「ストレス」タグアーカイブ

(論文紹介)鬱病の認知行動療法

昨日は久しぶりのまとまった雨でした。その雨も3時くらいには上がり雲が切れて夕日が差し込んできました。富士山が夕空にそびえていました。

本日は「鬱病の認知行動療法の実際」という論文をご紹介させていただきます。当社の安眠家具については、不眠に対する認知行動療法に対する環境提供として推奨しています。うつ病と不眠症は別物ですが、どこかいとこ同士のような病気です。何かのヒントがあるかもしれないと思います。

うつ病の認知行動療法の実際

清水 馨*/鈴木伸一* *

抄録: うつ病は最もよくある精神医学的な状態であり,本邦においても,一生のうちに, 6.7%の人が患うといわれるほど, 珍しくない病気の1つである.また,近年では, うつ病性障害は自殺の原因・動機の 27.6%を占めており,就労者の自殺の約7割がうつ病だといわれていることからも,厚生労働省における自殺対策において,うつ病対策がその取り組みの中核となっている.本稿では,2010年4月の診療報酬の改定で,認知行動療法(CBT)がうつ病治療において保険点数化されたことに伴い, うつ病治療における CBT の近年の動向を示すとともに,実施にあたっての具体的な内容とその適応のポイントについて, 概観した。

Key words: うつ病,認知行動療法、再発予防, 復職支援

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/51/12/51_KJ00007628986/_pdf/-char/ja

はじめに

うつ病は最もよくある精神医学的な状態である.ヨーロッパ6カ国における約 14,000人を調査した疫学データでは,過去半年間に何らかのうつを経験した人は 17%, うち 6.9%が大うつ病, 1.8%が軽症うつであるといわれ, これらの数字は,米国やカナダにおいてもほぼ同等の結果であることがわかっている.また,本邦においても, うつ病は一生のうちに, 6.7%の人が患うといわれており, うつ病性障害は自殺の原因・動機の27.6%を占めていることや, 就労者の自殺の約7割がうつ病だといわれていることからも,厚生労働省における自殺対策において, うつ病対策がその取り組みの中核となっている。

本稿では, うつ病治療における認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy: CBT)の具体的な内容とその適応, さらに,治療効果や再発予防を目的とした CBT の効果について,近年の動向を踏まえて述べることとする。

近年のうつ病治療とその動向

1.うつ病治療と CBT

近年, 気分障害に関して国内外をはじめ数多くの治療ガイドラインが活用されるようになっており, 中でも, 英国の National Institute for Clinical Excelence (NICE)ガイドライン)における大うつ病性障害のガイドラインでは, うつ病の重症度により,段階的治療が推奨されており, CBT がうつ病治療における主要な精神療法 として位置づけられている.また,本邦においては, 2010年4月の診療報酬の改定で, CBT がうつ病治療において保険点数化された。

うつ病治療としての CBT の効果検討の実際としては, CBT と統合失調症,大うつ病性障害,双極性障害の治療効果,再発率の程度をそれぞれ比較検討した研究がある、その結果、統合失調症では,エフェクトサイズおよび治療効果ともに有意な結果は得られなかったが(-0.08 [95%CI: -0.23~0.08] p>0.05), 大うつ病性障害においては,エフェクトサイズは小さいながらも,有意な治療効果が認められ(-0.28 [95%CI: -0.45~-0.12]p<0.001),さらに,再発の低減に効果があることが指摘されている (オッズ比 = 0.53 [95%CI:0.40~0.71] p< 0.001).また,再発・再燃の低減効果に関しては, Vitteng] らの研究が参考になる. Vittengl らは,うつ病の急性期治療および持続期治療における CBT の再燃・再発効果について検討している.その結果,急性期治療において CBT の治療効果が現れた患者のうち,全体の約39%の患者が平均 74週目で再発する可能性が示されたが、再発の可能性は薬物療法単体治療よりも 低く,さらに,急性期後の持続期にて CBT を実施することによって,さらにうつ病の再発・再燃率を低下させる可能性があることが示されている.また,持続期に CBT を実施すること によって,薬物療法などの他の治療よりも,再発率は有意に低くなり,持続期の治療終了時では,他の治療法よりも,再発率が約12%減少し, フォローアップ期でも約 14%減少することが指摘されている.さらに, Ekers らによるメタ分析の結果では、行動療法の視点から, CBT との治療効果の検討を行っており,治療後の症状レベルにおいて,認知行動療法, 行動療法ともに,統制群および, その他の精神療法(例えば、ブリーフセラピー, 支持的心理療法)よりも治療効果が高い, ということが指摘されている (Table 1).

また,近年注目されている, インターネットベースの CBT においても, うつ病の治療効果が認められつつある.コンピュータやインターネットを介した CBT は,統制群よりも治療効果が高く,さらに専門家の関与があるほどその治療効果が高いことが,メタ分析によって明らかになっている. まだ知見は少ないものの, コンピュータやインターネットを介したうつ病の CBT 治療の有効性が期待されている。

さらに, 本邦における CBT の効果に関しては,厚生労働省のマニュアルをもとに, 16 週間にわたる個人 CBT を実施し,その効果を検討している。その結果,参加者すべての治療後 の BDI-II 得点が有意に低下し, QIDS-Jだけでなく, HAM-D といった客観的指標においても, 得点が有意に低下したことが示されている(Table 2), 本邦においては,今後はより大規模な RCT 研究を行い,知見を積み重ねることが課題となっている。

うつ病の CBT の実際

本邦では,2010年4月の診療報酬の改定により, うつ病の CBT が保険点数化され, 治療者マニュアルおよび, 患者向け資料が作成された. 治療は,対面式の面接が中心で, 1回 30分以上の面接時間をもち,最低でも 16~20 回のセッション(6段階)を続けることで,より十分な効果が得られること,さらには,症状の改善を定着させ、再発を予防することが示されている.セッションは、目的に応じて, 6段階に分けられており(Table 3), 各セッションの始まりには,各回で取り上げる議題(アジェンダ) について,患者と話し合う時間を設けている.

これにより,患者の治療目標や現段階の治療の見通しを確認することができ,何よりも患者と協力して双方的に治療を行う姿勢を示すことが可能となる。それでは,各ステージの目的に沿って CBT を構成する主要な構成要素についてポイントを整理していく。

 1.治療関係の構築とうつ病および CBT の心理教育(ステージ1)

CBT にかかわらず、治療が始まる際には,患者とのラポール形成が重要となる.患者の困り感, 話したいこと, こちらで協力できそうなことを十分に聴取してから, CBT の枠組みや、うつ病の回復過程などていねいに説明することが重要である。

うつ病の心理教育,さらに, CBT の流れや仕組みについては,現在の患者の状況を聞きながら,自身の生活に支障が出てきている部分に対して,うつ病の影響が現われている可能性をていねいに説明する. うつ病患者は,しばしば。 否定的に考えてしまうという「マイナス思考」そのものが自己であるととらえている場合が多い、そのため,現在のつらい状況を引き起こしているのは,自分自身のせいではなく, うつ病の症状によって引き起こされているものであることを伝え, うつ病に特有な考え方や行動パターンを理解したうえで, その治療法として、CBT が効果的であることを伝えることが重要となる。

2.治療目標の明確化と活動記録表の活用(ステージ2)

CBT は,心理教育とセルフモニタリングを基盤とした自己学習型の精神療法であることから, セッションを通じて何に取り組むかといった目標の明確化が重要となる.一方, “目標” と言われると,「病気になる前の自分」と比較して, うつ病の症状そのものをすべて取り除きたい,といった目標や, 自分以外の周囲の者を変化させることで変わる目標を設定するケースもある。前述のように, CBT は,自己学習型の精神療法であることから,目標設定のポイントとしては,自分でコントロール可能な目標であること,さらには,具体的で現実的な目標であるかをきちんと話し合う必要がある.また,自分が主体で変わっていくことを実感してもらうために,身の回りの出来事や考え方,気分がそれぞれ双方向に関連していることを示し,実際にセルフモニタリングなどを用いて実感してもらうことも重要である.さらに,生活リズムの立て直しを目的に, 活動スケジュールの作成やセルフモニタリングが活用できる. うつ状態では, 興味関心の低下や無力感などによって活動が抑制されやすく,「症状ありき」の生活に陥りがちだが, 自分の調子に見合った行動を実際にすることで,回復のきっかけをつかむことが重要となる.そのために, 1日の大まかな活動計画を立て, その遂行を記録し,そのときの状況や気分をセルフモニタリングさせる.また, 調子が悪くてもできそうな課題から実施し,自発的な行動の遂行と達成感の経験を促進できるようなかかわりが重要である。

3.出来事・自動思考・気分・行動の把握(ステージ3)

ここからは,主にコラム表を用いて,出来事と自らの気分, 考え(自動思考)がどのように関連しているのかを検討していく、ここでの取り組みは,認知再構成法にも通じている.認知再構成法は, うつ病に特有の「マイナス思考」を「プラス思考」に転換していくという単純な技法ではなく, 思考の柔軟性と多様性を取り戻すための援助を行っていく技法である. 治療者がよく陥りやすい誤りとして,患者の否定的な考え方を指摘して,望ましい考え方を提案し, その考えを実行するように働きかけてしまうことがあるが、「マイナス思考」が悪いのではなく, その思考から離れられず、悪循環になっていることが問題だととらえる.また, マイナス思考から離れられず、悪循環に陥りやすい状況は,うつ病の特徴でもあることを再度伝え,そのうえで, どのように考えることが自分自身を楽にすることができそうかを一緒に検討していくことが大切である。

4.適応的思考の検討,問題解決療法(ステージ4・5)

ステージ3で実施したコラム表をもとに, 自動思考を裏づける客観的な根拠を見つけ出し, さらに,自分を楽にできるような適応的思考(反証)を検討する. 自動思考を裏づける根拠は、主観的な思い込みや解釈は避け、できるだけ観察可能な客観的事実を書き出すように求め,自動思考に認知の偏りが現れていないか気づかせるきっかけづくりができるようにする. 根拠が見つけにくい場合には,自動思考が浮かんだ状況について,今一度振り返ってみると気づきやすい、それでもなお,記述が難しい場合や, 自動思考に矛盾することがない場合には,問題解決療法の枠組みに則り,行動課題にシフトすることも有効である。

問題解決療法は,①問題の明確化,②解決方法の探索, ③解決方法の吟味(長所と短所の検討), ④実行, ⑤遂行結果の評価, といった5 つの段階からなっており,このプロセスに沿って,患者自身が感じているストレスに対応していくことで,問題解決を促進させていく治療法である.特に, うつ病の発症にかかわっていたと考えられる状況や苦手な場面などについては,状況や相手, 問題の内容などを明確にすること,さらに, 解決方法の吟味に関しては, これまで行ってきた対処などを振り返りながら, 改めて解決方法を吟味し,実施するまでのスモールステップをていねいに話し合いながら, トレーニングを行っていくことが重要である。

また,問題を解決するために, 行動を細分化し、実際に動いた結果の心身の変化を実感することによって,悪循環となっていた考え方に新たな気づきが得られる場合もあるため, コラム表がなかなか進まない場合に,内容をシフトすることも大切である。

5.終結と再発予防(ステージ6)

治療の終盤に向けて, これまで身につけたことや変化した点をまとめる作業を行う.また,再度、うつ病の回復過程を説明し,これからも一時的にうつ状態が逆戻りする可能性があるこ と, しかし,状態が悪化しすぎないスキルを今回の治療で身につけられたことを伝え, 治療終了後も,引き続き,身につけたスキルを使っていくことを推奨することが重要である.また,繰り返し述べるが, CBT は自己学習型の精神療法である.したがって,気分や状況が改善したのは,患者自身が考え方や行動を変化させた結果であることを繰り返し強調することで,今後同じような状況に陥りそうになったとしても, 大丈夫だと思えることが大切である.それらを「踏まえて,今後, うつ症状が悪化しそうになったときに、どう対処するのかをあらかじめ書き出したりして,再発予防に備えることが重要である。

