タグ別アーカイブ: 睡眠障害

いびきと睡眠時無呼吸症候群

まだまだ暑い!夏気分は抜けなくても、季節は花や木が教えてくれます。巾着田の曼殊沙華(彼岸花)はまだ一分咲という事でしたが、少し日当たりのいいところは結構な見ごたえがあります。

いびきと睡眠時無呼吸症候群
日本の人口1億2千万人のうち、ほぼ毎日いびきをかいている人が2千万人と言われています。
男性では24%、ほぼ4人に1人。女性で10%の割合と言われています。計算するとちょっと合わないのは、成人とか年齢で区切ったときの割合かも知れません。
これが年々増えているそうです。
肥満といびきの関係は、経験的にも相関がみられると思われるでしょう。肥満の割合は、男性28.4%女性18.7%。男性は横ばい、女性はやや減少傾向のようです。
いびきの原因②の呼吸の強さの関係か、女性は肥満でも、男性に比べて呼吸があまり強くないため、いびき割合が若干低いようです。
さて、昔は「高いびきは熟睡の証拠」と言われていましたが、2012年の関越自動車道「高速ツアーバス事故」の運転手が、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と診断された事件以来、睡眠時無呼吸症候群がセンセーショナルに取り上げられるようになりました。
睡眠時無呼吸症候群患者のうち、重症患者は、300万人と推定されており、毎日いびきをかいている方の15%にも上ります。
睡眠時無呼吸患者は必ずしもいびきをかいているわけではないですが、激しいいびきと睡眠時無呼吸症候群の関係が言われるようになり、その後はいびきをかくことが犯罪のような風潮さえ起こります。
毎日いびきをかいている人が2000万人ですから、普段はあまりかかないけれど、疲れていたり、飲酒後にいびきをかいて寝ることがある方を入れると、ほとんどの方はいびきをかきます。
また、睡眠時無呼吸症候群も、1時間に5回未満程度の呼吸が止まることであれば、実は誰でも起こしている事なのです。

実はいびきや睡眠時無呼吸は、誰でも普通に起こしている現象であり、それだけでは病気でも何でもないことです。
むしろ目に見える現象であるから、それを原因として見てしまいがちで、風邪をひいて熱が出れば、風邪を治すことが必要で熱を下げることが解決ではないということです。

いびきも睡眠時無呼吸も、気道が狭くなっておこっています。気道が狭くなる原因があるのです。気道が狭くなる原因を解決すれば、いびきも睡眠時無呼吸もほとんど解決することになるのです。

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REM睡眠non-REM睡眠といびき

以前ご紹介した日本大学医学部の論文で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群のメカニズム。
この研究の調査で判明したことが、いびきや無呼吸の症状は、non-REM睡眠のステージ2,3,4では現れず、重症の睡眠時無呼吸患者でも、深いnon-REM睡眠時には静かな呼吸が確保されています。
ではいびきはどの状態でかくのか?無呼吸は?といえば、REM睡眠とnon-REM睡眠のステージ1となります。
一般の睡眠はnon-REM睡眠ステージ1から入り、徐々に2,3,4と深まり、入眠から90分でREM睡眠が20分ほど入りこれを繰り返します。また、目覚めに近いほどREM睡眠の時間が長くなります。
いびきをかく人は、寝入りばなにいびきをかき、睡眠が深まることで、いびきが消えます。そして入眠から90分弱程度でREM睡眠になり20分ほどのいびきタイムが始まるということです。

ところが、あまり激しいいびきや無呼吸では、深いステージに入れず覚醒してしまい、ステージ1か2とREM睡眠を繰り返します。
この状態になると、いびきや無呼吸で苦しいだけでなく、体や脳も休息が取れない状態となります。

ただ、いびきが激しい人も朝方になると、静かになっていきます。胃食道逆流症で胃の中のものが逆流することがいびきの原因であったものが、徐々に消化され胃の中のものがなくなるとともにいびきもおさまるということです。

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(論文)REM睡眠、non-REM睡眠の切り替えを担うニューロンの同定

安眠のための科学って、実はそれほど進んでいるわけではありません。
人がなぜ眠るのか?
なぜ夢を見るのか?
なぜいびきをかくのか?
等は実はまだすべてわかったわけではないのです。それだけに情報はばらばらだし、いびきを止めるようなサプリやツールもたくさんあります。
医者でさえ、治せるわけでもないと断りながら、手術や対処療法を進めます。
その中でも論文として発表されるものは、少なくとも何人かの被検者を科学的に調査し、仮説を立て検証するという手順を踏んでいるだけ、調査結果データについては信ぴょう性が高いとみてよいと思っています。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のレム睡眠ノンレム睡眠のプレスリリース論文をご紹介します。
レム睡眠の役割は、ノンレム睡眠の徐波の発生に寄与している。ノンレム睡眠の徐波とは、記憶の定着やシナプスの結合を強める効果があることが分かっているので、レム睡眠が阻害されると、記憶力が弱くなったりするのかもしれません。

http://www.med.wisc.edu/news-events/activity-in-the-brains-hot-zone-predicts-dreams-during-sleep/50715

これまで、夢を見るのは睡眠の状態の中でもREM睡眠(急速眼球運動)の時とされていましたが、non-REM睡眠時であっても、脳の活動状況によって夢を見ていることが確認されました。

実はこれまでもnon-REM睡眠時にも、夢を見ていることがある事はわかっていたのですが、その仕組みについてはわかっていませんでした。
夢を見ているときには、脳の中で高周波電気活動が生じるのですが、脳の後部が高周波電気活動を示す「ホットゾーン」の活動をモニタリングすることで、92%の確率で夢を見ていることが確認でき、81%の確率で夢を見ていないことが確認できたということです。

更には、夢の内容も脳の活動領域の活性を確認することで特定できることが分かりました。
言語知覚及び理解に関与する大脳皮質の領域で活動を引き起こしたときには、夢の中で会話をしていたり、人が出てくる場合には脳の顔認識をつかさどる領域が活動していたということです。

実験には46人のボランティアに256の電極で覆われたネットを着用して眠ってもらい、脳内の電気活動のモニタリングと被検者の夢の報告を比較したもので調べた結果です。

この実験は人の意識を研究する一環で、夢を見ているときは、起きて活動しているときと同じ脳の領域を使っており、夢はその人の本当の経験となっている。
「人の意識と脳領域の関係を理解する」意識の根幹をなすものが何かということの研究です。
今話題のAI研究でも意識というものを最終的に機械が持てるのかということが話題になったりします。
人間とは何かというものを研究するうえで、夢を見ることも謎を解明する糸口なのですね。

フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気ひつじの夢を見るか?」というSF(映画ブレードランナーの原作)を思い出します。

「レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンの同定により明らかにされたレム睡眠の役割」(1筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構,2理化学研究所脳科学総合研究センター 行動遺伝学技術開発チーム)

レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンの同定により明らかにされたレム睡眠の役割

目 次
要 約
はじめに
1.レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定
2.睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも同一の発生学的な起源から生じる
3.レム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うGABA作動性ニューロンの同定
4.レム睡眠はノンレム睡眠における徐波の発生に寄与する
おわりに
文 献
生命科学の教科書における関連するセクションへのリンク
著者プロフィール

要 約
哺乳類の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2つの独立したステージからなる.レム睡眠において夢をみることがよく知られているが,その役割は脳科学における最大の謎のひとつであった.また,レム睡眠とノンレム睡眠はそれぞれ特徴的な脳の活動をともなうが,そのあいだをすばやく切り替える機構についてもよくわかっていなかった.今回,筆者らは,マウスの胎生期において特定の細胞系譜を遺伝学的に標識し,生後にその神経活動を化学遺伝学的に操作するという新規のアプローチにより,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンを同定した.さらに,同じ細胞系譜から生じ隣接する位置へと移動するニューロンが睡眠から覚醒への切り替えを担うことも明らかにされた.そして,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの下流においてはたらく抑制性のニューロンも同定された.これらの発見を生かし,従来とはまったく異なる,外部からの刺激によらないレム睡眠の操作法を確立したことにより,レム睡眠には記憶の形成や脳の機能の回復において重要な神経活動とされる除波をノンレム睡眠において誘発する役割のあることが明らかにされた.この作用を介し,レム睡眠が脳の発達や学習に貢献している可能性が示唆された。

はじめに
レム睡眠およびノンレム睡眠がみられるのは鳥類や哺乳類など発達した大脳をもつ脊椎動物のみである.したがって,レム睡眠およびノンレム睡眠は脳の高等な機能にかかわると考えられてきた.レム睡眠は新生児期1) や学習の直後に多い2) ことが知られていたが,レム睡眠を強制的な覚醒により阻害する実験では刺激そのものによるストレスが生じてしまうなど,レム睡眠を有効に阻害する方法がなかったため,その具体的な役割はわかっていなかった.
また,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えの機構を解き明かそうと数多くの研究がなされてきた.これまでに,脳幹の橋被蓋野とよばれる領域がノンレム睡眠からレム睡眠への切り替えに重要であることが示唆されていたが3-5),その反対の,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えの機構についてはよくわかっていなかった.おもに用いられてきた薬理学的な実験では細胞種や厳密な領域に対する特異性を欠くこともあり,複数の研究グループにより,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えに関する異なるモデルが提唱されてきたが,いずれも決定的な証拠はなかった.
脳幹は明確な神経核の構造を欠き複雑なうえ,機能的にも多様なニューロンのあつまりである.これまでの技術では,特定の機能をもつニューロンのみを解析することは困難であった.今回,筆者らは,ニューロンの機能はその発生学的な起源とリンクするという仮説にたち,発生学的な手法と化学遺伝学的な手法とを組み合わせ,特定の細胞系譜に由来するニューロンのみを標識して操作し睡眠の制御への関与について検討した.その結果,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定に成功した.また,これらの新たに同定したニューロンの操作により,刺激に依存しない新規なレム睡眠の阻害法を確立し,レム睡眠の機能についても解析した.

