「ストレス」タグアーカイブ

不眠症まとめサイト

いよいよこの週末になってまいりました。
当社がブースを出すのは、「さんきゅう参道2018」です。氷川神社の参道に50ほどのブースができ、オリジナル商品の販売や、飲食、展示、ワークショップなどが開催されます。同時に埼玉A級グルメが集う「氷川マルシェ」。そしてメインは氷川神社の神主さんと「神社を学ぼう!」というイベントがあります。
桜はほぼ葉っぱになってしまいますが、暖かい陽気にぜひお出かけください。

「不眠症まとめサイト」
以前は、不眠症というと睡眠薬で解決とされていましたが、睡眠薬の改善で副作用が少ない薬が開発されるとともに、効き目も穏やかで、薬を飲んでも眠れないということが多くなっています。
もちろん耐性が付くこともあり、いずれにしても薬は効きづらくなるのですが、睡眠薬が不眠症の絶対的な解決策ではなくなってしまいました。

「不眠症には睡眠薬より安眠家具」
不眠症の原因別の解決策をご紹介しています。また、「眠れない」状況を作り出す心理的要因の「論文」やそのような状況を解決する「テクニック」なども紹介しています。
そのうえで、不眠症の解決策のうち「睡眠環境の改善」自体は、どのような不眠症の原因であっても、改善効果を高めることが認められています。
しかしながら、防音の部屋、遮光カーテン、冷暖房や加湿器で対処したとしても、一緒に生活する相手がいれば、必ずしも自分本位では調節できません。時間のずれ、趣味の違い、パートナーのいびきなどの生活音。
睡眠はもっともパーソナルな世界です。

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朝方に出るイビキ

フラワーフェスティバルは、ほぼ終演を迎えようとしています。
2週間ぐらいは楽しめたと思うのですが、特に今年は早かった気がしますね。この土日は花見のお客から、桜吹雪に歓声が上がる様子が見えるようです。
今日で3月も終わり、一般には明日から新年度ですね。気持ちも新たにスタートしましょう。

いびきの原因となる気道の狭小化の一つが胃食道逆流症です。
寝入りばなのいびきについては、胃の中の未消化の食べ物が逆流することを抑えるために、気道の狭小が起こりいびきとなります。
ただ、いびきの原因となる気道の狭小化は、精神的ストレスや物理的ストレスが高い状態や、体力的に弱っているときの胃や食道へのダメージが影響しているのではないかと思われます。寝入りばなのいびきがないのに、朝方のいびきがある場合は、胃の中はすでに空っぽだと思われますが、ストレスによる胃や食道へのダメージが影響しているものと思われます。
もともと、寝ている状態では副交感神経が優位になり気道は狭小化します。またストレスにより副交感神経が刺激を受けると胃酸の分泌も多くなります。
REM睡眠時には、筋肉は脱力しているため、胃の入り口である噴門もゆるみます。
朝方になるほどREM睡眠の時間が長くなり、いびきが出やすい状態になりますが、ストレスなどのダメージが大きいと気道狭小化が強く出ていると思われます。

このような状態で、いびきを抑えるために気道拡張を行おうとすると、胃酸が肺に逆流する逆流性肺炎の危険が出ます。
確かに元々気道を狭めている肥満を解消したり、扁桃腺が腫れているなどは、治療が必要かと思いますが、ストレスの解消をしないまま気道拡張の対症療法的な行為は、危険を伴う懸念があります。

まずは原因が何であろうと「いびき」の音を確実に抑える唯一の方法である、安眠家具「Sleep Labo」を利用します。
そのうえで、睡眠環境の改善やストレス解消、生活習慣の改善による肥満の解消などに取り組む必要があるでしょう。

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(論文)ストレス対処行動

一の宮通クリーン作戦で余ったチューリップの球根が3つ。花が咲きました。日中なら半袖でも過ごせるくらいの陽気です。
少しくらい日影がちょうどよいこの時期が、一番過ごしやすい気がします。散歩が楽しい時期になりました。ストレスが溜まっている方はぜひ散歩しましょう。

現代日本は、高度な医療体制や清潔な環境等により、世界でも最も長寿の国となりました。
3月20日の「国際幸福デー」に先んじて、国連が発表した世界各国の幸福度では、156か国中54位となっています。昨年から3位順位を落としてしまいましたね。細かい指標もありますが、日本は人生選択の自由度や性の平等性、他者への寛容さ等が低く見られたようです。
戦争や飢餓などに悩まされない長寿国ではあっても、仕事や人間関係などストレスが多く、それほどの幸福感が得られていないのが現代の日本なのでしょうか?
そのストレスに関しての疫学研究論文がありますので、ご紹介したいと思います。
ストレスと睡眠不足による不休養に相関があるようですが、余暇の過ごし方でストレスが解消され、睡眠不足が解消されるようですね。余暇に寝て過ごすよりはより能動的にストレス解消に動くほうがよいようです。

日本人のストレス対処行動および余暇の過ごし方についての疫学研究

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)
分担研究報告書
日本人のストレス対処行動および余暇の過ごし方についての疫学研究
研究分担者 兼板佳孝1 三島和夫2
研究協力者 池田真紀1
1 日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野
2 国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部
研究要旨
本研究課題は、日本国民のストレスおよびストレス対処行動、睡眠による休養不足、不眠症状、余暇の過ごし方に関する疫学データを集計するとともに、これらの間にみられる関連性を明らかにすることを目的とした。厚生労働省が実施した平成19年国民健康・栄養調査データ(男性3,622人 女性4,197人)を用いて統計解析を行った。
ストレスの自覚は男女共に20歳代~40歳代に多く認められた。睡眠による休養不足(睡眠休養不足)は男女共に20歳代~40歳代に多く認められた。一方、不眠症状は男女共に50歳以上に多く認められた。ストレスの程度が大きくなるほど、睡眠休養不足や不眠症状の有訴者率は高値を示した。男性では、ストレスの対処として趣味を行うことにおいて、睡眠休養不足に関する調整オッズ比が低値を示した。一方、刺激や興奮を求めることにおいては、睡眠休養不足に関する調整オッズ比が高値を示した。女性では、ストレスの対処として趣味を行うこと、テレビやラジオを視聴すること、楽観的に考えることにおいて、睡眠休養不足に関する調整オッズ比が低値を示した。男性では、ストレスの対処として趣味を行うことにおいて、不眠症状に関する調整オッズ比が低値を示した。一方、我慢して耐える、刺激や興奮を求める、飲酒することにおいては、不眠症状に関する調整オッズ比が高値を示した。女性では、ストレスの対処として趣味を行う、悩みを聞いてもらうことにおいて、不眠症状に関する調整オッズ比が低値を示した。
余暇をどのように過ごすかは、性別や年齢階級によって異なる傾向にあった。男性では、余暇の過ごし方として自宅でのんびりする、友人と過ごすことにおいて、ストレスに関する調整オッズ比が低値を示した。女性では、余暇の過ごし方として友人と過ごす、運動スポーツ、買い物において、ストレスに関する調整オッズ比が低値を示した。
男女共通してストレスの軽減には、友人と過ごすことが効果的であることが示唆された。能動的な休養においては、人との交流を図ることが重要と考えられた。

A. 研究目的
厚生労働省は、昭和63年に第2次健康づくり対策として“アクティブ80ヘルスプラン”を提唱して以来、栄養、運動、休養を健康づくりの3要素として、健康づくり運動においては、欠かすことのできない重要な項目として挙げられてきた。平成6年には、健康を基本にすえた休養の普及を図り、より健康で豊かな活力ある生活の想像に役立てられることを目的として、「健康づくりのための休養指針」が策定された。この指針の策定に当たって、休養は、「休む」ことを目的とした消極的な休養と、「養う」ことを目的とした積極的休養の二つの概念に分けて捉えられ、「休む」こと、すなわち消極的な休養は心身の疲労からの回復を目指したものとして、「養う」こと、すなわち積極的な休養は心の糧となる活動を通して生きがいの創造を行うものとして理解された。
近年、国民の生活スタイルや国民の勤労形態は多様化し、社会経済情勢も大きく変化した状況にあって、平成6年に策定された「健康づくりのための休養指針」では現在の国民生活には対応できない点が多いと考えられるようになった。そのため、国民の健康づくり運動の更なる発展のためには、現在の国民生活に応じた、より実行性の高い指針へと改訂することが求められている。
本研究課題は、「健康づくりのための休養指針」の改訂に必要となる科学的および疫学的根拠を得ることを目的として、平成20年度より開始された。これまでの研究では、大規模疫学調査を実施して、「休む」ことを目的とした静的・消極的な休養と、「養う」ことを目的とした動的・積極的休養の両方の概念が独立して成人の主観的健康感と関連することを明らかにした。今年度の研究においては、日本国民のストレスおよびストレス対処行動、睡眠による休養不足、不眠症状、余暇の過ごし方に関する疫学データを集計するとともに、これらの間にみられる関連性を明らかにすることを目的とした。
B. 研究対象と方法
調査対象者およびデータの収集
本研究は、厚生労働省が実施した平成19年国民健康・栄養調査によって収集されたデータを利用したものである。国民健康・栄養調査は国民の健康増進の推進を図るための基礎資料を得ることを目的に健康増進法に基づいて毎年実施されている。本調査の対象は、国民生活基礎調査のために日本全国に設定された地区の中から、無作為に抽出された300地区に暮らす1歳以上の住民の約15,000人であった。
本調査は、(1)身体状況、(2)栄養摂取状況、(3)生活習慣の3つの部門から構成された。データ収集の実務は対象地区を所管する保健所のスタッフが行った。
身体状況の部門では、対象者は地区内の公共施設に集められ、1歳以上の参加者の身長、体重が測定され、それに加えて、15歳以上の参加者では腹囲と血圧が測定された。さらに20歳以上の参加者には、常用薬に関する問診が行われたとともに、血液検査に用いるための採血が行われた。
栄養摂取状況の部門では、保健所のスタッフが対象世帯を訪問し、調査票を配布して記入要領を説明した。栄養摂取状況調査票には、1歳以上の世帯員全員の調査日一日間に摂取した食事内容が記入された。
生活習慣の部門では、栄養摂取状況調査票の配布の際に、15歳以上の住民を対象に自記式アンケート調査票が配布されて実施された。生活習慣調査票には、食事、喫煙、飲酒、運動、睡眠、歯磨きに関する質問が設定された。
すべての調査において、対象者には個人情報の保護と管理には充分配慮されることが説明された。
測定項目と定義
生活習慣調査票に設定された睡眠による休養に関する質問は以下の通りであった「ここ1ヵ月間、あなたは睡眠で休養が充分とれていますか?」 回答形式は、{ 1充分とれている、2まあまあとれている、3あまりとれていない、4まったくとれていない}の4つの選択肢から一つを選ばせるものであった。統計解析においては、カテゴリー3と4を統合し、「睡眠休養不足」とした。不眠症状については、「ここ1ヵ月間、あなたは睡眠に関して次のようなことを感じたことがありますか。ア.夜、眠りにつきにくい イ.夜中に何度も目が覚める ウ.朝早く目覚めてしまう」と質問した。回答形式は、それぞれの不眠症状について{ 1全くない、2めったにない、3時々ある、4しばしばある、5常にある}の5つの選択肢から一つを選ばせるものであった。カテゴリー4と5を統合し、それぞれに症状が有りとし、これらの3つの質問のうち1項目以上満たす者を不眠症状有りと定義した。
ストレスに関しては、「ここ1ヵ月間に、不満、悩み、苦労などによるストレスなどがありましたか?」の質問に対し、{大いにある/多少ある/あまりない/まったくない}の4つの選択肢が設定され、“大いにある”との回答をストレスありとした。
ストレスがあったときの対処法については、以下の項目を設定し、該当するものをすべて選ばせた。1積極的に問題解決に取り組む、2体を動かして運動する、3趣味を楽しんだりリラックスする時間をとる、4テレビを見たり、ラジオを聴く、5家族や友人に悩みを聞いてもらう、6解決を諦めて放棄する、7我慢して耐える、8なんとかなると楽観的に考えようと努める、9刺激や興奮を求める、10酒を飲む、11たばこを吸う、12食べる、13特にない、14その他。
余暇の過ごし方については、以下の項目を設定し、該当するものをすべて選ばせた。1自宅でのんびりする、2友人・知人と過ごす、3運動する・スポーツジム・フィットネスクラブに行く、4ギャンブルをする、5ドライブや旅行にでかける、6習い事や資格取得に利用する、7ボランティア活動に参加する、8インターネットをする、9買い物にでかける、10宗教や信仰活動に利用する、11その他、12わからない。
統計解析
平成19年国民健康・栄養調査の参加者のうち、20歳以上の者を解析の対象とした。統計解析では、最初に、ストレスに関する質問への回答を性別、年齢階級別に集計した。二番目に、性別、年齢階級別に睡眠休養不足と不眠症状の有訴者率を算出した。三番目に、ストレスに関する質問への回答ごとに睡眠休養不足と不眠症状の有訴者率を算出した。四番目に、ストレスの対処法に関する質問への回答を性別、年齢階級別に集計した。五番目に、多重ロジスティック回帰分析を行って睡眠休養不足とストレス対処法の関連性を検討した。この時には、睡眠休養不足を目的変数に、個々のストレス対処法を共変量に投入した。六番目に、多重ロジスティック回帰分析を行って不眠症状とストレス対処法の関連性を検討した。この時には、不眠症状を目的変数に、個々のストレス対処法を共変量に投入した。七番目に、余暇の過ごし方に関する質問への回答を性別、年齢階級別に集計した。最後に、多重ロジスティック回帰分析を行ってストレスと余暇の過ごし方の関連性を検討した。すべての統計解析にはSPSS15.0 for Windowsを用いた。
倫理面への配慮
貸与された平成19年国民健康・栄養調査のデータからは個人識別情報は削除されており、参加者のプライバシーは保護された。
C. 結果
解析例は男性3,622人 女性4,197人、合計7,819人であった。解析例の年齢構成を表1に示した。

比較的50歳代以上が多い集団であった。
性別、年齢階級別のストレスの自覚状況を表2に示した。
ストレスが「多少ある」あるいは「大いにある」と回答した者は男女共に20歳代~40歳代に多く認められた。
性別、年齢階級別の睡眠休養不足と不眠症状の有訴者率を表3に示した。
睡眠による休養不足(睡眠休養不足)は男女共に20歳代~40歳代に多く認められた。一方、不眠症状は男女共に50歳以上に多く認められた。
ストレスの程度と睡眠休養不足と不眠症状の関連性を図1に示した。
ストレスの程度が大きくなるほど、睡眠休養不足や不眠症状の有訴者率は高値を示した。
性別、年齢階級別のストレス対処法を表4に示した。
男性の「体を動かして運動する」と「テレビを見たり、ラジオを聴く」の2項目以外のすべての項目において、年齢階級による違いが認められた。「趣味を楽しんだりリラックスする時間をとる」ことを選んだのは、男女共に若年者ほど多かった。
睡眠休養不足とストレス対処法の関連性を検討した多重ロジスティック回帰分析の結果を表5と表6に示した。

男性では、ストレスの対処として趣味を行うことにおいて、睡眠休養不足に関する調整オッズ比が低値を示した。一方、刺激や興奮を求めることにおいては、睡眠休養不足に関する調整オッズ比が高値を示した。女性では、ストレスの対処として趣味を行うこと、テレビやラジオを視聴すること、楽観的に考えることにおいて、睡眠休養不足に関する調整オッズ比が低値を示した。
不眠症状とストレス対処法の関連性を検討した多重ロジスティック回帰分析の結果を表7と表8に示した。

男性では、ストレスの対処として趣味を行うことにおいて、不眠症状に関する調整オッズ比が低値を示した。一方、我慢して耐える、刺激や興奮を求める、飲酒することにおいては、不眠症状に関する調整オッズ比が高値を示した。女性では、ストレスの対処として趣味を行う、悩みを聞いてもらうことにおいて、不眠症状に関する調整オッズ比が低値を示した。
性別、年齢階級別の余暇の過ごし方を表9に示した。

男性の「自宅でのんびりする」と「宗教や信仰活動に利用する」の2項目以外のすべての項目において、年齢階級による違いが認められた。余暇をどのように過ごすかは、性別や年齢階級によって異なる傾向が認められた。
ストレスと余暇の過ごし方の関連性を検討した多重ロジスティック回帰分析の結果を表10と表11に示した。

