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(論文紹介)REM睡眠non-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定

安眠のための科学って、実はそれほど進んでいるわけではありません。
人がなぜ眠るのか?
なぜ夢を見るのか?
なぜいびきをかくのか?
等は実はまだすべてわかったわけではないのです。それだけに情報はばらばらだし、いびきを止めるようなサプリやツールもたくさんあります。
医者でさえ、治せるわけでもないと断りながら、手術や対処療法を進めます。
その中でも論文として発表されるものは、少なくとも何人かの被検者を科学的に調査し、仮説を立て検証するという手順を踏んでいるだけ、調査結果データについては信ぴょう性が高いとみてよいと思っています。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のレム睡眠ノンレム睡眠のプレスリリース論文をご紹介します。
レム睡眠の役割は、ノンレム睡眠の徐波の発生に寄与している。ノンレム睡眠の徐波とは、記憶の定着やシナプスの結合を強める効果があることが分かっているので、レム睡眠が阻害されると、記憶力が弱くなったりするのかもしれません。

これまで、夢を見るのは睡眠の状態の中でもREM睡眠(急速眼球運動)の時とされていましたが、non-REM睡眠時であっても、脳の活動状況によって夢を見ていることが確認されました。

実はこれまでもnon-REM睡眠時にも、夢を見ていることがある事はわかっていたのですが、その仕組みについてはわかっていませんでした。
夢を見ているときには、脳の中で高周波電気活動が生じるのですが、脳の後部が高周波電気活動を示す「ホットゾーン」の活動をモニタリングすることで、92%の確率で夢を見ていることが確認でき、81%の確率で夢を見ていないことが確認できたということです。更には、夢の内容も脳の活動領域の活性を確認することで特定できることが分かりました。
言語知覚及び理解に関与する大脳皮質の領域で活動を引き起こしたときには、夢の中で会話をしていたり、人が出てくる場合には脳の顔認識をつかさどる領域が活動していたということです。

実験には46人のボランティアに256の電極で覆われたネットを着用して眠ってもらい、脳内の電気活動のモニタリングと被検者の夢の報告を比較したもので調べた結果です。

この実験は人の意識を研究する一環で、夢を見ているときは、起きて活動しているときと同じ脳の領域を使っており、夢はその人の本当の経験となっている。
「人の意識と脳領域の関係を理解する」意識の根幹をなすものが何かということの研究です。
今話題のAI研究でも意識というものを最終的に機械が持てるのかということが話題になったりします。
人間とは何かというものを研究するうえで、夢を見ることも謎を解明する糸口なのですね。

フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気ひつじの夢を見るか?」というSF(映画ブレードランナーの原作)を思い出します。

(論文)REM睡眠non-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定
「レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンの同定により明らかにされたレム睡眠の役割」(1筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構,2理化学研究所脳科学総合研究センター 行動遺伝学技術開発チーム)
http://first.lifesciencedb.jp/archives/11921

目 次
要 約
はじめに
1.レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定
2.睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも同一の発生学的な起源から生じる
3.レム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うGABA作動性ニューロンの同定
4.レム睡眠はノンレム睡眠における徐波の発生に寄与する
おわりに
文 献
著者プロフィール

要 約
哺乳類の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2つの独立したステージからなる.レム睡眠において夢をみることがよく知られているが,その役割は脳科学における最大の謎のひとつであった.また,レム睡眠とノンレム睡眠はそれぞれ特徴的な脳の活動をともなうが,そのあいだをすばやく切り替える機構についてもよくわかっていなかった.今回,筆者らは,マウスの胎生期において特定の細胞系譜を遺伝学的に標識し,生後にその神経活動を化学遺伝学的に操作するという新規のアプローチにより,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンを同定した.さらに,同じ細胞系譜から生じ隣接する位置へと移動するニューロンが睡眠から覚醒への切り替えを担うことも明らかにされた.そして,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの下流においてはたらく抑制性のニューロンも同定された.これらの発見を生かし,従来とはまったく異なる,外部からの刺激によらないレム睡眠の操作法を確立したことにより,レム睡眠には記憶の形成や脳の機能の回復において重要な神経活動とされる除波をノンレム睡眠において誘発する役割のあることが明らかにされた.この作用を介し,レム睡眠が脳の発達や学習に貢献している可能性が示唆された。

はじめに
レム睡眠およびノンレム睡眠がみられるのは鳥類や哺乳類など発達した大脳をもつ脊椎動物のみである.したがって,レム睡眠およびノンレム睡眠は脳の高等な機能にかかわると考えられてきた.レム睡眠は新生児期1) や学習の直後に多い2) ことが知られていたが,レム睡眠を強制的な覚醒により阻害する実験では刺激そのものによるストレスが生じてしまうなど,レム睡眠を有効に阻害する方法がなかったため,その具体的な役割はわかっていなかった.
また,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えの機構を解き明かそうと数多くの研究がなされてきた.これまでに,脳幹の橋被蓋野とよばれる領域がノンレム睡眠からレム睡眠への切り替えに重要であることが示唆されていたが3-5),その反対の,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えの機構についてはよくわかっていなかった.おもに用いられてきた薬理学的な実験では細胞種や厳密な領域に対する特異性を欠くこともあり,複数の研究グループにより,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えに関する異なるモデルが提唱されてきたが,いずれも決定的な証拠はなかった.
脳幹は明確な神経核の構造を欠き複雑なうえ,機能的にも多様なニューロンのあつまりである.これまでの技術では,特定の機能をもつニューロンのみを解析することは困難であった.今回,筆者らは,ニューロンの機能はその発生学的な起源とリンクするという仮説にたち,発生学的な手法と化学遺伝学的な手法とを組み合わせ,特定の細胞系譜に由来するニューロンのみを標識して操作し睡眠の制御への関与について検討した.その結果,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定に成功した.また,これらの新たに同定したニューロンの操作により,刺激に依存しない新規なレム睡眠の阻害法を確立し,レム睡眠の機能についても解析した.
1.レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定
脳幹はヘテロな性質および機能をもつニューロンのあつまりであり,正確な機能の解析や評価は困難であった.そこで,発生学的な手法により特定の細胞系譜に由来するニューロンのみを標識し操作することにより,特定の機能をもつニューロンを抽出することを試みた.ここで注目した小脳菱脳唇は胎生期に一過的に現われる神経上皮で,小脳の顆粒細胞の発生学的な起源としてよく知られている.一方,近年,小脳菱脳唇の一部の細胞が大きく移動して脳幹の橋のグルタミン酸作動性ニューロンへと分化することが報告された6,7).そこで,これらの小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンが睡眠の覚醒に関与しているかどうか検討した.
これらのニューロンを特異的に操作するため,胎生期において小脳菱脳唇の神経前駆細胞を遺伝学的に標識し,出生ののち,その標識に依存してニューロンの活動の人為的な操作を可能にするような遺伝子を発現させた.具体的には,小脳菱脳唇のマーカー遺伝子であるAtoh1遺伝子のプロモーターの制御のもとでタモキシフェンに依存的なCreを発現するマウスを作製した.このマウスを,Creに依存して転写因子tTAを発現するマウスと交配し,小脳菱脳唇から脳幹の細胞が生じる胎生期10.5日目にタモキシフェンを投与した.これにより,小脳菱脳唇の神経前駆細胞およびその子孫の細胞はtTAを発現するようになる.そして,成体になったのち,人工的にデザインされたGタンパク質共役受容体DREADD-hM3DqをtTAに依存して発現するアデノ随伴ウイルスベクターを局所に注入し,これらのニューロンのみを操作することを可能にした.このDREADD-hM3DqはリガンドであるCNOを腹腔内投与することにより一過的に神経興奮をひき起こす8).
小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンは,その分布からおおまかに2つ,正中線の近くに位置するものと遠くに位置するものとに分けられた(図1).正中線に近いニューロンは外背側被蓋核から内側傍小脳脚核にかけて分布していた.一方,正中線から遠いニューロンは外側傍小脳脚核を中心に分布していた.
図1 共通の発生学的な起源に由来するニューロンによる睡眠と覚醒およびレム睡眠とノンレム睡眠の制御
胎生期に小脳菱脳唇において生じた神経前駆細胞のうち,脳幹橋の正中線の近くに移動したニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを,正中線から遠くに移動したニューロンは睡眠から覚醒への切り替えを制御する.

正中線の近くに位置するニューロンにDREADD-hM3Dqを発現させ,CNOの投与により活性化させたのち,睡眠と覚醒のサイクルを観察した.その結果,レム睡眠が強く抑制され,代わりに,ノンレム睡眠が増加した.一方,覚醒の量に影響はみられなかった.したがって,正中線の近くに位置するニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うことが判明した.
2.睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも同一の発生学的な起源から生じる
小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンのうち,正中線から遠くに位置するニューロンを活性化させたところ,さきの結果とは対照的に,睡眠そのものの量が大幅に減少し覚醒が強く誘導された.ほかの研究グループから,この近辺のグルタミン酸作動性ニューロンが覚醒を促進することが報告されていたが9),同定された正中線から遠いニューロンと同一のニューロンである可能性が高いと考えられた.以上のことから,小脳菱脳唇は,レム睡眠とノンレム睡眠,覚醒と睡眠など,さまざまな脳の状態の切り替えを担うニューロンの共通の発生学的な起源であることが判明した.
3.レム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うGABA作動性ニューロンの同定
正中線の近くに位置するニューロンがどのような機構によりレム睡眠を制御しているのか調べるため,その投射先を調べたところ,軸索を吻側へと伸ばし中脳深部核の背側の領域へと投射していた.この領域には古典的な薬理学的な実験からレム睡眠を抑制するニューロンの存在が示唆されていたが,どのような細胞種がかかわるかについては不明であった4,10).この領域の抑制性のGABA作動性ニューロンに注目し,DREADD-hM3Dqを発現させて神経活動を誘導したところ,正中線に近いニューロンを活性化したときと同様に,ノンレム睡眠が増加しレム睡眠が抑制された.反対に,神経活動を抑制するDREADD-hM4Diを発現させて神経活動を抑制したところ,レム睡眠が誘導された.これらの結果から,正中線の近くに位置するニューロンは,中脳深部核の背側部のGABA作動性ニューロンをつうじてレム睡眠を制御していることが強く示唆された.
4.レム睡眠はノンレム睡眠における徐波の発生に寄与する
レム睡眠の役割はほとんど不明である.これまでのレム睡眠の機能に関する研究においては,対象がレム睡眠に入るとただちに外部から刺激をくわえ,覚醒させることによりレム睡眠を強制的に終了させる方法が広く用いられてきた.しかしながら,この方法では,レム睡眠だけでなくノンレム睡眠の量も大幅に減少させてしまう点や,対象に大きなストレスがかかる点などから,その結果は解釈がむずかしく,純粋にレム睡眠が減少したためとはいえないという問題があった.一方,レム睡眠を制御する中枢に対する化学遺伝学的な操作によりレム睡眠を阻害することが可能になったことから,この新規に確立されたレム睡眠の阻害法を用いてレム睡眠の機能について検討した.
レム睡眠を阻害されたマウスにはいっけん影響はないようにみえたが,時間がたつにつれ,睡眠そのものの質に影響が現われた.具体的には,ノンレム睡眠において生じる徐波とよばれる脳の活動がしだいに低下した.徐波とは周波数4 Hz以下のゆっくりとした脳波であり,大脳皮質のニューロンの膜電位が同調してゆっくり振動することにより生じる.深いノンレム睡眠の際に生じやすく,神経の可塑性に貢献することが知られている11,12).今回のレム睡眠の阻害実験では,この徐波はしだいに減弱したが,レム睡眠の操作の効果がきれてふたたび正常なレム睡眠に入ると,その直後に,ノンレム睡眠における徐波の成分ももとのレベルに回復した.反対に,レム睡眠を人為的に増加させるとノンレム睡眠における徐波は強まった.また,レム睡眠を操作していない自然な睡眠においても,レム睡眠の長さとそれにつづくノンレム睡眠における徐波の成分とのあいだには正の相関関係があった.これらの結果をあわせて,レム睡眠がノンレム睡眠における徐波の発生に寄与していることが明らかにされた.マウスでは睡眠のあいだ頻繁に短い覚醒がみられるが,これらの覚醒については,レム睡眠のような徐波を促進する効果は確認されなかった.したがって,レム睡眠と覚醒は大脳の活動が活発となるという点においては共通するが,徐波の誘導に関しては効果が異なると考えられた.
おわりに
今回,筆者らは,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えの起こる機構,および,レム睡眠が徐波の発生に関与するというその生理的な意義の一端について明らかにした.レム睡眠が誘導する徐波には,記憶の定着を促進する効果11) やシナプスの結合を強める効果12) のあることが知られている.今回の結果をふまえると,レム睡眠が徐波の発生をつうじて記憶の定着に関与している可能性が示唆される.今後,レム睡眠の操作の可能なマウスにおいて学習能力や記憶力を検証することにより,レム睡眠が記憶や学習にどのように寄与するのかについてさらなる解明が期待される.
なお,今回の筆者らの報告とほぼ同じ時期に,米国の研究グループにより,延髄に存在するGABA作動性ニューロンが,筆者らにより同定された中脳深部核のGABA作動性ニューロンと同一と考えられるニューロンに投射し,レム睡眠を制御しているという報告が発表された13).筆者らの結果とあわせると,中脳深部核のGABA作動性ニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠への切り替えにおいて中枢的な役割を担うことが推察される.
一方,ノンレム睡眠からレム睡眠への切り替えに関しては,どのような細胞種が重要なのか詳細は不明なままである.ネコの橋被蓋野の青斑下核という領域にアセチルコリン受容体の作動薬を注入するとレム睡眠が強く誘導されることが知られている3).このレム睡眠の誘導にかかわる青斑下核のニューロンのアイデンティティの解明は今後の重要な課題のひとつである.
また,今回の研究においては,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンがどの神経前駆細胞に由来するのかを調べることにより,その発生学的な起源として小脳菱脳唇が同定された.興味深いことに,この小脳菱脳唇の神経前駆細胞からは,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンだけでなく,睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも生じることが判明した.この研究から,小脳菱脳唇から脳の状態の切り替えを担うスイッチとなる多様なニューロンを生じることがはじめて明らかにされた.小脳菱脳唇はレム睡眠およびノンレム睡眠のみられない硬骨魚類においても保存されており,今回の発見は,睡眠と覚醒だけの単純な脳の状態しかもたない生物から,レム睡眠やノンレム睡眠といったより複雑な脳の状態をもつ生物が進化した歴史の理解にもつながると期待される.

文 献
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Weber, F., Chung, S., Beier, K. T. et al.: Control of REM sleep by ventral medulla GABAergic neurons. Nature, 526, 435-438 (2015)[PubMed]

著者プロフィール
林 悠(Yu Hayashi)
略歴:2008年 東京大学大学院理学系研究科博士課程 修了.同年 理化学研究所脳科学総合研究センター 基礎科学特別研究員を経て,2013年より筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 助教.
研究テーマ:睡眠の意義,機構,進化.
抱負:なぜ眠るのか,なぜ夢をみるのかについて明らかにしたい.
柏木 光昭(Mitsuaki Kashiwagi)
筑波大学大学院人間総合科学研究科修士課程 在学中.
糸原 重美(Shigeyoshi Itohara)
理化学研究所脳科学総合研究センター チームリーダー.

© 2015 林 悠・柏木光昭・糸原重美 Licensed under CC 表示 2.1 日本

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(論文紹介)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響

小さな花いっぱい
野原を見れば小さな野草の花がいっぱいです。シロツメクサや蛇イチゴの実はすぐわかったのですが、白と青紫の六花弁の花がニワゼキショウと言うことは調べてわかりました。ついでに花ことばや誕生花が分かったのですが、私の誕生日の花と言う事が分かり、これから見る目が変わりますね。

総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
睡眠障害と健康との因果関係については、誰でも承知と思ってはいるものの、実際のエビデンスに基づいた資料などが体系的に示されているものがあまりなかった。
それを様々な実験結果や調査結果と関連付けて総説とした論文です。最終的なまとめも結果的には私の安眠家具につながると思いますが、一つだけ気に入らないのが、睡眠薬を医師の指導で正しく使えば安全というところですね。少なくとも日本の医師で不眠症の症状を患者の申告ではなく、検査を行ったうえで正しく処方しているほうが、圧倒的に少ない現状が正しくないと思っています。

(論文)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010002.pdf

土井由利子
国立保健医療科学院統括研究官(疫学調査研究分野)
Prevalence and health impacts of sleep disorders in Japan

抄録
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある。このような流れの中で,過去10 年間を振り返って,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と睡眠障害による健康影響について,エビデンスをもとにレビューすることは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
文献レビューの結果,睡眠障害の有症率は,慢性不眠で約20%,睡眠時無呼吸症候群で3% ~ 22%,周期性四肢運動障害で2 ~ 12%, レストレスレッグス症候群で0.96 ~ 1.80%,ナルコレプシーで0.16 ~ 0.59%,睡眠相後退障害で0.13 ~ 0.40%であった。
健康影響に関するコホート研究では,死亡に対し短時間睡眠で1.3 ~ 2.4,長時間睡眠で1.4 ~ 1.6,2 型糖尿病の罹病に対し入眠困難で1.6 ~ 3.0,中途覚醒で2.2 と有意なリスク比,入眠困難と抑うつとの間で1.6 と有意なオッズ比を認めた.日本国内外のコホート研究に基づくメタアナリシス研究でも同様の結果であった。
以上より,睡眠障害へ適切に対処することが人々の健康増進やQOL の向上に大きく寄与することが示唆された。そのためには,睡眠衛生に関する健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が重要である。また,睡眠障害の中には,通常の睡眠薬では無効な難治性の神経筋疾患なども含まれており,睡眠専門医との連携など保健医療福祉における環境整備も進める必要がある。
キーワード:睡眠障害,睡眠時間,不眠,死亡,罹病

Ⅰ.はじめに
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある.このような流れの中で,過去10 年間における日本の睡眠障害の実態を明らかにし,その健康影響についてエビデンスをもとに概観することは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
そこで,本稿では,ヒトの正常睡眠と睡眠障害について概説した上で,これまでに蓄積された疫学研究の成果をもとに,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と健康影響についてレビューする。

Ⅱ.睡眠の量,質,リズム
私たちの眠り(睡眠)と目覚め(覚醒)は,体内にある生物時計による時刻依存性(サーカディアンリズム)と,時刻に依存しないで覚醒時間の長さによって量と質が決定される恒常性維持機能(ホメオスターシス)によって制御されている.以下に,ヒトの正常睡眠について簡単に解説する。