1.レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンの同定
脳幹はヘテロな性質および機能をもつニューロンのあつまりであり,正確な機能の解析や評価は困難であった.そこで,発生学的な手法により特定の細胞系譜に由来するニューロンのみを標識し操作することにより,特定の機能をもつニューロンを抽出することを試みた.ここで注目した小脳菱脳唇は胎生期に一過的に現われる神経上皮で,小脳の顆粒細胞の発生学的な起源としてよく知られている.一方,近年,小脳菱脳唇の一部の細胞が大きく移動して脳幹の橋のグルタミン酸作動性ニューロンへと分化することが報告された6,7).そこで,これらの小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンが睡眠の覚醒に関与しているかどうか検討した.
これらのニューロンを特異的に操作するため,胎生期において小脳菱脳唇の神経前駆細胞を遺伝学的に標識し,出生ののち,その標識に依存してニューロンの活動の人為的な操作を可能にするような遺伝子を発現させた.具体的には,小脳菱脳唇のマーカー遺伝子であるAtoh1遺伝子のプロモーターの制御のもとでタモキシフェンに依存的なCreを発現するマウスを作製した.このマウスを,Creに依存して転写因子tTAを発現するマウスと交配し,小脳菱脳唇から脳幹の細胞が生じる胎生期10.5日目にタモキシフェンを投与した.これにより,小脳菱脳唇の神経前駆細胞およびその子孫の細胞はtTAを発現するようになる.そして,成体になったのち,人工的にデザインされたGタンパク質共役受容体DREADD-hM3DqをtTAに依存して発現するアデノ随伴ウイルスベクターを局所に注入し,これらのニューロンのみを操作することを可能にした.このDREADD-hM3DqはリガンドであるCNOを腹腔内投与することにより一過的に神経興奮をひき起こす8).
小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンは,その分布からおおまかに2つ,正中線の近くに位置するものと遠くに位置するものとに分けられた(図1).正中線に近いニューロンは外背側被蓋核から内側傍小脳脚核にかけて分布していた.一方,正中線から遠いニューロンは外側傍小脳脚核を中心に分布していた.

図1 共通の発生学的な起源に由来するニューロンによる睡眠と覚醒およびレム睡眠とノンレム睡眠の制御
胎生期に小脳菱脳唇において生じた神経前駆細胞のうち,脳幹橋の正中線の近くに移動したニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを,正中線から遠くに移動したニューロンは睡眠から覚醒への切り替えを制御する.

正中線の近くに位置するニューロンにDREADD-hM3Dqを発現させ,CNOの投与により活性化させたのち,睡眠と覚醒のサイクルを観察した.その結果,レム睡眠が強く抑制され,代わりに,ノンレム睡眠が増加した.一方,覚醒の量に影響はみられなかった.したがって,正中線の近くに位置するニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うことが判明した.
2.睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも同一の発生学的な起源から生じる
小脳菱脳唇に由来する脳幹のニューロンのうち,正中線から遠くに位置するニューロンを活性化させたところ,さきの結果とは対照的に,睡眠そのものの量が大幅に減少し覚醒が強く誘導された.ほかの研究グループから,この近辺のグルタミン酸作動性ニューロンが覚醒を促進することが報告されていたが9),同定された正中線から遠いニューロンと同一のニューロンである可能性が高いと考えられた.以上のことから,小脳菱脳唇は,レム睡眠とノンレム睡眠,覚醒と睡眠など,さまざまな脳の状態の切り替えを担うニューロンの共通の発生学的な起源であることが判明した.

3.レム睡眠からノンレム睡眠の切り替えを担うGABA作動性ニューロンの同定
正中線の近くに位置するニューロンがどのような機構によりレム睡眠を制御しているのか調べるため,その投射先を調べたところ,軸索を吻側へと伸ばし中脳深部核の背側の領域へと投射していた.この領域には古典的な薬理学的な実験からレム睡眠を抑制するニューロンの存在が示唆されていたが,どのような細胞種がかかわるかについては不明であった4,10).この領域の抑制性のGABA作動性ニューロンに注目し,DREADD-hM3Dqを発現させて神経活動を誘導したところ,正中線に近いニューロンを活性化したときと同様に,ノンレム睡眠が増加しレム睡眠が抑制された.反対に,神経活動を抑制するDREADD-hM4Diを発現させて神経活動を抑制したところ,レム睡眠が誘導された.これらの結果から,正中線の近くに位置するニューロンは,中脳深部核の背側部のGABA作動性ニューロンをつうじてレム睡眠を制御していることが強く示唆された.

4.レム睡眠はノンレム睡眠における徐波の発生に寄与する
レム睡眠の役割はほとんど不明である.これまでのレム睡眠の機能に関する研究においては,対象がレム睡眠に入るとただちに外部から刺激をくわえ,覚醒させることによりレム睡眠を強制的に終了させる方法が広く用いられてきた.しかしながら,この方法では,レム睡眠だけでなくノンレム睡眠の量も大幅に減少させてしまう点や,対象に大きなストレスがかかる点などから,その結果は解釈がむずかしく,純粋にレム睡眠が減少したためとはいえないという問題があった.一方,レム睡眠を制御する中枢に対する化学遺伝学的な操作によりレム睡眠を阻害することが可能になったことから,この新規に確立されたレム睡眠の阻害法を用いてレム睡眠の機能について検討した.
レム睡眠を阻害されたマウスにはいっけん影響はないようにみえたが,時間がたつにつれ,睡眠そのものの質に影響が現われた.具体的には,ノンレム睡眠において生じる徐波とよばれる脳の活動がしだいに低下した.徐波とは周波数4 Hz以下のゆっくりとした脳波であり,大脳皮質のニューロンの膜電位が同調してゆっくり振動することにより生じる.深いノンレム睡眠の際に生じやすく,神経の可塑性に貢献することが知られている11,12).今回のレム睡眠の阻害実験では,この徐波はしだいに減弱したが,レム睡眠の操作の効果がきれてふたたび正常なレム睡眠に入ると,その直後に,ノンレム睡眠における徐波の成分ももとのレベルに回復した.反対に,レム睡眠を人為的に増加させるとノンレム睡眠における徐波は強まった.また,レム睡眠を操作していない自然な睡眠においても,レム睡眠の長さとそれにつづくノンレム睡眠における徐波の成分とのあいだには正の相関関係があった.これらの結果をあわせて,レム睡眠がノンレム睡眠における徐波の発生に寄与していることが明らかにされた.マウスでは睡眠のあいだ頻繁に短い覚醒がみられるが,これらの覚醒については,レム睡眠のような徐波を促進する効果は確認されなかった.したがって,レム睡眠と覚醒は大脳の活動が活発となるという点においては共通するが,徐波の誘導に関しては効果が異なると考えられた.

おわりに
今回,筆者らは,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えの起こる機構,および,レム睡眠が徐波の発生に関与するというその生理的な意義の一端について明らかにした.レム睡眠が誘導する徐波には,記憶の定着を促進する効果11) やシナプスの結合を強める効果12) のあることが知られている.今回の結果をふまえると,レム睡眠が徐波の発生をつうじて記憶の定着に関与している可能性が示唆される.今後,レム睡眠の操作の可能なマウスにおいて学習能力や記憶力を検証することにより,レム睡眠が記憶や学習にどのように寄与するのかについてさらなる解明が期待される.
なお,今回の筆者らの報告とほぼ同じ時期に,米国の研究グループにより,延髄に存在するGABA作動性ニューロンが,筆者らにより同定された中脳深部核のGABA作動性ニューロンと同一と考えられるニューロンに投射し,レム睡眠を制御しているという報告が発表された13).筆者らの結果とあわせると,中脳深部核のGABA作動性ニューロンはレム睡眠からノンレム睡眠への切り替えにおいて中枢的な役割を担うことが推察される.
一方,ノンレム睡眠からレム睡眠への切り替えに関しては,どのような細胞種が重要なのか詳細は不明なままである.ネコの橋被蓋野の青斑下核という領域にアセチルコリン受容体の作動薬を注入するとレム睡眠が強く誘導されることが知られている3).このレム睡眠の誘導にかかわる青斑下核のニューロンのアイデンティティの解明は今後の重要な課題のひとつである.
また,今回の研究においては,レム睡眠からノンレム睡眠への切り替えを担うニューロンがどの神経前駆細胞に由来するのかを調べることにより,その発生学的な起源として小脳菱脳唇が同定された.興味深いことに,この小脳菱脳唇の神経前駆細胞からは,レム睡眠とノンレム睡眠との切り替えを担うニューロンだけでなく,睡眠から覚醒への切り替えを担うニューロンも生じることが判明した.この研究から,小脳菱脳唇から脳の状態の切り替えを担うスイッチとなる多様なニューロンを生じることがはじめて明らかにされた.小脳菱脳唇はレム睡眠およびノンレム睡眠のみられない硬骨魚類においても保存されており,今回の発見は,睡眠と覚醒だけの単純な脳の状態しかもたない生物から,レム睡眠やノンレム睡眠といったより複雑な脳の状態をもつ生物が進化した歴史の理解にもつながると期待される.