その他の認知行動療法とその効果

次に,近年うつ病の改善や再発予防に向けて 効果があるとされている, 治療技法とその効果についても概観していく。

1.行動活性化療法

行動活性化療法は, 比較的古くからある, うつ病に対する行動的なアプローチである.行動, 活性化療法は, うつ病になることで正の強化を受ける機会が減少することから,正の強化を受ける機会を増やすように快活動を増やすことや, 正の強化を受けられるような社会的スキルを身につける包括的な治療プログラムが作成されている。

具体的には,面接などを通して,患者の生活している状況での行動を気分とともに, 活動記録表などを用いて記入し,機能分析をしながら,活動スケジュールを立て,行動を活性化する手続きをとる.これらのねらいとしては,「やる気がないと行動できない」といった,症状あり きの生活ではなく,外面的な行動上の変化によっても,内面的な気分や考えなどの変化が生じることに気づけることが重要であり,気分に依存せずに,自分の生活の中で価値を置いている行動を行えるようになることを目指している。

行動活性化における治療効果は, Jacobsonらの研究によって明らかにされており,認知療法の要因分析によって, 行動活性化,認知再構成, フルパッケージの認知療法の3群で比較したところ,3群間の効果は,治療直後、半年後のフォローアップともに差が認められず, さらに,2年後のフォローアップにおいては,認知療法が行動活性化よりも優れているという結果は得られなかった15). さらに, メタ分析の結果では,行動活性化は対照群と比較して,治療効果が高く, CBTやその他の心理療法と比較しても,その効果に遜色ないことが示されている

2.マインドフルネス認知療法

マインドフルネス認知療法(Mindfulnessbased Cognitive Therapy : MBCT)は,特にうつ病の再発予防に焦点を当てて開発された治療法である

MBCT は, うつ病の再発予防のスキルを学ぶことができるようにデザインされた, 集団ベースのスキルトレーニングプログラムである。

MBCT は,身体的感覚, うつ病の再発に関連する思考や感情への気づきを学ばせたり,それらの経験を関連づけさせることを目的としている. これは, うつ病の再発に悪い影響を与えたり, うつ症状を維持させてしまうような思考、感情, 行動(例えば,自己非難的思考回避) の自動的なモードの回復と関連していることが示されている理論的, 実証的ワークに基づいている.参加者は,意図的にモードを変えることによって,それらの“自動的な案内”モードを認識し,それらのモードから脱却し,健康的な方向へと反応することを学ぶ。それらのモードとは、否定的な思考、感情からの脱中心化, 自己憐憫のスタンスを用いることの難しさを受け入れること,体験に触れたり変えたりすることへの身体的な気づきを活用すること,である。

プログラムの後半では、患者は再発の早期警告サインに気づいたときに,反応するための方略を計画する“活動計画”を作成する。

治療効果としては, Teasdale らが通常治療群と MBCT 群とで再発・再燃率の低減につい て検討している.その結果, MBCT 群は,大うつ病を3回以上発症した経験のある患者の場合 (対象者の約77%), 通常治療群よりも有意に再燃率を低下させたことが示されている.また,研究期間の 60 週間で、 通常治療群の患者は 66%の再燃率を示したが, MBCT群の患者の再燃率は37%であり,その差は有意であった(p<0.05). これらの結果から, MBCT は,抑うつ的な思考パターンが活性化し、自動的な再燃プロセスを繰り返している再発患者にとって有効な治療法だと考えられている。

3.対人関係療法

対人関係の調整に特に焦点化した治療法の1 つに対人関係療法(Interpersonal Therapy: IPT)がある. IPT は, うつ病に対する短期精神療法として CBT とともにスタートし, エビデンス・ベイストの双壁として, CBT に似ているといわれることも多い. CBT が患者の非機能的な認知や行動に働きかけるのに対し, IPT は, 日常的に維持することが難しい対人関係や, 解決が困難になっている対人関係に焦点を当て, 感情と対人関係につながりがあることを理解し,気づくことが主な臨床課題となっている。

また,一般的に CBT が強い感情を伴う「熱い(hot)認知」に焦点を当てるのに対し, IPT は認知そのものには焦点を当てず, 感情や気持ちに直接焦点を当てている.また, IPT の焦点はあくまでも対人関係にあり,感情を指標にしながら,対人行動やコミュニケーションのパターンをみつけ, 4つの問題領域(悲哀, 対人関係上の役割をめぐる不和, 役割の変化, 対人関係の欠如)の枠組みを用いており,この点も特異的な戦略となっている. IPT は,よりうつ病が重度の場合に用いられ, 薬物療法との併用によって,再発リスクが低いことが示されている。

4.集団 CBT

うつ病治療に対して,高強度の心理社会的介入の1つとして, 集団 CBT (Cognitive Behavioral Group Therapy : CBGT)がある. Oei らは,うつ病性障害における CBGT の系統的レビューにおいて,その効果を示しており, 個人CBT と CBGT では,その治療効果に差はみられないことが明らかになっている.また,費用対効果のうえでも, CBGT がうつ病治療にとって最良の精神療法であることが示されている。また,本邦においても, CBGT の効果は検討されつつある. 例えば,田上らによって,2008年に開発された, クリニックにおける CBGT においては、5~6名程度の大うつ病性障害の患者を対象に,全10回の CBGT を実施し,その介入効果を検討したところ, BDI 得点の有意な低減。 さらに, 自動思考における「将来否定」,「自己非難」の得点が有意に低減し,「肯定的思考」 得点が有意に増加しており, CBGT 終了後の3 カ月後フォローアップ時にも,その効果は維持されていた、さらに, CBGT を用いた復職支援プログラムも近年活発に行われ,その効果が示されつつある. CBGT は,集団という点から患者間のモデリングや, 相互のフィードバックなど, プログラム内の参加者の相互作用が生まれやすい。つまり,職場復帰に向けて対人交流をもつという意味でも,休職者にとっては, 集団という治療形態が有効な方法であると考えられる.ただし,いずれにしても,対照群を設けた CBGT の治療効果の研究はまだ数少なく, CBGT の実践が十分になされていない状況であることも指摘されている. うつ病性障害対策の重要性と CBGT の効果を考えると,今後いっそうの発展が望まれる。

おわりに

CBT は,国際的には実証された治療法として推奨されているが,本邦では実施機関そのものが少なく,患者のニーズに応えられているとはいいがたい.また,治療パッケージとそのマニュアルが整備されつつあるが,治療パッケージがあれば、すぐに患者に適応できるというわけでもない。そのため, 患者の病態や特性に合わせて最適化していくために, 患者を注意深く観察することや, 描く技法のめざしている本質的なねらいを咀嚼し,実践していく必要があるだろう。

文献

1) Lepine JP, Gastpar M, Mendlesicz J, et al:Depression in the community : The first panEuropean study DEORES. Int Clin Psychopharmacul 12:19-29, 1997

2) Weissman MM, Bruce LM, Leaf PJ : Affective disorder. In : Robins LNm, Regier DA (eds): Psychiatric disorders in America: The Epidemiologic Cathment Area study. Free Press, New York, pp53-80, 1990

3) Parikh SV, Wasylenki D, Goering P, et al: Mood disorders : rural/urban differences in prevalence, health care utilization and disability in Ontario.) Affect Disord 38 : 57-65, 1996

4) 川上憲人:世界のうつ病, 日本のうつ病一疫学研究の現在、医学のあゆみ 219 : 925-929,2006

5) National Institute for Clinical Excelence (NICE)ガイドライン, 2009

6) Lynch D, Laws KR, Mckenna PJ: Cognitive behavioral therapy for major psychiatric disorder : does it really work? A meta-analytical review of well-controlled trials. Psychol Med 40:9-24, 2009

7) Vittengl JR, Clarl LA, Dunn TW, et al: Reducing relapse and recurrence in unipolar depression : a comparative meta-analysis of cognitive-behavioral therapy’s effects. J Consul Clin Psychol 75:475-488, 2007

8) Ekers D, Richards D, Gilbody S : A meta-analysis of randomized trials of behavioural treatment of depression. Psychol Med 38: 611-623, 2008

9) Gerhard A, Pim C:Internet-based and other computerized psychological treatments for adult depression : a meta-analysis. Cogn Behav Therapy 38:196-205, 2009

10) Fujisawa D, Nakagawa A, Tajima M, et al: Cognitive behavioral therapy for depression among adults in Japanese clinical settings : a singlegroup study. BMC Res Notes 3 : 160, 2010

11) 厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」、慶應義塾大学認知行動療法研究会 (編):うつ病の認知療法・認知行動療法マ

ニュアル, 2009

12) 鈴木伸一,神村栄一:実践家のための認知行動療法テクニックガイド,北大路書房, 2005 13) 熊野宏昭, 鈴木伸一:うつ病の行動活性化療法、日本評論社, 2011

14) Jacobson NS, Dobson KS, Truax PA : A component analysis of cognitive-behavioral treatment for depression. J Consult Clin Psychol 64 : 295-304, 1996

15) Gortner ET, Gollan JK, Dobson KS, et al:Cognitive-behavioral treatment for depression : relapse prevention. J Consult Clin Psychol 66 :377-384, 1998

16) Cuijpers P, van Straten A, Andersson G, et al :Psychotherapy for depression in adults: a metaanalysis of comparative outcome studies. J Consult Clin. Psychol 76 :909-922, 2008

17) Cuijpers P, van Straten A, Warmerdam L:Behavioral activation treatments of depression : a meta-analysis. Clin Psychol Rev 27 : 318-326, 2007

18) Mazzucchelli T, Kane R, Rees C : Behavioral activation treatments for depression in adults : A meta-analysis and Review. Clinical Psychology : Science and Practice 16 : 383-411, 2009

19) Segal ZV, Williams JMG, Teasdale JD : Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Depression :A New Approach to Preventing Relapse. The Guilford Press, 2002(越川房子(監訳) マイン ドフルネス認知療法-うつを予防する新しいアプローチ、北大路書房, 2007)

20) Teasdale JD, Segal ZV, Williams JMG, et al : Prevention of relapse/recurrence in major depression by mindfulness-based cognitive therapy. I Consult Clin Psychol 68: 615-623, 2000

21) Frank E, Kupfer DJ, Perel JM, et al : Tree-year outcomes for maintenance therapies in recurrent depression. Arch Gen Psychiatry 47 :1093-1099, 1990

22) Reynolds CFIII, Frank E, Perel JM, et al : Nortriptyline and interpersonal psychotherapy as maintenance therapies for recurrent major depression: A randomized controlled trial in patients older than 59 years. JAMA 281 : 39-45, 1999

23) Oei TPS, Dingle G : The effectiveness of group cognitive behaviour therapy for unipolar depresssive disorders. J Affect Disord 107 : 5-21, 2008

24) Matsunaga M, Okamoto Y, Suzuki S, et al : Psychological functioning in patients with treatment-resistant depression after group cognitive behavioral therapy. BMC Psychiatry 10:22,2010

25) 清水 磐田上明日香, 伊藤大輔, 他:うつ病復職者に対する集団 CBT の効果~3ヶ月フォローアップの検討~ 第7回日本うつ病学会総会大会論文集, 2010