1.睡眠の量と質
夜間ヒトの睡眠中に電極を付けて終夜ポリグラフ(脳波・眼球運動・筋電位)をとると,脳波では,覚醒→ノンレム睡眠(段階1 →段階2 →段階3 →段階4)→レム睡眠を1 サイクル(約90 分)として,1 晩に3 ~ 5 サイクルを繰り返す.覚醒と浅いノンレム睡眠(段階1 と段階2)が混在する移行期を入眠過程という。浅いノンレム睡眠から,徐波睡眠(段階3 と段階4)とよばれる深いノンレム睡眠へ進み,レム睡眠(脳波↑,筋電位↓,急速眼球運動)を経て1 サイクルが終わる[1]。
Ohayon ら[2] は,5 ~ 102 歳の健常人3,577 人(5-19 歳:1,186 人,20-102 歳: 2,391 人)を対象に実施された終夜ポリグラフまたはアクチグラフから得られた睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,睡眠効率(睡眠/(睡眠+覚醒)),睡眠段階1(%),睡眠段階2( %),徐波睡眠(%),レム睡眠(%),レム睡眠潜時,中途覚醒時間)をプールし,年齢による睡眠変数への影響についてメタアナリシスを行った(図1)。
この研究によれば,年齢が進むにつれて,総睡眠時間,睡眠効率,徐波睡眠,レム睡眠,レム睡眠潜時が減少,睡眠潜時,中途覚醒時間,睡眠段階1,睡眠段階2 が増加することが認められた.年齢以外では,精神疾患,身体疾患,服薬や飲酒,睡眠時無呼吸などの睡眠障害,性別,睡眠習慣などが,睡眠変数の分布に影響を及ぼすことが確認された。2.睡眠・覚醒リズム
ヒトの睡眠・覚醒リズム(概日リズム)の概念図を示す(図2)[3,4].生物時計の機能は,①自律性の概日リズム,②昼夜変化(明暗サイクル)への同調,③生体機能への概日リズムの伝達と発現の3 要素に分解できる.睡眠・覚醒リズムあるいは睡眠・覚醒傾向は,生物時計,恒常性維持機能,明暗サイクル(光)によって制御され,その他の要因(図2 の左上のボックス内,右のボックス内)によって影響を受ける。
生物時計自体の発する概日リズムを直接測定することはできないが,深部体温,メラトニン,ホルモン(コルチゾール,成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,プロラクチンなど)の測定値が概日リズムを示すことによって,生物時計の概日リズムを間接的に観測することができる。

Ⅲ.睡眠障害
睡眠障害に関する国際分類には,世界保健機関(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)),米国精神医学会(APA)による「精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders( DSM))」などがあるが,ここでは,米国睡眠障害連合(ASDA)が中心となってまとめた「睡眠障害国際分類(International Classifi cation of Sleep Disorders(ICSD))」を紹介する。加えて,主な睡眠障害が日本ではどのくらいの頻度でみられるのか,これまでに行われた疫学研究をもとに紹介する。

1.睡眠障害国際分類
2005 年に改訂された睡眠障害国際分類第2 版(ICSD-2)[5,6] による主要な睡眠障害(8 項目)を表1 に示す。
それぞれの睡眠障害は,さらに次のように,細分類される。
不眠症(適応障害性,精神生理性,逆説性,特発性,精神障害,不適切な睡眠衛生,行動的(小児期),薬剤・物質,内科的疾患,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),睡眠関連呼吸障害(中枢性睡眠時無呼吸症候群,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,睡眠関連低換気/ 低酸素血症症候群,その他),中枢性過眠症(ナルコレプシー,反復性,特発性,行動起因性睡眠不足症候群,内科的疾患,薬剤・物質,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),概日リズム睡眠障害(睡眠相後退型,睡眠相前進型,不規則睡眠・覚醒リズム,自由継続型,時差型,交代勤務型,内科的疾患,薬剤・物質,その他),睡眠時随伴症(ノンレム睡眠からの覚醒障害,レム睡眠関連,その他),睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群),周期性四肢運動障害,睡眠関連下肢こむらがえり,睡眠関連歯ぎしり,睡眠関連律動性運動障害,特定不能,薬剤・物質,身体疾患),孤発性の諸症状・正常範囲内の異型症状・未解決の諸問題(長時間睡眠者,短時間睡眠者,いびき,寝言,ひきつけ,ミオクローヌス),その他の睡眠障害(環境性,その他)。
いずれの睡眠障害も,疾患特異的な症状のほかに,夜間の不眠や日中の眠気といった症状を呈する。睡眠障害に応じて治療方法が異なるので,ICSD-2 に基づいて,正しく診断・分類することが肝要である。

2.睡眠障害の頻度
表2 に,それぞれの睡眠障害を有する人々がどれくらいいるのか,日本で実施された主な疫学研究の結果(有症率)を示す。

いずれも地域・職域で行われた比較的大規模なヒト集団を対象としたものであるため,その多くは,目的とする睡眠障害に適した質問紙を用いて,対象者の自己申告に基づき,睡眠障害があるかどうかの判定を行っている。
1997 年に実施された全国調査によれば,入眠困難(寝付きが悪い)や中途覚醒(夜間・早朝に目が覚める)などの不眠の症状が一時的ではなく1 ヶ月以上続く,慢性不眠の有症率は約20% と推定された[7,8].ICSD-2(2005 年)の不眠症の判定基準では[5],夜間の不眠の症状に,日中の機能障害(日中の眠気,注意力・集中力の低下など)が追記されたので,この判定基準に照らし合わせると,不眠症の有症率は,これよりも低くなるであろう。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の判定の場合には,終夜ポリグラフ検査による睡眠中の呼吸イベント(無呼吸・低呼吸/ 睡眠1 時間)の確認が必須であるが[5],疫学研究では,携帯型の簡易装置(パルスオキシメーター,鼻口呼吸センサー,気道音センサー)を用いて睡眠1 時間あたりの動脈血酸素飽和度の3%以上の低下や無呼吸・低呼吸の頻度を測定して代用している.睡眠時無呼吸症候群の有症率は,おそらく対象とした集団や測定方法の違いなどからであろう,低いものでは約3%(地域住民女性),高いものでは
約22%(職域男性)と,大きな開きがみられた[9-12]。
ナルコレプシーの有症率は0.16 ~ 0.59%[13,14],睡眠相後退障害の有症率は0.13 ~ 0.40% [15,16],レストレスレッグス症候群の有症率は0.96 ~ 1.80%[17-19] と,不眠症や睡眠時無呼吸症候群に比べると,その頻度は低い。
周期性四肢運動障害は,ノンレム睡眠期に足関節の周期的な不随意運動によって夜間の睡眠が妨げられる障害であるため,判定には終夜ポリグラフ検査が必須である[5]。
ここで報告されている周期性四肢運動障害の有症率2 ~12%[20,21] は,第3 者(ベッドパートナーやルームメイトなど)による評価(眠っている間に足のビクンとする動きがある)に基づいて判定されたものである。

Ⅳ.睡眠と健康
ここでは,睡眠時間と死亡(総死亡)や罹病(2 型糖尿病),慢性不眠と併存疾患や罹病(2 型糖尿病,うつ病)に関して,これまでに蓄積された疫学研究の成果から,現時点で明らかになっていることについて解説する。

1.睡眠時間
1)分布
2007 年に厚生労働省によって実施された2 つの実態調査(国民健康・栄養調査[22]) と労働安全衛生特別調査[23])の報告をもとに,睡眠時間の分布を示す(図3)。

無作為に抽出された全国の15 歳以上の一般住民(8,119 人)および20 歳以上の民営事業所従業員(11,440 人)ともに,6-6.9 時間を中央値・最頻値とした正規分布をしていた。睡眠時間が6 時間未満の者の割合は,15 歳以上の住民では,男性26%,女性31%,20 歳以上の従業員では,男性41%,女性45% であった.年齢階級別(図4)では40-49 歳(37%),

職種別(図5)では保安(68%),運輸(50%),営業・サービス(49%)が高い割合を示した.一般住民[24],ホワイトカラー[25],シフトワーカー[26] を対象とした先行研究では,睡眠時間が6 時間を下回ると,日中に過度の眠気を来すことが報告されている。
睡眠時間が9 時間以上の者に関しては,従業員ではみられなかったが,15 歳以上の一般住民では全体で3% であった(図3)。これを年齢階級別に見ると,70 歳以上では10% に上っていたが,70 歳未満は2% 以下であった(図4).終夜ポリグラフから客観的に得られた健常人の睡眠時間は,年齢とともに減少することが確認されている(図1)。
高齢者の場合,本人の自己申告(アンケート調査や生活時間調査など)による睡眠時間には,実際の睡眠時間(図1の総睡眠時間に相当)の他に,床の中で寝付くまでに要する時間(図1 の睡眠潜時に相当)や途中で目が覚めた時間(図1 の中途覚醒に相当)や午睡の時間が含まれている可能性がある。

2)死亡
近年,多くの疫学研究(コホート研究)により,睡眠時間が総死亡と有意な関連(U字型)を示したとする報告が相次いだ.これらのコホート研究をもとに,Gallicchio Lら[27] とCappuccio FP ら[28] は,それぞれ独自に睡眠時間と死亡に関するメタアナリシスを行った.メタアナリシスには,異質性や公表バイアスなど研究方法上の限界はあるものの,ここでは,2009 年3 月までに発表された論文をもとにCappuccio FP ら[28] が行ったメタアナリシスによる最新の知見を紹介する.この中には,日本からのコホート研究[29-33] が含まれているが,同一のコホート研究からの発表論文[32,33] は基準に合致した方が採用されている.その結果,死亡に対する相対リスク(95% 信頼区間)は,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,4時間未満と定義は異なる)で1.12(1.06-1.18),長時間睡眠(8時間以上,9-9.9 時間,9 時間以上,10 時間以上,12 時間以上と定義は異なる)で1.30(1.22-1.38)と有意に高くなっていた(表3)。

短時間睡眠と死亡との因果関係の機序については,充分に解明されているわけではないが,短時間睡眠による糖代謝および交感神経系や免疫系への影響が示唆されている。長時間睡眠と死亡との因果関係については,その機序を示唆する研究は今のところ無い。むしろ,調整しきれなかった交絡要因(潜在要因を含む)や併存疾患によるものではないかと考えられている.例えば,長時間睡眠と関連があるとされる,芳しくない健康状態,診断のついていない病気,身体活動状態の低下,抑うつ状態,良好ではない社会経済状態などである。

3)2 型糖尿病
Cappuccio FP ら[34] は,2009 年4 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,と定義は異なる)で1.28(1.03-1.60),長時間睡眠(8 時間以上9 時間以上と定義は異なる)で1.48(1.13-1.96)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から職域でのコホート研究(6,509人)[35] が含まれているが,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠,長時間睡眠,いずれにおいても有意ではなかった。

2.不眠
1)併存する症状や疾患
不眠の症状は,さまざまな心身の症状と関連しており,身体疾患や精神疾患などと併存している[5].前述のⅢ- 2で紹介した全国調査によれば,慢性不眠の症状(入眠困難や中途覚醒)と関連する心身の症状として,腰痛,心窩部痛,体重減少,頭痛,疲労,心配,いらいら,興味の喪失[36],併存疾患として,高血圧症,心疾患,糖尿病,筋骨格系疾患,胃・十二指腸潰瘍[37] が認められた。

2)2 型糖尿病
前述したCappuccio FP ら[34] による,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスでは,2 型糖尿病の罹病に対する不眠の症状の相対リスクは,入眠困難で1.57(1.25-1.97),中途覚醒で1.84(1.39-2.43)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から,前述の職域でのコホート研究[35] と地域でのコホート研究(2,265人)[38] が含まれている. 地域のコホート研究では, 入眠困難で2.98(1.36-6.53),中途覚醒で2.23(1.08-4.61),職域のコホート研究では入眠困難で1.62(1.01-2.59)と有意であったものの,中途覚醒では1.36(0.87-2.14)と有意差を認めることができなかった.職域のコホート研究では,睡眠時間でも有意差を認めなかったことなどを考え合わせると,理由の1 つとして,健康労働者効果などが考えられる。

3)うつ病
Baglioni C ら[39] は,2010 年2 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,主としてDSM- ⅣまたはTR に基づく不眠症とうつ病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,うつ病の罹病に対する不眠症のオッズ比(95% 信頼区間)は,2.10(1.86-2.38)であった.なお,この中には,日本からの研究は含まれていなかった。
近年,日本において,不眠の症状と抑うつの関連をみたコホート研究では,65 歳以上の地域住民3,065 人を3 年間追跡した結果,入眠困難を有する者はそうでない者に比べ抑うつを呈したオッズ比が1.59(1.01-2.50)であったと報告されている[40]。

Ⅴ.おわりに
以上,日本における睡眠障害の頻度と睡眠障害による健康影響について,解説した.夜間の睡眠障害と日中のQOL(主観的健康感の低下や仕事上・人間関係上のトラブルや事故など)の低下には有意な関連がある[41].しかしながら,睡眠が障害されても適切な対処行動が取られず,寝酒を常用する(男性37.4%,女性10.0%)などして,かえって早朝覚醒を来し充分な睡眠を維持できず悪循環に陥る[42]。
睡眠障害に適切に対処することによって,人々の健康増進やQOL の向上に,大いに貢献できるものと考えられる。
表4 に睡眠障害に対処するための指針を示した。
一人一人が睡眠衛生の面から自分に合った睡眠を確保できるよう,健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が求められている.睡眠障害の多くが,夜間の不眠の症状に日中の眠気など不眠症に共通の症状を呈するが[5],通常の睡眠薬では効果が期待できない疾患,あるいは憎悪してしまう疾患もある.この中には,難治性の神経筋疾患や神経変性疾患なども含まれている[43].症状が改善しない場合には,睡眠障害を専門とする医師による診断と治療が必要となる.保健医療福祉の諸機関と睡眠専門医療機関との連携といった環境面での整備も望まれるところである。

文献
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(論文紹介)総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果

何か悪だくみ・・かな?こんなところで遊ぶ子供は減ったな~。楽しそう!

本日ご紹介するのは、安眠と香りを調べるうちに見つけた論文です。ハーブなので香りというより効能かもしれません。
昔から寝る前にハーブティーを飲むとよく眠れるなどと言われてはいますが、その実証ということです。カモミールは母の薬草と言われるように、女性に効果があると言われていたようですが、実験でも男女で大きく効果の差があるようです。男性よりも女性のほうがハーブティーを好むと思っていたのですが、実際に効果に違いがあるわけですから当然と言えば当然だったのですね。
論文をご紹介いたします。

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/14686/1/2005-97-95.pdf
北海道大学大学院教育学研究科
紀要第97号2005年12月

Title 総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果
Author(s) 角田(矢野), 悦子; 森谷, 絜
Citation 北海道大学大学院教育学研究科紀要, 97: 95-103
Issue Date 2005-12-20
DOI 10.14943/b.edu.97.95
Doc URL http://hdl.handle.net/2115/14686
Right
Type bulletin
Additional
Information
File
Information 2005-97-95.pdf

総説植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果
角田(矢野)悦子* 森谷**
*北海道大学大学院教育学研究科健康スポーツ科学講座修士課程(健康科学・健康教育研究グループ)
**北海道大学大学院教育学研究科健康スポーツ科学講座教授(健康科学・健康教育研究グループ)

Physiological and Psychological Effects in Humans
of Chamomile (a kind of plants)Drinking and Eating
Etsuko YANO-KAKUTA Kiyoshi MORIYA
【要旨】植物カモミール(Matricaria chamomilla)は,ヨーロッパを中心に古くから鎮静効果をもつ植物として利用されてきた。カモミールの摂食によるリラックス効果及び睡眠影響について報告された論文を総説としてまとめた。カモミール茶の摂食が末梢皮膚温を上昇させる,心拍数を低下させる,自律神経系を副交感神経優位にするという報告,感情測定尺度(MCL-S.1)によってリラックス感得点の上昇を認めたことが報告されている。
また,カモミールエキスを添加したゼリーを温めた状態で摂食した場合には末梢皮膚温の上昇や心拍数の低下が起こり,副交感神経優位の傾向が示されたが,低温で摂食した場合にはその効果が認められなかったと報告されている。OSA 睡眠調査票を用いた睡眠実験から,カモミールエキス添加ゼリー摂食日の夜間睡眠では,ねむ気の因子,寝つきの因子などが無添加ゼリーを摂食した日に比べて改善したことが報告されている。
【キーワード】カモミール,摂食,自覚的感覚,睡眠,中高年女性

1.はじめに
近年,日本の社会では経済活動の停滞や急速な高齢化の進行などが顕著となり,それに伴い人々の心身に対するストレスが増加してきている。厚生労働省の保健福祉動向調査1)では,心身の健康とストレス,睡眠の結果が以下のように報告されている。ストレスの程度別構成割合では,最近1か月間の日常生活においてストレスがあったとする者の割合が54%を超えており,ストレスが「大いにある」とする者の割合は,男性が10.8%,女性12.8%であり,一方ストレスが「多少ある」とする者の割合は男性39.7%,女性44.9%である。なんらかのストレスありの者のストレス要因をみると,「仕事上のこと」30.5%が最も多く,「自分の健康・病気・介護」「収入・家計」「職場や学校での人づきあい」が続いている。性別にみると男性は「仕事上のこと」が41.3%ときわだって多く,女性は「自分の健康・病気・介護」「収入・家計」が25%を超え,年齢階級別にみると,男性65歳以上,女性55歳以上では「自分の健康・病気・介護」が最も多いと報告されている。また,睡眠について最近1か月で問題と感じていることは「朝起きても熟睡感がない」が24.2%で最も多く,加齢とともに「朝早く目が覚めてしまう」「夜中に何度も目が覚める」が増加している。
加齢とともに睡眠障害で悩む人の割合が増加し,女性で男性よりも多いとの報告もある2)。特に中高年の女性(55歳以上)がストレスの内容として「自分の健康・病気・介護」をあげている一方で,睡眠不足の理由として「悩みやストレスなどから」をあげる者が66%(45歳~54歳および55歳~64歳)程度と報告されている1)。一方,更年期の女性の睡眠の質に関する調査3)では,閉経後の人達では何らかの睡眠困難を感じることが多く,入眠しにくく睡眠効率が低下し,日中の眠気や意欲の低下を感じ,総合的に睡眠の質の悪化を示唆すると報告されている。
このようなストレスに対する対処法の一つとして,生活の質(QOL)の向上と健康増進などを目的として植物を用いる補充療法の社会的認知と普及が進みつつある。例えば薬用人参(Panax Ginseng),イチョウ葉(Ginkgo Biloba)などの摂取による身体的ストレスの改善効果やハーブのセントジョンズワート(Hypericum Perforatum)によるうつ症状の緩和などが良く知られている4)。また,植物の香り成分によるアロマセラピーやフィトンチッドと呼ばれる森の香りを利用した森林浴による鎮静・リラックス効果などを,生活の中により積極的に取り入れることが注目されている。
筆者らはこのような観点に立ち,植物カモミール(Matricaria chamomilla)を食品のお茶やゼリーとして摂食することによる生理・心理的効果,夜間睡眠への影響について研究を続けてきた5)6)。
本稿では植物カモミールの摂食が心身に及ぼす効果について,歴史的背景や食文化とその生理心理的効果および夜間睡眠に対する影響についての研究をまとめることを意図する。