 

文 献
Roffwarg, H. P., Muzio, J. N. & Dement, W. C.: Ontogenetic development of the human sleep-dream cycle. Science, 152, 604-619 (1966)[PubMed]
Smith, C. & Rose, G. M.: Posttraining paradoxical sleep in rats is increased after spatial learning in the Morris water maze. Behav. Neurosci., 111, 1197-1204 (1997)[PubMed]
Vanni-Mercier, G., Sakai, K., Lin, J. S. et al.: Mapping of cholinoceptive brainstem structures responsible for the generation of paradoxical sleep in the cat. Arch. Ital. Biol., 127, 133-164 (1989)[PubMed]
Lu, J., Sherman, D., Devor, M. et al.: A putative flip-flop switch for control of REM sleep. Nature, 441, 589-594 (2006)[PubMed]
Boissard, R., Gervasoni, D., Schmidt, M. H. et al.: The rat ponto-medullary network responsible for paradoxical sleep onset and maintenance: a combined microinjection and functional neuroanatomical study. Eur. J. Neurosci., 16, 1959-1973 (2002)[PubMed]
Machold, R. & Fishell, G.: Math1 is expressed in temporally discrete pools of cerebellar rhombic-lip neural progenitors. Neuron, 48, 17-24 (2005)[PubMed]
Wang, V. Y., Rose, M. F. & Zoghbi, H. Y.: Math1 expression redefines the rhombic lip derivatives and reveals novel lineages within the brainstem and cerebellum. Neuron, 48, 31-43 (2005)[PubMed]
Armbruster, B. N., Li, X., Pausch, M. H. et al.: Evolving the lock to fit the key to create a family of G protein-coupled receptors potently activated by an inert ligand. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 5163-5168 (2007)[PubMed]
Kaur, S., Pedersen, N. P., Yokota, S. et al.: Glutamatergic signaling from the parabrachial nucleus plays a critical role in hypercapnic arousal. J. Neurosci., 33, 7627-7640 (2013)[PubMed]
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Marshall, L., Helgadottir, H., Molle, M. et al.: Boosting slow oscillations during sleep potentiates memory. Nature, 444, 610-613 (2006)[PubMed]
Chauvette, S., Seigneur, J. & Timofeev, I.: Sleep oscillations in the thalamocortical system induce long-term neuronal plasticity. Neuron, 75, 1105-1113 (2012)[PubMed]
Weber, F., Chung, S., Beier, K. T. et al.: Control of REM sleep by ventral medulla GABAergic neurons. Nature, 526, 435-438 (2015)[PubMed]

 

著者プロフィール
林 悠(Yu Hayashi)
略歴:2008年 東京大学大学院理学系研究科博士課程 修了.同年 理化学研究所脳科学総合研究センター 基礎科学特別研究員を経て,2013年より筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 助教.
研究テーマ:睡眠の意義,機構,進化.
抱負:なぜ眠るのか,なぜ夢をみるのかについて明らかにしたい.
柏木 光昭(Mitsuaki Kashiwagi)
筑波大学大学院人間総合科学研究科修士課程 在学中.
糸原 重美(Shigeyoshi Itohara)
理化学研究所脳科学総合研究センター チームリーダー.

© 2015 林 悠・柏木光昭・糸原重美 Licensed under CC 表示 2.1 日本

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(論文)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響

睡眠障害と健康との因果関係については、誰でも承知と思ってはいるものの、実際のエビデンスに基づいた資料などが体系的に示されているものがあまりなかった。
それを様々な実験結果や調査結果と関連付けて総説とした論文です。最終的なまとめも結果的には私の安眠家具につながると思いますが、一つだけ気に入らないのが、睡眠薬を医師の指導で正しく使えば安全というところですね。少なくとも日本の医師で不眠症の症状を患者の申告ではなく、検査を行ったうえで正しく処方しているほうが、圧倒的に少ない現状が正しくないと思っています。

 

https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010002.pdf

土井由利子
国立保健医療科学院統括研究官(疫学調査研究分野)
Prevalence and health impacts of sleep disorders in Japan

抄録
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある。このような流れの中で,過去10 年間を振り返って,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と睡眠障害による健康影響について,エビデンスをもとにレビューすることは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
文献レビューの結果,睡眠障害の有症率は,慢性不眠で約20%,睡眠時無呼吸症候群で3% ~ 22%,周期性四肢運動障害で2 ~ 12%, レストレスレッグス症候群で0.96 ~ 1.80%,ナルコレプシーで0.16 ~ 0.59%,睡眠相後退障害で0.13 ~ 0.40%であった。
健康影響に関するコホート研究では,死亡に対し短時間睡眠で1.3 ~ 2.4,長時間睡眠で1.4 ~ 1.6,2 型糖尿病の罹病に対し入眠困難で1.6 ~ 3.0,中途覚醒で2.2 と有意なリスク比,入眠困難と抑うつとの間で1.6 と有意なオッズ比を認めた.日本国内外のコホート研究に基づくメタアナリシス研究でも同様の結果であった。
以上より,睡眠障害へ適切に対処することが人々の健康増進やQOL の向上に大きく寄与することが示唆された。そのためには,睡眠衛生に関する健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が重要である。また,睡眠障害の中には,通常の睡眠薬では無効な難治性の神経筋疾患なども含まれており,睡眠専門医との連携など保健医療福祉における環境整備も進める必要がある。
キーワード:睡眠障害,睡眠時間,不眠,死亡,罹病

Ⅰ.はじめに
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある.このような流れの中で,過去10 年間における日本の睡眠障害の実態を明らかにし,その健康影響についてエビデンスをもとに概観することは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
そこで,本稿では,ヒトの正常睡眠と睡眠障害について概説した上で,これまでに蓄積された疫学研究の成果をもとに,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と健康影響についてレビューする。

Ⅱ.睡眠の量,質,リズム
私たちの眠り(睡眠)と目覚め(覚醒)は,体内にある生物時計による時刻依存性(サーカディアンリズム)と,時刻に依存しないで覚醒時間の長さによって量と質が決定される恒常性維持機能(ホメオスターシス)によって制御されている.以下に,ヒトの正常睡眠について簡単に解説する。

1.睡眠の量と質
夜間ヒトの睡眠中に電極を付けて終夜ポリグラフ(脳波・眼球運動・筋電位)をとると,脳波では,覚醒→ノンレム睡眠(段階1 →段階2 →段階3 →段階4)→レム睡眠を1 サイクル(約90 分)として,1 晩に3 ~ 5 サイクルを繰り返す.覚醒と浅いノンレム睡眠(段階1 と段階2)が混在する移行期を入眠過程という。浅いノンレム睡眠から,徐波睡眠(段階3 と段階4)とよばれる深いノンレム睡眠へ進み,レム睡眠(脳波↑,筋電位↓,急速眼球運動)を経て1 サイクルが終わる[1]。
Ohayon ら[2] は,5 ~ 102 歳の健常人3,577 人(5-19 歳:1,186 人,20-102 歳: 2,391 人)を対象に実施された終夜ポリグラフまたはアクチグラフから得られた睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,睡眠効率(睡眠/(睡眠+覚醒)),睡眠段階1(%),睡眠段階2( %),徐波睡眠(%),レム睡眠(%),レム睡眠潜時,中途覚醒時間)をプールし,年齢による睡眠変数への影響についてメタアナリシスを行った(図1)。
この研究によれば,年齢が進むにつれて,総睡眠時間,睡眠効率,徐波睡眠,レム睡眠,レム睡眠潜時が減少,睡眠潜時,中途覚醒時間,睡眠段階1,睡眠段階2 が増加することが認められた.年齢以外では,精神疾患,身体疾患,服薬や飲酒,睡眠時無呼吸などの睡眠障害,性別,睡眠習慣などが,睡眠変数の分布に影響を及ぼすことが確認された。

2.睡眠・覚醒リズム
ヒトの睡眠・覚醒リズム(概日リズム)の概念図を示す(図2)[3,4].生物時計の機能は,①自律性の概日リズム,②昼夜変化(明暗サイクル)への同調,③生体機能への概日リズムの伝達と発現の3 要素に分解できる.睡眠・覚醒リズムあるいは睡眠・覚醒傾向は,生物時計,恒常性維持機能,明暗サイクル(光)によって制御され,その他の要因(図2 の左上のボックス内,右のボックス内)によって影響を受ける。
生物時計自体の発する概日リズムを直接測定することはできないが,深部体温,メラトニン,ホルモン(コルチゾール,成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,プロラクチンなど)の測定値が概日リズムを示すことによって,生物時計の概日リズムを間接的に観測することができる。