男性では、余暇の過ごし方として「自宅でのんびりする」、「友人・知人と過ごす」ことにおいて、ストレスに関する調整オッズ比が低値を示した。女性では、余暇の過ごし方として「友人・知人と過ごす」、「運動する・スポーツジム・フィットネスクラブに行く」、「買い物にでかける」において、ストレスに関する調整オッズ比が低値を示した。
D. 考察
本研究では、全国規模の調査データを利用して、日本国民のストレスおよびストレス対処行動、睡眠による休養不足、不眠症状、余暇の過ごし方に関する疫学データを集計するとともに、これらの間にみられる関連性を明らかにした。これまでのところ、我が国においては、国民のストレス対処行動や余暇の過ごし方に関する疫学研究報告は乏しい。そのため研究結果は、今後の健康づくりに関わる休養の在り方を考えるうえでの基本的な資料となるものである。
本研究において、不満、悩み、苦労などによるストレスの程度が大きくなるほど睡眠休養不足や不眠症状の有訴者率は高くなり、これらの間には量-反応関係が認められた。これらの所見から、ストレスはヒトの睡眠を妨げる要因として極めて重要な意味を有することが伺える。日本で実施された一般住民を対象にした調査においても心理的ストレスが不眠症状や日中の過剰な眠気と促進的に関連することが報告されている。また、日本人の就労者を対象にした調査でも職業上のストレスが不眠症状や悪い睡眠の質と有意に関連することが知られている。
睡眠は、休養の中でも最も重要な要素であり、充分に睡眠を確保して休養を図るためには不満、悩み、苦労などによるストレスに対して対処していくことが重要である。実際、ストレスに対して上手く対処できていると感じている人は不眠症状についてのオッズ比が有意に低いことも知られている。今回の研究結果から、男性においては、「趣味を楽しんだりリラックスする時間をとる」ことは好ましいストレス対処行動であり、反対に、「我慢して耐える」、「刺激や興奮を求める」、「酒を飲む」ことは好ましくないものと考えられた。女性においては、「趣味を楽しんだりリラックスする時間をとる」、「テレビを見たり、ラジオを聴く」、「家族や友人に悩みを聞いてもらう」、「なんとかなると楽観的に考えようと努める」ことは好ましいストレス対処行動であることが示唆された。
休養は、「休む」ことと「養う」ことの独立した2つの概念で構成されるわけであるが、「養う」ことについては、余暇をどのように過ごすかということが直接的に関連する。そこで本研究では、余暇の過ごし方とストレスとの関連性を検討し、好ましい余暇の過ごし方を検索した。その結果、男性では「自宅でのんびりする」と「友人・知人と過ごす」、女性では「友人・知人と過ごす」、「運動する・スポーツジム・フィットネスクラブに行く」、「買い物にでかける」などがストレスの軽減の観点から好ましいものと考えられた。特に興味深いのは、男女共通して「友人・知人と過ごす」ことが検出されたことである。ストレスを貯め込まないためには、人とのコミュニケーションを図っていくことが重要であると考えられる。
E. 結語
充分な睡眠をとるためにはストレスを軽減することが重要であり、ストレス対処法として「趣味を楽しんだりリラックスする時間をとる」、「テレビを見たり、ラジオを聴く」、「家族や友人に悩みを聞いてもらう」、「なんとかなると楽観的に考えようと努める」ことが重要である。また、余暇の過ごし方としては「自宅でのんびりする」、「友人・知人と過ごす」、「運動する・スポーツジム・フィットネスクラブに行く」、「買い物にでかける」などが重要である。
参考文献
1. 厚生省.健康づくりのための休養指針.
2. 原野悟,野崎貞彦.適正な休養のあり方.日大医学雑誌.1994;53:7-11.
3. 野崎貞彦.健康づくりのための休養-よりよい自己実現のために.公衆衛生 1994;58:861-4.
4. 厚生労働省.平成19年国民健康・栄養調査報告 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou09/01.html
5. Kim K, Uchiyama M, Okawa M, Liu X, Ogihara R. An epidemiological study of insomnia among the Japanese general population. Sleep. 2000;23:41-7.
6. Kaneita Y, Ohida T, Uchiyama M, Takemura S, Kawahara K, Yokoyama E, Miyake T, Harano S, Suzuki K, Yagi Y, Kaneko A, Tsutsui T, Akashiba T. Excessive daytime sleepiness among the Japanese general population. J Epidemiol. 2005 ;15:1-8.
7. Doi Y, Minowa M, Tango T. Impact and correlates of poor sleep quality in Japanese white-collar employees. Sleep. 2003;26:467-71.
8.Utsugi M, Saijo Y, Yoshioka E, Horikawa N, Sato T, Gong Y, Kishi R. Relationships of occupational stress to insomnia and short sleep in Japanese workers. Sleep. 2005;28:728-35.
F. 健康危険情報
特になし
G. 研究発表
G-1. 論文発表
1. Suzuki H, Kaneita Y, Osaki Y, Minowa M, Kanda H, Suzuki K, Wada K, Hayashi K, Tanihata T, Ohida T. Clarification of the factor structure of the 12-item General Health Questionnaire among Japanese adolescents and associated sleep status. Psychiatry Res (in press).
2. Furihata R, Uchiyama M, Takahashi S, Konno C, Suzuki M, Osaki K, Kaneita Y, Ohida T. Self-help behaviors for sleep and depression: A Japanese nationwide general population survey. J Affect Disord (in press).
3. Kanda H, Osaki Y, Ohida T, Kaneita Y, Munezawa T. Age verification cards fail to fully prevent minors from accessing tobacco products. Tob Control. 2011;20:163-5.
4. Munezawa T, Kaneita Y, Osaki Y, Kanda H, Ohtsu T, Suzuki H, Minowa M, Suzuki K, Higuchi S, Mori J, Ohida T. Nightmare and sleep paralysis among Japanese adolescents: a nationwide representative survey. Sleep Med. 2011;12:56-64.
5. Yokoyama E, Kaneita Y, Saito Y, Uchiyama M, Matsuzaki Y, Tamaki T, Munezawa T, Ohida T. Association between depression and insomnia subtypes: a longitudinal study on the elderly in Japan. Sleep. 2010;33:1693-702.
6. Ohtsu T, Kokaze A, Shimada N, Kaneita Y, Shirasawa T, Ochiai H, Hoshino H, Takaishi M. General consumer awareness of warnings regarding the consumption of alcoholic beverages. Acta Med Okayama. 2010;64:225-32.
7. Akahoshi T, Uematsu A, Akashiba T, Nagaoka K, Kiyofuji K, Kawahara S, Hattori T, Kaneita Y, Yoshizawa T, Takahashi N, Uchiyama M, Hashimoto S. Obstructive sleep apnoea is associated with risk factors comprising the metabolic syndrome. Respirology. 2010 ;15:1122-6.
8. Tamaki T, Kaneita Y, Ohida T, Yokoyama E, Osaki Y, Kanda H, Takemura S, Hayashi K. Prevalence of and factors associated with smoking among Japanese medical students. J Epidemiol. 2010;20:339-45.
9. Kaji T, Mishima K, Kitamura S, Enomoto M, Nagase Y, Li L, Kaneita Y, Ohida T, Nishikawa T, Uchiyama M. Relationship between late-life depression and life stressors: large-scale cross-sectional study of a representative sample of the Japanese general population. Psychiatry Clin Neurosci. 2010;64:426-34.
10. Kaneita Y, Uchida T, Ohida T. Epidemiological study of smoking among Japanese physicians. Prev Med. 2010;51:164-7.
11. Enomoto M, Tsutsui T, Higashino S, Otaga M, Higuchi S, Aritake S, Hida A, Tamura M, Matsuura M, Kaneita Y, Takahashi K, Mishima K. Sleep-related problems and use of hypnotics in inpatients of acute hospital wards. Gen Hosp Psychiatry. 2010 ;32:276-83.
G-2. 学会発表
ア. 兼板佳孝: 第69回日本公衆衛生学会総会奨励賞受賞講演,睡眠習慣に関する公衆衛生学研究. 第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
イ. 兼板佳孝: 交替制勤務が心血管疾患危険因子に及ぼす影響(睡眠衛生シンポジウム:睡眠と生活習慣病).第80回日本衛生学会学術総会,仙台,2010.5
ウ. 兼板佳孝: 思春期の睡眠(シンポジウム:小児の睡眠習慣を考える).日本睡眠学会第35回定期学術集会, 名古屋, 2010.7
エ. 兼板佳孝: 学校保健における睡眠公衆衛生(シンポジウム4:睡眠公衆衛生の推進に向けて).第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
オ. 西村美八,松坂方士,高橋一平,壇上和真,梅田孝,兼板佳孝,大井田隆,中路重之:農村部に在住する一般住民における睡眠時間と肥満との関係について.第80回日本衛生学会学術総会,仙台,2010.5
カ. 降旗隆二,大嵜公一,今野千聖,鈴木正泰,高橋栄,兼板佳孝,大井田隆,内山真:うつ病と自己睡眠対処行動の関連.第106回日本精神神経学会学術総会,広島,2010.5
キ. 榎本みのり,北村真吾,有竹清夏,肥田昌子,守口善也,草薙宏明,兼板佳孝,筒井孝子,三島和夫:日本における5年間の睡眠薬の処方実態.日本睡眠学会第35回定期学術集会,名古屋,2010.7
ク. 宗澤岳史,兼板佳孝,尾崎米厚,神田秀幸,簑輪眞澄,鈴木健二,樋口進,大井田隆:中学生・高校生を対象とした消灯後の携帯電話使用と不眠症状に関する全国調査.日本睡眠学会第35回定期学術集会,名古屋,2010.7
ケ. 山本隆一郎,兼板佳孝,大井田隆,横山英世,玉城哲雄,宗澤岳史,鈴木博之,大津忠弘,有竹清夏:日中の過剰な眠気と睡眠障害との関連-高校生を対象とした縦断調査研究-.日本睡眠学会第35回定期学術集会,名古屋,2010.7
コ. 宗澤岳史,兼板佳孝,尾崎米厚,神田秀幸,簑輪眞澄,大井田隆:中学生・高校生の衝動性と怒りに関する全国調査.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
サ. 井谷修,大井田隆,横山英世,兼板佳孝,玉城哲雄,村田厚,宗澤岳史,山本隆一郎:労働時間、休養、余暇と生活習慣病との関連性について.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
シ. 神田秀幸,尾崎米厚,大井田隆,兼板佳孝,宗澤岳史,谷畑健生,簑輪眞澄,鈴木健二:Taspoは中高生の自動販売機によるタバコ購入を完全に防止していない.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
ス. 谷畑健生,尾崎米厚,神田秀幸,兼板佳孝,大井田隆,簑輪眞澄,和田清,鈴木健二,林謙治:青少年の喫煙、睡眠障害と精神的健康度:2004年度、全国規模調査の断面調査結果.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
セ. 大津忠弘,兼板佳孝,中路重之,宗澤岳史,小風暁,島田直樹,大井田隆:休養の在り方と主観的健康感との関連についての疫学研究.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
ソ. 山本隆一郎,兼板佳孝,大井田隆:医師の飲酒習慣とその関連要因の探索.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
タ. 西村美八,壇上和真,松坂方士,高橋一平,梅田孝,兼板佳孝,大井田隆,中路重之:一般住民における睡眠時間と肥満との関係-岩木健康増進プロジェクトの結果から-.第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
チ. 近藤修治,若尾勇,岩佐翼,眞川幸治,西垣明子,塚本和秀,兼板佳孝,石津博子:初発患者情報及び接触状況の相違による結核接触者健診対象者へのQFT結果への影響. 第69回日本公衆衛生学会総会, 東京,2010.10
ツ. 中込 祥,兼板佳孝,玉城哲雄,横山英世,大井田隆:妊婦の日中の過度の眠気に関する疫学的研究.第500回 日大医学会例会, 東京,2010.11
テ. 金野倫子,今野千聖,降旗隆二,高橋栄,兼板佳孝,大井田隆,赤星俊樹,赤柴恒人,内山真:一般成人における睡眠習慣と不眠の関連性について.第26回不眠研究会研究発表会,東京,2010.12
ト. 降旗隆二,内山真,高橋栄,今野千聖,鈴木正泰,大嵜公一,兼板佳孝,大井田隆:日本におけるうつ病と自己睡眠対処行動の関連:大規模疫学調査の解析.第26回不眠研究会研究発表会,東京,2010.12
H. 知的財産権の出願・登録状況
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(論文)いびきが気になる人ミソフォニア

さいたま市の桜はまだ3分咲きといったところでしょうね。
この土日は満開ちょっと手前、来週土日は桜吹雪といったところでしょうか。さんきゅう参道の4月7日・8日は、ほぼ葉桜かな。きっと新緑も美しい。

イギリスニューキャッスル大学の神経科学研究所による研究発表がなされました。
「ミソフォニア(音嫌悪症)」と呼ばれる、特定の音に対し極端に嫌悪を示し、場合によっては神経症や不安、パニックを引き起こす症状の原因が、脳の構造にあるのかもしれないという報告です。
気になる音というのは、いびきだけではなく、くちゃくちゃ食べる音や、ズルズルと麺を吸い込む音だったり様々です。

これといった解消法はないのですが、ほかの雑音で気を紛らわすのが効果的だそうです。
バスの中でいびきとか寝息が気になっても、実は車の走行音のほうが大きいのです。それでも気になる音というのは耳についてしまうし、それが自分の気分を害していると思うだけで我慢できない大きさに聞こえます。
イヤホンの音を大きくするよりも、好きな映画やドラマなどの何度も聞いているセリフのシーンを少し小さい音で聞くようにすると、雑音に紛れるセリフに気持ちが集中するので、ほかの音を頭から追い出す効果があります。
ただラジオなどでは、聞こえづらい声を一生懸命聞こうとして、目がさえてしまいますので、映画などのよく知っているシーンで、聞こえづらくても脳が補える程度が寝るためにもいいのです。
集合住宅で、隣の音や上の階の音が気になるという方が多いのも、ミソフォニアの可能性があります。重症となると、ほかの人には聞こえない音まで、幻聴のように聞こえ、本人は非常に不快になります。場合によっては刑事事件に発展することがあります。
以下は英語論文を機械翻訳しているため、若干日本語が分かりづらいですが、ご紹介いたします。

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982216315305
ミソフォニア(Misophonia)の脳の基礎

ハイライト
•トリガー・サウンドは、ミソフォニアの前孤立部で誇張された反応を引き出す
•ミソフォニアでは、前部膵島(island of Reil):「大脳半球の外側溝の底にある大脳皮質の一部;自律機能,嗅覚きゅうかく,情動などをつかさどる.」の異常な機能的接続性がある
•自律神経反応の亢進は、ミソフォニアの前腸内括約筋によって媒介される
•ミソフォニアは相互作用の変化に関連している

概要
ミソフォニアは、他の人々が食べたり、飲んだり、噛んだり、呼吸したりするような日常的な音に反応して、強い負の感情(怒りと不安)を経験するという情動的な音声処理障害である[ 1-8 ]。これらの音の一般的な性質(しばしば「トリガー音」と呼ばれる)は、ミスフォニアを被害者およびその家族にとって壊滅的な障害にするが、根底にあるメカニズムについては何も知られていない。生理学的測定と連動した機能的および構造的MRIを用いて、ミオフォニック被験者は脳および身体において特定のトリガ音関連反応を示すことを示す。具体的には、fMRIは、発声された被験者において、トリガー音が、誇張された血液酸素レベル依存性(sensory processing)の知覚に重要な「顕著性(salience)」ネットワークの中枢である前部皮質皮質(anterior insular cortex :AIC)における応答(BOLD)ミオフォニックのトリガー音は、腹側前頭前野(vmPFC)、後頭皮質(PMC)、海馬および扁桃体を含む感情の処理および調節を担当する領域のネットワークと、AICとの間の異常な機能的接続と関連していた。トリガー・サウンドは、心拍数(HR)の上昇と皮膚反応(GSR)を測定した。アンケート分析によれば、ミオフォニックの被験者は、身体を異なる方法で知覚することができ、AICの異常な機能と一致して、対照よりも感覚的感受性が高いスコアを示した。最後に、脳構造測定は、ミオフォニック個人においてvmPFC内でより大きな髄鞘形成を示唆した。全体として、我々の結果は、misophoniaは、AICの異常な活性化および機能的接続性に基づいて異常な顕著性が特定の音に起因する障害であることを示している。