2.カモミール摂食の歴史と文化
上述のように人々はその社会活動や食生活の中で増加する多種類の人為的ストレスにさらされているが,その解決には必ずしも現在の西洋医学だけで充分とはいえない。近年になり西洋医学を補う医療として補充医療(Alternative Therapies)が再評価されつつある。例えば東洋医学における漢方やインドのアーユルヴェーダなどの伝統的医学が知られている4)。これらの医療体系の中では,ハーブ(香草)を含むさまざまな植物を薬草として治療手段に用いている。
また,漢方の分野では医食(薬食)同源と呼ばれる概念があり,人間の健康維持や医療における食物摂取の役割や機能を認めている。またアーユルヴェーダでは1000種類もの薬用植物が記載されており,古代のエジプトでは薬草療法にハーブが利用され,例えばフェンネル,クミン,アロエなどのハーブが食品・薬・化粧品・香水・香料や殺菌剤などに広く利用されていた7)。また,古代ギリシャ・ローマ時代においても,古くは植物誌(Theophrastus,BC 3世紀頃)に数百種類のハーブが記載されその利用が行われていた。その後16世紀頃から草本書(ハーバル,Herbal)が多数著される時代になり,数千種類ものハーブが記載され栽培法や料理法が詳しく知られるようになった。17世紀には草本家のカルペパー(Nicholas Culpeper,1616-1654)により,占星術とハーブの医学的効用などを関連づけた本草百科(The Complete Herbal)が著された。一方,アメリカ新大陸では健康を維持するために,家庭菜園にラベンダー,ローズマリー,カモミールなどの多種類のハーブが栽培された。このようにハーブは薬草療法の素材植物として,例えばうがい薬や煎じ薬,入浴剤そして誘眠効果をもたらす自然の睡眠薬などとして広く用いられてきている8)。このようなハーブ植物の一つにカモミール(カミルレ,カミツレ,Chamomile)があり,補充医療の一つであるアロマセラピー(Aromatherapy,芳香療法)や日常の食生活においてハーブティーなどに広く用いられている9)。このカモミールはサクソン人の時代からイギリスでよく用いられている薬用植物の一つで,ラベンダーやペパーミントなどとならぶイギリス産精油植物として知られている。ギリシャ人はこの花の香りがリンゴの香りに例えられることから「カマイ・メロン」(地面のリンゴ)と呼びこれがChamomileの語源とされている10)。また,スペインでは現在でも薬草としてカモミールがシェリー酒マンサニリャの香り付けに使用されている。
カモミールはヨーロッパ,北アフリカおよびアジアの地域に生育し四つ程度の属に分類される11)。薬用・香料用として用いられるのは,主にローマンカモミール(Chamomile Roman,学名Anthemis nobilis L.)とジャーマンカモミール(Chamomile blue,学名Matricariachamomilla L.)の二種類である。両者ともに開花した花部から精油を水蒸気蒸留により抽出・生産されている12)。
ジャーマンカモミールは世界的に各国の薬局方に公定薬品として登録されていることが多く,抗炎症,鎮痙,消毒用に用いられている。また化粧品業界ではスキンケア製品に利用されている。主な生産国はアルゼンチン,エジプト,ハンガリーそしてドイツなどである。カモミールの精油の主要な化学成分としてテルペノイド類(モノテルペン,セスキテルペンなど)が含まれ,ジャーマンカモミールの特徴成分としてはアズレン(azuren)誘導体,ビサボロール(bisabolol)誘導体があり,ローマンカモミールはアンゲリカ酸エステル,チグリン酸エステルが特徴的成分であると報告されている12)。精油に含まれるカマズレンは品種や産地により含有量には差があるが,抗ヒスタミン作用とロイコトリエン生合成阻害などのメカニズムにより抗炎症作用があるといわれている。また,嘔吐抑制や精神的ストレスによる鼓腸性消化不良,喫煙・水泳などが原因の目の刺激,擦過傷や虫さされなどに用いられている13)。
ローマンカモミールはジャーマンカモミールと異なり多年生植物であり,精油が豊富に含まれ,消化器疾患や毛・頭皮の治療や鎮静・鎮痙剤そして発汗剤などに使用される。その精油の主な用途は化粧品などであり,主産地はベルギー,オランダ,イギリス,フランス,ローマなどである。一般的にカモミールは強肝,強壮,駆虫,解熱,健胃,抗うつ,抗アレルギー,抗リウマチ,抗神経障害,消化促進,鎮痛,通経,瘢痕形成,皮膚軟化,癒傷,利尿作用などがあるとされている14)。
カモミールの食品への応用では,菓子,デザート類およびゼリーなどの香料として用いられているほか,お茶として世界中で慣習的に飲用されている。また苦味酒,ベルモット,ハーブビールなどにも使用されている。近年の日本では高齢化が進行し,高齢者は外部から水分や食物を口に取り込み咽頭と食道を経て胃へ送り込む運動(嚥下)に異常の生じる傾向がある。この嚥下(swallowing,degulutition)障害の結果,栄養摂取不良,誤嚥そして食べる楽しみの喪失などの問題が生ずる15)。この問題を解決するための食品として多種類のゲル化食品(ゼリー)が開発されているが,今後は病院食だけではなくハーブなどを用いた日常の嗜好にかなう嚥下障害の少ないゼリーが期待されていると考える。

3.カモミールの摂食による生理・心理的影響
カモミールは日常生活のなかで食品としても用いられており,健康に良い効果があるお茶としてヨーロッパやアメリカを始め世界的に飲まれている。童話のピーターラビット(PETERRABBIT)では,母さんウサギが子供のピーターに就寝前にカモミール茶を飲ませる場面が記載されている。童話の世界だけではなくカモミール茶の利用は古くから行われているが,就寝前に飲むことから鎮静や催眠効果を期待していると考えられる。しかし,その作用や効果についての学術的報告は極めて少ない。食生活に取り入れられているハーブ茶の効果については,森谷らがカモミール(Matricaria chamomilla)について,カモミール茶(55℃,150ml)摂取による青年男性の自律神経機能と感情指標の変化について白湯と比較した検討を行い,心拍数や末梢皮膚温の変化および感情得点の変化を計測した報告を行った5)。この報告ではカモミール茶と白湯を飲用後の心拍数変化量について検討した。飲む直前の心拍数の平均値には2群間に有意差は無く,白湯に比べカモミール茶を飲用後30分間の心拍数の平均低下量が有意に大きいことが示された。また,心拍R-R 間隔変動周波数解析の結果から,交感神経の指標として参考にされるLF/HF 比について,同様に飲用後30分間の2群の平均低下量はカモミール茶を飲用したほうが有意に大きいことが明らかにされた。一方,副交感神経の指標と考えられているHF パワー成分にはカモミール茶と白湯を飲む直前の,2群間には有意差はなく,それぞれを飲んだ後の30分間の変化量についても有意差は認められなかったと報告している。末梢皮膚温変動については,右足の第5趾趾根部で計測が行われ,飲む直前の末梢皮膚温平均値については2群間に有意差はなく,飲用後の時間変動に有意差が認められ,白湯に比べカモミール茶を飲用後30分間の平均上昇値が有意に大きいことが示された。心理指標については,橋本と徳永により開発されたMood Check List -Short Form 1(MCL-S.1)16)を用いて感情得点の変化について検討された。飲む直前のリラックス感得点には有意差はないが,カモミール茶を飲用後15分後と30分後には白湯およびカモミール茶のそれぞれの場合に有意なリラックス感得点の上昇が認められた。飲用後の2群間に有意差は認められなかった。また,快感情得点についても同様の検討が行われたが,有意差はなかったと報告している。

森谷と小田は,感情得点と自律神経機能の関連について,心拍数,LF/HF,末梢皮膚温とリラックス感得点などとの相関について検討を行った17)。その結果,図1に示すように心拍数とリラックス感得点の変化量に負の相関(ピアソンの相関係数(r)=-0.496,P=0.019,n=22)が認められた。またピアソンの相関係数による評価から,リラックス感得点とHF の変化量の間に有意な正の相関があることが認められた。さらに末梢皮膚温の実測値とリラックス感得点の間にも有意な正の相関が明らかにされた((r)=0.465,P=0.006,n=22)。このようにカモミール茶飲用後には,自律神経機能の心拍数や末梢皮膚温の測定値とMCL-S.1によって評価したリラックス感得点の間にかなり良い対応関係があることが示されている。この報告ではカモミール茶の飲用は白湯の飲用よりも副交感神経系優位の効果が現れることを明らかにしているが,感情指標についてはその効果が必ずしも明確でない場合があり,嗜好の影響の可能性について示唆している。
近年,井上らは18)ジャスミン茶の香りの嗜好性と自律神経系の活動の関係について,POMSで評価した感情得点を用いた報告を行っている。香りが高濃度と低濃度の場合について,嗜好性の違いによる感情得点とその自律神経活動に対するへの影響について検討し,ジャスミン茶の香気成分が低濃度の場合は好む群と好まない群の両方とも副交感神経活動が上昇し,高濃度の香りの場合は好みの群で副交感神経活動を亢進させ心理状態を鎮静化させ,好まない群においては交感神経活動を上昇させると報告している。
また,角田らはカモミール(Matricaria chamomilla)エキス入りの温めたカモミールゼリーを摂食させたときの自律神経機能と感情指標に対する影響について検討を行った6)。この報告では無農薬栽培のジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla)を原料として抽出したエキスに,果糖・砂糖,ゲル化剤等を加え,ブリックス糖度を14としたゼリーを調製試作(北海道夕張市,S社製造)し,実験に用いている。カモミールエキス以外の成分をほぼ同一とし,同エキスを添加および無添加(対照)のゼリー(75ml)の2種類を用意し,飲食前に60℃あるいは10℃の2種類の温度に調整したものを被験者(健常な30代及び40代の男女40名)に摂食させ,末梢皮膚温(左足第5趾趾根部)および脳波・感性スペクトルの計測および心理指標値としてMCL-S.1による感情得点の測定を行った。その結果,低温で摂食させた場合には末梢皮膚温の上昇は認められないが,温めた状態で摂食させた場合には男性(n=7)および女性(n=8)の両グループともに摂食後22分間に有意(二元配置分散分析,P<0.05)に末梢皮膚温が上昇することを明らかにした。また同エキス無添加のゼリーを摂食した場合には,低温および温めた状態の両者ともに有意な末梢皮膚温上昇は認められなかったと報告している。
MCL-S.1による感情得点の結果から,温めたカモミールゼリーを摂食後の男女のグループについてはリラックス感の増加する傾向が認められたと報告している。また同実験において自律神経活動を評価した報告19)によれば,温めたゼリーを摂食した男女のグループともに心拍数の低下と副交感神経優位の傾向が示された。
これらの結果から,カモミールエキスを添加したゼリーを温めた状態で摂食した場合,お茶より少ないカモミール量で,揮発性香り成分がより効果的に発散し,生理的効果を与える可能性が示唆されたと考えられる。

4.カモミール摂食と睡眠
近年になり,夜間睡眠における睡眠不調・睡眠障害に悩む人たちが多く,中でも中年期以降に睡眠不調・障害の多発することが知られるようになってきた。健康づくりに関する意識調査20)において,「眠りを助けるための睡眠剤や安定剤などの薬やアルコール飲料を使いますか」の質問に対して「時々ある」「しばしばある」「常にある」と答えた人の割合が14.1%あり,健康日本21「3.休養・こころの健康づくり」では2010年までの到達目標を13%としている。
例えばハーブ植物の一種のバレリアン(吉草根)については,鎮静作用等のほかに,OSA 睡眠調査票を用いた実験調査による睡眠の改善作用が最近報告されている21)。また,樹木由来の香気成分の一種であるセドロールについて,その睡眠に与える影響の検討が報告された22)。この報告では,何らかの睡眠不満を自覚している20代女性の性周期低温期において,自宅で3日間の生活調整期間後6日間の宿泊試験を1クールとして実験を実施している。セドロール使用量は被験者が全く感じないかあるいはかすかに感じる程度の濃度に調節され,就寝前・就寝時合わせて4時間提示している。この実験では睡眠段階(覚醒,睡眠深度,レム・ノンレム睡眠など)の判定は睡眠脳波により行われ,眼振電位,オトガイ筋筋電位,心拍,呼吸および皮膚電位反応が記録され,プラセボ夜およびセドロール夜の試行はダブルブラインドテストで実施されている。この実験結果から,総睡眠時間はプラセボ夜では平均394.7分に対し,セドロール夜では平均408.0分であり,有意に延長したことが示された。入眠潜時は前者が平均16.8分に対し,セドロール夜では9.3分と有意に短縮し,睡眠効率については前者が91.9%に対し,セドロール夜では95.2%まで上昇する傾向が認められている。中途覚醒時間には,有意差はなかったと報告している。この報告では,セドロールが交感神経系を鎮め,睡眠前に副交感神経活動優位に切り替えることをスムーズに行うことで心身がリラックスし,入眠が円滑に起こり良好な睡眠が維持されたと推察している。一方,徐波睡眠出現率および段階REM 出現率に関する解析では全く差がなく,セドロールは本来の睡眠構造自体には変化を与えず,睡眠を良好な状態にすることを示唆している。
カモミールについては伝統的に睡眠改善に良いといわれてきているが,明確な実証データや学術報告は多くない。一つの報告としては23),心臓病患者を被験者として心室カテーテル実施の際にカモミール茶(約170ml,白湯摂取などの対照実験なし)を飲用させ,血行力学的反応について評価した実験である。この実験結果ではカモミール茶飲用後に全ての患者(10名)が眠りについたと報告され,催眠効果があるとされている。カモミールの催眠効果については殆どがこの報告を基に引用されているが,その後詳細な研究報告は未だ行われていない。
既に報告されているように,カモミール茶やカモミールエキスを含んだゼリーの摂食がリラックス感得点の上昇や副交感神経活動優位の傾向をもたらすことから,睡眠への影響が期待されると考えられる。そこで,筆者らはカモミールゼリーの摂食が被験者の副交感神経系および自覚的睡眠感に及ぼす影響について検討を行った24)。この実験では前述の摂食実験と同様の実験条件下で,カモミールエキス添加ゼリーと同エキス無添加ゼリーを温めて摂食させ,OSA睡眠調査票起床時調査によって検討がされた。睡眠感の評価には,睡眠現象を統合的に把握するために小栗ら25)が開発したOSA 睡眠調査票を用いた。この調査票は,睡眠前調査により不適切な被験者の除外と生活態度や就寝前の身体的・精神的状況を把握するための21項目の質問と,起床時の調査により睡眠感を構成する因子のもとになる31項目の質問および身体的愁訴とその有無に関する質問に答えてもらうよう構成されている。この報告ではOSA 睡眠調査票の結果をもとに,小栗らの抽出した①ねむ気の因子,②睡眠維持の因子,③気がかりの因子,④統合的睡眠の因子そして⑤寝つきの因子の5つの下位因子に分けて検討が行われた。同実験は第1期と第2期に分けて実施され,第1期の被験者は特に睡眠障害を持たない健常な30代および40代の男性7名を被験者として実施され〔年齢:37.7±5.4(mean±SD)〕,第2期は同様に健常な閉経後の50代および60代の女性7名を被験者として〔年齢:60.3±2.7(mean±SD)〕実施されている。第1期の実験結果では,無添加(対照)と比較し,カモミール添加ゼリーの摂食夜は3つの因子,①ねむ気の因子(t=-2.4679,p=0.0486),②睡眠維持の因子(t=-2.5809,p=0.0417),⑤寝つきの因子(t=-2.5262,p=0.0449)について有意に高い値を示した。(図2参照)

この報告の第2期の実験では,第1期と同様に温めたゼリーを摂食させ,睡眠に関する5つの下位因子について比較分析を行った。その結果,①ねむ気,②睡眠維持,③気がかり,④統合的睡眠そして⑤寝つきの5因子について対照と比較し,カモミール添加ゼリー摂食夜には②睡眠維持の因子について有意差(t 検定,p=0.0313)が認められた。(図3参照)

筆者らは,温めたカモミールゼリーを摂食した場合に,皮膚温の上昇と末梢血流の増大,副交感神経優位状態やリラックス感が増大することを既に報告している。一般に情動が睡眠状態に関係しリラックス感のようなポジティブな感情が睡眠を良好にすることが知られており,これらの結果から温めたカモミールゼリー摂食の心理生理的効果が帰宅後の就寝前まで持続し,ねむ気,寝つきを良くする傾向をもたらし,睡眠維持に効果のあった可能性が示唆されている。前述のセドロールの場合においても,就寝前の精神的・生理的状態の重要性が指摘され,眠りにつく前の自律神経活動が交感神経支配から副交感神経支配優位に切り替わることが入眠を円滑にすると指摘されている。
また最近,セドロールが野生のカモミール(Chamomilla recutita,Matricaria chamomilla)とその組織培養株に含まれる新しいテルペノイドとして報告され,カモミールの自覚的睡眠感や自律神経系へ影響する作用物質としての可能性が注目される26)。

5.おわりに
植物カモミールは人類の歴史や食文化,医薬学などの進歩・発展とともに,その補充・伝統医療や身近な生活の場面などに用いられてきている。今後の日本は高齢化社会が進み,人々の日常生活のなかでの健康維持やストレスが大きな課題になると考えられる。それにともない加齢による睡眠障害に悩む人の割合が増加し,ストレスに悩む中高年の男性や女性にとって大きな心身上の課題となり,この解決に植物カモミールの摂食が貢献できる可能性が期待される。
既にカモミール茶や温めて食べるカモミールゼリーが自律神経活動に影響を与え副交感神経優位をもたらし,この現象と相関して感情評価尺度によるリラックス感得点が上昇することが明らかにされた。一方,植物カモミールに含まれる香気成分やその他の含有成分が心身に及ぼす作用機構や作用物質などについて,新しい知見も見出されつつあるが未解明の部分がまだ多く,特に睡眠に対する影響などについての研究が必要と考えられる。
今後はこれらの研究成果が,例えば睡眠不満やストレスに悩む中高年世代や介護高齢者の睡眠改善へ応用され,人々の健康維持や向上に貢献することが期待される。

[引用文献]
1) 厚生労働省:平成12年度保健福祉動向調査,2000,http://www.mhlw.go.jp/
2) 中沢洋一,小鳥居湛:不眠,睡眠の科学(鳥居鎮夫編),朝倉書店,224-227,1989.
3) 香坂雅子:固有の診療科を離れた立場から―女性に特有な睡眠障害,診断と治療,92⑺,1207-1212,2004.4) Christine Maguth Nezu, Arthur M.Nezu, Kim P.Baron, and Elizabeth Roessler:Alternative Therapies,
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6) 角田英男,矢野悦子,前田智雄,武藤俊昭,森谷:カモミールのリラックス効果とその応用―機能性を有する温めるゼリー食品―AROMA RESEARCH,Vol.3,No.2,31-36,2002.
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19) 橋本恵子:カモミールゼリーの摂食がもたらす生理心理的効果,北海道大学大学院教育学研究科修士論文,2002.
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23) Lawrence Gould, C.V.Ramana Reddy, Robert F.Gomprecht:The Journal of Pharmacology, Nov.-Dec., 475-479, 1973.
24) 矢野悦子,橋本恵子,生野寿恵,角田英男,森谷:温めたカモミールゼリーの摂食が自覚的睡眠感に与える影響,日本生理人類学会誌,Vol.9,特別号⑴,132-133,2004.
25) 小栗貢,白川修一郎,阿住一雄:OSA 睡眠調査票の開発,精神医学27⑺,791-799,1985.
26) Eva Szoke, Emoke Maday, Erno Tyihak, Inna N Kuzovkina, Eva Lemberkovics:New Terpinoidesin cultivated and wild chamomile (in vivo and in vitro), Jouranal Of Chromatography. B, AnalyticalTechnologies In The Biomedical And Life Sciences, Vol. 800, Issue 1-2, Feb. 5, 231-238, 2004.