Ⅲ.睡眠障害
睡眠障害に関する国際分類には,世界保健機関(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)),米国精神医学会(APA)による「精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders( DSM))」などがあるが,ここでは,米国睡眠障害連合(ASDA)が中心となってまとめた「睡眠障害国際分類(International Classifi cation of Sleep Disorders(ICSD))」を紹介する。加えて,主な睡眠障害が日本ではどのくらいの頻度でみられるのか,これまでに行われた疫学研究をもとに紹介する。

1.睡眠障害国際分類
2005 年に改訂された睡眠障害国際分類第2 版(ICSD-2)[5,6] による主要な睡眠障害(8 項目)を表1 に示す。


それぞれの睡眠障害は,さらに次のように,細分類される。
不眠症(適応障害性,精神生理性,逆説性,特発性,精神障害,不適切な睡眠衛生,行動的(小児期),薬剤・物質,内科的疾患,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),睡眠関連呼吸障害(中枢性睡眠時無呼吸症候群,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,睡眠関連低換気/ 低酸素血症症候群,その他),中枢性過眠症(ナルコレプシー,反復性,特発性,行動起因性睡眠不足症候群,内科的疾患,薬剤・物質,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),概日リズム睡眠障害(睡眠相後退型,睡眠相前進型,不規則睡眠・覚醒リズム,自由継続型,時差型,交代勤務型,内科的疾患,薬剤・物質,その他),睡眠時随伴症(ノンレム睡眠からの覚醒障害,レム睡眠関連,その他),睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群),周期性四肢運動障害,睡眠関連下肢こむらがえり,睡眠関連歯ぎしり,睡眠関連律動性運動障害,特定不能,薬剤・物質,身体疾患),孤発性の諸症状・正常範囲内の異型症状・未解決の諸問題(長時間睡眠者,短時間睡眠者,いびき,寝言,ひきつけ,ミオクローヌス),その他の睡眠障害(環境性,その他)。
いずれの睡眠障害も,疾患特異的な症状のほかに,夜間の不眠や日中の眠気といった症状を呈する。睡眠障害に応じて治療方法が異なるので,ICSD-2 に基づいて,正しく診断・分類することが肝要である。

2.睡眠障害の頻度
表2 に,それぞれの睡眠障害を有する人々がどれくらいいるのか,日本で実施された主な疫学研究の結果(有症率)を示す。

いずれも地域・職域で行われた比較的大規模なヒト集団を対象としたものであるため,その多くは,目的とする睡眠障害に適した質問紙を用いて,対象者の自己申告に基づき,睡眠障害があるかどうかの判定を行っている。
1997 年に実施された全国調査によれば,入眠困難(寝付きが悪い)や中途覚醒(夜間・早朝に目が覚める)などの不眠の症状が一時的ではなく1 ヶ月以上続く,慢性不眠の有症率は約20% と推定された[7,8].ICSD-2(2005 年)の不眠症の判定基準では[5],夜間の不眠の症状に,日中の機能障害(日中の眠気,注意力・集中力の低下など)が追記されたので,この判定基準に照らし合わせると,不眠症の有症率は,これよりも低くなるであろう。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の判定の場合には,終夜ポリグラフ検査による睡眠中の呼吸イベント(無呼吸・低呼吸/ 睡眠1 時間)の確認が必須であるが[5],疫学研究では,携帯型の簡易装置(パルスオキシメーター,鼻口呼吸センサー,気道音センサー)を用いて睡眠1 時間あたりの動脈血酸素飽和度の3%以上の低下や無呼吸・低呼吸の頻度を測定して代用している.睡眠時無呼吸症候群の有症率は,おそらく対象とした集団や測定方法の違いなどからであろう,低いものでは約3%(地域住民女性),高いものでは
約22%(職域男性)と,大きな開きがみられた[9-12]。
ナルコレプシーの有症率は0.16 ~ 0.59%[13,14],睡眠相後退障害の有症率は0.13 ~ 0.40% [15,16],レストレスレッグス症候群の有症率は0.96 ~ 1.80%[17-19] と,不眠症や睡眠時無呼吸症候群に比べると,その頻度は低い。
周期性四肢運動障害は,ノンレム睡眠期に足関節の周期的な不随意運動によって夜間の睡眠が妨げられる障害であるため,判定には終夜ポリグラフ検査が必須である[5]。
ここで報告されている周期性四肢運動障害の有症率2 ~12%[20,21] は,第3 者(ベッドパートナーやルームメイトなど)による評価(眠っている間に足のビクンとする動きがある)に基づいて判定されたものである。

Ⅳ.睡眠と健康
ここでは,睡眠時間と死亡(総死亡)や罹病(2 型糖尿病),慢性不眠と併存疾患や罹病(2 型糖尿病,うつ病)に関して,これまでに蓄積された疫学研究の成果から,現時点で明らかになっていることについて解説する。

1.睡眠時間
1)分布
2007 年に厚生労働省によって実施された2 つの実態調査(国民健康・栄養調査[22]) と労働安全衛生特別調査[23])の報告をもとに,睡眠時間の分布を示す(図3)。

無作為に抽出された全国の15 歳以上の一般住民(8,119 人)および20 歳以上の民営事業所従業員(11,440 人)ともに,6-6.9 時間を中央値・最頻値とした正規分布をしていた。睡眠時間が6 時間未満の者の割合は,15 歳以上の住民では,男性26%,女性31%,20 歳以上の従業員では,男性41%,女性45% であった.年齢階級別(図4)では40-49 歳(37%),

職種別(図5)では保安(68%),運輸(50%),営業・サービス(49%)が高い割合を示した.一般住民[24],ホワイトカラー[25],シフトワーカー[26] を対象とした先行研究では,睡眠時間が6 時間を下回ると,日中に過度の眠気を来すことが報告されている。

睡眠時間が9 時間以上の者に関しては,従業員ではみられなかったが,15 歳以上の一般住民では全体で3% であった(図3)。これを年齢階級別に見ると,70 歳以上では10% に上っていたが,70 歳未満は2% 以下であった(図4).終夜ポリグラフから客観的に得られた健常人の睡眠時間は,年齢とともに減少することが確認されている(図1)。
高齢者の場合,本人の自己申告(アンケート調査や生活時間調査など)による睡眠時間には,実際の睡眠時間(図1の総睡眠時間に相当)の他に,床の中で寝付くまでに要する時間(図1 の睡眠潜時に相当)や途中で目が覚めた時間(図1 の中途覚醒に相当)や午睡の時間が含まれている可能性がある。

2)死亡
近年,多くの疫学研究(コホート研究)により,睡眠時間が総死亡と有意な関連(U字型)を示したとする報告が相次いだ.これらのコホート研究をもとに,Gallicchio Lら[27] とCappuccio FP ら[28] は,それぞれ独自に睡眠時間と死亡に関するメタアナリシスを行った.メタアナリシスには,異質性や公表バイアスなど研究方法上の限界はあるものの,ここでは,2009 年3 月までに発表された論文をもとにCappuccio FP ら[28] が行ったメタアナリシスによる最新の知見を紹介する.この中には,日本からのコホート研究[29-33] が含まれているが,同一のコホート研究からの発表論文[32,33] は基準に合致した方が採用されている.その結果,死亡に対する相対リスク(95% 信頼区間)は,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,4時間未満と定義は異なる)で1.12(1.06-1.18),長時間睡眠(8時間以上,9-9.9 時間,9 時間以上,10 時間以上,12 時間以上と定義は異なる)で1.30(1.22-1.38)と有意に高くなっていた(表3)。

短時間睡眠と死亡との因果関係の機序については,充分に解明されているわけではないが,短時間睡眠による糖代謝および交感神経系や免疫系への影響が示唆されている。長時間睡眠と死亡との因果関係については,その機序を示唆する研究は今のところ無い。むしろ,調整しきれなかった交絡要因(潜在要因を含む)や併存疾患によるものではないかと考えられている.例えば,長時間睡眠と関連があるとされる,芳しくない健康状態,診断のついていない病気,身体活動状態の低下,抑うつ状態,良好ではない社会経済状態などである。

3)2 型糖尿病
Cappuccio FP ら[34] は,2009 年4 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,と定義は異なる)で1.28(1.03-1.60),長時間睡眠(8 時間以上9 時間以上と定義は異なる)で1.48(1.13-1.96)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から職域でのコホート研究(6,509人)[35] が含まれているが,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠,長時間睡眠,いずれにおいても有意ではなかった。

2.不眠
1)併存する症状や疾患
不眠の症状は,さまざまな心身の症状と関連しており,身体疾患や精神疾患などと併存している[5].前述のⅢ- 2で紹介した全国調査によれば,慢性不眠の症状(入眠困難や中途覚醒)と関連する心身の症状として,腰痛,心窩部痛,体重減少,頭痛,疲労,心配,いらいら,興味の喪失[36],併存疾患として,高血圧症,心疾患,糖尿病,筋骨格系疾患,胃・十二指腸潰瘍[37] が認められた。

