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退院しました

8月14日の未明に救急搬送されて、昨日まで一週間入院していました。胆石が見つかりその処置の為に入院したわけですが、1週間は長すぎますね。お盆の期間を病院で過ごし、冷暖房完備食事付きという事で、景色も緑が多くてリゾート気分で過ごさせていただきました。その間ブログが途絶えたのですが、PV数にそれほどの変化も見られませんでした。

よってこれからは、毎日ではなく、新たな情報などお伝えすることがあるときにアップしていくようにしたいと思います。その空いた時間で、これまでの情報を出来るだけわかりやすい動画にしていこうかと考えております。文章を読むよりもわかりやすくなることを目指します。

(論文紹介)なぜ眠るのか細胞内カルシウム

今回ご紹介するのは、睡眠時間が決まるメカニズムについて東京大学・理化学研究所による研究の論文です。睡眠障害および睡眠障害を合併するさまざまな精神疾患・神経変性疾患(統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)の機序の解明、新規の標的遺伝子の提案に繋がることが期待されるということです。

http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20160318.pdf

なぜ私たちは眠るか
-眠りの素は細胞内カルシウム?-

1.発表者: 上田 泰己
(東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 薬理学講座 システムズ薬理学分野、教授
/理化学研究所 生命システム研究センター、細胞デザインコア長 兼任)

2.発表のポイント
◆ 新規の睡眠の理論モデルに基づいてカルシウムイオン関連経路が睡眠時間に重要であることを予測し、本予測を遺伝子改変マウスと薬理実験により世界で初めて実証した。
◆ 新規の睡眠の理論モデルに基づいて、CaMKII をはじめとするカルシウムイオン関連経路に含まれる 7 遺伝子について遺伝子を改変したマウスの睡眠時間が増減することを予測し、実験で示した。
◆ 睡眠障害および睡眠障害を合併するさまざまな精神疾患・神経変性疾患(統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)の機序の解明、新規の標的遺伝子の提案に繋がることが期待される。

3.発表概要:
ヒトをはじめとする哺乳類の睡眠時間・覚醒時間は一定に保たれていることが知られていますが、その本質的メカニズムはよくわかっていませんでした。東京大学(五神真総長)と理化学研究所(理研、松本紘理事長)は、神経細胞のコンピュータシミュレーションと動物実験を組み合わせることで、睡眠・覚醒の制御にカルシウムイオンが重要な役割を果たしていることを明らかにしました。さらに、カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII、注1)をはじめとするカルシウムイオン依存的な経路の遺伝子をノックアウトすることで、睡眠時間が恒常的に増減する複数種類の遺伝子改変マウス(睡眠障害モデルマウス)の作製に成功しました。同睡眠障害モデルマウスは、睡眠障害だけでなく睡眠障害を合併するさまざまな精神疾患や神経変性疾患(統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病など)に対する診断法や治療法の開発に繋がることが期待されます。本研究は、東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 薬理学講座 システムズ薬理学分野の上田泰己 教授 (理研 生命システム研究センター(柳田敏雄センター長)細胞デザインコア長 兼任)、東京大学医学部の多月文哉 学部学生6年生、理研 生命システム研究センターの砂川玄志郎 元研究員(研究当時、現 理研 多細胞システム形成研究センター 網膜再生医療研究開発プロジェクト研究員)、東京大学大学院医学系研究科の史蕭逸 博士課程3年生、洲崎悦生 助教(理研 客員研究員 兼務)、理研 生命システム研究センターの幸長弘子 基礎科学特別研究員、ディミトリ・ ペリン研究員(研究当時、現 理研 客員研究員)らの共同研究グループの成果です。本研究成果は、『Neuron』 3月17日オンライン版に掲載されました。

4.発表内容:
(背景)
不眠や過眠などの睡眠障害は現代社会における重大な疾患の一つであり、精神疾患や神経変性疾患の重要な合併症でもあります。睡眠障害に対する診断法、治療法の開発には、睡眠覚醒のメカニズムを理解することが必要不可欠です。

睡眠はヒトを含む多種の生物で観察される基本的な生理現象であり、睡眠を制御する因子は主にハエを用いたフォワードジェネティクス(注2)による探索で、体内時計に関係した遺伝子を中心に複数特定されてきました。しかしながら、体内時計とは別の睡眠時間を直接制御している遺伝子(睡眠時間制御因子、(注3)は未解明のままでした。表現型から遺伝子に遡るフォワードジェネティクスに基づいた睡眠時間制御因子の探索は、遺伝子と睡眠表現型の結びつけに多くの時間とコストを要します。更に、従来の睡眠測定は、脳波を取得するための電極を手術によって頭蓋骨に装着する必要があり、侵襲が大きく、多くの時間とコストが同様にかかります。近年、本研究グループは、遺伝子と表現型を直接結びつけることができるリバースジェネティクス(注4)に注目し、この手法を迅速に行うために、高速に遺伝子改変動物を作製することができる技術(トリプル CRISPR 法、注5)を開発し、さらに、高速に睡眠表現型を解析することができる手法(SSS、注6)を開発しました。
今回、本研究グループは神経細胞のコンピュータシミュレーションにより睡眠時間制御因子を絞り込み、トリプル CRISPR 法と SSS を組み合わせることで、カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテアーゼ II(CaMKII)をはじめとするカルシウムイオン関連経路が睡眠時間制御因子の役割を担うことを明らかにしました。

(研究手法と成果)
(1)コンピュータシミュレーションを用いた睡眠時間制御因子の絞り込み(図1)
睡眠時には余波とよばれる特徴的な脳波が観察されます。本研究グループは、徐波形成に必要な遺伝子を特定するために、平均場近似(注7)を施した神経細胞のコンピュータモデルを作製して解析しました。その結果、カルシウムイオンの流入に伴う神経細胞の過分極が徐波形成にきわめて重要であることが示され、その経路に含まれる、電位依存性カルシウムチャネル(注8)、NMDA 型グルタミン酸受容体(注9)、カルシウム依存性カリウムチャネル(注10)、カルシウムポンプ(注11)が徐波形成に必要な遺伝子群として予測されました。

(2)ノックアウトマウスを用いた睡眠時間制御因子の同定(図2)
(1)の予測を実証するために、本研究グループは、カルシウムイオン依存的な過分極経路に含まれる遺伝子をマウスのゲノム情報をもとにすべて同定し、トリプル CRISPR法によりそれぞれのノックアウトマウスを作製し、SSS 法を用いて睡眠の測定を行いました。その結果、Cacna1g, Cacna1h (電位依存性カルシウムチャネル)、Kcnn2, Kcnn3 (カルシウム依存性カリウムチャネル)、Camk2a, Camk2b (カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ II)ノックアウトマウスが顕著な睡眠時間の減少を示す一方で、Atp2b3 (カルシウムポンプ)ノックアウトマウスは顕著な睡眠時間の増加を示し、これらの遺伝子が睡眠時間制御因子であることが明らかとなりました。

(3)全脳イメージングを用いた神経細胞の興奮性解析(図3)
本研究グループは(1)で予測されたカルシウムイオンの流入に必要な NMDA 型グルタミン酸受容体を、薬理学的に阻害することで詳細な解析を行いました。その結果、マウスの睡眠時間が減少することを明らかにしました。さらに CUBIC(注12)を用いて、睡眠が減少したマウスの脳を透明化し、一細胞解像度で観察しました。その結果、NMDA 受容体の阻害(すなわちカルシウムイオンの流入阻害)によって、大脳皮質の神経細胞の興奮性が上昇することを示しました。

(1)~(3)の結果から、カルシウムイオンの流入に伴う神経細胞の過分極が睡眠を誘導することを世界で初めて明らかにしました。
本研究グループは、単一の遺伝子(Kcnn2, Kcnn3, Cacna1h, Cacna1g, Atp2b3, Camk2a, Camk2b)をノックアウトすることで、安定した表現型を示す睡眠障害モデルマウスを作製することに成功しました。さらに睡眠障害と精神疾患、神経変性疾患との密接な関係から、今後、これらの睡眠障害マウスをより深く研究していくことにより、精神疾患や神経変性疾患の原因解明、治療薬探索への貢献が期待されます。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構革新的先端研究開発支援事業 (AMED-CREST)の研究開発領域「生体恒常性維持・変容・破綻機構のネットワーク的理解 に基づく最適医療実現のための技術創出」(研究開発総括:永井 良三)における研究課題「睡 眠・覚醒リズムをモデルとした生体の一日の動的恒常性の解明」(研究代表者:上田 泰己) の一環で行われました。なお、本研究開発領域は、平成27年 4 月の日本医療研究開発機構の発足に伴い、国立研究開発法人科学技術振興機構から日本医療研究開発機構へと移管されています。

5.発表雑誌:
雑誌名:「NEURON」(2016年3月17日オンライン版)
論文タイトル:Involvement of Ca2+-dependent hyperpolarization in sleep duration in mammals.
著者:Fumiya Tatsuki, Genshiro A. Sunagawa, Shoi Shi, Etsuo A. Susaki, Hiroko Yukinaga, Dimitri Perrin, Kenta Sumiyama, Maki Ukai-Tadenuma, Hiroshi Fujishima, Rei-ichiro Ohno, Daisuke Tone, Koji L. Ode, Katsuhiko Matsumoto and Hiroki R. Ueda* DOI 番号:10.1016/j.neuron.2016.02.032

6.用語解説:
(注1)カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ II (CaMK2)
カルシウムイオンの流入に伴い活性化するリン酸化酵素、脳の多く存在し、記憶や学習に 重要な役割を果たすことが知られている。
(注2)フォワードジェネティクス
特定の生命現象を示す動物のゲノムの変化を詳細に調べることによって関係している遺 伝子を同定していく従来の遺伝学。
(注3)睡眠時間制御因子
遺伝子改変やノックアウトによって睡眠時間を変化させる遺伝子。
(注4)リバースジェネティクス
特定の遺伝子を改変し、生命現象がどのように変化するか観察することで遺伝子機能を解 析する手法。遺伝子から生命現象を関連付けるため、フォワードジェネティクスとは解析 法が逆向きであり、リバース(=逆方向の)ジェネティクスと呼ばれるようになった。
(注5)トリプル CRISPR 法
CRISPR 法(CRISPR/Cas 系を用いたゲノム編集技術の1つ)を改良し、3 種類のガイド RNA を用いて、1世代目で極めて高い確率(ほぼ 100%)で大量の遺伝子ノックアウトマ ウスを作製できる手法。
2016 年 1 月 8 日理化学研究所プレスリリース

『次世代型逆遺伝学による睡眠遺伝子 Nr3a の発見
-交配不要で解析も簡便かつ低コストな新しい逆遺伝学を確立-』 http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160108_1/
(注6)SSS 法
Snappy Sleep Stager 法。呼吸パターンを指標として用いることで非侵襲かつ高効率に睡 眠表現型解析を行う手法。
2016 年 1 月 8 日理化学研究所プレスリリース
『次世代型逆遺伝学による睡眠遺伝子 Nr3a の発見
-交配不要で解析も簡便かつ低コストな新しい逆遺伝学を確立-』 http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160108_1/
(注7)平均場近似
多数の要素が相互作用しているような集団を解析するために用いられる数学的な近似手法。 (注8)電位依存性カルシウムチャネル
細胞外から細胞内へカルシウムイオンを通過させるイオンチャネル。てんかんや自閉症ス ペクトラム障害との関連が知られている。
(注9)NMDA 型グルタミン酸受容体
グルタミン酸受容体の1つ。シナプスの可塑性や記憶に関連する受容体として知られる。 多くの精神依存性のある薬物(覚せい剤など)の作用部位としても知られ、NMDA 受容体の状態を乱すことで鎮静状態や興奮状態を誘導できる。
(注10)カルシウム依存性カリウムチャネル
カルシウム存在下でカリウムイオンを選択的に通過させるイオンチャネル。
(注11)カルシウムポンプ
細胞内から細胞外へカルシウムイオンを通過させるイオンチャネル。
(注12)CUBIC
Clear, Unobstructed Brain Imaging Cocktails and Computational analysis の略。
2014 年 4 月に理研の上田泰己グループディレクター、洲崎悦生 元基礎科学特別研究員(研究当時)らが発表した脳透明化と全脳イメージングのための透明化試薬(化合物の混合溶液)とコンピュータ画像解析を合わせた方法。サンプルを試薬に浸すだけの効率的で再現性の良い方法で、複数のサンプルを同等な条件で透明化することが可能。1細胞解像度の全脳蛍光イメージングと、情報科学的解析によるサンプル間のシグナル比較を実現。
2014 年 4 月 18 日理化学研究所プレスリリース 『成体の脳を透明化し 1 細胞解像度で観察する新技術を開発』 http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140418_1/

7.添付資料:

脳波が徐波を示す睡眠時は、電位依存性カルシウムチャネル、NMDA 型グルタミン酸受容体を通じてカルシウムイオンが細胞内に流入し、カルシウム依存性カリウムチャネルが開きカリウムが細胞外へ流出する。一方、覚醒時はカルシウムポンプを通じてカルシウムイオンが細胞外へ流出する。

トリプル CRISPR 法によってカルシウムイオン関連経路に含まれる 21 個の遺伝子を、それぞれノックアウトしたマウスを作製した。そのマウスに SSS を用いて睡眠解析を行ったところ、そのうちの Cacna1g, Cacna1h (電位依存性カルシウムチャネル)、Kcnn2, Kcnn3 (カルシウム依存性カリウムチャネル)、Camk2a, Camk2b (カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ II)をノックアウトしたマウスの睡眠時間が、野生型のマウスと比べて顕著に短いことが、Atp2b3 (カルシウムポンプ)をノックアウトしたマウスの睡眠時間が、野生型のマウスと比べて顕著に長いことがわかった。グラフ中の破線は野生型マウスの睡眠時間を示す。

NMDA 型グルタミン酸受容体の阻害剤を Arc-dVenus マウスへ投与したところ、神経活動の上昇(緑シグナル)が観察された。
※Arc-dVenus マウス: 神経細胞の活性化の指標である Arc 遺伝子の発現に伴い、緑色蛍光タンパ クVenus を発現する遺伝子改変マウス。

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お盆休み

いよいよお盆休みウィークに突入しましたね。大渋滞の中帰省するのも、帰ってくる人を迎え入れるのも、楽しい夏の一大イベントです。一週間くらいであっという間に過ぎてしまいますが、この時期くらいは御先祖様を静かに思うのもいいですね。

温熱環境の睡眠が自律神経に及ぼす影響ということで富山大学の論文をご紹介させていただきます。

富山は、年間を通して日本で最も湿度の高い地域の一つで、肌のきれいな美人が多いことでも有名ですね。その湿度の高さや夏場の気温の高さが、睡眠時に人体に与える影響についての研究です。

(論文紹介)温熱環境と自律神経

室温27度の設定で睡眠すると、人はどのような反応を示すのかという実験結果です。寝ているのに副交感神経活動が低下し、自律神経の乱れが生じることで、体に様々な影響が生じる可能性があるということです。「熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上)の日数が多い年ほど熱中症死亡数が多くなることが報告されている.これらのことから,熱帯夜のような不快な環境下で就寝すると,深睡眠となっても交感神経が相対的に優位となるため心血管系に対する負担が増大し,このような生体反応が就寝中の死亡に関与している可能性があると考えられる。」

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脱水症状でむくみ

今朝目が覚めたら、目を開けられないくらいに顔がむくんでいました。あまりの暑さで大量の汗をかいたことで脱水症状を起こしたのではないかと思います。そのため身体が水をため込んでいるようです。まずい、毒素が排せつできない。

さて、本日紹介する論文は睡眠と認知症の関係についてです。

(論文紹介)脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化

睡眠不足で、脳が委縮して空間が増える。筋肉のように使っているか使っていないかで増えたり減ったりするのとはメカニズムが違う気がします。眠ることによる維持できる仕組みがあるようです。

本日は高齢者の認知能力と睡眠の関係を調査した論文をご紹介させていただきます。睡眠時間の長さと、脳の萎縮変化をMRIで調査した結果、睡眠時間が短い対象者の脳萎縮が顕著にみられたという内容です。
要約をご紹介いたします。原文は以下のURLから参照願います。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4098802/

「脳構造および認知能力の睡眠持続および年齢に関連した変化」

測定と結果
参加者は2年ごとに磁気共鳴イメージングと神経心理学的評価を受けた。睡眠持続時間および質ならびに血液サンプルの主観評価を得た。ベースライン時の睡眠時間の減少の1時間ごとに、脳室の年間拡大率を0.59%(P = 0.007)、世界的認知能力の年率低下率を0.67%(P = 0.050)年齢、性別、教育、および体格指数の影響。対照的に、ベースラインにおける全身睡眠の質は、脳または認知的老化を調節しなかった。全身性炎症のマーカーである高感受性C反応性タンパク質は、ベースライン睡眠期間、脳構造、または認知能力と相関がなかった。

結論
健康な高齢者では、短い睡眠期間は年齢関連の脳萎縮および認知低下と関連している。これらの関連は、短い睡眠者間の上昇した炎症反応に関連していない。

結果
脳構造の経時変化に対するベースライン時の睡眠の影響

我々のコホートにおける全脳容積、灰白質体積、白質体積、海馬容積、総心室容積、下前頭回流容積、および上前頭回容積の縦方向変化は、報告されたものに匹敵するか、健康な高齢者の他のサンプル。

参加者は、心室拡張の割合が変化し、一部は顕著な変化を示さず、その他は最大APCが8.35%であった。心室APCの変動の約10.2%がベースライン時の睡眠持続時間によって説明された(P = 0.039)。eTIVの影響をコントロールした後、ベースライン時の睡眠持続時間の1時間ごとの減少は、脳室の年間拡張を0.55%増加させた(標準化されていない係数:B = -0.552、P = 0.013)。年齢、性別、教育、およびBMIの影響をさらに管理した後、ベースライン睡眠期間の影響は統計的に有意であった。ベースライン時の睡眠期間の1時間ごとの減少は、毎年の心室膨張率の0.59%の増加を予測した(B= -0.587、P = 0.007)。さらに、両心室の総心室容積が3SDを超える2人の参加者を除外した後でさえ、心室拡張の速度に対するベースライン睡眠持続時間の有意な寄与を見出した(B = -0.616、P = 0.005)。この睡眠期間の影響は、他の脳尺度では観察されなかった(P> 0.148)。

結論
比較的健康な高齢者であっても2 年の短い間隔であっても、自己報告されたベースライン時の短い睡眠は、より速い心室拡張を予測する。ベースラインでの短い睡眠期間の効果は、認知能力の低下を加速させる上でより多様で控えめであり、予備的とみなされるべきである。あまり健康でない高齢者の脳および認知老化を予測する上で、睡眠の持続時間がより重要な役割を果たすかどうかはまだ調査されている。

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睡眠障害の環境改善

大宮の中山道まつりとスパークカーニバルが終わり、次は日進七夕まつり。暑い時期に熱い祭りでぐだ~っとした気分をしゃっき!とさせる。いいですね!活気が出ます。

今日ご紹介の論文は睡眠障害と健康への影響。睡眠障害を引き起こす原因を一つ一つ解決していくと、安眠家具SleepLaboにつながっていきます。

総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
睡眠障害と健康との因果関係については、誰でも承知と思ってはいるものの、実際のエビデンスに基づいた資料などが体系的に示されているものがあまりなかった。
それを様々な実験結果や調査結果と関連付けて総説とした論文です。最終的なまとめも結果的には私の安眠家具につながると思いますが、一つだけ気に入らないのが、睡眠薬を医師の指導で正しく使えば安全というところですね。少なくとも日本の医師で不眠症の症状を患者の申告ではなく、検査を行ったうえで正しく処方しているほうが、圧倒的に少ない現状が正しくないと思っています。

(論文)総説:日本における睡眠障害の頻度と健康影響
https://www.niph.go.jp/journal/data/61-1/201261010002.pdf

土井由利子
国立保健医療科学院統括研究官(疫学調査研究分野)
Prevalence and health impacts of sleep disorders in Japan

抄録
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある。このような流れの中で,過去10 年間を振り返って,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と睡眠障害による健康影響について,エビデンスをもとにレビューすることは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
文献レビューの結果,睡眠障害の有症率は,慢性不眠で約20%,睡眠時無呼吸症候群で3% ~ 22%,周期性四肢運動障害で2 ~ 12%, レストレスレッグス症候群で0.96 ~ 1.80%,ナルコレプシーで0.16 ~ 0.59%,睡眠相後退障害で0.13 ~ 0.40%であった。
健康影響に関するコホート研究では,死亡に対し短時間睡眠で1.3 ~ 2.4,長時間睡眠で1.4 ~ 1.6,2 型糖尿病の罹病に対し入眠困難で1.6 ~ 3.0,中途覚醒で2.2 と有意なリスク比,入眠困難と抑うつとの間で1.6 と有意なオッズ比を認めた.日本国内外のコホート研究に基づくメタアナリシス研究でも同様の結果であった。
以上より,睡眠障害へ適切に対処することが人々の健康増進やQOL の向上に大きく寄与することが示唆された。そのためには,睡眠衛生に関する健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が重要である。また,睡眠障害の中には,通常の睡眠薬では無効な難治性の神経筋疾患なども含まれており,睡眠専門医との連携など保健医療福祉における環境整備も進める必要がある。
キーワード:睡眠障害,睡眠時間,不眠,死亡,罹病

Ⅰ.はじめに
近年,国内外の数多くの睡眠研究によって,睡眠障害が罹病のリスクを高め生命予後を悪化させるというエビデンスが積み重ねられて来た.世界的に睡眠研究が進む中,睡眠問題は取り組むべき重要課題として認識されるようになり,日本を含む各国で,国家的健康戦略の1 つとして取り上げられつつある.このような流れの中で,過去10 年間における日本の睡眠障害の実態を明らかにし,その健康影響についてエビデンスをもとに概観することは,公衆衛生上,有意義なことと考える。
そこで,本稿では,ヒトの正常睡眠と睡眠障害について概説した上で,これまでに蓄積された疫学研究の成果をもとに,日本における睡眠障害の頻度(有症率)と健康影響についてレビューする。

Ⅱ.睡眠の量,質,リズム
私たちの眠り(睡眠)と目覚め(覚醒)は,体内にある生物時計による時刻依存性(サーカディアンリズム)と,時刻に依存しないで覚醒時間の長さによって量と質が決定される恒常性維持機能(ホメオスターシス)によって制御されている.以下に,ヒトの正常睡眠について簡単に解説する。

1.睡眠の量と質
夜間ヒトの睡眠中に電極を付けて終夜ポリグラフ(脳波・眼球運動・筋電位)をとると,脳波では,覚醒→ノンレム睡眠(段階1 →段階2 →段階3 →段階4)→レム睡眠を1 サイクル(約90 分)として,1 晩に3 ~ 5 サイクルを繰り返す.覚醒と浅いノンレム睡眠(段階1 と段階2)が混在する移行期を入眠過程という。浅いノンレム睡眠から,徐波睡眠(段階3 と段階4)とよばれる深いノンレム睡眠へ進み,レム睡眠(脳波↑,筋電位↓,急速眼球運動)を経て1 サイクルが終わる[1]。
Ohayon ら[2] は,5 ~ 102 歳の健常人3,577 人(5-19 歳:1,186 人,20-102 歳: 2,391 人)を対象に実施された終夜ポリグラフまたはアクチグラフから得られた睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,睡眠効率(睡眠/(睡眠+覚醒)),睡眠段階1(%),睡眠段階2( %),徐波睡眠(%),レム睡眠(%),レム睡眠潜時,中途覚醒時間)をプールし,年齢による睡眠変数への影響についてメタアナリシスを行った(図1)。
この研究によれば,年齢が進むにつれて,総睡眠時間,睡眠効率,徐波睡眠,レム睡眠,レム睡眠潜時が減少,睡眠潜時,中途覚醒時間,睡眠段階1,睡眠段階2 が増加することが認められた.年齢以外では,精神疾患,身体疾患,服薬や飲酒,睡眠時無呼吸などの睡眠障害,性別,睡眠習慣などが,睡眠変数の分布に影響を及ぼすことが確認された。

2.睡眠・覚醒リズム
ヒトの睡眠・覚醒リズム(概日リズム)の概念図を示す(図2)[3,4].生物時計の機能は,①自律性の概日リズム,②昼夜変化(明暗サイクル)への同調,③生体機能への概日リズムの伝達と発現の3 要素に分解できる.睡眠・覚醒リズムあるいは睡眠・覚醒傾向は,生物時計,恒常性維持機能,明暗サイクル(光)によって制御され,その他の要因(図2 の左上のボックス内,右のボックス内)によって影響を受ける。
生物時計自体の発する概日リズムを直接測定することはできないが,深部体温,メラトニン,ホルモン(コルチゾール,成長ホルモン,甲状腺刺激ホルモン,プロラクチンなど)の測定値が概日リズムを示すことによって,生物時計の概日リズムを間接的に観測することができる。

Ⅲ.睡眠障害
睡眠障害に関する国際分類には,世界保健機関(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(ICD)),米国精神医学会(APA)による「精神障害の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders( DSM))」などがあるが,ここでは,米国睡眠障害連合(ASDA)が中心となってまとめた「睡眠障害国際分類(International Classifi cation of Sleep Disorders(ICSD))」を紹介する。加えて,主な睡眠障害が日本ではどのくらいの頻度でみられるのか,これまでに行われた疫学研究をもとに紹介する。