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(論文紹介)睡眠障害が糖尿病の治療ターゲット

今日紹介する論文は、糖尿病による血管障害の程度を睡眠障害を改善する事で緩和するというものです。糖尿病自体睡眠障害が発生しやすくなることが知られており、症状としての睡眠障害を睡眠薬(オレキシン阻害薬)により改善する事で、糖尿病の症状を改善する結果につながったということです。
オレキシン阻害薬は睡眠導入剤としては穏やかな作用となり、自然な入眠を促すとされています。NHKの「ガッテン!」でも紹介されたのですが、その後「糖尿病に効く睡眠薬をくれ」という問い合わせが増えたという話があります。
間違ってはいけないのが、糖尿病に睡眠薬が効くのではなく、レム睡眠のレベル3とか4の段階の深い睡眠を得ることが、体の修復を助けるために、糖尿病の症状である血管障害を緩和したということです。何でもかんでも薬に頼ろうという考え方はよろしくないと思います。大阪市立大学
睡眠障害が糖尿病の血糖改善や血管障害防止に有効な治療ターゲットであることを解明
https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/pdfs/press_150414.pdf

概要
医学研究科 代謝内分泌病態内科学の稲葉雅章(いなばまさあき)教授らのグループは、糖尿病の血糖コントロール悪化で睡眠の質の劣化を伴う睡眠障害が引き起こされること、また睡眠障害が早朝高血圧を起こすことで糖尿病の心血管障害の原因となることを明らかにしました。
以前から、睡眠障害の患者は糖尿病の有病率や将来高い確率で発症することが分かっていましたが、糖尿病の肥満に伴う睡眠時無呼吸症候群の関連は必ずしも明らかではありませんでした。私たちは今回の研究で、脳波計を用いて糖尿病の血糖コントロール指標であるHbA1c増悪が、睡眠の質を決定する睡眠第1相の時間短縮、さらに、脳を休息させる深睡眠である徐波睡眠の短縮と有意に関連することを明らかにしました。さらに、それらの睡眠の質の増悪が動脈硬化指標であり、心血管イベントリスク因子である頸動脈の内膜中膜肥厚度と関連することを示しました。また、これまでの研究で、糖尿病患者での血糖コントロール増悪が心血管イベントリスクである早朝の血圧上昇に有意に関連していることを認めています。
睡眠に対する治療が夜間・早朝血圧の改善を示した研究を考慮すると、糖尿病での血糖コントロール悪化→睡眠障害→早朝血圧上昇→心血管エベントリスク上昇となり、糖尿病での睡眠障害が、血糖コントロール増悪で悪化すること、および睡眠時無呼吸とは独立して糖尿病での心血管イベントを防止するための治療ターゲットであることが、脳波計を用いた本研究で初めて明らかとなりました。さらに、睡眠障害は交感神経系賦活化を通じて夜間・早朝血圧上昇のみならず、血糖コントロールの悪化をもたらすことが示唆されています。今回の研究から、糖尿病患者への積極的な睡眠障害に対する治療は、不眠によるQOL増悪を改善するだけでなく、交感神経活動の低下により夜間・早朝血圧改善による動脈硬化進展予防や、血糖コントロール改善を目的とする治療として位置づけられます。睡眠導入薬の進歩や新規薬剤の投入により、不眠治療が臨床の場で安全かつ効率よく行えるようになったことに加え、不眠治療に対する認識を変えることができる研究であるといえます。
【論 文 名】
Association between poor glycemic control, impaired sleep quality, and
increased arterial thickening in type 2 diabetic patients
「2型糖尿病患者における血糖コントロール増悪、睡眠の質劣化、動脈壁肥厚度 増加の関連」
【 著 者 】
Koichiro Yoda, Masaaki Inaba, Kae Hamamoto, Maki Yoda, Akihiro Tsuda,
Katsuhito Mori, Yasuo Imanishi, Masanori Emoto, Shinsuke Yamada
【掲載URL】
http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0122521

研究の背景
一夜の睡眠段階は、覚醒からStage1→Stage2→Stage3→Stage4と移行します。入眠から90~120分経過すると最初のレム睡眠が出現する。Stage1~レム睡眠の終わりまでを睡眠周期といい、一夜の睡眠で睡眠周期は4~5回繰り返されます。一夜の睡眠の前半では深い眠りで大脳皮質を休息させる徐波睡眠(睡眠段階3・4)が多く、後半ではレム睡眠が増加します。
図1.一晩の睡眠パターン

Stage1-4のノンレム睡眠は脳を休息させる睡眠で眠りの20-25%を占め、特にstage3-4の徐波睡眠は熟眠感が得られる質の高い睡眠といわれています。一方、レム睡眠を睡眠の75-80%を占め、体を休息させる睡眠といわれています。徐波睡眠の役割として、脳の休息以外に交感神経活動の低下とともに副交感神経活動の上昇が見られ、夜間の血圧低下や血糖コントロールの改善が起きるといわれています。

糖尿病患者では、一般人に比べて約2倍の不眠が見られるといわれています。これは肥満に伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群を除いた数字で、種々の原因が指摘されてきました。疫学研究では睡眠時間の短縮とともに糖尿病の有病率が上昇することや、睡眠障害を有する患者では2型糖尿病の発症確率が有意に高くなることから、睡眠障害で糖尿病増悪の可能性は示唆されましたが、糖尿病での血糖コントロールと睡眠障害の直接の関与は明らかではなく、血糖増悪による夜間排尿回数の増加などが挙げられてきました。

研究の内容
今回の研究は、63名の2型糖尿病患者に脳波計を用いて精密な睡眠の質判定を行い、その結果、血糖コントロール指標であるHbA1cの増悪につれて、深睡眠の程度を示すレム睡眠潜時が短縮すること。また、レム睡眠潜時は徐波睡眠の程度を示すデルタパワーと正相関することより、血糖コントロール増悪により深睡眠の徐波睡眠相が減少することを明らかにしました(図2)。

図2.睡眠指標(レム睡眠潜時、ログデルタパワー)とHbA1c・頸動脈内膜中膜肥厚度との相関

次に、多変量解析を用いてREM睡眠潜時と関連する因子を検定したところ、睡眠時無呼吸症候群の指標である無呼吸・低呼吸インデックス(AHI)と独立して血糖コントロール指標であるHbA1cはREM睡眠潜時と独立した有意の負の関連を示しました。これは、血糖コントロール増悪を示すHbA1c上昇が、深睡眠指標であるレム睡眠潜時の短縮をもたらすことを示唆する結果でした。
興味深い点は、これら2型糖尿病患者においてREM睡眠潜時やログデルタパワーなどの深睡眠指標は、動脈硬化指標である頸動脈内膜中膜肥厚度と有意な逆相関を示したことです。多変量解析でも両者は有意な負の関連を示したことから、深睡眠の障害は動脈硬化進展につながる可能性が本研究より示唆されました(表1)。

 表1.2型糖尿病患者での頸動脈内膜・中膜肥厚度との関連(多変量解析)

糖尿病での睡眠障害が動脈硬化進展に関連していることは明らかとなったが、その機序についても我々は一つの機序を示すことができている。それは、睡眠障害が夜間高血圧・早朝高血圧を引き起こすことによる。とくに早朝高血圧は種々の血圧指標のなかで最も強力に心血管エベントを抑制する因子であることが示されている。50名の2型糖尿病患者において、血糖コントロール指標であるHbA1cと空腹時血糖は早朝の血圧上昇と有意に正に相関し、またインスリン抵抗性指標も早朝血圧上昇と有意な正関連を示しています。多変量解析でも、HbA1cとインスリン抵抗性指標であるHOMA-Rと血清中性脂肪値は正の有意な関連を示しました。さらにこれら患者で早朝血圧上昇は、多変量解析で血管内皮依存性の血管拡張反応低下と有意な負の関連を示したことから、2型糖尿病患者では、血糖コントロール悪化→早朝血圧上昇→血管障害が起こっていると考えられます。この以前の研究に加え、本研究で血糖コントロール指標悪化が睡眠の質劣化と関連すること、および以前の研究により睡眠障害の治療が夜間高血圧・早朝高血圧低下につながることが示されていることを包括的に考えると、2型糖尿病患者での睡眠障害の積極的な介入が、血糖コントロール改善や動脈硬化進展の防止に向けた重要な治療ターゲットであることが浮かび上がってきました。

期待される効果
現在、睡眠障害により特異的に有効とされるオレキシン阻害薬を用いて、睡眠障害改善によってもたらされる現象について解析中です。また血糖コントロールについてのみ、わずかな症例の結果しか得られていませんが、睡眠障害治療によって交感神経系の改善がもたらされること、それに伴って血糖の改善が有意に得られるという結果を得ています。今、血圧や血管障害指標の改善の有無についても検討しているところです。それらの研究が進展して、もし睡眠障害治療によって血糖コントロールの改善、夜間高血圧、早朝高血圧の改善、血管障害の緩和を期待できる結果が得られるなら、睡眠障害治療を2型糖尿病での重要な治療ターゲットとして位置づけることができます。最近の新規の異なった機序による睡眠障害治療薬の導入もあいまって、本研究が睡眠障害の治療目的を新たに位置づけるうえで重要な研究となりうると期待されます。

今後の展開について
今回の横断研究で明らかになった睡眠障害と血糖コントロール、血圧、動脈硬化の3者間での因果関係を明らかにするため、睡眠を特異的に改善する薬剤を用いて、睡眠障害によって引き起こされる代謝異常を検討しています。現在の予備段階の研究では、睡眠障害による交感神経系の活動性低下や血糖コントロール改善が認められています。今後患者数を増やして睡眠障害に対する治療の位置づけを確立できるように研究を進めていく計画です。

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(論文紹介)補完代替医療としての笑い

以前のブログでも書きましたが、睡眠は、脳の排泄機能ではないかという考え方。
不眠症は言ってみれば脳の便秘だということですね。
出したいのに出ない便秘の苦しさと、眠いのに眠れない不眠の苦しさは確かに似ている気がします。
便秘の解消には水溶性食物繊維を取るとか、腸内フローラを整えるとかいろいろと解消方法が言われますが、脳にとっての食物繊維って何だろうと考えると、幸福ホルモンといわれるセロトニン分泌を促すこと。本日紹介の論文はセロトニンを増やす方法について笑いが有効というところに目を向けてみました。「補完代替医療としての笑い」です。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/4/2/4_2_51/_pdf
日本補完代替医療学会誌 第 4 巻 第 2 号 2007 年 6月:51–57
【総 説】

補完代替医療としての笑い

The Laughter Therapy
高 柳 和 江*
Kazue TAKAYANAGI*
日本医科大学医療管理学教室

【要 旨】
医学文献では笑いについての科学的研究が少ないが, 人間のコミュニケーションには大切である.補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くするが,ブラックユーモアな どは,時に鬱の患者さんに,反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療での笑いとはこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供し笑いをひきだすことで精神的・身体的効果を得ることにある.
I.総説で笑いの中枢と回路,笑いと表情,笑いによるからだの動き,笑いの発達段階などを俯瞰した後,II.具体的な補完代替医療として,病気の軽快を目的とした試みや方法を述べ,III.現場での取り組みとして,著者が行っている笑い療法士について紹介する.
【キーワード】
笑い,NK細胞,幸せ感,笑い療法士,パッチ・アダムス,癒しの環境研究会
I. 笑いについての総説

補完代替医療では,笑いは特筆された存在である.笑いの効果における科学についての論文は少ないが,笑いは昔から百薬の長とされ,笑い関連の話題も多い.医学領域以外の笑いについて総説的に記述し,具体的な笑いの補完代替医療の医学的側面,および現状などについて,論述してみたい.
補完代替医療における笑いとは,自己治癒力を高める 療法である.

1. 笑いの中枢と回路
笑いをつかさどる中枢には大脳新皮質,辺縁系,視床 下部の 3 つがある(図 1).

笑いの回路には二つの独立したものが存在する.先天的で情動的な笑いを担う回路では,古い脳である前帯状回と扁桃体が中心的役割を果たす.後天的で認知的な笑いを担う回路では,意志の中枢である大脳皮質の前頭前野が指令を発し,緊張緩和としての笑いになる.笑いの出力回路は,最終的に脳幹に至るが,その途中で,小脳が介在して,笑い発現を状況にあわせて微調整している.

2. 笑いと表情
母親の表情が複雑で豊かなほうが,6 か月以降の乳児の笑顔の発達は,良い反応が出てよい笑顔に育つ1).一般に,ほとんどのポジティブな表情はシンメトリーに右左両方の顔にあらわれる.顔の対称性と利き腕の機能とは関係ないというが,人間は顔の片側だけで表情を表すことができる2).ポジティブな表情を片側だけに表すのは男性のみであるが,ネガティブの表情は男女関係なく,左側であらわされる2).
口の一端だけが笑い,あとの顔の部分が笑っていないものを引きつり笑いという.また,口角下制筋と口輪筋をつかって,口角を上げるときに,唇の真ん中だけをと がらせるという高等テクニックができる.これは,ゆがんだお世辞信号の一つである固い笑いだ3).以下に笑いと関係する表情筋をあげる.
1)大頬骨筋
この筋肉が収縮すると口角を斜め上外側に引き上げ,笑い顔に特有な口の形を作る.口輪筋が哺乳の際乳首を吸いつく働きをするが,そのあとで,乳汁を吸い取るときに大頬骨筋が働く.
2)眼輪筋
目を閉じる内側の筋肉と眼裂を細くし,目じりにしわを寄せる外側の筋肉があり,快や緊張緩和のときに働く.
3)皺眉筋
鼻の付け根から両側にやや上向きに走り,眉間のたて皺を作る.目の上のひさしで,まぶしさをさえぎるのが本来の役目だが,眼の笑いを抑制して,苦笑いなどのメッセージ性を加える.
4)口角下制筋
口の笑いを抑制する.
5)口輪筋
口をすぼめて前に突き出す.
6)眼球
人間は他の霊長類と異なって,白眼という特殊な顔面要素がある.つまり,視線,特に,一瞥をしっかり見立たせる笑いの強調の役目をする4).凝視には,視線を外すものと,視線を向けるもの二つがある.視線を向けるのは,愛,敵意,恐れという積極的な感情を示し,視線をそらすのは,恥じらい,さりげなく示す高慢さ,しおらしい服従を示す4).

3. 笑いによるからだの動き
人間は,非日常を感じると,驚きという反応をする.肩をあげ,深く息を吸い,腹筋を動かし胸を張り腰をそらすという全身運動を行う.この全身を大きく見せて,口を大きく開けるという態勢は,威嚇の動作にもつながる.愛と敵意は相反する感情であるが,笑いも威嚇と同じ行動を示す.
この後で,安心した時は,腰を曲げて,全身で息を吐き,笑いになる.安心できなかったときに怒りになる.笑いと怒りは表裏一体である.精神障害者に正面を向いて凝視すると敵意と受け取られる可能性がある.
笑うと頬の表情筋が頻繁に動き,顔面静脈が伸縮し, 脳から心臓へ戻る血流が増加する.笑っている時は激しく横隔膜を上下させるため腹筋が運動し,全身運動になる.
脳が興奮し酸素を消費すると,脳細胞への酸素の供給量が不足し,脳の働きが低下する.そこで笑いによって新鮮な血液を脳へ送る.脳細胞へ栄養供給が増え,情動をつかさどる右脳が笑いで活性化され,ストレスで左脳を使う人にとって,リラックス効果があると考えられる.
笑った後は,集中しやすく記憶力もアップできる.怒りや恐怖を感じたときなどの異常な事態の時に交感神経は優位になり,その状態が長く続くとストレスの原因になる.コルチゾールが高まり,免疫力が低下する.血圧も高くなる.
脇を触られるくすぐり笑いは脇の内側にある心臓,肺などの内臓を守るために,筋肉が緊張する.この時,全身の筋肉に力が入り緊張する.脇を触られると心拍数が上昇し急激にストレス状態になり,ストレスを和らげようと笑いが起こると考えられている.これをくすぐり笑いといい,酸素摂取量は,有酸素運動並みに多い.
1)副腎ホルモンが変化
笑いにより酸素が増えるとコルチゾールの分泌が減り,ストレスが鎮まる.単純笑いよりもゲームによる積極的な笑いのほうが効果が大きい5).
2)セロトニン神経の活性化
脳幹の縫線核から出た神経からセロトニンという神経伝達物質が放出される.人間の攻撃性と関連があり元気になる.これは覚醒時に持続的な放出があり,睡眠時に発射が抑制される6).呼吸,咀嚼,歩行などのリズム運動を行うことによっても,放出が増強される.不足状態では,うつ病,パニック障害,摂食障害になるなど,心の疾患と密接な関係がある.
3)副交感神経優位
笑いで副交感神経優位になると,安らぎ・安心感を感じた状態になりストレスが解消される7).
4)血糖値が下がる
血糖値はストレスによって上昇するが,笑いには,インシュリンを分泌する遺伝子作用に働いて,血糖を正常化させる作用もある8).
5)脳内麻薬物質の放出
笑いによって自然な幸福を感じさせる化学物質脳内モルヒネであるエンドルフィンやドーパミンを血液中に大量に分泌させる9).
6)免疫能が高まる
自律神経の頻繁な切り替えによる脳への刺激により,神経ペプチド(免疫機能活性化ホルモン)が全身に分泌される.NK 細胞には神経ペプチドの受容体があり,NK細胞は活性化される10).
著者の実験では,高圧酸素室にいれた大学生 10 人と笑いのビデオを見た大学生 10 人を比較すると,前者(コントロール群)はうつ傾向,緊張,疲労,混乱,が高まり11),活動性は落ちた.お墓に入ったみたいな長い時間だった,二度といやだという感想であった.後者は(笑い群)は心理テストもまったく逆の結果である.おわったの?もう一回?いいよと,あっけらかんとしていた.後者の NK細胞活性は有意に高まっていた(図 2).