2)2 型糖尿病
前述したCappuccio FP ら[34] による,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスでは,2 型糖尿病の罹病に対する不眠の症状の相対リスクは,入眠困難で1.57(1.25-1.97),中途覚醒で1.84(1.39-2.43)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から,前述の職域でのコホート研究[35] と地域でのコホート研究(2,265人)[38] が含まれている. 地域のコホート研究では, 入眠困難で2.98(1.36-6.53),中途覚醒で2.23(1.08-4.61),職域のコホート研究では入眠困難で1.62(1.01-2.59)と有意であったものの,中途覚醒では1.36(0.87-2.14)と有意差を認めることができなかった.職域のコホート研究では,睡眠時間でも有意差を認めなかったことなどを考え合わせると,理由の1 つとして,健康労働者効果などが考えられる。

3)うつ病
Baglioni C ら[39] は,2010 年2 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,主としてDSM- ⅣまたはTR に基づく不眠症とうつ病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,うつ病の罹病に対する不眠症のオッズ比(95% 信頼区間)は,2.10(1.86-2.38)であった.なお,この中には,日本からの研究は含まれていなかった。
近年,日本において,不眠の症状と抑うつの関連をみたコホート研究では,65 歳以上の地域住民3,065 人を3 年間追跡した結果,入眠困難を有する者はそうでない者に比べ抑うつを呈したオッズ比が1.59(1.01-2.50)であったと報告されている[40]。

Ⅴ.おわりに
以上,日本における睡眠障害の頻度と睡眠障害による健康影響について,解説した.夜間の睡眠障害と日中のQOL(主観的健康感の低下や仕事上・人間関係上のトラブルや事故など)の低下には有意な関連がある[41].しかしながら,睡眠が障害されても適切な対処行動が取られず,寝酒を常用する(男性37.4%,女性10.0%)などして,かえって早朝覚醒を来し充分な睡眠を維持できず悪循環に陥る[42]。
睡眠障害に適切に対処することによって,人々の健康増進やQOL の向上に,大いに貢献できるものと考えられる。
表4 に睡眠障害に対処するための指針を示した。
一人一人が睡眠衛生の面から自分に合った睡眠を確保できるよう,健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が求められている.睡眠障害の多くが,夜間の不眠の症状に日中の眠気など不眠症に共通の症状を呈するが[5],通常の睡眠薬では効果が期待できない疾患,あるいは憎悪してしまう疾患もある.この中には,難治性の神経筋疾患や神経変性疾患なども含まれている[43].症状が改善しない場合には,睡眠障害を専門とする医師による診断と治療が必要となる.保健医療福祉の諸機関と睡眠専門医療機関との連携といった環境面での整備も望まれるところである。

文献
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(論文)心理的要因が睡眠状況に及ぼす影響

「相愛大学人間発達学研究」に心理的要因と睡眠の質との関係を調査した論文がありましたので少し要約してご紹介いたします。(原文はURLから)
経験的には、悲観的な考えにいつまでもとらわれて、寝つきが悪いとか、よく眠れない等が続くと、抑うつ的な気分になるということが言われているが、科学的な検証がされていません。よってアンケート調査により統計的な検証を行ったというものです。その結果、統制の所在と私的自己意識がネガティブな反すう傾向に影響し、ネガティブな反すう傾向は睡眠傾向に影響することが検証されました。

ではその対処法の一つをかいておきます。
布団に入って目を瞑っていてもいろいろと考えてしまい、もやもやして眠れない時に頭の中の思考を止める方法です。

実は頭の中であっても思考は言葉です。
同時にいろいろとしゃべれないように、頭の中であっても同時にいろいろと思考の言葉を作り出すことはできません。
何か考えてしまうときには、頭の中で、「ンー」とか「ムーン」とかを言葉として思い浮かべると、ほかのことを考えられなくなります。

色々な宗教で瞑想するときに「ムーン」とか「オーム」等を低く発するものがありますが、邪念を払う効果があります。
まあ、オーム真理教の事件で「オーム」って言葉がイメージ悪いですが、元々はちゃんとしたものです。

実際に言葉を発する必要はなく、頭の中だけで大丈夫です。
そうするといろいろと頭の中で考えずに済むので、心を落ち着けて眠りに入りやすくなります。

 

相愛大学人間発達学研究
2010. 3. 49-56
https://www.soai.ac.jp/univ/pdf/kenkyu_h1nishisako.PDF

 

心理的要因が睡眠状況に及ぼす影響
西迫成一郎*

統制の所在、自己意識、自己開示傾向がネガティブな反すうを媒介して睡眠状況に影響することを検討するために、大学生を調査対象とし質問紙調査を行った。その結果、統制の所在と私的自己意識がネガティブな反すう傾向に影響し、ネガティブな反すう傾向は入眠時間に影響することが検証された。また,「寝付きの良さ」「起床時の気分」および「眠りの深さ」を「睡眠傾向」と設定し検討した。その結果、統制の所在と私的自己意識がネガティブな反すう傾向に影響し、ネガティブな反すう傾向は睡眠傾向に影響することが検証された。

用語
統制の所在=内的統制とは、自己の努力や能力が、物事がうまくいくために役立つという考えを意味する。それに対して、外的統制とは、物事がうまくいくかどうかを決定するのは、運や強力な他者であるという考えを意味する。得点が高いほど内的統制型。

自己意識=自己の情緒・思考・態度といった他者から観察されない自己の私的な側面への注意の向きやすさを示す私的自己意識、自己の容姿・行動など他者が観察可能な自己の公的な側面への注意の向きやすさを示す公的自己意識。公的自己意識が、ネガティブな反すうに影響する。

自己開示傾向=自分自身のことについて他者に話すことを意味するが,自己開示が精神的健康にポジティブな影響を与えることを報告する研究は多い。これについては、自己に起こったネガティブな出来事を他者に話すことで、自己への語りかけともいえるネガティブな反すうをする必要性が弱くなる可能性が考えられる。

ネガティブな反すう=ネガティブな出来事を長い間繰り返し考えること。

1. 問題

睡眠は、心身の疲労を低減し次の日の活動を可能とするだけでなく、心身の健康を左右する重要な要因である。
睡眠と心の健康に関しては、睡眠のあり方が、抑うつといった心理的傾向に影響することがこれまでも示唆されてきた。しかし、逆に、睡眠の質は、多分に心理的傾向に影響されるという側面も持つ。これに関しては、近年、睡眠傾向に影響する就寝前の認知的活動の重要性が指摘されているが、特に注目されているのが、ネガティブな出来事を長い間繰り返し考えることであるネガティブな反すうである。ネガティブな反すうは、うつ状態を引き起こす要因の一つとされてきたが、これまでの研究により、ネガティブな反すう傾向が抑うつに直接的に影響するだけでなく、ネガティブな反すう傾向から入眠時間へ、入眠時間から睡眠の質へ、睡眠の質から抑うつに影響することを検証している。このように、ネガティブな反すうは、抑うつ傾向といった心理的傾向だけでなく、睡眠状況にも影響する重要な要因である。
それでは、ネガティブな反すうを形成する要因はなんであろうか。その一つの要因として、自己注目をあげることができる。この要因を考えるにあたって有用な理論が、客体的自覚理論、その精緻化が試みられた制御理論がある。これらの理論によれば、個人の注意が、環境と自己のうち、自己に向かっている自己注目の状態では、その注意はその個人がおかれている状況においてもっとも関連度・重要度の高い側面に絞られて向けられる。そして、その注意の対象となった側面は、その個人が有する個人的信念、理想自己、または社会的規範といった適切さの基準と照合され、その側面に対しての評価が行われる。この評価の結果、注意を向けた側面が、適切さの基準に達していないという判断がなされると、適切さの基準に自己を合わさなければならないという問題の認識がその個人に起こるのである。これらの理論に従えば、ネガティブな出来事のあとに自己注目の状態になることは、ネガティブな反すうを誘発することになろう。
これに関連して、どの方向に注目が向かうかについては安定した個人的傾向があるとする研究に依拠し、自己注目およびネガティブな反すうの抑うつへの影響過程について研究を行った。自己注目についての個人差を自己意識と総称した。そして、自己意識は,自己の情緒・思考・態度といった他者から観察されない自己の私的な側面への注意の向きやすさを示す私的自己意識、自己の容姿・行動など他者が観察可能な自己の公的な側面への注意の向きやすさを示す公的自己意識、そして他者に対する動揺のしやすさを示す社会的不安より構成されるとしている。自己意識のうち、公的自己意識が、ネガティブな反すうに影響し、そしてネガティブな反すうが抑うつ傾向に影響するとしている。
ネガティブな反すうに影響する要因は自己意識以外にも考えられよう。その一つとして、統制の所在を考えてみる。統制の所在には、内的統制と外的統制がある。内的統制とは、自己の努力や能力が、物事がうまくいくために役立つという考えを意味する。それに対して、外的統制とは、物事がうまくいくかどうかを決定するのは、運や強力な他者であるという考えを意味する。すると、内的統制型の人は、ネガティブな出来事が生じても、努力すれば自ら統制することができると考えるために、その問題についてネガティブに考え続けることは少ないであろう。また、自ら統制できるとの考えは、その問題を克服しようとすることにもつながる。その努力によって、問題を後々に残すことが比較的少なくなりネガティブな反すうを減少させると予測できる。
また、ネガティブな反すうに影響することが予測される要因として、個人の自己開示の傾向を本研究の俎上にあげる。自己開示とは、自分自身のことについて他者に話すことを意味するが、自己開示が精神的健康にポジティブな影響を与えることを報告する研究は多い。しかし、その詳細な影響過程についてはまだ検討の余地があり、自己開示がネガティブな反すう傾向に影響するかどうかを検討することは意義あることであろう。これについては、自己に起こったネガティブな出来事を他者に話すことで、自己への語りかけともいえるネガティブな反すうをする必要性が弱くなる可能性が考えられる。
以上より、統制の所在がネガティブな反すうを媒介して睡眠状況に影響するモデルと、自己開示がネガティブな反すうを媒介して睡眠状況に影響するモデルを想定することができ、本研究ではこれらのモデルを検証する。また、自己意識についても、自己意識がネガティブな反すうを媒介して抑うつ傾向に影響することを検討しているが、本研究では睡眠状況に対して影響することを仮定するモデルを検討する。このように、ネガティブな反すうに影響することを予測する心理的要因を複数取り上げることによって、それぞれの要因とネガティブな反すうとの関連の程度を比較することも可能となる。