1.睡眠障害国際分類
2005 年に改訂された睡眠障害国際分類第2 版(ICSD-2)[5,6] による主要な睡眠障害(8 項目)を表1 に示す。


それぞれの睡眠障害は,さらに次のように,細分類される。
不眠症(適応障害性,精神生理性,逆説性,特発性,精神障害,不適切な睡眠衛生,行動的(小児期),薬剤・物質,内科的疾患,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),睡眠関連呼吸障害(中枢性睡眠時無呼吸症候群,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,睡眠関連低換気/ 低酸素血症症候群,その他),中枢性過眠症(ナルコレプシー,反復性,特発性,行動起因性睡眠不足症候群,内科的疾患,薬剤・物質,特定不能(非器質的),特定不能(器質的)),概日リズム睡眠障害(睡眠相後退型,睡眠相前進型,不規則睡眠・覚醒リズム,自由継続型,時差型,交代勤務型,内科的疾患,薬剤・物質,その他),睡眠時随伴症(ノンレム睡眠からの覚醒障害,レム睡眠関連,その他),睡眠関連運動障害(レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群),周期性四肢運動障害,睡眠関連下肢こむらがえり,睡眠関連歯ぎしり,睡眠関連律動性運動障害,特定不能,薬剤・物質,身体疾患),孤発性の諸症状・正常範囲内の異型症状・未解決の諸問題(長時間睡眠者,短時間睡眠者,いびき,寝言,ひきつけ,ミオクローヌス),その他の睡眠障害(環境性,その他)。
いずれの睡眠障害も,疾患特異的な症状のほかに,夜間の不眠や日中の眠気といった症状を呈する。睡眠障害に応じて治療方法が異なるので,ICSD-2 に基づいて,正しく診断・分類することが肝要である。

2.睡眠障害の頻度
表2 に,それぞれの睡眠障害を有する人々がどれくらいいるのか,日本で実施された主な疫学研究の結果(有症率)を示す。

いずれも地域・職域で行われた比較的大規模なヒト集団を対象としたものであるため,その多くは,目的とする睡眠障害に適した質問紙を用いて,対象者の自己申告に基づき,睡眠障害があるかどうかの判定を行っている。
1997 年に実施された全国調査によれば,入眠困難(寝付きが悪い)や中途覚醒(夜間・早朝に目が覚める)などの不眠の症状が一時的ではなく1 ヶ月以上続く,慢性不眠の有症率は約20% と推定された[7,8].ICSD-2(2005 年)の不眠症の判定基準では[5],夜間の不眠の症状に,日中の機能障害(日中の眠気,注意力・集中力の低下など)が追記されたので,この判定基準に照らし合わせると,不眠症の有症率は,これよりも低くなるであろう。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の判定の場合には,終夜ポリグラフ検査による睡眠中の呼吸イベント(無呼吸・低呼吸/ 睡眠1 時間)の確認が必須であるが[5],疫学研究では,携帯型の簡易装置(パルスオキシメーター,鼻口呼吸センサー,気道音センサー)を用いて睡眠1 時間あたりの動脈血酸素飽和度の3%以上の低下や無呼吸・低呼吸の頻度を測定して代用している.睡眠時無呼吸症候群の有症率は,おそらく対象とした集団や測定方法の違いなどからであろう,低いものでは約3%(地域住民女性),高いものでは
約22%(職域男性)と,大きな開きがみられた[9-12]。
ナルコレプシーの有症率は0.16 ~ 0.59%[13,14],睡眠相後退障害の有症率は0.13 ~ 0.40% [15,16],レストレスレッグス症候群の有症率は0.96 ~ 1.80%[17-19] と,不眠症や睡眠時無呼吸症候群に比べると,その頻度は低い。
周期性四肢運動障害は,ノンレム睡眠期に足関節の周期的な不随意運動によって夜間の睡眠が妨げられる障害であるため,判定には終夜ポリグラフ検査が必須である[5]。
ここで報告されている周期性四肢運動障害の有症率2 ~12%[20,21] は,第3 者(ベッドパートナーやルームメイトなど)による評価(眠っている間に足のビクンとする動きがある)に基づいて判定されたものである。

Ⅳ.睡眠と健康
ここでは,睡眠時間と死亡(総死亡)や罹病(2 型糖尿病),慢性不眠と併存疾患や罹病(2 型糖尿病,うつ病)に関して,これまでに蓄積された疫学研究の成果から,現時点で明らかになっていることについて解説する。

1.睡眠時間
1)分布
2007 年に厚生労働省によって実施された2 つの実態調査(国民健康・栄養調査[22]) と労働安全衛生特別調査[23])の報告をもとに,睡眠時間の分布を示す(図3)。

無作為に抽出された全国の15 歳以上の一般住民(8,119 人)および20 歳以上の民営事業所従業員(11,440 人)ともに,6-6.9 時間を中央値・最頻値とした正規分布をしていた。睡眠時間が6 時間未満の者の割合は,15 歳以上の住民では,男性26%,女性31%,20 歳以上の従業員では,男性41%,女性45% であった.年齢階級別(図4)では40-49 歳(37%),

職種別(図5)では保安(68%),運輸(50%),営業・サービス(49%)が高い割合を示した.一般住民[24],ホワイトカラー[25],シフトワーカー[26] を対象とした先行研究では,睡眠時間が6 時間を下回ると,日中に過度の眠気を来すことが報告されている。


睡眠時間が9 時間以上の者に関しては,従業員ではみられなかったが,15 歳以上の一般住民では全体で3% であった(図3)。これを年齢階級別に見ると,70 歳以上では10% に上っていたが,70 歳未満は2% 以下であった(図4).終夜ポリグラフから客観的に得られた健常人の睡眠時間は,年齢とともに減少することが確認されている(図1)。
高齢者の場合,本人の自己申告(アンケート調査や生活時間調査など)による睡眠時間には,実際の睡眠時間(図1の総睡眠時間に相当)の他に,床の中で寝付くまでに要する時間(図1 の睡眠潜時に相当)や途中で目が覚めた時間(図1 の中途覚醒に相当)や午睡の時間が含まれている可能性がある。

2)死亡
近年,多くの疫学研究(コホート研究)により,睡眠時間が総死亡と有意な関連(U字型)を示したとする報告が相次いだ.これらのコホート研究をもとに,Gallicchio Lら[27] とCappuccio FP ら[28] は,それぞれ独自に睡眠時間と死亡に関するメタアナリシスを行った.メタアナリシスには,異質性や公表バイアスなど研究方法上の限界はあるものの,ここでは,2009 年3 月までに発表された論文をもとにCappuccio FP ら[28] が行ったメタアナリシスによる最新の知見を紹介する.この中には,日本からのコホート研究[29-33] が含まれているが,同一のコホート研究からの発表論文[32,33] は基準に合致した方が採用されている.その結果,死亡に対する相対リスク(95% 信頼区間)は,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,4時間未満と定義は異なる)で1.12(1.06-1.18),長時間睡眠(8時間以上,9-9.9 時間,9 時間以上,10 時間以上,12 時間以上と定義は異なる)で1.30(1.22-1.38)と有意に高くなっていた(表3)。

短時間睡眠と死亡との因果関係の機序については,充分に解明されているわけではないが,短時間睡眠による糖代謝および交感神経系や免疫系への影響が示唆されている。長時間睡眠と死亡との因果関係については,その機序を示唆する研究は今のところ無い。むしろ,調整しきれなかった交絡要因(潜在要因を含む)や併存疾患によるものではないかと考えられている.例えば,長時間睡眠と関連があるとされる,芳しくない健康状態,診断のついていない病気,身体活動状態の低下,抑うつ状態,良好ではない社会経済状態などである。

3)2 型糖尿病
Cappuccio FP ら[34] は,2009 年4 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠(7 時間未満,6 時間未満,5 時間未満,と定義は異なる)で1.28(1.03-1.60),長時間睡眠(8 時間以上9 時間以上と定義は異なる)で1.48(1.13-1.96)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から職域でのコホート研究(6,509人)[35] が含まれているが,2 型糖尿病の罹病に対する相対リスクは,短時間睡眠,長時間睡眠,いずれにおいても有意ではなかった。

2.不眠
1)併存する症状や疾患
不眠の症状は,さまざまな心身の症状と関連しており,身体疾患や精神疾患などと併存している[5].前述のⅢ- 2で紹介した全国調査によれば,慢性不眠の症状(入眠困難や中途覚醒)と関連する心身の症状として,腰痛,心窩部痛,体重減少,頭痛,疲労,心配,いらいら,興味の喪失[36],併存疾患として,高血圧症,心疾患,糖尿病,筋骨格系疾患,胃・十二指腸潰瘍[37] が認められた。

2)2 型糖尿病
前述したCappuccio FP ら[34] による,睡眠の量(睡眠時間)や質(不眠)と2 型糖尿病の罹病に関するメタアナリシスでは,2 型糖尿病の罹病に対する不眠の症状の相対リスクは,入眠困難で1.57(1.25-1.97),中途覚醒で1.84(1.39-2.43)と有意に高くなっていた.これらの因果関係の機序については,Ⅳ -1-2)と同様に,考えられている。
なお,この中には,日本から,前述の職域でのコホート研究[35] と地域でのコホート研究(2,265人)[38] が含まれている. 地域のコホート研究では, 入眠困難で2.98(1.36-6.53),中途覚醒で2.23(1.08-4.61),職域のコホート研究では入眠困難で1.62(1.01-2.59)と有意であったものの,中途覚醒では1.36(0.87-2.14)と有意差を認めることができなかった.職域のコホート研究では,睡眠時間でも有意差を認めなかったことなどを考え合わせると,理由の1 つとして,健康労働者効果などが考えられる。

3)うつ病
Baglioni C ら[39] は,2010 年2 月までに発表されたコホート研究の論文をもとに,主としてDSM- ⅣまたはTR に基づく不眠症とうつ病の罹病に関するメタアナリシスを行った(表3).その結果,うつ病の罹病に対する不眠症のオッズ比(95% 信頼区間)は,2.10(1.86-2.38)であった.なお,この中には,日本からの研究は含まれていなかった。
近年,日本において,不眠の症状と抑うつの関連をみたコホート研究では,65 歳以上の地域住民3,065 人を3 年間追跡した結果,入眠困難を有する者はそうでない者に比べ抑うつを呈したオッズ比が1.59(1.01-2.50)であったと報告されている[40]。

Ⅴ.おわりに
以上,日本における睡眠障害の頻度と睡眠障害による健康影響について,解説した.夜間の睡眠障害と日中のQOL(主観的健康感の低下や仕事上・人間関係上のトラブルや事故など)の低下には有意な関連がある[41].しかしながら,睡眠が障害されても適切な対処行動が取られず,寝酒を常用する(男性37.4%,女性10.0%)などして,かえって早朝覚醒を来し充分な睡眠を維持できず悪循環に陥る[42]。
睡眠障害に適切に対処することによって,人々の健康増進やQOL の向上に,大いに貢献できるものと考えられる。
表4 に睡眠障害に対処するための指針を示した。
一人一人が睡眠衛生の面から自分に合った睡眠を確保できるよう,健康教育の充実をはかるとともに,それを支援する社会や職場での環境整備が求められている.睡眠障害の多くが,夜間の不眠の症状に日中の眠気など不眠症に共通の症状を呈するが[5],通常の睡眠薬では効果が期待できない疾患,あるいは憎悪してしまう疾患もある.この中には,難治性の神経筋疾患や神経変性疾患なども含まれている[43].症状が改善しない場合には,睡眠障害を専門とする医師による診断と治療が必要となる.保健医療福祉の諸機関と睡眠専門医療機関との連携といった環境面での整備も望まれるところである。

文献
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睡眠障害の根本治療

8月に入りました。暑さも本番。ちょっと動くだけで汗だくになります。何度もシャワーを浴びたり着替えたりして、洗濯物が多い。

さて本日ご紹介するのは、ナルコレプシーの治療効果を確認したというニュースリリースです。睡眠障害の根本治療の可能性を秘めています。

(記事紹介)ナルコレプシーの病因治療効果を確認

本日は、筑波大学の国際総合睡眠医科学研究機構から「ナルコレプシーの病因治療効果を確認」のニュースリリースを紹介します。

この研究結果が、ナルコレプシーだけでなく、多くの睡眠障害の根本治療のきっかけになる可能性を秘めていると思います。

特に睡眠時無呼吸症候群のような、実際に眠れていないと判断されている睡眠障害患者にどのような効果があるのか今後の研究成果を待ちたいですね。

プレスリリース 

2017.5.16|国立大学法人   筑波大学   国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-­IIIS) 

      ナルコレプシーの病因治療効果を確認 

—   目覚めを制御する低分子医薬の新たな効果   —    

https://www.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/170516yanagisawa-1.pdf

研究成果のポイント  

1.   オレキシン*1受容体作動薬*2YNT-­185 には、ナルコレプシーの症状であるカタプレキシー*3を抑制する効果があることを明らかにしました。さらに活動期に連日投与してもカタプレキシー発作の抑制効果は持続することが確かめられました。 