26)鈴木伸一, 岡本泰昌, 松永美希:うつ病の集団認知行動療法実践マニュアル, 日本評論社,2011

27) 秋山 剛, 岡崎 渉, 田島美幸:うつ病からの復帰復職を目指して一総合病院精神科における取り組み, 精神科 11:454-459, 2007

28) 伊藤雅之, 本田知之, 森 豊和, 他:「うつ病」による病休・休職者の復職をめぐる精神医学 的諸問題一服飾デイケアの可能性、臨床精神医学 35:1079-7083, 2006

29) 中島美鈴, 稗田道成, 島田俊夫:集団認知行動療法の比較対象試験による効果検討(1). 精神科治療学 24:851-858, 2009

30) 松永美希, 鈴木伸一, 岡本泰昌, 他:うつ病に対する集団 CBT の展望、精神科治療学 22: 1081-1091, 2007

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(記事紹介)不安で眠れない

ちょっと前のプレスリリースですが、不安による不眠状態を解明した筑波大学IIISの発表を紹介します。不眠症の原因として不安症状があげられます。原因のはっきりしている不安(災害等直接今現在の不安)で眠れないことはわかりますが、漠然とした不安感が不眠の原因となっている場合の、不眠症状に対する対処の道を探る一助ではないかと思います。

プレスリリース
2017.6.28|国立大学法人 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
https://wpi-iiis.tsukuba.ac.jp/japanese/news/841/

不安で眠れない
そのとき脳では何が起きているのか
研究成果のポイント
1. 恐怖や不安に関与する脳領域にあるニューロンが、不安による覚醒を引き起こすことを、マウスを用いた一連の実験により明らかにしました。
2. 同じニューロンを持続的に興奮させたところ、覚醒時間が延長され、ノンレム睡眠・レム睡眠両方が減少しました。
3. このニューロンが覚醒を誘導するメカニズムの一端が明らかになったことにより、不安障害や不眠症の新たな治療薬開発へつながることが期待されます。

国立大学法人筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) 櫻井武副機構長/教授と金沢大学医学類の小谷将太(学部学生)らの研究グループは、マウスを用いた一連の実験により、恐怖や不安に関与する脳の領域、分界条床核*1に存在するGABA作動性ニューロン*2を特異的に興奮させると、ノンレム睡眠をしていたマウスが直ちに覚醒することを明らかにしました。また、同じニューロンを持続的に興奮させたところ、覚醒時間が延長され、ノンレム睡眠・レム睡眠両方が減少しました。さらに、前者の反応は、覚醒を司ることが知られているオレキシン系の作用を介していないのに対し、後者はオレキシンの作用によることを確認しました。
睡眠覚醒の状態は、生体内外のさまざまな要因や環境の影響を受けて変化します。不安などの情動*3は覚醒に影響し、不眠症の原因となることがよく知られていますが、その背景にある神経科学的なメカニズムはこれまで明らかになっていませんでした。
今回、情動と覚醒をつなぐメカニズムの一部が解明されたことにより、不安障害や不眠症などに効果のある新たな医薬品の開発につながることが期待されます。
この研究成果は、2017年6月22日に米国科学雑誌Journal of Neuroscience誌オンライン版にて公開されました。
本研究は文部科学省科学研究費(課題番号:15H03122、16H06401)などの支援によって実施されました。

研究の背景
動物の睡眠と覚醒の状態は、体内時計や先行する覚醒の長さ(睡眠負債)の影響を受けて変化します。それらに加えて、生体内外の環境によっても大きな影響を受けます。環境中に恐怖や報酬の対象となるものが存在することで生じた情動は、交感神経系の興奮やストレスホルモンの分泌とともに、覚醒を引き起こします。一方、明確な対象のない、漠然とした不安も覚醒に影響し、こうした情動が不眠症の根底にあることがよく知られています。しかし、実際にどのような神経科学的なメカニズムがそこに介在しているかは、これまで明らかになっていませんでした。本研究では、恐怖や不安などの情動をつかさどる大脳辺縁系がどのようなしくみで覚醒に影響を与えるかを明らかにすることを目的として、マウスを用いた実験を行ないました。

研究内容と成果
大脳辺縁系の一部で、恐怖や不安に関与する領域である分界条床核*2からは、脳内の複数の領域に神経細胞が軸索とよばれる突起を伸ばしていて情動を制御しています。本研究グループは、分界条床核に局在するGABA 作動性ニューロン*3 に着目し、それが覚醒を制御する上での役割を解析しました。光遺伝学*4 という手法を用いて分界条床核に存在するGABA 作動性ニューロンを特異的に興奮させたところ、ノンレム睡眠をしていたマウスが直ちに覚醒することが明らかになりました(図1)。
しかし、レム睡眠時に同様の刺激を与えても、いかなる効果も見られませんでした。一方、ノンレム睡眠から直ちに覚醒に移行するこの作用に、覚醒に関与する脳内物質であるオレキシンが関与しているかを調べるため、オレキシン受容体拮抗薬*5 を用いた実験を行ないましたが、影響はありませんでした。
したがって、この覚醒作用にオレキシンは関与していないことが明らかになりました。また、分界条床核に存在するGABA 作動性ニューロンを薬理遺伝学*5 という手法を用いて持続的に興奮させたところ、覚醒時間の延長とノンレム睡眠・レム睡眠両方の減少が認められました。この作用については、先述のオレキシン受容体拮抗薬によって強く阻害されました。これらの結果から、次の2点が明らかとなりました。
① ノンレム睡眠時に分界条床核のGABA 作動性ニューロンが興奮すると覚醒が引き起こされるが、ここにはオレキシンの作用は介在しない。
② 分界条床核のGABA 作動性ニューロンが持続的に興奮するとオレキシン系が動員され、その作用によって覚醒が維持される。
以上、本研究により、不安などの情動に大きく関与する分界条床核におけるGABA 作動性ニューロンが覚醒を誘導するメカニズムの一端が判明しました。
GABA は、抑制性の神経伝達物質で、その機能を脳内で広範に高めると抗不安作用、催眠作用があるとされています。しかし今回の実験では、分界条床核など一部の脳の領域ではむしろ覚醒に関わっていることも示されました(図2)。
現在、オレキシン受容体拮抗薬が臨床的に不眠症治療薬として使われるようになっています。本研究により、同治療薬は、持続的な不安にもとづく不眠を改善する効果がある一方で、情動による即時の覚醒応答自体には影響を与えないことが確認されました。したがって同治療薬を服用していても、たとえば、就寝時に危険が発生した際の覚醒を妨げることはないということも示唆されました。

今後の展開
不眠症の根底には不安が存在することが多く、そのメカニズムには分界条床核やオレキシンが関与していることが示唆されました。今後、これらの領域をターゲットとすることで、不安障害や不眠症などに効果のある医薬品の開発につながるかもしれません。また、オレキシン受容体拮抗薬はすでに不眠症治療薬として実用化されており、その詳しい作用メカニズムを理解するうえでも重要な知見となると考えられます。

参考図

図1|今回の研究で使用された実験方法。GABA 作動性ニューロンに発現させたタンパク質チャネルロドプシンに光を当ててニューロンを興奮させると、ノンレム睡眠から直ちに覚醒する。

用語解説
*1) 分界条床核
中枢神経内において、神経系の分岐点や中継点となっている神経細胞群である神経核の1つ。恐怖や不安などの情動に関与しているとされている。
*2) GABA 作動性ニューロン
GABA を神経伝達物質とするニューロン。GABA はアミノ酸の一種で、脳内でもっとも多く使われる抑制性の脳内物質。
*3) 情動
喜び、悲しみ、怒り、恐怖、不安といった本能的な心の動きのことで、 目や耳などの感覚器官から得た情報に対する脳の反応。「感情」を客観的に読み取ったものともいえる。
*4) 光遺伝学
藻類に存在する、光に感受性をもつ遺伝子を用いて、特定の神経細胞を操作(刺激・抑制)することによってその機能を知る方法。
*5) 受容体拮抗薬
生体内で機能する生理活性物質の受容体に結合し、本来作用する物質の機能を阻害する薬物。
*6) 薬理遺伝学
人工で作られた化合物にのみ反応する人工の受容体を特定の神経細胞に発現させその神経細胞のみを化合物を動物に投与することによって操作する方法

掲載論文
【題 名】Excitation of GABAergic neurons in the bed nucleus of the stria terminalis triggers immediate transition from non-rapid eye movement sleep to wakefulness in mice.
(分界条床核GABA 作動性ニューロンの興奮はノンレム睡眠から覚醒への遷移を惹起する)
【著者名】Kodani S, Soya S, Sakurai T
【掲載誌】J. Neurosci. doi: 10.1523/JNEUROSCI.0245-17.2017

問合わせ先
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)広報連携チーム
住所 〒305-8575 茨城県つくば市天王台1-1-1 睡眠医科学研究棟
E-mail wpi-iiis-alliance@ml.cc.tsukuba.ac.jp
電話 029-853-5857

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)不安障害に対する認知行動療法

日替わりのように暖かい日と寒い日が続き、気温差が極端になって、体調崩す人が増えているようです。三寒四温という時期はもう少しなのかもしれません。

本日は「不安障害に対する認知行動療法」という論文をご紹介します。著者は北海道医療大学の教授で、認知行動療法の専門家です。

不眠症やうつ病に至るきっかけとしては、不安障害からが多いのではないかと思います。認知行動療法による薬を使わない治療が、不眠症の克服に寄与できれば、危険な睡眠薬を減らせるのではないかと考えます。

https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1140091077.pdf

特集 坂野:不安障害に対する認知行動療法

著者所属:北海道医療大学心理科学部

特集 不安障害の病態・診断・治療の最前線

不安障害に対する認知行動療法

坂野 雄二

不安の問題の改善を考えるときには,不安という心理学的現象がもつ特徴を考慮する必要がある.不安は一般的に認められる情緒であり,病的な不安が改善した後も一過性の強い不安の問題を抱える場合も少なくない。したがって,不安障害の改善は,単に病的な不安の改善のみならず、その後の不安のマネジメントをどのように行うかが肝要であり,不安のマネジメントスキルの獲得を治療の中で図ることが大切である.こうした点を考えると,不安障害の治療にあたっては、不安のセルフコントロールの指導まで含めた精神療法の活用が期待されるが,これまでの不安障害に対する精神療法の効果をみた研究を展望すると,強度の不安の改善のみならず予後の不安管理までをねらいとした認知行動療法の有効性を示す成果が多い.本論では,認知行動療法では不安をどのように理解するのか,その基本的仮説について理論的に考察した後、パニック障害, 強迫性障害, 社交不安障害,外傷後ストレス障害, 全般性不安障害, 特定の恐怖症に対する認知行動療法についてその動向と効果を展望するとともに,わが国において認知行動療法を一層普及促進するための課題が議論された。