キーワード
ミソフォニア ;感情障害 ;fMRI ;機能的な接続性。自律的な応答 ;介入

結果と考察
fMRIデータは、20音色のミソフォンと22の年齢と性別が一致した対照群で取得され、トリガー音(食べること、呼吸する音などのミスフォニックな反応ではミソフォニックな反応を引き起こす)、不快な音両方のグループによって迷惑であると認識されるが、赤ちゃんの叫び声、悲鳴を上げる人物などのミスフォニック・ストレスを感じさせない)、中立的な音(例えば雨)を感じる。被験者は、それぞれの音を聞いた後、(1)どのように迷惑をかけるか(両方のグループ)、(2)効果的に典型的なミスフォニック反応(ミソフォニックグループのみ)を引き起こしたか、音が発生する環境にあること)、音は(制御グループのみ)であった。行動反応、電気的皮膚反応(GSR)および心拍数(HR)は、fMRIデータの取得中に取得された(パラダイム図の図1A 参照)。全脳構造のMRIデータは、髄鞘形成の含量、水分、および鉄分量を測定するためのマルチパラメータマップ(MPM)[ 9 ]として取得された。
図1。
実験的パラダイムと主観的評価
(A)fMRIパラダイム:音を15秒間提示する標準的なブロックデザインを使用した。すべての音の後、被験者は、(1)音がどのように迷惑であったか、および(2)音がミソフォニック反応(ミソフォニア群)を引き起こすか、または反社会的であるか(対照群)であった。fMRIデータは、繰り返し時間(TR)が3.12秒で連続的に取得された。GSRおよびHRも実験を通してモニターした。
(B)主観評価:(i)ミソフォニックグループによる3種類の音のミソフォニック遭難評価。(ii)音の反社会的評価(対照被験者)。(iii)両方のグループによる音の苛立ち評価。不快感のある被験者は、不快な音(p <0.001)および中立的な音(p <0.001)と比較して、より大きなミソフォニック反応を引き起こすとトリガー音を評価した。ミソフォニックの被験者による不快な音は、迷惑であると認識され(中性音と比較してp <0.001)、一般的な迷惑とミソフォニック反応との間の解離を実証した。体感に関する主観的スコアについては、図S4も参照のこと。データは平均(±SEM)として表す。

行動データ(図 1B)は、トリガーサウンドがミソフォニックの被験者においてミソフォニック苦痛を引き起こした一方、不愉快なサウンドは、迷惑ではあるものの、ミソフォニック反応をもたらさなかったことを示した。ミソフォニックグループによるトリガー音のミスフォニック苦悩評価と、対照グループによる不快音の苛酷度格付けとの間に差はなかった。しかし、2つのグループは音を評価しながら異なる主観的尺度を使用した可能性が高い。グループ(2つのレベル)と音のタイプ(3つのカテゴリ)を因子とする一般線形モデル(GLM)[ 10 ]を用いたfMRIデータのランダム効果分析は、前部皮質皮質(AIC)における相互作用を左右対称に示した(図 2A;さらに地域が表S1)。さらなる分析は、AICにおける相互作用がサウンドをトリガーに応答して対象を制御するために比べmisophonic被験者においてより大きな活性化によるものであったことが示された(参照、図2のB及び図S1を確認するためのプロット;参照S2図)。ミソフォニックとコントロールの被験者間の有意な活性化の差異は、不快な音や中立的な音には生じなかった。で確認プロットに示すように、左右のAICの両方における活性が、misophonicグループ内misophonic苦痛の主観的評価に伴って直線的に変化し、図2証拠のC. A大体[ 11]は、AICが怒りを含む感情に関連する主観的感情に関与することを示唆している。機能的には、AICは、顕著性ネットワーク〔のキーノードであることが知られている12 ]、検出および個人の行動関連性と意味のある刺激に向かって注意を向けるための固有の大規模な脳ネットワーク。AICの特有の活動亢進は、発声者がこれらの音に異常に高い顕著性を割り当てるという仮説を支持する。
図2  グループレベルのランダム効果GLMによるfMRIデータの解析
GLMは、グループ(2つのレベル)と音のタイプ(3つのレベル)を要因とする階乗的な設計としてモデル化されました。
(A)2つの因子(群および聴覚のタイプ)の間の重大な相互作用のために標準的なMNI-152テンプレート脳にオーバーレイされた統計的パラメータマップ(SPM)であり、p = 0.05家族全体の誤差(FWE) 。この効果はMNI座標(-41,6,0)で最大値を有するAIC(両側)において最大である。
(B)AICのクラスターで平均した活動の確認プロット(図S1およびS2および表S1も参照)は、対話効果が、対照と比較して、ミソフォニック対象におけるトリガー音の活動が高いことによって引き起こされたことを示している。
(C)ミソフォニック科目におけるミソフォニック・レーティングを用いたAICにおける活動の確認プロット。
(B)および(C)のデータは平均(±SEM)を示す。

ミソフォニック参加者のトリガー音を区別する重要な領域としてAICを特定したので、ミソフォニアに特有のネットワークレベルの変更があるかどうかを確認するために、刺激依存の接続プロファイルを探求しました。左AICをシード領域として使用して、2つの群における刺激依存性の接続性を分析した。腹側前頭前野(vmPFC)、後内皮層(PMC;後部帯状疱疹および後退性皮質)、海馬および扁桃体を含む脳領域のネットワークにおいて、ミソフォニック対象に対するAICのより大きな機能的連結性が観察された(図3A)。この増加した機能的な接続性は、トリガー音に特有のものであった。不快な音に関しては、接続性に大きな違いは見られなかった。重要なことに、同じ音に対する2つのグループ間の機能的接続パターンは、量的にも質的にも異なっていただけでなく、vmPFCへの接続性はミスフォニックの被験者における(ニュートラルな音の接続性に関して)音のセットは否定的です。右AICの機能的接続性の分析はまた、vmPFCおよびPMCに対するトリガー音に特異的な増加した結合性を示した(図S3A ;扁桃体および海馬への機能的連結も観察されたが、わずかに緩和した閾値であった)。vmPFCとPMCは、デフォルトモードネットワーク(DMN)[ 13 ](参照図S3被験者が内部向け思考および記憶の検索に従事しているときに活性化されるDMNとAICの機能的接続ネットワークとの間のオーバーラップのためにB)を、[ 14 ]及び非活性化されます注目は外部刺激に向けられています。AICとDMNのより大きな結合は、発声音を聞くとミソフォニックな被験者がAICをDMNから「解放」することができないことを示唆している。これは最近の研究[ 15多変量パターン分類を用いて、vmPFCおよびPMCにおける活性のパターンが、異なるタイプの感情を区別するのに最も有益であることを示した。AICとvmPFCとPMCとの間で、ミソフォニックと同じ音に対する制御が明確に異なることは、これらの領域が、2つのグループのトリガー音に対して異なる感情反応を起こす上で重要な役割を果たすことを示唆しています。したがって、この非定形的な機能的接続性は、AICの異常な活性化、およびミソフォニックグループによって音を誘発するように割り当てられた異常な顕著性の根底にある可能性がある。

図3  機能的接続性と構造データ解析

(A)左AICをシード領域とし、脳のすべてのボクセルに対する機能的連結性を分析した。この図は、ミソフォニックな被験者(コントロールと比較して)におけるトリガーサウンド(ニュートラルサウンドと比較して)のより大きな接続性を示す脳領域を示しています。閾値を超えて生存する4つの領域は、(1)PMC(後部帯状皮質[PCC] /プレグネナス)、(2)vmPFC、(3)海馬、および(4)扁桃体である。各地域の棒グラフは、中立的な音に関するトリガーと不快な音の接続性の確認プロットを示しています。表示された接続強度は、p <0.05でクラスター閾値に設定され、クラスター形成しきい値はp <0.001になります(図 A-3の右側のAICの機能接続性および接続ネットワークとデフォルトモードネットワークのオーバーラップ)。
(B)失調症の脳構造変化。ミソフォニック被験者は、vmPFCのコントロールと比較して、より高い髄鞘形成を反映するより高いMT飽和を示す。複数の比較のために補正した場合(発声するためにミソフォニックでより高い機能的結合性を示す脳領域、すなわち、(A)のシード領域AICとともに示される機能的ネットワーク)で補正した場合、15個のボクセルのvmPFCが最大値(-3、44、-2)は補正後も残る。図の表示目的のために、補正されていないp <0.001の閾値が使用される。pu、パーセント単位。
棒グラフのデータは平均(±SEM)を示す。

ミソフォニアの症状は人生の早い段階で開始する(発症年齢は約12歳であると早くも5年もすることができます意味[ので1 ])、我々はまた、対照と比較してミソフォニック被験者における脳の構造的な違いがあるだろうと予測しました。我々は、脳灰白質における髄鞘形成を反映する磁化転移(MT)飽和の全脳構造マップを作成した。有意性試験のために、私たちは、シード領域と共に対照と比較して、ミソフォニックにおけるAICとのより高い機能的結合性を示す脳領域への探索を制限した。構造地図の分析は、ミソフォニック対象がMT飽和を変化させたことを示し、これはvmPFCの灰白質における有意に高いミエリン化と一致する(図 3B)。この変化は、ミソフォニックの被験者で観察されたvmPFCへの変化した機能的接続のための可能な構造的基礎を示唆している。

脳の機能的および構造的変化を同定した後、我々は次に、脳における身体およびその駆動源の生理学的反応を決定した。我々はGSRとHRを測定し、被験者はMRIスキャナーで3セットの音を聞いた。トリガー音は、ミソフォニックな被験者において、対照被験者よりも大きなGSR応答およびHR応答を誘発した(図4A)。生理的反応は健全な呈示の持続期間を通じて持続し、不快なニュートラルな音のための2つのグループ間のGSR応答またはHR応答に差異がなく、音を誘発することに特有であった。私たちが観察したトリガー特有の自律神経反応の高まりは、トリガー音の環境から逃れる発声者の強い傾向と一致している[ 1] 。 2 ]逃げることができなければ強い不安と怒りを経験する(戦闘/飛行の応答)。


図4。脳領域による精神生理学的反応と仲介

(A)ミスフォニックおよびコントロール被験者のHRおよびGSR。ミスフォニックの被験者では、トリガー音がHRおよびGSRの持続的な増加をもたらす。GSRおよびHRの統計分析は、fMRI分析と同様に、2×3のANOVAを用いて時々実行された。HR時系列では、因子間の相互作用は、発症後2.4〜10.4秒、その後12.4〜17秒に有意であった。GSRの時系列では、発症後7〜21.4秒の有意な相互作用が観察された(GSRとHRが有意に異なる時点をパネル間に黒色の水平バーで示す)。HRおよびGSR時系列の両方は、p <0.05でクラスター閾値を有し、クラスター形成閾値はp <0.05であった。ポストホック比較は、HRとGSRの両方における相互作用効果が、ミソフォニックな被験者のトリガー音に対するより高い応答によって引き起こされることを示した。2つのグループの間には、不快でニュートラルな音に対する反応に違いはなかった。bpm、1分あたりのビート。

(B)調音分析は、発声音を発するために、対照と比較して、発声された被験者においてどの脳領域がHRおよびGSRの増加を仲介するかを決定する。入力Xはカテゴリーベクトル(ミオフォニックの場合は+1、コントロールの場合は-1)であり、応答ベクトルYはHR / GSRの平均的な増加を含んでいる(ニュートラルサウンドと比較して)全脳の一段階仲介分析が使用された)を各被験者のトリガー音のトライアルで聴く。仲介変数Mは、中立的な音と比較されるトリガー音のベータ値(SPMを使用して決定される)です。(i)左AICはGSRの変化を媒介する。(ii)AICのクラスターを平均した2つのグループのGSRのメディエーション強度の確認プロット。(iii)AICは、ミオフォニクスにおける高められたHRを仲介する。(iv)AICのクラスターを平均した、2つのグループのHRの調停強度の確認プロット。

データは平均(±SEM; Aの陰影区域およびBのエラーバー)として表される。

ミソフォニアにおけるこれらの自律神経反応の脳の原因は何ですか?これに答えるために、我々は、変数X(グループメンバーシップ、すなわちミソフォニックまたはコントロール)からY(GSRまたはHR)への関係が第3の変数によって説明(媒介)できるかどうかをテストすることを目的とする仲介分析[ 16 ] M(脳活性化)。重大な仲介は、グループメンバーシップ(X)によって説明される以上に、観察されるGSR / HR(Y)を仲介することができるY(XからMからY)への間接的経路があり、 。我々はGSRとHRのために全脳仲介分析を別々に実施した。本発明者らは、AICにおける活性が、ミソフォニック対象におけるGSRおよびHRの上昇(図 4B)の両方を媒介することを見出した。

過去10年間で、インタオプション(内部身体状態の認識)が刺激に関連する感情の顕著さと経験に影響を与える可能性があるという認識が高まっている[ 17-20 ]。興味深いことに、AICは身体からの内臓の内臓入力を外部の感覚入力と統合する重要な脳構造である。これに伴い、AICの非定型的な介入と活性化は、多くの社会的情動障害の根底にあることが示されている[ 21,22 ]。最近、インターレセプションのモデルとして、予測に基づく階層的ベイズ推定を拡張への関心が高まってきた、19 23]。このモデルでは、インタセプトには、ボトムアップのインターセプト信号とその原因の事前の信念(予測)を組み合わせることで、インターセプト信号の原因を推測することが含まれます。このマルチレベルで階層的に構成された推論スキームでは、AICは階層の最上位にあり、身体の全体的な状態を推測することが示唆されている[ 24 ]。身体意識アンケート[ 25 ]を用いた身体知覚に関する主観的信念の評価は、ミソフォニクスが、ミソフォニックにおける変化した知覚感受性と互換性のある内部感覚(図S4)のより大きな意識を報告することを示した[ 22 ]。身体状態を表すAICの役割を考えると、アンケートデータはまた、ミソフォニアにおける異常なAIC機能と一致している。

結論
全体的に、我々のデータは、ミソフォニックの場合、トリガー音がAICの活動亢進およびこの領域の内側前面、内側頭頂および側頭領域との異常な機能的連結を引き起こすことを示している。AICとの異常な機能的接続性を示す内側前頭皮質における異常髄鞘形成が存在すること; 異常な神経応答が、ミソフォニック体験に伴う感情的な発色および生理的な覚醒を媒介することを示唆している。一緒になって、私たちのデータは、内的身体状態の非定型的な知覚と相まって、それ以外の無害な音に起因する異常な顕著性は、ミソフォニアの根底にあることを示唆している。利用可能なデータでは、ミソフォニアが非定型的な相互受話の原因であるのかそれとも結果であるのかを判断することは不可能であり、両者の関係を描写するためにさらなる作業が必要である。

ミソフォニアは、障害の神経学的または精神医学的分類を特徴としない。被害者は、これが引き起こす恐れの恐怖のためにそれを報告せず、医師は一般にその障害に気づいていない。この研究は、この悪性疾患を分類し治療するための継続的な努力を導く、行動、自律神経反応、および脳活動および構造の変化に基づく明確な表現型を定義する。

著者寄稿
SK、OT-H。、WS、JSW、およびTDGは実験を設計した。SKおよびOT-H。データを収集した。SKは、WS、JSW、MFC、TDGの助けを借りてデータを分析しました。SK、OT-H、WS、JSW、MFC、MA、TEC、PEG、D.-EB、およびTDGはこの論文を書いた。TDGは作業の全側面を監督しました。

謝辞
TDGは、このプロジェクトの財政的支援のためにウェルカム・トラストに感謝したい(付与WT091681MAおよびWT106964)。JSWは、MB / PhD卒業生のためのウェルカム・トラスト・ポスドク研修フェローシップ(グラント095939)を保持しています。ウェルカム・トラスト・センターは、ウェルカム・トラスト(助成金091593)からのコア・ファンドにより支援されています。この調査はUCL倫理委員会によって承認された

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(論文)補完代替医療としての笑い

NHK朝ドラの「わろてんか」がもうすぐ終わります。
お話は笑いで人々を幸せにするという吉本興業の創設者の話ですが、昔から笑いには健康効果がある事は言われてきています。
笑うから健康なのか、不健康な人は笑いが減るからそう感じるのか、意外と真面目な学会論文がなかったこの効果に関して、論文がありましたので、紹介いたします。

先日のブログでも少し書きましたが、睡眠は、脳の排泄機能ではないかという考え方。
不眠症は言ってみれば脳の便秘だということですね。
出したいのに出ない便秘の苦しさと、眠いのに眠れない不眠の苦しさは確かに似ている気がします。
便秘の解消には水溶性食物繊維を取るとか、腸内フローラを整えるとかいろいろと解消方法が言われますが、脳にとっての食物繊維って何だろうと考えると、幸福ホルモンといわれるセロトニン分泌を促すこと。セロトニンを増やす方法について笑いが有効というところに目を向けてみました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/4/2/4_2_51/_pdf

日本補完代替医療学会誌 第 4 巻 第 2 号 2007 年 6月:51–57
【総 説】

補完代替医療としての笑い
The Laughter Therapy
高 柳 和 江*
Kazue TAKAYANAGI*
日本医科大学医療管理学教室

【要 旨】
医学文献では笑いについての科学的研究が少ないが, 人間のコミュニケーションには大切である.補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くするが,ブラックユーモアな どは,時に鬱の患者さんに,反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療での笑いとはこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供し笑いをひきだすことで精神的・身体的効果を得ることにある.
I.総説で笑いの中枢と回路,笑いと表情,笑いによるからだの動き,笑いの発達段階などを俯瞰した後,II.具体的な補完代替医療として,病気の軽快を目的とした試みや方法を述べ,III.現場での取り組みとして,著者が行っている笑い療法士について紹介する.
【キーワード】
笑い,NK細胞,幸せ感,笑い療法士,パッチ・アダムス,癒しの環境研究会
I. 笑いについての総説

補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.笑いの効果における科学についての論文は少ないが,笑いは昔から百薬の長とされ,笑い関連の話題も多い.医学領域以外の笑いについて総説的に記述し,具体的な笑いの補完代替医療の医学的側面,および現状などについて,論述してみたい.
補完代替医療における笑いとは,自己治癒力を高める 療法である.