4. 笑いの発達段階
1)自然微笑
新生児微笑は産まれたばかりの赤ん坊が眠っている間に微笑する現象で本能的なものである.親子のコミュニケーションを活性化する.赤ん坊の姿とそれを好ましく思う親の認知特性,つまり親に奉仕させ子どもの生存率を高める行動は Care Eliciting Behavior のひとつである.自然の生き残り戦略の上で,遺伝子に組み込まれた仕組みらしい.3 カ月で消失するが,6 カ月まで,565 回の自然微笑と 15 回の声出し笑いが観察された例もある12).
2)受動的笑い
自発的に起こる自然なもので嬉しさの表現である.親の顔の視覚情報が脳の情動中枢である大脳辺縁系に到達し,続いて,大脳基底核に中継される.大脳基底核は脳の高次の皮質とそれよりも進化的に古い視床との間に位置するいくつかのニューロン集団である.この基底核が自然な微笑を生み出すのに必要な顔面筋の一連の活動をまとめる.この事象のカスケードはいったん作動すると瞬く間に完了し,思考をつかさどる皮質が関与する余地は無い.
人の脳には相手の感情を読み取るミラーニューロンがある.これが働くと,つられ笑いが起こる.共感するミラーニューロンである.脳の前頭葉にある神経細胞は,人の表情,声から感情を読み取り,同じ感情になるよう命令を出している.つられ笑いやもらい泣きが起こる.
親の微笑みかけという介入で,微笑み返す.親が使う赤ちゃん言葉は親にとっては退行現象であるが,こどもは言葉を聞き取る能力を発揮する.3 ヶ月を過ぎると,おいしい食事にありついたとほっとしたとき,おもわずこぼれる微笑なども受動的な笑いだ.快の笑いとも言う13).
ただし,笑顔を見ても,笑いを拒否する行動をとる時もある.大人は目をそらすか,敵意の目線を返す.親が笑いながら目をみつめても,機嫌が悪い乳児は意図的に首を曲げて目をそらす.本人はミルクがのみたいとか抱いてくれとか,問題が解決されるまでは,笑いたくないという意思を示す.
3)能動的笑い
笑おうとする意思があって,積極的に介入を取り入れる笑いである.漫画,落語,映画,本など,能動的に笑えるもので,意思の力が入る.社交上の笑い,前頭葉の笑い,さらに,達成感のある霊的な笑いをも含む11,13).
4)信号としての笑い
①笑いの発現時間,持続時間
笑いで顔の表情がかわるスピード,笑いの発現時間は,本人が感覚を探す能力に反映しており,また,個人的なスタイルと関係する1).典型的な笑いは,十分な強さがあり,消えるまでに時間がかかる.ちらっと浮かび,すぐに別の無表情な顔に変わり,笑いが直ちに消える断片的笑いもある.セロトニンをだす機能とも関係するらしい.
②信号としての強さ
ぎこちない,またはあいまいな表情は不足信号としての笑いである.
③作り笑い
人間は完全な作り笑いをすることができる.舞台俳優は,笑いと言う信号を強調して 30 メートル以上離れたところに,伝えるという不自然な課題をこなすことができる.
5)病的な笑い
笑うべき刺激でない時に,笑い発作がおこるコントロールできない笑いと,脅迫笑いという病的なものがある14).小脳と橋核の笑いの中枢の異常と,笑いの出力を調節する神経回路に異常がある 2 つの場合がある.

II. 具体的な補完代替医療
1. 病気
アメリカのノーマン・カズンズは,強直性脊椎炎にかかったが「笑い療法」とビタミン C の大量投与を行い,1 週間ほどで症状が改善し始め,半年でもとの編集長職に復帰した15).
1)病気の軽快,治癒
笑いが,がん,心筋梗塞,アトピー,リウマチなどの膠原病等にも好影響を及ぼしていることが報告されてい る.リウマチ患者に落語を聞かせると,リウマチ悪化因子が減り,関節の痛みも和らいだ7).ノーマン・カズンズも 10 分間腹を抱えて笑うと,少なくとも 2 時間は痛みを感じずに眠れたという15).
悪性腫瘍の自然治癒は,神経芽細胞腫で有名であるが,笑いや前向きな生き方で消化器がん,悪性リンパ腫での自然治癒もまれに報告されている.
2)苦痛の軽減
妊娠,出産,出産後の親のケアなど,抗がん剤治療でも緩和ケアでも医療に笑いとユーモアが有効である16–19).ユーモアは患者の痛みをとり,医療者の人間的なところを見せ,すべての人の協力をもたらす.患者がユーモアを使うと医師との診察が軽い気持ちになり,医療者が使うと,日常が楽しくなる20).
3)幸せ感
パッチ・アダムスは認知症で怒り顔の人も,アルツハイマーで能面の顔をした人でも笑いで笑顔に変えた(図3)21).
教育の分野においては,ユーモアをより多く用いる人と創造的思考の間には統計的に有意で正の相関関係がある2).前向き思考と幸福感を授業の前後に考えさせる教育をおこなったイタリア人の思春期の子供では,適応が良く自己効力感が高まった22).
ビジネスの分野でも笑いのストレス管理で従業員の血圧が下がり,パフォーマンスに好影響を与えているとの報告がある23,24).
身体的健康とユーモアとは関係がある25).健康とユーモアのセンスの関係を図るには,もっと研究が必要である.
2. 方法
1)受動的
①お笑いの本,小説,マンガ,映画
自分は笑えるといういくつかの本や映画を見つけておく.または,お笑い芸人の芸をみる.
②環境
患者がかるい気持ちになる面白い小説,本,DVD,映画を満載してある笑い車を病院ロビーに置くことは簡単である20).ま た,マサチューセッツ総合病院の The Kenneth B. Schwartz Center では患者に希望を与え,介護者をサポートして,癒しのプロセスを助けるところとして寄付され,回診では患者の精神的な問題もとりあげる26).
2)能動的
①積極的に笑い顔をして笑い声を出す.
笑顔を無理にでも作り,笑い声を出す.俳優は劇の中で笑うことができる.このときに,セロトニンが増える.
②肉体運動
運動やゲームなどは肉体的な達成感も伴い,笑える5). くすぐりと,全身笑いに移行して肉体運動にもなり,セロトニンも高まり,副交感神経優位になるなど身体的な変化が起こる.
③笑いを創り出す
窮地に立ったときこそ,自分から周囲に笑いを呼び込むことができる.笑いのネタ本で本当に笑えるのは,3分の 1 もない3).相手を錯覚させる方法,同じ内容の順番を変えるだけで悲劇を喜劇にする方法,マクロとミクロを反転させる方法など,思いがけないオチをつけるテクニックがある3).ただし,笑いならなんでもいいわけではない.患者さんや病気のこと,個人攻撃,自虐ネタなどは痛みを増やす笑いである27).
④達成感
目標を決め,努力して達成感が得られたら,笑える.スポーツ選手の笑いや選挙当選者の笑いでよく遭遇する小さな目標から大目標まで,いろいろ決めておくとよい.

III. 現場での取り組み
1. 笑い療法士
多くの患者さんは苦しみを抱えていて,笑おうと思っても笑う状況にない.補完代替医療ではこういう人たちが本当に心から笑えるような場と空気を提供する笑える環境というのが必要だ.私は癒しの環境として五つの項目をあげている27).「安全」「リラックス」「(医療の)質 がよいこと」「元気になること」,および「生きがい」がそれであるが,これは笑いでも同じことである.人間としての権利が守られていることを実感して,安全だと感じることではじめて人は笑える.ほっとしてほほえみ,だんだん,げらげら笑って,元気になっていくことができる.
筆者が代表世話人を勤める癒しの環境研究会では笑い療法士評価認定委員会(委員長:中島英雄・中央群馬脳神経外科病院理事長・噺家桂前治)を立ち上げ笑い療法士を育てている28).「笑い療法士」とは,笑いをもって患者の自己治癒力を高めることをサポートする人のことである.患者さんに,よりそい,心をひらいて笑いを感染させるのが笑い療法士である.笑いは,人が幸せに生きることを支え,また病気の予防にもつながっていく.そうした笑いをひきだすのが「笑い療法士」だ.健康な人,笑いたい人が笑おうと待ち構えているところで笑わせる「お笑い」とは違う.したがって,笑い療法士は場所を選ばず,とくにグッズやパフォーマンスを必要としない.医療・福祉関係者のほか,患者さん,家族や一般の方などで「その人がいるだけで空気が変わる,社会が楽しくなる人」も対象である.人間の心をしっかり持っている人,そして患者さんに寄り添える人,というのが笑い療法士の条件である.応募者が多く,候補者になるには書類審査で 9.3 倍の狭き門である.候補者は患者心理学や脳の解剖,笑いの医学的基礎や患者心理など 2 日間にわたるトレーニングと講習を受け,その後のフォローアップと呼ばれる約 2–3 か月の実績を見て 3 級に認定した(図 4).
「療法士」というタイトルを認定するという 社会的責任から水準を高めるための継続研修も行っている.この笑い療法士は社会の広い層から大きな反響を呼び,新聞にも大きく報道され,取材も殺到した.
2005 年 10 月 23 日から,2007 年 2 月まで第 3 回の認定を行い,209 人の笑い療法士が誕生した.認定された人の職業は医師 26 名,看護師 43 名,医療福祉 30 名,コ・メディカル 16 名,一般人 95 名である.病院理事長,大学教授,お坊さん,落語家から全くの市井の人,患者さんなどのさまざまな職種がいる.年齢も 19 歳から 84 歳まで広がっている.
笑い療法士 3 級の有効期間は 3 年間で,その間の活動ぶりを評価して,その結果に応じて更新が行なわれる.今後は豊富な経験と実績が必要とされる 2 級笑い療法士,患者から呼ばれてプロとしてお金を払ってもらえる笑い療法士 1 級の認定になる.認定を受けた人は,笑い療法士の名称を用いて,さらにまわりの人々に笑いを広 げる.医療や福祉の現場に「自己治癒力を高める笑い」を広げるムーブメントを起こし,その中心人物として活躍することが求められる.
笑い療法士とは,「患者を尊敬し,患者の心に寄り添って,笑いを感染させる人々」である.医師でも患者さんでも笑い療法士は,常に笑い療法士の状態であり,今から笑い療法をします,というものでもない.患者さんがよくなることで生きがいにもなっている.癒しの環境研究会では今後,「1 日 5 回笑って,1 日 5 回感動する」というテーマを掲げて笑い療法士の周知や地位向上をさらに進めていく予定である.
2. ホスピタルクラウン
欧米ではホスピタルクラウンといって,一般人がボランティアでクラウンの格好をして患者を元気にするシステムがある29).英国では医師がクラウンの格好をするドクタークラウンもいる30).米国では,ドクタークラウンとしてパッチ・アダムスが有名で映画で日本でもおなじみである31).日本でも,ホスピタルクラウンのボランティアをする団体がいくつか出てきた.主に子供たちに元気を与える試みがなされている.
3. 笑い療法の効果
がん患者で笑い療法士になった人は,普段は,包丁で刺されるみたいな痛みが笑いでまったく痛くなかった.終わってから,痛みが戻ってきたという.腫瘍マーカーが笑いで下がったと報告してきた人もいる.
88 歳の A 子さんは,大学病院の結果は胃体中部小弯側に 3 cm 大の 2 型(限局性潰瘍形成型)分化型腺癌で SS層まで達しており進行胃癌と診断されたが,本人の手術拒否で,経過観察をした.笑い療法士の開業医が顔面表情筋の体操,彼女の目を見ての傾聴,毎回だじゃれ等を中心とした話題,日々感動してもらうなどをしたところ,1 年 7 ヵ月後食欲も貧血も改善傾向となり,内視鏡検査を行なったところ,萎縮性胃炎に変化していたという.

まとめ
ユーモアや笑いはその場の空気を変える道具として使える.ユーモアは患者と医療提供者の両方にとって孤独を和らげる.上手に使うと,状態を軽くして,患者家族,介護者そして医療提供者との間の連携を強くする.ブラックユーモアなど時に反対の効果をもたらす可能性もあるリスクの高い戦略である.医学文献では笑いについての研究がほとんどない.医師の診察や看護師の経験を通して,ユーモアの役割をレビューすべきである.人間のコミュニケーションにはユーモアや笑いは大切であり,医療者は日常にもっと用いるべきである20).
笑い療法士が国家資格に認定され,日本中で 100 人に1 人が笑い療法士になると,日本の国も明るくなることだろう.
青森県では,青い森笑いプロジェクトも 2007 年からスタートした.いじめ,虐待,自殺防止のために,県民 2万人にほほえみをする人々を養成するプロジェクトだ.国の科学研究費で「エビデンスのある患者自己治癒力向上―量的(HSP 免疫など)と質的評価を指標として」というタイトルで筆者の笑いの研究が認められた.笑いに科学の光がはいるとともに,全国の医療現場や家庭で本当の笑いのムーブメントが広がることを願っている.

参 考 文 献
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27) 癒しの環境研究会編著,高柳和江監修.生きる喜び☆アゲ イン―癒しの環境で目覚める生命のネットワーク.医歯薬 出版.東京.2007.
28) 高柳和江.笑い療法士ご報告.癒しの環境研究会雑誌.2007;12(1): 55–62.
29) Rhodes B. Send in the clowns. Nurs Manag (Harrow). 2005; 12(6):13.
30) Vagnoli L, Caprilli S, Robiglio A, et al. Clown doctors as a treatment for preoperative anxiety in children: a randomized, pro-spective study. Pediatrics 2005; 116(4): e563–567.
31) McDonald M. Dr. Patch—a clown doctor, hailed by Hollywood,dreams of giving free medical care to children. US News World Rep. 1998; 14: 125(23): 56–59.

ABSTRACT
The Laughter Therapy
Kazue TAKAYANAGI
The Department of Health Policy and Management at Nippon Medical School
There are few scientific papers about the effectiveness of the laughter of the patients, even laughter is essential to human com- munication. Cultural values of people acknowledge laughter as good medicine, although the black humor is sometimes risky strat- egy for the depressed patient. The most patient has his own serious problem which prevent him to laugh. Laughter in complementary and alternative medicine means to offer the atmosphere and environment where depressed patient can be educated smile and laugher to improve psycho-physiological status.
Current review of laughter was done and grouped into three main themes: (1) medical aspect of laughter, (2) laughter as one of the alternative medicine, which relieve stress, care and heal the patient and (3) the laughing therapist who enhancing laughing to the patients suffered from mental status. There are some supported paper of a connection between sense of humor and self- reported physical health. More research is required to determine interrelationships between sense of humor and well-being. This study contribute the value and significance of laughter to support people in their learning journey.
Key words: Laughter, therapist, healing environment

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(論文紹介)香りと睡眠

香りと安眠についての論文がありましたので紹介いたします。これまで例えばラベンダーの香りが安眠に良いなどと言われることがありましたが、具体的に体がどういう反応を示しているのかなどは、実験の方法などによりとらえられ方が難しい部分もありました。
被検者へのストレスを極力減らす方法で、微妙な心理的反応を見た実験の論文です。余談ですが、いびきを止めるのにカレーの臭いをかがせるという方法があるそうです。いびきの原因である気道の狭小化をもたらす胃食道逆流症が、カレーの臭いにより胃が刺激されて、一時的に改善されるのではないかと個人的な興味があります。http://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/kaori.pdf

香りと睡眠

The effect of odor inhalation during sleep
滋賀大学 教育学部 健康科学研究室
Faculty of Education, Shiga University
大平 雅子 Masako OHIRA

キーワード:睡眠(sleep)、香り(odor)、バイオマーカー(biomarker)、唾液(saliva)、
オルファクトメーター(olfactometer)

1.新たな睡眠評価指標の提案
睡眠障害による経済損失は年間 3 兆 4,700 億にものぼるという試算があるように 1),現在,睡眠に纏わる諸問題は個々人のみならず,社会・経済においても重大な関心事となっている.本来睡眠は日々の疲れを癒すものであり,脳や身体にとって必要不可欠な活動である.
しかしながら一方で,現代社会においては睡眠時間の減少や夜型生活による睡眠の質の低下が進行しており 2),睡眠が健康状態に直接的な影響を及ぼす例も相次いで報告されている 3, 4).こうした背景から,睡眠環境における「精神的な」影響・負担を正確に評価することの重要性が増してきている.
一方,人間の精神的なストレスを体内に分泌されるホルモン等の生化学物質により,客観的に(物質的に)評価する試みがなされている 5).現在最もよく用いられている精神的ストレスマーカーの指標として,コルチゾールがある.コルチゾールはアカデミックな口頭試問など,急性でかつ強い社会心理的なストレッサーに対して唾液中や血中の濃度が増加することが知られており 6),ストレスの物質的指標(ストレス・バイオマーカー)として期待されている.特に,起床後 30‐60 分に濃度が上昇する起床時コルチゾール反応(cortisol awakening response: CAR)7, 8)には慢性的なストレスとの関連も数多く報告されている 9. 10).
ストレス・バイオマーカーはコルチゾールの他にも 10種類以上研究されており,前述した睡眠環境における「精神的な」負担を評価する方法論としても期待できる.しかしながら,我々が知る限り,これまで睡眠中にこれらストレス・バイオマーカーを検証した研究は例えばSpiegel ら(2004)11)などごく僅かである.またさらに,同研究を含め,検体として血液を用いている研究は,そもそも血液採取による精神的な負担が無視できないと想像される.そこで,我々は生体試料として唾液に着目し,唾液中に分泌される標記ストレス・バイオマーカーを経時的に定量する手法を提案する.また,本研究において注目する物質は,コルチゾール,免疫グロブリン A 型(secretory Immunoglobulin A: sIgA),α アミラーゼの3 種類である.コルチゾールは CAR について数多くの知見があるが,睡眠中の唾液による定量の報告は無い.一方,sIgA と α アミラーゼも急性ストレスのマーカーとしてよく研究されているものの 12-15),やはり睡眠中の濃度変化については知られていない.
以上をまとめると,睡眠の状態(あるいは睡眠の質)を客観的に評価することは現代社会において重要な課題である.しかしながら,従前の血液採取による手法では心身にかかる負荷が大きく,とりわけ精神的な影響を正確に測定できないと想定される.これに対し, 我々は非侵襲的な方法で睡眠中の唾液を断続的に採取する方法を提案する.本研究ではこの方法を用いて,睡眠中及び睡眠前後におけるストレス・バイオマーカーの変化を経時的に捉え,睡眠様態の新たな評価手法の提案とその応用可能性について検証した.