<索引用語:不安 不安障害, 認知行動療法, 実証に基づく精神療法, エクスポージャー>

Ⅰ.不安障害の認知行動的理解

認知行動療法(cognitive behavior therapy: CBT)とは,心理学の理論である認知行動理論に基づいて,非適応的な振る舞いや考え方を合理的に修正し,セルフコントロールを体系的に学ぶとともに, 患者が自立した生活を送ることができるよう援助する心理学的治療法である21), 1950年代に始まる行動療法に代表される行動的アプローチと 1960年代に始まる認知療法, 論理療法を代表とする認知的アプローチが 1970年代に融合し,統合されて生まれた新しい精神療法であり, 現在に至って,世界の精神療法のグローバルスタンダードとなっている21), CBT はその基本的発想を古典的な精神力動モデルから bio-psycho‐social モデルへと転換している.行動理論の発展とともに, CBT は,条件づけ理論, 行動分析理論, 情動の処理理論, モデリングの理論, 記憶のネットワーク理論, 心理学的ストレス理論といった共通した基礎的な理論基盤をもつとともに, パニック障害の認知行動モデル, 社交不安障害の認知行動モデル, 慢性疼痛の認知モデルといった個別の疾患モデルを発展させてきた.また,治療の目的は,単に患者が当面の問題を解決して症状から解放されることをねらうだけではなく,症状のセルフコントロールを目指すことによって患者のQOLの改善と再発予防をねらうというところに力点がおかれる.さらに, CBT は,患者が自らの問題を適切に理解するところから始まり, case formulation(症状の形成、維持、消去に関連する諸要因の関連性を明確にして治療方針を立てるプロセス)を経た結果として治療計画を合理的に立て,介入を行って治療評価に至るまでの一連の作業であると理解することができる。基本的には実証に基づく精神療法の発想をとり,実証的に確立された治療法や基本となる治療モジュールを患者の症状に適合させて治療を行っていく(tailor-made)という発想をとる2). さて,認知行動療法では不安をどのように理解するのだろうか,そこには,以下のような基本的仮説がある。

①不安は個体の生存のために必要な基本情動であり,本来適応的である.しかし,実際に危険がないときに感じる不安は不適応的である2.23)

現実に危険が差し迫っているとき, 不安がなければ個人は生存することができない.一方で, 実際に危険がないときに強度の強すぎる不安は不必要に反応を抑制し,結果として生活を妨害する。強くなりすぎた不安が元に戻ることがなければ生活は妨害され続け, QOL は低下する.しかし, 強すぎる状態になる前に適度な状態に戻すことができるならば,あるいは,強すぎたときにはそれを弱くすることができると生活に支障をきたすことは少なくなる. CBT による治療では,不安をいかにコントロールし,不安といかに上手に付き合うことができるかの学習が促進されるよう働きかけが行われる。

②不安障害では「誤った警報」に対する過度の防御反応が学習されている。

図1は, パニック障害の認知行動モデルを示したものである。何らかの外的, 内的刺激に対して脅威を感じると不安が発生する.生起した不安によって心悸亢進といった様々な身体反応が生じると,患者は身体感覚の変化に気づく、身体感覚への気づきは,「最悪が訪れる。死ぬかもしれない」といった破局的解釈を引き起こし,それが知覚された脅威をさらに増強することになり,不安を増強する.こうした悪循環が起きているとき,患者はふとした一過性の鼓動の変化や, 呼吸の乱れ, めまいといった些細な変化を「最悪をもたらすパニック発作の前兆」であると解釈し,身体を防御すべくアラームシステムを発動することになる.

③不安症状には生理的, 認知的, 行動的コンポネントがあり,回避行動が生活を妨害している. 不安反応には生理的, 認知的, 行動的という3つの反応成分があり,それらがシンクロナイズしながら不安反応を形成している18). これら3つの反応成分の中, 行動的な変化のもっとも顕著なものが不安誘発刺激, ないし不安生起場面からの回避行動であり,回避行動はオペラント条件づけの回避学習のパラダイムにしたがって維持されている。回避行動は患者に不安減少をもたらす安全確保行動(safety behavior)であるが、不安減少は一過性のものであり,それがしばしば生活を妨害する悪習慣となっている。図2は強迫性障害の強迫行為の維持メカニズムを簡略に図示したものであるが,広場恐怖ほか,多くの不安障害における回避行動も同様の仕組みによって維持されていると考えられる。

④患者は, 刺激に反応するのではなく, 刺激の主観的解釈に反応している。

われわれが日常の出来事を認知するときには, 個人に一貫して見られる考え方の特徴が影響している. パニック障害患者の身体感覚への気づきは「最悪が訪れる」という破局的解釈を引き起こし, それが不安の増強をもたらすという悪循環を引き起こしているというという点を示した図1でも明らかなように, 患者は刺激に直接反応するのではなく,患者なりに主観的に解釈した結果に対して反応している。つまり,不安の生起には患者の解釈や考え方という何らかの認知システムが影響していることがわかる.患者が行う刺激の主観的解釈は,自動思考によって引き起こされ, 自動思考はスキーマによって活性化される 2,8,10), 不安の問題を抱える人には,「この世の中は危険だらけで自分はそうした出来事に対処できない」といった考え方の枠組み(スキーマ)が認められることが多い.また,不安障害患者は, ネガティブな知識をたくさん持ち,危険に関連すると患者が判断した刺激に対しては「選択的注意」が生じる。不安に関連する身体反応の気づきに対する閾値が変化し,わずかの変化に対して敏感になるとともに, 不安を引き起こしている,あるいは不安に関連していると患者が判断する刺激に対して過度の注目 (選択的注意)を向けるようになり,不安に関連する事象を頭の中で繰り返して考える現象(反すう)が認められる.脅威や危険に関連する刺激のみが情報処理されることになるが,そのときの情報処理の仕方には,二者択一的思考や過度の一般化, 選択的抽象化,「すべし思考」といった誤った情報処理過程が認められる.また,普段ならば強い恐怖を引き起こさない刺激や自分自身の変化が,「それは強い恐怖を引き起こすものだ」と 認知され記憶されたときには,病理的な恐怖が生じることになる(恐怖記憶のネットワーク), 図3は社交不安障害の認知行動モデルを示したものであるが, このモデルの中には,選択的注意 から認知的判断を経て不安が発生する状況が示されている.社交不安障害患者は人前で相手を見ていなかったり,ただ下を見るだけで相手を見ることなく話をしているかのように感じるが,実は相手のしぐさや表情の変化に非常に敏感で,相手をよく見ていることがわかる14,15)

⑤大脳辺縁系の活性化など、生理学的基盤を考える。

CBT の基礎理論は心理学の理論であるが, 神 経生理学的モデルとも齟齬をきたすものではない。図4は, エクスポージャー, リラクセーション,認知の修正, 選択的注意の修正, 呼吸訓練, 自己強化法などから構成される, 筆者が作成した10セッションからなる CBT プログラム(薬物療法は実施せず)をパニック障害患者に実施したときの,治療前後の糖代謝の変化を見たものである20) CBT による治療の後、海馬, 橋,小脳での代謝の低下, および内側前頭前野,前帯状回吻側での代謝亢進が認められ,回避行動は海馬レベルで学習されていた恐怖反応の解条件づけと, 扁桃核を抑制している前頭葉機能を強化することによる認知機能の修正の結果生じると考えられた.なお, 患者群では治療前に, 扁桃体領域に加え,海馬視床, 延髄などのいわゆる「恐怖ネットワーク」と呼ばれる部位に代謝亢進部位を認め, パニック神経回路の少なくとも扁桃体と入力側の過敏性の存在が示唆されていた。 このように, CBT は心理学的治療法であるが, 神経生理学的裏づけのある治療法であると言える。

Ⅱ. 不安障害に対する認知行動療法の現状

CBT は今や, 世界の精神療法の中心的存在となるに至っている.治療効果研究に裏づけられた実証に基づく精神療法の代表として挙げられ,多くの治療ガイドラインで上位に推奨される治療となっている.例えば, アメリカ心理学会第12部会が公表した「十分に確立された治療法」のリストでは, うつ病やパニック障害, 強迫性障害, 社交不安障害といった精神疾患, 頭痛や過敏性大腸 症候群, 慢性疼痛といったいわゆる心身症, 発達障害など 18 の問題に対して,認知行動療法が含まれている.また, 児童思春期を対象とした精神療法の効果に関しても,不安, 強迫性障害, 恐怖症, 抑うつ, 怒りと攻撃行動, 摂食障害, 痛み,ストレス, 対人関係, 不登校, ADHD, チック,遺尿・遺糞 自閉性障害など, 多様な対象に対して,認知行動療法は「十分に確立された治療法」、ないし「おそらく効果のある治療法」としてその適用が推奨されている19. さらに, biology やphariacology との連携の結果, 医学的治療法薬物療法との併用療法として活用されることも増えてきた。単に治療室にとどまるのではなくIT技術を活用して community に飛び出すとともに治療という観点のみならず, 予防という観点からさまざまな工夫がなされてくるようになっている22)

そうした動向の中, 多様な不安障害に対する有効な治療法としてCBT が推奨されるようになってきた。

パニック障害に対する治療法としては,生物学的基盤への働きかけを行うことによってパニック発作を緩和するとともに,二次的, あるいは併存する症状としての抑うつ反応の緩和をねらった薬物療法と,予期不安・広場恐怖の改善をねらった治療としてCBT を併用することが望ましいと指摘されている 1,17).また, 強迫性障害に対する治療法の選択ガイドラインでは, Y-BOCS の得点に基づく判断で,軽症例では,成人期, 青年期, 児童期において CBT が治療法の第一選択肢として指摘され,また, 中等度および重度で専門的な 援助を必要とするほど生活機能上の障害がある症 例では,成人期と青年期には認知行動療法とセロ トニン再取り込み阻害剤の併用が,児童期にはCBT が第一選択肢として推奨されている。

社交不安障害に対する治療法では,エクスポージャー, 応用リラクセーション, SST, 不安管理訓練, 認知療法という, 行動的要因と認知的要因の両者を含む治療パッケージが有効であると言われている11. さらに, PTSD に対する治療法では,治療効果研究の結果、長時間エクスポージャー, 認知療法, ストレス免疫訓練, EMDR(eye movement desensitization and reprocessing)が有効であると言われている1).また,全般性不安障害に対する治療法の中で無作為比較試験によって長期予後を含め効果的であると指摘されている治療法は, 認知療法, リラクセーション法, 不安管理訓練であると指摘されている.

なお,各不安障害に対する CBT を構成する治療要素をまとめたものが表1である。

ところで, 不安障害に対する精神療法として推奨される CBT であるが, その長所としては, ①身体的副作用がない, ②患者による症状の controllability が高く,治療に対する動機づけが得やすい, ③再発率が低い,④患者のQOLの向上が容易である,⑤マニュアル化が進み,ある程度標準化された治療が可能である, ⑥ Self-helpも可能であり, Self-help Book やコンピュータプログラムを用いるなど、患者が自ら行うこともできる, ⑦治療者にとっては,技法の習得が容易である,といった点を指摘することができる。

一方, 短所としては, ①現在のわが国の医療現場の実情を考えると,治療者が1人の患者に割く 時間には限りがあり,費用対効果という点から適用が見送られることがある, ② CBT で用いられる技法の中には患者に不安を喚起させる手順が含まれ(例:エクスポージャー), 導入が不適切であったときには患者に余計な不安が喚起され,それがドロップアウトを引き起こすことになりかねない, 3治療経過の中でホームワークを課すことが多く,患者が負担を感じることがある,といった点を指摘することができる.その他,わが国では依然として CBT を適切に実施することのできる治療者が少なく,患者からの accessibility が小さいという点もわが国の CBT が抱える短所と言えるかもしれない。

Ⅲ. わが国における認知行動療法の課題

さて,わが国において CBT を不安障害に対して適応し,その普及を考えたときには,以下のような課題があると考えられる。

  1. 治療マニュアルの開発と普及

上に述べたように, CBT にはいくつかの長所があるが, わが国ではまだその長所を十分に活かしきれていないところがある. CBT はマニュアル化が容易であるものの,さまざまなわが国の医療事情の中で利用可能なマニュアルの開発・普及は十分ではない。 平成22年には CBT の一部診療報酬が認められ, マニュアルが公開されたが, それは入院以外のうつ病などの気分障害患者を対象としたものに限られている16). 不安障害のCBT 治療マニュアルは海外ではすでに開発され活用されているが, そうした治療マニュアルの開発とその信頼性と妥当性の検証, そしてその一般的な提供は急務である.しかも,不安障害患者の少なくとも50%は,診断の際に2つ以上の診断名がつけられているとの指摘があることを考えると3), 並存症への対応を同時に考慮した治療マニュアルを開発しなければならない。