1. 笑いの中枢と回路
笑いをつかさどる中枢には大脳新皮質,辺縁系,視床 下部の 3 つがある(図 1).

笑いの回路には二つの独立したものが存在する.先天的で情動的な笑いを担う回路では,古い脳である前帯状回と扁桃体が中心的役割を果たす.後天的で認知的な笑いを担う回路では,意志の中枢である大脳皮質の前頭前野が指令を発し,緊張緩和としての笑いになる.笑いの出力回路は,最終的に脳幹に至るが,その途中で,小脳が介在して,笑い発現を状況にあわせて微調整している.

2. 笑いと表情
母親の表情が複雑で豊かなほうが,6 か月以降の乳児の笑顔の発達は,良い反応が出てよい笑顔に育つ1).一般に,ほとんどのポジティブな表情はシンメトリーに右左両方の顔にあらわれる.顔の対称性と利き腕の機能とは関係ないというが,人間は顔の片側だけで表情を表すことができる2).ポジティブな表情を片側だけに表すのは男性のみであるが,ネガティブの表情は男女関係なく,左側であらわされる2).
口の一端だけが笑い,あとの顔の部分が笑っていないものを引きつり笑いという.また,口角下制筋と口輪筋をつかって,口角を上げるときに,唇の真ん中だけをと がらせるという高等テクニックができる.これは,ゆがんだお世辞信号の一つである固い笑いだ3).以下に笑いと関係する表情筋をあげる.
1)大頬骨筋
この筋肉が収縮すると口角を斜め上外側に引き上げ,笑い顔に特有な口の形を作る.口輪筋が哺乳の際乳首を吸いつく働きをするが,そのあとで,乳汁を吸い取るときに大頬骨筋が働く.
2)眼輪筋
目を閉じる内側の筋肉と眼裂を細くし,目じりにしわを寄せる外側の筋肉があり,快や緊張緩和のときに働く.
3)皺眉筋
鼻の付け根から両側にやや上向きに走り,眉間のたて皺を作る.目の上のひさしで,まぶしさをさえぎるのが本来の役目だが,眼の笑いを抑制して,苦笑いなどのメッセージ性を加える.
4)口角下制筋
口の笑いを抑制する.
5)口輪筋
口をすぼめて前に突き出す.
6)眼球
人間は他の霊長類と異なって,白眼という特殊な顔面要素がある.つまり,視線,特に,一瞥をしっかり見立たせる笑いの強調の役目をする4).凝視には,視線を外すものと,視線を向けるもの二つがある.視線を向けるのは,愛,敵意,恐れという積極的な感情を示し,視線をそらすのは,恥じらい,さりげなく示す高慢さ,しおらしい服従を示す4).

3. 笑いによるからだの動き
人間は,非日常を感じると,驚きという反応をする.肩をあげ,深く息を吸い,腹筋を動かし胸を張り腰をそらすという全身運動を行う.この全身を大きく見せて,口を大きく開けるという態勢は,威嚇の動作にもつながる.愛と敵意は相反する感情であるが,笑いも威嚇と同じ行動を示す.
この後で,安心した時は,腰を曲げて,全身で息を吐き,笑いになる.安心できなかったときに怒りになる.笑いと怒りは表裏一体である.精神障害者に正面を向いて凝視すると敵意と受け取られる可能性がある.
笑うと頬の表情筋が頻繁に動き,顔面静脈が伸縮し, 脳から心臓へ戻る血流が増加する.笑っている時は激しく横隔膜を上下させるため腹筋が運動し,全身運動になる.
脳が興奮し酸素を消費すると,脳細胞への酸素の供給量が不足し,脳の働きが低下する.そこで笑いによって新鮮な血液を脳へ送る.脳細胞へ栄養供給が増え,情動をつかさどる右脳が笑いで活性化され,ストレスで左脳を使う人にとって,リラックス効果があると考えられる.
笑った後は,集中しやすく記憶力もアップできる.怒りや恐怖を感じたときなどの異常な事態の時に交感神経は優位になり,その状態が長く続くとストレスの原因になる.コルチゾールが高まり,免疫力が低下する.血圧も高くなる.
脇を触られるくすぐり笑いは脇の内側にある心臓,肺などの内臓を守るために,筋肉が緊張する.この時,全身の筋肉に力が入り緊張する.脇を触られると心拍数が上昇し急激にストレス状態になり,ストレスを和らげようと笑いが起こると考えられている.これをくすぐり笑いといい,酸素摂取量は,有酸素運動並みに多い.
1)副腎ホルモンが変化
笑いにより酸素が増えるとコルチゾールの分泌が減り,ストレスが鎮まる.単純笑いよりもゲームによる積極的な笑いのほうが効果が大きい5).
2)セロトニン神経の活性化
脳幹の縫線核から出た神経からセロトニンという神経伝達物質が放出される.人間の攻撃性と関連があり元気になる.これは覚醒時に持続的な放出があり,睡眠時に発射が抑制される6).呼吸,咀嚼,歩行などのリズム運動を行うことによっても,放出が増強される.不足状態では,うつ病,パニック障害,摂食障害になるなど,心の疾患と密接な関係がある.
3)副交感神経優位
笑いで副交感神経優位になると,安らぎ・安心感を感じた状態になりストレスが解消される7).
4)血糖値が下がる
血糖値はストレスによって上昇するが,笑いには,インシュリンを分泌する遺伝子作用に働いて,血糖を正常化させる作用もある8).
5)脳内麻薬物質の放出
笑いによって自然な幸福を感じさせる化学物質脳内モルヒネであるエンドルフィンやドーパミンを血液中に大量に分泌させる9).
6)免疫能が高まる
自律神経の頻繁な切り替えによる脳への刺激により,神経ペプチド(免疫機能活性化ホルモン)が全身に分泌される.NK 細胞には神経ペプチドの受容体があり,NK細胞は活性化される10).
著者の実験では,高圧酸素室にいれた大学生 10 人と笑いのビデオを見た大学生 10 人を比較すると,前者(コントロール群)はうつ傾向,緊張,疲労,混乱,が高まり11),活動性は落ちた.お墓に入ったみたいな長い時間だった,二度といやだという感想であった.後者は(笑い群)は心理テストもまったく逆の結果である.おわったの?もう一回?いいよと,あっけらかんとしていた.後者の NK細胞活性は有意に高まっていた(図 2).

4. 笑いの発達段階
1)自然微笑
新生児微笑は産まれたばかりの赤ん坊が眠っている間に微笑する現象で本能的なものである.親子のコミュニケーションを活性化する.赤ん坊の姿とそれを好ましく思う親の認知特性,つまり親に奉仕させ子どもの生存率を高める行動は Care Eliciting Behavior のひとつである.自然の生き残り戦略の上で,遺伝子に組み込まれた仕組みらしい.3 カ月で消失するが,6 カ月まで,565 回の自然微笑と 15 回の声出し笑いが観察された例もある12).
2)受動的笑い
自発的に起こる自然なもので嬉しさの表現である.親の顔の視覚情報が脳の情動中枢である大脳辺縁系に到達し,続いて,大脳基底核に中継される.大脳基底核は脳の高次の皮質とそれよりも進化的に古い視床との間に位置するいくつかのニューロン集団である.この基底核が自然な微笑を生み出すのに必要な顔面筋の一連の活動をまとめる.この事象のカスケードはいったん作動すると瞬く間に完了し,思考をつかさどる皮質が関与する余地は無い.
人の脳には相手の感情を読み取るミラーニューロンがある.これが働くと,つられ笑いが起こる.共感するミラーニューロンである.脳の前頭葉にある神経細胞は,人の表情,声から感情を読み取り,同じ感情になるよう命令を出している.つられ笑いやもらい泣きが起こる.
親の微笑みかけという介入で,微笑み返す.親が使う赤ちゃん言葉は親にとっては退行現象であるが,こどもは言葉を聞き取る能力を発揮する.3 ヶ月を過ぎると,おいしい食事にありついたとほっとしたとき,おもわずこぼれる微笑なども受動的な笑いだ.快の笑いとも言う13).
ただし,笑顔を見ても,笑いを拒否する行動をとる時もある.大人は目をそらすか,敵意の目線を返す.親が笑いながら目をみつめても,機嫌が悪い乳児は意図的に首を曲げて目をそらす.本人はミルクがのみたいとか抱いてくれとか,問題が解決されるまでは,笑いたくないという意思を示す.
3)能動的笑い
笑おうとする意思があって,積極的に介入を取り入れる笑いである.漫画,落語,映画,本など,能動的に笑えるもので,意思の力が入る.社交上の笑い,前頭葉の笑い,さらに,達成感のある霊的な笑いをも含む11,13).
4)信号としての笑い
①笑いの発現時間,持続時間
笑いで顔の表情がかわるスピード,笑いの発現時間は,本人が感覚を探す能力に反映しており,また,個人的なスタイルと関係する1).典型的な笑いは,十分な強さがあり,消えるまでに時間がかかる.ちらっと浮かび,すぐに別の無表情な顔に変わり,笑いが直ちに消える断片的笑いもある.セロトニンをだす機能とも関係するらしい.
②信号としての強さ
ぎこちない,またはあいまいな表情は不足信号としての笑いである.
③作り笑い
人間は完全な作り笑いをすることができる.舞台俳優は,笑いと言う信号を強調して 30 メートル以上離れたところに,伝えるという不自然な課題をこなすことができる.
5)病的な笑い
笑うべき刺激でない時に,笑い発作がおこるコントロールできない笑いと,脅迫笑いという病的なものがある14).小脳と橋核の笑いの中枢の異常と,笑いの出力を調節する神経回路に異常がある 2 つの場合がある.

II. 具体的な補完代替医療
1. 病気
アメリカのノーマン・カズンズは,強直性脊椎炎にかかったが「笑い療法」とビタミン C の大量投与を行い,1 週間ほどで症状が改善し始め,半年でもとの編集長職に復帰した15).
1)病気の軽快,治癒
笑いが,がん,心筋梗塞,アトピー,リウマチなどの膠原病等にも好影響を及ぼしていることが報告されてい る.リウマチ患者に落語を聞かせると,リウマチ悪化因子が減り,関節の痛みも和らいだ7).ノーマン・カズンズも 10 分間腹を抱えて笑うと,少なくとも 2 時間は痛みを感じずに眠れたという15).
悪性腫瘍の自然治癒は,神経芽細胞腫で有名であるが,笑いや前向きな生き方で消化器がん,悪性リンパ腫での自然治癒もまれに報告されている.
2)苦痛の軽減
妊娠,出産,出産後の親のケアなど,抗がん剤治療でも緩和ケアでも医療に笑いとユーモアが有効である16–19).ユーモアは患者の痛みをとり,医療者の人間的なところを見せ,すべての人の協力をもたらす.患者がユーモアを使うと医師との診察が軽い気持ちになり,医療者が使うと,日常が楽しくなる20).
3)幸せ感
パッチ・アダムスは認知症で怒り顔の人も,アルツハイマーで能面の顔をした人でも笑いで笑顔に変えた(図3)21).
教育の分野においては,ユーモアをより多く用いる人と創造的思考の間には統計的に有意で正の相関関係がある2).前向き思考と幸福感を授業の前後に考えさせる教育をおこなったイタリア人の思春期の子供では,適応が良く自己効力感が高まった22).
ビジネスの分野でも笑いのストレス管理で従業員の血圧が下がり,パフォーマンスに好影響を与えているとの報告がある23,24).
身体的健康とユーモアとは関係がある25).健康とユーモアのセンスの関係を図るには,もっと研究が必要である.
2. 方法
1)受動的
①お笑いの本,小説,マンガ,映画
自分は笑えるといういくつかの本や映画を見つけておく.または,お笑い芸人の芸をみる.
②環境
患者がかるい気持ちになる面白い小説,本,DVD,映画を満載してある笑い車を病院ロビーに置くことは簡単である20).ま た,マサチューセッツ総合病院の The Kenneth B. Schwartz Center では患者に希望を与え,介護者をサポートして,癒しのプロセスを助けるところとして寄付され,回診では患者の精神的な問題もとりあげる26).
2)能動的
①積極的に笑い顔をして笑い声を出す.
笑顔を無理にでも作り,笑い声を出す.俳優は劇の中で笑うことができる.このときに,セロトニンが増える.
②肉体運動
運動やゲームなどは肉体的な達成感も伴い,笑える5). くすぐりと,全身笑いに移行して肉体運動にもなり,セロトニンも高まり,副交感神経優位になるなど身体的な変化が起こる.
③笑いを創り出す
窮地に立ったときこそ,自分から周囲に笑いを呼び込むことができる.笑いのネタ本で本当に笑えるのは,3分の 1 もない3).相手を錯覚させる方法,同じ内容の順番を変えるだけで悲劇を喜劇にする方法,マクロとミクロを反転させる方法など,思いがけないオチをつけるテクニックがある3).ただし,笑いならなんでもいいわけではない.患者さんや病気のこと,個人攻撃,自虐ネタなどは痛みを増やす笑いである27).
④達成感
目標を決め,努力して達成感が得られたら,笑える.スポーツ選手の笑いや選挙当選者の笑いでよく遭遇する小さな目標から大目標まで,いろいろ決めておくとよい.

III. 現場での取り組み
1. 笑い療法士
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療ではこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供する笑える環境というのが必要だ.私は癒しの環境として五つの項目をあげている27).「安全」「リラックス」「(医療の)質 がよいこと」「元気になること」,および「生きがい」がそれであるが,これは笑いでも同じことである.人間としての権利が守られていることを実感して,安全だと感じることではじめて人は笑える.ほっとしてほほえみ,だんだん,げらげら笑って,元気になっていくことができる.
筆者が代表世話人を勤める癒しの環境研究会では笑い療法士評価認定委員会(委員長:中島英雄・中央群馬脳神経外科病院理事長・噺家桂前治)を立ち上げ笑い療法士を育てている28).「笑い療法士」とは,笑いをもって患者の自己治癒力を高めることをサポートする人のことである.患者さんに,よりそい,心をひらいて笑いを感染させるのが笑い療法士である.笑いは,人が幸せに生きることを支え,また病気の予防にもつながっていく.そうした笑いをひきだすのが「笑い療法士」だ.健康な人,笑いたい人が笑おうと待ち構えているところで笑わせる「お笑い」とは違う.したがって,笑い療法士は場所を選ばず,とくにグッズやパフォーマンスを必要としない.医療・福祉関係者のほか,患者さん,家族や一般の方などで「その人がいるだけで空気が変わる,社会が楽しくなる人」も対象である.人間の心をしっかり持っている人,そして患者さんに寄り添える人,というのが笑い療法士の条件である.応募者が多く,候補者になるには書類審査で 9.3 倍の狭き門である.候補者は患者心理学や脳の解剖,笑いの医学的基礎や患者心理など 2 日間にわたるトレーニングと講習を受け,その後のフォローアップと呼ばれる約 2–3 か月の実績を見て 3 級に認定した(図 4).
「療法士」というタイトルを認定するという 社会的責任から水準を高めるための継続研修も行っている.この笑い療法士は社会の広い層から大きな反響を呼び,新聞にも大きく報道され,取材も殺到した.
2005 年 10 月 23 日から,2007 年 2 月まで第 3 回の認定を行い,209 人の笑い療法士が誕生した.認定された人の職業は医師 26 名,看護師 43 名,医療福祉 30 名,コ・メディカル 16 名,一般人 95 名である.病院理事長,大学教授,お坊さん,落語家から全くの市井の人,患者さんなどのさまざまな職種がいる.年齢も 19 歳から 84 歳まで広がっている.
笑い療法士 3 級の有効期間は 3 年間で,その間の活動ぶりを評価して,その結果に応じて更新が行なわれる.今後は豊富な経験と実績が必要とされる 2 級笑い療法士,患者から呼ばれてプロとしてお金を払ってもらえる笑い療法士 1 級の認定になる.認定を受けた人は,笑い療法士の名称を用いて,さらにまわりの人々に笑いを広 げる.医療や福祉の現場に「自己治癒力を高める笑い」を広げるムーブメントを起こし,その中心人物として活躍することが求められる.
笑い療法士とは,「患者を尊敬し,患者の心に寄り添って,笑いを感染させる人々」である.医師でも患者さんでも笑い療法士は,常に笑い療法士の状態であり,今から笑い療法をします,というものでもない.患者さんがよくなることで生きがいにもなっている.癒しの環境研究会では今後,「1 日 5 回笑って,1 日 5 回感動する」というテーマを掲げて笑い療法士の周知や地位向上をさらに進めていく予定である.
2. ホスピタルクラウン
欧米ではホスピタルクラウンといって,一般人がボランティアでクラウンの格好をして患者を元気にするシステムがある29).英国では医師がクラウンの格好をするドクタークラウンもいる30).米国では,ドクタークラウンとしてパッチ・アダムスが有名で映画で日本でもおなじみである31).日本でも,ホスピタルクラウンのボランティアをする団体がいくつか出てきた.主に子供たちに元気を与える試みがなされている.
3. 笑い療法の効果
がん患者で笑い療法士になった人は,普段は,包丁で刺されるみたいな痛みが笑いでまったく痛くなかった.終わってから,痛みが戻ってきたという.腫瘍マーカーが笑いで下がったと報告してきた人もいる.
88 歳の A 子さんは,大学病院の結果は胃体中部小弯側に 3 cm 大の 2 型(限局性潰瘍形成型)分化型腺癌で SS層まで達しており進行胃癌と診断されたが,本人の手術拒否で,経過観察をした.笑い療法士の開業医が顔面表情筋の体操,彼女の目を見ての傾聴,毎回だじゃれ等を中心とした話題,日々感動してもらうなどをしたところ,1 年 7 ヵ月後食欲も貧血も改善傾向となり,内視鏡検査を行なったところ,萎縮性胃炎に変化していたという.