2.   正常マウスに YNT-­185 を末梢投与すると、覚醒時間が延長されることを確認しました。 

3.   YNT-­185 の連日投与により、マウスの体重増加が抑制されました。 

4.   オレキシン受容体作動薬はナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示されました。

過剰な眠気を伴う他の睡眠障害を改善する創薬にもつながることが期待されます。    

ナルコレプシーは、日中の強い眠気やカタプレキシーなどを主症状とし、患者の社会生活に深刻な影響を及ぼす睡眠障害です。症状を緩和させる薬による対症療法はありますが、根本的な治療法はありません。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-­IIIS)の研究グループは、同機構で創出したオレキシン受容体作動薬YNT-­185にはカタプレキシーを抑制する効果があるだけでなく、覚醒時間の延長を促し、体重増加を抑える働きがあることを発見しました。これらの結果により、オレキシン受容体作動薬がナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示されました。他のさまざまな原因によってもたらされる過剰な眠気を改善する創薬にもつながることが期待されます。 

本研究はWPI-­IIISの入鹿山-­友部容子、小川靖裕、富永拡、柳沢正史らの研究グループによって行なわれ、米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版で5月15日現地時間午後3時(日本時間16日午前4時)に成果が先行公開されました。 

研究の背景  

ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気や、感情の高まりなどにより身体の筋肉が脱力する情動脱力発作(カタプレキシー)などを主な症状とし、患者の社会生活全般に深刻な影響を及ぼす睡眠障害です。脳内視床下部に存在し、睡眠覚醒を制御するオレキシン産生細胞が脱落しオレキシンが欠乏することで生じることが明らかとなっていますが、その治療は薬物による対症治療と生活指導のみであり、根本的な治療方法が未だにないのが現状です。 

マウスを使った研究では、2 種類あるオレキシン受容体(1 型と 2 型)の両方を欠損するとナルコレプシーが発症しますが、これらの受容体のうち、1 型受容体のみの欠損では睡眠覚醒の異常は見られません。一方で、2 型受容体を欠損すると、ナルコレプシー症状が起こります。このことから、睡眠覚醒の制御においては 2 型受容体がより重要であると考えられています。 

マウスの脳内にオレキシンを直接投与することでナルコレプシーの症状は改善されますが、静脈 や経口などによる末梢投与では、オレキシンが血液脳関門*4を通過することができないため効果はなく、ヒトへの応用の大きな妨げとなっています。そのため、オレキシンと同様の機能を示し、末梢投与でも血液脳関門を通過し治療効果を発揮するオレキシン受容体作動薬の創出が試みられてきました。2015 年に、WPI-­IIIS の長瀬博教授らのグループがオレキシン受容体作動薬として機能する化合物 YNT-­185 の創出に成功しました(Nagahara  et  al.,  J.  Med.  Chem.  2015)。本研究では、YNT-­185 のナルコレプシー症状緩和作用をナルコレプシーモデルマウスで詳細に評価・解析し、ナルコレプシーの根本治療薬としての可能性を検討しました。    

研究内容と成果  

研究グループは、ヒトオレキシン受容体を定常的に発現された細胞とマウス脳スライスを用いて、YNT-­185 がオレキシン 2 型受容体に対する選択的作動薬として働くことを確認しました。睡眠覚醒への影響を調べるために、YNT-­185 をマウスに脳室内投与して脳波測定による睡眠解析を行なったところ、活動期の覚醒時間が延長することが明らかとなりました。作動薬の効果が消失したあとに、過剰に眠るような行動(睡眠リバウンド)は見られませんでした。腹腔内、静脈、経口などの末梢投与でも同様の効果が見られたことから、YNT-­185 は血液脳関門を通過することが確認されました。

一方、オレキシン受容体を欠損したマウスではこの化合物を投与しても作用が見られなかったことから、YNT-­185 はオレキシン受容体を介して作用することが確認されました。ナルコレプシー症状への治療の有効性を調べるため、カタプレキシーを人為的に生じさせたマウスに YNT-­185 を投与したところ、カタプレキシーが抑制されることが示されました(図 1)。作動薬を活動期(暗期)に 3時間毎、3 晩続けて使用した場合も、効果は減弱することなく、症状を抑制しました。さらに、ナルコレプシー患者は体重が増加する傾向にありますが、同化合物をマウスに 1 日 1 回、14 日間連日投与すると、体重の増加が抑制されることがわかりました(図 2)。    

今後の展開  

YNT-­185 にはカタプレキシー抑制効果があったことから、オレキシン 2 型受容体作動薬がナルコレプシーの病因治療薬として有効であることが示されました。さらに、ナルコレプシー以外の睡眠障害、例えばうつ病症状による過眠症、薬の副作用による過剰な眠気、時差ボケやシフトワークによる眠気を改善するための創薬にもつながります。眠気改善効果についてさらに詳細に検討するため、今後は概日リズム睡眠障害モデルマウスなどを用いた評価を行なう予定です。    

  参考図  

      図 1. ナルコレプシーを発症したマウスに YNT-­185 を投与することにより、カタプレキシーが抑制された。    

   図 2. YNT-­185 をマウスに 1 日 1 回、14 日間連続で投与すると体重の増加が抑制された。    

用語解説  

(1)   オレキシン 

柳沢らのグループにより発見された、神経伝達を司るペプチドのひとつ。視床下部に存在するオレキシン産生神経から分泌され、脳の広い領域に作用する。オレキシンは覚醒の維持において非常に重要な役割を担っている。 

  (2)   作動薬 

受容体に結合し、生体物質(今回の場合、オレキシン)と同様の細胞内の情報伝達系を作動させる薬物。作動薬が受容体に結合すると受容体の構造が変化し、生体応答を引き起こす。 

(3)   カタプレキシー 

ナルコレプシーの症状のひとつで情動脱力発作と呼ばれる。感情の高まりなどにより、全身または身体の一部の筋肉が脱力する。 

(4)   血液脳関門 

様々な有害物質から脳組織を守るため、血液から脳内への物質の移行を制限する機能。脳のエネルギー源となるアミノ酸やブドウ糖などの必須物質は脳内に選択的に輸送されるが、ペプチドやタンパク質などそれ以外の多くの物質は、このバリア機能が存在するため脳内に自由に入ることができない。 

掲載論文  

【題 名】A-­non-­peptide  orexin  type-­2  receptor  agonist  ameliorates  narcolepsy-­cataplexy  symptoms  in  mouse  model.  

   (和訳:非ペプチドオレキシン 2 型受容体作動薬によるナルコレプシー症状の改善) 

【 著 者 名 】 Yoko   Irukayama-­Tomobe,   Yasuhiro   Ogawa,Hiromu   Tominaga,   Yukiko   Ishikawa,   Naoto  Hosokawa,  Yuki  Kawabe,  Shuntaro  Uchida,  Sinobu  Ambai,  Ryo  Nakajima,  Tsuyoshi  Saitoh,  Takeshi  Kanda,  Kaspar  Vogt,  Takeshi  Sakurai,  Hiroshi,  Nagase,  and  Masashi  Yanagisawa 

【掲載誌】Proceedings  of  National  Academy  of  Science  USA 

DOI:10.1073/pnas.1700499114 

お問い合わせ  

筑波大学   国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-­IIIS)広報連携チーム 担当:雀部(ささべ)

、樋江井(ひえい)

住所   〒305-­8575 茨城県つくば市天王台1-­1-­1 睡眠医科学研究棟 

E-­mail   wpi-­iiis-­alliance@ml.cc.tsukuba.ac.jp 

電話   029-­853-­5857 

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心理的要因による不眠

品種改良しているのですね。矮性ひまわり。でも屋外だったら普通に背の高いひまわりで良い気がする。壁もすごく高いのに。

本日は心理的要因による不眠に関する論文をご紹介します。

環境もあるけどもやもやして眠れない事ってありますね。

最近不眠症の方の話をよく聞きます。毎日1時間とか2時間しか眠れなくてつらいとかの話です。ほとんどの場合は眠れなくてもベッドの中にいるようで、それ自体が眠れない意識を作り出しているようです。ベッドの中で眠れない眠れないと考える事が、「ベッド=眠れない」という意識を刷り込んでしまいます。

睡眠薬は副作用もあり、出来れば使いたくないという方も多く、環境や睡眠時間誤認など考えられる原因と解決策を話しています。心理的要因はその中でもかなり大きな原因です。

(論文紹介)心理的要因が睡眠状況に及ぼす影響

分析結果は、統制の所在および私的自己意識が、ネガティブな反すう傾向を媒介して、入眠時間や睡眠傾向といった睡眠状況に影響することを示していた。また、私的自己意識の方が統制の所在よりもネガティブな反すう傾向への影響はやや強いことが認められた。これに対して、自己開示傾向と公的自己意識のネガティブな反すう傾向への影響は、認められなかった。また、ネガティブな反すうのコントロール不可能性は、相関分析によって統制の所在および公的自己意識と相関が認められたが、睡眠状況との関連性は本研究の分析からは認められなかった。

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日帰りのどちんこ手術が怖い

タイタンビカスは毎日咲いてくれるのですが、曇天ではやはり映えません。そろそろ赤も咲いてくれるかな。本日は話題となっているのどちんこ切除術について。リスクの説明がない広告は怖くないですか?入院無しの日帰りレーザー術って、術後の腫れで窒息する可能性を無視しているの?

いびき対策の口蓋垂手術

そもそも口蓋垂(のどちんこ)が大きいといびきが出やすいという判断はどこから来たのでしょう。
実は口蓋垂は、激しいいびきをかくと、震えて引っ張られるので、なんと伸びてしまいます。
一般的に口蓋垂の長さは1cm弱程度でしょうが、私は長年いびきをかき続けたために、2cmから3cm程の長さがあります。
ところがこの私が、いびきを克服できたわけですから、長さはいびきとは関係ありません。いびきの激しい人を見れば、口蓋垂が長い。だから口蓋垂が長いのはいびきをかきやすいといういかにも西洋医学の考え方ですね。
いびきの結果で口蓋垂が伸びたわけですから、切ったらいびきをかかなくなるなんていうのは、本質を見ていない判断です。
しかもひどい手術例が最近ネットで見受けられるため黙っていられなくなりました。

日本歯科大学新潟病院のブログに以下のように出ています。

https://www.ngt.ndu.ac.jp/hospital/dental/service/center03/

『口蓋垂(のどちんこ)はいびきや無呼吸によって気道に吸い込まれて、次第に伸びます。そして、伸びた口蓋垂がなおさらいびきや無呼吸を引き起こすのです。それゆえ、口蓋垂の手術を受けても、口蓋垂が原因でなければ治りません。
という私も、第三世代の治療が開発されるまではたくさんの手術を手掛け、平成10年10月にはNHK総合テレビの「クローズアップ現代」で、レーザーに よる口蓋垂手術を日本で初めて紹介しました。この放送の視聴率は同番組の年間視聴率ランキングで第二位だったそうで、大きな反響がありました。この手術 は、写真のように弛んだ口蓋垂(右)をすっきりと短縮した口蓋垂(左)にするものなのですが、あたかも「那須の与一がゆれる小舟から扇を射落とす」ほど難 しく、後輩に奥義を教えるのに苦労しました。』

口蓋垂が原因でなければ治りませんという「まっとう」なことを言っていますが、第三世代(マウスピース)治療が普及してやる人が少なくなったと言っています。
しかも「口蓋垂が原因でなければ」と言う前に、いびきで伸びると言っていますから、もともとが口蓋垂が原因でいびきをかいている人はほぼいないということです。
この先生は、クローズアップ現代で取り上げられたとか自慢していますが、この後あちこちでなんちゃって手術を受けた人がたくさんいることに対する責任も感じてもらいたいものです。
ただ、この先生は、口蓋垂の役割を考えて、難しい手術を行い、写真のようにきちんと正しい口蓋垂を残しています。

さて、口蓋垂って切っちゃっていいのでしょうか?たしかにいびきで伸びてしまうのであれば、いびきを止めさえすれば、長くなった部分を切るのはありかもしれません。
口蓋垂は、物を飲み込むときに、鼻のほうに上がっていくのを抑える役目があります。特に水分などは、口蓋垂がなければ食道に流れきれず、いったん飲み込んだ後に、鼻のほうに逃げた飲食物が、気管に入ってしまう問題を起こします。
そのためおかしな手術を受けると、水を飲んだときに気道に入ってむせてしまうという問題を起こします。
若いうちはむせて排出できるのでいいでしょうが、年を取るとその力が弱まります。日本人の死因第3位は、肺炎ですが、お年寄りが風邪から肺炎を起こすと思っている方が多いと思います。実際は誤嚥性肺炎という、食べ物を飲み込むときに食道ではなく気道に入ってしまい、肺炎を起こして亡くなることが多いのです。
口蓋垂がなくなった方は、いったいどうなるのでしょう?
しかも、日本歯科大学の先生はちゃんと機能を残していますが、近ごろネットで見られる口蓋垂切除の写真は驚愕です。