2.Self-help の機会提供

CBT は self-help が可能であり,海外では信頼性のある Self-help Book が公開されているが, わが国で利用可能なものはない. self-helpに供することのできる材料を作成・普及することも必要である。

3.児童思春期の不安障害への対応

児童青年期の不安障害への対応も大きな課題である. 約10 %の児童が不安の問題を抱えており,不登校の児童では,不安・抑うつに関連する精神疾患の有病率が30~50%と高い, また,児童期では異なる不安障害の併存率が 58%と高いと指摘されていることを考えると,不登校や引きこもりといった児童青年期の不適応問題の中に,不安障害が隠れている可能性は高い)、児童青年期の不安障害は,発達の過程で高まる一過性の不安の範囲を超えて強い苦痛や生活上の支障をもたらすものであり,発症年齢が若いことから,早期介入は非常に重要である。わが国でも児童期の不安障害に対する CBT の効果を立証した研究成果が増えてきているが13), 今後一層の発展が期待される。

4.治療者の教育・育成

CBT には,その技法の習得が容易であるとい  う長所がある.しかしながら,わが国では CBTを適切に行うことのできる治療者は少ない、治療者を積極的に育成し, トレーニングすることのできる機会を組織的に提供する体制を整える必要がある。 また, CBT を実施しようとすると,1回の治 療セッションに必要とされる時間が長く,わが国 の医療現場では十分な時間を1人の患者に割くことが難しいという実情もある.したがって,チーム医療の中でCBT に通じたコメディカルスタッフを積極的に登用することも考えなければならない。

5.わが国におけるエビデンスの蓄積と診療報酬化の促進

上に述べたように,平成22年には入院以外のうつ病などの気分障害に対して CBT の診療報酬が認められた。しかしながら,不安障害に対するCBTの有効性を考え,患者に対してより効果的な治療機会を提供することによって患者の様々な「負担を軽減するとともに, サービス提供者側の費用対効果という点を考えると,不安障害に対するCBT の診療報酬化を促進することは急務である。

また, そのためにも,不安障害に対する CBT の効果を裏付けるエビデンスを他施設共同研究などによって組織的に蓄積していかなければならない。

文献

1) American Psychiatric Association : Practice Guideline for the Treatment of Patients with Panic Disorder. APA, Washington, D.C., 1998

2) Beck, A. T., Emery, G., Greenberg, R. L.: Anxiety Disorders and Phobias. Basic Books, New York, 1985

3) Brown, T. A., Barlow, D. H.: Comorbidity among anxiety disorders: Implications for treatment and DSM-IV. J Colsul Clin Psychol, 60 ; 835-844, 1992

4) Brown, T. A., O’Leary, T. A., Barlow, D. H. : Generalized anxiety disorder. Clinical Handbook of Psychological Disorders (ed. by Barlow, D. H.). Guilford, New York, p. 137-188, 1993

5) Clark, D. A., Beck, A. T.: The Anxiety and Worry Workbook : The Cognitive Behavioral Solution. Guilford, New York, 2012

6) Crits-Christoph, P., Frank, E., Chambless, D. L., et al.: Training in empirically validated treatments : What are clinical psychology students learning? Professional Psychol Res Practice, 26 ; 514-522, 1995

7) Essau, C.A., Conradt, J., Petermann, F.: Frequency, comorbidity, and psychosocial impairment of anxiety disorders in adolescents, J Anxiety Dis, 14; 263279, 2000

8) Foa, E. B., Kozak, M. J.: Emotional processing of fear: Exposure of corrective information. Psychol Bull, 99 ; 20-35, 1986

9) Frances, A., Docherty, J. P., Kahn, D. A.: Treatment of obsessive-compulsive disorder. J Clin Psychiat, 58 ; Supplement 4, 1997

10) Freeman, A., Simon, K. M., : Cognitive Therapy of Anxiety. Comprehensive Handbook of Cognitive Therapy (ed. by Freeman, S., Simon, K. M., et al). Plenum, New York, p. 347-365, 1989

11) Heimberg, R. G., Juster, H. R. : Cognitive-behavioral treatments : literature review. Social Phobia :

Diagnosis, Assessment, and Treatment (ed. by Heimberg, R. G., Liebowitz, M. R., et al.). Guilford, New York, p. 261-309, 1995

12) 市井雅哉:外傷後ストレス障害、不安障害の臨床心理学(坂野雄二、丹野義彦ほか編)、東京大学出版会、東京p.75-101, 2006

13) Ishikawa, S., Motomura, N., Kawabata, Y., et al. : Cognitive behavioural therapy for Japanese children and adolescents with anxiety disorders: A pilot study. Behav Cogn Psychother, 40; 271-285, 2012

14) Kanai, Y., Sasagawa, S., Chen, J., et al.: Interpretation bias for ambiguous social behavior among individuals with high and low levels of social anxiety. Cog Ther Res, 34 ; 229-240, 2010

15) Kanai, Y., Sasagawa, S., Chen, J., et al. : The effects of video and nonnegative social feedback on distorted appraisals of bodily sensations and social anxiety. Psychol Rep, 109; 411-427, 2011

16)厚生労働科学研究費助成金こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」うつ病 の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル(http:// www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/d1/01.pdf)

17) 熊野宏昭(編):パニック障害ハンドブック:治療ガイドラインと診療の実際、医療書院、東京 2008

18) Lang, P. J., Melamed, B. G., Hart, J. A.: A psychophysiological analysis of fear modification using an automated desensitization procedure. J Abnorm Psychol, 88; 611-619, 1970

19) Ollendick, T.H., King, N.J.: Empirically supported treatment for children and adolescents. Child and Adolescent Therapy : Cognitive-behavioral Procedures (ed. by Kendall, P.). Guilford, New York, p. 386425, 2000

20) Sakai, Y., Kumano, H., Nishikawa, M., et al. : Changes in cerebral glucose utilization in patients with panic disorder treated with cognitive-behavioral therapy. Neuroimage, 33 ; 218-226, 2006

21) 坂野雄二;認知行動療法の基礎、金剛出版, 2011

22)山内喜久雄、坂野雄二(編):認知行動療法の技法と臨床、日本評論社、東京, 2009

23) Wells, A. : Cognitive Therapy of Anxiety Disorders. Wiley, New York, 1997

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)ストレスと精神障害

今日は朝の気温が高くて、猫たちも元気いっぱいに走り回っていました。昨日が節分で今日は立春。もうすぐ花いっぱいの季節です。

本日は「ストレスと精神障害」という獨協大学の論文をご紹介します。

ストレスに影響を被らない精神障害はないと言ってもよく、遺伝的要因を含む脆弱性を有する個人に何らかのストレス負荷が加わり発症するうつ病, 外傷後ストレス障害(PTSD), 摂食障害を事例として紹介しています。

ストレスと精神障害

獨協医科大学 精神神経医学教室

秋山 一文 斉藤 淳

https://dmu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=501&item_no=1&page_id=28&block_id=52

抄 録

脳には視床下部―下垂体―副腎皮質系(hypothalanic-pituitary-adrenocortical axis, HPA系)とノルアドレナリン系というストレス反応を担う2つの系が存在する. 急性のストレス反応を終焉させるためにHPA系全体に負のフィードバックが作動する.しかしストレス反応は長期化すればいわば「両刃の刃」としての性質をもつようになる.その引き金になるのがストレスの反復による海馬神経細胞への障害で,これにはbrain derived neurotrophic factor (BDNF)の減少が関与しているかもしれない、またストレスの反復によって脳内ノルアドレナリンの放出は感作される.精神障害は何らかの意味でストレスの影響を被るが、特にストレス反応を担う HPAの制御の障害が示唆される精神障害としてうつ病, 外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder, PTSD), 摂食障害を取り上げた。 いずれも遺伝的要因を含む脆弱性を有する個人に何らかのストレス負荷が加わり発症するという図式に共通点がある.しかしデキサメサゾン抑制試験で評価した HPAの制御障害の方向性はうつ病では非抑制, PTSDでは過剰抑制と相反している. MRIによるうつ病の画像研究では海馬の萎縮を認めた報告が多い.これがいつから始まるかという問題はストレスによる海馬神経細胞への障害の時間的経過という点で興味深いが更に今後の検討が必要と考えられる.近年, 児童虐待が社会問題化しているが、被虐待児が後年になってうつ病, あるいはPTSD など深刻な精神障害を高率に発症することが見いだされている.このようにストレスと精神障害との関係は大きな広がりを見せつつある。

  1. ストレス反応を担う系として脳

個体は外的環境要因(ストレッサー)が加えられると,適応のために生体内環境を変化させる.これがストレス反応である1.2. ストレス研究の歴史をひもとくと, Selye Hは「一般適応症候群」として温度, 拘束など物理的なストレッサーによって生じる一定の身体的変化(副腎皮質肥大, 胸腺萎縮, 胃潰瘍)を記載し,同時にこれらの生体反応に視床下部―下垂体―副腎皮質系(hypothalamic-pituitary-adrenocortical axis, 以下と HPA系と略)が関わっていることを強調した. この先駆的な業績はストレス反応が緊急時における生体防御としての機能をもつ反面, 長期化すれば様々な疾患の原因になるという,いわば「両刃の刃」としての性質をもつことを示唆した点で、その後のストレス研究を方向づけた。

「今日では, ストレスの概念はストレッサーが物理的要因にとどまらず心理的要因まで拡大されて捉えられることが通常で, 同時にストレス反応を担う系として脳の関与が重要視されている.特に視床下部,大脳辺縁系(海馬, 扁桃体), 前頭葉など感情, 記憶, 摂食行動を制御する部位の機能がストレスによって損なわれるとうつ病, 外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder, PTSD), 摂食障害といった精神障害につながりやすい.一方, 自律神経系, 内分泌系, 免疫系は互いに連関していることが知られている。ストレス反応はこれらの連関に大きな影響を及ぼす。 特にうつ病では, HPA系の亢進によって, 免疫反応の低下, 内臓脂肪の増加,高血圧, インシュリン抵抗性など様々な身体疾患を併発しやすいことがよく知られている(図1).

視床下部の室傍核(paraventricular nucleus, PVN) には副腎皮質刺激ホルモン(corticotropin releasing hormone, CRH)を合成する小細胞群が存在する. CRHを含む神経線維は正中隆起部外層部に至り,軸索輸送されたCRHは神経終末から下垂体門脈に分泌され, 下垂体前葉のadrenocorticotropin(ACTH)産生細胞を刺激する、引き続いて下垂体からの ACTH, 副腎皮質からの glucocorticoid(ヒトではコルチゾール)の分泌が促される.急性ストレス反応によって分泌されたコルチゾールは海馬やPVNその他に存在するコルチゾールに対するレセプター(glucocorticoid receptor (GR)とmineralcorticoid recepor (MR))に作用する.そしてこれらのレセプターの刺激がPVNのCRHの合成に対し抑制的に作用するため、急性ストレス反応は終焉する(負のフィードバック).