2.方法
(1)材料
各個人の睡眠状況を測定する項目、統制の所在を測定する尺度、自己意識特性を測定する尺度、自己開示傾向を測定する尺度、ネガティブな反すうを測定する尺度を用意した。
a, 各個人の睡眠状況を測定する項目:項目1は、消灯時刻の変動。項目2は,睡眠時間の変動。項目3は寝付くまでの時間(入眠時間)。項目4は寝付きの良さ。項目5は、目覚める回数。項目6は起床時の気分。項目7は眠りの深さ。
b.統制の所在を測定する尺度: 18項目より構成され、それぞれの項目に記述してある内容に自分がどの程度当てはまるかを、“そう思わない(1)”,“ややそう思わない(2)”,“ややそう思う(3)”,“そう思う(4)”の4段階で評定すること求めた。得点が高いほど内的統制型であることを示す。
c.自己意識を測定する尺度:私的自己意識に強く負荷する5項目と公的自己意識に強く負荷する5項目を用いた。
d.自己開示傾向を測定する尺度:パーソナリティ領域に属する「罪や恥の感情を抱いた経験」,「非常に腹のたつような出来事」,「ゆううつな沈んだ気分にさせる出来事」,「気に病み、心配し、恐れるような出来事」の4項目を選択した。
これらの項目を選らんだのは、ネガティブな出来事についての自己開示について測定するためであった。4項目について、友人と家族それぞれに対して、“何も語らないかうそを言う(0)”,“いちおう語る(1)”,“十分に詳しく語る(2)”の3段階で評定することを求めた。
e.ネガティブな反すうを測定する尺度:ネガティブな反すう傾向を測定する7項目、ネガティブな反すうのコントロール不可能性を測定する4項目、filler item 3項目から構成される。これら14項目の内容について、自分がどの程度あてはまるかを、“あてはまらない(1)”,“あまりあてはまらない(2)”,“どちらかというとあてはまらない(3)”,“どちらかというとあてはまる(4)”,“ややあてはまる(5)”,“あてはまる(6)”の6段階で評定することを求めた。

(2)調査対象者
調査の対象者は大阪府のS大学および京都府のR大学に通う大学生であり、記入漏れや記入ミスのあった者を除く201名(男性99名,女性102名)を分析の対象とした。平均年齢は、19.51歳(18~24歳)であった。
(3)調査時期
2009年12月に実施した。

3.結果
(1)各尺度の因子分析と信頼性係数
割愛

(2)各変数間の相関分析
Table lには、その結果および基本統計量を示した。主な結果は次のとおりである。ネガティブな反すう傾向については、統制の所在と有意な傾向の負の相関が、私的自己意識と有意な正の相関が、そして入眠時間と有意な傾向の正の相関が認められた。ネガティブな反すうのコントロール不可能性(Table lではコントロール不可能性と略記)については、統制の所在と有意な傾向の負の相関があり、また公的自己意識と有意な正の相関が見られたが、睡眠状況と関連する4変数とは有意な相関は認められなかった。

(3)構造方程式モデリングによる検討
統制の所在、2つの自己意識、および2つの自己開示のいずれかが、2つのネガティブな反すうを媒介して消灯時間の変動、睡眠時間の変動、入眠時間、目覚める回数のいずれかに影響することを仮定するパスを設定したモデルを作成し、構造方程式モデリングによる検討をおこなった。その結果、設定しうるモデルのうち、すべてのパスが有意であったモデルはなかった。そこで、有意な傾向があるものも認めることとした。すると、採用可能なモデルは、統制の所在からネガティブな反すう傾向、ネガティブな反すう傾向から入眠時間へのパスを設定したモデルと、私的自己意識からネガティブな反すう傾向、ネガティブな反すう傾向から入眠時間へのパスを設定したモデルであったが、統制の所在と私的自己意識の相関を認め、統制の所在および私的自己意識がネガティブな反すう傾向を媒介して入眠時間に影響するパスを設定したモデルをモデル1として採用した。その分析結果をFigure lに示した。

この結果から、統制の所在が内的統制型であるほどネガティブな反すう傾向が低くなり、自己の私的側面へ注意を向けやすいほどネガティブな反すう傾向が高くなること、そしてネガティブな反すう傾向が高いほど、入眠までの時間が長くなるという一連の影響過程があることが示唆された。
本研究では、さらに、Figure1のモデルの入眠時間の代わりに、睡眠傾向をあてはめたモデル2について、検討をおこなった。その結果をFigure 2に示した。

この結果は、統制の所在が内的統制型であるほどネガティブな反すう傾向が低くなり、自己の私的側面へ注意を向けやすいほどネガティブな反すう傾向が高くなること、そしてネガティブな反すう傾向が高いほど睡眠傾向がネガティブな状態になるという、一連の影響過程があることを示している。

4.考察
分析結果について、過去の研究からの知見も含めて、考察を加える。
分析結果は、統制の所在および私的自己意識が、ネガティブな反すう傾向を媒介して、入眠時間や睡眠傾向といった睡眠状況に影響することを示していた。また、私的自己意識の方が統制の所在よりもネガティブな反すう傾向への影響はやや強いことが認められた。これに対して、自己開示傾向と公的自己意識のネガティブな反すう傾向への影響は、認められなかった。また、ネガティブな反すうのコントロール不可能性は、相関分析によって統制の所在および公的自己意識と相関が認められたが、睡眠状況との関連性は本研究の分析からは認められなかった。
統制の所在については、内的統制型であるほどネガティブな反すう傾向が低くなるという結果が認められたが、これは予測されたように内的統制型の個人は生じた問題は自分の努力によって解決できると考えるために、その問題についてネガティブに考え続けることは少ないのであろう。また、実際に問題解決に向けて努力するために、問題を持ち続けることが比較的少なくネガティブな反すう傾向が低くなるものと考えられよう。内的統制型傾向が高いことについては、その心理的性質からネガティブな出来事についても、自己の努力や能力が関係していると考え、ネガティブな反すう傾向を高める可能性もある。本研究の結果からは、内的統制型傾向が高いことは、ネガティブな反すうを引きおこすのではなく、ネガティブな出来事に対しても、これから努力を尽くせば覆ると前向きに未来をとらえさせることを示している。
次に、本研究の問題点について言及するならば、その一つは、今回の研究で設定した、消灯時刻の変動、睡眠時間の変動、目覚める回数については、ネガティブな反すうの影響は見られなかったことである。消灯時刻の変動、睡眠時間の変動に関しては、その回答のなかに平均的な値から大きく離れた値が存在した。これによって、データの性質が大きく左右されてしまったことが、影響を認めることができなかった原因かもしれない。
自己開示傾向についても、想定したような影響を見いだすことはできなかった。これに関連して、Wicklund(1982)は、自己開示が自己への注意を促進するとしている。この自己注目がネガティブな反すう傾向の促進効果を有しており、想定された自己開示のネガティブな反すうの傾向の抑制効果を相殺したとも考えられよう。今後、さらに検討が必要である。また、「寝付きの良さ」、「起床時の気分」、および「眠りの深さ」を観測変数として潜在変数「睡眠傾向」を設定したが、睡眠傾向をとらえるにあたってさらに十分な観測変数を検討することも必要であろう。
本研究では、想定された影響過程の一部が認められた。ネガティブな反すうに影響する要因を今後さらに検討することが、睡眠状況の改善に貢献をもたらすであろう。さらに、睡眠状況がいかなる臨床的問題を引き起こすのかまでを含んだ研究も、心身の健康を考えるうえで今後必要であろう。