まとめ
ユーモアや笑いはその場の空気を変える道具として使える.ユーモアは患者と医療提供者の両方にとって孤独を和らげる.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くする.ブラックユーモアなど時に反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.医学文献では笑いについての研究がほとんどない.医師の診察や看護師の経験を通して,ユーモアの役割をレビューすべきである.人間のコミュニケーションにはユーモアや笑いは大切であり,医療者は日常にもっと用いるべきである20).
笑い療法士が国家資格に認定され,日本中で 100 人に1 人が笑い療法士になると,日本の国も明るくなることだろう.
青森県では,青い森笑いプロジェクトも 2007 年からスタートした.いじめ,虐待,自殺防止のために,県民 2万人にほほえみをする人々を養成するプロジェクトだ.国の科学研究費で「エビデンスのある患者自己治癒力向上―量的(HSP 免疫など)と質的評価を指標として」というタイトルで筆者の笑いの研究が認められた.笑いに科学の光がはいるとともに,全国の医療現場や家庭で本当の笑いのムーブメントが広がることを願っている.

参 考 文 献
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ABSTRACT
The Laughter Therapy
Kazue TAKAYANAGI
The Department of Health Policy and Management at Nippon Medical School
There are few scientific papers about the effectiveness of the laughter of the patients, even laughter is essential to human com- munication. Cultural values of people acknowledge laughter as good medicine, although the black humor is sometimes risky strat- egy for the depressed patient. The most patient has his own serious problem which prevent him to laugh. Laughter in complementary and alternative medicine means to offer the atmosphere and environment where depressed patient can be educated smile and laugher to improve psycho-physiological status.
Current review of laughter was done and grouped into three main themes: (1) medical aspect of laughter, (2) laughter as one of the alternative medicine, which relieve stress, care and heal the patient and (3) the laughing therapist who enhancing laughing to the patients suffered from mental status. There are some supported paper of a connection between sense of humor and self- reported physical health. More research is required to determine interrelationships between sense of humor and well-being. This study contribute the value and significance of laughter to support people in their learning journey.
Key words: Laughter, therapist, healing environment

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人間の3大欲求

人間の三大欲求として上げられる食欲・睡眠欲・性欲について、考えてみます。なぜ睡眠をとるのか?安眠出来ないとはどういうことか?不眠を克服するにはどうすればいいのかを考えました。
更に、人間としての生きること死ぬことを哲学してみました。
たまにはそんなことを考えてみるのも面白いですよ。

食欲

食欲は生きるために必要な欲望なのですが、実は制御可能な欲望です。
どうしても抑えられないものでもありません。
極端な話、死ぬまで食べないでいることが可能です。
しかし食べることは必然的に排泄が伴いますが、排泄は通常の制御はできますが、最終的に制御不能です。
しかし排泄は欲と言わないのが不思議です。
食べる。その中から必要な栄養を取り込む。栄養を取り込んだ残りや、体から不要な代謝物を排泄する。
入れれば出すというのが当たり前の流れですね。

睡眠欲

さて睡眠の欲求に関しては、食欲や性欲と違って抗うことができません。
最終的に制御不能なところは、むしろ排泄に近い欲求です。
実は最近の研究では睡眠は排泄機能ではないかというものがあります。
認知症の原因物質とされる「アミロイドβ蛋白」の蓄積を睡眠中に脳脊髄液が流してしまうというものです。
そして睡眠中に脳は短期記憶を長期記憶に置き換える作業を行っているということです。
もし睡眠が排せつ機能であれば、入るものは何かというと、情報ということになります。食物を食べて、必要な栄養素を吸収し、不要なものを排泄するように、五感を通して入ってくる情報や、思考情報などが脳に大量に記憶され、寝ている間に整理されて、不要情報を排泄するのだと思います。
だから不眠症になると、便秘と同じで排泄が出来ずに辛くなるのでしょうね。
排泄できないのですから新たな情報を入れるのもつらいですね。
これが鬱症状なのではないかと思えます。
食欲不振と同じなので、無理に鬱を薬で抑えて新しい情報を入れると、脳がパンクしてしまいます。
先にきちんと睡眠をとり、きちんと排泄できれば鬱も治るのではないでしょうか?
「不眠症の解消」
さて、不眠症を便秘解消と同じような解消方法で考えると、腸の蠕動運動を促すためには、腸内環境を整え、バランスの良い食事と、適度な運動、そして食事と食事の間のインターバル時間をしっかりとることです。
また、交感神経と副交感神経の切り替えをしっかりと促すことも大事です。
不眠症に当てはめてみると、入れる情報の質を整えること。
交感神経優位の時にしっかりと情報を入れたら、副交感神経優位の時には、出来るだけゆっくりと過剰に情報を入れないようにすることも大事だということになります。
現代のように情報の洪水の中で、ストレスにまみれ、常に情報を入れ続ける環境であれば、不眠症になってもおかしくないと言えるのではないでしょうか。

次に環境についていえば、トイレに行くだけで排泄感が増すのが正しい感覚で、便秘症状が強い人はその感覚がなくなっているのだと思います。
同じように不眠症の環境で言えば、ベッドに入るのは、眠くなってからにすることです。実は不眠症に陥る一番の原因は、眠れないのに布団の中にいることで、布団の中が眠れない場所と体が覚えてしまうことです。

不眠を便秘に例えて説明したわけですが、実は便秘と不眠症は本当につながっているという説もあります。NHKスペシャル「人体」でも紹介されたように、脳に次いで神経組織を持っているのが腸であり、腸が第二の脳といわれる所以である訳ですが、実際に便秘症の人に不眠症の人が多いのは事実のようです。自律神経の影響で交感神経副交感神経の切り替わりが上手くできないことが便秘症も不眠症も生み出していますので、便秘が治れば不眠も解消できるし、不眠が治れば便秘も治るということです。

性欲

これはまさに本能の成せる欲求です。
子孫を残す、DNAを拡大させることは生まれた目的ともいえる本能です。
そして、生まれることと対をなすのは死ぬということです。
死ぬことは当然ながら欲求とは思えないのですが、出来るだけ先に延ばそうと抑制してしまいますね。
そして制御不能となって最後を迎えます。
入れたら出すという当たり前の流れです。

生き物はDNAを拡散させることが生きる目的であるし、DNAの拡散ができない状態になれば、もはや生きる目的はありません。虫や魚などには卵を産んだりすればそれで死んでしまうものは少なくありません。
子供を育てる動物は、DNA拡散の能力がなくなっても、子供を守り更なるDNA拡散を確実にするためにしばらくは生きていますが、孫世代まで生きていればそのお役目も終わるために寿命が来ます。
まあ、人間の場合は例外的に長生きしているので、もっと別の目的を見だしてもいいでしょう。

「意識の哲学」
生物学ではなく哲学として断って持論を入れますと、食欲は体に必要な栄養を取り込む。睡眠欲は情報を取り込む。では性欲は何か?生きる事とは何か?ということになりますが、もちろん生物としてDNAの拡散が第一にありますが、人間は別の目的を持ちます。思想・生きている考え・意識を成長させることではないかと思います。
人が生きている間に、どれだけ自分の魂を成長させることができるか、教えを広げることができるか、自分の生き方で影響を与えることができるか。
子孫を残すことが、DNAを拡大させることと同じように、自分の思想・信条で多くの人に影響を残し、たとえ死後であっても長くそれを残し続けることができるか、思想信条のDNAを多くの人に残し長く語り継がれることができるか。

「死は排泄」
そして死を排泄ととらえると、人は死ねば仏や聖人になることができるように、生きている間の善行や悪行のうち、悪行を捨てて善行だけを残すのが排せつではないかと思います。
多少の悪事は、死とともに解消され、善行のみがその人の思い出として残すことができます。
その善行や思想信条が、優れていればいるほど、広く長く後の人に影響を与え、たたえられ続けることができる。多くの子孫を残すことができるのと同じように、思想信条のDNAを残すことができます。
キリストやブッダやムハンマドは、多くのDNAを長く残したことになりますね。
それこそが天国に行ったことになるわけです。
そして殺人鬼や独裁者としての悪行等があまりにひどく、死とともに排泄しきれずに、むしろそれが強く多く残った人は、いつまでも悪人として後の人に記憶として残る。これこそが地獄ではないかと思います。

多少の悪行は誰にでもあるので、そこにあまり強く罪悪感を持ったり、自暴自棄に陥る必要はなく、善行を施すことが少しでもあり、人々の記憶に残れば、死とともに悪行は排泄され、仏様や聖人になれるということです。それこそが天国に行くことです。

「意識のDNA」
人は子供や孫の中に、自身のDNAを残し広げます。そこには生物としての情報はありますが、意識はありません。しかし、思想信条生き方のDNAを残し、多くの人の中にそれを残すことができれば、自分の意識の広がりを持つことができます。人々がインターネットでつながることができるように、人々の意識の中のネットワークに、自身の意識を持つことができるかもしれません。
人が天の啓示を聴いたり、ひらめいたり、宇宙の意識からメッセージを受け取ったりするという人がいますが、もしかしたら人々の中に思想信条生き方のDNAとして残った意識が人の意識のネットワークをもってそのような意識の表れとして、出現しているのかもしれません。
輪廻転生を現実に調査してその現象を科学的に検証したという報告もありますが、その意識が一体どこに残っていて、新しく生まれた子供に宿るのか、それはどこか異次元の世界にあるのではなく、われわれ人間のもつ意識のネットワークの中に宿り続け、やがてその子供の意識の中に強く現出した結果ではないかと思います。

「永遠の意識」
生物の中でも人間だけは、肉体の死をもってしても意識は永遠に生き続けることができるのかもしれません。
永遠の意識が天国で生きるのか、地獄で生きるのか。それは生きている間にどれだけの善行ができ、多くの人にそのDNAを残すことができるか。人々から完全に忘れ去られる時は、本当の意識の消失として終焉を迎えるということですね。

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(article)医師が教える【不眠】と睡眠薬が効きづらい4つの理由

見沼田んぼを流れる芝川の鴨
柴川の土手の上を散歩します。鴨や亀、鯉などが水辺で生きているのを眺めていると、ここには、わずかながらの自然があるんだなと思います。ちょっと前にはカワセミも見ました。
もうすぐつくしも出てくるのかな。

「不眠症には安眠家具」を裏付けるための情報収集中に面白い記事を見つけました。
私の都合の良い解釈をさせていただければ、睡眠薬が効きづらい環境要因による不眠症や睡眠過誤による不眠症の訴えに関しては、睡眠薬よりも安眠家具のほうがはるかに効果的であるということです。
「医者が教えない精神科のこと」というサイトで、管理人の「Dr.G」による、医学的根拠に基づいた情報と医師個人の見解ということです。

http://tokyo-mentalclinic.com/insomnia/post-1559/
医師が教える【不眠】と睡眠薬が効きづらい4つの理由
目次
1 不眠
1.1 睡眠薬が効く不眠症と、効きにくい不眠症
1.1.1 1.環境要因による不眠
1.1.2 2.心理的要因による不眠
1.1.3 3.精神疾患による不眠
1.1.3.1 躁うつ病(双極性障害)による不眠
1.1.3.2 アルコール依存症による不眠
1.1.3.3 高齢者の不眠
1.1.4 4.身体症状による不眠
2 まとめ
3 不眠に関するQ&A

不眠

不眠とはよく眠れないことを指す症状ですが、どこからが不眠なのでしょうか?
この定義は意外に重要で、患者さんを診ていると、異常に睡眠にこだわっていて患者さん自身のいう睡眠を満たさないと不眠だという「厳しい不眠」という患者さん独自の不眠もあるほどです。
つまり実際には不眠ではなく、患者さんの思い込みによる不眠も相当数いると考えられます。
それでは不眠とはどの程度のことを指すのか?
まず「眠れていない」という感覚は必要条件ではあるのですが、本人の訴えだけでは睡眠過誤ということもあり得ます。
また睡眠過誤とは眠れているのにもかかわらず、本人の感覚では眠れていないという感覚のずれを指します。
日本の成人の睡眠の調査では、6時間を切ると「よく眠れていない」という感覚に陥りやすいことがわかっています。
睡眠薬はそもそも不眠を治療するものですので、よく眠れていないという感覚を治療するものではありません。
ましてや睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)の依存性は最短で1ヶ月以内の内服でもできることがあることを考えると、いくら短期間といえども安易に飲むべきではないのかもしれませんね。
つまりは睡眠薬を飲むべき状況というのは、健康な睡眠をとっている前提で(生活習慣的に、極端に寝る時間が少なくはない、明らかに眠れないだろうという状況がない、パートナーからも「よく眠っていそうだよ」と言われる)にもかかわらず、日中過度の眠気が来てしまう、これを不眠症として睡眠薬での治療を検討するのがいいのだと思います。
実際の臨床現場でも、「睡眠薬がやめられない」という方は本当に増えている印象があります。
おそらく本当の不眠症だけでなく、感覚的な不眠であっても睡眠薬を飲んだりしている例も多いのだと思います。

睡眠薬が効く不眠症と、効きにくい不眠症

不眠だからといっていかなる状況でも睡眠薬が効くというわけではありません。
不眠症の分類が正式にこうやって分類されるというわけではありませんが、医師の立場からこのように分類するとあらかじめ睡眠薬を処方したときの効果が予測できるというものを示します。
おそらく精神科・心療内科の主治医の先生のお考え、かかりつけの内科で処方してもらうときの先生のお考えもあるでしょうから必ずしも一致するものではないということを前提にお読みいただければと思います。
1.環境要因による不眠
2.心理的要因による不眠
3.精神疾患による不眠
4.身体症状による不眠

1.環境要因による不眠

その字のごとく、眠る場所・環境に問題があることで起こる不眠です。
温度や湿度、部屋の明るさ、音、仕事の不規則さ(シフトで動く交代制勤務など)が挙げられます。
物理的な要因による不眠ですからこの場合、睡眠薬はメインにはなりません。
睡眠薬を飲むよりよっぽど環境面を整えた方がはるかに効果が高いからです。
しかし勘違いしないでいただきたいのは、睡眠薬を使用しないというわけではないことです。
自身の努力ではどうやっても変えられない部分もあるからです。
でも大事なことは、環境を調整できるところはしてみるという努力です。
この前提のもと短時間だけ作用するような睡眠薬を飲んでみるのはありです。
短時間だけというのは睡眠導入剤といわれるものです。
その目的は、環境が明らかに悪くこれによって不眠になっているのも明白だけど不眠が重なって悪循環になっている。このときはリセットするという意味で睡眠薬(短時間作用)を飲むのです。
お分かりだと思いますが、これで眠れたからと言って連日服用し環境の調整ができなければそのうち耐性ができて、睡眠薬の量を増やすことになり、さらに依存性もできて気づいたらやめられないことになりかねません。
睡眠薬はレスキューとして飲むという感覚が処方されている側にも必要なのが、この環境面によって起こる不眠です。