1.1 評価方法
1.1.1 被験者
男子大学生を対象とし,本研究に関する説明と被験者として協力することの要請を行った.承諾を得られた男子大学生 10 名(22.8±1.0 歳)を被験者とした.被験者は罹患しておらず,また薬物などの処方も受けていないことを確認した.実験に際しては,被験者よりインフォームド・コンセントを得た.
なお,本実験は事前に長岡技術科学大学倫理審査委員会の承認を受けて実施された.

1.1.2 実験手続き
図1に実験の概要を示す.本研究では,各被験者に対して6時間の就寝時間中および起床後1時間にわたる唾液を採取し,唾液中の生化学物質を分析した.以下にその詳細を述べる.
本研究では被験者に午前 0 時に就床させ,午前 6 時に起床させた.ただし,就寝時間・起床時刻を統制する意図により,被験者にはあらかじめ起床時刻(午前 6 時)は知らせなかった.実験当日,被験者には 22 時までに実験室に入室してもらい,実験の説明,インフォームド・コンセント,および測定機器の装着・動作確認を行った.実験は空調管理された実験室(平均室温 22°C, 平均湿度 55%)において 1 晩(22 時~翌朝 7 時まで) に 1 人ずつ実施した.
また,被験者が午前 6 時(起床予定時刻)よりも前に 自然に覚醒してしまう可能性を低減させる意図により, 全被験者に対してそれぞれの実験実施日の 3 日前から 午前 0 時前に就床し,6 時間以上の睡眠をとるよう指示した.さらに,唾液中の生化学物質の分泌への影響を考慮し,被験者には実験実施日の前日からアルコールの摂取を禁止し,実験開始 1 時間前(21 時)より終了後 (翌日午前 7 時)まで飲食,喫煙,激しい運動を禁止した.また,被験者の就寝中はビデオカメラにより監視を行った.

1.1.3 電気生理指標
生体アンプ(BIOPAC MP150,Biopac System Inc., 米国)により,就床直前から起床後 1 時間までの被験者の心電図(Electrocardiogram:ECG)を測定した. ECG の測定電極は,左鎖骨下窩(N),右鎖骨下窩(-),及び左前脇窩線上最下肋骨(+)の 3 点に配置し(第II誘導),サンプリングレートは 500Hz とした.さらに,連続血圧測定システム(Finometer,Finapres Medical Systems B.V., オランダ)により,起床時刻 1 時間前(午前 5 時)から起床時刻 1 時間後(午前 7 時)までの血圧を測定した.

1.1.4 唾液採取方法
本研究では,カスタムメイドされたマウスピースによる吸引部とペリスタルティックポンプ(Peristaltic pump)(SJ-1211H ペリスタポンプ® 高流量タイプ,ATTO)による輸液部からなる唾液採取系を構成し,睡眠時における継続的な唾液採取を実現させた.マウスピース(NIGHT GUARD ADVANCED COMFORT, Doctor’s Co. Ltd., 米国)は実験当日に被験者が入室してから成形し,装着感を確認した.成形したマウスピースにメラ唾液持続吸引チューブ(SP-2,泉工医科工業株式会社)を固定し,シリコンチューブを介してペリスタルティックポンプに接続した(図 2).メラ唾液持続吸引チューブの先端部分はコットンで保護して長時間の採取による口腔内の鬱血を予防した.
唾液採取は,就床 10 分前,睡眠中(就床後 4 時間は30 分間隔,その後,起床前 2 時間は 20 分間隔),起床直後,20 分後,40 分後,および 60 分後の計 19 回実施した.睡眠中の唾液は上述したペリスタルティックポンプによる方法で採取し,就床前・起床後の唾液は,ストローを使って 3 分間に自然に分泌される唾液を採取した(passive drooling)16).
採取した唾液サンプルは-25°Cの冷凍庫に保存し,コルチゾールと sIgA の定量分析には酵素免疫測定法 ( Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay : ELISA ) (cortisol: High Sensitivity Salivary Cortisol Enzyme Immunoassay Kit, Salimetrics LLC , sIgA : SIgA Immunoassay Kit, Salimetrcs LLC)を用い,α アミラーゼの測定には酵素反応測定(Salivary α-Amylase Assay Kit, Salimetrics LLC)を用いた.

1.2 評価結果
1.2.1 睡眠条件統制
全被験者における実験日前 3 日間の平均睡眠時間 は 7.0±1.1 時間であり,被験者は実験日前 3 日間に与えた指示を遵守していた.全ての被験者は就床後直ぐに就寝したこと(なかなか寝つけなかったという報告は無かった),および,実験中に覚醒しなかったことを内省報告したが,これは実験の記録ビデオにおいても追認された.さらに,実験者は起床予定 時刻(午前 6 時)に被験者が睡眠状態であったことを直接確認し,その後,被験者を起床させた.

1.2.2 電気生理指標
図 3 に ECG より求めた被験者の心拍数の平均値(標準誤差)(図 3(a))および血圧の平均値(標準誤差)(図 3(b))の推移を示す.同図に眺められるように,心拍数・血圧ともに就寝中は低い値で安定的に推移し,起床直後において急激に上昇した.このことからも,本実験において中途覚醒はなく,起床の指示により覚醒したことが示された.

1.2.3 唾液中の生化学物質濃度
図 4 に唾液により定量したコルチゾール,sIgA,αアミラーゼの濃度変化(平均値±標準誤差)を示す.また,就床前,就寝中,起床後のコルチゾール, sIgA,αアミラーゼそれぞれの平均値の濃度比較を 図 5 に示す.統計処理については一元配置分散分析および Bonferroni 法による多重比較を検討した.全 ての検定について有意水準は 5%とした.

1.2.3.1. 唾液コルチゾール濃度
図 4(a)に示されるように,コルチゾールは就床前から就寝中にかけてほぼ濃度変化は認められなかった.その後,起床直後から徐々に濃度が上昇し,起床 40 分後にピークに達した.また,就床前,就寝中,起床後を比較すると,コルチゾール濃度では就床前,就寝中から,起床後にかけて濃度が有意に上昇した(p<.001)(図 5(a)).

1.2.3.2. 唾液 sIgA 濃度
図 4(b)に示されるように,sIgA は就寝後徐々に濃度が増加していき,平均値で眺めた場合,6 時間の睡眠中に就寝前の約 5 倍にまで達した.その後,起床直後に急激に濃度が減少し,起床 1 時間後までに就床前とほぼ同程度まで回復した.また,就床前,就寝中,起床後を比較すると,就床前から就寝中にかけて濃度が有意に増加し(p<.001),その後,起床とともに上昇した濃度が有意に減少した(p<.05)(図 5(b)).

1.2.3.3 唾液αアミラーゼ濃度
図 4(c)に示されるように,αアミラーゼは就寝直後に減少し,睡眠中には徐々に濃度が上昇していった.起床後は sIgA と同様に起床後 20 分までに急激に濃度が減少し,その後は安定したレベルを示した.また,就床前,就寝中,起床後を比較しても,有意な変動は認められなかった(図 5(c)).

1.2.3.4. 生化学物質間の相関
sIgAとαアミラーゼは比較的似た傾向の濃度変化を示しており,2 つの物質間には有意な正の相関が認められた(r=0.55, p<.001).一方,コルチゾールは,sIgAあるいはαアミラーゼとの間に有意な相関関係は認められなかった(sIgA:r=-0.09, p>0.05, αアミラーゼ:r=1.93, p>.05).

1.3 考察
1.3.1 睡眠中の唾液採取について
本研究では内省報告および心拍数・血圧により全被験者が就床時刻帯(あるいは,少なくとも午前 1 時から午前 6 時)において睡眠状態にあったこと,また,起床時刻に実験者の指示により覚醒したことが確認できた.また,唾液の採取においては各生化学物質の定量分析に必要充分な量の唾液が採取できた.
したがって,我々が構築した唾液採取系により,被験者を中途覚醒させることなく,当初の期待通り唾液を継続的に採取することができた.

1.3.2 唾液中の生化学物質の変動特性
1.3.2.1 就寝中の生化学物質の変動特性
本研究では睡眠時に唾液中に分泌される 3 種類の物質(コルチゾール・sIgA・α アミラーゼ)の経時変化を検証した. 過去の研究において“日中”に採取された検体の定量分析により,各物質には朝に濃度が高く夜にかけて減少するという概日変動が報告されている 7, 8, 17, 18).しかしながら,本研究結果を眺めた場合,sIgA と αアミラーゼでは既に就寝中から濃度の増加が認められ, コルチゾールでは就寝中は一定のレベルを保ち,起床後に初めて増加することが詳細に示された.したがって,コルチゾール・sIgA・α アミラーゼは一様に朝高夕低の概日変化を示すものの,就寝中には異なる分泌特性をもつことが示され,これは本研究により得られた新しい知見である.

1.3.2.2 起床時コルチゾール反応(CAR)研究の課題 と本研究の方法論
諸言に述べたように,CAR は日常的なストレス状態を反映する評価指標として注目を集めている 7, 8).過去のCAR 研究によると,コルチゾールは起床後 30~60 分の 間にその濃度が 1 日のピークを迎えることが報告されている 7, 8).本研究においても,コルチゾール濃度は起床 40 分後にピークに達し,これは先行研究の結果を支持している.ただし,これまでの CAR に関する研究は,“起床直後”からのコルチゾールを定量したものであり,睡眠中から起床後にかけての経時的変化を報告した研究はほとんどない.さらに,CAR 研究はほぼ全てが唾液を用いた研究であるが,それらの研究は多くの場合,被験者自身に自宅で起床時の唾液を採取させている.そのため,起床時刻や“起床直後”という唾液の採取時間が正確に統制されているとは言い難く,翻って起床時のCAR が観察されていない場合も散見される.実際, Michaud ら(2006)の CAR 研究ではやはり自宅で行ったセッションにおいて起床時刻が統制できていないことが示されており,実験統制上の課題として挙げられている 19).
先行研究において,唯一睡眠中のコルチゾールの経時変化を報告しているのが,Spiegel ら(2004)の研究である 11).しかしながら,同研究では起床予定時刻の前からコルチゾールの増加が認められ,ひいては起床後のCAR も明確には認めることができない.これは,実験条件における睡眠時間(より正確には「ベットに居る」時間)の設定が 8-12 時間睡眠と非常に長いため,被験者が 途中覚醒していることに由来すると考えられる.
また,何よりも同研究では 24 時間の間に 10~30 分間隔で採血を繰り返し行っており,被験者の精神的・肉体的負担は甚大であると想定され,明確な CAR が観察されなくても不思議ではない.
これに対し,本研究で用いた唾液連続採取による評価方法は被験者への負担も非常に小さく,また被験者の途中覚醒も生じない.したがって,本研究で構成した唾液採取方法は睡眠時および起床時の生化学物質の変動特性を検証する上で有用な方法であると考えられる.

1.3.2.3 生化学物質間の変動特性の比較
図 5 による物質の変化傾向及び物質間の相関分析の結果,sIgA と α アミラーゼ間には弱いながらも正の相関が認められた.また,その濃度は睡眠中から徐々に増 し,起床直後にピークを迎えるという類似した変化傾向を示した.これに対し,コルチゾールでは起床後に濃度が上昇し始めるという全く異なる変化傾向を示した.これらの生化学物質間の変動特性の差異は,それぞれの物質の分泌機序に由来しているのかもしれない.生体にストレスが負荷されると視床下部―下垂体―副腎の内分泌系(HPA 系)と視床下部で分かれて橋―延髄―脊髄―副腎髄質の自律神経系(NA 系)の 2 つの系が腑活されることが知られている 5, 20).コルチゾールはHPA 系のストレス応答ホルモンであり,ノルアドレナリン系に関連した物質である α アミラーゼ,および免疫系物質である IgA は NA 系の物質であることが知られている5, 20).したがって,これら生化学物質の経時変化はそれぞれの物質の分泌機序(HPA 系と NA 系)を反映している可能性が考えられる.ただし,この点は他の HPA 系・NA 系の生化学物質の分泌の様態も明らかにしなければならず,本稿でこれ以上の議論をすることはできない.

1.3.2.4 本研究の制約
本研究で構成した唾液採取系は,睡眠中の唾液を継続的に採取することを可能にした上,仕組みが非常に簡便であり,操作方法も容易である.これまで睡眠中の内分泌系指標の評価には,採血が必須であったが,本研究の方法を用いれば,非侵襲的な方法で生化学物質の定量が可能になり,被験者の負担も軽減し得る.ただし,一般に睡眠時の唾液分泌量は覚醒時や,刺激を与えた場合と比べて減少することが知られており,少ない唾液量を出来るだけ安定して確保が行えるように今後工夫の余地もある. また,本研究の参加者は全員が男子大学生(21~24歳)であり,唾液分析に係るコストの制約から被験者の数も小規模である(10 名),したがって,本研究を解釈するうえで,被験者選択によるサンプリングバイアスには充分注意が必要である.

2. 香りを用いた介入研究
香りの効能は,近年,心理学または生理学の分野で実証的に研究がなされ多くの知見がもたらされている. 例えば,ラベンダーは,リラックス状態の促進および副交感神経の亢進作用をもつことが知られている 21, 22).一方で,ジャスミンは抑うつ状態の改善や気分の向上を示す効果および交感神経の亢進作用をもつことが知られている 23).しかしながら,これまでの香りの生理・心理研究は,その殆どが脳・中枢神経系や自律神経に対する効果を評価したものである.これに対し,本研究で扱う内分泌系に対する生理効果を検証した研究報告は極めて少ない. 例えば,Fukuiら(2007)は,ジャコウ,またはローズの香りが急性ストレス刺激に対するコルチゾールの分泌を抑制することを報告している 24).しかしながら,香りに対する内分泌系の効果についての研究は未だ限定的であり統一的な理解はなされていない.
そこで,本研究では先行研究 25)で構築した実験系を踏襲し,ラベンダーが内分泌系に及ぼす効果を検討した.更にラベンダーと拮抗する作用を有すると想定されるジャスミンについても検証した.

2.1 評価方法
2.1.1 被験者
本研究の被験者は,実験参加への承諾が得られた男子大学生 18 名(平均年齢(標準偏差):22.0(1.2)歳, 平均 BMI(標準偏差):23.0(5.0))であった.被験者はいずれも健常者であり,薬物等の処方も受けていないことを確認した.ただし,この内 2 名は定量分析に必要な唾液量が採取できず分析から除外した. なお,本実験は事前に長岡技術科学大学倫理審査委員会の承認を受けて実施された.

2.1.2 実験手続き
本研究の概要を図 6 に示す.実験は空調管理された実験室(平均室温 24.6°C,平均湿度 51.9%)において 1 晩(23 時から翌朝 7 時まで)に 1 人ずつ実施した. 被験者の就寝時間は合計 6 時間であり,午前 0 時に就床させ,実験者が午前 6 時に被験者を起床させた.
また,被験者が午前 6 時(起床予定時刻)よりも前に自然に覚醒してしまう可能性を低減させる意図により, 全被験者に対して,実験初日の 5 日以上前から睡眠統制(1午前 0 時までに就床する,2毎日 6 時間以上の睡眠を確保する)を実施した.各被験者の睡眠統制の状況については就寝前・起床後にメールで報告させることで確認した.
さらに,唾液中の生化学物質の分泌への影響を考慮し,実験実施日の前日からアルコール摂取の禁止,実験開始 2 時間前(21 時)より終了(翌日午前 7 時)までの間の飲食・喫煙・激しい運動・入浴を禁止した.また,就寝中の被験者の様子をビデオカメラにより観察した.
2.1.3 香りの呈示条件
本研究では,香り条件としてラベンダー精油(フランス産,高砂香料工業株式会社),およびジャスミン精油(モロッコ産,高砂香料工業株式会社)を用いた.また,コントロール条件として無臭空気を用いた.精油は,それぞれ無臭溶媒のクエン酸トリエチル(Triethyl cit-rate: TEC) を用いて 10 wt%に希釈した.
香りおよび無臭空気の呈示は,マルチチャンネル・オルファクトメーター(株式会社テクニカ(東京都)設計・製作)により制御した.本研究では同装置により,被験者の鼻孔直下に設置したカニューレを用いて香りを呈示した.香りの呈示は,5 分毎に 1 回・1 分間とし,これを被験者の就寝時間(午前 0 時から 6 時)中,断続的に繰り返した(合計 72 回(同分)).実験初日は第 1 夜として解析から除外し,残りの 3 条件は順序効果に配慮した被験者内デザインにより比較した.また,各条件の実施日には,3 日以上のインターバル期間を設けた(各被験者は約 20 日間の期間に計 4 回実験を実施した).

2.1.4 電気生理指標
生体アンプ(PolymateII,ティアック株式会社)により,就床直前から起床後 1 時間までの被験者の心電図 (Electrocardiogram:ECG)を測定した. ECG の測定電極は,左鎖骨下窩(G),右鎖骨下窩(-),及び左前脇窩線上最下肋骨(+)の 3 点に配置し,サンプリングレートは 500Hz とした.

2.1.5 唾液の採取方法・分析
唾液採取は,就床 10 分前,就寝中(30 分毎・計 12回),起床後(0分,15分,30分,45分,および60 分後)の計 17 回実施した(図 1).睡眠時の継続的な唾液採取には,我々が過去の研究で独自に構築した唾液採取法を用いた 26).就床前・起床後の唾液は,ストローを使って 3 分間に自然に分泌される唾液を採取した(passive drooling 法)16).
採取した唾液は定量分析の日まで-25°Cの冷凍庫に保存した.唾液のコルチゾールの定量分析には,酵素免疫測定法(Enzyme-linked immuno-sorbent assay: ELISA ) ( High Sensitivity Salivary Cortisol Enzyme Immunoassay Kit, Salimetrics LLC., 米国)を用いた.

2.1.6 心理指標
被験者の睡眠前後の心理状態を評価するため,就床前と起床直後に日本語版 POMS 短縮版 26)に回答させた.この心理指標は, T-A: 緊 張-不 安( Tension- Anxiety),D:抑うつ-落込み(Depression-Dejection), A-H:怒り-敵意(Anger-Hostility),V:活気(Vigor), F:疲労(Fatigue),C:混乱(Confusion)の 6 つの気分尺度について,それぞれに対応する計 30 項目の質問からなる.

2.2 評価結果
2.2.1 電気生理指標
図 7 に ECG より求めた被験者の心拍数の平均値(標準誤差)の推移を示す.ただし,心拍数は個人差が大きいため,被験者・実験条件毎の心拍数の最小-最大値 を 0~1 に規格化している.また,平均値の算出区間については後述するコルチゾール定量のための唾液採取区間に準じている.同図に眺められるように,心拍数は就寝後徐々に減少していき,その後,起床直後に急激に上昇し,ピークに達した.この変動傾向は,いずれの香り条件においても同様であった.
一方,ジャスミン呈示時において,就寝後 1 時間半の心拍数(平均値)がコントロール条件よりも高い傾向が認められた(p< 0.10,Bonferroni 補正 t 検定).