2. ストレス曝露と海馬神経細胞

しかし高いレベルのコルチゾールは海馬の神経細胞を障害することが知られている。ストレス曝露と海馬神経細胞の障害との関係には神経成長因子が大きな役割を演じている. 神経成長因子のなかでも brain derived neurotrophic factor (BDNF)は脳内に広汎に分布し,神経細胞の分化, 成長, そして成体に達した個体に於いて神経細胞の生存維持に大きな役割を担っている。ストレスは海馬のCA1, CA3の神経細胞と歯状核の顆粒細胞のBDNFの量を急速にしかも長期にわたって減少させる。中枢神経系では神経細胞は新生されないとされてきたが、例外的に海馬の歯状回では顆粒細胞が新たに作られ、これらがCA3錐体細胞と機能的なシナプスを形成することが明らかにされている. 顆粒細胞の神経新生(neurogenesis)は記憶形成に何らかの役割をもっていると考えられる. ストレスにより HPA系が活性化されコルチゾール濃度が上昇すると歯状回の顆粒細胞の新生が抑制され,一方で海馬CA3の神経細胞は樹状突起の短縮により萎縮する(図2).

海馬CA3領域における変化は歯状回からの苔状線維終末からのグルタミン酸放出をコルチゾールが促進させ, コルチゾールとグルタミン酸が相乗的に働くために起こるとされる. このようにして海馬の神経細胞を要とした負のフィードバックは破綻し,それはさらにHPA系を亢進させるという悪循 環を招く、同時にストレス曝露による海馬の神経細胞の障害は HPA系への抑制減弱を招くだけでなく認知機能の障害をもたらすと考えられている。ストレスによる歯状回顆粒細胞の新生の抑制は抗うつ薬の投与によって阻止されることが実験的に示されている。

3. ストレス反復によるノルアドレナリンの放出亢進

HPA系と密接な関係を保ちながらストレス応答に重要な役割を担っているのがノルアドレナリンである. 脳のノルアドレナリン神経系の細胞体は主として青斑核に存在し,ほとんどあらゆる脳部位に投射しており, 覚醒度 注意 学習, 記憶など多彩な機能と関係していると考えられている, 拘束ストレスや電撃ストレスといった物理的なストレスだけでなく動物実験でも心理的なストレスの負荷で脳内ノルアドレナリンの放出が亢進することが示されている. 心理的なストレスを動物実験で調べるには,透明なプラスチックの壁で仕切られた区画に一匹ずつ動物を置き、自らは電撃を受けない動物に周囲の動物が電撃を受けるのを目撃させる.この目撃によって当該動物は不快な視聴嗅覚刺激に曝露される.この方法を用いた心理的ストレスではノルアドレナリンの放出が視床下部, 扁桃核, 青斑体といった限られた脳部位で亢進し,しかも同ストレスの反復によって放出亢進は増強する. このことは物理的刺激によるストレスでは脳の広汎な部位にノルアドレナリン放出亢進がみられるが,同じ刺激の反復でこの効果に慣れが生じてくるのと対照的である. 一般にコントロールする手段がない ストレス, 予測がつかないストレス,発散できないストレス, 年をとってからのストレスにより脳のノルアドレナリン放出が広範な部位で生じたり,持続しやすい性質をもつ. 慢性的なストレス曝露歴をもつ個体では,その後のストレス曝露によりノルアドレナリン放出が増加する. このようなノルアドレナリン系反応の感作は PTSDでみられるストレス感作の原因の一部として考えられている, 青斑核に存在するノルアドレナリンニューロンは視床下部PVNのCRH ニューロンとストレス反応に於いて相互に増強しあう密接な関係を有する.

4. 強い情動を刻印する扁桃体

大脳皮質,大脳辺縁系, 視床下部は密接に連結し,情動行動の表出に深く関与している。体性感覚を通じて収集された外界の情報は扁桃体に送られ, 知覚に反映される外部環境要因が個体にとって有益かまたはその存在を脅かすものかという評価が行われる.扁桃体で行われた評価の情報が視床下部に送られ自律神経反応や内分泌反応などの生理的反応として表出される. 日常よく経験されるように, 強い情動を伴う出来事, 例えば非常に嫌だったことや逆に非常に楽しかったことは強く記憶に刻まれる.このような強い情動を喚起する出来事の記憶に扁桃体の神経活動の増加が重要な役割を演じていると考えられている. 扁桃体中心核はPVN に次いで CRH ニューロンを豊富に含有する. ラットの扁桃体中心核に CRHを注入すると不安行動を惹起するといわれる.また, 扁桃体中心核における CRH の発現は glucocorticoid により増加する. 扁桃体中心核と視床下部PVNのCRH系は互いを刺激しあう悪循環を形成して, 慢性的なHPA系の 活性化と不安行動を引き起こしていく可能性が示唆されている。

5. うつ病との関係 HPA制御異常, 脳画像, 小児虐待を焦点に

うつ病を含めた気分障害の分類についての考え方には長い歴史的経緯がある。当初は外的要因が絡んだexogenous depression と内的要因から生じる endogenous depression とを区別していたが, アメリカ精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアルの改訂3版からは症候学的な区別は曖昧という理由でその区別は撤廃された. 分類はともかくとして,離婚, 家族の死亡などの様々な負のライフイベントがうつ病の発症に重要な役割を演じていることは疑いがない、負のライフイベントがうつ病の発症前の1年間に高率に見られることが報告されている. ただしライフイベントとうつ病発症との関係に遺伝的な要因も関与しているといわれる.この分野では一卵性双生児のペアを含む多数の住民を母集団にした Kendler の研究が有名である. ライフイベントがうつ病を引き起こす1ヶ月あたりの確率はうつ病に罹患していなかった双生児ペアでは6.2%, 双方ともうつ病に罹患したことにある双生児ペアでは14.6%と後者で有意に高いと報告されている.一方で負のライフイベントとうつ病の発症の相関を示すオッズ比は一般の女性集団で5.64であるが、二卵性双生児ペアでは4.52, 一卵性双生児ペアの女性集団では3.58と順次低下していた. つまり遺伝的要因が強まるほどストレスに依存したうつ病発症の割合は減少する。そのため「うつ病発症にストレスが関与する」という言い方は実際には「遺伝 的に規定された脆弱性を持つ個体にストレスが付加されてうつ病が発症する」あるいは「遺伝的に規定された脆弱性を持つ個体は危険性のある環境を自ら選択しやすく,その結果, うつ病が発症する」と置き換えた方がよいという主張もある.

一方, ストレスの媒体である HPA系の制御障害とうつ病との関係については研究が重ねられてきた。 うつ病ではCRHの分泌過多のため脳脊髄液中のCRH 濃度が上昇する。不適切なフィードバックのためにコルチゾールの値が上昇し, 外因性 glucocorticoidのデキサメサゾン投与に対して血中コルチゾール値は抑制されにくい。うつ状態が回復するとこれらの HPA系の制御障害は正常化するため state marker とみなされることがある. うつ病に関するこういった病態と治療による変化を図3 に示す。しかしデキサメサゾンによる非抑制はうつ病で 半数しか認められないという感受性の低さとアルツハイマー病でもコルチゾール値の非抑制がみられるなど特異性も低いことが問題とされる。

「先述したストレスによる海馬神経細胞の障害を示唆するような脳画像に関する研究が報告されている. それによると,少なくとも一部のうつ病患者で海馬の萎縮が認められるのは確実である.罹病期間, うつ病の重症度との関係などが検討され詳細は一致しない点があるものの, 初回エピソードで未服薬の患者と再発性エピソードの既往者を比較して後者のみに海馬体積の減少が認められたことから,海馬の萎縮は発症後の極めて早期に起こるものと考えられている. うつ病エピソードの反復で海馬が萎縮する機序として高コルチゾール血症への反復による神経細胞の脱落, グルタミン酸による神経障害、ストレスによるBDNFの産生低下, ストレスによる神経新生の低下などが示唆されている. しかしながら, HPA系の制御障害と画像所見を組み合わせて検討した報告は極めてすくなく,今後の検討が必要である。

近年, 児童虐待の通告例が増加している.我が国では平成17年度には35000件を越える勢いを示している。

虐待には子供への積極的な身体的攻撃や性的虐待であるabuse と子供のニーズを満たさない無関心, 養育の怠慢。拒否などの neglectがあり,両者を総称してmaltreatment という。虐待者の6割は実母といわれる. 子供の両親を加害者へと変える最大の要因は家族機能不全 が引き起こす「孤立」であるといわれる.一方, 子育てにあたる母親からみると,子育てが楽しみや生き甲斐になっていないという意識が指摘され,上述した児童虐待の背景にも子育てに関連した母親のストレスとの深い関係が考えられる.虐待体験は子供の認知・記憶過程や情動・行動特性に多くの影響を与える.近年の研究によると,児童期に受けた虐待によって子供が成長してからうつ病, 神経性大食症, パニック障害, PTSD, 境界性パーソナリティー障害の発症が増すことが明らかにされている. 男性に比べて女性のうつ病の有病率は2倍高いことはよく知られている.これには女性ホルモンの関与も示唆されているが,児童期に受けた虐待の性差という視点での研究が行われている.一般に少女は少年に比べて小児期に性的虐待を受ける頻度が12倍も高い. 小児期での虐待(性的虐待、両親の不和・離婚も含む) を経験した女性はこれを経験しなかった女性に比べて成人に達した後のうつ病の発症率が有意に高いことが報告されている. 小児期に受けた虐待が後年にうつ病発症への脆弱性を高める機序にも中枢 HPA系の活動亢進の関与が示唆されている2). この分野は動物実験によって仮説の検証がある程度可能なため多くの研究が行われている.さらにボランティアーを募った臨床研究で, 小児期での虐待の有無, 調査時点でのうつ状態の有無によって分けた4群に心理社会的ストレスを負荷すると,調査時点のうつ状態の有無に関わらず小児期に虐待を受けた群はそれを受けたことのない群に比べてストレス負荷間の血漿中の ACTHの値が有意に高かったこと, 小児期に虐待を受けて調査時点でうつ状態を有する群は血漿中のコルチゾールの値が他の群に比べて有意に高値であったと報告されている.いずれにしても児童期に受けた「心の傷」が後年に深刻な影響を与えることは想像に難くないと思われる。

6. 外傷後ストレス障害との関係

先述したように個体の生存が脅かされる外的要因がストレッサーであり,このような状況に曝されると,怒り・恐れ・不安などの負の情動が引き起こされる.短期であっても個体の生存を脅かす度合いが強ければ、負の情動が長期にわたって続く. PTSDはそのような場合で, 診断規準では戦争, 大規模災害, 虐待など、 個人の生死に関わるような強い恐怖体験の後に再体験症状, 回避症状全般的反応の鈍麻、 持続性覚醒亢進などが1ヶ月以上持続し,それにより主観的苦痛や生活機能,社会機能に明らかな支障をきたすことを指すものをいう 2), 外傷後ストレスに暴露されたもののうち急性ストレス反応を生じるのは30-50%あり,さらにPTSDに発展するものはそのうちの50%であるとされている. 外傷後ストレスに暴露された者の全てがPTSDを発症するわけではないことから, PTSDの発症と持続に関係するいくつかの潜在的危険因子も検討されている。具体的には過去の虐待行動上の問題や心理的問題の既往, 合併精神障害, 遺伝的要因, 精神障害の家族歴などである. 再体験症状はフラッシュバックあるいは侵入的想起とも呼ばれPTSD の特徴的な症状である。この機序として、活動性が亢進したノルアドレナリン系ニューロンを介して、恐怖感を伴う出来事の記憶が扁桃体に過剰に固定され,このような記憶が侵入的想起として体験されることによってさらに記憶が強化されるという positive feedback 仮説が想定されている. うつ病と類似してPTSDでは脳脊髄液中の CRHの高値とMRIによる画像研究で海馬体積の減少が認められている. しかし,うつ病とは逆にPTSDでは HPA機能低下を示唆する所見が目立つ. 例えば 24時間尿中遊離コルチゾール量と血中のコルチゾール濃度は低下しており, デキサメサゾン抑制試験でのコルチゾール過剰抑制が認められる2). これらを明解に説明することは容易ではないが, PTSDでは視床下部由来のCRFが上昇し, CRF に対する ACTH反応の鈍化と海馬glucocorticoid 受容体に過感受性をもたらし,それがHPA系に過剰な負のフィードバックをもたらしていると考えられている。