2.心理的要因による不眠

環境的な要因と対をなすのがこの心理的な要因による不眠です。
一言で言うなら、ストレスによる不眠です。
実際、ストレスによって睡眠が不十分になってしまうことは、生理的な範疇で結構経験されることかもしれません。
これが慢性的に続くと、生理的な範疇と言えないくらい夜眠る時間がくるのが怖くなったり、だるさや日中頭が働かないことが日常茶飯事になり、この状態を心理的な要因による不眠症というのかと思います。
ストレスに対する反応は様々で、些細なことで必要以上に辛く感じてしまう方、些細なことは些細なことで感じられる方様々だと思います。
知覚過敏もそうですが、ある刺激に対して必要以上に神経の興奮が起こる、必要以上に冷たく痛く感じてしまう、アイスや冷たいものを口にするときにでもおこってしまうこの現象、ストレスでも同じ現象があるのではと思います。
これはもう本人の性格の問題ではないのではと思っています。(あくまで個人的な見解かもしれませんが・・・。)
ストレス反応によって脳の中ではノルアドレナリンが増える、これによって覚醒する方向に脳は動き出してしまい、眠れなくなるのでしょう。
おそらくそれだけでなく、同じことをぐるぐると考えだしてしまい、そこにもブレーキがかからないそんな状況からくる不眠が心理的要因による不眠だと定義できると思います。
その心理的因子に影響するストレスがなくなれば再び眠れるようにはなるはずなのでその状況を乗り切るという意味で睡眠薬を使用するのはありですが、なかには解決しない問題もあるでしょう。
このときには長期に服用する状況になりやすく、依存性に注意を払う必要があります。
心理要因による不眠では、睡眠薬としての側面もそうですが、抗不安作用を期待してベンゾジアゼピン系の睡眠薬・安定剤(抗不安薬)が処方されることが多いと思います。(よく処方されることが多いのはデパス®です。)

【睡眠薬・安定剤(抗不安薬)】の実際でも書きましたが、依存性は強いのでこの場合は催眠効果の強い抗うつ薬(トラゾドン:レスリン®、デジレル®)も併用することでベンゾジアゼピン系の睡眠薬の使用量が多くならないようにするのもありかと思います。
実際、うつ病を併発していることもあります。

3.精神疾患による不眠

統合失調症、うつ病、躁うつ病(双極性障害)、認知症、アルコール依存症などの精神疾患は多くの場合「不眠」を伴います。
ただ背景に上記の精神疾患があり、そこから出る「不眠」なのでその基礎となる疾患の治療が「不眠」の治療に必要になります。
そこに、対症療法的にマイナートランキライザー(睡眠薬・安定剤)をメインにして飲んでいても、もとの精神疾患の治療が進まなければ耐性と依存によってどんどん処方される量が多くなっていくだけになってしまいます。
そうなると、短時間作用型の睡眠薬だけでなく長時間作用型も一緒に飲むようになり、翌日まで眠くなり結局、仕事の効率が落ちたり、眠っていることが多くなったりなど生活レベルは落ちていくだけになってしまいます。
ですから基礎の精神疾患に対する治療をしっかりやっていくことが大切になりますので、薬物療法であれば睡眠薬・安定剤(抗不安薬)を増やすのではなく、うつ病なら抗うつ薬、躁うつ病(双極性障害)なら気分安定薬(これは当サイトでマイナートランキライザーと同じ意味で使っている安定剤とは違う薬の種類です)、統合失調症であれば抗精神病薬を強化していくのが原則なのではないかと思います。

躁うつ病(双極性障害)による不眠

躁状態はハイテンションのイメージが強く、気分が高まって眠れないイメージですが、必ずしも気分がハイになって調子がいいことを示すものではありません。
イライラや焦燥感(そわそわ、じっとしていられない)がメインの躁状態もあり、その精神運動興奮により眠れなくなることがあります。
この場合の対応は抗精神病薬(エビリファイ®やセロクエル®など)や気分安定薬(ラミクタール®やデパケン®)を飲むとおさまって眠りやすくなることがありますので、躁状態というのが気分がハイであるイメージにとらわれず相談するようにしてみてください。

アルコール依存症による不眠

アルコール依存症で注意が必要なのは、アルコールと睡眠薬・安定剤(抗不安薬)がお互いに干渉しあう(交叉耐性といいます)ことです。
つまり、アルコールもマイナートランキライザーと同じ作用をするし、マイナートランキライザーもアルコールのような成分を持つという意味です。
アルコールが睡眠薬・安定剤(抗不安薬)に変わったところで、単にアルコールそのものではなくなっただけであって、解決はしていないということです。(逆にアルコール離脱症状に病院ではアルコールで抑えるわけにはいきませんので、マイナートランキライザーを使うこともありますが・・・実のところ意味はないですね)
アルコールの不眠には睡眠薬・安定剤よりは、抗精神病薬や抗てんかん薬(気分安定薬)を使用することがあります。

高齢者の不眠

高齢者の不眠では徘徊やせん妄(軽い意識障害を伴い、本人は記憶なく行動しているような状態)となることがあります。
特に中途半端に睡眠薬が効くとかえってこのような症状が強くなり、周囲も大変ですし、転倒して骨折して寝たきりになってしまうようなリスクさえあります。
ですから、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬(例えばマイスリー®、ジェネリックではゾルピデム)が処方されることが多いと思います。

4.身体症状による不眠

風邪をひいて咳で眠れないとか、虫歯は夜にずきずき痛み出すので一晩中痛みと闘っていたりなど身体症状による不快から眠れないという経験をしたことはありませんか?
呼吸が苦しい、痛みが強い、その他の症状で不快感が強いことによって起こる不眠を「身体症状による不眠」としました。
当然この場合、睡眠薬が解決にならないのはわかるかと思います。
原則、不快な症状そのものを抑えないといけませんよね。
不快な症状に打ち勝つような強い睡眠薬でしか眠れないでしょうし、かえって痛み止めなどでその症状そのものを緩和してしまえば効いている間は眠れるはずです。
このような不眠は一過性ですので、あまり睡眠薬による依存などのリスクを考える必要はないと思います。

まとめ

不眠は生理的な反応であって、病気としてとらえにくい面があります(疾患としての不眠ももちろんあるのでしょうが・・・)。
本人が不眠と言えば「不眠症」であって、通常病院でそのことを言われれば「睡眠導入剤」を出したくなるのが医師の人情なのかもしれません。
でもそのことが結果、飲む側にとってはとんでもない災難になることもあります。

「やめられない・・・」と。

研修医のころ、患者さんが「眠れない」と訴えたら「睡眠薬を処方します」ではなく「話を聞きなさい」と言われました。
たぶんこれが一番正しいのかもしれません。

「先生に話を聞いてもらって、少し安心した。」

この言葉が出るのが一番の薬なのかもしれません。
でもこれは綺麗ごとで、不眠の方にとっては「夜が来るのが怖い」とも聞きます。
だから、「睡眠薬があると安心する」これも事実です。
大事なことは、「どの睡眠薬が効くか」とか「この睡眠薬ではだめだ」ではなく、いったい今何がこの不眠の原因になっているのかを考えられること、「眠れない=病気」と直結させないことではないでしょうか。
医者になって10年以上経ちますが、結局のところ不眠に対する正しい治療法は未だわかりません。

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(paper)寝不足はダイエットの敵

葉の落ちた街路樹を下から眺めると、何やら踊っているようにも見えます。
最近は樹木の枝の伸び方などに、驚かされることが多いです。動かないと思われる樹木が驚くほど活動的で、隣の木ときちんと空間を分け合っているところなどを発見すると感心してしまいます。

私は徹夜が続いて痩せてしまいましたが、実際徹夜した後は甘いものが食べたくなります。寝不足の状態が脳の活動にどのような影響を与えるかの研究の中からの成果を、一般の方の関心事に向けて警告しているということですね。実際は同じ睡眠でもレム睡眠とノンレム睡眠の違いや睡眠の質というものにもかかわってくるものです。安眠が大切であることを分かりやすく示しています。

柳沢正史教授が機構長を務める筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構からのプレスリリースをご紹介します。睡眠にまつわる脳活動の解明で次々と新しい発見を行っていますので、注目しています。

ポイントを紹介いたしますので、全文はURLから確認してください。

http://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/…/si…/2/2017/01/0110_LazPR.pdf

プレスリリース

2017.1.10|国立大学法人 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)

寝不足はダイエットの敵

睡眠時間が足りないと甘いものがほしくなる理由

 

研究成果のポイント

  1. レム睡眠量が減少すると、ショ糖や脂質など、太りやすい食物の摂取量が増加する原因の一端を見出しました。
  2. 前頭前皮質の神経活動を抑制すると、レム睡眠量が減少してもショ糖の摂取量は増加しませんでした。一方、脂質の摂取量は、前頭前皮質の抑制の影響を受けることなく増加しました。
  3. レム睡眠が不足しているときに、肥満につながる食物を摂取したくなる欲求は、前頭前皮質が直接的に制御している可能性が示唆されました。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)のミハエル・ラザルス准教授らの研究グループは、レム睡眠量を減少させると、ショ糖や脂質など、肥満につながる食べ物の過剰摂取が引き起こされる原因の一端を明らかにしました。食べ物の味や香り、食感などの嗜好を判断する役割を担う脳部位である前頭前皮質の神経活動を抑制したマウスでは、レム睡眠量が減少しても、ショ糖の摂取量は増加しませんでした。一方、脂質の摂取量は、前頭前皮質の神経活動抑制の影響を受けることなく、対照群と同様に増加しました。このことから、睡眠不足の状態にあるとき、体重を増加させる可能性のある、ショ糖が多く含まれる食べ物を摂取したくなる欲求は、前頭前皮質が直接的に制御している可能性が示唆されました。

本研究成果は、eLife誌にて2016年12月6日付でオンライン公開されました。

図 2|レム睡眠の不足は、糖質や脂質などを多く含む「不健康な」食べ物への欲求を高める。

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(paper)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響

散歩中に見つけた油膜とヘドロの側溝。いろいろなエフェクト機能を使ってみました。ただの汚い側溝ですが、色の変化は面白いです。こうやって眺めると、同じ景色を同時に様々な側面で感じる面白さだと思います。
私は夢を見ているときの感覚ってこういう感じかもしれません。

総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
睡眠障害と健康との因果関係については、誰でも承知と思ってはいるものの、実際のエビデンスに基づいた資料などが体系的に示されているものがあまりなかった。
それを様々な実験結果や調査結果と関連付けて総説とした論文です。最終的なまとめも結果的には私の安眠家具につながると思いますが、一つだけ気に入らないのが、睡眠薬を医師の指導で正しく使えば安全というところですね。少なくとも日本の医師で不眠症の症状を患者の申告ではなく、検査を行ったうえで正しく処方しているほうが、圧倒的に少ない現状が正しくないと思っています。

(論文)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010002.pdf

土井由利子
国立保健医療科学院統括研究官(疫学調査研究分野)
Prevalence and health impacts of sleep disorders in Japan

抄録
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある。このような流れの中で,過去10 年間を振り返って,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と睡眠障害による健康影響について,エビデンスをもとにレビューすることは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
文献レビューの結果,睡眠障害の有症率は,慢性不眠で約20%,睡眠時無呼吸症候群で3% ~ 22%,周期性四肢運動障害で2 ~ 12%, レストレスレッグス症候群で0.96 ~ 1.80%,ナルコレプシーで0.16 ~ 0.59%,睡眠相後退障害で0.13 ~ 0.40%であった。
健康影響に関するコホート研究では,死亡に対し短時間睡眠で1.3 ~ 2.4,長時間睡眠で1.4 ~ 1.6,2 型糖尿病の罹病に対し入眠困難で1.6 ~ 3.0,中途覚醒で2.2 と有意なリスク比,入眠困難と抑うつとの間で1.6 と有意なオッズ比を認めた.日本国内外のコホート研究に基づくメタアナリシス研究でも同様の結果であった。
以上より,睡眠障害へ適切に対処することが人々の健康増進やQOL の向上に大きく寄与することが示唆された。そのためには,睡眠衛生に関する健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が重要である。また,睡眠障害の中には,通常の睡眠薬では無効な難治性の神経筋疾患なども含まれており,睡眠専門医との連携など保健医療福祉における環境整備も進める必要がある。
キーワード:睡眠障害,睡眠時間,不眠,死亡,罹病

Ⅰ.はじめに
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある.このような流れの中で,過去10 年間における日本の睡眠障害の実態を明らかにし,その健康影響についてエビデンスをもとに概観することは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
そこで,本稿では,ヒトの正常睡眠と睡眠障害について概説した上で,これまでに蓄積された疫学研究の成果をもとに,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と健康影響についてレビューする。

Ⅱ.睡眠の量,質,リズム
私たちの眠り(睡眠)と目覚め(覚醒)は,体内にある生物時計による時刻依存性(サーカディアンリズム)と,時刻に依存しないで覚醒時間の長さによって量と質が決定される恒常性維持機能(ホメオスターシス)によって制御されている.以下に,ヒトの正常睡眠について簡単に解説する。

1.睡眠の量と質
夜間ヒトの睡眠中に電極を付けて終夜ポリグラフ(脳波・眼球運動・筋電位)をとると,脳波では,覚醒→ノンレム睡眠(段階1 →段階2 →段階3 →段階4)→レム睡眠を1 サイクル(約90 分)として,1 晩に3 ~ 5 サイクルを繰り返す.覚醒と浅いノンレム睡眠(段階1 と段階2)が混在する移行期を入眠過程という。浅いノンレム睡眠から,徐波睡眠(段階3 と段階4)とよばれる深いノンレム睡眠へ進み,レム睡眠(脳波↑,筋電位↓,急速眼球運動)を経て1 サイクルが終わる[1]。
Ohayon ら[2] は,5 ~ 102 歳の健常人3,577 人(5-19 歳:1,186 人,20-102 歳: 2,391 人)を対象に実施された終夜ポリグラフまたはアクチグラフから得られた睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,睡眠効率(睡眠/(睡眠+覚醒)),睡眠段階1(%),睡眠段階2( %),徐波睡眠(%),レム睡眠(%),レム睡眠潜時,中途覚醒時間)をプールし,年齢による睡眠変数への影響についてメタアナリシスを行った(図1)。
この研究によれば,年齢が進むにつれて,総睡眠時間,睡眠効率,徐波睡眠,レム睡眠,レム睡眠潜時が減少,睡眠潜時,中途覚醒時間,睡眠段階1,睡眠段階2 が増加することが認められた.年齢以外では,精神疾患,身体疾患,服薬や飲酒,睡眠時無呼吸などの睡眠障害,性別,睡眠習慣などが,睡眠変数の分布に影響を及ぼすことが確認された。2.睡眠・覚醒リズム
ヒトの睡眠・覚醒リズム(概日リズム)の概念図を示す(図2)[3,4].生物時計の機能は,①自律性の概日リズム,②昼夜変化(明暗サイクル)への同調,③生体機能への概日リズムの伝達と発現の3 要素に分解できる.睡眠・覚醒リズムあるいは睡眠・覚醒傾向は,生物時計,恒常性維持機能,明暗サイクル(光)によって制御され,その他の要因(図2 の左上のボックス内,右のボックス内)によって影響を受ける。
生物時計自体の発する概日リズムを直接測定することはできないが,深部体温,メラトニン,ホルモン(コルチゾール,成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,プロラクチンなど)の測定値が概日リズムを示すことによって,生物時計の概日リズムを間接的に観測することができる。

Ⅲ.睡眠障害
睡眠障害に関する国際分類には,世界保健機関(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)),米国精神医学会(APA)による「精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders( DSM))」などがあるが,ここでは,米国睡眠障害連合(ASDA)が中心となってまとめた「睡眠障害国際分類(International Classifi cation of Sleep Disorders(ICSD))」を紹介する。加えて,主な睡眠障害が日本ではどのくらいの頻度でみられるのか,これまでに行われた疫学研究をもとに紹介する。

1.睡眠障害国際分類
2005 年に改訂された睡眠障害国際分類第2 版(ICSD-2)[5,6] による主要な睡眠障害(8 項目)を表1 に示す。
それぞれの睡眠障害は,さらに次のように,細分類される。
不眠症(適応障害性,精神生理性,逆説性,特発性,精神障害,不適切な睡眠衛生,行動的(小児期),薬剤・物質,内科的疾患,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),睡眠関連呼吸障害(中枢性睡眠時無呼吸症候群,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,睡眠関連低換気/ 低酸素血症症候群,その他),中枢性過眠症(ナルコレプシー,反復性,特発性,行動起因性睡眠不足症候群,内科的疾患,薬剤・物質,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),概日リズム睡眠障害(睡眠相後退型,睡眠相前進型,不規則睡眠・覚醒リズム,自由継続型,時差型,交代勤務型,内科的疾患,薬剤・物質,その他),睡眠時随伴症(ノンレム睡眠からの覚醒障害,レム睡眠関連,その他),睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群),周期性四肢運動障害,睡眠関連下肢こむらがえり,睡眠関連歯ぎしり,睡眠関連律動性運動障害,特定不能,薬剤・物質,身体疾患),孤発性の諸症状・正常範囲内の異型症状・未解決の諸問題(長時間睡眠者,短時間睡眠者,いびき,寝言,ひきつけ,ミオクローヌス),その他の睡眠障害(環境性,その他)。
いずれの睡眠障害も,疾患特異的な症状のほかに,夜間の不眠や日中の眠気といった症状を呈する。睡眠障害に応じて治療方法が異なるので,ICSD-2 に基づいて,正しく診断・分類することが肝要である。

