学講座講師)、大いなる自由を与えてくれた筏義人先生(元 奈良県立医科大学住居医学講座 教授)、疫学の醍醐味をご指導いただいている車谷典男先生(奈良県立医科大学地域健康医学講座 教授)、いつも私どもを陰ながらサポートしてくれる岩本淳子先生(天理医療大学看護学科 教授)、興味深いデバイスを提供くれる刀根庸浩先生(奈良県立医科大学産学官連携推進センター 特任助手)、過酷な調査を一緒に実施してくれた調査スタッフの上村幸子さん、竹中直美さん、中島圭伊子さん、その他、多くの関係者の方々に深く感謝申し上げます。
最後に、本奨励賞受賞講演の際に座長を快く引き受けていただいた九州大学の樋口重和先生に「彗星のごとく現れた」という一節でご紹介いただき大変光栄に思っております。しかし同時に「彗星のごとく消えない」ようにしなければいけないとも思い、気持ちを引き締め息の長い研究をしようと心に強く誓いました。
参考文献
1) 筏義人 編. 住居医学( Ⅰ ). 産業図書.(2007)
2) 大林賢史、佐伯圭吾. メラトニンと高血圧、動脈硬化. アンチ・エイジング医学.10:692-696(2014)
3) Mishima K, Okawa M, Shimizu T, HishikawaY. Diminished melatonin secretion in theelderly caused by insufficient environmentalillumination. J Clin Endocrinol Metab.
86:129-34.(2001)
4) Riemersma-van der Lek RF, Swaab DF,Twisk J, Hol EM, Hoogendijk WJ, VanSomeren EJ. Effect of bright light andmelatonin on cognitive and noncognitivefunction in elderly residents of group carefacilities: a randomized controlled trial. JAMA.
299:2642-55.(2008)
5) Fonken LK, Workman JL, Walton JC, WeilZM, Morris JS, Haim A, Nelson RJ. Light atnight increases body mass by shifting thetime of food intake. Proc Natl Acad Sci USA.
107:18664-9.(2010)
6) Obayashi K, Saeki K, Iwamoto J, Okamoto N,Tomioka K, Nezu S, Ikada Y, Kurumatani N.Positive effect of daylight exposure onnocturnal urinary melatonin excretion in theelderly: a cross-sectional analysis of theHEIJO-KYO study. J Clin Endocrinol Metab.
97:4166-73.(2012)
7) Obayashi K, Saeki K, Iwamoto J, Okamoto N,Tomioka K, Nezu S, Ikada Y, Kurumatani N.Exposure to light at night, nocturnal urinarymelatonin excretion, and obesity/dyslipidemiain the elderly: a cross-sectional analysis of theHEIJO-KYO study. J Clin Endocrinol Metab.
98:337-44.(2013)
8) Obayashi K, Saeki K, Kurumatani N.Association between light exposure at nighta n d i n s o m n i a i n t h e g e n e r a l e l d e r l ypopulation: the HEIJO-KYO cohort. Chronobiol
Int. 31:976-82.(2014)
9) Obayashi K, Saeki K, Iwamoto J, Ikada Y,Kurumatani N. Exposure to light at night andrisk of depression in the elderly. J Affect
Disord. 151:331-6.(2013)
10) Obayashi K, Saeki K, Kurumatani N. Lightexposure at night is associated withsubclinical carotid atherosclerosis in thegeneral elderly population: The HEIJO-KYO
cohort. Chronobiol Int. 32:310-7.(2015)
11) Obayashi K, Saeki K, Iwamoto J, Okamoto N,Tomioka K, Nezu S, Ikada Y, Kurumatani N.Nocturnal urinary melatonin excretion isassociated with non-dipper pattern in elderlyhypertensives. Hypertens Res. 36:736-40.(2013)
12) Obayashi K, Saeki K, Kurumatani N.Association between melatonin secretion andnocturia in elderly individuals: a crosssectionalstudy of the HEIJO-KYO cohort. JUrol. 191:1816-21.(2014)
13) Obayashi K, Saeki K, Kurumatani N. Highermelatonin secretion is associated with lowerleukocyte and platelet counts in the generalelderly population: the HEIJO-KYO cohort. JPineal Res. 58:227-33.(2015)
14) Obayashi K, Saeki K, Kurumatani N.A s s o c i a t i o n b e t w e e n u r i n a r y6-sulfatoxymelatonin excretion and arterialstiff ness in the general elderly population: theHEIJO-KYO cohort. J Clin Endocrinol Metab.
99:3233-9.(2014)

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安眠家具の調光性能

WBCイスラエル戦も勝ち進み、日本は負けなしで準決勝進出ですね。久しぶりに野球で楽しめています。これから選手は渡米するわけですが、時差にしっかり備えて体調万全で試合に臨んでほしいものです。

時差の克服や、夜勤者の体調管理には、しっかりとした睡眠が欠かせませんが、そこで気になるのが寝室の明かりです。特に夜勤勤務者や不規則な時間帯でのお仕事の方にとって、明るい寝室での睡眠が、眠りの深さに影響しますし、自律神経のバランスが悪くなってしまう原因になります。

暗いだけで、痩せやすくなる?安眠で健康。

奈良医大の研究で、就寝時に平均5ルクス以上の光を浴びている人はそうでない人と比べ、うつ病の発症率が1.77倍、睡眠障害の発症率が1.75倍となっており、脳卒中の発症率はなんと2.05倍にもなるようです。また、平均3ルクス以上の場合は、そうでない人と比べ肥満症や脂質異常の発症リスクが1.9倍になっています。
肥満と就寝時の明るさの関係は英オックスフォード大学の研究でも指摘されており、明るい部屋で寝ているだけで太ってしまうということです。
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