7. 摂食障害との関係

神経性無食欲症は若年女性に発症する摂食障害である.心理的ストレスによる摂食量の減少による極端な体重減少, やせ願望, 肥満恐怖, ボディーイメージの障害が主な症状である. 神経性無食欲症では血中 ACTHコルチゾール値は上昇し, 日内変動を欠き, 低用量のデキサメサゾンでは抑制が認められない. 脳脊髄液中のCRHも高値で持続的なHPA系の活動亢進状態が認められる, 脳内のCRH はストレス時での摂食行動を抑制していると考えられる. 体重が回復すると脳脊髄液中の CRH値は正常化する. 以上より本症ではHPA系が賦活化され,しかもそれは飢餓による影響では説明できず、視床下部に主な障害があることが示唆される。 神経性無食欲症の患者はストレスに対するコーピングスキル(ストレスを適切に処理する能力)が未熟であった り, 摂食障害を発病しやすい脆弱性や性格傾向があると いわれる。発病の契機になるストレスとしては、両親の不和, 母と祖母の嫁姑葛藤, 同胞の家庭内暴力など家庭内の問題があげられているが, ストレスが摂食中枢に影響を及ぼしやすい遺伝的素因も示唆されている。摂食障害の患者の家族内に摂食障害やうつ病の発症もあることから,素因となる候補遺伝子多型の検索が行われているが、未だはっきりした遺伝子多型は見いだされていない。

8. おわりに

おおよそストレスによる影響を被らない精神障害はないといってもよい。ここでは取り扱わなかったが,統合失調症の発症と再発に及ぼすストレスの影響も大きなテーマであり,コーピングスキルや家族の感情表出に関して多くの研究がある.大学病院の精神科外来ではうつ病の患者が多く,また同一患者の再燃・再発もよく見受けられる.そのなかには軽微なストレスでも再燃・再発の徴候を示す者が少なくない、それらを見逃さないことは重要である。

文献

1) 大島久幸 芝崎 保:ストレスと本能および情動行動CLINICAL NEUROSCIENCE, 21 (9):1034-1036, 2003.

2) Selye H. : The general adaptation syndrome and the disease of adaptation. J Clin Endocrinol, 6:117-230, 1946.

3) Sapolsky RM. : Glucocorticoids and hippocampal atrophy in neuropsychiatric disorders. Arch Gen Psychiatry, 57 :925-935, 2000.

4)牧野晋也, 橋本浩三:神経内分泌系のストレス応答CLINICAL NEUROSCIENCE, 21(9): 1011-1014,2003.

5) Duman RS. : The neurochemistry of depressive disorders : preclinical studies. In : Neurobiology of Mental Illness. 2nd edition (Charney DS and Neslter EJ eds),p 421-439, Oxford University Press, New York, 2004.

6) McEwen BS. : Structural and functional plasticity inthe hippocampal formation : stress, adaptation, and disease. In : Neurobiology of Mental Illness. 2nd edition (Charney DS and Neslter EJ eds), p 558-583, Oxford University Press, New York, 2004.

7) Southwick SM, Bremner JD, Rasmusson A, Morgan III CA, Arnsten A, Charney DS. : Role of norepinephrine in the pathophysiology and treatment of posttraumatic stress disorder. Biol Psychiatry, 46 : 1192-1204, 1999.

8) 田中正敏:脳内ストレス応答とノルアドレナリン、CLINICAL NEUROSCIENCE, 21(9): 993-996, 2003.

9) Bremner JD. : Does stress damage the brain? Biol• Psychiatry, 45 : 797-805, 1999.

10) Koob GF. : Corticotropin-releasing factor, norepinephrine and stress. Biol Psychiatry, 46 : 1167–1180, 1999.

11) Boland RJ, Keller MB. : Diagnostic classification ofmood disorders : historical context and implications for neurobiology. In : Neurobiology of Mental Illness. 2nd edition (Charney DS and Neslter EJ eds), p 357–368, Oxford University Press, New York, 2004.

12) Thompson K, Henrie H. : Environmental stress in primary depressive illness. Arch Gen Psychiatry, 26 :130-132, 1972.

13) Kendler KS, Kessler RC, Walters EE, MacLean C,Meale MC, Heath AC, Eaves LJ. : Stressful life events, genetic liability, and onset of an episode of major depression in women. Am J Psychiatry, 152(6): 833-842, 1995.

14) Kendler KS. : Anna-Monika-Prize paper. Major depression and the environment : a psychiatric perspective. Pharmacopsychiatry, 31 (1): 5-9, 1998.

15) Kendler KS, Karkowski LM, Prescott CA. : Causal relationship between stressful life events and the onset of major depression. Am J Psychiatry, 156 (6) : 837-841, 1999.

16) Garlow SJ, Nemeroff CB. : The neurochemistry of depressive disorders : clinical studies. In : Neurobiology of Mental Illness. 2nd edition (Charney DS and Neslter EJ eds), p 440-460, Oxford University Press, NewYork, 2004.

17) MacQueen GM, Campbell S, McEven BS, Macdonald K, Amano S, Joffe RT, Nahmias C, Young LT.: Course of illness, hippocampal function, and hippocampal volume in major depression. Proc Natl Acad Sci USA, 100(3) : 1367-1392, 2003.

18) Sheline YI. : 3D MRI studies of neuroanatomic changes in unipolar major depression : the role of stress and inedical comorbidity. Biol Psychiatry, 48 : 791-800, 2000.

19) 森下紀代美:小児虐待の今、The Mainichi MedicalJournal, 2(8): 744-749, 2006.

20) 菅原ますみ:家庭でのメンタルヘルス 子育てストレスの問題をめぐって一, CLINICAL NEUROSCIENCE,20(5): 520-523, 2002.

21) Weiss EL, Longhurst JG, Mazure CM. : Childhoodsexual abuse as a risk factor for depression in women : psychosocial and neurobiological correlates. Am J Psychiatry, 156(6): 816-828, 1999.

22) Kaufman J, Plotsky PM, Nemeroff CB, Charney DS. :Effects of early adverse experiences on brain structures and function: clinical implications. Biol Psychiatry, 48 : 778-790, 2000.

23) Heim C, Newport DJ, Heit S, Graham YP, Wilcox M,Bonsall R, Miller AH, Nemeroff CB. : Pituitary-adrenal and autonomic responses to stress in women after sexual and physical abuse in childhood. JAMA, 284 :592-597, 2000.

24) 大渓俊幸、綱島浩一、加藤進昌、外傷後ストレスCLINICAL NEUROSCIENCE, 21(9): 1062-1065,2003.

25) 大嶋明彦:気分障害:ストレス性障害の神経内分泌と脳障害、精神科, 4(1): 4-8, 2004.

26) Yehua R. : Biology of posttraumatic stress disorder. JClin Psychiatry, 61 (suppl 7) : 14-21, 2000.

27)堀田眞理:ストレスと神経性食欲不振症. CLINICALNEUROSCIENCE, 21(9): 1053-1055, 2003.

28) Gold PW, Charney DS. : Images in Neuroscience. Diseases of the mind and brain. Am J Psychiatry, 150(11) : 1826, 2002.

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(記事紹介)眠気の仕組み一部解明

不眠症って難しい。なぜ不眠症となってしまうのかがはっきりしませんね。理由もなく突然不眠症になる人が多くいて、後付けで理由を探ったりしていますが、よくわからない場合が多い。案外環境だったりするかもしれませんね。熱環境も気になっています。

筑波大の柳沢教授のニュースが出ていたので紹介します。眠気の仕組み解明が、不眠症の解決につながったり、さらにそこから引き起こされる疾患の治療につながる研究であると思います。

眠気の仕組み一部解明=脳内たんぱく群を特定―筑波大

徹夜すると蓄積し、眠れば解消される脳内のたんぱく質群を、筑波大の柳沢正史教授らの研究チームがマウスを使った実験で突き止め、13日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。眠気が脳内でどう生じるかなど、睡眠の仕組みや機能には未解明な部分が多く、研究成果は謎を解く手掛かりになると期待される。

研究チームは、通常のマウスより眠気が強くなる遺伝子変異を持つマウスと、睡眠を中断させて眠気をもたらしたマウスを使い、脳内のたんぱく質の変化を観察。いずれのマウスでも脳内の80種のたんぱく質がリン酸化(活性化)されていることが分かり、これらのたんぱく質群を「SNIPPs(睡眠要求指標リン酸化たんぱく質)」と名付けた。リン酸化の程度は、覚醒時間が長いほど進行していた。

SNIPPsのうち、69種が脳内の神経細胞をつなぐシナプスの制御に関与していることが分かっており、研究チームは今後、個々のSNIPPsの働きを詳しく調べるとしている。

筑波大学ホームページより

https://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201706140200.html

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のZhiqiang Wang研究員、Qinghua Liu教授、船戸弘正客員教授、柳沢正史機構長/教授らの研究グループは、2つの「眠気モデル」マウスの脳内のリン酸化蛋白質を網羅的に比較解析することで、眠気の実体や眠りの機能に重要な役割をもつと見られる80種類の蛋白質を同定しました。

「眠気」とは何か、眠りの役割は何かなど、睡眠は未だ多くの謎に包まれています。「眠気モデル」の一つは、断眠させて眠気が強まったマウスです。もう一つの「眠気モデル」は、Sik3遺伝子に変異を持つSleepy変異マウス注3で、このマウスは覚醒中に速やかに眠気が強まります。この2種類のマウスの脳内で共通した生化学的変化を網羅的に解析したところ、80種類の蛋白質でリン酸化が進行していることがわかりました。断眠時間が長くなるほど、眠気の程度に応じてリン酸化が進行していることから、この蛋白質群を睡眠要求指標リン酸化蛋白質SNIPPs(Sleep-Need-Index-Phosphoproteins)と命名しました。このような、眠気の分子的実体に関する網羅的研究は世界初の試みです。

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)睡眠と腸内細菌叢

場所によっては梅も咲いていますね。紅梅の横には白梅も。

本日ご紹介する論文は、睡眠と腸内細菌叢

最近話題の「腸内フローラ」の状態が睡眠に与える影響についての論文をご紹介します。

眠りが脳の排泄機能ではないかという考えから、腸内フローラを改善する事が、不眠症や睡眠負債と言われる睡眠障害にどのような効果をもたらすのかを調べている一環で見つけた論文です。

論文では、睡眠が腸管に影響を与えることが知られていたが、腸の状態が、逆に睡眠に影響することが分かってきた。腸管の状態を改善する事が不眠症などの睡眠障害のみならず、生活習慣病の治療の可能性について述べています。

腸内フローラにも概日リズムがあり、食事の内容による変化は見られないが、摂食時間リズムによる変化が見られるようです。腸内フローラの変動リズムが乱れることが睡眠時間の乱れにもなるようなので、不眠症や生活習慣病の予防には、規則正しい食事時間が影響するようです。食べすぎや多すぎる間食も元々よくないことはわかってますよね。

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)温熱環境と自律神経

日進の小学校近くにあった庚申塔。三猿が台座にいます。調べてみるとなかなか面白い。三猿は日光東照宮がオリジナルくらいに思っていました。

温熱環境の睡眠が自律神経に及ぼす影響ということで富山大学の論文をご紹介させていただきます。

富山は、年間を通して日本で最も湿度の高い地域の一つで、肌のきれいな美人が多いことでも有名ですね。その湿度の高さや夏場の気温の高さが、睡眠時に人体に与える影響についての研究です。