写真例1

口蓋垂が真ん中から二つに分離されています。医者は何を考えたのでしょうか、いびきをかかないようにしながら、口蓋垂を残したつもりでしょうか?いびきの原因も口蓋垂の役割も全く理解していない例と言えます。
因みにこの写真の方は苦しい思いをしたが、いびきは消えなかったようです。

写真例2

まったく口蓋垂がありません。当然ながらまともに水も飲めないようです。いびきは消えたようですが、私の予想では、いびきは半年もすれば再発します。原因は口蓋垂でないので、残った組織がまたふるえるようになります。
因みにこの手術は成功でしょうか失敗でしょうか?
医者は手術前にどういう手術をするかを説明しています。そして手術の結果いびきが消えるかどうかはやってみなければわからないということはきちんと伝えているはずです。
要するに美容整形手術と一緒です。
目を二重にする手術で、二重にすることはできてもそれで美人になるかどうかは別問題ということです。
そういう意味で手術は成功です。説明したとおりの手術になっているわけです。そのあといびきが消えるかどうかは別だし、将来肺炎になるリスクが増えるのは別の問題ということです。

さて、いびきを消すだけが目的ならば、音がしなくなれば良いと考えるようですが、なぜいびきをかくのかが忘れられています。いびきは生活習慣病の症状ととらえていただきたいのです。生活習慣が良くないのに、その症状であるいびきを手術で消せば、悪い習慣は更によくない方向に進んでしまいます。
医者が本来しなければいけない事は、対症療法的にいびきの音を消す施術ではなく、生活習慣の改善を指導して、いびきが出ないように改善させることです。

いびきを専門で手術している医者の中には、手術していびきが消える人と消えない人が見ただけでわかるようです。だから、いびきが消えないと思われる人に手術を進めないと言います。
同じ手術をしても治らない人がいるということは、結局は程度の問題ということです。どういうことかと言えば、再発がほぼ間違いないということです。

いびきの一番の問題は他人の安眠を脅かす騒音です。そのうえで、生活習慣を改善し、いびきが出ない生活を続けることが重要なのです。
Sleep Laboをご購入いただいた方のなかには、何度も手術をしたがいびきが消えなかったという方が少なくありません。
体に無理をかけず、いびきの音を減少させる唯一の解決策が「Sleep Labo」を使う事です。

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水面に映る青空

田んぼの水面に映る青空。しばらく梅雨空が続いたので、晴れ間は気持ち良いです。これだけ広い田んぼだとカエルの鳴き声も相当でしょうね。カエルの合唱で不眠症になった話は聞いたことが無いけれど、いびきに悩まされて不眠症というのはありますね。音だけじゃない気分の感覚が許容範囲を決めているのですね。

本日は睡眠時無呼吸と肥満についての論文をご紹介します。なんとなく論文の趣旨があっちに行ったりこっちに言ったりしている感があります。睡眠時無呼吸症も生活習慣病の症状らしいというあたりと、必ずしも肥満が無呼吸と直結していないという点が良いと思いますが、その原因として日本人の顔の角度と欧米人の顔の角度に持って行ったところが強引すぎる気がしますね。

https://kinran.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=62&item_no=1&page_id=13&block_id=21

千里金蘭大学紀要 P.1~14(2008)

日本人における睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の肥満と重症度の関連性について

The association between obesity and disease severity in the Japanese sleep apnea syndrome (SAS) patient
岡村 吉隆、奥田 豊子2

要旨
「睡眠時無呼吸症候群は肥満を伴うことはよく知られている。治療の第一選択肢は経鼻的持続気道陽圧療法であるが対症療法である。したがって、長年使用する必要がある。多くの日本の睡眠時無呼吸症候群患者は重症度が同程度にもかかわらず白色人種の睡眠時無呼吸症候群患者ほどの肥満ではない。それは、日本人では肥満に加えて顔面軸角(FX: facial axis)が睡眠時無呼吸症候群に影響されやすいための因子である可能性がある。すなわち、日本人の側頭蓋計測においては白色人種に比べて顔面軸角が狭いことが要因と考えられる。
キーワード:睡眠時無呼吸症候群 Sleep apnea syndrome, 肥満 obesity, 側頭蓋計測 cephalometry

I.はじめに
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は1976年に Guilleminault により提唱[1]され、臨床的な歴史はまだ浅い疾患である。Guillerminault によると SAS は「7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸があること」と定義している。
SAS の症状は、習慣的いびき、日中傾眠、起床時の頭痛、睡眠中の呼吸の停止、インポテンツ(ED)、熟眠感の欠如、性格の変化・抑うつ状態、夜間頻尿などであり、その原因は肥満による上気道組織への脂肪沈着、扁桃肥大、巨舌、小顎症、上顎骨の後方偏位、下顎骨の後方偏位などと考えられている。特に上気道組織への脂肪沈着は 肥満者に多く見られることから肥満との関連性が高い疾患といわれている。しかし、わが国の SAS 患者は200万人ほどいると考えられていて欧米諸国と比べると肥満者の割合が低いことから見ても非肥満者の患者も少なくなく(2]、日本人の場合他の国とは異なる部分もある(図1)。
本稿では睡眠時無呼吸症候群における先行研究の結果などからその発症要因や自覚症状、診断基準、治療の現状等について述べ、特に肥満との関連性に焦点を当て、わが国における SAS について検証する。

Ⅱ, 睡眠時呼吸障害について
睡眠時呼吸障害(sleep-disordered breathing; SDB)は昼間の眠気を呈する代表的な病態の、ナルコレプシー (居眠り症)や若者の睡眠不足症候群なども含まれるが、米国では閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome; OSAS)、中枢性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(central sleep apnea-hypopnea syndrome; CSAS)、チェーン・ストークス呼吸症候群(Cheyne-Stokes respiration syndrome; CSRS, CheyneStokes breathing syndrome; SCBS)、睡眠時低換気症候群(sleep hypoventilation syndrome; SHVS)に分類され[3]、わが国においてもこの分類が採用されている[4]。これまでの SDB の有病率調査は OSAS に限定されている[2]。
1 Yoshitaka OKAMURA 千里金蘭大学生活科学部食物栄養学科 (受理日:2008年10月1日)
2 Toyoko OKUDA 大阪教育大学教育学部生活環境講座 (受理日:2008年10月1日)

OSAS の定義は「日中過眠(excessive daytime sleepiness; EDS)もしくは閉塞性無呼吸に起因するさまざまな症候のいくつかを伴い、かつ無呼吸・低呼吸指数(apnea hypopnea index; AHI)が5/hr以上」と、米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine: AASMOで提唱する基準(31をわが国においても採用[4]している。したがって、本稿では SAS と表記するものは OSAS と同意語として用いることとする。上気道閉塞を来す形態学的因子を表1に示す。

Ⅲ. SAS の疫学
疫学調査によると、30~60歳の SAS 罹患率は高く、特に男性では顕著であり睡眠時間に10秒以上持続する無呼吸・低呼吸の発現頻度は、AHI>5/hrの割合が男性の24%、女性の9%、さらに AHI >15/hrの割合は男性で9.1%、女性で4.0%であった。また、EDS の徴候も高率であった[5]という報告からみても潜在的な罹患者は多いと思われる。さらに、高齢者の場合には、SDB の罹患率が高いことはよく知られている[6]。しかしながら、高齢者の診断基準は多様な診断基準が提唱されており、また、症状も多様であることから、治療の優先順位や必要性についてもその是非が問われている。[7]また治療を行なう際にも、義歯、下顎の不安定さ、喫煙、飲酒、向精神薬の内服等の問題点から成人の SAS とは異なり、生活習慣の見直しが優先されると考えられている[2]。
EDS は QOLを損ねる[8][9]ばかりでなく、生活を送る上で問題点もある。男性を対象にした10年間の前向き研究ではいびきをかく人や、重度の日中傾眠を伴う人には産業事故のリスクが高い結果が出た [10] という報告や、SAS の重症度と交通事故発生率には関連性がある[11]など社会的な問題にもなり得ることになる。しかし、CPAP(経鼻的持続気道性陽圧療法:nasal continuous positive airway pressure therapy)や外科的治療を行なわずにいた場合、51.6±12.0歳(平均値±標準偏差)の385人の男性での研究では AI> 20/hrの者(n=104) は AI≦20/hrの者 (n=142)に比べ明らかかに生存率は低く8年後では平均63%であった [12] という報告がある(図2)。
したがってSASは単に睡眠中の呼吸の停止や低呼吸の症状を呈する疾患であるだけでなく、死亡の原因にもなりうる疾病であるといえる。



IV. OSAS の症状
いびきは SAS の象徴的症状であり、習慣的ないびきは粥川らの報告[13]によると、7箇所の一般住民を対象とした調査では、「毎晩いびきをかく」と答えた人は、男性の21%、女性の6.1%であった。SAS 患者の臨床的症状の最初は大きないびきをかくことである[1]という報告もある。 いびきは形態学因子と機能的因子が複雑に関与して発生する現象で、ヒトが進化の過程で起立二足歩行を始めた後に増加かつ増悪した病態で、ヒト以外の哺乳類ではきわめて稀である[14]。
いびきは SAS を疑う要因のひとつであるが、いびきは家族間で遺伝することが知られている。双子のいびきについての研究では、492ペアの一卵性双生児と、284ペアの二卵性双生児において調査したところ、習慣的ないびきは一卵性双生児では全体の20%で、二卵性双生児では全体の25%で認められ、ペアの一致する割合は一卵性双生児 で67%、二卵性双生児で50%であった[15] という。
いびきをかくものがすべて SAS ということではなく SAS を伴わない単純性のいびきもあるが、SAS の罹患者 のいびきの場合は特徴的な周波数特性を示す [16] という報告もある。習慣性のいびきの病態の特徴について表2に示す。

日中傾眠も SAS の代表的な症状である。夜間の無呼吸や、低呼吸の繰り返しによって十分な睡眠がとれず、その結果覚醒が生じ睡眠不足に陥り昼間眠気が強くなり居眠りをしてしまうことになる。実際の SAS のスクリーニングにおいては、習慣性のいびき、家人から確認された夜間無呼吸の存在、明らかな日中傾眠が三つ揃った場合に 本症候群を疑う [17]。SAS患者の多くは、体を動かしているとあまり眠気を感じないが、会議やデスクワーク中、 運転中などに眠くなり、堪えきれない場合には居眠りを生じてしまい、軽症群では午睡ゾーンを中心に起こるが、 重症化すると日内変動はなくなり、日中眠くてたまらないと訴えるようになる[6]。AHI が5以上の女性の23%、男性の16%がなんらかの眠気を週に二日以上経験しているという[5]。
その他の症状としては、起床時ののどの渇きや頭痛、眠りが浅く寝返りをよく打つ、インポテンツ(ED)、熟眠感の欠如、性格の変化・抑うつ状態、夜間頻尿などであるといわれている。

Ⅴ. SAS の診断
1. 日中傾眠
日中傾眠(EDS)はアメリカ睡眠学会では AHI と同程度の重要な意義を持つとされている[3]。EDS を主観的評価方法によってその度合いを測定し、その結果 EDS の傾向が強いと SAS が疑われるという診断方法がある。 評価方法のスタンダードスケールとして ESS (Epworth Sleepiness Scale) [18] (表3)がある。