 

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疲れといびき

北朝鮮がグアムに向けてミサイルを打つ準備を進めると発表しました。
日本の上空を通過することも一応断りを入れてきたことは、なかなか本気度がうかがえます。弾頭はもちろん入れてないでしょうし、打ちますよと言ってから打つわけですから、戦争を始めるわけではなく、あくまでも実験として行うという事であれば、アメリカもなかなか簡単に報復というわけにもいかないでしょう。
ロシアや中国がどう出るかですね。

北朝鮮の指導者は、報道を見るとずいぶん太りましたね。4~50年位前であれば、先進国でもお金持ちや偉い人というのは太っているイメージでしたね。
昔のドラマで社長さんというと大概太った人のイメージでした。
しかし現在はそういう人はむしろ少数派になったのでしょうか?めったに見なくなりました。ニュース報道などでは社長さんはどなたも健康状態に気を使い、運動もきちんとして引き締まった体の方が多いように思います。

いびきというと太った人のイメージでした。最近は、太った人が少なくなってきているように感じるのですが、どうやらいびきで悩む人の数は減ってないというよりむしろ増加傾向にあるようです。

いびきの音の大きさは、①口呼吸+②呼吸の強さ+③組織の震えやすさ(喉の奥の狭さ)です。同じような生活でもいびきをかかない人は、口が開いてなければ音は聞こえ辛い+呼吸が弱ければ音が激しくならない+肥満がなく、顎も小さくなく、ノドチンコも小さいと、寝息の少し大きいくらいで済む人がいます。
この辺は体質の違いもあります。

① 口呼吸は、鼻呼吸運動やテーピングなどで癖をつけること。
② 呼吸の速さは、疲れたり、暑すぎない様にすること。
③ 組織の震えやすさの原因の一つは、気道の狭小化です。

気道の狭小化を防げばいびきはかきません。
サプリもいびき解消ツールも手術も必要ありません。

鼻呼吸や横向き寝も、根治とはいえません。
もちろんダイエットやあいうべ体操などではなく、その日から効果がある方法なので、少しづつ鍛えるような努力も必要ありません。
ちなみに無呼吸症候群も同じ理由です。
医学博士の新谷弘実の著書「病気にならない生き方」の中でも紹介されています。

気道の狭小化は、胃や食道の疲れやストレスが原因となることが多く、太っていなくてもいびきが多い原因の一つがストレスや疲れではないかと思います。
「完全いびきコントロール」を検索してください。

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不眠症の睡眠状態誤認

7月25日のブログで、「睡眠不足に対するプラシーボ効果」という記事をご紹介しました。その中で、『むしろ実際には寝不足ではないのに寝不足を訴える人への改善効果が期待できると思われます。実際に不眠症を訴える人の中には、3日くらい一睡もできない日が続くなどという人がたくさんいますが、睡眠アプリなどを使って調べてみることをお勧めします。

自分では一睡もできていないと思い込んでいても、アプリで見ると、案外眠り込んでいる時間帯があったり、いびきをかいている音が録音されたりしています。』
と書いたのですが、今から50年以上前に(1962年)遠藤四郎という日本人研究者により「神経質症性不眠の精神生理学的研究」という論文が精神神経学雑誌に掲載されていたようです。

実際に不眠症を訴える人は、眠れていないのではなく眠れていないように感じているだけということが多いようです。その訴えを基に医者が睡眠薬を処方し、睡眠薬を使ってしっかり寝ているにもかかわらず「薬が効かない。眠れない。」と訴えるのです。そして医者が薬を増やすという恐ろしいスパイラルに陥るのです。
なぜ不眠症患者はそのような時間認識のずれを起こすのでしょうか。むしろ睡眠時間は足りているので、不眠症というよりは、睡眠状態誤認症だから、睡眠薬を処方することがそもそも間違ってますね。認知行動療法が不眠症に有効なのは、正しく認識したうえでむしろ寝床にいる時間を短くすることが効果があるのも頷けます。
不眠症患者はまず自分の睡眠を客観的な尺度で測ることをまず行うべきですね。医者は患者の言葉をうのみにするのではなく、きちんと調査して薬を処方しないと医者として失格ですね。

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眠れない不安があるときの睡眠法

外国で眠れないときはひつじを数えるからと言って、日本にそのまま広げようとした人がいましたが、意味を理解しないと訳が分からなくなりますね。
羊を英語で言うと、「シープ」この言葉が、外国人にとって寝息と同じに聞こえることから、シープシープと言っていると、眠れるということです。

この方法のいいところは、シープシープと言っていると、ほかのことが考えられなくなります。
思考は言語で行うため、仕事や人間関係等様々な不安や心配事をついつい考えてしまうときは、頭の中で「まだあれもこれもしなきゃ間に合わなくなっちゃう」等ごちゃごちゃと考えてしまう事が原因で眠れなくなるということです。

心理的要因が睡眠状況に及ぼす影響

これを考えないようにするために頭の中を思考できない言葉で埋めてしまうことです。例えば、「んー」とか「ムーン」とかを頭の中で言うのです。口に出す必要はありません。目を瞑って頭の中で「んー」というだけです。
色々不安なことが浮かんできてもそっちを考えないように「んー」というようにします。
ある種の宗教の瞑想法に「オーム」とか「ムー」とかを唱えるというのがありますが、無駄な思考が入るスキを与えない方法として機能しています。

日本では宗教団体の事件で「オーム」ってあまりいい印象はないですが、あれは別の昔からある宗教をあの教団がまねただけですから、オームという言葉自体はおかしなものではないのです。念のため。

とはいえ睡眠には環境づくりも大切です。安眠家具で快適な睡眠をお勧めします。

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睡眠導入剤の危険性-4

不眠症の薬である睡眠薬や睡眠導入剤は、何らかの障害により睡眠が阻害されている症状があり、その症状の緩和に対しては、障害によって失われた機能を補填するための薬であると考えるべきです。
そのため恐ろしい副作用があっても、それ以上に眠れない苦しさが強い場合に処方されるべきお薬であると思いますが、あまりにも安易に処方されていると思います。
特に高齢者については、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなっているにもかかわらず、若い時と同じように7時間8時間眠れていないからと言って、睡眠薬を常用している方が非常に多い。
強い依存症となり、薬の強さや服用量も多くなっています。そして、睡眠薬の恐ろしい副作用である、認知機能の低下。いわゆる認知症という病気になるのではなく、認知症と同じ症状が出るわけです。薬をやめれば症状は消えるので、薬の副作用である事は間違いないと思いますが、製薬会社も医者も、睡眠薬の長期使用で認知症になるということは認めません。そのような似た症状が出るだけで、その病気になるわけではないので、間違ってはいないでしょうが、依存性が強くやめられない事と、認知症と同様の症状がでれば、結果的に認知症になっているのと変わらないわけです。
そしてやめようとしても今度は禁断症状の苦しみが、麻薬以上であれば安易に処方することがどれほど危険かということです。
睡眠薬や睡眠導入剤も、本当に眠れないときに利用する1回分とか、数日分とかで十分だし、定期的な職業などを持たない高齢者に至っては、あえてその時間に眠らなくてもよいわけです。
夜眠れないからと睡眠薬を常用している高齢者が、昼間ベッドで寝ている時間が長いというのは、単なる薬漬けでしかありません。

睡眠導入剤の副作用について、「おくすり110番」から引用させていただきます。

① バルビツール酸系睡眠薬
商品名としては、バルビタール、ラボナ等
バルビタールの副作用
【重い副作用】
依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある。
呼吸抑制..息苦しい、起床時の頭痛・頭重感。
重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。

【その他】
眠気、ボーッとする、注意力・集中力低下、頭が重い感じ、頭痛。
ふらつき、めまい感。
発疹、じんま疹、発熱。
腎臓の異常(蛋白尿など)
長期連用で効き目が悪くなる。

② ベンゾジアゼピン系睡眠薬
商品名としては、ハルシオン、デパス、レンドルミン等
ハルシオンの副作用
【重い副作用】
依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある。
精神症状..もうろう状態、異常行動、夢遊症状、興奮、取り乱す、幻覚。
一過性前向性健忘..服薬後寝るまでの出来事を覚えていない、夜中に起きたときの出来事を覚えていない、もうろう状態。
呼吸抑制・炭酸ガスナルコーシス..息苦しい、窒息感、翌朝の頭痛、頭が重い。

【その他】
眠気、ボーッとする、頭が重い感じ、頭痛。
ふらつき、めまい感、けん怠感、脱力感。
口が渇く
長期連用で効き目が悪くなる。

デパスの副作用
【重い副作用】
依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある。
刺激興奮..興奮、もうろう状態、取り乱す、かえって眠れない。
呼吸抑制..息苦しい、起床時の頭痛・頭重感。

【その他】
眠気、ボーッとする、注意力・集中力低下、頭が重い感じ
ふらつき、めまい、けん怠感、脱力、まぶたが下がる
生理不順、乳汁分泌
長期連用で効き目が悪くなる