2.2.2 唾液中のコルチゾール濃度
図 8 に唾液により定量したコルチゾールの濃度の平均値(標準誤差)を示す.ただし,同図はコルチゾール分泌における個人差を考慮し,被験者・実験条件毎のコルチゾール分泌の最小-最大値を 0~1 に規格化し ている.同図に示されるように,コルチゾールの分泌は就寝後徐々に濃度が増加していき,平均値で眺めた場合,6 時間の睡眠中に就寝前の 3~4 倍に達した.その後,起床直後より濃度が顕著に上昇し,起床 30~45 分後 にピークに達した.この変動傾向は,いずれの香り条件においても同様であった.
一方,各香り条件における起床直後(6:00)と起床後15 分(6:15)のコルチゾール濃度の平均値(標準偏差)を図 10 に示す.同様に,同図でも被験者毎のコルチゾール分泌を規格化した値を用いている.同図に示されるように,起床後 15 分間のコルチゾール濃度の平均値にお い て ,ラ ベン ダ ー 呈 示 時 は ジ ャ ス ミ ン ( p<0.05,Bonferroni 補正 t 検定)およびコントロール(p<0.01, 同t 検定)より有意に濃度が高かった.

2.2.3 心理指標
表 1 に就床前と起床直後に回答させた日本語版POMS 短縮版の得点(標準偏差)から,各香り条件における睡眠前後の主観的な気分の変化を示す.同表に示すとおり,疲労感(要因「F(疲労)」)において,ラベンダー呈示時はジャスミンよりも有意に疲労感が回復し(p<0.05, Bonferroni 補正 t 検定),またコントロールに対してもその傾向が認められた(p<0.10, 同 t 検定).

2.3 考察
本研究は,香りが睡眠中の内分泌系に及ぼす効果を明らかにするために,就寝中の香り呈示に対する唾液中コルチゾールの分泌を評価した.その結果,図 8 に示すように,就寝中のラベンダー呈示により(香りを呈示していない)起床後のコルチゾール分泌の増大が認められた.
もともと,コルチゾールには起床後に 1 日のピークを迎える“起床時コルチゾール反応(cortisol awak-ening response: CAR)”と呼ばれる分泌特性がある 7, 8).しかしながら,本研究で観察されたラベンダー呈示による起床後のコルチゾール分泌の増加は,次に挙げる2つの理由から,この CAR とは別の生理機序を背景とする生理効果であると考えられる.
第一に,ラベンダーの呈示によるコルチゾールの分泌への影響が起床直後~15 分に限定されていた点が挙げられる.CARはコルチゾールの濃度が起床 30~45分後に 1 日のピークに達する顕著な分泌特性である 7, 8). 本研究においても図 8 のコントロール条件で起床後 45分をピークとする CAR が確認できる.ただ同時に同図に認められる様に,本研究では香り条件間でこの CARのピーク値には差異は認められなかった.その一方で, 通常 CAR がピークを迎えるよりも“前の”時間帯-起床直後~起床後 15 分-においてコルチゾールの分泌に有意な差異が認められた(図 9 および図 8:矢印).したがって,本研究で観察された起床後のラベンダーの分泌動態は,通常の CAR の他にラベンダー自体による(起床直後の)生理効果が重畳したものであったと考えられる.
第二に,通常 CAR の増大は心理状態の悪化を示唆するが,本研究ではラベンダーの呈示によりむしろポジティブな心理状態が導かれた点が挙げられる.生体にストレスが負荷されるとコルチゾールの分泌,あるいはその起床時反応である CAR も増大することが知られている9, 10).これに対し,本研究ではラベンダーの呈示によりコルチゾールの分泌が増大した一方で(図 9),同時に疲労感(要因「F(疲労)」)の改善傾向も認められた.したがって,本研究で観察されたコルチゾールの増加は,少なくとも心理的なストレスが媒介する生理的なストレス反応ではないと考えられる.
一方,このラベンダーによるコルチゾールの分泌変化は,自律神経系が直接的に関与する生理応答であるとは考えにくい.CAR と自律神経活動の関係性については交感神経 27)あるいはその反対に副交感神経 28)との関連が報告されているものの,研究数はごく僅かであり統一的な理解も得られていない.本研究でも,ジャスミン呈示時に就寝時の心拍数低下が抑制される傾向が認められた(図 7)ものの, CAR 自体はジャスミンとコントロール条件において差異は認められなかった.その反対に,就寝中の心拍数においてコントロール条件と差が無かったラベンダーにおいて起床時のコルチゾール分泌に有意な差が認められた.つまりラベンダーで観察された起床後 15 分間のコルチゾールの増大は自律神経系を介する生理応答とは考えにくい. このことについて,本稿の中でこれ以上の考察を進めることは難しい.今後, 中枢神経系を含む統合的研究が望まれる.

3. まとめ
我々の研究により,就寝中のラベンダーの呈示により,“起床直後”から HPA 系が活性化される場合,それはむしろ起床時の生理的な覚醒を促し,心理的には疲労回復効果をもたらすのかもしれないことが示唆された.
香りには,個人の好み・感受性に依存しない一定の生理効果があることは明らかである.しかしながら,その効果がポジティブなものであるのか,ネガティブなものであるのかという議論は尚早である.これまでの研究では, 香りの定量的な呈示方法が確立しておらず,再現性に大きな問題がある.呈示方法のばらつきには,呈示手段 (例えば,試香紙,ディフューザー,精油を直接嗅ぐ)以外にも,濃度や呈示時間等多くの可変要素が含まれる.こうした背景から,ヒトの心身へもたらす影響については統一的な理解がなされていない.
さらに,評価軸の問題がある.我々は,既述したように,就寝中の体内のホルモンレベルが特定の香りによって大きく変動することを明らかにした。これらの成果は, 我々が開発した新しい方法論により明らかになったものである.この方法論を用いたことで,ホルモンを睡眠評価における新機軸として導入することが可能になり,これまで捉えることができなかった香りの影響を明らかにすることができた.したがって,今後も従来の指標に新たな指標を組み合わせた統合的な評価方法を用いることで,香りの効果をより正確に評価することが可能になる.
将来的に,香りを日常生活や医療現場の中で用いるためにも,「香り」が心身にもたらす影響については,現時点ではひとつひとつ基礎的な知見を積み上げていくことが重要である.

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(論文紹介)グリシンは安眠に効くのか

一ノ宮通りクリーン活動
仕事の関係でなかなか参加できなかったクリーン活動に、4か月ぶりで参加しました。
ちょっと早めに起きて、みんなと一緒にクリーン活動!気持ちがすがすがしくなります。

(論文紹介)グリシンは安眠に効くのか
最近安眠のためのサプリとして「グリシン」が注目されています。非必須アミノ酸であるグリシンは体内で合成されるため、基本的に不足することはありません。よってグリシンサプリを飲んでも不眠症が改善されたりはしないと思ったほうがいいです。
それを踏まえたうえで、経口摂取からの作用機序に関しての論文があったので、紹介したいと思います。
結果的にはグリシンを食べることで、脳脊髄液や脳の中のグリシンが増加し、体の表面が熱を放散することで、深部体温が低下して深い眠りが得られるというメカニズムが解明されました。グリシンを食べると、質の良い眠りが得られるとのことです。
なお、食べてから4時間後が最大効果を発揮するので、眠りにつきやすい効果というよりは、寝たときの眠りの質に影響するようです。
グリシンを多く含む食品(コラーゲンとか、エビカニなど)を食べて4時間後に寝るといいのかもしれませんし、寝る前にサプリなどで摂取して寝ると、寝ている間の作用が期待できるのかもしれません。

タイトル  アミノ酸グリシンによる睡眠改善効果の作用機序解明
著者名      河合 信宏
学位授与大学   東京大学
取得学位     博士(薬学)
学位授与番号   乙第17909号
学位授与年月日  2014-02-12

【序論】
不眠症の治療の一環として処方される睡眠導入剤は、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の薬剤であるが、これらは徐波睡眠量を減少させる。
また、運動障害・記憶障害・依存性などの有害作用を誘発し、鎮静の持越し効果や反跳性不眠等も問題となっている。
これらの有害作用を持たない新たな作用機序の睡眠導入剤、もしくは、不眠症状が重症化する前に摂取できる、安全で効果的な食品成分が求められている。
近年、我々はグリシン経口摂取によって睡眠に不満を持つヒトの睡眠が改善されることを発見した。しかし、なぜグリシン摂取により睡眠が改善するか、更には、経口摂取したグリシンがどのような体内動態を示すかも不明であった。

【本論】
① ラット睡眠妨害モデルの構築とグリシン経口投与によるラットノンレム睡眠増加作用の検証
睡眠妨害モデルを構築したラットに、水またはグリシン 2g/kg を経口投与したところ、投与0-90 分間でグリシン投与群は水投与群に比べ有意に覚醒時間が減少し、ノンレム睡眠時間が増加した。
ラットの深部体温上昇はグリシン投与群で投与20-90 分後に有意に抑制された。

② 経口投与グリシンの体内動態
オートラジオグラフィーを用いて放射性同位体標識14C グリシンをラットに尾静脈投与した際の体内および脳内分布を調べた。血中に分布したグリシンは末梢組織のみならず血液脳関門を通過した上で脳脊髄液及び一部脳実質にも移行することが示された。
ラットにグリシン 2 g/kg を経口投与し、投与後5分から24 時間までの血中・脳脊髄液中・脳実質中のグリシン濃度及び関連アミノ酸濃度の推移を観察した。
グリシンは経口投与後速やかに血中濃度が上昇し、30 分後に最大濃度を示した。
脳脊髄液中のグリシン濃度は血中と同様のタイムコースで最大濃度を示した。
脳実質内グリシン濃度は血中・脳脊髄液中に比べ緩やかな濃度推移を示し、投与4 時間後に最大濃度を示した。

③ グリシンは脳内のNMDA 受容体を介し表面血流量増加作用を示す
深部体温低下の原因は熱放散増加と仮説を立て、グリシン 2 g/kg 経口投与30-45 分後の表面血流量は水投与群に比べ有意に増加した。
更に、作用点は脳中であると仮説を立て、グリシンを脳室内投与したところ、経口投与時と同等の表面血流量の増加が認められた。

④ 免疫組織化学染色および脳内直接投与法によるグリシン作用部位の同定
中枢の睡眠関連部位は主に視床下部に集中している。
水もしくはグリシンを投与した30 分後に脳組織を摘出、固定し、c-Fos に対する免疫組織化学染色を行った。
その結果、グリシン経口投与により視交叉上核と内側視索前野中のc-Fos 発現細胞数が増加した。
グリシンの直接の作用部位は視交叉上核もしくは内側視索前野であると仮説を立て、視交叉上核にグリシンを投与した場合にのみ表面血流増加作用が認められた。
グリシンは視交叉上核のNMDAR を直接の作用点とし、内側視索前野への投射を介して表面血流量を増加させ、その結果深部体温が速やかに低下し、睡眠改善作用が発現することが示唆された。

⑤ 視交叉上核破壊によりグリシンのノンレム睡眠増加作用・深部体温低下作用は消失する
視交叉上核を熱破壊したところ、グリシンは視交叉上核を介して深部体温低下作用・睡眠改善作用を示すことが強く示唆された。

⑥ その他のグリシンの睡眠関連因子に対する影響の検討
睡眠関連物質の一つであるメラトニンに対する影響が考えられた。また、グリシン経口投与が視交叉上核内の時計遺伝子及び機能調節ペプチドのmRNA 発現に与える影響が考えられた。結果は、グリシンが視交叉上核を介して明期に深部体温低下作用・睡眠改善作用を示すことと合致している。

【総括】
食成分の一つであるアミノ酸グリシンを経口投与することにより、脳脊髄液中及び脳中のグリシン濃度が上昇することが確認された。このグリシン濃度上昇下に於いて、視交叉上核のNMDARを介する表面血流増加作用に伴う深部体温低下が起こること、その結果、ラット睡眠妨害モデルに対する睡眠改善効果が示されることが示唆された。

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(論文紹介)生活習慣病と睡眠障害

今日は、「生活習慣病と睡眠障害」といいう論文を紹介させていただきます。安眠家具で不眠症を改善させていく上で、不眠症の原因を調べていくと、身体的疾患が原因ということもあり、その身体的疾患が生活習慣病といわれるものが多いということが分かります。ストレスからの過食や、不規則な時間等、ストレスと生活習慣と食と睡眠。すべてが繋がりをもっており、悪化する要因にもなるし、逆に例えば睡眠一つでも良好にしていくことが全体の改善につながっていくことが分かります。

(第6回学術集会 2008.2)

生活習慣病と睡眠障害

筒井 末春
日本心身健康科学会 会畏
人闇怒合科学大学

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/4/2/4_2_69/_pdf

はじめに
睡眠障害の分類については今日、睡眠障害国際診断分類 (International Classification of Sleep Disorders; ICSD)に基づいて行われているが、疾患の数は多岐にわたっている。
これら睡眠障害を大別すると以下のごとく整理される。
第1は睡眠の量や質に問題のあるもので、不眠症や過眠症等が該当する。
第2は睡眠中もしくはこれに近接して生じる異常現象 (不随意運動も含む)を示すもので、レストレスレッグス症候群や各種睡眠随伴症等が含まれる。
第3は睡眠覚醒に直接影響する生体の概日リズムの異常で、概日リズム睡眠障害があげられる。
第4は身体・精神疾患に基づいて生じるものが知られている。
本稿ではこれら分類のうち第4に位置する身体疾患に基づいて生じる睡眠障害として、生活習慣病をとりあげて生活習慣病にみられる睡眠障害に関して行われている臨床的研究について概説する。

現代人の睡眠とその問題点

現代社会は24時間社会ともいわれ、人々の生活は都会ほど夜型化し就寝時刻が遅くなり、睡眠時間も短縮している。日本人全体の平均睡眠時間は約7時間といわれているが、これは40年前に比較して約1時間減少している。従って多くの人々が睡眠不足の状態で生活しているものと思われる。
また成人の約5人に1人が睡眠の問題をかかえていて、特に一般勤労者では20〜40%に不眠や睡眠の質の悪さを認めるとされている。
ところで睡眠不足は昼間の眠気や偽怠感、集中力の低下、不安など心身の症状を呈するだけでなく、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の誘因や増悪因子となり得る。
一方、高血圧や糖尿病では不眠が高率にみとめられ、不眠の原因疾患として考えられている。
また我が国で問題となっている自殺の背景にうつ病、うつ状態がひそんでいることが指摘されているなかで、これら心の病には不眠はほぼ必発とされ、今日では慢性化した不眠はうつ病発症の危険因子とされている”.

健康日本21からみた睡眠の課題”

平成12年 (2000年)から21世紀における国民健康づくり運動 (健康日本21) が推進されているが 平成15年 (2003年)3月には健康日本21に定められた睡眠に関する目標達成を促進することを目指して健康づくりのための睡眠指針が策定された。
本指針では成人を対象として睡眠の問題をとりあげ、「快適な睡眠のための7箇条」と名付けて生活習慣を改善することで、より良い睡眠が得られるように整理されている。以下にその項目を示す。
1) 快適な睡眠でいきいき健康生活
2) 睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眼のバロメーター
3) 快適な睡眠は自ら創り出す
4) 眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
5) 目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
6) 午後の眠気をやりすごす短い昼寝でリフレッシュ、昼寝をするなら午後3時前の20〜30分
7) 睡眠障害は専門家に相談
睡眠障害は体や心の病気のサインであることがある。
第1箇条では快適な睡眠で疲労回復・ストレス解消・事故防止がうたわれているが、一方睡眠に問題があると生活習慣病のリスクが上昇することも記載されている。

睡眠と食欲・耐糖能の関連

ラットを長時間断眠させると摂食量は増加するにも関わらず体重は減少して、2〜3週間後には体温調節が破綻し低体温をきたし死亡するに至る。人では健康成人を4日間連続して睡眠時間を4時間に短縮するだけで耐糖能の低下をきたす。睡眠時間の短縮は食欲や空腹感にも影響を及ぼし、それに関与する神経ペプチドとしてレプチンとグレリンがあげられる。
睡眠時間を4日間にわたり4時間に制限するだけで空腹感と食欲は1日中増加を示し、空腹のシグナルであるレプチンの減少がみとめられる。これらから短時間睡眠はレプチンの減少とグレリンの増加及び空腹感と食欲の冗進につながる可能性もあり、また睡眠不足により耐糖能も低下するため、その際睡眠不足の状態で過食におちいることがあれば高血糖を来す可能性もあるといえよう。
健常者を対象に平均睡眠時間8〜9時間から強制的に6晩にわたり睡眠時間を4時間以下にすると、睡眠不足によりインスリン拮抗ホルモンであるコルチゾール値が有意に増加し、交感神経活性亢進が認められインスリン分泌低下とは無関係に食後の血糖値の上昇が生ずることも知られている。

睡眠時間と糖尿病

Nilssonらは縦断的研究として6000人以上の中年男性を15年間にわたり追跡し、睡眠障害のあるものでは睡眠障害のないものに比較して、糖尿病発症の危険が1.5倍高まると報告している。
またGottlielらは一般人を対象とした日常の睡眠時間と糖尿病の大規模にわたる関係を検討し、睡眠時間が5時間以下の人は睡眠時間が7〜8時間の人に比較して、糖尿病発症の危険率が2.5倍に上昇するとしている。
Knutsonら(2006年)はⅡ型糖尿病を対象とした 横断的研究で、睡眠時間と睡眠の質がHbA1cの有用な予測因子であることを明らかにし、また睡眠時間と睡眠の質はⅡ型糖尿病のリスクだけでなく、その重症度にも関連性があるとしている。
本邦では川上ら(2006年)が日本人男性を対象に睡眠障害とⅡ型糖尿病の発症を8年間追跡し、睡眠障害のある人はない人に比較してⅡ型糖尿病を発症するリスクが2〜3倍高いとしている。
ここで臨床的立場から本邦において糖尿病患者における睡眠障害の実態についての最近の報告を概述する。
調査はWHO/WWPSH睡眠障害の診断と治療のためのキット (日本版)の不眠の自己評価表を用い、糖尿病患者158名とコントロール群205名について睡眠障害の実態調査が行われている。糖尿病患者ではコントロール群に比し明らかに不眠を訴える割合が2倍以上多く、患者の37%が何らかの頻回な不眠を経験しており、不眠のタイプ別では入眠困難19.5%、中途覚醒17.5%、早期覚醒18.2%で、入眠困難・早期覚醒に有意差が認められている (図1).