ESS は、日常生活 の中でのさまざまな状況下において眠気を感じるかどうかを問うものでその内容は、①座って読書しているとき、②テレビを見るとき、③座って公的な場所でただ座っているとき(例えば劇場とか会議)、④1時間休憩なく車に 同乗しているとき、⑤用もなく午後横になって休んでいるとき、⑥誰かと座って話しているとき、⑦アルコールを 飲まずに昼食を食べた後静かに座っているとき、 ⑧車に乗っていて交通事情で2・3分止まっているときで、これら8個の質問に、居眠りしたことがない=0点、時に居眠りすることがある = 1点、しばしば居眠りすることがある= 2点、だいたい居眠りする=3点の4件法で答えるもので、0点から24点までの範囲が結果として出ることになり日中傾眠が強いほどその値が高くなるとされ、日常診療で多く用いられている。ESS 値としては、豪州人を対象と した結果では、健常者では5.9±2.2(平均値±標準偏差)、OSAS 全体では11.7±4.6であるが、重症度別では軽症の ESS は9.5±3.3、中等症は11.5±4.2、重症では16.0±4.4と報告が[18]されている。また、SAS 患者では交通事故発生と ESS スコアーに関連性があった[9][19] という報告もある。主観的な評価方法としての ESS はスクリーニング として用いるには簡易でよい指標となるが、ESS 値が高いことだけで SAS と診断することは不可能である。欧米に比べ居眠りに対して寛大な我が国においては客観的に SAS を診断することは必要である。わが国における先行研究において AHI と ESS とは関連性がなかったという報告[20] もある。
2.終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography; PSG)
主観的評価としての ESS は、日中傾眠の評価にはよく用いられる。しかしながら SAS の診断には日中傾眠だけでは不十分であり、逆に日中傾眠が強くても SAS でない場合、また自覚症状がなくても SAS である場合もある。
SAS の判定を比較的容易に測定するために、簡易ポリグラフィーやパルスオキシメーターを用いる方法もある。 簡易ポリグラフィーは、自宅に持ち帰って測定が可能であり睡眠呼吸障害の傾向を示すものとしての利用価値は高いが、問題点は、脳波の測定が行なわれないため、日中傾眠が強い儀陽性の場合や上気道抵抗症候群などの睡眠の質が問われるような症例の診断には十分注意が必要となる[21]。また、パルスオキシメーターは酸素飽和度の測定に用い携帯が可能なほどの小型化したものであるが、軽症・中等度の SAS の診断には限界がある[20]。
SAS 診断のゴールドスタンダードは終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography; PSG)による検査である[2]。 PSG は医療施設にて一泊の検査入院を必要とし、睡眠状態の全般について検査を行なうものである。測定項目は、気道の狭窄の程度、睡眠中の呼吸状態、睡眠段階、脳波(睡眠の型と深さ、覚醒反応の把握)、眼球運動(REM 睡眠の有無)、願筋筋電図(REM 睡眠の有無)、心電図(不整脈や心拍数の変化)、動脈血酸素飽和度(SpO2) (低酸素状態の把握)、エアフロー(口・鼻の気流の検知)、胸部の動き(換気運動の検知)、腹部の動き(換気運動 の検知)、いびき音、体位(仰臥位で無呼吸の発生頻度が高くなる傾向がある)、下肢筋電図(レストレスレッグ症 候群、周期性四肢運動障害の有無) [23] で、睡眠の深さ、睡眠の分断化や覚醒反応の有無、睡眠構築、睡眠効果 などを呼吸状態の詳細と合わせて、定量的に算出できる検査であり、これにより SAS の有無や重症度が判定でき、 AHI の値が診断基準となる。SAS と診断されるのは AHI が5/hr未満で正常とされ、15/hr未満は軽症、30/hr未満は中等症、30/hrを上回ると重症となる。

VI. SAS の治療
SAS の治療は生活習慣の改善に対する指導、内科的治療、外科的治療、歯科的装具による治療に大別できる。 SAS は生活習慣の改善により症状が改善される可能性がある。具体的には、肥満の是正、飲酒の制限、禁煙、 精神安定剤服用の制限、睡眠中の体位の工夫などになる。実際 SAS 患者は肥満を伴っている場合が多く、減量することにより AHI 値の減少が期待できる。日本肥満学会による肥満の分類 2 を表4に示す。これによると、高血圧、脂質異常症、糖尿病などのメタボリックシンドロームの判定基準に関わる疾患は内臓脂肪の増加による脂質の質的な異常による疾患と位置付けされているのに対して、SAS は脂質の量的な異状による疾患とされている。したがって、SAS の減量は脂質の質的な異状による疾患に比べより多くの減量が必要となると考えられる。飲酒は 呼吸を抑制し上気道の筋力を低下させることにつながり、喫煙は血中の酸化濃度を低下させ、咽頭頭部の炎症の原因にもなり [25]、SAS のリスクファクターとして喫煙や飲酒に関連性があったという報告もある[26]。また、精神安定剤の中には上気道の筋力を弱める作用があるものがありそれぞれ SASを悪化させる要因となる[2]。また、睡眠中仰臥位だと重力が下向きに加わり舌根の沈下を招くことになり、気道の閉塞につながる。できるだけ側臥位を保てるよう背中にボールを貼る、枕を変えるなどの工夫が必要である。また、肥満を伴う SAS患者では立位姿勢で の睡眠が有効である[28] との報告もあるが誰もが可能な姿勢ではなく、側臥位の維持を検討すべきである。
内科的治療としては軽症の SAS には薬物療法の選択肢もあるが、現在その効果には限界があるといわれている[29]。

治療の第一選択肢は経鼻的持続気道陽圧療法(CPAP)である。CPAP は就寝時にマスクを装着し、気道内に陽圧をかけ気道の閉塞を防ぐことにより、無呼吸を取り除く療法である [23]。CPAP の効果は絶大で、中等度はもちろん重症の SAS も CPAP療法により AHI 値は激減する。しかし CPAP は長年継続することが必要である[30]。
わが国の医療では AHI が20/hr以上で CPAP の保険が適用されるが、効果は大きいものの対症療法であるため SAS そのものを治療するものでなく使用を中止すると即座に元の状態に戻ることになる。したがって、長期継続 が必須となり CPAP療法に対しての問題がないわけではない。
外科的治療は小児には積極的に行なわれる扁桃肥大やアデノイドの摘出手術と、口蓋垂、扁桃を切除し、軟口蓋、 口蓋弓を含む中咽頭部の過剰粘膜を切除・短縮融合することで上気道を拡大させる口蓋軟口蓋咽頭形成術 (uvulopalatopharyngoplasty; UPPP)などがある。UPPP は術後の咽頭痛や、飲料の鼻への逆流が起こる場合 があることや、一旦 SAS の改善が見られてもいずれまた気道の閉塞が徐々に進み元の病状になることもある[31]。
歯科的装具による治療は CPAP が受け入れられない患者などに用いられて、患者ごとにマウスピースを作成し 下顎を少し前方に引き出すことで咽頭に空間を作り閉塞を少なくするものである。これも患者によれば違和感を訴える者もいることと効果は CPAPよりも劣る。また、舌を固定する装置を用いることにより効果があったという報告もあるが、わが国ではあまり用いられていない。

Ⅶ, 睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病
先行研究において生活習慣病患者には SAS の合併率が高く、SAS は生活習慣病と捉えることが大切である[33]。 SAS の重症度と心血管疾患の発症とは明らかに関連性がある[34]。SAS の治療は冠状動脈疾患を持つ患者にとって更なる心血管障害を減少させることになる [3]などの報告や、米国高血圧合同委員会7次報告書[36] では、高血圧が OSAS の合併症としてではなく、原因疾患として取り上げられるようになったという報告もある。SAS における インスリン抵抗性の増悪が、肥満と独立して無呼吸に関連するものである[37]。SDB の度合いは耐糖能や、インスリン抵抗性に関連性があり、年齢、性別、喫煙の有無、BMI, 睡眠中の自己評価とは独立している [38]。SAS の症状の特徴とも言えるいびきは2型糖尿病とインスリン感受性に関連性が強く、習慣的ないびきは耐糖能正常者や耐糖能異常者に比べ2型糖尿病患者に多い [39]、また運動や禁煙、減量などの生活習慣の改善は習慣的にいびきをかく者にとっては2型糖尿病のリスクを軽減することになる[40]。AHI が高いほど生活習慣病の合併率は高く、SAS と生活習慣病の関係は深い [41] など、SAS と生活習慣病との関連性については多くの研究報告がされている。
実質的な治療としては特に中等度以上については CPAP が第一選択肢となる。AHI 値の改善は顕著であり、SAS 患者には生活習慣病を合併しているものが多いが脂質代謝障害としての脂肪肝や AST(GOT) 高値といった肝機能障害を示すものの、CPAP治療によってこれらの改善を認める[11]。心血管疾患を防ぐ効果がある [43]。CPAP装着時間別の死亡率は1時間以内/日と1時間以上/日では有意な差があった[44] との CPAP療法の効果と考えられる報 告もされている。

Ⅷ, 睡眠時無呼吸症候群と肥満について
現在我が国においてメタボリックシンドロームが強く疑われる者、または予備群と考えられる者が成人男性では 40%以上になっている。また BMI(Body Mass Index)が25kg/m2以上の肥満者も男性では増加している。「健康 日本21」の目標値(2010年)は20歳代女性のやせの者が15%以下、20~60歳代男性の肥満者が15%以下、40~60 歳代女性の肥満者が20%以下とされているが達成は難しい状況である。
肥満に関する WHO の基準によれば、BMI≧25kg/㎡を過体重(over weight)、BMI≧30kg/㎡を肥満と定義 している。わが国では、日本肥満学会において BMI≧25kg/㎡を肥満と定義している。その背景として、日本では BMI≧30kg/㎡ の肥満が3%以下である[24]のに対して、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の発症頻度は欧米と変わらないこと、軽度肥満であっても肥満に基づくさまざまな疾患を発現し易い[24] ことにある。SAS は肥満との関連性が高いと考えられ、わが国においても高度肥満者の内臓脂肪が220㎠以上では SAS は100%であった[45] という報告もある。SAS と肥満に関する研究は多く、体重の変動があまりなかった群に比べ10%の体重の増加は AHI が32%増加し、逆に体重が10%減少した群は AHI が26%減少した[46]。睡眠障害に気付く前と現体重との差を見た報告[47] では体重増加度は SAS になる重要なリスクファクターであり、内臓脂肪量にも関連性があるとしている。肥満、特に腹部肥満は SAS に対し重症度とは別に無呼吸時の低酸素血症を増強させる [48][49]。男性に比べ女性 の SAS 発現率は低いと思われるが、女性においても肥満は睡眠中のいびきを伴い、実際の睡眠時間を短くし睡眠 効果を減少させ、日中傾眠を伴うという調査結果[50]がある。さらに27/hrの AI (Apnea Index)が食事療法による17kgの減量で AI が 3/hrに改善した[51]。食事療法のみと運動療法併用群との減量効果については14週で7~9kg の減量で運動療法の有無に関わらず、パルスオキシメーターを用いた ODI(oxygen desaturation index)動脈血酸 素飽和度低下指数は有意に改善した[58]。減量は中等度の SAS に有効であり、重症度でも CPAP の圧を下げることは可能である[53]。平均7kgの減量で、活力年齢が6~8歳若返り、睡眠呼吸障害スクリーニングも改善された [54]。 VLCD (very low calorie diet)による8%の減量は ODI を30%改善した[55]。減量後長期コントロールできている者、リバウンドしても再発しないものまたは再発するものと様々であるが BMI が31.5kg/㎡ から25.9kg/㎡への減 量で AHI は大幅に改善された [56]。胃バイパス術を施した15例の超肥満患者は44.5±19.4kgの減量で、CPAP圧 が18%減少でき、目標体重に到達した4例では22%の減少であった。夜間のいびき、日中傾眠、偏頭痛、運転中 の一過性の意識消失等の自覚症状を伴った OSAS患者が13kgの減量で、職場復帰し体調も改善した [58] など、SAS と減量の効果を報告するものが多い。その反面、減量による SAS の改善につながらなかったという報告もある。超低カロリーの食事療法で45kgの減量によりインスリンの過剰反応等は改善したが、SAS は改善しなかった[59]。
VLCD を用いた食事療法による減量は、OSA の改善がみられたが、47kgの減量ができた症例でも SAS は改善されないケースもあった [60] などかなりの減量成果が得られた症例において必ずしも SAS の改善に結びつくとは限らない場合もあるようである。
生活習慣を見直すことは SAS 治療において重要であるが、特に肥満患者は減量することが必要になる。すなわちエネルギー摂取量を抑える食事療法とエネルギー消費量を増加するための運動療法が中心となる。
運動療法の実施には注意が必要で高度肥満の場合にはひざ関節痛等を伴う場合がありそれ以後の運動療法の継続が不可能になる場合があるため、ある程度食事療法で体重減少を行なってから運動を開始するなどが必要であるが、減量のための食事療法と運動療法は食事療法単独では体重減少に伴った基礎代謝量の低下がみられたが、運動療法併用群では基礎代謝量の上昇、または低下の抑制がみられ、治療後のリバウンドを軽減する効果がある[6] ので、 食事と運動を上手く取り入れる必要がある。また、目標意識をもたせ自らが取り組むこと。ある程度の減量が達成できたとしてもそれを維持することやリバウンドを生じることがないようにすることが重要である。減量効果は患者の食行動を患者自身が正しく把握することが重要で、自己評価を取り入れることは減量効果に影響を及ぼす [62]。 食事療法を開始する前の意識調査では減量の必要性や肥満が体質に起因しないことなどの食行動の自己効力意識の高いものに体重減少が顕著であった [63]。食行動の変化と減量が可能な対象者は、健康への関心度が高く減量への 準備が整ったものであった [64]。
SAS は脂質の量的な異常に起因する疾患として位置づけされており内臓脂肪の蓄積も多いと考えられる。内臓脂肪蓄積の食習慣は「早食い、脂っこいものを好む、欠食する、摂取食品数が少ない」などの要因が考えられる [65]という「食事内容」についての原因と、食生活におけるある特有な食意識が働き、SAS 患者は肥満のメカニズム については十分な理解があったが、食行動パターンには多くの問題点を抱いていた [66)。CPAP 療養中の患者に対しての実態調査で食事療法と運動療法は継続されていない (67)。食行動意識が低いと健康度も低下する [8]。など複数の要因が引き金になっていることが推察される。
肥満治療についてはこれまでさまざまな研究がされてきたが、一時的に体重が減少してもその後リバウンドを生じることも多い。肥満はエネルギー代謝における摂取系と消費系の不均衡が契機になり発現してくる [69]、そのためいかに対象者にそのことを理解させるかが大切である。肥満症の治療には説明や説得といった治療手段は役に立 たない [70] ことも事実で、医療従事者の肥満者へのアプローチ法が大切となる。