(論文紹介)温熱環境と自律神経

室温27度の設定で睡眠すると、人はどのような反応を示すのかという実験結果です。寝ているのに副交感神経活動が低下し、自律神経の乱れが生じることで、体に様々な影響が生じる可能性があるということです。「熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)の日数が多い年ほど熱中症死亡数が多くなることが報告されている.これらのことから,熱帯夜のような不快な環境下で就寝すると,深睡眠となっても交感神経が相対的に優位となるため心血管系に対する負担が増大し,このような生体反応が就寝中の死亡に関与している可能性があると考えられる。」

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化

睡眠不足で、脳が委縮して空間が増える。筋肉のように使っているか使っていないかで増えたり減ったりするのとはメカニズムが違う気がします。眠ることによる維持できる仕組みがあるようです。

本日は高齢者の認知能力と睡眠の関係を調査した論文をご紹介させていただきます。睡眠時間の長さと、脳の萎縮変化をMRIで調査した結果、睡眠時間が短い対象者の脳萎縮が顕著にみられたという内容です。
要約をご紹介いたします。原文は以下のURLから参照願います。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4098802/

「脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化」

測定と結果
参加者は2年ごとに磁気共鳴イメージングと神経心理学的評価を受けた。睡眠持続時間および質ならびに血液サンプルの主観評価を得た。ベースライン時の睡眠時間の減少の1時間ごとに、脳室の年間拡大率を0.59%(P = 0.007)、世界的認知能力の年率低下率を0.67%(P = 0.050)年齢、性別、教育、および体格指数の影響。対照的に、ベースラインにおける全身睡眠の質は、脳または認知的老化を調節しなかった。全身性炎症のマーカーである高感受性C反応性タンパク質は、ベースライン睡眠期間、脳構造、または認知能力と相関がなかった。

結論
健康な高齢者では、短い睡眠期間は年齢関連の脳萎縮および認知低下と関連している。これらの関連は、短い睡眠者間の上昇した炎症反応に関連していない。

結果
脳構造の経時変化に対するベースライン時の睡眠の影響

我々のコホートにおける全脳容積、灰白質体積、白質体積、海馬容積、総心室容積、下前頭回流容積、および上前頭回容積の縦方向変化は、報告されたものに匹敵するか、健康な高齢者の他のサンプル。

参加者は、心室拡張の割合が変化し、一部は顕著な変化を示さず、その他は最大APCが8.35%であった。心室APCの変動の約10.2%がベースライン時の睡眠持続時間によって説明された(P = 0.039)。eTIVの影響をコントロールした後、ベースライン時の睡眠持続時間の1時間ごとの減少は、脳室の年間拡張を0.55%増加させた(標準化されていない係数:B = -0.552、P = 0.013)。年齢、性別、教育、およびBMIの影響をさらに管理した後、ベースライン睡眠期間の影響は統計的に有意であった。ベースライン時の睡眠期間の1時間ごとの減少は、毎年の心室膨張率の0.59%の増加を予測した(B= -0.587、P = 0.007)。さらに、両心室の総心室容積が3SDを超える2人の参加者を除外した後でさえ、心室拡張の速度に対するベースライン睡眠持続時間の有意な寄与を見出した(B = -0.616、P = 0.005)。この睡眠期間の影響は、他の脳尺度では観察されなかった(P> 0.148)。

結論
比較的健康な高齢者であっても2 年の短い間隔であっても、自己報告されたベースライン時の短い睡眠は、より速い心室拡張を予測する。ベースラインでの短い睡眠期間の効果は、認知能力の低下を加速させる上でより多様で控えめであり、予備的とみなされるべきである。あまり健康でない高齢者の脳および認知老化を予測する上で、睡眠の持続時間がより重要な役割を果たすかどうかはまだ調査されている。

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)日中と夜間の明かりに関する生理の研究

今日明日は、南関東でも積雪があるかもしれないとのこと。空は明るく晴れてますけどね。西の空にどんよりとした雲が見えます。

どうしても夜間の仕事で日中睡眠をとる必要がある方たちがいます。その方たちができるだけ健康な睡眠をとり、ストレスを軽減できるよう、安眠家具Sleep Laboを使っていただきたいと思います。
不眠症の克服には、日中の活動、特にどれだけ日光を浴びるかが重要だということです。むしろ浴びないと眠れなくなるということのようですね。
奈良県立大学による光暴露の研究論文をご紹介します。
原文はURLからご覧ください。概要のみご紹介させていただきます。

光曝露およびメラトニン分泌量に関する時間疫学研究
大林賢史
奈良県立医科大学医学部 地域健康医学講座
http://chronobiology.jp/journal/JSC2015-1-013.pdf

概要
現代人は日中に屋内で生活することが多いため日中光曝露量が少なく、夜間は人工照明を使うため夜間光曝露量が多い傾向があります(図1)[2]。

現代人のこのような光の浴び方が、生体リズムの変化やメラトニン分泌の減少を引き起こし、現代社会で増加している肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、不眠症、うつ病など多くの疾病の原因になっているのではないか?これが私どもの研究仮説です。

メラトニン分泌量と関連を認めた因子は、年齢・喫煙状況・ベンゾジアゼピン内服・日長時間・身体活動量および日中光曝露量でした。夜間光曝露量はメラトニン分泌と関連を認めませんでした。これらの潜在的交絡因子を同時投入した多変量線形回帰分析モデルにおいて、日中光曝露量( 日中平均光曝露量および1000 lux以上の光曝露時間)はメラトニン分泌量と有意に関連していました(ともに回帰係数0.101, P<0.05)。それぞれの項目に平均値を代入した回帰式より、1000 lux以上の光曝露時間とメラトニン分泌の関連を図4に示します[6]。

528人を夜間平均光曝露量 = 3luxをカットオフ値として、夜間光曝露量が多い群(145人)と少ない群(383人)の2群に分け、年齢・性別・喫煙状況・飲酒習慣・世帯収入・教育年数を同時投入した多変量ロジスティック回帰分析モデルにおいて、夜間光曝露量が<3luxの群に比較して、≧3luxの群における肥満症および脂質異常症のオッズ比は、それぞれ1.89、1.72と有意に高いことが分かりました(ともにP<0.05, 図5)[7]。

これらの結果は、先に述べた三島先生やFonkenらの先行実験研究で示されていた日中・夜間光曝露による生体影響が日常生活でも同様で起こる可能性を一般高齢者集団で実証した点で重要なものであると思われます。さらに夜間の光曝露量はアクチグラフで測定した睡眠の質、質問票を用いて測定した睡眠の質やうつ症状、頚動脈超音波検査による動脈硬化指標などと関連することを報告しました[8-10]。また、メラトニン分泌量は血圧変動、夜間頻尿、白血球・血小板数、Cardio-ankle vascularindexによる動脈硬化指標などと関連することを報告しました[11-14]。

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan

(論文紹介)発酵乳の香りに“睡眠の質”を高める効果

柿を食べるメジロ。望遠レンズがなかったので、普通に撮って引き延ばし。もうすぐウグイスも鳴きますね。

(論文紹介)発酵乳の香りに“睡眠の質”を高める効果
安眠と香りについての論文です。乳酸菌と酵母で作る発酵乳の香りって、おいしい日本酒の吟醸香のような香りでしょうかね?よく眠れそうです。

乳酸菌と酵母でつくる発酵乳の香りに“睡眠の質”を高める効果があることを確認
乳酸菌と酵母による2度の発酵でつくるアサヒ飲料社独自の発酵乳(以下、本発酵乳)には、一般的な乳酸菌でつくる発酵乳とは異なる果実のような独特な芳香があります。これまでの研究で、本発酵乳の香りには、不安を和らげたり、日周リズム(体の昼夜のリズム)を改善する効果があることを動物実験で明らかにしています。今回、本発酵乳の香りの効果をさらに明らかにするために、睡眠の質に与える影響を調べました。
※本研究成果は日本農芸化学会2016年度大会(2016年3月27日~30日)で発表した内容です。

http://www.asahigroup-holdings.com/research/group/report/report26.html

睡眠の仕組み ~質の良い睡眠とは?~

ヒトの睡眠は、深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠から構成されます。ノンレム睡眠中は、身体が真に休まっている状態にあることから、ノンレム睡眠の割合が多い睡眠が、質の良い睡眠といえます。また、睡眠中の覚醒(目覚め)は、眠りが浅いことを意味し、覚醒回数が少ないことも、質の良い睡眠といえます。


実験方法
ラットの睡眠は、覚醒回数が多い点でヒトと異なりますが、ノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返される基本的な睡眠のリズムはヒトと同じです。そこで、ラットを用いて、本発酵乳の香りが睡眠に与える影響を調べました。
ラットを2つのグループに分け、一方のグループにのみ休息期(主に寝ている時間帯)に、本発酵乳の香りを1日1回30分間、7日間毎日嗅がせました。香りが睡眠に与える短期的な影響と、長期的な影響を調べるため、1回目の香りを嗅がせた翌日(2回目の香りを嗅ぐ前)と、7日間香りを嗅がせた翌日に、脳波等を測定して、休息期のノンレム睡眠、レム睡眠、覚醒の時間や回数を調べました。

<結果1>睡眠時のノンレム睡眠(深い眠り)の割合が増加
1回目の香りを嗅がせた翌日、香りを嗅がせたラットは、香りを嗅がせていないラットと比べて、休息期初期(休息期に入って初めの3時間)のノンレム睡眠が占める割合が増加する傾向がみられました。また、7日間香りを嗅がせると、休息期初期のノンレム睡眠が占める割合が有意に増加しました。

<結果2>睡眠時の覚醒(目覚め)の回数が減少
7日間香りを嗅がせると、香りを嗅がせていないラットと比べて、休息期の覚醒回数が有意に減少しました。

まとめと今後の展望

 本発酵乳の香りを嗅いだラットは、休息期におけるノンレム睡眠の割合が増加し、覚醒回数が減少しました。また、これらの効果は、1回目に香りを嗅がせた翌日よりも、7日間香りを嗅がせた翌日に、顕著にみられました。このことから、本発酵乳の香りには睡眠の質を高める効果があること、さらに、継続的に嗅ぐことで、効果が高まる可能性があることがわかりました。今後、有効成分の解明やヒトの睡眠の質に与える影響について検討を進めてまいります。

これまでの研究成果

■乳酸菌と酵母でつくる発酵乳の香りには、自律神経に働きかけ、日周リズムの改善や不安を和らげるはたらきがあることを確認
(日本農芸化学会2014年度大会にて発表  発表タイトル:「乳酸菌と酵母で発酵した発酵乳の香りが自律神経と行動に与える影響」)

■乳酸菌発酵後に酵母発酵を加えると発酵乳の嗜好性が向上すること、その要因として発酵から生まれた「香り」が重要であることを確認
(日本農芸化学会2012年度大会にて発表 発表タイトル:「発酵乳の嗜好性向上に与える乳酸菌および酵母の役割」)

ストレス減で活力ある未来に貢献する、株式会社RUDDER。

特許出願済み。まぶしい!うるさい!寒い!を解消。安眠家具「Sleep Labo」国産家具の安心安全をお届けします。

うるさいいびき、止まらない、止められない。でも大丈夫。  いびきを解決する唯一の方法。

お求めのショップへは緑ボタンをクリック(BASE)

sleeplaborogobotan2

代金引換現金でのご購入は黄色ボタンをクリック

sleeplaborogo%e4%bb%a3%e5%bc%95botan