精尿病患者の睡眠障害とその関連因子についての検討では、HbA1cの値が上昇するにつれて入眠困難を訴える患者の頻度が段階的に増加し (図2)、糖尿病性神経障害による下肢の痛み、しびれ等の症状を有する患者で中途覚醒、早期覚醒を中心とした不眠を半数以上の高率に認めている (図3)。また糖尿病患者のうちで不眠のある者を無作為に2群に分け睡眠薬投与群と非投与群で比較したところ、投与群ではHbA1c が有意に減少し、非投与群ではむしろ増加する傾向がみられたという。

これらの成績は健常者での睡眠短縮による耐糖能低下とともに、糖尿病患者においても不眠や睡眠不足が 耐糖能に悪影響を及ぼしていると可能性も示唆されよう。
糖尿病患者の睡眠障害と関連する要因としては高血糖や神経障害以外にも不規則な生活習慣や不規則な勤務形態 (二交代ないし三交代勤務) に起因して睡眠障害があらわれることもある。
その他糖尿病の患者には、睡眠時無呼吸症候群が肥満との関連でもみられやすく、糖尿病で特に血糖コントロールの悪い例にうつ状態や不安障害が出現しやすく、これらが共存して睡眠障害を増悪したり修飾することもあり、一層の注意が必要となる。

睡眠障害と高血圧

健康成人を一晩断眠させると血圧は約10mm/Hg ほど上昇するされ、その上昇は圧受容体反射のセットポイントの変化による可能性が指摘されている。
また睡眠と血圧の関係ついて睡眠時間を残業などによる睡眠不足で平均3.6時間に限定して、血圧及び心拍数を睡眠時間が平均8時間の人と比較すると、睡眠不足の人では翌日の平均収縮期血圧、平均心拍数ともに有意に上昇するという。これらの結果は急性の断眠や睡眠不足が翌日の血圧上昇を招くということを示している。
さらに職場の定期健康診断の際のデータを利用し、睡眠障害の有無で高血圧の発症率にどの程度の差があるのかをみた前向き研究の報告がみられる。それによると入眠困難のあることで、高血圧発症の危険率は入眠困難のない人に比較して約2倍、中途覚醒では約 1.9倍に高まるとし、睡眠障害が年齢、アルコール摂取量、喫煙習慣、肥満やストレスと並んで高血圧発症の危険因子であるとしている。
このことから睡眠不足、睡眠障害はいずれも高血圧発症の危険因子である可能性が高いといえよう。

睡眠障害とうつ病

うつ病では高い頻度で睡眠障害がみとめられるが、その逆に睡眠障害からうつ病が生じる可能性についても論じられている。
米国のジョンス・ホプキンス大学医学部学生に対する長期間にわたる縦断的調査が知られ、これは1948年から1964年にかけて在籍した学生の在学中における睡眠習慣に関する調査をもとに、卒後5年おきに最長で45年間 (中央値34年) 追跡した1053名のうち、1993年時点での生存者は941名(平均年齢 62.6歳) で、101名がそれまでにうつ病の時期があり。 そのうち87名が抗うつ薬や専門的な治療を受け、さらに13名が自殺を完遂したとしている。
これに加えて詳しく解析すると、学生時代に睡眠障害もしくはストレスがかかった時の寝つきの悪さを訴えた者は、そのような訴えのなかった学生と比較して 卒業後に2倍近くうつ病に羅患したことも判明している。
これとは別に一般人口である時点で不眠を訴えた人は、そうでない人と比較して有意にうつ病になりやすいとする報告があり、それによれば7954人の一般住民を初回と1年後に面接して精神疾患の有無を調査した結果、初回と2回目ともに不眠を訴えている人は,そうでない人と比較してこの1年間に新たにうつ病に確患した比率が40倍近くに及んでいるとしている。

一方、高齢者のうつ病に関連する危険因子を一般住民を対象に検討したメタ解析によると (図4)、不眠は女性、身体障害、配偶者との死別、うつ病の既往とともに、高齢者にうつ病をもたらす明らかな危険因子であることが判明している。
日本人の一般人口を対象とした最近の疫学調査では、不眠症状のうち中途覚醒や早朝覚醒とうつ病との関連がよく知られているが、睡眠障害のパターンとして入眠困難が最も強くうつ症状と関連していることが明らかにされている。

生活習慣病と不眠の関連

ここで生活習慣病と不眠に関して本邦で最近行われた大規模調査について紹介する。
2004年12月にJR東海が有するオフィス勤務を主体とした勤労者モニターグループの会員 (年齢35〜 59歳) 7800名を対象に33項目にわたる質問を作成し、生活習慣病に関する情報や不眠に関する情報を収集し、現在の抑うつ状態に関する質問はM.I.N.I. (Mini International Neuropsychiatric Interview) を用い、睡眠の質及び昼間の眠気に関する質問項目としてピッツバーグ睡眠質問表及びエップワース眠気尺度を使用した。
解析対象は5747名、うち男性5230名、女性517名で平均年齢は43.8歳。男性44.1歳、女性41.4歳である。
過去2年間に健康診断で高血圧、高脂血症、糖尿病 (以下三疾患)のうち、少なくとも一つ以上に異常を指摘された人は2837名 (49.4%)。生活習慣病のない人は2910名 (50.6%) であった。生活習慣病の指摘を受けて通院治療しているのは721名(25.4%)、指摘を受けていながら放置しているものは2116名(74.6%) であった。
次に不眠で悩んだ経験のある群について生活習慣病の有無で比較すると (図5)、有病群で32.6%、ない群で26.2%で有病群での割合が高率であった。有病群のなかでも放置群での割合は33.3%で、治療群の 30.5%より高率でコントロール群と比較すると有意に高かった。
また三疾患で治療中の群においてもコントロール群と比較して不眠の割合が高く (6.0%) 有意差をみとめた。さらに三疾患で指摘を受け放置している群では不眠が47.3%に達し、約2人に1人の割合でみとめられた。

次にピッツバーグ睡眠質問表で5.5点以上の睡眠が障害されている人の割合は有病群で40.1%、コントロ ール群32.2%で有病群で高く、そのなかでも治療群より放置群で、また単独群よりも三疾患で治療群がより高く、特に放置群はコントロール群との間に有意差をみとめた (図6).
同時に施行したエップワース眠気尺度が11点以上の昼間の眠気が強い人の割合も同様な傾向がみられ、有病群で12.0%、コントロール群で10.3%で放置群ではいずれも有病群より昼間の眠気が高かった (図6)

生活習慣病、不眠と抑うつの関連

抑うつ状態をみとめる人の割合は、有病群で6.0% でコントロール群 (4.0%) より高かった。また治療群と放置群では治療群5.7%に対し放置群は6.1%を示し、三疾患で指摘を受け放置している場合は9.9% の高い率を示し、これはコントロール群の約25倍に相当した。
有効回答者全体で不眠経験のある人は、ない人に比較して抑うつ状態を有する割合が有意に高く、前者で 12.4%、後者は1.9%であった。
これを生活習慣病で治療中の人。生活習慣病の指摘を受け放置している人及び生活習慣病の指摘なしの人について、それぞれ不眠の経験の有無から抑うつの関連を調べると、いずれも不眠経験のある人はない人に比較して抑うつ状態を有する割合が有意に高く、特に治療群では10倍以上を示した (図7)

逆に抑うつ状態をみとめる人 (285名) は、みとめない人 (5462名) に比較して生活習慣病の有病率が高く (59.6%vs48.8%)、さらに不眠経験者の割合も高かった (73.3%vs27.3%)。また性差の面で検討すると女性勤労者は生活習慣病の有無やその治療の有無に拘わらず、男性勤労者に比較して睡眠の問題が深刻で抑うつ状態をみとめる割合も高くなる傾向がみとめられたという。

主治医とのコミュニケーション

不眠経験者 (1687名)で「かかりつけの主治医に睡眠の相談をしたことがありますか」という質問に対して「はい」と回答した人の割合は23.2%で、そのうち有病者で治療を受けている人 (220名) では 39.5%、放置している人 (704名) では20.6%と低率で、治療者と比較して有意に低率であった。
対象者 (5747名) に対してかかりつけの主治医に「眠れていますか」とたずねられた経験があるか否かについて検討すると (図8)、治療中 (721名)の人で問いかけのあったのが32.5%、放置群では23.9%で両群の間に有意差がみられ、放置群よりも有意に低率を示した。
従って生活習慣病を扱う医療機関の現場において、約7割の医師が睡眠に関する問診を実施していないわけで、今後睡眠の問題を積極的に把握する姿勢が強調されても良いものといえよう。

不眠症の対処

不眠経験者の「眠れないときの対処法」として最も多かったのは「何もしない」が43.5%で、次いで「寝酒をする」が29.5%、「医師に相談して睡眠薬を処方してもらう」が17.0%、「市販の睡眠改善薬を使用する」が7.3%であった (図9).
コントロール群及び放置群においてもほぼ同様な傾向がみとめられ、全体的に不眠への対処として主に寝酒に頼る傾向が示された。これらから不眠経験者の多くは、我が国においては自発的に医師に相談することも。また医師からも睡眠に関する問診を受けることも乏しいまま、無治療で放置するかあるいは自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く、処方薬による適切な治療を受けていない実態が明らかにされている。

ところで2002年に世界10ヶ国 (オーストリア、ベルギー、ブラジル、中国、日本、ドイツ、ポルトガル、スロバキア、南アフリカ、スペイン) で実施された国際睡眠調査をみると、不眠への対処として寝酒を選ぶ人の割合は日本が最も高く30.3%、最も低いのがオーストリアで9.8%、平均で19.4%であるとしている。我が国では一般に睡眠薬に対する依存症な どの偏見がみられ、眠れないと容易に寝酒に頼る傾向がみられ、それがかえってアルコール依存につながる場合もみられることから、不眠を放置することなく、医療機関に受診して正しく対処することが肝要といえよう。

今後の課題

これまで生活習慣病についての不眠及び抑うつとの関連からその実態を示し、生活習慣病を有する人は無い人に比較して不眠及び抑うつの割合が高く、治療群よりも放置群でその傾向が強く、逆に不眠及び抑うつの無い人よりも有る人が有意に生活習慣病率が高いことが判明した。
また不眠症経験者の多くは自ら医師に相談することも、医師から睡眠に関する問診を受けることもなく放置するか、あるいは自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く、睡眠薬による適切な治療を受けていない結果が得られている。
生活習慣病治療においては食事療法や運動療法の重要性が従来から指摘され実施されているが、生活習慣病は不眠や抑うつと密接に関連しており、食事療法。運動療法に加えて睡眠療法も1つの柱として重要であることを指摘したい。
睡眠が不足すると昼間の眠気が増しQOLが低下しやすい。さらに脳に満腹感を伝達するレプチン濃度が減少し、一方では空腹感を引き起こすグレリン濃度が増加し、その結果食欲が高まるとされている。
したがって睡眠が不足することで食事療法や運動療法にも支障をきたし、睡眠の十分な確保が生活習慣病には欠かせないと申せよう。
これらを踏まえて今後は生活習慣病における睡眠療法の効果を立証し、将来的にはその予防面にも研究が進んでいくことが期待される。心身の健康を考える際にも睡眠の問題はキーワードの一つとして捉えていくことはもちろんである。

引用•参考文献

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(論文紹介)安眠と明るさ

明るい部屋で眠ると太りやすくなるという論文もありましたが、
睡眠の質に「明るさ」がどのような影響を与えているのか、発表論文から面白いものがあるので見ていきたいと思います。概要として紹介しますので、全文はURLからご覧ください。

(論文紹介)安眠と明るさ

公益社団法人 空気調和・衛生工学会 近畿支部
平成27年10月30日(金)15時~17時
講習会「(大阪)環境工学研究会「睡眠に影響を及ぼす環境要因」」
2. タイトル:光環境と睡眠http://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/hikari.pdf
■報告者
小山恵美(京都工芸繊維大学 情報工学・人間科学系 生理環境工学研究室)
■内 容
眼球から大脳視覚領域に伝わる途中で分岐した光の信号は、総じて覚醒方向の生理作用を視覚情報処理とは無関係にもたらすことが知られている。したがって、良質な睡眠確保のために、朝は目覚めを助け、日中は覚醒維持のために光を活用し、夜には余分な覚醒作用を生じないよう不必要な光を減らし、就寝時はできるだけ暗い環境を確保することが、光環境整備の原則である。また、光の量だけでなく分光分布にも留意する必要がある。

1. はじめに
①概日リズムの規則性の確保、②日中や就床前の良好な覚醒状態の確保、③適正な睡眠環境の整備、④就床前のリラックスと睡眠への脳の準備をとりあげ、睡眠衛生の向上という観点から、光環境と睡眠について概説する。

2. 睡眠衛生と光環境
光環境をはじめとする生活環境整備や生活行動の工夫などによって睡眠衛生の向上を図る場合に、1日の時間帯を考慮に入れて、それぞれの生活時間帯に適した方法を選択することの必要性が導かれる。

3. 光が心身に及ぼす影響
日常の生活空間における「光」は、対象物の形や色を認知するために必要な「あかり」としての役割が大きい。日常の生活空間に対する適合性や満足感の向上、あるいは、暗闇に対する不安感の軽減などの心理的・精神生理的な影響を人間にもたらすと一般に考えられている。
一方、生物としてのヒトにとって、光の信号は、生物時計の調節の他、直接的な脳の覚醒作用、交感神経の亢進作用、夜間に分泌されるメラトニンの生合成を(夜間の光曝露で)抑制する作用など、総じていうと覚醒・緊張方向の生理的作用を視覚情報処理とは無関係にもたらすことが知られている。
照度と相関色温度を白色光範囲内で変化させて主観評価を比較した結果をまとめると、1940年代の古典的研究から1990年代の3波長型蛍光ランプを用いた複数の研究を通して大筋で一貫性がみられる。相関色温度が低い空間(~3000K程度)については落ち着いた暖かい雰囲気となって比較的低照度(~200 lx程度)条件が適切であるのに対し、相関色温度が高い空間(4000K程度~)については低照度では寒々とした陰気な雰囲気となるので高照度条件が適切である、という結果が示されている。
良質な睡眠確保のために睡眠と覚醒のサイクルに着目すると、1日の時間帯に応じて光環境の生活適合性が変動することが示される。すなわち、夜間は眠りに入ろうとする心身の状態を妨げないように覚醒方向の作用を弱める(受光量を減らす)必要があり、逆に昼間は覚醒維持を助けるように受光量を確保する必要がある。さらに、光環境が心理的違和感を生じないような分光分布(相関色温度)の光源を選択する必要がある。

4. 睡眠と光環境の現状問題点と解決方向性について
昼間の受光量が不足することよりも、夜間の光が過剰であることの方がより深刻な問題点と考えられ、相関色温度の高い分光分布を有する光源が夜間に使われた場合には、青色波長成分も増大することが懸念される。昼夜の覚醒と睡眠のサイクルを健康的に維持するためには、昼間はできるだけ明るくするとともに青色波長成分を白色光としてのバランスの範囲内で確保し、日没後は相関色温度の低い光環境で過ごし、さらにパラメトリック同調を成立させるために、夜間就寝前から就寝中にかけてまとまった時間の暗さを確保し、起床前には暗から明への移行部分の薄明漸増状態を作ることが重要と考えられる。

5.おわりに
眼球から大脳視覚領域に伝わる途中で分岐した光の信号は、総じて覚醒・緊張方向の生理作用を視覚情報処理とは無関係にもたらすことが知られている。したがって、睡眠衛生の向上という観点から適正な睡眠確保を考える場合に、朝は目覚めを助け、日中は覚醒維持のために光を活用し、夜には余分な覚醒作用を生じないよう不必要な光を減らし、就寝時はできるだけ暗い環境を確保することが、光環境整備の原則である。さらに、光の量や相関色温度だけでなく分光分布・光源の種類にも留意する必要がある。


安眠をもたらす夜間の照明は、明るすぎない様に照度を落とす必要があるが、色温度の高いLED照明は不向きであり、電球色や炎の色が良いと言っております。生物学的な網膜光受容器のピークや、過去主観統計などにより、感覚の裏付けを行っています。

一時期ブルーライトを遮断するメガネというのが流行ってましたね。夜間にブルーライトを浴びると、交感神経が刺激されるとかで、眠れなくなるから、夜はブルーライトを浴びないようにしようという目的だったと思いますが、皆さん昼間働いているときにパソコン画面が良くないからブルーライト眼鏡をかけるとかいう使い方してました。昼間ブルーライトを遮断して交感神経を静めちゃったら、夜眠れなくなるんじゃないかな。と不思議に見ていました。

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眠りとは何か

坂のある街
西に下る坂の上から夕空が綺麗に見えます。まだ家の明かりがともるには少し早い時間。子供たちが学校から帰ってくる頃。
活動の時間から休息の時間に切り替わるときです。

人はなぜ眠るのでしょう?
人は人生の3分の1を寝て過ごします。動物の中でも長く寝る動物は、肉食動物に多く、それだけエネルギーの高い食品を取ることで、効率がいいようです。反対に草食動物では、エネルギーが低い食品を大量にとる必要から、常に食料を求めて移動する為、短時間睡眠になるようです。ただコアラの様に草食であっても、ユーカリのように他の動物が食べない葉を独占できる関係で、一日22時間を寝て過ごし、出来るだけエネルギーを使わない戦略に出る動物もいるようです。冬眠する動物も少ない食料でエネルギーを温存する戦略ですね。
寝ることは無防備になってしまう為、種の保存という点では矛盾するようですが、エネルギーを無駄にしないで長く生きるための方法なのかもしれません。

眠っている間に体はどうなっているのでしょう?
最近の研究で、脳の活動中にアミロイドβ蛋白がたまり、睡眠中に脳脊髄液で流されて排泄されるということが分かってきました。睡眠が足りないとアミロイドβ蛋白が残り続け、アルツハイマー病の原因ともいわれています。
また、寝ている間に記憶が整理され、短期記憶が長期記憶に置き換えられる記憶の整理を行っているということも実験で確かめられています。
その他にもノンレム睡眠のレベル4で成長ホルモンが分泌され、体の修復が行われていることや、不眠状態が続くと幻覚症状が現れたり、精神に異常をきたすこともわかってきています。
寝ているのはただ体を休めるだけではなく、大きな脳の膨大な情報を処理するなど、エネルギーと時間をかけて行う重要な機能でもあるわけです。
睡眠についての研究は、それほど歴史もなくまだまだ分からないことが多いのですが、眠ることの重要性は思った以上に高いということが解明されつつあるようです。

排泄としての睡眠について「人間の3大欲求」としての睡眠ブログをご参照ください。

健康で長寿であるためには、良質の睡眠が欠かせないわけです。人生の3分の1の膨大な時間を過ごすために、よりよい睡眠環境を整えることは、人間にしかできない贅沢なのかもしれません。

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