Ⅸ, 睡眠時無呼吸症候群と日本人について
SAS と肥満の関連性は高いと考えるが、わが国と欧米諸国では肥満の基準値が異なる[24]。しかしながら日本人 の SAS 患者数の割合は欧米諸国に比べ少ないわけではない[2]。その理由のひとつとして肥満でなくても SAS で あるという割合がわが国においては高いことが上げられる。わが国の10施設における AHI≦20/hrの SAS に対して肥満度に関するアンケートを行なったところ、4,814例中1,426例(30%)が BMI<25kg/㎡で肥満はなかった [71] という調査結果が報告されている。
その原因としては日本人の場合メタボリックシンドロームの危険因子が変動する BMI 閾値は男性が BMI22kg/㎡で、女性は BMI21kg/㎡と正常体重域に存在する[72] という報告もあり、比較的軽度の肥満であっても日本人は生活習慣病の疾患が発症し易い可能性がある[24] こと。また、入社後7年間で体重が増加する男性が多く9割、10kg 以上の増加を示す割合が3割程度あった [73] という報告からも推察されるように若年時に比べ就業年齢層においての体重増加が見られ今日のメタボリックシンドロームの可能性が強く疑われる者、または予備群と考えられる者も特に男性では増加傾向を示す結果にも結びつくことになっている[74]。SAS に関しても肥満傾向にある現状から考えるとメタボリックシンドローム同様発症の要因が増していることになると考えられる。現代社会においての肥満はそれが 食習慣だけでなく、生活習慣の乱れの影響がある[7] こと、すなわち喫煙習慣は他の生活習慣も不健康な方向へと導き、 特に男性では体重増加の一因となる[76]。睡眠の質が低いと評価している人ほど喫煙本数が多い。家族関係も肥満には関連性があり、家族関係が良い場合男性では腹囲が増加の傾向を示し、女性では抑制するとの報告[78] もある。生活スタイルの多様化や単身世帯の増加など生活環境の変化がいくつもの要因となって睡眠障害や肥満を引き起こしていると考えられる。しかし、前述したようにわが国の肥満の割合は増加傾向にはあるが欧米の肥満率にまでは達していないにもかかわらず SAS の罹患率は低くない。その原因のひとつとして考えられるのが顎顔面形態 の差が咽頭腔の狭小化に大きく関与していて頭蓋骨の形状特性に由来するものが考えられる。日本人をはじめとしてアジア人は頭蓋骨の骨格がモンゴロイド系に属しそのことが原因で SAS が発症している場合がある(72)。したがって、肥満を伴ってなくても SAS である可能性がある。具体的には頭蓋骨の側面をレントゲン撮影にて画像化したものをいくつかの基準点から得られた直線の交点の角度により判定する。頭部X線規格写真法(Cepharometric radiography,以下セファロメトリー)を用いて行なわれる。代表的なものとしては、小顎症を評価する SNB、小顎症を伴わないものも評価できる顔面軸角(facial axis; Fx)などがある。SNB は Sella-Nasion-Basion 点で形成される角度で、その値が小さいほど小顎症であることを示し SAS 患者では下顎骨の後位と SNB 角度が小さいことが特徴である[79]、日本人を含めてアジア人にはモンゴロイド系の頭蓋骨形態を示す割合が高く、SAS ではSNB77°以下と健常者に比べ角度が小さいなどの報告[80] や、非肥満の SAS では小下顎症傾向にあり[81]、SNB や SNA (Sella-Nasion-A point)が重傷度に関係している[82]。すなわち、日本人の場合、頭蓋骨形態により非肥満者においても SAS である可能性を示唆するものであるが、実際には重症度とセファロメトリーでは有意な差がなかったという報告(83) もある。Fx は Basion-Nasion を結んだ線と、Pterygoid point-Gnathion を結んだ線で形成される角度で角度が大きいと Short face 小さいと Long face であることを示す。健常人の Fx の平均値は、白人が約90°であるのに対して、日本人では約86°と小さく日本人は白人よりも Long face である(84) ことが知られて いる。日本人の SAS に特異な頭蓋骨形態の特定には SAS 群と非 SAS 群において Fx は SAS群で有意に値が低 かった[85]。日本人を対象に65歳未満、男性であること、患者群、対象群の BMI に有意な差がないという条件での Fxで対象群は85.7±3.8°であるのに対して、患者群は83.0±4.5°で、患者群で有意に小さかった(p=0.002) [86]。白 人に比べ日本人が肥満の割合は少ないにもかかわらず SAS の有病率が白人と変わらない理由のひとつにこのことが要因にあり、非肥満者の割合が多いことに起因していると考えられる。

X. 最後に
SAS は単に睡眠中に呼吸が止まりそのため昼間の眠気が出るといった単純な疾患ではなく、循環器疾患 [36] や生活習慣病[41] との関連性も高く、さらには治療を必要とする状態を未治療のままにすると死に至る事もありえる重大な問題を抱える疾患[12] である。
CPAP療法は効果が大きく現在のところ治療の第一選択になっているが、中止すると即座に元に戻ってしまい 継続するしかないという点がある。それ以外にも睡眠中常に装着しているための違和感や無意識に装置をはずして しまうなどの患者側からすると満足することばかりでもない。あくまで対症療法であることが CPAP の限界といえる。
肥満者の場合減量による効果が期待できるが、その際には我が国における SAS 患者の特性としてFx 等を指標 としたセファロメトリーの測定を用い Short face の対象者に対して weight control を促すことが必要と考える。

引用文献

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(論文紹介)口蓋垂切除手術の効果判定

本日ご紹介するのは、「口蓋垂切除の有無が睡眠時無呼吸症候群の術後成績に及ぼす影響に関する研究」と言う論文です。

口蓋垂切除で、睡眠時無呼吸やいびきの低減がどのくらいできるかを評価した研究ということです。

低減の効果は認められるものの、解消というのはほとんどないということが結果ですが、対症療法とはいえそれなりの効果を認めるということになりますね。ただ、藤田保健衛生大学病院では、やたらと切るのではなく、口蓋垂や軟口蓋の役割を理解したうえで、リスクを回避した切除術を行っているところがかなり評価できると思います。いびきが消えるとかを宣伝し、ただ切り取っておしまいのレーザー治療に比べたら、良心的であると思います。

URLより論文を参照願います。

(論文紹介)口蓋垂切除の有無が睡眠時無呼吸症候群の術後成績に及ぼす影響に関する研究

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三貫清水緑地

三貫清水緑地。家からそれほど遠くない緑地。少し前までのネット情報ではヘイケボタルが見えるという事なので、ちょっと早いが行ってみた。残念ながら三貫清水の水は枯れているし、すぐ近くの池も蛍が居そうな感じではなかったが、少なくとも数年前までは自然の蛍が居たということは、感じられる場所。

(論文紹介)生活習慣病と睡眠障害

生活習慣病とはよく名付けたものだと思います。小さな問題を繰り返すことで、病気になっていく。実際に病気になると今度は元に戻すことがなかなかできない。いびきは生活習慣病の症状ととらえるといびきの出る生活が良くない事なのだということが分かってきます。

今日は、「生活習慣病と睡眠障害」といいう論文を紹介させていただきます。安眠家具で不眠症を改善させていく上で、不眠症の原因を調べていくと、身体的疾患が原因ということもあり、その身体的疾患が生活習慣病といわれるものが多いということが分かります。ストレスからの過食や、不規則な時間等、ストレスと生活習慣と食と睡眠。すべてが繋がりをもっており、悪化する要因にもなるし、逆に例えば睡眠一つでも良好にしていくことが全体の改善につながっていくことが分かります。

(第6回学術集会 2008.2)

生活習慣病と睡眠障害

筒井 末春
日本心身健康科学会 会畏
人闇怒合科学大学

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhas/4/2/4_2_69/_pdf

はじめに
睡眠障害の分類については今日、睡眠障害国際診断分類 (International Classification of Sleep Disorders; ICSD)に基づいて行われているが、疾患の数は多岐にわたっている。
これら睡眠障害を大別すると以下のごとく整理される。
第1は睡眠の量や質に問題のあるもので、不眠症や過眠症等が該当する。
第2は睡眠中もしくはこれに近接して生じる異常現象 (不随意運動も含む)を示すもので、レストレスレッグス症候群や各種睡眠随伴症等が含まれる。
第3は睡眠覚醒に直接影響する生体の概日リズムの異常で、概日リズム睡眠障害があげられる。
第4は身体・精神疾患に基づいて生じるものが知られている。
本稿ではこれら分類のうち第4に位置する身体疾患に基づいて生じる睡眠障害として、生活習慣病をとりあげて生活習慣病にみられる睡眠障害に関して行われている臨床的研究について概説する。

現代人の睡眠とその問題点

現代社会は24時間社会ともいわれ、人々の生活は都会ほど夜型化し就寝時刻が遅くなり、睡眠時間も短縮している。日本人全体の平均睡眠時間は約7時間といわれているが、これは40年前に比較して約1時間減少している。従って多くの人々が睡眠不足の状態で生活しているものと思われる。
また成人の約5人に1人が睡眠の問題をかかえていて、特に一般勤労者では20〜40%に不眠や睡眠の質の悪さを認めるとされている。
ところで睡眠不足は昼間の眠気や偽怠感、集中力の低下、不安など心身の症状を呈するだけでなく、糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の誘因や増悪因子となり得る。
一方、高血圧や糖尿病では不眠が高率にみとめられ、不眠の原因疾患として考えられている。
また我が国で問題となっている自殺の背景にうつ病、うつ状態がひそんでいることが指摘されているなかで、これら心の病には不眠はほぼ必発とされ、今日では慢性化した不眠はうつ病発症の危険因子とされている”.

健康日本21からみた睡眠の課題”

平成12年 (2000年)から21世紀における国民健康づくり運動 (健康日本21) が推進されているが 平成15年 (2003年)3月には健康日本21に定められた睡眠に関する目標達成を促進することを目指して健康づくりのための睡眠指針が策定された。
本指針では成人を対象として睡眠の問題をとりあげ、「快適な睡眠のための7箇条」と名付けて生活習慣を改善することで、より良い睡眠が得られるように整理されている。以下にその項目を示す。
1) 快適な睡眠でいきいき健康生活
2) 睡眠は人それぞれ、日中元気はつらつが快適な睡眼のバロメーター
3) 快適な睡眠は自ら創り出す
4) 眠る前に自分なりのリラックス法、眠ろうとする意気込みが頭をさえさせる
5) 目が覚めたら日光を取り入れて、体内時計をスイッチオン
6) 午後の眠気をやりすごす短い昼寝でリフレッシュ、昼寝をするなら午後3時前の20〜30分
7) 睡眠障害は専門家に相談
睡眠障害は体や心の病気のサインであることがある。
第1箇条では快適な睡眠で疲労回復・ストレス解消・事故防止がうたわれているが、一方睡眠に問題があると生活習慣病のリスクが上昇することも記載されている。

睡眠と食欲・耐糖能の関連

ラットを長時間断眠させると摂食量は増加するにも関わらず体重は減少して、2〜3週間後には体温調節が破綻し低体温をきたし死亡するに至る。人では健康成人を4日間連続して睡眠時間を4時間に短縮するだけで耐糖能の低下をきたす。睡眠時間の短縮は食欲や空腹感にも影響を及ぼし、それに関与する神経ペプチドとしてレプチンとグレリンがあげられる。
睡眠時間を4日間にわたり4時間に制限するだけで空腹感と食欲は1日中増加を示し、空腹のシグナルであるレプチンの減少がみとめられる。これらから短時間睡眠はレプチンの減少とグレリンの増加及び空腹感と食欲の冗進につながる可能性もあり、また睡眠不足により耐糖能も低下するため、その際睡眠不足の状態で過食におちいることがあれば高血糖を来す可能性もあるといえよう。
健常者を対象に平均睡眠時間8〜9時間から強制的に6晩にわたり睡眠時間を4時間以下にすると、睡眠不足によりインスリン拮抗ホルモンであるコルチゾール値が有意に増加し、交感神経活性亢進が認められインスリン分泌低下とは無関係に食後の血糖値の上昇が生ずることも知られている。

睡眠時間と糖尿病

Nilssonらは縦断的研究として6000人以上の中年男性を15年間にわたり追跡し、睡眠障害のあるものでは睡眠障害のないものに比較して、糖尿病発症の危険が1.5倍高まると報告している。
またGottlielらは一般人を対象とした日常の睡眠時間と糖尿病の大規模にわたる関係を検討し、睡眠時間が5時間以下の人は睡眠時間が7〜8時間の人に比較して、糖尿病発症の危険率が2.5倍に上昇するとしている。
Knutsonら(2006年)はⅡ型糖尿病を対象とした 横断的研究で、睡眠時間と睡眠の質がHbA1cの有用な予測因子であることを明らかにし、また睡眠時間と睡眠の質はⅡ型糖尿病のリスクだけでなく、その重症度にも関連性があるとしている。
本邦では川上ら(2006年)が日本人男性を対象に睡眠障害とⅡ型糖尿病の発症を8年間追跡し、睡眠障害のある人はない人に比較してⅡ型糖尿病を発症するリスクが2〜3倍高いとしている。
ここで臨床的立場から本邦において糖尿病患者における睡眠障害の実態についての最近の報告を概述する。
調査はWHO/WWPSH睡眠障害の診断と治療のためのキット (日本版)の不眠の自己評価表を用い、糖尿病患者158名とコントロール群205名について睡眠障害の実態調査が行われている。糖尿病患者ではコントロール群に比し明らかに不眠を訴える割合が2倍以上多く、患者の37%が何らかの頻回な不眠を経験しており、不眠のタイプ別では入眠困難19.5%、中途覚醒17.5%、早期覚醒18.2%で、入眠困難・早期覚醒に有意差が認められている (図1).