2.睡眠障害の頻度
表2 に,それぞれの睡眠障害を有する人々がどれくらいいるのか,日本で実施された主な疫学研究の結果(有症率)を示す。

いずれも地域・職域で行われた比較的大規模なヒト集団を対象としたものであるため,その多くは,目的とする睡眠障害に適した質問紙を用いて,対象者の自己申告に基づき,睡眠障害があるかどうかの判定を行っている。
1997 年に実施された全国調査によれば,入眠困難(寝付きが悪い)や中途覚醒(夜間・早朝に目が覚める)などの不眠の症状が一時的ではなく1 ヶ月以上続く,慢性不眠の有症率は約20% と推定された[7,8].ICSD-2(2005 年)の不眠症の判定基準では[5],夜間の不眠の症状に,日中の機能障害(日中の眠気,注意力・集中力の低下など)が追記されたので,この判定基準に照らし合わせると,不眠症の有症率は,これよりも低くなるであろう。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の判定の場合には,終夜ポリグラフ検査による睡眠中の呼吸イベント(無呼吸・低呼吸/ 睡眠1 時間)の確認が必須であるが[5],疫学研究では,携帯型の簡易装置(パルスオキシメーター,鼻口呼吸センサー,気道音センサー)を用いて睡眠1 時間あたりの動脈血酸素飽和度の3%以上の低下や無呼吸・低呼吸の頻度を測定して代用している.睡眠時無呼吸症候群の有症率は,おそらく対象とした集団や測定方法の違いなどからであろう,低いものでは約3%(地域住民女性),高いものでは
約22%(職域男性)と,大きな開きがみられた[9-12]。
ナルコレプシーの有症率は0.16 ~ 0.59%[13,14],睡眠相後退障害の有症率は0.13 ~ 0.40% [15,16],レストレスレッグス症候群の有症率は0.96 ~ 1.80%[17-19] と,不眠症や睡眠時無呼吸症候群に比べると,その頻度は低い。
周期性四肢運動障害は,ノンレム睡眠期に足関節の周期的な不随意運動によって夜間の睡眠が妨げられる障害であるため,判定には終夜ポリグラフ検査が必須である[5]。
ここで報告されている周期性四肢運動障害の有症率2 ~12%[20,21] は,第3 者(ベッドパートナーやルームメイトなど)による評価(眠っている間に足のビクンとする動きがある)に基づいて判定されたものである。

Ⅳ.睡眠と健康
ここでは,睡眠時間と死亡(総死亡)や罹病(2 型糖尿病),慢性不眠と併存疾患や罹病(2 型糖尿病,うつ病)に関して,これまでに蓄積された疫学研究の成果から,現時点で明らかになっていることについて解説する。

1.睡眠時間
1)分布
2007 年に厚生労働省によって実施された2 つの実態調査(国民健康・栄養調査[22]) と労働安全衛生特別調査[23])の報告をもとに,睡眠時間の分布を示す(図3)。

無作為に抽出された全国の15 歳以上の一般住民(8,119 人)および20 歳以上の民営事業所従業員(11,440 人)ともに,6-6.9 時間を中央値・最頻値とした正規分布をしていた。睡眠時間が6 時間未満の者の割合は,15 歳以上の住民では,男性26%,女性31%,20 歳以上の従業員では,男性41%,女性45% であった.年齢階級別(図4)では40-49 歳(37%),

職種別(図5)では保安(68%),運輸(50%),営業・サービス(49%)が高い割合を示した.一般住民[24],ホワイトカラー[25],シフトワーカー[26] を対象とした先行研究では,睡眠時間が6 時間を下回ると,日中に過度の眠気を来すことが報告されている。
睡眠時間が9 時間以上の者に関しては,従業員ではみられなかったが,15 歳以上の一般住民では全体で3% であった(図3)。これを年齢階級別に見ると,70 歳以上では10% に上っていたが,70 歳未満は2% 以下であった(図4).終夜ポリグラフから客観的に得られた健常人の睡眠時間は,年齢とともに減少することが確認されている(図1)。
高齢者の場合,本人の自己申告(アンケート調査や生活時間調査など)による睡眠時間には,実際の睡眠時間(図1の総睡眠時間に相当)の他に,床の中で寝付くまでに要する時間(図1 の睡眠潜時に相当)や途中で目が覚めた時間(図1 の中途覚醒に相当)や午睡の時間が含まれている可能性がある。

2)死亡
近年,多くの疫学研究(コホート研究)により,睡眠時間が総死亡と有意な関連(U字型)を示したとする報告が相次いだ.これらのコホート研究をもとに,Gallicchio Lら[27] とCappuccio FP ら[28] は,それぞれ独自に睡眠時間と死亡に関するメタアナリシスを行った.メタアナリシスには,異質性や公表バイアスなど研究方法上の限界はあるものの,ここでは,2009 年3 月までに発表された論文をもとにCappuccio FP ら[28] が行ったメタアナリシスによる最新の知見を紹介する.この中には,日本からのコホート研究[29-33] が含まれているが,同一のコホート研究からの発表論文[32,33] は基準に合致した方が採用されている.その結果,死亡に対する相対リスク(95% 信頼区間)は,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,4時間未満と定義は異なる)で1.12(1.06-1.18),長時間睡眠(8時間以上,9-9.9 時間,9 時間以上,10 時間以上,12 時間以上と定義は異なる)で1.30(1.22-1.38)と有意に高くなっていた(表3)。

短時間睡眠と死亡との因果関係の機序については,充分に解明されているわけではないが,短時間睡眠による糖代謝および交感神経系や免疫系への影響が示唆されている。長時間睡眠と死亡との因果関係については,その機序を示唆する研究は今のところ無い。むしろ,調整しきれなかった交絡要因(潜在要因を含む)や併存疾患によるものではないかと考えられている.例えば,長時間睡眠と関連があるとされる,芳しくない健康状態,診断のついていない病気,身体活動状態の低下,抑うつ状態,良好ではない社会経済状態などである。

3)2 型糖尿病
Cappuccio FP ら[34] は,2009 年4 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,と定義は異なる)で1.28(1.03-1.60),長時間睡眠(8 時間以上9 時間以上と定義は異なる)で1.48(1.13-1.96)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から職域でのコホート研究(6,509人)[35] が含まれているが,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠,長時間睡眠,いずれにおいても有意ではなかった。

2.不眠
1)併存する症状や疾患
不眠の症状は,さまざまな心身の症状と関連しており,身体疾患や精神疾患などと併存している[5].前述のⅢ- 2で紹介した全国調査によれば,慢性不眠の症状(入眠困難や中途覚醒)と関連する心身の症状として,腰痛,心窩部痛,体重減少,頭痛,疲労,心配,いらいら,興味の喪失[36],併存疾患として,高血圧症,心疾患,糖尿病,筋骨格系疾患,胃・十二指腸潰瘍[37] が認められた。

2)2 型糖尿病
前述したCappuccio FP ら[34] による,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスでは,2 型糖尿病の罹病に対する不眠の症状の相対リスクは,入眠困難で1.57(1.25-1.97),中途覚醒で1.84(1.39-2.43)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から,前述の職域でのコホート研究[35] と地域でのコホート研究(2,265人)[38] が含まれている. 地域のコホート研究では, 入眠困難で2.98(1.36-6.53),中途覚醒で2.23(1.08-4.61),職域のコホート研究では入眠困難で1.62(1.01-2.59)と有意であったものの,中途覚醒では1.36(0.87-2.14)と有意差を認めることができなかった.職域のコホート研究では,睡眠時間でも有意差を認めなかったことなどを考え合わせると,理由の1 つとして,健康労働者効果などが考えられる。

3)うつ病
Baglioni C ら[39] は,2010 年2 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,主としてDSM- ⅣまたはTR に基づく不眠症とうつ病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,うつ病の罹病に対する不眠症のオッズ比(95% 信頼区間)は,2.10(1.86-2.38)であった.なお,この中には,日本からの研究は含まれていなかった。
近年,日本において,不眠の症状と抑うつの関連をみたコホート研究では,65 歳以上の地域住民3,065 人を3 年間追跡した結果,入眠困難を有する者はそうでない者に比べ抑うつを呈したオッズ比が1.59(1.01-2.50)であったと報告されている[40]。

Ⅴ.おわりに
以上,日本における睡眠障害の頻度と睡眠障害による健康影響について,解説した.夜間の睡眠障害と日中のQOL(主観的健康感の低下や仕事上・人間関係上のトラブルや事故など)の低下には有意な関連がある[41].しかしながら,睡眠が障害されても適切な対処行動が取られず,寝酒を常用する(男性37.4%,女性10.0%)などして,かえって早朝覚醒を来し充分な睡眠を維持できず悪循環に陥る[42]。
睡眠障害に適切に対処することによって,人々の健康増進やQOL の向上に,大いに貢献できるものと考えられる。
表4 に睡眠障害に対処するための指針を示した。
一人一人が睡眠衛生の面から自分に合った睡眠を確保できるよう,健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が求められている.睡眠障害の多くが,夜間の不眠の症状に日中の眠気など不眠症に共通の症状を呈するが[5],通常の睡眠薬では効果が期待できない疾患,あるいは憎悪してしまう疾患もある.この中には,難治性の神経筋疾患や神経変性疾患なども含まれている[43].症状が改善しない場合には,睡眠障害を専門とする医師による診断と治療が必要となる.保健医療福祉の諸機関と睡眠専門医療機関との連携といった環境面での整備も望まれるところである。

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(paper)総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果

安眠と香りを調べるうちに見つけた論文です。ハーブなので香りというより効能かもしれません。
昔から寝る前にハーブティーを飲むとよく眠れるなどと言われてはいますが、その実証ということです。カモミールは母の薬草と言われるように、女性に効果があると言われていたようですが、実験でも男女で大きく効果の差があるようです。男性よりも女性のほうがハーブティーを好むと思っていたのですが、実際に効果に違いがあるわけですから当然と言えば当然だったのですね。論文をご紹介いたします。

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/14686/1/2005-97-95.pdf
北海道大学大学院教育学研究科
紀要第97号2005年12月

Title 総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果
Author(s) 角田(矢野), 悦子; 森谷, 絜
Citation 北海道大学大学院教育学研究科紀要, 97: 95-103
Issue Date 2005-12-20
DOI 10.14943/b.edu.97.95
Doc URL http://hdl.handle.net/2115/14686
Right
Type bulletin
Additional
Information
File
Information 2005-97-95.pdf

総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果
角田(矢野)悦子* 森谷**
*北海道大学大学院教育学研究科健康スポーツ科学講座修士課程(健康科学・健康教育研究グループ)
**北海道大学大学院教育学研究科健康スポーツ科学講座教授(健康科学・健康教育研究グループ)

Physiological and Psychological Effects in Humans
of Chamomile (a kind of plants)Drinking and Eating
Etsuko YANO-KAKUTA Kiyoshi MORIYA
【要旨】植物カモミール(Matricaria chamomilla)は,ヨーロッパを中心に古くから鎮静効果をもつ植物として利用されてきた。カモミールの摂食によるリラックス効果及び睡眠影響について報告された論文を総説としてまとめた。カモミール茶の摂食が末梢皮膚温を上昇させる,心拍数を低下させる,自律神経系を副交感神経優位にするという報告,感情測定尺度(MCL-S.1)によってリラックス感得点の上昇を認めたことが報告されている。
また,カモミールエキスを添加したゼリーを温めた状態で摂食した場合には末梢皮膚温の上昇や心拍数の低下が起こり,副交感神経優位の傾向が示されたが,低温で摂食した場合にはその効果が認められなかったと報告されている。OSA 睡眠調査票を用いた睡眠実験から,カモミールエキス添加ゼリー摂食日の夜間睡眠では,ねむ気の因子,寝つきの因子などが無添加ゼリーを摂食した日に比べて改善したことが報告されている。
【キーワード】カモミール,摂食,自覚的感覚,睡眠,中高年女性

1.はじめに
近年,日本の社会では経済活動の停滞や急速な高齢化の進行などが顕著となり,それに伴い人々の心身に対するストレスが増加してきている。厚生労働省の保健福祉動向調査1)では,心身の健康とストレス,睡眠の結果が以下のように報告されている。ストレスの程度別構成割合では,最近1か月間の日常生活においてストレスがあったとする者の割合が54%を超えており,ストレスが「大いにある」とする者の割合は,男性が10.8%,女性12.8%であり,一方ストレスが「多少ある」とする者の割合は男性39.7%,女性44.9%である。なんらかのストレスありの者のストレス要因をみると,「仕事上のこと」30.5%が最も多く,「自分の健康・病気・介護」「収入・家計」「職場や学校での人づきあい」が続いている。性別にみると男性は「仕事上のこと」が41.3%ときわだって多く,女性は「自分の健康・病気・介護」「収入・家計」が25%を超え,年齢階級別にみると,男性65歳以上,女性55歳以上では「自分の健康・病気・介護」が最も多いと報告されている。また,睡眠について最近1か月で問題と感じていることは「朝起きても熟睡感がない」が24.2%で最も多く,加齢とともに「朝早く目が覚めてしまう」「夜中に何度も目が覚める」が増加している。
加齢とともに睡眠障害で悩む人の割合が増加し,女性で男性よりも多いとの報告もある2)。特に中高年の女性(55歳以上)がストレスの内容として「自分の健康・病気・介護」をあげている一方で,睡眠不足の理由として「悩みやストレスなどから」をあげる者が66%(45歳~54歳および55歳~64歳)程度と報告されている1)。一方,更年期の女性の睡眠の質に関する調査3)では,閉経後の人達では何らかの睡眠困難を感じることが多く,入眠しにくく睡眠効率が低下し,日中の眠気や意欲の低下を感じ,総合的に睡眠の質の悪化を示唆すると報告されている。
このようなストレスに対する対処法の一つとして,生活の質(QOL)の向上と健康増進などを目的として植物を用いる補充療法の社会的認知と普及が進みつつある。例えば薬用人参(Panax Ginseng),イチョウ葉(Ginkgo Biloba)などの摂取による身体的ストレスの改善効果やハーブのセントジョンズワート(Hypericum Perforatum)によるうつ症状の緩和などが良く知られている4)。また,植物の香り成分によるアロマセラピーやフィトンチッドと呼ばれる森の香りを利用した森林浴による鎮静・リラックス効果などを,生活の中により積極的に取り入れることが注目されている。
筆者らはこのような観点に立ち,植物カモミール(Matricaria chamomilla)を食品のお茶やゼリーとして摂食することによる生理・心理的効果,夜間睡眠への影響について研究を続けてきた5)6)。
本稿では植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果について,歴史的背景や食文化とその生理心理的効果および夜間睡眠に対する影響についての研究をまとめることを意図する。