③ 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
商品名としては、マイスリー、アモバン等
マイスリーの副作用
【重い副作用】
依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある。
精神症状..もうろう状態、異常行動、夢遊症状、興奮、取り乱す、幻覚。
一過性前向性健忘..服薬後寝るまでの出来事を覚えていない、夜中に起きたときの出来事を覚えていない、もうろう状態。
呼吸抑制・炭酸ガスナルコーシス..息苦しい、窒息感、翌朝の頭痛、頭が重い。
肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。

【その他】
眠気、ボーッとする、頭が重い感じ、頭痛。
ふらつき、めまい感、けん怠感。
口が渇く、吐き気。
発疹、かゆみ。
長期連用で効き目が悪くなる。

アモバンの副作用には、アナフィラキシーがさらに追加されます..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。

④ メラトニン受容体作動薬
商品名としては、ロゼレム。
ロゼレムの副作用
【重い副作用】
アナフィラキシー様症状..じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、息苦しい。

【その他】
めまい、頭痛、眠気、けん怠感
プロラクチン上昇(生理不順、無月経、乳汁漏出、性欲減退)

⑤ オレキシン受容体拮抗薬
商品名はベルソムラ。
ベルソムラの副作用
眠気、めまい、ふらつき、疲労感、頭痛
悪い夢、入眠時幻覚、睡眠時麻痺(金縛り)、夢遊症

番外編 一般市販睡眠薬
ジフェンヒドラミン塩酸塩
商品名はドリエル、ウット等
市販の睡眠改善薬が人気でよく売れているようですが、主成分はすべてジフェンヒドラミン塩酸塩です。抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を利用したもので、抗ヒスタミン薬で眠くならない人は全く効きません。また元から同じ成分でアレルギー薬として市販されているレスタミンコーワ錠の10倍の価格で製薬会社は大儲けというわけです。
そして、当然副作用もあります。
口の乾きや、眼圧の上昇、排尿障害等と眠気です。緑内障や、前立腺肥大、排尿障害がある方は十分な注意が必要。眠気については、睡眠改善薬ですから眠気があって当然と思われるかもしれませんが、いわゆる睡眠薬ではないため、薬効6時間に対し、睡眠時間が短い場合に、翌日の日中の眠気などとして残ることがあります。また、4日連続で使うと、眠気に対しての耐性ができ、プラシボ薬との差がなくなります。
エスエス製薬から出されているドリエルの副作用としては、眠気、悪心、頭痛、多夢、心高部痛、夢・気分不快、起床時の頭重感です。

不眠の解消には、生活リズムと睡眠環境の改善です。一時的な不眠症状を安易に薬に頼るのは、うつ症状や自殺、他害行為に至る非常に恐ろしいリスクを伴うことであるという認識が必要であると思います。

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睡眠導入剤の危険性-3

薬というものは効果があれば当然その副反応(副作用)があります。おおむね薬が強く効けばそれだけ副反応も強く出ます。

① バルビツール酸系睡眠薬
その昔、睡眠薬をたくさん飲んで自殺するというドラマがあったほど、その副反応の強さが知られており、現在はほとんど処方されず、製造も中止される睡眠薬がバルビツール酸系睡眠薬です。薬効は麻酔として使われるほど強いのですが、呼吸抑制や不整脈といった副反応があり、さらに耐性・依存性が強く飲み続ければやめられなくなるお薬です。
中枢神経の神経伝達物質として神経興奮性を低下させるのは、抑制アミノ酸のGABA受容体への結合により、薬理効果を増強するわけですが、後述するベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じ機序となります。違いとしては、バルビツール酸系は高濃度になれば、薬理効果の増強が、過剰となりすぎ呼吸や心拍へも影響を強く及ぼすことになる点です。
商品名としては、バルビタール、ラボナ等

② ベンゾジアゼピン系睡眠薬
作用機序はバルビツール酸系睡眠薬と同様、GABA受容体への結合により、鎮静作用をもちますが、バルビツールの過剰反応を起こす機序が作用しない特徴を持つため、より安全であるとされます。しかしながら、GABA抑制機能の賦活化の結果、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)、セロトニン、アセチルコリン、ドーパミンを含む脳内の興奮性神経伝達物質の出力が減少します。これらの興奮性神経伝達物質は、正常な注意力、記憶、筋緊張、協調運動、情動反応、内分泌作用、心拍数・血圧のコントロール、その他多くの機能に欠かせないものですが、これら全てがベンゾジアゼピンによって損なわれる可能性があります。GABA と結合しない他のベンゾジアゼピン受容体が、腎臓、結腸、血球、副腎皮質にも存在します。これらもまた、いくつかのベンゾジアゼピンに影響を受ける可能性があります。このような、直接的・間接的作用が、ベンゾジアゼピン服薬による周知の有害作用に関係しています。
商品名としては、ハルシオン、デパス、レンドルミン等

③ 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
非ベンゾジアゼピン系とは、ベンゾジアゼピン系の改良型の睡眠薬です。
ベンゾジアゼピン系は催眠作用(眠らせる作用)の他に筋弛緩作用(筋肉を緩めてしまう作用)があり、これによってふらつきや転倒が生じてしまうことがあります。特に高齢者はふらつきによって転倒してしまうと骨折して寝たきりになってしまう事もあり、時に問題となります。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はGABA受容体への結合のうち、筋弛緩作用への結合を少なくした改良型です。
安全性が高いため、処方される頻度も多いお薬です。耐性や依存性は生じますが、ベンゾジアゼピン系と同程度か、ベンゾジアゼピン系よりも若干少ないと言われています。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、作用時間の短いものしかありません。現時点で発売されているものは全て超短時間型になります。そのため、非ベンゾジアゼピン系は主に寝つきが悪いタイプの不眠(入眠障害)に用いられ、夜中に何度も起きてしまうタイプ(中途覚醒)にはあまり向きません。
商品名としては、マイスリー、アモバン等

④ メラトニン受容体作動薬
その名の通り、メラトニン受容体に作用する睡眠薬です。自然な生体リズムにより、脳の松果体から分泌されるホルモンであるメラトニンと結合するメラトニン受容体に作用します。
何らかの理由によりメラトニン分泌に異常が出ている場合に、メラトニンの代わりに作用し睡眠に導くため、自然な眠りであるとされます。そのため薬効が現れるのに2週間程度を要するのが難点ではありますが、高齢者はメラトニン分泌自体が減少していることが多く、ベンゾジアゼピン系睡眠薬のようなふらつきなどの副作用が少ないなど、適しているとも言えます。
商品名としては、ロゼレム。

⑤ オレキシン受容体拮抗薬
オレキシンは、脳内で覚醒に関係するホルモンであり、それを阻害すれば起きていられないというわけです。ナルコレプシーという突然眠ってしまう病気がありますが、原因はオレキシンの欠乏と言われているため、同様の機序により脳の覚醒レベルを落とし、眠りに導く薬となります。
商品名はベルソムラ。

 

番外編 一般市販睡眠薬
ジフェンヒドラミン塩酸塩
医者に掛かって睡眠薬を処方してもらうことに抵抗のある人や、一般的な睡眠薬は怖いけれど、不眠症状の自覚の有る人が、一般薬局で購入できる睡眠改善薬の主成分が、ジフェンヒドラミン塩酸塩です。
花粉症などのアレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬で、ねむけをもたらすことが知られています。

さて、いわゆる睡眠薬や睡眠導入剤と言われる薬の作用機序の説明をしましたが、基本的にどれも脳に作用する薬です。
脳の機能の一部を損傷し、それが原因で不眠症となってしまった場合の、損傷した機能を補う薬であれば、副作用があろうとも使う必要があるでしょう。それほど眠りというものの必要性が高いことは間違いがありません。

しかしながら、一時的なストレスや、睡眠環境の変化などでの不眠症に対し、脳へ直接作用する薬剤の投与が危険であることは、あまり重く見られていないようです。しかも、何年も薬を飲み続け、耐性とより強い薬や、複合、増量を繰り返すことによる依存症状は、麻薬以上とも言われます。

脳に直接作用する「覚せい剤」は一度使うだけでやめられなくなり、中毒者の禁断症状は、テレビなどでもよく取り上げられていますが、睡眠薬の離脱症状は麻薬中毒の禁断症状よりも強いと言われています。
因みに厚生労働省のホームページでは、平成28年9月14日付で、「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」を一部改正し、新たに3物質(ゾピクロン・エチゾラム・フェナゼパム)(※1)を 第三種向精神薬(※2) として指定しました。(政令の施行は 本年10月14日 )
今回の向精神薬指定により、向精神薬の総数は83物質になります。

新たに指定された 3物質のうち、2物質(ゾピクロン・エチゾラム)は、国内で医薬品(※3)として流通していますが、今般の指定に伴って規制と罰則が強化されることになります(※4、※5)。 (フェナゼパムは国内で医薬品としての流通はありませんが、国際条約上、規制対象とされたため規制しました。)

厚生労働省としては、今後、向精神薬に指定された物質が乱用されることなく適正に使用されるよう、関係機関に通知を発出し、注意喚起を行っていきます。
商品名は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬「デパス」。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬「アモバン」が対象。

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