精尿病患者の睡眠障害とその関連因子についての検討では、HbA1cの値が上昇するにつれて入眠困難を訴える患者の頻度が段階的に増加し (図2)、糖尿病性神経障害による下肢の痛み、しびれ等の症状を有する患者で中途覚醒、早期覚醒を中心とした不眠を半数以上の高率に認めている (図3)。また糖尿病患者のうちで不眠のある者を無作為に2群に分け睡眠薬投与群と非投与群で比較したところ、投与群ではHbA1c が有意に減少し、非投与群ではむしろ増加する傾向がみられたという。

これらの成績は健常者での睡眠短縮による耐糖能低下とともに、糖尿病患者においても不眠や睡眠不足が 耐糖能に悪影響を及ぼしていると可能性も示唆されよう。
糖尿病患者の睡眠障害と関連する要因としては高血糖や神経障害以外にも不規則な生活習慣や不規則な勤務形態 (二交代ないし三交代勤務) に起因して睡眠障害があらわれることもある。
その他糖尿病の患者には、睡眠時無呼吸症候群が肥満との関連でもみられやすく、糖尿病で特に血糖コントロールの悪い例にうつ状態や不安障害が出現しやすく、これらが共存して睡眠障害を増悪したり修飾することもあり、一層の注意が必要となる。

睡眠障害と高血圧

健康成人を一晩断眠させると血圧は約10mm/Hg ほど上昇するされ、その上昇は圧受容体反射のセットポイントの変化による可能性が指摘されている。
また睡眠と血圧の関係ついて睡眠時間を残業などによる睡眠不足で平均3.6時間に限定して、血圧及び心拍数を睡眠時間が平均8時間の人と比較すると、睡眠不足の人では翌日の平均収縮期血圧、平均心拍数ともに有意に上昇するという。これらの結果は急性の断眠や睡眠不足が翌日の血圧上昇を招くということを示している。
さらに職場の定期健康診断の際のデータを利用し、睡眠障害の有無で高血圧の発症率にどの程度の差があるのかをみた前向き研究の報告がみられる。それによると入眠困難のあることで、高血圧発症の危険率は入眠困難のない人に比較して約2倍、中途覚醒では約 1.9倍に高まるとし、睡眠障害が年齢、アルコール摂取量、喫煙習慣、肥満やストレスと並んで高血圧発症の危険因子であるとしている。
このことから睡眠不足、睡眠障害はいずれも高血圧発症の危険因子である可能性が高いといえよう。

睡眠障害とうつ病

うつ病では高い頻度で睡眠障害がみとめられるが、その逆に睡眠障害からうつ病が生じる可能性についても論じられている。
米国のジョンス・ホプキンス大学医学部学生に対する長期間にわたる縦断的調査が知られ、これは1948年から1964年にかけて在籍した学生の在学中における睡眠習慣に関する調査をもとに、卒後5年おきに最長で45年間 (中央値34年) 追跡した1053名のうち、1993年時点での生存者は941名(平均年齢 62.6歳) で、101名がそれまでにうつ病の時期があり。 そのうち87名が抗うつ薬や専門的な治療を受け、さらに13名が自殺を完遂したとしている。
これに加えて詳しく解析すると、学生時代に睡眠障害もしくはストレスがかかった時の寝つきの悪さを訴えた者は、そのような訴えのなかった学生と比較して 卒業後に2倍近くうつ病に羅患したことも判明している。
これとは別に一般人口である時点で不眠を訴えた人は、そうでない人と比較して有意にうつ病になりやすいとする報告があり、それによれば7954人の一般住民を初回と1年後に面接して精神疾患の有無を調査した結果、初回と2回目ともに不眠を訴えている人は,そうでない人と比較してこの1年間に新たにうつ病に確患した比率が40倍近くに及んでいるとしている。

一方、高齢者のうつ病に関連する危険因子を一般住民を対象に検討したメタ解析によると (図4)、不眠は女性、身体障害、配偶者との死別、うつ病の既往とともに、高齢者にうつ病をもたらす明らかな危険因子であることが判明している。
日本人の一般人口を対象とした最近の疫学調査では、不眠症状のうち中途覚醒や早朝覚醒とうつ病との関連がよく知られているが、睡眠障害のパターンとして入眠困難が最も強くうつ症状と関連していることが明らかにされている。

生活習慣病と不眠の関連

ここで生活習慣病と不眠に関して本邦で最近行われた大規模調査について紹介する。
2004年12月にJR東海が有するオフィス勤務を主体とした勤労者モニターグループの会員 (年齢35〜 59歳) 7800名を対象に33項目にわたる質問を作成し、生活習慣病に関する情報や不眠に関する情報を収集し、現在の抑うつ状態に関する質問はM.I.N.I. (Mini International Neuropsychiatric Interview) を用い、睡眠の質及び昼間の眠気に関する質問項目としてピッツバーグ睡眠質問表及びエップワース眠気尺度を使用した。
解析対象は5747名、うち男性5230名、女性517名で平均年齢は43.8歳。男性44.1歳、女性41.4歳である。
過去2年間に健康診断で高血圧、高脂血症、糖尿病 (以下三疾患)のうち、少なくとも一つ以上に異常を指摘された人は2837名 (49.4%)。生活習慣病のない人は2910名 (50.6%) であった。生活習慣病の指摘を受けて通院治療しているのは721名(25.4%)、指摘を受けていながら放置しているものは2116名(74.6%) であった。
次に不眠で悩んだ経験のある群について生活習慣病の有無で比較すると (図5)、有病群で32.6%、ない群で26.2%で有病群での割合が高率であった。有病群のなかでも放置群での割合は33.3%で、治療群の 30.5%より高率でコントロール群と比較すると有意に高かった。
また三疾患で治療中の群においてもコントロール群と比較して不眠の割合が高く (6.0%) 有意差をみとめた。さらに三疾患で指摘を受け放置している群では不眠が47.3%に達し、約2人に1人の割合でみとめられた。

次にピッツバーグ睡眠質問表で5.5点以上の睡眠が障害されている人の割合は有病群で40.1%、コントロ ール群32.2%で有病群で高く、そのなかでも治療群より放置群で、また単独群よりも三疾患で治療群がより高く、特に放置群はコントロール群との間に有意差をみとめた (図6).
同時に施行したエップワース眠気尺度が11点以上の昼間の眠気が強い人の割合も同様な傾向がみられ、有病群で12.0%、コントロール群で10.3%で放置群ではいずれも有病群より昼間の眠気が高かった (図6)

生活習慣病、不眠と抑うつの関連

抑うつ状態をみとめる人の割合は、有病群で6.0% でコントロール群 (4.0%) より高かった。また治療群と放置群では治療群5.7%に対し放置群は6.1%を示し、三疾患で指摘を受け放置している場合は9.9% の高い率を示し、これはコントロール群の約25倍に相当した。
有効回答者全体で不眠経験のある人は、ない人に比較して抑うつ状態を有する割合が有意に高く、前者で 12.4%、後者は1.9%であった。
これを生活習慣病で治療中の人。生活習慣病の指摘を受け放置している人及び生活習慣病の指摘なしの人について、それぞれ不眠の経験の有無から抑うつの関連を調べると、いずれも不眠経験のある人はない人に比較して抑うつ状態を有する割合が有意に高く、特に治療群では10倍以上を示した (図7)

逆に抑うつ状態をみとめる人 (285名) は、みとめない人 (5462名) に比較して生活習慣病の有病率が高く (59.6%vs48.8%)、さらに不眠経験者の割合も高かった (73.3%vs27.3%)。また性差の面で検討すると女性勤労者は生活習慣病の有無やその治療の有無に拘わらず、男性勤労者に比較して睡眠の問題が深刻で抑うつ状態をみとめる割合も高くなる傾向がみとめられたという。

主治医とのコミュニケーション

不眠経験者 (1687名)で「かかりつけの主治医に睡眠の相談をしたことがありますか」という質問に対して「はい」と回答した人の割合は23.2%で、そのうち有病者で治療を受けている人 (220名) では 39.5%、放置している人 (704名) では20.6%と低率で、治療者と比較して有意に低率であった。
対象者 (5747名) に対してかかりつけの主治医に「眠れていますか」とたずねられた経験があるか否かについて検討すると (図8)、治療中 (721名)の人で問いかけのあったのが32.5%、放置群では23.9%で両群の間に有意差がみられ、放置群よりも有意に低率を示した。
従って生活習慣病を扱う医療機関の現場において、約7割の医師が睡眠に関する問診を実施していないわけで、今後睡眠の問題を積極的に把握する姿勢が強調されても良いものといえよう。

不眠症の対処

不眠経験者の「眠れないときの対処法」として最も多かったのは「何もしない」が43.5%で、次いで「寝酒をする」が29.5%、「医師に相談して睡眠薬を処方してもらう」が17.0%、「市販の睡眠改善薬を使用する」が7.3%であった (図9).
コントロール群及び放置群においてもほぼ同様な傾向がみとめられ、全体的に不眠への対処として主に寝酒に頼る傾向が示された。これらから不眠経験者の多くは、我が国においては自発的に医師に相談することも。また医師からも睡眠に関する問診を受けることも乏しいまま、無治療で放置するかあるいは自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く、処方薬による適切な治療を受けていない実態が明らかにされている。

ところで2002年に世界10ヶ国 (オーストリア、ベルギー、ブラジル、中国、日本、ドイツ、ポルトガル、スロバキア、南アフリカ、スペイン) で実施された国際睡眠調査をみると、不眠への対処として寝酒を選ぶ人の割合は日本が最も高く30.3%、最も低いのがオーストリアで9.8%、平均で19.4%であるとしている。我が国では一般に睡眠薬に対する依存症な どの偏見がみられ、眠れないと容易に寝酒に頼る傾向がみられ、それがかえってアルコール依存につながる場合もみられることから、不眠を放置することなく、医療機関に受診して正しく対処することが肝要といえよう。

今後の課題

これまで生活習慣病についての不眠及び抑うつとの関連からその実態を示し、生活習慣病を有する人は無い人に比較して不眠及び抑うつの割合が高く、治療群よりも放置群でその傾向が強く、逆に不眠及び抑うつの無い人よりも有る人が有意に生活習慣病率が高いことが判明した。
また不眠症経験者の多くは自ら医師に相談することも、医師から睡眠に関する問診を受けることもなく放置するか、あるいは自己判断で寝酒や市販薬に頼る場合が多く、睡眠薬による適切な治療を受けていない結果が得られている。
生活習慣病治療においては食事療法や運動療法の重要性が従来から指摘され実施されているが、生活習慣病は不眠や抑うつと密接に関連しており、食事療法。運動療法に加えて睡眠療法も1つの柱として重要であることを指摘したい。
睡眠が不足すると昼間の眠気が増しQOLが低下しやすい。さらに脳に満腹感を伝達するレプチン濃度が減少し、一方では空腹感を引き起こすグレリン濃度が増加し、その結果食欲が高まるとされている。
したがって睡眠が不足することで食事療法や運動療法にも支障をきたし、睡眠の十分な確保が生活習慣病には欠かせないと申せよう。
これらを踏まえて今後は生活習慣病における睡眠療法の効果を立証し、将来的にはその予防面にも研究が進んでいくことが期待される。心身の健康を考える際にも睡眠の問題はキーワードの一つとして捉えていくことはもちろんである。

引用•参考文献

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