2.カモミール摂食の歴史と文化
上述のように人々はその社会活動や食生活の中で増加する多種類の人為的ストレスにさらされているが,その解決には必ずしも現在の西洋医学だけで充分とはいえない。近年になり西洋医学を補う医療として補充医療(Alternative Therapies)が再評価されつつある。例えば東洋医学における漢方やインドのアーユルヴェーダなどの伝統的医学が知られている4)。これらの医療体系の中では,ハーブ(香草)を含むさまざまな植物を薬草として治療手段に用いている。
また,漢方の分野では医食(薬食)同源と呼ばれる概念があり,人間の健康維持や医療における食物摂取の役割や機能を認めている。またアーユルヴェーダでは1000種類もの薬用植物が記載されており,古代のエジプトでは薬草療法にハーブが利用され,例えばフェンネル,クミン,アロエなどのハーブが食品・薬・化粧品・香水・香料や殺菌剤などに広く利用されていた7)。また,古代ギリシャ・ローマ時代においても,古くは植物誌(Theophrastus,BC 3世紀頃)に数百種類のハーブが記載されその利用が行われていた。その後16世紀頃から草本書(ハーバル,Herbal)が多数著される時代になり,数千種類ものハーブが記載され栽培法や料理法が詳しく知られるようになった。17世紀には草本家のカルペパー(Nicholas Culpeper,1616-1654)により,占星術とハーブの医学的効用などを関連づけた本草百科(The Complete Herbal)が著された。一方,アメリカ新大陸では健康を維持するために,家庭菜園にラベンダー,ローズマリー,カモミールなどの多種類のハーブが栽培された。このようにハーブは薬草療法の素材植物として,例えばうがい薬や煎じ薬,入浴剤そして誘眠効果をもたらす自然の睡眠薬などとして広く用いられてきている8)。このようなハーブ植物の一つにカモミール(カミルレ,カミツレ,Chamomile)があり,補充医療の一つであるアロマセラピー(Aromatherapy,芳香療法)や日常の食生活においてハーブティーなどに広く用いられている9)。このカモミールはサクソン人の時代からイギリスでよく用いられている薬用植物の一つで,ラベンダーやペパーミントなどとならぶイギリス産精油植物として知られている。ギリシャ人はこの花の香りがリンゴの香りに例えられることから「カマイ・メロン」(地面のリンゴ)と呼びこれがChamomileの語源とされている10)。また,スペインでは現在でも薬草としてカモミールがシェリー酒マンサニリャの香り付けに使用されている。
カモミールはヨーロッパ,北アフリカおよびアジアの地域に生育し四つ程度の属に分類される11)。薬用・香料用として用いられるのは,主にローマンカモミール(Chamomile Roman,学名Anthemis nobilis L.)とジャーマンカモミール(Chamomile blue,学名Matricariachamomilla L.)の二種類である。両者ともに開花した花部から精油を水蒸気蒸留により抽出・生産されている12)。
ジャーマンカモミールは世界的に各国の薬局方に公定薬品として登録されていることが多く,抗炎症,鎮痙,消毒用に用いられている。また化粧品業界ではスキンケア製品に利用されている。主な生産国はアルゼンチン,エジプト,ハンガリーそしてドイツなどである。カモミールの精油の主要な化学成分としてテルペノイド類(モノテルペン,セスキテルペンなど)が含まれ,ジャーマンカモミールの特徴成分としてはアズレン(azuren)誘導体,ビサボロール(bisabolol)誘導体があり,ローマンカモミールはアンゲリカ酸エステル,チグリン酸エステルが特徴的成分であると報告されている12)。精油に含まれるカマズレンは品種や産地により含有量には差があるが,抗ヒスタミン作用とロイコトリエン生合成阻害などのメカニズムにより抗炎症作用があるといわれている。また,嘔吐抑制や精神的ストレスによる鼓腸性消化不良,喫煙・水泳などが原因の目の刺激,擦過傷や虫さされなどに用いられている13)。
ローマンカモミールはジャーマンカモミールと異なり多年生植物であり,精油が豊富に含まれ,消化器疾患や毛・頭皮の治療や鎮静・鎮痙剤そして発汗剤などに使用される。その精油の主な用途は化粧品などであり,主産地はベルギー,オランダ,イギリス,フランス,ローマなどである。一般的にカモミールは強肝,強壮,駆虫,解熱,健胃,抗うつ,抗アレルギー,抗リウマチ,抗神経障害,消化促進,鎮痛,通経,瘢痕形成,皮膚軟化,癒傷,利尿作用などがあるとされている14)。
カモミールの食品への応用では,菓子,デザート類およびゼリーなどの香料として用いられているほか,お茶として世界中で慣習的に飲用されている。また苦味酒,ベルモット,ハーブビールなどにも使用されている。近年の日本では高齢化が進行し,高齢者は外部から水分や食物を口に取り込み咽頭と食道を経て胃へ送り込む運動(嚥下)に異常の生じる傾向がある。この嚥下(swallowing,degulutition)障害の結果,栄養摂取不良,誤嚥そして食べる楽しみの喪失などの問題が生ずる15)。この問題を解決するための食品として多種類のゲル化食品(ゼリー)が開発されているが,今後は病院食だけではなくハーブなどを用いた日常の嗜好にかなう嚥下障害の少ないゼリーが期待されていると考える。

3.カモミールの摂食による生理・心理的影響
カモミールは日常生活のなかで食品としても用いられており,健康に良い効果があるお茶としてヨーロッパやアメリカを始め世界的に飲まれている。童話のピーターラビット(PETERRABBIT)では,母さんウサギが子供のピーターに就寝前にカモミール茶を飲ませる場面が記載されている。童話の世界だけではなくカモミール茶の利用は古くから行われているが,就寝前に飲むことから鎮静や催眠効果を期待していると考えられる。しかし,その作用や効果についての学術的報告は極めて少ない。食生活に取り入れられているハーブ茶の効果については,森谷らがカモミール(Matricaria chamomilla)について,カモミール茶(55℃,150ml)摂取による青年男性の自律神経機能と感情指標の変化について白湯と比較した検討を行い,心拍数や末梢皮膚温の変化および感情得点の変化を計測した報告を行った5)。この報告ではカモミール茶と白湯を飲用後の心拍数変化量について検討した。飲む直前の心拍数の平均値には2群間に有意差は無く,白湯に比べカモミール茶を飲用後30分間の心拍数の平均低下量が有意に大きいことが示された。また,心拍R-R 間隔変動周波数解析の結果から,交感神経の指標として参考にされるLF/HF 比について,同様に飲用後30分間の2群の平均低下量はカモミール茶を飲用したほうが有意に大きいことが明らかにされた。一方,副交感神経の指標と考えられているHF パワー成分にはカモミール茶と白湯を飲む直前の,2群間には有意差はなく,それぞれを飲んだ後の30分間の変化量についても有意差は認められなかったと報告している。末梢皮膚温変動については,右足の第5趾趾根部で計測が行われ,飲む直前の末梢皮膚温平均値については2群間に有意差はなく,飲用後の時間変動に有意差が認められ,白湯に比べカモミール茶を飲用後30分間の平均上昇値が有意に大きいことが示された。心理指標については,橋本と徳永により開発されたMood Check List -Short Form 1(MCL-S.1)16)を用いて感情得点の変化について検討された。飲む直前のリラックス感得点には有意差はないが,カモミール茶を飲用後15分後と30分後には白湯およびカモミール茶のそれぞれの場合に有意なリラックス感得点の上昇が認められた。飲用後の2群間に有意差は認められなかった。また,快感情得点についても同様の検討が行われたが,有意差はなかったと報告している。

森谷と小田は,感情得点と自律神経機能の関連について,心拍数,LF/HF,末梢皮膚温とリラックス感得点などとの相関について検討を行った17)。その結果,図1に示すように心拍数とリラックス感得点の変化量に負の相関(ピアソンの相関係数(r)=-0.496,P=0.019,n=22)が認められた。またピアソンの相関係数による評価から,リラックス感得点とHF の変化量の間に有意な正の相関があることが認められた。さらに末梢皮膚温の実測値とリラックス感得点の間にも有意な正の相関が明らかにされた((r)=0.465,P=0.006,n=22)。このようにカモミール茶飲用後には,自律神経機能の心拍数や末梢皮膚温の測定値とMCL-S.1によって評価したリラックス感得点の間にかなり良い対応関係があることが示されている。この報告ではカモミール茶の飲用は白湯の飲用よりも副交感神経系優位の効果が現れることを明らかにしているが,感情指標についてはその効果が必ずしも明確でない場合があり,嗜好の影響の可能性について示唆している。
近年,井上らは18)ジャスミン茶の香りの嗜好性と自律神経系の活動の関係について,POMSで評価した感情得点を用いた報告を行っている。香りが高濃度と低濃度の場合について,嗜好性の違いによる感情得点とその自律神経活動に対するへの影響について検討し,ジャスミン茶の香気成分が低濃度の場合は好む群と好まない群の両方とも副交感神経活動が上昇し,高濃度の香りの場合は好みの群で副交感神経活動を亢進させ心理状態を鎮静化させ,好まない群においては交感神経活動を上昇させると報告している。
また,角田らはカモミール(Matricaria chamomilla)エキス入りの温めたカモミールゼリーを摂食させたときの自律神経機能と感情指標に対する影響について検討を行った6)。この報告では無農薬栽培のジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla)を原料として抽出したエキスに,果糖・砂糖,ゲル化剤等を加え,ブリックス糖度を14としたゼリーを調製試作(北海道夕張市,S社製造)し,実験に用いている。カモミールエキス以外の成分をほぼ同一とし,同エキスを添加および無添加(対照)のゼリー(75ml)の2種類を用意し,飲食前に60℃あるいは10℃の2種類の温度に調整したものを被験者(健常な30代及び40代の男女40名)に摂食させ,末梢皮膚温(左足第5趾趾根部)および脳波・感性スペクトルの計測および心理指標値としてMCL-S.1による感情得点の測定を行った。その結果,低温で摂食させた場合には末梢皮膚温の上昇は認められないが,温めた状態で摂食させた場合には男性(n=7)および女性(n=8)の両グループともに摂食後22分間に有意(二元配置分散分析,P<0.05)に末梢皮膚温が上昇することを明らかにした。また同エキス無添加のゼリーを摂食した場合には,低温および温めた状態の両者ともに有意な末梢皮膚温上昇は認められなかったと報告している。
MCL-S.1による感情得点の結果から,温めたカモミールゼリーを摂食後の男女のグループについてはリラックス感の増加する傾向が認められたと報告している。また同実験において自律神経活動を評価した報告19)によれば,温めたゼリーを摂食した男女のグループともに心拍数の低下と副交感神経優位の傾向が示された。
これらの結果から,カモミールエキスを添加したゼリーを温めた状態で摂食した場合,お茶より少ないカモミール量で,揮発性香り成分がより効果的に発散し,生理的効果を与える可能性が示唆されたと考えられる。

4.カモミール摂食と睡眠
近年になり,夜間睡眠における睡眠不調・睡眠障害に悩む人たちが多く,中でも中年期以降に睡眠不調・障害の多発することが知られるようになってきた。健康づくりに関する意識調査20)において,「眠りを助けるための睡眠剤や安定剤などの薬やアルコール飲料を使いますか」の質問に対して「時々ある」「しばしばある」「常にある」と答えた人の割合が14.1%あり,健康日本21「3.休養・こころの健康づくり」では2010年までの到達目標を13%としている。
例えばハーブ植物の一種のバレリアン(吉草根)については,鎮静作用等のほかに,OSA 睡眠調査票を用いた実験調査による睡眠の改善作用が最近報告されている21)。また,樹木由来の香気成分の一種であるセドロールについて,その睡眠に与える影響の検討が報告された22)。この報告では,何らかの睡眠不満を自覚している20代女性の性周期低温期において,自宅で3日間の生活調整期間後6日間の宿泊試験を1クールとして実験を実施している。セドロール使用量は被験者が全く感じないかあるいはかすかに感じる程度の濃度に調節され,就寝前・就寝時合わせて4時間提示している。この実験では睡眠段階(覚醒,睡眠深度,レム・ノンレム睡眠など)の判定は睡眠脳波により行われ,眼振電位,オトガイ筋筋電位,心拍,呼吸および皮膚電位反応が記録され,プラセボ夜およびセドロール夜の試行はダブルブラインドテストで実施されている。この実験結果から,総睡眠時間はプラセボ夜では平均394.7分に対し,セドロール夜では平均408.0分であり,有意に延長したことが示された。入眠潜時は前者が平均16.8分に対し,セドロール夜では9.3分と有意に短縮し,睡眠効率については前者が91.9%に対し,セドロール夜では95.2%まで上昇する傾向が認められている。中途覚醒時間には,有意差はなかったと報告している。この報告では,セドロールが交感神経系を鎮め,睡眠前に副交感神経活動優位に切り替えることをスムーズに行うことで心身がリラックスし,入眠が円滑に起こり良好な睡眠が維持されたと推察している。一方,徐波睡眠出現率および段階REM 出現率に関する解析では全く差がなく,セドロールは本来の睡眠構造自体には変化を与えず,睡眠を良好な状態にすることを示唆している。
カモミールについては伝統的に睡眠改善に良いといわれてきているが,明確な実証データや学術報告は多くない。一つの報告としては23),心臓病患者を被験者として心室カテーテル実施の際にカモミール茶(約170ml,白湯摂取などの対照実験なし)を飲用させ,血行力学的反応について評価した実験である。この実験結果ではカモミール茶飲用後に全ての患者(10名)が眠りについたと報告され,催眠効果があるとされている。カモミールの催眠効果については殆どがこの報告を基に引用されているが,その後詳細な研究報告は未だ行われていない。
既に報告されているように,カモミール茶やカモミールエキスを含んだゼリーの摂食がリラックス感得点の上昇や副交感神経活動優位の傾向をもたらすことから,睡眠への影響が期待されると考えられる。そこで,筆者らはカモミールゼリーの摂食が被験者の副交感神経系および自覚的睡眠感に及ぼす影響について検討を行った24)。この実験では前述の摂食実験と同様の実験条件下で,カモミールエキス添加ゼリーと同エキス無添加ゼリーを温めて摂食させ,OSA睡眠調査票起床時調査によって検討がされた。睡眠感の評価には,睡眠現象を統合的に把握するために小栗ら25)が開発したOSA 睡眠調査票を用いた。この調査票は,睡眠前調査により不適切な被験者の除外と生活態度や就寝前の身体的・精神的状況を把握するための21項目の質問と,起床時の調査により睡眠感を構成する因子のもとになる31項目の質問および身体的愁訴とその有無に関する質問に答えてもらうよう構成されている。この報告ではOSA 睡眠調査票の結果をもとに,小栗らの抽出した①ねむ気の因子,②睡眠維持の因子,③気がかりの因子,④統合的睡眠の因子そして⑤寝つきの因子の5つの下位因子に分けて検討が行われた。同実験は第1期と第2期に分けて実施され,第1期の被験者は特に睡眠障害を持たない健常な30代および40代の男性7名を被験者として実施され〔年齢:37.7±5.4(mean±SD)〕,第2期は同様に健常な閉経後の50代および60代の女性7名を被験者として〔年齢:60.3±2.7(mean±SD)〕実施されている。第1期の実験結果では,無添加(対照)と比較し,カモミール添加ゼリーの摂食夜は3つの因子,①ねむ気の因子(t=-2.4679,p=0.0486),②睡眠維持の因子(t=-2.5809,p=0.0417),⑤寝つきの因子(t=-2.5262,p=0.0449)について有意に高い値を示した。(図2参照)

この報告の第2期の実験では,第1期と同様に温めたゼリーを摂食させ,睡眠に関する5つの下位因子について比較分析を行った。その結果,①ねむ気,②睡眠維持,③気がかり,④統合的睡眠そして⑤寝つきの5因子について対照と比較し,カモミール添加ゼリー摂食夜には②睡眠維持の因子について有意差(t 検定,p=0.0313)が認められた。(図3参照)

筆者らは,温めたカモミールゼリーを摂食した場合に,皮膚温の上昇と末梢血流の増大,副交感神経優位状態やリラックス感が増大することを既に報告している。一般に情動が睡眠状態に関係しリラックス感のようなポジティブな感情が睡眠を良好にすることが知られており,これらの結果から温めたカモミールゼリー摂食の心理生理的効果が帰宅後の就寝前まで持続し,ねむ気,寝つきを良くする傾向をもたらし,睡眠維持に効果のあった可能性が示唆されている。前述のセドロールの場合においても,就寝前の精神的・生理的状態の重要性が指摘され,眠りにつく前の自律神経活動が交感神経支配から副交感神経支配優位に切り替わることが入眠を円滑にすると指摘されている。
また最近,セドロールが野生のカモミール(Chamomilla recutita,Matricaria chamomilla)とその組織培養株に含まれる新しいテルペノイドとして報告され,カモミールの自覚的睡眠感や自律神経系へ影響する作用物質としての可能性が注目される26)。

5.おわりに
植物カモミールは人類の歴史や食文化,医薬学などの進歩・発展とともに,その補充・伝統医療や身近な生活の場面などに用いられてきている。今後の日本は高齢化社会が進み,人々の日常生活のなかでの健康維持やストレスが大きな課題になると考えられる。それにともない加齢による睡眠障害に悩む人の割合が増加し,ストレスに悩む中高年の男性や女性にとって大きな心身上の課題となり,この解決に植物カモミールの摂食が貢献できる可能性が期待される。
既にカモミール茶や温めて食べるカモミールゼリーが自律神経活動に影響を与え副交感神経優位をもたらし,この現象と相関して感情評価尺度によるリラックス感得点が上昇することが明らかにされた。一方,植物カモミールに含まれる香気成分やその他の含有成分が心身に及ぼす作用機構や作用物質などについて,新しい知見も見出されつつあるが未解明の部分がまだ多く,特に睡眠に対する影響などについての研究が必要と考えられる。
今後はこれらの研究成果が,例えば睡眠不満やストレスに悩む中高年世代や介護高齢者の睡眠改善へ応用され,人々の健康維持や向上に貢献することが期待される。

[引用文献]
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